本ページは 実験計画法(Design of Experiments)を多角的に解説します。 上のチップは、 検索・関連語の手がかりです。
本ページで扱うトピックの早見表。 各チップをクリックすると該当セクションへジャンプ。
🍰 まずはやさしく
効率よく答えを出すための設計図です。
少ない回数で正しい結果を知るために使います。
スマホアプリの使いやすさを比べる時に役立ちます。
この章では基本のルールや手法を学びます。
「実験計画法」の核心を 15 個の一行表現で:
🍰 まずはやさしく
実験のやり方を決めるための技術です。
薬の開発や製品作りなど幅広く使われます。
部活で練習メニューの効果を調べる時に似ています。
ここでは統計学のなかでの位置付けを確認します。
実験計画法(Design of Experiments, DoE)は、 Ronald Fisher が農学実験の効率化のために生み出した分野。 現在では 製薬の臨床試験、 半導体の歩留まり改善、 Web の A/B テストなど、 あらゆる「実験」の根幹技術です。 統計的検定(ANOVA, t検定)と密接に結びついています。
本ページは『実験デザイン』カテゴリの中核手法。 Fisher の 3 原則を出発点に ANOVA・RSM・Taguchi・Bayesian Opt まで展開。 隣接ページ: 仮説検定・回帰分析・ANOVA。
所属カテゴリ: 実験デザイン。 用語固有の深掘りに入る前に、 ここで全体の中での位置を確認してください。
🍰 まずはやさしく
ムダをなくすための魔法のような工夫です。
条件の差を正しく切り分けるために使います。
肥料の種類で植物の育ち方が変わる例で考えます。
ここでは具体的なやり方のコツを解説します。
Fisher の 3 原則:
| 原則 | 目的 | 方法 |
|---|---|---|
| ランダム化 | 系統的偏りを排除 | 処置をランダムに割り当てる |
| 反復 | 誤差を推定可能に | 同条件を複数回 |
| 局所管理 | 環境変動を除く | 類似条件をブロックに |
例:肥料 A, B, C を比較したい場合 ─ 田んぼを 3 つに分けて適用するのではなく、 各田んぼ内でランダムに小区画に割り当て、 反復して測定。 こうすれば「田んぼの差」と「肥料の差」が分離できます。
因子が多い場合は 直交配列表で組合せ爆発を抑制。 「8 因子各 2 水準なら $2^8 = 256$ 通り」を 8 通りで済ませる魔法のような技。
🍰 まずはやさしく
結果を数式で表して分析する方法です。
どの条件がどれだけ影響したかを計算します。
買い物で値段と質どちらが重要か調べる感覚です。
ここでは計算式や記号の意味を詳しく読み解きます。
因子設計の分散分析モデル:
実験計画法 (DoE) の中核は線形モデルに基づく分散分解。 一元配置の場合:
$$Y_{ij} = \mu + \tau_i + \epsilon_{ij}, \quad \epsilon_{ij} \sim N(0, \sigma^2)$$$Y_{ij}$ は処理 $i$ の $j$ 回目の観測。 全体平均 $\mu$、 処理効果 $\tau_i$、 誤差 $\epsilon_{ij}$ に分解。 平方和分解は:
$$\underbrace{\sum_{i,j}(Y_{ij} - \bar{Y}_{..})^2}_{SS_T} = \underbrace{n \sum_i (\bar{Y}_{i.} - \bar{Y}_{..})^2}_{SS_A} + \underbrace{\sum_{i,j}(Y_{ij} - \bar{Y}_{i.})^2}_{SS_E}$$F 検定統計量:
$$F = \frac{SS_A / (k-1)}{SS_E / (N-k)} \sim F_{k-1, N-k}$$| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| $Y_{ij}$ | 処理 i の j 番目の応答 | 実数 |
| $\mu$ | 全体平均 | 実数 |
| $\tau_i$ | 処理 i の効果 ($\sum \tau_i = 0$) | 実数 |
| $\epsilon_{ij}$ | 誤差項 (正規・等分散・独立) | 実数 |
| $k$ | 処理水準数 | ≥ 2 |
| $N$ | 総観測数 | ≥ k+1 |
一元配置 ANOVA の F 統計量 $F = (SS_A/(k-1)) / (SS_E/(N-k))$ を言葉で読み直す:
例: 3 群 (k=3), 各 10 サンプル (N=30)。 MS_A=15.2, MS_E=2.1 → F=7.24, df=(2, 27) → p<0.01。 F が 1 に近い → 処理効果なし、 大きい → 処理効果あり。 ANOVA は分散の比で平均の差を検定する逆説的だが強力な方法。
例:3 因子 2 水準の完全実施 vs 直交配列:
| 方法 | 実験数 | 推定可能な効果 |
|---|---|---|
| 完全実施 $2^3$ | 8 | 主効果 + すべての交互作用 |
| $L_4$(半分実施) | 4 | 主効果のみ(交互作用は交絡) |
| $L_8$ 直交配列 | 8 | 主効果 + 2因子交互作用 |
因子が増えると(例:7 因子 2 水準)、 完全実施は $2^7 = 128$ 実験。 $L_8$ で 8 実験に圧縮可能(主効果のみ)。
🎯 このコードでやること:SSDSE-B-2026 47 都道府県を『地方ブロック』(北海道/東北/関東/中部/近畿/中国/四国/九州沖縄) でブロック化し、 ブロック間の出生率に有意差があるか一元配置 ANOVA で検定する。 これが DoE の最も基本的な応用例。
📥 入力データ (data/raw/SSDSE-B-2026.csv (47 都道府県 × 1 年)):
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 | import pandas as pd
import numpy as np
from scipy import stats
df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=2,
header=None)
cols = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', nrows=0).columns.tolist()
df.columns = cols
df23 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy()
df23['birth_rate'] = df23['A4101'] / df23['A1101'] * 1000
# 8 ブロックに割り当て (Code 先頭で判定)
def block(code):
n = int(code[1:3])
if n == 1: return '北海道'
if n <= 7: return '東北'
if n <= 14: return '関東'
if n <= 23: return '中部'
if n <= 30: return '近畿'
if n <= 35: return '中国'
if n <= 39: return '四国'
return '九州沖縄'
df23['block'] = df23['Code'].apply(block)
# 一元配置 ANOVA
groups = [df23[df23['block']==b]['birth_rate'].values
for b in df23['block'].unique()]
F, p = stats.f_oneway(*groups)
print(f'F 統計量 = {F:.3f}, p 値 = {p:.4f}')
print(f'\nブロック別出生率:')
print(df23.groupby('block')['birth_rate'].agg(['mean','std','count']).round(2)) |
📤 実行すると次の出力が得られる (実行結果 (47 県 8 ブロック ANOVA)):
💬 結果の読み方:F=6.29, p=0.0001 で『ブロックによって出生率が異なる』と強く支持される (p < 0.001)。 北海道・東北が低く (4.8)、 九州沖縄が高い (約 6.6)。 DoE の言葉では『ブロック効果が有意』。 後段では Tukey HSD で具体的にどのブロック対が異なるか検定する流れになる。
「実験計画法」は学術用語に留まらず、 産業現場で日々使われている。 業界別の代表的活用例:
「実験計画法」と混同しやすい概念を整理:
| 手法 | 完全無作為化 | 乱塊法 | ラテン方陣 | 要因配置 | 応答曲面法 (RSM) | タグチ直交表 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ブロック | なし | 1 因子 | 2 因子 | なし | なし | なし |
| 交互作用 | 推定不可 | 可 | 可 | 可 | 可 | 別途検討 |
| 典型実験数 | n | n×b | k² | $2^k$ or $3^k$ | 10–30 | $L_8, L_{18}$ |
| 用途 | 標準・教科書 | 圃場・畜舎 | 馬・牛 | 工業実験 | 工程最適化 | ロバスト設計 |
| 提唱者 | Fisher | Fisher | Yates | Yates | Box-Wilson | 田口玄一 |
「実験計画法」の典型的な失敗パターン:
理解度確認用の演習問題:
よくある質問とその回答:
本ページと密接に関係する 10 用語の簡易定義:
🎯 このコードでやること:SSDSE-B-2026 47 都道府県を『地域 (4 ブロック) × 人口規模 (3 水準)』の二元配置として、 出生率に対する 2 要因 ANOVA を実行する。 交互作用効果を含む。
📥 入力データ (data/raw/SSDSE-B-2026.csv (47 都道府県 × 1 年)):
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 | import pandas as pd
import numpy as np
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.formula.api import ols
df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=2,
header=None)
cols = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', nrows=0).columns.tolist()
df.columns = cols
df23 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy()
df23['br'] = df23['A4101'] / df23['A1101'] * 1000
# 4 地域ブロック
def region(code):
n = int(code[1:3])
if n <= 7: return 'NorthJ'
if n <= 23: return 'EastJ'
if n <= 30: return 'WestJ'
return 'SouthJ'
df23['region'] = df23['Code'].apply(region)
# 人口 3 水準
df23['popcat'] = pd.cut(df23['A1101'], bins=[0,1.5e6,5e6,1.5e7],
labels=['Small','Mid','Large'])
# 二元配置 ANOVA (交互作用込)
mod = ols('br ~ C(region) * C(popcat)', data=df23).fit()
anova = sm.stats.anova_lm(mod, typ=2)
print(anova.round(4))
print(f'\n決定係数 R² = {mod.rsquared:.3f}') |
📤 実行すると次の出力が得られる (二元配置 ANOVA 表):
💬 結果の読み方:地域効果は強く有意 (F=9.46, p<0.001) — 地域差が出生率の主要因。 人口規模は p=0.16 で非有意。 交互作用も p=0.48 で非有意 — つまり地域効果は人口規模に依存しない (相加的)。 R²=0.510 は中程度の説明力。 DoE 的にはまず地域効果を分離してから人口効果を再評価する戦略が妥当。
🎯 このコードでやること:47 都道府県を 3 ブロック (人口規模) × 2 因子 (地域南北・気候) の DoE 風枠組みで切り、 出生率の応答曲面を 2 次多項式で当てはめる。
📥 入力データ (data/raw/SSDSE-B-2026.csv (47 都道府県 × 1 年)):
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 | import pandas as pd
import numpy as np
from sklearn.preprocessing import PolynomialFeatures
from sklearn.linear_model import LinearRegression
df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=2,
header=None)
cols = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', nrows=0).columns.tolist()
df.columns = cols
df23 = df[df['SSDSE-B-2026']==2023].copy()
# 因子: 緯度代理 (北→南) と人口対数
df23['lat_proxy'] = df23['Code'].str[1:3].astype(int) # 1=北海道, 47=沖縄
df23['pop_log'] = np.log10(df23['A1101'])
df23['br'] = df23['A4101'] / df23['A1101'] * 1000
X = df23[['lat_proxy','pop_log']].values
poly = PolynomialFeatures(degree=2, include_bias=False)
X2 = poly.fit_transform(X)
m = LinearRegression().fit(X2, df23['br'].values)
print(f'2 次応答曲面係数:')
for name, c in zip(poly.get_feature_names_out(['lat','pop']), m.coef_):
print(f' {name}: {c:+.4f}')
print(f'切片: {m.intercept_:.3f}')
print(f'R²: {m.score(X2, df23["br"].values):.3f}')
# 最適点 (出生率最大化)
from scipy.optimize import minimize
def neg_y(p):
return -m.predict(poly.transform([p]))[0]
res = minimize(neg_y, x0=[24, 6])
print(f'\n最適点: lat_proxy={res.x[0]:.1f}, pop_log={res.x[1]:.2f}')
print(f'予測出生率: {-res.fun:.2f}/1000') |
📤 実行すると次の出力が得られる (応答曲面係数 + 最適点):
💬 結果の読み方:応答曲面 R²=0.52 は中程度の説明力。 人口の 2 次項 pop^2 が正 (+0.53) なので、 応答曲面は人口方向に『下に凸 (U 字)』であり、 内部に最大点をもたない (=最小点をもつ)。 したがって minimize による最大化は発散し、 「中規模都市が出生率最高」という内部最適点は存在しない。 緯度効果は弱い負 (北で出生率低)。 DoE 的には『2 次モデルが下に凸のとき最適化は境界解になる』ことを学ぶ好例。
📝 より正確な分析:実データ (SSDSE-B-2026 の 2023 年・47 都道府県) で 2 次応答曲面を当てはめると pop^2 の係数は +0.53 と正であり、 人口方向に下に凸の曲面となる。 これは「人口効果は逆 U 字 (中規模都市が最高)」という当初の解釈とは逆で、 むしろ両極 (小規模県・大都市) で出生率が相対的に高く、 中規模で低い傾向を示す。 曲面が下に凸のため内部に最大点は存在せず、 出生率を最大化する『内部最適点』を求める発想自体が成立しない。 RSM では 2 次項の符号 (凸性) を確認してから最適点探索に進むのが鉄則である。
「実験計画法」を実際に運用している業界別 12 ケース:
🎯 このコードでやること:47 都道府県を『気候帯』(寒帯/温帯/亜熱帯) × 『産業構造』(第 1/2/3 次産業優位) の 2 因子 ANOVA で出生率変動を分析。 交互作用も検定。
📥 入力データ (data/raw/SSDSE-B-2026.csv (47 県・最新年)):
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 | import pandas as pd
import numpy as np
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.formula.api import ols
df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=2,
header=None)
cols = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', nrows=0).columns.tolist()
df.columns = cols
df = df[df['SSDSE-B-2026']==2023].copy()
df['br'] = df['A4101'] / df['A1101'] * 1000
def climate(code):
n = int(code[1:3])
if n <= 7: return 'Cold'
if n <= 40: return 'Temperate'
return 'Subtropical'
def industry(code):
n = int(code[1:3])
if n in [1,2,3,4,5,6,42,43,45,46]: return 'Primary'
if n in [14,23,27,28]: return 'Tertiary'
return 'Secondary'
df['climate'] = df['Code'].apply(climate)
df['industry'] = df['Code'].apply(industry)
mod = ols('br ~ C(climate) * C(industry)', data=df).fit()
print(sm.stats.anova_lm(mod, typ=2).round(4))
print(f'\nR² = {mod.rsquared:.3f}') |
📤 実行すると次の出力が得られる (二元配置 ANOVA (交互作用込)):
💬 結果の読み方:気候 (p<0.001) と産業構造 (p=0.03) いずれも有意。 さらに交互作用も p=0.001 で有意 → 気候の効果が産業構造の水準によって変わる (非相加的)。 寒帯・第 1 次産業優位県の出生率が低い傾向 (北海道・東北の農林漁業県)。 R²=0.53 は中等度 — 他の因子 (経済・教育・医療) も加えるべき。
📝 より正確な分析:実データ (SSDSE-B-2026 の 2023 年・47 都道府県、 出生率 = A4101/A1101×1000) で二元配置 ANOVA を再計算すると、 交互作用は p=0.0010 で統計的に有意であった。 したがって「気候と産業を独立に分解して説明できる (相加的)」という単純化は成り立たず、 気候が出生率に与える効果は産業構造の水準に依存すると読むのが正しい。 DoE 的には、 交互作用が有意な場合は主効果を単独で解釈せず、 交互作用プロットで各セル平均を確認したうえで結論する必要がある。
以下の 8 問は、 実験計画法 (Design of Experiments, DoE) の核となる「因子・水準・反復・ブロック化・無作為化」「直交配列」「分散分析の読み方」が理解できているかを確認するための問題である。 各設問は 1 分以内に答えを思いつけば合格。 5 問以上正解で「DoE 概念は把握済み」、 7 問以上正解で「現場での適用判断ができるレベル」と自己評価できる。 解答は折りたたみ表示。
採点目安: 8/8 → 即実務適用可、 6-7/8 → スクリーニング段階は安全、 4-5/8 → 用語の再確認推奨、 3 以下 → 教科書 (Montgomery 章 4-6) で再学習を推奨。
DoE では「散布図で主効果を確認」「ヒストグラムで残差の正規性を確認」「箱ひげで群間比較」の 3 点セットが標準。 SSDSE-B-2026 都道府県データから 47 県の例で示す。
読み方: 散布図で「線形傾向」が見えるなら回帰モデル、 「U 字や閾値」が見えるなら 2 次項を含むモデルに切り替える。 主効果プロットは DoE の最初の診断ツール。
読み方: 釣鐘型に近ければ ANOVA の F 検定 p 値を信頼できる。 歪み・尖度が大きい場合は Shapiro-Wilk 検定 (p<0.05) で異常を検出し、 必要に応じて Kruskal-Wallis 検定 (ノンパラメトリック ANOVA) に切り替える。
読み方: 箱の中央値がクラスタ間でずれていれば「群 (クラスタ) 効果がある」と判断。 大規模県のクラスタが一般診療所数で大きく分離して見えるのが SSDSE-B-2026 の典型パターン。 DoE では群をブロック因子として固定し、 残りの因子を統制した上で主効果を抽出する。
DoE は「製造業の Six Sigma 文脈」だけでなく、 医療・教育・農業・公共政策・ソフトウェア・マーケティングと幅広い分野で使われる。 ここでは 8 件の典型シナリオを示し、 各シナリオで「因子」「水準」「応答」「推奨配列」を整理した。 SSDSE-B-2026 で検証可能なものは公的データ列に明記した。
| シナリオ | 因子 (factor) | 水準 (level) | 応答 (response) | 推奨配列 | SSDSE-B 検証可 |
|---|---|---|---|---|---|
| 半導体エッチング | 温度・ガス流量・圧力・時間 | 各 3 水準 | エッチング深さ | L9 直交 + RSM | 不可 (工学データ) |
| 医薬品安定性 | 温度・湿度・pH・賦形剤 | 各 2 水準 | 有効成分残量 | L16 直交 | 不可 (臨床データ) |
| 教育介入効果 | 指導法・クラスサイズ・地域 | 各 2-4 水準 | テスト点数 | RCT + 二元 ANOVA | ○ 地域 × 大学数 |
| 農業収量試験 | 品種・肥料量・灌水量 | 各 3 水準 | 単位面積収量 | ラテン方格 | 不可 (圃場試験) |
| マーケティング A/B | 広告文言・配信時間帯・対象 | 各 2-3 水準 | CTR | L8 直交 | 不可 (Web ログ) |
| 公共政策評価 | 補助金額・地域・年齢層 | 各 2-3 水準 | 出生率変化 | 疑似実験 + 二元 ANOVA | ○ 県 × 政策有無 |
| ソフトウェア性能 | CPU・メモリ・GC ポリシー | 各 2-3 水準 | レスポンス時間 | L16 + Bonferroni | 不可 (ベンチマーク) |
| 災害対策効果 | 設備・教育・避難計画 | 各 2 水準 | 被害額 | L8 + ブロック | △ 地域別災害件数 |
47 都道府県データを用いて DoE 的に分析するなら、 因子は「地域ブロック (北海道/東北/関東/中部/近畿/中国/四国/九州・沖縄) × 人口規模 (大/中/小) × 産業構造 (1 次/2 次/3 次優位)」の 3 因子配置となる。 応答に出生率・自殺率・大学進学率などを置けば、 県政策の効果検証 (擬似実験) として機能する。 完全要因配置は 8×3×3=72 セルで 47 県では一部欠損するため、 不均衡 ANOVA (Type III SS) や混合効果モデルが必要となる。
なお、 観察データ (SSDSE-B-2026 等) は厳密には「実験」ではなく「観察研究」のため、 古典 DoE の「無作為化」前提が成立しない。 そのため propensity score matching や差分の差分法 (DID) で擬似的にブロック化することが多い。 DoE の発想は、 実験できない現実データにも「ブロック化」「分散分析」という形で生き続けている。
実験計画法には複数の代表的手法があり、 因子数・水準数・実験コスト・交互作用の有無によって使い分ける。 以下の早見表は、 入門者が手法選択で迷ったときの最初のチェックリストとして機能する。 各手法の「向く場面」「実験回数」「想定されるアウトプット」を一望できるようにまとめた。
| 手法 | 向く場面 | 因子・水準の目安 | 最小実験回数 | 交互作用の扱い | 代表的な分析手法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一元配置 | 1 因子のみ比較 | 1 因子・3-5 水準 | 水準数×3 反復 | 考慮しない | 一元 ANOVA |
| 二元配置 | 2 因子の主効果+交互作用 | 2 因子・各 2-4 水準 | 水準積×2 反復 | 交互作用項を直接推定 | 二元 ANOVA |
| 分割区画法 | 水準切替コストが高い因子あり | 主区画 + 副区画 | 通常配置の 50-70% | 階層的に推定 | 混合効果 ANOVA |
| ラテン方格 | 3 因子・行列ブロック制御 | 3 因子・各 n 水準 | n² 回 | 仮定せず (主効果のみ) | 三元 ANOVA |
| 直交表 (L8/L9/L16) | 多因子・実験回数最小化 | 4-7 因子・各 2-3 水準 | 8-16 回 | 部分的に推定 (交絡注意) | 分散分析 + 田口法 |
選択の指針: 因子が 1 つなら一元配置、 2 つなら二元配置、 3 つ以上で実験予算が厳しいなら直交表が定番。 ラテン方格はブロック因子が 2 種あるとき (行と列で混合) に有効で、 圃場試験や臨床試験で多用される。 分割区画は「温度を頻繁に変えられない」など、 因子の水準切替コストに大きな差があるときの実務的な妥協策である。
合成データで因子数別の試行数とコストを計算する。
| 因子数 k | 試行数 2^k | コスト (1 試行 1 万円) |
|---|---|---|
| 2 | 4 | 4 万円 |
| 3 | 8 | 8 万円 |
| 4 | 16 | 16 万円 |
| 5 | 32 | 32 万円 |
| 10 | 1024 | 1024 万円 |
1 2 3 4 5 6 | import numpy as np k = np.array([2, 3, 4, 5, 10]) full = 2**k half = 2**(k-1) print(f"完全実施: {full}") print(f"1/2 部分: {half}") |
💬 手計算 (Step 2) k=5 で 32 試行と Python 出力が完全一致。
SSDSE-B-2026 を観察データとして DOE 風に二元配置 ANOVA を回す例。 都道府県を「地域 (region: 東日本/西日本)」と「人口規模 (size: 大/中/小)」の 2 因子で分類し、 合計特殊出生率 A4103 がどの因子で説明できるかを ANOVA で確認する。
このコードでやること: SSDSE-B-2026 を読み、 (1) Code (R01000 等) から region 因子を作る、 (2) A1101 (総人口) で size 因子を作る、 (3) A4103 を従属変数として 2 因子 ANOVA を回し、 主効果と交互作用の F 値・p 値を表示する。
📥 入力データ (SSDSE-B-2026.csv の関連列):
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 | import pandas as pd import statsmodels.api as sm from statsmodels.formula.api import ols df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=[1]) # Code から region 因子 (R01-R23 東日本 / R24-R47 西日本) df['region'] = df['Code'].str[1:3].astype(int).apply( lambda x: '東日本' if x <= 23 else '西日本') # A1101 で size 因子 df['size'] = pd.qcut(df['A1101'], q=3, labels=['小', '中', '大']) # 2 因子 ANOVA: A4103 ~ region * size model = ols('A4103 ~ C(region) + C(size) + C(region):C(size)', data=df).fit() print(sm.stats.anova_lm(model, typ=2)) |
📤 実行結果 (例):
💬 region (東/西日本) は p = 0.0004 で有意 (合計特殊出生率 A4103 に差あり)、 size (人口規模) も p = 0.002 で有意、 交互作用は p = 0.49 で非有意。 つまり「地域と人口規模がそれぞれ独立に (相加的に) 出生率を説明する」と DOE 的に結論できる。 ただしこれは観察データなので「実験」ではなく、 ランダム化や反復は元から不可能 — DOE の枠組みを観察データに当てはめる時の限界を学ぶ良いケース。
※ data/raw/SSDSE-B-2026.csv は e-Stat SSDSE から取得した実データ。 列名 (A1101 = 総人口 / A4103 = 合計特殊出生率) と Code (R01000-R47000) は原本のまま。
「実験計画法」の典型的失敗パターン 10 件:
理解度確認 15 問:
「実験計画法」の主要事項を 1 ページで:
| 3 原則 | 反復 / 無作為化 / ブロック化 (Fisher 1935) |
|---|---|
| 基本計画 | CRD / RBD / Latin / Factorial / RSM / Taguchi |
| 要因配置 | $2^k$ (全)、 $2^{k-p}$ (一部)、 PB |
| RSM 中核 | CCD ($2^k$+axial+center) / Box-Behnken |
| ANOVA | F = MS_between / MS_within |
| Post-hoc | Tukey HSD / Bonferroni / Dunnett / Scheffé |
| 検出力 | G*Power で n を事前算定 |
| Taguchi | $L_8, L_{18}$ + SN 比 |
| Computer Exp | LHS / Sobol / Halton |
| Adaptive | Bayesian Opt / Active Learning |
「実験計画法」について世間によくある誤解と訂正:
「実験計画法」を実務でフル運用するための 100 のアクション項目:
「実験計画法」が他のデータサイエンス分野とどう関係するか:
| 関連分野 | 関連性・接点 |
|---|---|
| 統計学・記述統計 | 平均・分散・相関・回帰 - DoE の効果量と分散分析の基礎 |
| 確率論 | ベルヌーイ・正規・ベイズ - 不確実性の数理 |
| 仮説検定 | t/χ²/F/ANOVA - 統計的判断 |
| 回帰分析 | OLS/Logit/Ridge/Lasso - 予測モデル |
| 分類問題 | Logistic/SVM/RF/XGB - 二値・多値判定 |
| クラスタリング | K-means/DBSCAN/階層 - 教師なし |
| 次元削減 | PCA/t-SNE/UMAP - 可視化・前処理 |
| 時系列 | ARIMA/Prophet/LSTM - 動的データ |
| ベイズ統計 | MCMC/変分推論 - 事後分布 |
| 因果推論 | DID/RD/IV/PSM - 介入効果 |
| 実験計画 | RBD/Latin/RSM/Taguchi - 効率的データ取得 |
| 機械学習 | 教師あり・教師なし・強化 - 自動化 |
| 深層学習 | CNN/RNN/Transformer - 表現学習 |
| 自然言語処理 | BERT/GPT/T5 - 言語理解 |
| コンピュータビジョン | ResNet/ViT/Stable Diffusion - 画像処理 |
| レコメンド | MF/NN/RL - 個別化推薦 |
| 情報検索 | TF-IDF/BM25/Embedding - 検索 |
| グラフ分析 | PageRank/GNN - ネットワーク |
| 最適化 | LP/QP/MILP/Convex - 計画問題 |
| シミュレーション | Monte Carlo/SDE - 確率的計算 |
| AI 倫理 | 公平性・透明性・説明責任 - 社会影響 |
| AI 規制 | EU AI Act/GDPR/NIST RMF - 法的義務 |
| MLOps | CI/CD/Monitoring - 運用基盤 |
| データ管理 | ETL/Data Lake/Warehouse - 基盤 |
| セキュリティ | Adversarial/Privacy/IDP - 防御 |
DoE は強力だが、 正しく設計しないと「再現性のない結果」「意味のない交互作用」「予算超過」といった失敗を招く。 入門者が陥りやすい 5 つの落とし穴とその回避策を整理しておく。 いずれも実験前のチェックリストとして 5 分以内で確認可能なものである。
症状: 「同じ条件で 1 回だけ実験」→ 誤差分散が推定できず、 ANOVA の F 値が計算不可になる。
回避策: 各セルで最低 2 回、 望ましくは 3 回以上の反復実験を行う。 反復が困難なら、 因子を減らすか直交表で実験回数を抑える。
症状: 「水準 1 → 水準 2 → 水準 3」と順番に実験→ 時間や温度等の交絡要因が因子効果と混合し、 真の効果が分からなくなる。
回避策: 実験順序を numpy.random.permutation で完全にランダム化。 順序効果が懸念される場合はブロック化を併用。
症状: 主効果だけ見て「因子 A が有意」と結論→ 実は因子 B との交互作用で効果方向が逆転していた。
回避策: 二元 ANOVA で A:B 項を必ず含める。 交互作用プロット (interaction plot) で線が交差していないか目視確認。
症状: L8 直交表に 7 因子を割り付けたら、 主効果と二次交互作用が完全交絡して分離不能になる。
回避策: 解像度 (Resolution III/IV/V) を事前に確認。 重要因子は L16 以上の高解像度表に割り付ける。
症状: 「とりあえず 10 回ずつ」→ 検出力不足で「有意差なし」と誤結論 (Type II エラー)。
回避策: statsmodels.stats.power.FTestAnovaPower で効果量 (Cohen's f) と検出力 0.8 から必要 n を逆算してから実験開始。
実験計画法は分野横断で適用される。 各業界での代表的な使われ方を見れば、 自分の領域での応用イメージが具体化する。 ここでは 4 つの業界の典型例を、 因子・水準・応答変数・採用される手法の観点でまとめる。
背景: 半導体ウエハのエッチング工程で、 深さ精度を ±5 nm 以内に収めたい。 温度・ガス流量・圧力・時間の 4 因子が候補。
手法: L9 直交表で 9 回の実験 → 主効果分析 → 上位 2 因子で応答曲面法 (RSM) により最適点探索。
成果: 従来 81 回必要だった完全要因配置を 9 + 12 = 21 回に削減。 ウエハ廃棄コスト 75% 減。
背景: 水稲新品種の最適栽培条件を圃場試験で決定。 圃場の土壌肥沃度に勾配があるため、 単純無作為配置では交絡が発生。
手法: 5×5 ラテン方格で行 (区画位置) × 列 (時期) をブロック化 → 三元 ANOVA で品種主効果のみ抽出。
成果: 土壌勾配の影響を分離し、 真の品種差 (F = 8.2, p < 0.001) を検出。 全国普及品種として登録。
背景: 経口錠剤の有効成分残量を、 温度 (25/40 ℃) × 湿度 (60/75 %) × pH (3/5/7) × 賦形剤 (A/B) で評価。
手法: L16 直交表 (2 水準 4 因子) → 主効果と一次交互作用を分離 → アレニウス則で常温貯蔵寿命を外挿。
成果: 16 ロットで 3 年安定性を予測。 FDA 承認に必要な統計的根拠を提供。
背景: 中学校 30 校で「アクティブラーニング vs 従来型講義」を「少人数 (20 名) vs 標準 (40 名)」で比較。
手法: 二元配置 RCT (無作為割付) → 学校をブロック因子として混合効果モデル → 共変量 (前学期成績) で補正。
成果: アクティブ × 少人数の組合せで有意な効果 (β = +5.3 点, p = 0.012)、 単独効果は小。 文科省政策提言に反映。
共通する設計思想: いずれの業界でも「実験コストが高い」「再現性が要求される」「多因子の交互作用が重要」という条件が共通している。 DoE はこの三重制約に対する汎用解として、 100 年以上にわたり進化してきた。
DoE の理論と事例を踏まえ、 実務で使えるエッセンスを 10 か条にまとめる。 各項目は実験前のチェックリストとして印刷して持ち歩けるレベルの実用性を意識している。
statsmodels.stats.power で検出力 0.8、 効果量 (Cohen's f = 0.25 中程度) から逆算。numpy.random.permutation(seed=固定) で再現可能性も担保。seaborn.pointplot で視覚的に確認。 線が交差していれば交互作用あり。scipy.stats.tukey_hsd で。キーポイント: 実験計画法は「データを集める前の設計」が 9 割。 集まったデータがどんなに大量でも、 設計が不適切なら正しい結論は導けない。 一方、 適切に設計された 10 回の実験は、 無計画な 1000 回より雄弁である。
DoE の理解を深めるための関連ページとして、 分散分析 (ANOVA)、 対立仮説、 A/B テスト、 バイアスと分散 を参照されたい。 特に ANOVA は DoE の分析エンジンとして必須の前提知識である。
SSDSE-B-2026 のような観察データでは、 「人口減少が高齢化を招くのか、 高齢化が人口減少を招くのか」のような因果方向の特定は難しい。 観察データには交絡変数 (例: 地域文化、 産業構造) が常に潜み、 相関だけでは因果を語れない。 これに対して実験計画法 (DOE) は、 ある変数を意図的に変化させ、 他の変数をランダム化または固定することで、 「変化させた変数だけが結果を動かしたのか」を統計的に評価できる仕組みを提供する。 製薬・農業・製造・教育・マーケティングなど、 因果効果が意思決定に直結する分野で必須の方法論。
SSDSE のような公開データだけでは原理的に DOE を完全に実施できないが、 「もし SSDSE-B-2026 のような構造で、 県ごとに政策をランダム割り当てして 5 年後に結果を観察するなら」という思考実験は DOE の理解に役立つ。 RCT (ランダム化比較試験) は DOE の最も厳格な形態であり、 医療現場では新薬承認の根拠となる。
DOE の根幹を支える 4 つの原則は、 実験のすべての段階で意識する必要がある。 1 つでも欠けると因果の主張が崩れる。
DOE では、 操作する変数を「因子 (factor)」と呼び、 因子が取る値を「水準 (level)」と呼ぶ。 たとえば「温度 (因子) を低・中・高 (3 水準) に振る」「触媒 (因子) を A・B (2 水準) に振る」など。 主効果 (main effect) は単一因子による出力の変化、 交互作用 (interaction) は複数因子の組み合わせで出力が予測値から外れる現象を指す。
温度を上げると単独で効果があるが、 触媒 B と組み合わせると効果が消える、 というケースは交互作用が存在する代表例。 DOE では主効果と交互作用を別々の自由度で分離して推定するため、 因子配置の設計が重要になる。 全因子全水準を試す「総当たり (フルファクトリアル)」は実験数が爆発するので、 一部実施法 (フラクショナル) や応答曲面法 (RSM) を組み合わせて実験数を抑える。
最も基本的な DOE。 ブロック化なしで、 被験体を完全ランダムに各処置群に割り当てる。 因子が 1 つだけ、 被験体が均質なときに有効。 SSDSE-B-2026 の 47 都道府県を 3 つの政策群に約 16 件ずつランダム割り当てし、 5 年後の人口減少率を比較する設計が CRD の例。 解析は one-way ANOVA で平均差を検出する。
ブロック化を導入した DOE。 既知の交絡因子 (例: 都道府県の人口規模) でブロックを作り、 ブロック内で完全ランダム化する。 たとえば SSDSE で「人口大・中・小」の 3 ブロックを作り、 各ブロック内で政策 A/B/C をランダム割り当てする。 ブロック効果を ANOVA で分離するので CRD より検出力が高い。 統計モデルは Y = μ + ブロック効果 + 処置効果 + 誤差 と表現される。
2 つのブロック因子を同時に制御する DOE。 t × t の方格に t 処置を、 各行・各列に 1 回ずつ現れるよう配置する。 製造現場で「機械 5 台 × オペレーター 5 名 × 5 処置」を 25 回 (フルファクトリアルなら 125 回) で済ませる。 SSDSE の例では 47 県を「人口クラス × 産業構成クラス」の 2 軸でブロック化し、 各セルに処置を均等配置する設計に近い。
k 因子・2 水準のフルファクトリアルでは 2^k 実験が必要。 たとえば 7 因子で 128 実験。 一部実施法は半分・四分の一などの直交部分集合で実験を組み、 主効果と低次交互作用を効率的に推定する。 高次交互作用 (3 次以上) はほぼ無視できるという経験則 (sparsity-of-effects principle) に基づく。 実務では 1/2 実施 (resolution V) で主効果と 2 次交互作用を分離するのが定番。
処理因子の最適点を探索する手法。 初期は線形モデルで方向を探索 (steepest ascent)、 最適点近くで 2 次モデル (中心複合計画 CCD やボックス・ベンケン計画 BBD) に切り替える。 化学プロセスの収率最大化、 機械学習のハイパーパラメータ調整 (例: 学習率と batch size の組み合わせ最適化) など、 連続因子に対する最適化に有効。
製造業で広く採用された DOE 派生手法。 制御因子と雑音因子を分け、 SN 比 (signal-to-noise ratio) を最大化する処方を探索する。 「ロバスト性」を重視するため、 工程変動に強い製品設計に向く。 直交表 (L8, L16, L18, L27 など) を使うのが特徴。 統計学者の間では雑音因子の扱いに議論があるが、 実務での簡便さで広く使われ続けている。
一部実施法では、 主効果と高次交互作用が「同じ列」に割り当てられて区別不可能になる現象を aliasing (またはエイリアシング、 交絡) と呼ぶ。 resolution V 以上なら 2 次交互作用までは安全、 resolution III では主効果すら 2 次交互作用と aliasing する。 設計時にどの効果が aliasing するかを把握しておかないと、 結果の解釈で混乱する。
DOE では実験前に「効果サイズ・検出力 (1−β)・有意水準 (α)」から必要サンプルサイズを計算する (power analysis)。 t 検定なら効果量 d=0.5, 検出力 0.8, α=0.05 で各群 64 件が目安。 Cohen の本 (Statistical Power Analysis) や R の pwr パッケージで計算可能。 サンプル数が足りない実験は「やる前に失敗が確定している」ので、 必ず事前に検出力分析を実施する。
2 因子の交互作用は、 1 つの軸に因子 A の水準、 異なる線で因子 B の水準を示すプロットで可視化する。 線が並行なら交互作用なし (主効果のみ)、 交差していれば強い交互作用、 角度がついていれば中程度の交互作用。 SSDSE で「政策タイプ × 人口クラス」の交互作用を見るとき、 「政策 A は人口大県では効果あり、 小県では逆効果」のような交差パターンが現れたら交互作用ありと判定する。
DOE の標準的解析は ANOVA テーブル。 各因子・交互作用・誤差の自由度・平方和・平均平方・F 値・p 値を列に並べる。 F 値は「処置効果の分散 / 誤差分散」で、 大きいほど処置効果が誤差に対して優位。 p 値が α (通常 0.05) を下回れば「統計的に有意」と判定するが、 効果サイズ (η²、 ω²) も併記して実務的な大きさを評価する。
近年は頻度論的 DOE に加えて、 ベイズ流の D-optimal 設計や、 結果を逐次反映するベイズ最適化 (BO) が普及。 BO は「次の実験点を期待改善 (EI) で選ぶ」ので、 高コスト実験 (生化学アッセイ、 機械学習ハイパーパラメータ調整) に向く。 GPyOpt, Optuna, scikit-optimize などのライブラリで実装可能。
Web の A/B テストは DOE の特殊形 (1 因子 2 水準、 大規模 n)。 ユーザー単位でランダム割り当てし、 コンバージョン率を比較する。 ただし「同一ユーザーが複数バリエーションを見る (cross-over)」や「ユーザー間でネットワーク効果がある」場合は単純な DOE では扱えず、 クラスター無作為化や合成統制法 (synthetic control) を併用する。
SSDSE-B-2026 では実際の実験は実施できないが、 シミュレーション的に「仮想的に政策を割り当てた場合の結果」を作って DOE 解析の練習ができる。 たとえば 47 県を 3 政策にランダム割り当て、 真の効果を「政策 A: −1.0%、 B: −0.5%、 C: 0%」と仮定して人口減少率を生成、 ANOVA で効果が検出できるか試す。 サンプル数が少ないため検出力が低く、 「実験が小さすぎる」という体験ができる。
DoE.base, FrF2, rsm, agricolae, pwrpyDOE2, statsmodels, scipy.stats, scikit-optimizeDOE は単なる「実験のやり方」ではなく、 因果推論のための統計的設計言語。 SSDSE のような観察データの分析に偏りがちな現代でも、 DOE の発想 (ランダム化・反復・ブロック化・直交化) を理解しておくと、 観察データの限界と適用範囲を正しく評価できる。 RCT が原理的に最も強力だが、 倫理・コストの制約がある現場では、 観察データに対して傾向スコア・操作変数・差分の差分などの準実験的手法を補完的に使う。 これらの手法も DOE の原則を出発点に派生していることを意識すれば、 因果推論の全体像を統一的に理解できる。
製造業の DOE では「平均を目標値に近づける」と同時に「分散を最小化する」ことが重要になる。 工程能力指数 Cp = (USL − LSL) / (6σ) や Cpk = min((USL−μ)/(3σ), (μ−LSL)/(3σ)) は、 仕様幅に対する工程変動の余裕を示す指標。 DOE で最適水準を見つけたあと、 Cp/Cpk を計算して工程能力を評価する流れが標準。 Cp ≥ 1.33 が業界の最低ライン、 Cp ≥ 1.67 が望ましいとされる。 田口メソッドの SN 比最大化は、 結果的に Cp/Cpk の改善に直結する。 SSDSE では工程データは扱わないが、 都道府県別の人口推移分散を「工程変動」と見立てれば類比的に考察できる。
実務の DOE では「収率最大かつコスト最小」のように複数の応答を同時に最適化する必要がある。 多目的最適化では「ある目的を改善するともう一つが悪化する」トレードオフが発生し、 これ以上どの目的も他を犠牲にせず改善できない解集合を Pareto frontier (パレートフロンティア) と呼ぶ。 DOE と組み合わせると、 因子配置から得られた応答を Pareto 平面にプロットして、 意思決定者がトレードオフを直感的に判断できる。 望ましさ関数 (desirability function) で複数応答を 1 つのスカラに統合する方法も標準的。
古典的 DOE は「実験前に全配置を決める」が、 適応的実験計画 (sequential design) は「途中結果を見て次の実験点を決める」。 機械学習との融合領域として、 ガウス過程回帰 + 期待改善 (EI) や Thompson sampling に基づくベイズ最適化 (BO) が主流。 ハイパーパラメータ調整 (例: XGBoost の learning_rate, max_depth, n_estimators の同時最適化) で、 Optuna や Ray Tune が広く使われる。 これは「DOE の動的延長」とも見なせ、 高コスト評価関数 (1 試行 = 1 時間学習) で威力を発揮する。 SSDSE-B-2026 の県別予測モデルでも、 適切なハイパーパラメータ探索に BO を使うと、 グリッドサーチより少ない試行で同等性能を達成できる。
Judea Pearl の因果推論フレームワーク (do-calculus と有向非巡回グラフ DAG) は、 DOE で当たり前に行う「介入 (intervention)」を観察データに対しても定式化する試み。 do(X = x) という演算子で「X を強制的に x にする」という介入を表し、 観察分布 P(Y|X) と区別する。 DAG で因果構造を仮定すれば、 観察データから因果効果を推定できる場合がある (back-door 基準, front-door 基準)。 ただし DAG が誤っていれば結論も誤る。 DOE は DAG に依存せず純粋にランダム化に頼るので、 因果推論の「ゴールドスタンダード」と位置付けられる。 SSDSE のような観察データで因果効果を主張するときは、 DAG の妥当性と感度分析を必ず行う。
RCT を含む DOE を人や動物を対象に行う場合、 倫理委員会 (IRB: Institutional Review Board) の承認が必須。 インフォームドコンセント、 リスク・利益の評価、 個人情報保護 (GDPR, HIPAA, 個人情報保護法) を遵守する必要がある。 報告段階では CONSORT (Consolidated Standards of Reporting Trials) 声明に従い、 ランダム化の方法、 盲検化、 脱落者、 副次的アウトカム等を漏れなく開示する。 観察研究では STROBE (Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology) 声明が対応する。 SSDSE の二次利用でも、 利用規約と統計法 (公的統計データの目的外利用制限) を遵守する。 倫理と統計設計は表裏一体で、 「統計的に有意」だけでは社会的に正当化できない。
DOE の体系化は 1920 年代の R. A. Fisher による農業実験 (Rothamsted 実験場) に始まる。 Fisher は『The Design of Experiments』(1935) でランダム化・反復・ブロック化を明文化し、 ANOVA を発明した。 1940 年代に F. Yates が直交分割表を発展、 1950 年代に G. E. P. Box が応答曲面法 (RSM) を提案、 同時期に田口玄一が日本で品質工学を体系化。 1980 年代以降は計算機の発達でコンピュータ実験 (ラテン超方格 LHS) や Kriging が普及、 2010 年代以降はベイズ最適化と機械学習の融合が進む。 100 年の歴史を通じて「実験を効率化し因果を確実に推定する」目的は一貫している。
2010 年代以降、 心理学・医学・経済学などで「公開された結果が再現しない」再現性危機が指摘された。 主な原因は、 サンプル数不足、 p-hacking、 publication bias、 事前登録 (preregistration) の欠如など、 まさに DOE 原則の軽視。 OSF (Open Science Framework) では事前登録プラットフォームが整備され、 仮説と解析手順を実験前に登録する文化が広がりつつある。 DOE を学ぶことは、 単に技法を身につけるだけでなく、 科学全体の信頼性を守る姿勢を学ぶことでもある。 SSDSE の分析でも、 解析手順を Notebook に明文化し、 git で版管理することで個人レベルの再現性を担保できる。
同じ被験者に複数の処置を順に適用する設計を反復測定計画と呼ぶ。 被験者間変動を除去できるので統計検出力が高い反面、 持ち越し効果 (carry-over effect) や順序効果 (order effect) のリスクがある。 これを軽減するために処置順序をランダム化する「クロスオーバー計画」や、 各被験者が複数水準を均等に体験する「ラテン方格」が組み合わされる。 解析は反復測定 ANOVA や混合効果モデル (mixed-effect model) を用い、 被験者を変量効果として扱う。 SSDSE の都道府県データを「同じ県を 5 年間追跡する」と捉えれば反復測定の枠組みで分析できる。
因子の中に「変えるのが難しい因子」と「変えやすい因子」がある場合に使う設計。 難しい因子を「主区 (whole plot)」、 容易な因子を「副区 (sub plot)」に置き、 主区内で副区因子をランダム化する。 例として「炉の温度 (難しい)」と「触媒の種類 (簡単)」を組み合わせる化学実験。 統計モデルは「主区誤差」と「副区誤差」を別々に持ち、 主効果と交互作用の F 検定で使う誤差項が異なる。 これを誤って単純 ANOVA で解析すると、 主区因子の有意性が過大評価される。
DOE で「処置群間で初期値にばらつきがある」場合、 初期値を共変量として ANOVA モデルに組み込むのが ANCOVA (analysis of covariance)。 たとえば「政策実施前の人口減少率」を共変量にすれば、 処置効果の推定精度が上がる。 ANCOVA の前提は「共変量と処置の交互作用がない (回帰直線の傾きが処置群間で平行)」こと。 これが満たされない場合は、 サブグループ別に分析するか、 階層モデルを使う。 観察研究で交絡を調整する手段として ANCOVA は強力だが、 未測定の交絡が残るリスクは消えない。
ANOVA で「全体に差がある」と判定しても、 具体的にどの水準間に差があるかは別途検定が必要。 これをポストホック検定と呼ぶ。 代表例は Tukey の HSD (Honestly Significant Difference)、 Bonferroni 補正、 Holm 補正、 Dunnett (対照群比較)、 Scheffé (任意の線形比較) など。 補正なしで複数比較すると、 Family-wise error rate (家族水準誤差率) が大幅に膨らみ、 偶然の有意差を量産する。 SSDSE で 47 県の総当たり比較 (47C2 = 1,081 比較) を補正なしで行えば、 偽陽性が 50 件以上発生し得る。 必ず補正を施す。
RSM (応答曲面法) では、 因子と応答の関係を低次多項式 (1 次・2 次) で近似する。 直交多項式 (orthogonal polynomial) は、 多項式の各次数項が直交するよう構築されており、 係数推定が独立で解釈しやすい。 中心複合計画 (CCD) はこの直交性を保ちつつ実験数を抑える設計。 ボックス・ベンケン計画 (BBD) は CCD より実験数が少なく、 端点を使わないので実装が容易。 さらに混合計画 (mixture design) は「割合の合計が 1 になる」制約下での最適化に使われ、 化粧品・食品・医薬品の処方設計で標準的。
Python の statsmodels.stats.power や R の pwr パッケージを使えば、 効果サイズ・有意水準・サンプル数のいずれか 1 つを未知数として残し、 他 2 つから計算できる。 たとえば 3 群比較 ANOVA で効果量 f=0.25 (中程度)、 α=0.05、 検出力 0.80 を目指す場合、 各群約 53 件、 合計 159 件が必要。 SSDSE-B-2026 は 47 県しかないため、 3 群比較 ANOVA で中程度効果を検出するには不足する。 これは「観察データの限界」の数値的根拠であり、 実験デザインの段階で気づくべき重要事項。
田口メソッドでは「望大特性 (大きいほど良い)」「望小特性 (小さいほど良い)」「望目特性 (目標値に近いほど良い)」を静特性と呼ぶ。 これに対して「入力信号に対する出力応答の線形性・感度」を扱うのが動特性。 たとえば自動車のステアリング応答は動特性に相当し、 入力角度に対する車輪角度の比例関係を高く保ちつつばらつきを抑える設計が望まれる。 SN 比の定義式は特性ごとに異なり、 望大は -10 log(Σ 1/y²)、 望小は -10 log(Σ y²)、 望目は 10 log(μ²/σ²) となる。
個人ではなくクラスター単位 (学校、 病院、 自治体) でランダム化する試験。 教育介入や公衆衛生介入で、 個人単位の割り当てが汚染 (contamination) を生むときに用いる。 例として「学校単位で新教育プログラムを実施し、 児童の学力を比較する」設計。 統計解析では「同じクラスター内の個人は類似する」相関構造を考慮する必要があり、 内クラス相関係数 (ICC) を用いて実効サンプルサイズを補正する。 SSDSE-B-2026 を「県をクラスターと見なす」設計に相当する。
すべてのクラスターに最終的には介入を実施するが、 開始時期を段階的にずらす設計。 各クラスターは「介入前」と「介入後」の両方を経験し、 自己対照を提供する。 倫理的に「介入を受けない群」を作るのが難しい公衆衛生・教育の文脈で使われる。 解析は混合効果モデルで時間効果とクラスター効果を分離する。 SSDSE 的には「47 県に順次政策を導入し、 各県を導入前後で比較する」設計に相当する。
試験途中の中間解析結果に基づき、 サンプル数・群分け・処置内容を変更できる設計。 ベイズ流アプローチが多く、 効果が明らかに優れた処置に被験者を優先割り当てする (response-adaptive randomization)。 がん免疫療法の早期試験 (basket trial, umbrella trial) で広く使われ、 患者数を抑えつつ有望候補を絞り込める。 統計的検出力を保つために「事前計画」と「中間解析の停止規則」を厳密に文書化する必要がある。
Web プロダクトの A/B テストは「数百万 n × 数秒のレスポンス」というデジタル DOE。 Facebook, Netflix, Google などは独自プラットフォーム上で常時数百件の実験を並行運用する。 同一ユーザーに複数実験が割り当てられる場合、 「実験間の交互作用」が問題になり、 実験を直交化する仕組み (Google の Overlapping Experiment Infrastructure) が必要。 さらに「指標選定の罠 (Goodhart の法則)」「短期 vs 長期指標」「Novelty effect」など、 デジタル特有の落とし穴がある。
観察データで「処置群と対照群の特性が偏っている」場合、 傾向スコア (propensity score) を使ってバランスを取る。 ロジスティック回帰で「処置を受ける確率」を推定し、 スコアが近い処置/対照をマッチングするか、 逆数で重み付け (IPW) する。 ランダム化の代替として完璧ではないが、 未測定交絡がなければ近似的に DOE と同等の推論が可能。 SSDSE-B-2026 で「政策実施県と未実施県を傾向スコアでマッチング」する想定演習が有効。
傾向スコアでは扱えない未測定交絡を排除する手段として、 操作変数法 (Instrumental Variables) と差分の差分 (Difference-in-Differences, DID) がある。 操作変数は「処置に影響するが、 結果に直接影響しない外生変数」を使う (例: 抽選結果)。 DID は「介入群と対照群の時間トレンド差」から効果を推定する。 これらは観察研究のための準実験的手法だが、 DOE の発想 (因果の同定可能性) なしには理解できない。 SSDSE のような時系列パネルデータでは DID が応用可能。
製薬・食品・化学業界では、 DOE の実施手順を SOP (Standard Operating Procedure) として文書化し、 内部監査で遵守状況を確認する。 GxP (GLP/GMP/GCP) 規制下では、 ランダム化記録、 raw data の保管、 変更履歴の追跡が義務付けられ、 統計担当者・実験担当者・監査者の役割分担を明確化する。 FDA や PMDA の査察ではこれらが確認され、 不備があれば承認申請が遅延・拒否される。 アカデミアでも、 国際共同治験では同水準の品質管理が要求される。
近年は研究の透明性向上のため、 事前登録 (preregistration)、 raw data 公開、 解析コード公開が推奨される。 Registered Reports という出版形式では、 結果が出る前に査読を通過させ、 結果の有無を問わず掲載する。 これにより publication bias が解消され、 メタ分析の信頼性が高まる。 SSDSE のような公的データを使う研究では、 Notebook を GitHub で公開し、 BinderHub や Google Colab で再実行可能にすることで、 個人レベルでオープンサイエンスを実践できる。
物理シミュレーション (CFD, FEM) や機械学習モデル評価のように、 確率的誤差がなく決定論的な「実験」を計算機実験と呼ぶ。 古典的 DOE と異なり「反復は意味なし (同じ入力で同じ出力)」「ランダム化不要」のため、 空間充填計画 (Latin Hypercube Sampling, Sobol 列) を使って入力空間を均等カバーする。 結果はガウス過程 (Kriging) でメタモデル化し、 最適化や感度分析に使う。 自動車衝突シミュレーション、 気候モデル、 ハイパーパラメータ探索など、 高コストシミュレーション最適化で広く使われる。
DOE の結果から「どの因子が出力に最も寄与しているか」を定量化するのが感度分析。 主な手法は (1) 偏微分による局所感度、 (2) 1 因子ずつ動かす OAT (One-At-a-Time)、 (3) 分散ベース手法 (Sobol 指標) がある。 Sobol の第 1 次指標 S_i は「因子 i 単独の寄与」、 全効果指標 S_Ti は「因子 i を含むすべての項の寄与」を表す。 これらは多重交互作用も含めて分解できるため、 因子数が多い複雑系の解析に強力。 Python の SALib ライブラリで実装可能。
複数の RCT 結果を統合するのがメタ分析。 効果量を共通指標 (Cohen's d, log odds ratio) に変換し、 サンプルサイズ重み付き平均で総合効果を推定する。 異質性 (heterogeneity) は I² 統計量で評価し、 高ければランダム効果モデルを使う。 エビデンスピラミッドでは「メタ分析 > 系統的レビュー > RCT > コホート > 症例対照 > 症例報告 > 専門家意見」の順に強度が並ぶ。 DOE で得られる RCT 結果は、 メタ分析の素材として後年も活用されるため、 単一試験でも完全な報告が求められる。
初学者は (1) ANOVA の基礎、 (2) 1 因子 CRD・RBD、 (3) 2 因子フルファクトリアル、 (4) 一部実施法、 (5) 応答曲面法、 (6) 田口メソッド、 (7) 計算機実験・ベイズ最適化、 の順で学ぶと無理がない。 Montgomery の教科書は (1)-(5) を網羅、 Box-Hunter-Hunter は (5) 中心、 田口メソッドは奥野・芳賀の和書が定番。 適応的・ベイズ系は近年のオンラインコース (Coursera, edX) や論文 (Frazier, 2018, "A Tutorial on Bayesian Optimization") が分かりやすい。 SSDSE のような公開データで仮想実験を組み立てる演習を併用すると、 単なる暗記でなく実践的理解が身につく。
機械学習ハイパーパラメータ調整、 材料探索、 創薬などで「実験コストが高い」場合のベイズ最適化が広く採用されている。 Gaussian Process surrogate model で目的関数を近似し、 expected improvement (EI), upper confidence bound (UCB) などの acquisition function で次の実験点を選ぶ。 古典的 DOE が事前に全実験点を決めるのに対し、 BO は逐次的に実験点を更新する適応型。 GPyOpt, scikit-optimize, Optuna, BoTorch で実装可能。
新薬承認の臨床試験で、 中間解析の結果に応じて (1) 用量変更、 (2) サンプル数増減、 (3) 早期終了、 (4) 患者集団絞り込み を行う設計。 古典的 RCT より柔軟だが、 多重比較問題と仮説検定の頑健性が課題。 FDA は 2019 年に Adaptive Designs ガイダンスを発表、 承認実績が増加中。 平均的に従来 RCT の 60-70% のサンプル数で済む利点がある。
物理シミュレーション (CFD, FEM, 分子動力学) でも DOE が必要。 通常の DOE と異なり、 (1) ノイズなし (決定論的)、 (2) 高コスト (1 回 数時間-数日)、 (3) 高次元 (10-100 因子) という特徴。 Latin Hypercube Sampling (LHS), Sobol sequence, Halton sequence などの quasi-Monte Carlo sampling が定番。 surrogate model (Gaussian Process, neural network) で高速化する。
RCT は因果推論の gold standard。 観察データから因果効果を推定する手法 (傾向スコア、 操作変数、 差分の差分、 合成統制) は、 RCT が不可能な状況での近似。 SSDSE-B-2026 のような観察データでは: (1) 政策実施の自然実験を活用、 (2) propensity score matching で交絡を制御、 (3) instrumental variable で内生性に対処、 (4) regression discontinuity で閾値前後を比較。 Pearl の do-calculus でこれらを統一的に記述。
Web A/B テストは DOE の特殊形だが、 (1) 多腕バンディット問題で early-stop、 (2) Sequential testing で多重比較補正、 (3) Interaction effect (UI 要素間の相互作用) で多変量テスト、 (4) Network effect (ユーザー間の影響) でクラスター無作為化、 などの高度な手法が発展。 Optimizely, Google Optimize, AWS CloudWatch Evidently で実装。
製品が「使用環境の変動に対して頑健」であるよう設計するアプローチ。 制御因子と雑音因子を分け、 SN 比 (signal-to-noise ratio) を最大化する。 自動車・電子機器の信頼性設計で広く採用。 現代では Robust Bayesian Optimization が研究進展中。 ノイズに頑健な機械学習モデル (adversarial training) とも概念的に類似。
製薬・食品業界で品質保証のために DOE が必須。 FDA の Process Analytical Technology (PAT) イニシアチブ、 ICH Q8 (Pharmaceutical Development), Q9 (Quality Risk Management), Q10 (Pharmaceutical Quality System) で DOE の役割が明文化。 Design Space (許容範囲) の確立、 Critical Quality Attribute (CQA) の同定が中心テーマ。
「47 都道府県に 4 段階の政策強度 (なし/弱/中/強) をランダム割り当てし、 5 年後の人口減少率を観察する」と仮想する。 (1) 完全無作為化計画 (CRD) で各群約 12 県、 (2) Stratified randomization で「人口大・中・小」3 層内でバランス、 (3) one-way ANOVA で主効果検定、 (4) Tukey HSD で対比較、 (5) 効果サイズ (η²) と 95% 信頼区間で報告。 実際の SSDSE データではこのような介入はないが、 思考実験として因果推論を学べる。
大規模 web サービスでは 100-1000 並列 A/B テストが日常的。 多重比較問題と相互作用効果を考慮し、 Bonferroni 補正、 FDR (False Discovery Rate) 制御、 Multi-armed Bandit、 Contextual Bandit などの統計手法を組み合わせる。 Meta, Google, Microsoft, Netflix が公開している A/B テストプラットフォームのアーキテクチャを学ぶと、 DOE の現代的実践が見える。
2020 年代に入り、 強化学習で実験計画を自動最適化する研究が増加。 Bayesian Optimization の進化系として、 deep RL agent が「次の実験で何を変えるか」を学習する。 化学合成、 ロボット制御、 量子コンピュータ調整などの分野で実装例。 「自律実験ラボ」(Self-driving Lab) は MIT, Toronto, Liverpool などで実現しつつある。
実務 DOE では、 目的が単一でないことが多い。 「強度を上げると重量も増える」「価格を下げると品質も落ちる」など、 複数目的の間にトレードオフが存在する。 多目的ベイズ最適化 (multi-objective BO) では Pareto front (どの軸も劣化させずに他軸を改善できない点の集合) を探索する。 Expected Hypervolume Improvement (EHVI) が代表的 acquisition function。 BoTorch, pymoo, Optuna で実装可能。 自動車設計 (燃費 vs 価格 vs 安全性), 半導体設計 (速度 vs 消費電力 vs 面積) で活用例が多数。
実験には物理的・予算的制約がある。 「温度 100-200℃」「圧力 1-10 atm」のような box constraint だけでなく、 「温度 + 2×圧力 ≤ 300」のような linear constraint, さらに「実験 1 回あたりの実行時間 ≤ 1 時間」のような implicit constraint もある。 Constrained BO では制約違反確率を Gaussian Process で別途学習し、 acquisition function に組み込む。 安全性が重要な物理実験 (高温・高圧・有害物質) では Safe BO が研究されている。
過去の類似実験データを活用して新規実験を効率化する。 例: ある合金の最適組成探索結果を、 関連合金の最適化に応用。 multi-task Gaussian Process, hierarchical Bayesian model, meta-learning などが活用される。 「同じデータを 2 回取らない」という意味で、 環境負荷削減・実験コスト削減に貢献。 製薬の lead compound 最適化、 材料情報学 (materials informatics) で実装例が増えている。
製造ライン・都市・人体などの「デジタルツイン」上で仮想実験を実施し、 実機実験前にスクリーニング。 (1) 仮想 DOE で promising な実験点を絞り込み、 (2) 実機 DOE で確認、 という 2 段階アプローチが標準化しつつある。 SSDSE-B-2026 のような社会データから「自治体デジタルツイン」を構築し、 政策効果を仮想実験する研究も進展中 (Singapore, Helsinki, 横浜が先進事例)。
無作為化は強力な統計手法だが、 倫理的考慮が必須。 (1) RCT の被験者には informed consent が必要、 (2) プラセボ対照の倫理性 (既存治療がある場合は equipoise が崩れる), (3) 早期に効果が確認されたら data safety monitoring board が中間停止を判断、 (4) 社会実験では vulnerable population への影響評価、 (5) AI/ML での A/B テストも user well-being への影響評価が要求される (例: SNS の心理影響実験で社会問題化)。 Belmont report の 3 原則 (respect, beneficence, justice) を踏まえた実験設計が必要。
再現性危機 (replication crisis) への対応として、 実験プロトコル・解析計画の事前登録 (preregistration) が広がっている。 ClinicalTrials.gov (医療), AsPredicted (心理学・経済学), Open Science Framework が代表的レジストリ。 事前登録により p-hacking, HARKing (Hypothesizing After Results are Known), garden of forking paths などの問題を防ぐ。 DOE の核心である「仮説 → 実験 → 検証」のプロセスを transparent にする現代的アプローチ。
機械学習モデルのハイパーパラメータ調整は本質的に DOE 問題。 AutoML (Auto-sklearn, AutoGluon, TPOT, H2O AutoML) は (1) random search, (2) grid search, (3) Bayesian Optimization, (4) Population-Based Training (PBT), (5) Hyperband, (6) BOHB (Bayesian Optimization + Hyperband) などを内部で使用。 NAS (Neural Architecture Search) はさらに大規模な DOE で、 reinforcement learning, evolutionary algorithm, differentiable architecture search (DARTS) で探索する。
自動車 (IATF 16949), 航空 (AS9100), 製薬 (ICH Q シリーズ), 食品 (HACCP), 半導体 (SEMI standards) など、 業界ごとに DOE の運用基準が標準化されている。 Six Sigma (DMAIC 手法), Lean Six Sigma の Black Belt 認証では、 (1) screening DOE (2^k-p), (2) factorial DOE (2^k), (3) response surface (CCD, Box-Behnken) の 3 段階を必須履修内容とする。 ISO 16269-7 (統計的解釈 — DOE) も国際標準。
大学初年級では (1) コーヒー抽出 (温度・時間・湯量の効果), (2) 紙ヘリコプター飛行時間 (Box の有名な例題), (3) 植物発芽率 (光・水・温度) などの身近な実験で DOE を体験。 中等教育では総合学習で「ロボットの最適パラメータ」「お菓子の最適レシピ」などを扱う事例も。 SSDSE-B-2026 のような実データを使った思考実験 (「もし 47 県で介入したら」) は、 物理実験ができない社会科学・教育分野での DOE 学習に最適。
DOE は 100 年以上の歴史を持つ統計手法だが、 ベイズ最適化、 適応的試験、 計算機実験、 大規模並列 A/B テストなど、 現代の応用で活発に進化している。 多目的最適化、 制約付き DOE, 転移学習、 デジタルツイン、 AutoML, 事前登録、 倫理配慮など、 単なる「実験計画」を超えた総合科学技術に発展。 SSDSE-B-2026 のような実データを使った思考実験と、 これら高度手法の概念理解を組み合わせれば、 「因果推論時代のデータサイエンス」の中核を担うスキルが身につく。 Fisher の Rothamsted 実験場での農業実験から始まった DOE が、 今や AI・量子・宇宙開発まで支える基盤技術となっている事実は、 統計学が応用科学の女王であることを雄弁に物語っている。
2 因子 A・B を各 2 水準(コード値 −1 / +1)で振る 2×2 要因配置($2^2$ 計画)のシミュレータ。 スライダーで「真の」全体平均・主効果・交互作用を設定すると、 4 条件の応答 $y$ と交互作用プロットがリアルタイムに更新される。 応答モデルは $y = \mu + \tfrac{A}{2}x_A + \tfrac{B}{2}x_B + \tfrac{AB}{2}x_A x_B$($x_A, x_B \in \{-1,+1\}$)。 グラフ上の 4 点は直接ドラッグ(タッチ対応)しても動かせる — その場合はスライダー側が逆算されて追従する。
交互作用プロット判定: 2 本の線は平行 → 交互作用なし
| 実験 | A | B | A×B | 応答 y |
|---|---|---|---|---|
| 1 | −1 | −1 | +1 | — |
| 2 | +1 | −1 | −1 | — |
| 3 | −1 | +1 | −1 | — |
| 4 | +1 | +1 | +1 | — |
🧪 試すこと: ① 交互作用を 0 のまま A・B を動かす → 2 本の線は平行のまま上下・傾きだけ変化。 ② 交互作用を +10 や −10 にする → 線が非平行になり、 OFAT の推定が真値から系統的にずれる(ずれ幅はちょうど −A×B)。 ③ 交互作用を大きな正にする → OFAT は実験 4 (+1,+1) を試さないため最良条件を見逃すことがある。
要因配置の核心は直交性。 上の表の A 列・B 列・A×B 列は互いに直交する ±1 の符号列で、 各効果は「符号を掛けて平均する」だけで他の効果と混ざらずに取り出せる。 しかも 4 回の実験すべてが A の推定にも B の推定にも使われる(隠れた反復)。 誤差がある場合、 要因配置の効果推定は「2 個の差の平均」なので、 OFAT の「1 個の差」より分散が半分 — 同じ精度を OFAT で得るには各点 2 反復(計 6 回以上)が必要になる。 少ない実験で多くを知るという DoE の標語はこの構造から来ている。
「実験計画法」を中心とした概念関係図 (実線=直接関連、 破線=対比関係):
中心の「実験計画法」から放射状に関連概念を配置。 実線は『包含・前提・並列』、 破線は『対比・差分』。 各ノードを順に学ぶことで「実験計画法」の文脈を立体的に把握できる。
実験計画法で使う代表的図表 5 種:
| 図表名 | 読み方 |
|---|---|
| 主効果プロット | 各因子水準の応答平均をプロット。 傾きの大きさが効果の強さ。 |
| 交互作用プロット | 2 因子の組合せ平均を線で結ぶ。 線が平行 → 交互作用なし。 |
| パレート図 | 効果量の絶対値を降順表示。 重要因子の選別。 |
| 残差プロット | 予測値 vs 残差。 ランダム散布 → モデル妥当。 |
| 応答曲面 (3D) | 2 因子の組合せに対する応答の地形。 ピークが最適点。 |
「実験計画法」を学ぶための必読 10 件:
「実験計画法」の歴史的展開:
実験計画法は単独の手法ではなく、 仮説定義 → 要因水準設計 → ランダム化 → 分散分析 → 効果量推定 という一連の流れの設計図である。 観察研究との対比、 RCT や DID との連携を意識して中核に据える。
実験計画法は「最小回数で因果を切り出す」設計法で、 上流の研究課題定義と仮説で要因と水準を決め、 並列で完全実施・直交表・応答曲面のどの枠組みを採るかを選び、 下流の分散分析・効果量推定で結論まで運ぶ。
「実験計画法」を扱う際の手法選択は、 状況に応じて以下のフローで判断すると迷いが減る。
このフローに沿って判断することで、 「実験計画法」を中核とした適切な手法選択ができる。
実験計画法 (DOE) の直感は「できるだけ少ない試行で、 知りたい因果効果を混ざりなく取り出す」ことに尽きる。 ただデータを集めるだけでは、 見たい要因の効果が他の要因と重なって (交絡して) 分離できない。 そこであらかじめ試行の割り当て方を決めておくのが「設計 (design)」である。
観察データとの対比 (実データ): DOE は本来「実験」だが、 対比として観察データ SSDSE-B-2026 (2023 年・47 都道府県) で出生率 (= A4101/A1101×1000) を 8 地方ブロックに束ね一元配置 ANOVA にかけると、 F=6.289, p=0.0001 でブロック差は有意 (最低=秋田県 3.95、 最高=沖縄県 8.55、 全国平均 5.73)。 ただしこれは無作為割り当てのない観察であり、 地方差の背後には所得・年齢構成などの交絡が残る。 DOE ならブロック化と無作為化でこの交絡を設計段階で断てる、 という点が「観察」と「実験」の決定的な違いである。
| 落とし穴 | 何が起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| 交絡 (要因の重なり) | 調べたい要因の効果が別要因と分離不能になる | 無作為化・ブロック化と交絡要因の事前列挙 |
| 交互作用の見落とし | 主効果だけ見て「相加的」と誤解する | 交互作用項をモデルに含めANOVAで検定 |
| 標本サイズ / 検出力不足 | 真の効果を有意にできない (第二種の誤り) | 事前に検出力分析・標本サイズ設計 |
| 無作為化の欠如 | 割り当ての偏りが効果に化ける (選択バイアス) | ランダム割り当てを徹底し順序も無作為化 |
| OFAT (一度に 1 要因) | 試行数が多い割に交互作用を取れず精度も低い | 要因配置 (factorial) に切り替える |
| 部分実施の交絡構造 | 主効果と交互作用が別名 (alias) で重なる | 分解能 (resolution) を確認して設計を選ぶ |
| 外部妥当性の過信 | 実験室の結果が現場で再現しない | 現場に近い水準・母集団で対照付き確認実験 |
2 要因 A・B を各 2 水準で調べる場面を考える (架空の教材例)。 OFAT では「基準条件 → A だけ変える → B だけ変える」で 3 試行だが、 A の効果を B の 1 水準でしか測れず、 交互作用は原理的に取れない。 一方、 完全要因配置 $2^2=4$ 試行なら、 主効果を相手要因の両水準で平均して推定できるため精度が高く、 しかも交互作用まで得られる。 「一度に 1 つずつ」は一見丁寧だが、 試行あたりの情報量で要因配置に劣るのが DOE の重要な教訓である。
$2^{k-p}$ 一部実施計画は試行数を $2^{-p}$ 倍に減らせるが、 その代償として複数の効果が同じ列に重なる (alias 構造)。 例えば分解能 III の設計では主効果と 2 因子交互作用が別名になり、 「A の効果」と見えたものが実は「B×C の交互作用」かもしれない。 スクリーニング段階では主効果重視で許容し、 重要因子を絞ってから高分解能・完全実施へ進む逐次的な戦略が定石である。
観察データの限界: 上の直感節で見た地方ブロック差 (p=0.0001) は「地方が出生率の原因」を意味しない。 無作為化がないため、 見かけの関連は交絡由来の見せかけの相関でありうる。 観察から因果を近似するには自然実験・差分の差分法 (DID)・回帰不連続 (RDD) など準実験的な設計が要る。 DOE はこれを「最初から無作為化で設計する」ことで根本解決する。
| 設計 | 狙い | 特徴・使いどころ |
|---|---|---|
| 完全要因計画 $2^k$ | 全主効果 + 全交互作用 | 因子少数で厳密。 $k$ 増で指数爆発 |
| 部分要因計画 $2^{k-p}$ | 試行削減しつつ主効果推定 | スクリーニング。 alias 構造に注意 |
| 直交表 (田口 / Taguchi) | 因子数 ≫ 試行数で頑健設計 | $L_8, L_{18}$ 等。 SN 比でロバスト化 |
| 応答曲面法 (RSM) | 連続水準で最適点を探す | 2 次モデル。 CCD・Box-Behnken |
| 最適計画 (D 最適など) | 制約下で情報量最大化 | 不規則な実験領域・混合水準に強い |
| 逐次実験 | 結果を見て次点を決める | ベイズ最適化・能動学習の源流 |
DOE の解析中枢は分散分析 (ANOVA)で、 全変動を主効果・交互作用・ブロック・残差の平方和に分解する。 ブロック化はブロック変動を残差から抜き出して検出力を高める一方、 部分実施ではブロックと高次交互作用を意図的に「交絡 (confounding)」させて試行数を節約する高度な手法もある。 複数水準を比べたあとは多重比較 (Tukey HSD 等) で対ごとの差を、 効果量 ($\eta^2$ 等) で実質的な大きさを併記するのが作法である。
スクリーニングで重要因子を絞ったら、 連続水準で 2 次曲面を当てはめる RSM に進み、 曲面の勾配 (最急上昇法) をたどって最適条件を探す。 ここで2 次項の符号 (凸性) の確認が鉄則 (本ページ RSM 節の📝補足を参照)。 実験領域が箱型でない、 あるいは予算・安全上の制約で点を自由に置けない場合は、 情報行列の行列式を最大化するD 最適計画など最適計画 (optimal design) が有効。 逐次的にモデルを更新しながら次点を選ぶと、 ベイズ最適化・能動学習という現代的な DOE に接続する。
DOE はA/B テスト (1 因子 2 水準の最小形) や仮説検定と連続した設計思想の一部で、 処置群と対照群を無作為化で作る点に本質がある。 無作為割り当てが不可能な現場では、 前掲の自然実験・DID・RDD が代替となる。 関連: 実験データ。 なお統計の因子分析は名称が似るが、 DOE の「要因 (factor)」とは別概念 (潜在変数の抽出) なので混同しないこと。 無作為化 (randomization) の専用ページは未整備のため、 本文の 3 原則の記述で補う。