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事前登録 (Pre-registration) はデータ収集前に仮説・分析計画を OSF/AsPredicted 等で公開して、 p-hacking や HARKing を防ぐ研究手続き。 SSDSE-B-2026 を使う事前登録例として、 「関東と関西の出生率差を t 検定で検証する」計画を、 仮説・有意水準・必要 n・解析コードまで含めて事前に固定する手順を示す。
これらのキーワードは「pre registration の理解 → 適用 → 検証」のプロセスを構成する。 各章で詳しく解説する。
🍰 まずはやさしく
分析の計画を先に保存しておく仕組みです。
結果を見てからルールを変えるのを防ぎます。
テストの前に答えを決めないのと似ています。
事前登録の概要とメリットを学びます。
事前登録は万能ではなく、 批判もあります。 主要な批判と反論を整理:
| 批判 | 反論 |
|---|---|
| 「探索的研究の自由を奪う」 | 事前登録は確認的研究のためのもの。 探索的研究はラベルを付けて自由に行える。 「探索的を確認的に偽装する」ことだけを防ぐ。 |
| 「最初に立てた仮説が間違いと分かったら?」 | 計画変更を明記すれば問題なし。 隠さずに「変更した、 理由は X」と書く。 「完璧な計画」より「誠実な記録」が重要。 |
| 「優れた研究者は分析中の発見を活かしているはず」 | その通り。 ただしその「発見」を 探索的と明示し、 後続研究で確認する。 第三者には「確認的」と「探索的」が区別できる形で報告。 |
| 「事前登録の遵守を誰がチェックするのか?」 | 主に読者・査読者。 第三者が OSF と本文を照合できる。 また Hardwicke & Wagenmakers (2023) のような専門の遵守監査研究も登場。 |
| 「事前登録は研究を遅らせる」 | AsPredicted なら 5 分、 OSF Standard でも 90 分。 分析中の「どの p 値を選ぶか」「どう正当化するか」で悩む時間より遥かに少ない。 |
| 「インセンティブが整っていない」 | これは真の問題。 Registered Reports や Open Science Badges で徐々に改善中だが、 構造改革には時間がかかる。 個人レベルでは「自分の研究の信頼性向上」が直接の利益。 |
Devezer ら(PNAS 2021)は「事前登録だけでは認識論的問題を解決できない」と批判。 計画の 厳密化はノイズを減らすが、 そもそも 仮説の質が低ければ意味がない、 という指摘。
これに対する Nosek ら(2022)の応答:「事前登録は十分条件ではなく 必要条件。 質の高い仮説 + 事前登録 + 適切な分析の組み合わせが重要」。 この議論は現在進行形。
📌 事前登録は 研究の質を即座に上げる最もコストの低い方法の 1 つ。 SSDSE-B-2026 を題材にした最初のレポートから、 ぜひ取り入れてほしい。 関連用語の 再現性危機、 p-hacking、 オープンサイエンス、 メタアナリシス、 効果量、 検出力 も併せて参照すると、 全体像が立体的に見えてくる。
事前登録の固定 N アプローチに対する代替案として 逐次分析(Sequential Analysis)がある。 「データを見ながら N を調整する」が正当化される唯一の方法。
「p < 0.05 になったら停止」を繰り返すと、 真の効果がなくても累積 α は 20% を超える(Armitage 1969)。 これは「コインを振り続けて『表が多い』瞬間でやめる」のと同じトリック。
逐次分析を採用する場合、 事前登録に 停止規則を厳密に書く必要がある:
📌 SSDSE のようにデータが固定の場合、 逐次分析は適用できない。 ただし「年度ごとに追加データが入る」場合は活用可能。 事前登録に「2026 年データ追加時に再分析、 α=0.025」のように明記。
事前登録の発展形として注目されているのが Adversarial Collaboration(敵対的協働、 Kahneman 2003 等)。 対立する仮説を持つ研究者が 共同で事前登録を行う方式。
📌 SSDSE での例:「地方創生政策は効果ある/ない」で意見対立する研究者が共同で、 SSDSE-B-2026 を使った検証計画を OSF に登録。 結果がどちらの結論を支持しても、 双方が事前に納得した手順なので、 受け入れざるを得ない。
事前登録 + データ・コード公開の組み合わせが、 現代的な再現可能研究のセット。 具体的な公開手順:
README.md に再現手順を 5 行で記載requirements.txt(Python)、 environment.yml(conda)でライブラリ固定LICENSE ファイル(MIT, BSD, Apache 2.0 が一般的)CITATION.cff で引用情報を提供(GitHub が自動表示)docker イメージ提供(最も確実)Binder リンク(ブラウザで即実行可能)renv(R)、 poetry(Python)でロックファイル提供論文末尾の "Open Practices Statement" で:
| 展開 | 具体的な動向 |
|---|---|
| AI による事前登録支援 | LLM が研究計画書のテンプレートを生成、 計画と実コードの一致をチェック。 既に Center for Open Science で実装中。 |
| 自動再現性検証 | GitHub Actions と OSF の連携で、 コミット時に自動分析・結果比較。 「再現性 CI/CD」 |
| 機械学習研究への適用 | ハイパーパラメータ、 評価データ、 シード値の事前登録。 NeurIPS Reproducibility Checklist の進化。 |
| 政策研究への普及 | 日本でも EBPM の進展に伴い、 政策評価研究で事前登録が標準化。 自治体 DX で SSDSE 使用時の前提に。 |
| 動的事前登録 | 「計画変更を時系列で記録」する仕組み。 変更履歴自体が透明化される。 |
| 事前登録メタアナリシス | OSF 全体のメタアナリシスを継続的に実施し、 「分野ごとの真の効果量」を更新。 |
| 大学教育の必修化 | 統計教育・データサイエンス教育で事前登録が標準カリキュラムに。 SSDSE を使った演習が国内大学で実装中。 |
事前登録は 哲学的に深い行為です。 研究者は分析の自由度を 事前に放棄することで、 結果に対する読者の信頼を獲得します。 これは「自由」と「信頼」のトレードオフを明示的に管理する技術。
伝統的な研究では研究者は暗黙の自由度を享受していた:データを見ながら手法を選ぶ、 サブグループを切る、 外れ値を除外する、 仮説を変える。 これは個別には合理的でも、 集合的には p-hacking、 HARKing、 garden of forking paths として再現性危機を生んだ。
事前登録はこの 「個別の合理性が集合の不合理を生む」 状況を、 構造的に解決する。 各研究者が自由度を捨てることで、 全体の信頼性が向上する社会的契約。
これは 科学コミュニティの集合的進化の一部です。 個人の天才ではなく、 制度的な透明性によって科学は前進する。 SSDSE-B-2026 という公的データを使った研究も、 この philosophy の延長線上にあります。
28 の古典的心理学効果について、 世界 36 ヶ国 125 ラボが 事前登録された統一プロトコルで追試。 結果:14 効果が再現、 14 効果が再現せず。 これにより「どの効果が真か」のメタアナリシスが可能に。 サンプル N=15,305、 心理学史上最大の追試プロジェクト。
同じデータセットを 25 の独立な研究チームに渡し、 各チームが 独立に分析計画を事前登録。 結果:チームによって r=-0.12 から +0.42 まで 結論が大きく異なることが明らかに。 「分析者の自由度」の実証的測定。
29 の研究チームに同じデータと同じ仮説(「サッカー審判は黒人選手にレッドカードを多く出すか」)を与え、 独立分析。 結果:オッズ比は 0.89 から 2.93 まで分散。 同じデータ・同じ仮説でも分析者次第。 これが事前登録の必要性を実証的に裏付け。
2020 年以降、 COVID-19 関連の Registered Reports が急増。 緊急性の高い研究でも事前登録を遵守することで、 「結論ありき」の研究を排除。 ロックダウン効果、 ワクチン副反応、 メンタルヘルス影響などの研究で活用。
日本でも 2020 年以降、 教育心理学、 発達心理学を中心に事前登録が増加。 日本社会心理学会の事前登録賞、 心理学研究誌での RR 採用など、 国内のインフラ整備が進む。 SSDSE のような公的データを使った教育・地域研究でも徐々に普及。
事前登録の所作を覚えるまでは、 紙のチェックリストが有用です。 以下を印刷して机に貼っておくと、 各プロジェクトでルーティン化できます。
□ 研究タイトル(仮)を 1 行で書いた
□ 主仮説を H0/H1 形式で 1 文書いた
□ 使用データ(SSDSE-B-2026 等)と列名を明記した
□ 検定方法(Pearson, t-test 等)を明記した
□ 有意水準 α(片側/両側含む)を決めた
□ サンプルサイズ N を決め、 事前検出力を計算した
□ 前処理(欠損、 外れ値、 変換)の方針を決めた
□ 探索的分析の扱い方を決めた
□ OSF / AsPredicted に登録した
□ プロジェクト URL をメモした(osf.io/____)
□ 共著者・指導教員に URL を共有した
□ これからデータに触れる ことを確認した(重要)
□ 事前登録した手順を再確認した
□ 確認的分析を実施した
□ 計画逸脱があれば記録した
□ 探索的分析は別セクションに記録した
□ 効果量と 95% CI も併記した
□ コードを GitHub にコミットした
□ 中間結果を研究日誌に記録した
□ Methods 節に "Preregistration: osf.io/XXXXX" を記載
□ Methods 節に事前検出力分析の結果を記載
□ Results 節を「確認的」と「探索的」に分離
□ 計画逸脱の有無と理由を記載
□ 効果量・CI・p の三点セットを併記
□ Data Availability 節を追加
□ コード・データ・環境記録を公開
□ Open Practices Badge の申請(採用ジャーナルなら)
事前登録は OSF だけではない。 用途に応じて最適なプラットフォームを選ぶ:
| プラットフォーム | 用途 | 所要時間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Open Science Framework (OSF) | 汎用、 学術全般 | 60-90 分 | 無料、 詳細テンプレート、 embargo 可、 Zenodo 連携、 累計 100,000+ 登録 |
| AsPredicted.org | 軽量、 学生プロジェクト | 5-15 分 | 米ペンシルベニア大学 Wharton 校運営、 9 問のシンプル形式、 PDF 出力 |
| ClinicalTrials.gov | 臨床試験 | 数時間〜数日 | 米国 NIH 運営、 国際標準、 ICMJE 必須 |
| UMIN-CTR | 国内臨床試験 | 数時間 | 日本臨床試験の標準、 日英バイリンガル |
| jRCT | 国内臨床試験(規制対象) | 数時間 | 薬機法対象研究で必須、 公的責任窓口 |
| PROSPERO | 系統的レビュー・メタアナリシス | 1-2 時間 | 英国 York 大学運営、 SR/MA 専用 |
| AEA Registry | 経済学・社会科学 RCT | 30-60 分 | 米国経済学会運営、 開発経済学で広く使用 |
📌 SSDSE を使った学生プロジェクト・卒論なら OSF Standard または AsPredicted がおすすめ。 修論以上は OSF Standard、 ジャーナル投稿予定なら採用ジャーナルの Registered Reports を検討。
🍰 まずはやさしく
研究のやり方をあらかじめ記録することです。
誰が見ても正しい分析にするために使います。
部活の練習メニューを先に決めるようなものです。
具体的な登録の手順や方法について読みます。
事前登録(Pre-registration)は、 再現性危機への主要な対抗策。 データ収集を始める前に、 仮説・検定方法・有意水準 α・必要サンプルサイズ N・分析手順を文書化し、 OSF などの公的リポジトリに タイムスタンプ付きで凍結します。 この「事前」が決定的:データを見た後に方針を変えると検定の意味が消えるためです。
本ページは 事前登録(Pre-registration) を、 ジャストインタイム型データサイエンス教育の文脈で 12 のセクションに分けて解説します。 SSDSE-B-2026 を題材にした研究計画書テンプレートを示し、 OSF への登録手順、 Python による設計テンプレートまでカバー。
🍰 まずはやさしく
試合の後にルールを変えないための約束です。
自分に都合の良い結果だけを選ばないためです。
買い物で予算を先に決めるのと似ています。
なぜ事前にルールを決める必要があるか考えます。
スポーツに例えるとわかりやすい。 サッカーで「両チームのゴール数を比べてから、 ゴールの定義を変える」のは反則 — でも研究では同じことが起きています。 データを見てから「効果が見えそうな指標」を選ぶ、 「都合の悪い被験者」を除外する、 「サブグループを切る」 — これがすべて garden of forking paths(分岐する小道、 Gelman & Loken 2014)です。
事前登録は 「分析開始前にルールを固定する」 ことで、 この「結果を見てルールを変える」行為を構造的に排除します。 すべての判断を データに触れる前に行い、 公開リポジトリにタイムスタンプ付きで凍結する。 これにより、 後出しの仮説変更(HARKing)、 p-hacking、 optional stopping を防げます。
| 何を事前登録するか | 具体例 | 防ぐ問題 |
|---|---|---|
| 主仮説(H0/H1) | 「高齢化率と人口減少率の相関 r < 0」 | HARKing |
| 有意水準 α | 「α = 0.05 両側」 | 片側↔両側の切り替え |
| サンプルサイズ N | 「事前検出力分析で n=64、 SSDSE は 47 県固定」 | optional stopping |
| 検定方法 | 「Pearson 相関、 Welch の t 検定、 多重比較は BH-FDR」 | 手法の事後選択 |
| 前処理ルール | 「外れ値除外なし、 欠損は listwise」 | 恣意的なクリーニング |
| 停止規則 | 「2024年3月31日時点のデータで分析」 | data peeking |
| 探索的分析の枠 | 「主分析以外は探索的とラベル」 | 確認的と探索的の混在 |
事前登録は 科学的厳密さを示すバッジ。 OSF Badges に "Preregistered" マークがつき、 多くのジャーナルが推奨/要求するようになっています。
本用語に関連する代表的な可視化を 3 点示す。



🍰 まずはやさしく
分析に使う3つの数値を固定することです。
計算の根拠をはっきりさせるために使います。
スマホのプランを契約時に決めるようなものです。
固定すべき具体的な数値の内容について読みます。
事前登録の本質は、 検定統計量 $T$、 有意水準 $\alpha$、 サンプルサイズ $N$ の 3 つを データ収集前に固定すること:
$$ \langle T, \alpha, N \rangle \xrightarrow{\text{pre-register}} \text{凍結} \xrightarrow{\text{data collection}} \text{解析実行} $$
$T$ を後から変える → 検定方法の事後選択(method shopping)
$\alpha$ を後から変える → α の動的調整
$N$ を後から変える → optional stopping(α が膨らむ)
「検出したい効果量 $d$」「希望の検出力 $1-\beta$」「有意水準 $\alpha$」から N を事前検出力分析で逆算:
$$ N = f(d, 1-\beta, \alpha) $$
例えば 2 群比較で d=0.5、 1-β=0.80、 α=0.05(両側)なら 各群 64 名(合計 128 名)。 これを事前登録に書き、 N に達するまで/達したら停止することを明示する。
事前登録では、 確認的分析(confirmatory)と探索的分析(exploratory)を 明確に分離する:
$$ \text{Analysis} = \underbrace{C}_{\text{事前登録済み}} \cup \underbrace{E}_{\text{探索的}} $$
$C$ の検定数 $|C|$ に対して Bonferroni / BH-FDR 補正を適用。 $E$ は 「仮説生成のため」と明示し、 確認的解釈はしない。
事前登録の数式は単純ですが、 各記号が含意することは深い。 ひとつずつ確認します。
| 記号 | 意味と事前登録での読み方 |
|---|---|
| $T$ | 検定統計量。 t 検定なら $T = t$、 相関なら Fisher z、 ANOVA なら F。 事前に「どの T を使うか」を明記することで、 method shopping を防ぐ。 |
| $\alpha$ | 有意水準。 通常 0.05、 厳格なら 0.01、 多重比較なら 0.05/m。 分析開始前に値を固定。 主分析と探索的分析で別の α を設定する場合は両方記載。 |
| $N$ | サンプルサイズ。 SSDSE のように固定(47 県)の場合は「47」、 リクルートする場合は事前検出力分析の結果を明記。 |
| $d$ | 検出したい効果量(Smallest Effect Size of Interest, SESOI)。 「これより小さい効果は実質的に意味がない」というドメイン判断。 |
| $1-\beta$ | 検出力。 慣例で 0.80(80%)、 厳格なら 0.95。 事前登録なしでは検出力が低くても気づかないのが従来の問題。 |
| $C$ | Confirmatory(確認的)分析の集合。 事前登録に含めたすべての検定。 これらに対して多重比較補正を適用。 |
| $E$ | Exploratory(探索的)分析の集合。 事前登録になかった追加分析。 「仮説生成」として記載し、 結論は控えめに。 |
| $\langle \cdot \rangle$ | パラメータの組。 これら全体が「凍結」されることが本質。 1 つでも事後に変更したら、 厳密には事前登録は破綻する(変更は明記必須)。 |
数式自体は中学レベルですが、 その背後にある 「自由を捨てて信頼を得る」という考え方が事前登録の哲学。 分析者は自由度を放棄する代わりに、 読者は結論を信頼できる、 という win-win 構造です。
理論を学ぶだけでなく、 実際に 1 つ事前登録を作成してみる演習。 30 分で完了可能。
例: 「SSDSE-B-2026 を使い、 47 都道府県の X と Y の関係を検証する」
X, Y を 自分の興味で埋める。 例:「保育所等定員数」と「合計特殊出生率」、 「一般病院数」と「65 歳以上人口」、 「高校卒業者の進学率」と「転入超過数(転入−転出)」など、 SSDSE-B-2026 に実在する列(公式定義集参照)から選ぶ。
例: H0: 保育所等定員数(人口比)と合計特殊出生率の Pearson 相関 r = 0
H1: r ≠ 0(両側)または「r > 0(保育の受け皿が多い県ほど出生率も高い)」(片側)
注意: 片側にする場合は 理論的根拠を書く。 「保育アクセスの改善が出産・育児の負担を下げる」など。
SSDSE-B-2026 公式定義集(PDF)から、 X, Y に対応する列記号を特定し、 計算式を明記。 例: 「合計特殊出生率」= A4103 列(そのまま利用可)、 「保育所等定員数(人口比)」= J2505 / A1101 × 1000(2 列から算出する派生変数)。
前述の Python コードで「n=47 で検出可能な最小 |r|」を計算。 結果(例: 0.40)を事前登録に明記。 |r|<0.40 の検出は不可能なので、 仮説のスコープを「中程度以上の相関」に限定。
osf.io でアカウント作成 → 新規 Registration → "OSF Preregistration" テンプレートを選択 → 上記①〜④を記入 → 登録。 完了! プロジェクト URL が発行される。
事前登録した手順通りに Python で分析。 結果(r, p, CI)を取得。 OSF プロジェクトに「Final Report」として結果ファイルをアップロード。 計画通りなら「逸脱なし」と記載。
📌 この 6 ステップで 「事前登録された研究」が完成。 卒論・発表会で「OSF 事前登録: osf.io/XXXXX」と記載すれば、 透明性の最高水準を示せる。
OSF Standard Form は 11 項目で構成される。 各項目で何を書くべきかを SSDSE-B-2026 を例に解説:
| # | 項目 | 記入内容(SSDSE 例) |
|---|---|---|
| 1 | Study Information | タイトル、 著者、 概要。 「SSDSE-B-2026 を用いた都道府県高齢化-人口減少関係の検証」 |
| 2 | Design Plan | 研究タイプ(観察研究、 実験研究など)。 「観察研究、 横断、 47 都道府県」 |
| 3 | Sampling Plan | サンプリング方法。 「公開データ全 47 県を使用、 サンプリングなし、 N=47 固定」 |
| 4 | Variables | 独立・従属変数の定義。 「X: A1303/A1101×100、 Y: 10年人口変化率」 |
| 5 | Analysis Plan | 分析手順。 「Pearson 相関、 Fisher z 変換で 95% CI、 α=0.05 両側」 |
| 6 | Statistical Models | モデル式。 「単純相関分析、 共変量なし」 |
| 7 | Inference Criteria | 判定基準。 「p < 0.05 で H0 棄却、 効果量 |r| ≥ 0.40 で実質的有意」 |
| 8 | Data Exclusion | 除外基準。 「除外なし、 全 47 県使用」 |
| 9 | Missing Data | 欠損処理。 「SSDSE は完全データ、 欠損なし」 |
| 10 | Exploratory Analysis | 探索的分析の枠。 「上記以外の分析は探索的として別セクションで報告」 |
| 11 | Other | その他。 「データ・コード公開予定、 倫理審査該当なし(公開データのため)」 |
この 11 項目をすべて記入すれば、 国際的に通用する事前登録が完成する。 必要時間は 初心者で 90 分、 経験者で 30 分程度。
SSDSE-B-2026 を使った仮想的な研究例で、 「事前登録 → 実施 → 報告」の全フローを示します。
タイトル: 都道府県の保育所等定員と合計特殊出生率の関連性
研究者: [氏名]、 [所属]
登録日: 2025-04-01
主仮説: H1: 人口千人当たり保育所等定員数と合計特殊出生率の Pearson 相関 r > 0(片側)
理論的根拠: 保育の受け皿整備が出産・子育ての負担を下げる(子育て支援政策の先行研究等)
有意水準: α = 0.05(片側)
サンプルサイズ: N = 47(SSDSE 全都道府県)
検出可能効果量: |r| ≥ 0.40(事前検出力 0.80)
使用データ: SSDSE-B-2026 2023 年、 保育所等定員数 = J2505 列(総人口 A1101 列で人口比に換算)、 合計特殊出生率 = A4103 列
分析手順: scipy.stats.pearsonr(x, y, alternative='greater')
前処理: 欠損なし、 外れ値除外なし
探索的分析: 保育所等在所児数(J2506)、 待機児童数(J250502)との関係も探索的に検討(本仮説とは別扱い)
SSDSE-B-2026 を初めてダウンロード → ハッシュ記録 → 事前登録通りの Python コードで分析。
確認的分析結果:
事前登録した分析を実施。 n=47、 Pearson r = +0.387、 片側 p = 0.0035、 95% CI [+0.143, +0.585]。 |r|=0.39 は事前指定の閾値 0.40 をわずかに下回るが、 統計的に有意(p < 0.05)。 H0 を棄却、 H1 を支持する。
計画からの逸脱: なし。 計画通りに実施。
探索的分析(事前登録外):
保育所等在所児数(人口比)との相関は r = +0.412(p = 0.002)、 待機児童数との相関は r = +0.298(p = 0.041)。 これらは確認的結論には用いず、 仮説生成のためのみとする。
結論: 保育所等定員(人口比)と合計特殊出生率に弱〜中程度の正の関連が示唆されたが、 効果量が事前指定の閾値ぎりぎりであり、 後続研究での確認が望ましい。
データ・コード: github.com/USERNAME/REPO、 SSDSE-B-2026 公式サイト、 OSF: osf.io/abcde
📌 注目: 結果が「微妙」でも事前登録があれば 誠実な報告として読者から信頼される。 一方、 事前登録なしで同じ結果を「強い証拠」と書くと、 batch p-hacking や HARKing の可能性が疑われる。
SSDSE-B-2026 を題材に、 OSF 事前登録の雛形を実際の値で作成します。 「都道府県の高齢化率と人口減少率の関係」を仮説とする卒論を想定。
研究タイトル:日本 47 都道府県における高齢化率と人口減少の関連性検証 — SSDSE-B-2026 を用いた事前登録研究
登録日:2025-04-01(データ取得前)
主仮説:H1: 65 歳以上人口比率と直近 10 年人口変化率の Pearson 相関 r < 0(高齢化が進む県ほど人口は減少)
帰無仮説:H0: r = 0
有意水準:α = 0.05(両側)。 主分析 1 件のため多重比較補正なし。
使用データ:SSDSE-B-2026(独立行政法人統計センター、 47 都道府県 × 12 年(2012〜2023 年度)× 112 列)
主要変数:① 65 歳以上人口比率 = A1303 / A1101 × 100、 ② 10 年人口変化率 = (A1101_2023 - A1101_2014) / A1101_2014 × 100
サンプルサイズ:n = 47(全都道府県固定、 サンプリングなし)
検出力:n=47、 α=0.05 で d=0.40 を検出する検出力 = 0.81(事前検出力分析の結果)
分析手順:① 2023 年データで両変数を計算、 ② Pearson 相関係数 r と 95% CI を算出、 ③ 両側 p 値を計算、 ④ p < 0.05 で H0 棄却
前処理:欠損値なし(SSDSE は完全データ)、 外れ値除外なし、 変数変換なし。
探索的分析:上記以外の追加分析(サブグループ、 他変数との関係)は探索的として別セクションで報告し、 結論は控えめにする。
停止規則:データは固定なので該当なし。 N の追加・削減は行わない。
計画逸脱の場合:分析中に計画変更が必要になった場合、 理由を明記し、 元の計画と新計画の両方の結果を併記する。
データ・コード公開:分析完了後、 GitHub(github.com/USERNAME/PROJECT)と OSF プロジェクトページに公開。
合成データで事前登録による検定数削減効果を計算する。
| 状況 | 検定数 m | 偶然有意の期待 |
|---|---|---|
| 探索的 (登録なし) | 50 | 50 × 0.05 = 2.5 |
| 事前登録 (主仮説 1) | 1 | 1 × 0.05 = 0.05 |
1 2 3 4 5 6 7 8 9 | import numpy as np alpha = 0.05 m_explor = 50 m_preg = 1 fwer_e = 1 - (1-alpha)**m_explor fwer_p = 1 - (1-alpha)**m_preg print(f"探索的 FWER: {fwer_e:.3f}") print(f"事前登録 FWER: {fwer_p}") print(f"削減倍率: {fwer_e/fwer_p:.1f}") |
💬 手計算 (Step 2) 18.5 倍と Python 出力が完全一致。
🎯 このコードでやること: 検出したい効果量 d、 希望の検出力 1-β、 有意水準 α から、 t 検定・相関検定で必要な n を逆算する。 SSDSE は 47 県固定だが、 「47 で十分な検出力か」を確認するために必須。
📥 入力データ:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 | from statsmodels.stats.power import TTestIndPower, NormalIndPower import numpy as np # ① 2 群 t 検定で d=0.5 を検出するための n analysis = TTestIndPower() n_required = analysis.solve_power(effect_size=0.5, power=0.80, alpha=0.05, alternative='two-sided') print(f'2 群 t 検定: 各群 n = {n_required:.1f} → 合計 {2*n_required:.0f} 名必要') # ② SSDSE の n=47 ではどれだけ検出できるか(後向き) for d in [0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.8]: power = analysis.power(effect_size=d, nobs1=47, ratio=1.0, alpha=0.05) print(f' d={d}: 検出力 = {power:.3f}') # ③ 相関検定 r=0.3 を検出するための n from scipy.stats import norm def n_for_correlation(r, power=0.80, alpha=0.05): z_r = 0.5 * np.log((1+r)/(1-r)) z_alpha = norm.ppf(1 - alpha/2) z_beta = norm.ppf(power) n = ((z_alpha + z_beta) / z_r) ** 2 + 3 return n for r_target in [0.2, 0.3, 0.4, 0.5]: n = n_for_correlation(r_target) print(f'相関 |r|≥{r_target} を検出: n = {n:.1f}') # ④ SSDSE n=47 で検出可能な最小 |r| def detectable_r(n, power=0.80, alpha=0.05): z_alpha = norm.ppf(1 - alpha/2) z_beta = norm.ppf(power) z_min = (z_alpha + z_beta) / np.sqrt(n - 3) r_min = (np.exp(2*z_min) - 1) / (np.exp(2*z_min) + 1) return r_min print(f'\nSSDSE n=47, power=0.80, α=0.05 で検出可能な最小 |r| = {detectable_r(47):.3f}') |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: SSDSE の n=47 では、 |r|≥0.4 の相関は検出力 0.80 で検出可能。 弱い相関(|r|<0.3)は見落とすリスクが高い。 事前登録には「本研究は |r|≥0.4 を主対象とする」と明記すべき。 もしより弱い相関を主張するなら、 別のデータ(パネル、 個票)でサンプルサイズを稼ぐ必要がある。
🎯 このコードでやること: SSDSE-B-2026 を使った研究の 事前登録 markdown テンプレートを生成。 仮説・変数・α・N・分析手順をパラメータ化し、 「埋めるだけで OSF 登録可能」な形式に出力。
📥 入力データ: SSDSE-B-2026 の主要列名と説明。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 | import pandas as pd from datetime import datetime # SSDSE-B-2026 の構造を読み込み、 研究計画書を自動生成 df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=[1]) template = f""" # 事前登録 研究計画書 **登録日**: {datetime.now().strftime('%Y-%m-%d')} **研究者**: [氏名・所属] **プロジェクト**: SSDSE-B-2026 を用いた都道府県比較研究 ## 1. 研究背景・動機 本研究は SSDSE-B-2026({df.shape[0]} 行 × {df.shape[1]} 列、 {df['SSDSE-B-2026'].min()}〜{df['SSDSE-B-2026'].max()} 年)を用い、 [現象 X] と [現象 Y] の関係を検証する。 ## 2. 主仮説(Confirmatory) - H0: [変数 X] と [変数 Y] の Pearson 相関 r = 0 - H1: r ≠ 0 (両側) または r < 0 (片側) ## 3. 変数定義 - 変数 X: SSDSE-B-2026 列 [XXXX] - 変数 Y: SSDSE-B-2026 列 [YYYY] / [ZZZZ] × 100 ## 4. 統計設計 | 項目 | 値 | |---|---| | 検定方法 | Pearson 相関 | | 有意水準 α | 0.05(両側) | | サンプルサイズ N | 47(全都道府県固定) | | 検出力 1-β | 0.80(目標) | | 検出可能 |r| | ≥ 0.40 | | 多重比較補正 | 主分析 1 件、補正なし | ## 5. 分析手順 1. SSDSE-B-2026 を読み込み: `pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=[1])` 2. {df['SSDSE-B-2026'].max()} 年のデータに限定 3. 変数 X, Y を計算 4. `scipy.stats.pearsonr(x, y)` で r, p を算出 5. Fisher z 変換で 95% CI を計算 6. p < 0.05 で H0 棄却 ## 6. 前処理ルール - 欠損値: SSDSE は完全データ、 該当なし - 外れ値: 除外なし(理論的根拠:47 県全体を母集団とみなす) - 変数変換: raw (事後の log 変換は探索的扱い) ## 7. 探索的分析 本仮説以外の追加分析は探索的として別セクションで報告。 結論は弱く、 後続の確認的研究を要する。 ## 8. データ・コード公開 - 完了後、GitHub と OSF で公開 - ライセンス: コード MIT、 データ は SSDSE 規約に準拠 ## 9. 計画逸脱の対応 不可避の変更があれば、 元の計画と新計画の両方の結果を併記。 ## 10. 引用するデータの SHA-256 [hashlib.sha256 で取得した値を記載] """ print(template) print(f'\n--- 文字数 = {len(template)} ---') |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: このテンプレートを [ ] 部分だけ埋めて OSF に貼り付ければ、 5 分で事前登録が完了。 完璧でなくても、 「事前に方針を凍結した」事実が重要。 SHA-256 でデータの同一性も担保される。 卒論レベルなら、 このテンプレートで十分。
🎯 このコードでやること: 事前登録した分析手順を Python コードとして記述しておき、 実分析が計画通りに実行されたかを 自動チェックする仕組みを示す。 「計画」と「実行」を 1 つのスクリプトに統合。
📥 入力データ: SSDSE-B-2026、 高齢化率と人口変化率。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 | import pandas as pd import numpy as np from scipy import stats # === 事前登録された分析計画 === PREREG = { 'data_source': 'data/raw/SSDSE-B-2026.csv', 'data_encoding': 'cp932', 'data_skiprows': [1], 'target_year': 2023, 'var_x_formula': 'A1303 / A1101 * 100', # 高齢化率 'var_y_formula': 'A1101 / A1101_2014 - 1', # 人口変化率 'test_method': 'pearson', 'alpha': 0.05, 'alternative': 'two-sided', 'expected_n': 47, 'min_detectable_r': 0.40, } print('=== 事前登録された分析計画 ===') for k, v in PREREG.items(): print(f' {k:20s}: {v}') # === 計画通りの分析実行 === df = pd.read_csv(PREREG['data_source'], encoding=PREREG['data_encoding'], skiprows=PREREG['data_skiprows']) df_y = df[df['SSDSE-B-2026'] == PREREG['target_year']].copy() df_14 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2014][['Prefecture','A1101']].rename( columns={'A1101': 'A1101_2014'}) df_y = df_y.merge(df_14, on='Prefecture') df_y['aging'] = df_y['A1303'] / df_y['A1101'] * 100 df_y['pop_change'] = (df_y['A1101'] / df_y['A1101_2014'] - 1) * 100 # 整合性チェック assert len(df_y) == PREREG['expected_n'], \\ f'N 不一致: {len(df_y)} != {PREREG["expected_n"]}' r, p = stats.pearsonr(df_y['aging'], df_y['pop_change']) print(f'\n=== 事前登録に基づく分析結果 ===') print(f' n = {len(df_y)}') print(f' Pearson r = {r:+.4f}') print(f' p value = {p:.6f}') print(f' 判定 : {"H0 棄却 (有意)" if p < PREREG["alpha"] else "H0 棄却せず"}') print(f' |r| ≥ {PREREG["min_detectable_r"]} か: {"Yes" if abs(r) >= PREREG["min_detectable_r"] else "No (検出力不足の可能性)"}') |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: 計画通りの分析で r=-0.97、 p<0.001、 H0 棄却。 |r|=0.97 は事前検出力分析の閾値 0.40 を大きく上回るため、 検出力の心配なし。 このようにコードに PREREG 辞書として計画を埋め込んでおくと、 「計画と実行のズレ」をその場で検知できる。
🎯 このコードでやること: 事前登録した主分析(confirmatory)と、 データを見てから追加した分析(exploratory)を 明確に分離してレポートする Python テンプレート。 多重比較補正もそれぞれ適用。
📥 入力データ: SSDSE-B-2026、 主分析 1 件 + 探索的分析 5 件。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 | import pandas as pd from scipy import stats from statsmodels.stats.multitest import multipletests df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=[1]) df_2023 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy() df_2023['aging'] = df_2023['A1303'] / df_2023['A1101'] * 100 df_2023['pop_change'] = df_2023['A1101'].pct_change().fillna(0) * 100 # === Confirmatory(事前登録済み)=== print('=== 確認的分析(事前登録済み)===') r, p = stats.pearsonr(df_2023['aging'], df_2023['A1101']) print(f'主仮説: 高齢化率 vs 人口') print(f' r = {r:+.4f}, p = {p:.4e}') print(f' α=0.05 で {"H0 棄却" if p < 0.05 else "H0 棄却せず"}') print(f' (Bonferroni 補正不要: 主分析 1 件のみ)') # === Exploratory(探索的、 事後追加)=== print('\n=== 探索的分析(事後追加、 結論は控えめ)===') exploratory = [ ('A1101', 'C3302'), # 人口 vs 着工建築物床面積 ('A1101', 'A4101'), # 人口 vs 出生数 ('aging', 'A4101'), # 高齢化率 vs 出生数 ('aging', 'C3302'), # 高齢化率 vs 着工建築物床面積 ('A4101', 'C3302'), # 出生数 vs 着工建築物床面積 ] results = [] for v1, v2 in exploratory: r, p = stats.pearsonr(df_2023[v1], df_2023[v2]) results.append({'pair': f'{v1} vs {v2}', 'r': r, 'p_raw': p}) res = pd.DataFrame(results) _, p_bh, _, _ = multipletests(res['p_raw'], method='fdr_bh') res['p_bh_fdr'] = p_bh res['解釈'] = res['p_bh_fdr'].apply( lambda p: '示唆的(要再検証)' if p < 0.05 else '探索的のみ') print(res.to_string(index=False)) print(f'\n注: 上記は探索的分析のため、 確認的結論は別研究を要する。') |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: 主分析(確認的)で「高齢化率と人口に強い負の相関」を確認、 これは 事前登録した主結論。 一方、 探索的分析の 5 件は p 値が極小でも「示唆的」止まり、 独立な追試での確認を要する。 この区分けを明示することで、 同じデータから出た知見でも 「強い結論」と「仮説」を読者が区別できる。
🎯 このコードでやること: 頻度論的な α/N 設計ではなく、 ベイズファクターに基づく停止規則を事前登録する例。 「BF₁₀ ≥ 10 で H1 支持」「BF₀₁ ≥ 10 で H0 支持」「N=200 で中断」の 3 つの停止規則を設定。
📥 入力データ: SSDSE-B-2026 の県別データを「逐次収集」と見立て、 各時点で BF を計算する模擬。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 | import pandas as pd import numpy as np from scipy import stats df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', skiprows=[1]) df_2023 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy() df_2023['aging'] = df_2023['A1303'] / df_2023['A1101'] * 100 df_2023['pop_change'] = df_2023['A1101'].pct_change().fillna(0) * 100 # 事前登録パラメータ PREREG_BAYES = { 'h1_prior_d': 0.5, # H1 の事前分布の中心(中程度効果) 'bf_threshold_h1': 10, # H1 支持の閾値 'bf_threshold_h0': 10, # H0 支持の閾値 'n_max': 47, # SSDSE の最大 N } # 簡略な BF 近似(JZS prior, ttestBF 風) def bf_correlation(r, n): # 簡略化された BIC ベース近似 if n < 4: return 1.0 z = 0.5 * np.log((1+r)/(1-r)) chi2 = (n - 3) * z**2 bf_h1 = np.exp((chi2 - np.log(n)) / 2) return bf_h1 # 逐次的に N を増やしながら BF を計算 print('N | r | BF_10 | 判定') print('-' * 50) np.random.seed(16) order = np.random.permutation(len(df_2023)) for n in [10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 47]: sub = df_2023.iloc[order[:n]] r, _ = stats.pearsonr(sub['aging'], sub['A1101']) bf = bf_correlation(r, n) decision = '継続' if bf >= PREREG_BAYES['bf_threshold_h1']: decision = 'H1 支持で停止' elif bf <= 1/PREREG_BAYES['bf_threshold_h0']: decision = 'H0 支持で停止' elif n >= PREREG_BAYES['n_max']: decision = 'N 上限で停止' print(f'{n:2d} | {r:+.4f} | {bf:9.2e} | {decision}') |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: ベイズファクターでは 「N が増えるごとに証拠が累積」するのが分かる。 N=10 で既に BF₁₀=18.1 > 10 で H1 支持。 ベイズ的設計の利点は optional stopping が正当化されること(事前に閾値を決めれば、 達した時点で停止 OK)。 頻度論ではこれが禁止される。
Registered Reports(RR、 登録報告)は事前登録の 最強形態。 通常の事前登録は「研究者自身の意思」によるが、 RR は ジャーナルの査読プロセスに統合されている。
| 段階 | 何を投稿するか | 査読の焦点 |
|---|---|---|
| Stage 1 | Introduction、 Methods、 分析計画(結果なし) | 研究の重要性、 仮説の妥当性、 方法の厳密性、 検出力 |
| ↓ IPA | In-Principle Acceptance(原則採択) | 結果がどうであれ 掲載確約 |
| 研究実施 | 計画通りデータ収集・分析 | — |
| Stage 2 | Results、 Discussion 追加。 計画逸脱は明記 | 計画遵守、 解釈の妥当性、 探索的分析の明示 |
| ↓ 採用 | 結果の方向に関係なく出版 | — |
RR で出版された 71 論文 vs 従来形式 152 論文を比較した結果:
| 指標 | RR 群 | 従来形式 | 差 |
|---|---|---|---|
| 仮説支持率 | 44% | 96% | −52pt(出版バイアス除去) |
| 手法の質(査読者評価) | 高い | 標準 | 有意に RR 群が高評価 |
| 分析の厳密性 | 高い | 標準 | 有意に RR 群が高評価 |
| 引用される頻度 | 同等 | 同等 | 差なし(懸念されていた) |
📌 従来形式の「仮説支持率 96%」は 明らかに歪んでいる。 RR の 44% こそ「現実」に近い数字。 つまり科学研究の半数以上は「予想外の結果」になるはずだが、 従来の出版システムではそれが見えなかった。
| 項目 | 事後分析(伝統的) | シンプル事前登録 | Registered Reports |
|---|---|---|---|
| 登録タイミング | なし | データ収集前 | データ収集前 + ジャーナル査読 |
| プラットフォーム | — | OSF, AsPredicted | 採用ジャーナル(290+) |
| 査読 | 結果後 | なし(自主登録) | Stage 1: 計画段階で査読 |
| 採否の保証 | なし | なし | IPA で 結果前に保証 |
| 所要時間 | — | 30〜90 分 | 数週間〜数ヶ月 |
| p-hacking 防止 | × | ○ | ◎ |
| HARKing 防止 | × | ○ | ◎ |
| 出版バイアス防止 | × | △(結果次第で publish しにくい) | ◎(結果方向に関係なく採用) |
| 推奨利用場面 | 純粋な探索的研究のみ | 卒論・修論、 学生プロジェクト | 博士論文、 主要論文、 重要仮説 |
事前登録は「経験者だけのもの」ではなく、 学習段階から実践できる。 各段階での適切な取り組み方:
🎯 このコードでやること: 事前登録した「分析パス」を Python で関数化し、 実行時に マークダウン形式のレポートを自動生成。 「計画」と「実行」を 1 つのコードベースに統合し、 ズレを物理的に防ぐ。
📥 入力データ: SSDSE-B-2026 全データ。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 | import pandas as pd from scipy import stats from datetime import datetime import hashlib class PreregisteredAnalysis: """事前登録された分析を実行・記録するクラス""" def __init__(self, prereg_url, hypothesis, alpha=0.05): self.prereg_url = prereg_url self.hypothesis = hypothesis self.alpha = alpha self.deviations = [] self.confirmatory_results = {} self.exploratory_results = {} def load_data(self, path, encoding='cp932', skiprows=[1]): with open(path, 'rb') as f: self.data_sha256 = hashlib.sha256(f.read()).hexdigest() self.df = pd.read_csv(path, encoding=encoding, skiprows=skiprows) return self def confirmatory(self, name, func): """事前登録された確認的分析""" self.confirmatory_results[name] = func(self.df) return self def exploratory(self, name, func, reason=''): """事後追加の探索的分析""" self.exploratory_results[name] = { 'result': func(self.df), 'reason': reason } return self def deviation(self, planned, actual, reason): self.deviations.append({ 'planned': planned, 'actual': actual, 'reason': reason }) return self def report(self): """マークダウンレポートを生成""" lines = [ f'# 事前登録分析レポート', f'', f'- **事前登録 URL**: {self.prereg_url}', f'- **データ SHA-256**: {self.data_sha256}', f'- **実行日時**: {datetime.now().isoformat()}', f'- **仮説**: {self.hypothesis}', f'- **α**: {self.alpha}', f'', f'## 確認的分析(事前登録済み)', ] for name, result in self.confirmatory_results.items(): lines.append(f'- **{name}**: {result}') lines.append('') lines.append('## 探索的分析(事前登録外)') for name, info in self.exploratory_results.items(): lines.append(f'- **{name}**: {info["result"]} (追加理由: {info["reason"]})') lines.append('') lines.append('## 計画逸脱') if self.deviations: for d in self.deviations: lines.append(f'- 計画: {d["planned"]} → 実行: {d["actual"]} (理由: {d["reason"]})') else: lines.append('- 逸脱なし。 計画通り実施。') return '\\n'.join(lines) # === 使用例 === analysis = (PreregisteredAnalysis( prereg_url='https://osf.io/abcde', hypothesis='高齢化率と人口の相関 r < 0', alpha=0.05) .load_data('data/raw/SSDSE-B-2026.csv') .confirmatory( '主分析: 高齢化率 vs 人口', lambda df: stats.pearsonr( df[df['SSDSE-B-2026']==2023]['A1303'] / df[df['SSDSE-B-2026']==2023]['A1101'] * 100, df[df['SSDSE-B-2026']==2023]['A1101'])) .exploratory( '副次: 出生数 vs 人口', lambda df: stats.pearsonr( df[df['SSDSE-B-2026']==2023]['A4101'], df[df['SSDSE-B-2026']==2023]['A1101']), reason='主分析が成功したため追加検討')) print(analysis.report()) |
📤 実行結果:
💬 結果の読み方: クラスベースの設計により、 確認的と探索的が物理的に分離される。 計画逸脱もメソッドとして明示的に記録。 このレポートを論文の Supplementary に添付すれば、 読者は「事前登録通り実施されたか」を一目で確認できる。 OSF プロジェクトページにアップロードする運用が推奨。
事前登録は強力なツールですが、 形だけ実施しても効果がありません。 学生・実務者・研究者がよく踏むワナをまとめました。
事前登録の原型は 1980 年代の医薬品 RCT 登録制度。 1997 年に FDA Modernization Act が臨床試験登録を法制化、 2000 年 ClinicalTrials.gov 開設。 これは「公表バイアスで有害な薬が広まる」事件(特に SSRI と自殺関連)への対応でした。
心理学・社会科学への展開は 2011 年の 再現性危機議論を契機に:
| レベル | 特徴 | プラットフォーム | 適用場面 |
|---|---|---|---|
| 軽量 | 9 問の簡易フォーム、 数分で登録 | AsPredicted.org | 単純な実験、 学生プロジェクト |
| 標準 | 詳細な計画書、 修正不可、 embargo 可 | OSF Registrations | 論文・修論・博論 |
| Registered Reports | ジャーナル査読を結果前に通過 | 290+ ジャーナル(Nat Hum Behav, Cortex 他) | 大規模研究、 重要仮説 |
日本では UMIN-CTR(1999〜)が臨床試験登録の主要プラットフォーム。 jRCT(Japan Registry of Clinical Trials、 2018〜)が公的責任の窓口に。 心理学・社会科学では OSF を直接利用するケースが多く、 国内独自プラットフォームは未整備。
日本心理学会、 日本社会心理学会は 2018 年以降に事前登録を推奨。 ただし学会レベルでの強制力は弱く、 個人研究者の意識に依存している段階。 統計データ解析コンペティション系の教材・コンペでも、 「分析前に仮説と手順を提出する」訓練を初等段階で取り入れる動きが始まっている。
事前登録 (preregistration) の発想は医療試験で 1990 年代に始まった。 1997 年に FDA Modernization Act がアメリカで成立し、 1998 年に ClinicalTrials.gov が立ち上がった。 2000 年代には WHO や ICMJE (International Committee of Medical Journal Editors) が「事前登録された試験のみ主要医学誌で公開可」とする方針を採用した。 2005 年に Ioannidis の「Why Most Published Research Findings Are False」が発表され、 心理学・社会科学にも事前登録の必要性が認識される。 2011 年の Daryl Bem 論文と Diederik Stapel 事件 (データ捏造) を契機に、 心理学界の方法論的反省が加速。 2012 年に Brian Nosek らが Center for Open Science (COS) を設立、 OSF (Open Science Framework) を立ち上げ。 2013 年に Chris Chambers が Cortex 誌で Registered Report (査読型事前登録) を提唱。 2015 年に AsPredicted (Pennsylvania 大学) が短文型事前登録を提供開始。 2020 年時点で 300 誌以上の学術誌が Registered Report を採用。 経済学では AEA RCT Registry、 政治学では EGAP (Evidence in Governance and Politics)、 教育学では Society for Research on Educational Effectiveness が分野別レジストリを運営。
心理学では Many Labs プロジェクトで事前登録された大規模再現研究が複数実施され、 効果量の地理的・文化的変動が定量化された。 経済学では AEA RCT Registry が 2013 年から運用され、 開発経済学・労働経済学のフィールド実験が事前登録されている。 教育研究では IES (Institute of Education Sciences) が事前登録を助成条件としている。 機械学習分野では NeurIPS で 2020 年から「研究プレレジ」のオプションが追加され、 ML の仮説検証型研究を支援している。 神経科学では Registered Report の採用が Cortex 以外にも Royal Society Open Science、 European Journal of Neuroscience 等に広まった。 計算社会科学では SSDSE-B-2026 のような公開データを用いた事前登録研究の事例も増えており、 「都道府県別の SDG 達成度と人口動態の関連」のような仮説を事前登録した上で確証的に分析するアプローチが推奨される。 ベイジアン統計を用いた事前登録 (Bayes Factor design analysis) も最近広まり、 stop rule や効果量推定の事前指定で頻度論的事前登録を補完する。
SSDSE-B-2026 を用いた研究の事前登録例 (OSF Standard Template): (1) 研究タイトル: 「都道府県別高齢化率と家計の保健医療費の関係: 2023 年データに基づく回帰分析」; (2) 仮説: 「H1: 高齢化率 (A1303/A1101) と保健医療費 (L322106) に正の相関がある (r > 0.3、 p < 0.05)」; (3) 主要解析: ピアソン相関、 両側検定、 α=0.05; (4) 副次解析: 重回帰 (高齢化率、 人口密度、 所得水準の同時投入); (5) 除外基準: 該当データなし (47 県全件); (6) 検出力分析: r=0.4、 α=0.05、 power=0.80 で必要サンプル数 n=44、 47 県データで十分; (7) 解析時期: 2025 年 12 月、 SSDSE-B-2026 公開後; (8) 共有計画: OSF 上にコード・データ・結果を公開。 OSF Preregistration Template はこの 8 項目を標準化。
AsPredicted は 9 質問の簡潔フォーマットで、 心理学・行動経済学で広く使われる。 質問: (1) 「データを既に見ているか」(Yes/No); (2) 「何の仮説を検証するか」; (3) 「主要従属変数は何か」; (4) 「主要説明変数は何か」; (5) 「サンプルサイズの停止基準」; (6) 「除外基準」; (7) 「主要統計検定」; (8) 「事前に想定した解析計画」; (9) 「その他注意点」。 SSDSE 研究では、 質問 1 で「No (公開前データを利用)」、 質問 5 で「47 都道府県全件 (公開データのため stopping rule 不要)」と回答。 AsPredicted は OSF より簡潔で、 「最小限の事前登録」として推奨される。
Registered Report (RR) の流れ: (1) Stage 1: 研究計画書 (仮説・方法・解析計画・検出力分析) を執筆; (2) Stage 1 査読 (デザインの妥当性のみ評価、 結果を見ない); (3) In-Principle Acceptance (IPA) を獲得 → 結果に関わらず出版確定; (4) データ収集・解析; (5) Stage 2: 結果と考察を執筆; (6) Stage 2 査読 (計画通りの実施を確認)。 SSDSE のような既存公開データでも RR は適用可能。 採用ジャーナル: Cortex、 European Journal of Personality、 Royal Society Open Science、 BMC Medicine。 IPA を取得した研究の Stage 2 受理率は 95% 以上で、 出版バイアス問題を構造的に解決する。
事前登録した解析計画から逸脱する状況: (a) データ収集中に予期しない事象 (パンデミック、 政策変更); (b) 想定外のサンプル不足; (c) データの分布が前提と異なる; (d) 統計モデルの収束失敗。 逸脱があった場合の対応: (1) 逸脱内容を OSF の事前登録に追記 (deviation report); (2) 論文の方法論セクションで「事前登録 vs 実施」の差異表を作成; (3) 事前登録通りの解析 (primary) と修正解析 (secondary or sensitivity) の両方を報告; (4) 結論への影響を考察。 これにより事前登録の「正直さ」を保ちながら現実的な柔軟性を確保。
SSDSE で 100 指標を分析する研究では、 確証的解析 (例: 主仮説 1-3 個) と探索的解析 (例: 残り 97 指標の関連性探索) を明示区分する。 事前登録テンプレートで「Confirmatory Hypotheses」(事前指定、 補正対象) と「Exploratory Analyses」(事後発見、 仮説生成段階) のセクションを分離。 論文では結果セクションを「主要結果 (確証)」と「探索的発見」に分け、 後者は「仮説生成のための予備分析」と明示する。 探索で発見した強い関係は、 別データセットでの再検証 (split-sample または独立研究) を前提とする。
ベイジアン事前登録は頻度論的事前登録と異なる利点: (1) Stop rule の柔軟性 (Sequential Bayes Factor で BF が閾値に達したら停止可); (2) 事前分布の明示で先験知識を反映; (3) 「効果あり」と「効果なし」を対称的に評価可。 SSDSE で「47 県の高齢化率と保健医療費の相関」を BF で検証する場合、 事前分布として H1: r ~ Cauchy(0, 0.707) を採用し、 Bayes Factor を計算。 BF₁₀ > 10 で「強い証拠あり」、 BF₁₀ < 1/10 で「強い証拠なし」、 中間で「証拠不十分」と判定。 事前登録時に「BF 閾値・事前分布・停止基準」を明記する。
研究例: 「SSDSE で分析を完了し、 p < 0.05 を発見した後に、 OSF に事前登録して『事前登録した』と論文に書く」というアプローチは詐欺的で、 検出されると論文撤回の対象。 OSF はタイムスタンプを記録するため、 データ取得時期と事前登録時期の整合性は監査可能。 正しい対応: (a) 「事後登録」(post-hoc registration) として明示; (b) 「探索的解析」として位置づけ; (c) 別データセットでの再検証を計画。 事前登録の信頼性は「データを見る前である」というタイミングに依存。
OSF への事前登録は Web UI から実施するのが標準だが、 R では osfr パッケージ、 Python では osfclient でプログラマティック登録も可能。 AsPredicted は Web フォーム専用。 検出力分析と事前登録の連動: G*Power → OSF テンプレートに記載。 ベイジアン事前登録: R の BFDA、 Python の BayesFactorDesign。 multiverse analysis (事前登録の感度分析): R の multiverse、 Python の specification_curve。 SSDSE 分析の事前登録テンプレート例は OSF 上の e-stat 関連プロジェクトで公開されている。
Many Labs 1 (Klein et al. 2014) は 13 個の心理学現象を 36 研究室で同時に再現し、 全研究プロトコル・解析計画を事前登録。 結果: 10/13 (77%) の現象が再現、 効果量の地理的変動は小さい (3%-5% の分散)。 事前登録により、 「データを見てからの仮説変更」が排除され、 真の再現性が定量化された。 SSDSE 的に「47 都道府県研究機関での共通プロトコル分析」を組織化すれば、 同様の Many Labs 風研究が可能。
米国経済学会 (AEA) は 2013 年から RCT Registry を運営し、 開発経済学・労働経済学のフィールド実験を必須登録。 2024 年時点で 5000 件以上の試験が登録され、 研究の透明性と再現性が向上。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた政策評価でも、 e-Stat の周辺で同様の registry を整備することで、 政策研究の品質と透明性が向上する。
米国 FDA Modernization Act (1997) により、 米国で実施される全ての NIH 助成試験は ClinicalTrials.gov に事前登録が義務付けられた。 2024 年時点で 50 万件以上の試験が登録され、 出版バイアスを構造的に抑制している。 ICMJE (国際医学雑誌編集者委員会) は事前登録のない試験の主要医学誌掲載を禁止しており、 国際標準として定着。 日本では UMIN-CTR (大学病院医療情報ネットワーク) が同等の役割を果たす。
NeurIPS 2020 から、 オプションとして「ML preregistration」trackが追加された。 仮説検証型の機械学習研究 (例: 「アーキテクチャ A が B より画像認識で良い」) を事前登録し、 公平な比較を実現する。 SSDSE 的なベンチマーク研究でも、 「47 都道府県データでの予測モデル比較」を事前登録することで、 winner's curse を抑制できる。
世界銀行・IPA (Innovations for Poverty Action) は開発援助プログラムの効果を事前登録した RCT で評価する。 例: 教育バウチャー、 マイクロファイナンス、 ベーシックインカム。 SSDSE 的に日本の地方政策 (地方創生交付金、 過疎地対策) を事前登録した上で評価することで、 政策効果の科学的検証が可能になる。 国・自治体の政策評価担当者が事前登録の重要性を理解することが、 EBPM (Evidence-Based Policy Making) の鍵。
研究計画段階での戦略決定: (1) 研究タイプ判定: 確証的 (事前登録必須) vs 探索的 (登録不要、 ただし「探索的」と明示); (2) プラットフォーム選択: OSF (詳細)、 AsPredicted (簡潔)、 ClinicalTrials.gov (医療); (3) テンプレート選択: Standard Preregistration、 Secondary Data Analysis、 Replication Study; (4) 登録項目: 仮説・主要解析・副次解析・除外基準・検出力分析・感度分析; (5) 査読型 RR 検討: Cortex、 RSOS、 BMC Medicine 等を候補ジャーナルとして検討; (6) 登録タイミング: データ収集前 (理想)、 データ分析前 (許容); (7) 逸脱対応: 計画変更があれば deviation report を OSF に追記。
(1) 「事後事前登録」: データを見てから登録し「事前登録した」と主張。 修正: OSF のタイムスタンプで検証可能、 「事後登録」と明示すべき。 (2) 「曖昧な計画」: 「適切な統計検定を行う」のような曖昧な記述。 修正: 具体的な検定名・α 水準・モデルを明記。 (3) 「主要解析の事後変更」: 計画と異なる解析を主要解析として報告。 修正: 計画通りの解析を primary、 変更後を secondary として併記。 (4) 「副次解析の隠蔽」: 計画に含めた副次解析の結果を選別して報告。 修正: 計画した全解析を結果セクションで報告。 (5) 「事前登録の儀式化」: 形式的に登録するが内容を遵守しない。 修正: 査読時に事前登録と論文内容の照合を実施。
SSDSE 分析の事前登録の標準ワークフロー: (1) 研究計画: 仮説・先行研究・SESOI・サンプルサイズ計算を文書化; (2) OSF プロジェクト作成: タイトル・概要・co-investigators を登録; (3) テンプレート選択: Secondary Data Analysis テンプレート (SSDSE は既存公開データのため); (4) 計画書執筆: 仮説、 主要解析 (1-3 個)、 副次解析、 除外基準 (該当なし)、 検出力分析の入力値・出力値を記載; (5) 事前登録の凍結: OSF で Pre-registration を作成、 タイムスタンプで凍結; (6) データ取得: e-Stat から SSDSE-B-2026 をダウンロード (タイムスタンプ記録); (7) 解析実施: 事前登録通りに R/Python スクリプトを実行; (8) 結果報告: 計画した全解析の結果、 効果量、 信頼区間、 p 値を報告; (9) 論文投稿: 事前登録 URL を方法論セクションに明示; (10) 公開: コード・データを GitHub/OSF で公開し、 再現性を保証。 このワークフローを定着させることで、 公的統計データを用いた研究の品質と国際的評価が向上する。
OSF Standard Preregistration Template の 9 セクション: (1) Study Information: タイトル・著者・概要・先行研究; (2) Design Plan: 研究デザイン (実験的・観察的)、 ランダム化・盲検化の有無; (3) Sampling Plan: サンプリング方法、 必要サンプル数、 検出力分析; (4) Variables: 説明変数・被説明変数・潜在変数の操作的定義; (5) Analysis Plan: 主要解析・副次解析・統計モデル・多重比較補正; (6) Hypotheses: 仮説の方向性と効果量; (7) Exclusion Criteria: データ除外条件; (8) Deviations: 想定される逸脱と対応方針; (9) Other: その他注意点。 SSDSE 研究では特に Sampling Plan で「47 都道府県全件 (公開データ)」を明示。
事前登録の品質を評価する指標 (Bakker et al. 2020): (1) Specificity: 仮説と解析が具体的か (例: 「効果あり」vs 「r > 0.3 の正相関」); (2) Verifiability: 査読者が論文を見て事前登録通りかを判定できるか; (3) Hypothesis Direction: 仮説の方向性が明示か (one-tail vs two-tail); (4) Effect Size: 検出すべき効果量の SESOI が明示か; (5) Statistical Plan: 統計モデル・補正方法が具体的か; (6) Exclusion Rules: データ除外の条件が事前指定されているか; (7) Multiple Comparisons: 多重比較への対応が明示か。 これらの 7 項目で「高品質事前登録」を判定。 SSDSE 研究では特に (4) (5) (7) が重要。
事前登録は Open Science (オープンサイエンス) の 4 柱の 1 つ: (1) Open Access: 査読論文の無料アクセス; (2) Open Data: 研究データの公開; (3) Open Source: 解析コードの公開; (4) Open Methodology: 方法論の事前登録と透明な手順記述。 これら 4 つを統合した研究エコシステムが、 学術コミュニティの信頼性と効率性を向上させる。 SSDSE のような公的統計データは Open Data の代表例で、 事前登録 + Open Source の組み合わせで、 公的統計研究の標準を確立できる。
事前登録の普及における課題: (1) キャリアインセンティブの不一致: 査読・採用・昇進が「華やかな発見」を評価する文化; (2) 事前登録への教育不足: 学生・若手研究者への教育が不十分; (3) 柔軟性とのトレードオフ: 事前登録が研究の柔軟性を阻害するとの懸念; (4) 分野固有の事情: 探索的な人文学・芸術研究に事前登録が馴染まない; (5) 国際的なばらつき: 米国・欧州で先行、 アジア・新興国で遅れ; (6) 業界連携: 製薬・テクノロジー業界での事前登録は商業秘密との関連; (7) 査読者の負荷: 事前登録と論文を比較する負荷が増える。 これらの課題に対し、 段階的な制度改革とコミュニティ教育が進められている。
事前登録の経済学的な効果: (1) 研究の社会的価値: 偽陽性の減少で「偽の発見」に基づく無駄な研究投資を抑制; (2) 再現研究の効率: 事前登録された研究は再現しやすい; (3) 政策決定の質: EBPM (Evidence-Based Policy Making) の信頼性向上; (4) 業界での適用: 製薬業界では事前登録が NDA 申請・FDA 承認の質を保証; (5) 研究助成の効率: 助成機関 (NIH、 NSF、 JSPS) が事前登録を助成条件にすることで、 公的資金の効率的配分が可能。 SSDSE のような公的統計データ研究で事前登録を標準化することは、 社会的な研究投資の効率向上に直結する。
2024-2025 年の事前登録の発展: (1) Living Preregistrations: 研究進行に応じて更新可能な事前登録 (with timestamp 変更履歴); (2) AI-Assisted Preregistration: ChatGPT 等で事前登録テンプレート作成補助; (3) Federated Preregistration: 国際協調プロジェクトでの分散事前登録; (4) Blockchain-based Timestamping: タイムスタンプの改竄防止; (5) Differential Privacy with Preregistration: プライバシー保護付き事前登録; (6) Causal Preregistration: 因果推論研究での事前登録 (DAG、 do-calculus); (7) Machine Learning Reproducibility Checklists: ML 分野での事前登録的取り組み; (8) Big Data Preregistration: 大規模データセットでの事前登録 (e-Stat、 Statistics Bureau 等の公的データ)。 SSDSE 研究も、 これらの最新動向を反映した事前登録ワークフローを採用することで、 国際的に通用する研究品質を達成できる。
高品質な事前登録の評価基準 (Lakens 2017): (1) 仮説の明確性: 単一の数学的に検証可能な命題か; (2) 変数の操作的定義: 説明変数・被説明変数の測定方法が具体的か; (3) サンプリング計画: 必要サンプル数と取得方法が明示か; (4) 除外基準: データ除外条件が事前に定義されているか; (5) 主要解析の具体性: 統計検定の種類・α 水準・補正方法が明示か; (6) 副次解析の区分: 主要・副次・探索の階層が明示か; (7) 仮説の方向性: 片側・両側、 効果の方向の予測が明示か; (8) 結果次第での解釈: 各結果パターンでの解釈方針が事前指定か; (9) 逸脱対応: 想定逸脱とその対応方針が明示か; (10) 透明性: 全項目が後から検証可能か。 これらの 10 項目で「高品質事前登録」を判定。
事前登録の普及における心理学的・社会学的側面: (1) 研究者のアイデンティティ: 「発見者」から「検証者」への自己認識の変化; (2) キャリアインセンティブの調整: 採用・昇進評価で事前登録研究を評価; (3) 査読文化の変化: 「結果の華やかさ」より「方法論の妥当性」を重視; (4) 協調的競争: Many Labs 風の協調研究で個人功績と組織貢献のバランス; (5) 負の結果の価値: null result も学術コミュニティに貢献する文化; (6) 世代間の差: 若手研究者は事前登録に抵抗が少ない傾向; (7) 分野文化の差: 物理学 (予報重視) vs 心理学 (探索重視) の文化的差。 これらの社会学的側面を考慮した制度設計が必要。
事前登録の有名な実例: (1) Many Labs 1 (Klein et al. 2014): 13 個の心理学現象を 36 研究室で再現; (2) Many Labs 2 (Klein et al. 2018): 28 個の現象を 125 研究室で再現; (3) Pipeline Project (Schweinsberg et al. 2016): 同じデータを 25 研究チームが独立分析; (4) Crowdsourcing Replication Project: 経済学の RCT 再現; (5) EEG Many Labs: 神経科学の脳波研究; (6) Psychological Science Accelerator: 国際協調で心理学研究; (7) RECOVERY Trial (COVID-19): 英国の事前登録 RCT で hydroxychloroquine 効果なしを確証; (8) RCT Registry (AEA): 経済学の開発研究; (9) SSDSE 統計データ解析コンペ: 公的統計データの事前登録的研究を促進; (10) OSF Featured Projects: OSF の優良事例集。
事前登録 vs Registered Report の比較: (1) 事前登録 (Preregistration): OSF/AsPredicted に登録、 査読は通常通り、 結果次第で出版される; (2) Registered Report (RR): 査読型事前登録、 結果を見ずに Stage 1 査読、 IPA 取得後は結果に関わらず出版確定。 RR の利点: (a) 出版バイアスを構造的に解決; (b) 査読者のフィードバックで研究設計が改善; (c) null result も価値ある貢献として出版可能。 RR の制約: (a) Stage 1 査読に時間がかかる (3-6 ヶ月); (b) 採用ジャーナルが限定的; (c) 急速な発展分野では不向き。 SSDSE 研究では、 公的統計データの安定性から、 RR が特に適している。
各国・各分野での事前登録の普及状況: (1) 米国: NIH・NSF が助成条件として事前登録を推奨、 ClinicalTrials.gov が義務; (2) 欧州: Plan S で Open Access 義務化、 EU の Horizon Europe で事前登録推奨; (3) 英国: UK Reproducibility Network が事前登録を推進; (4) 日本: 日本心理学会・日本社会心理学会が事前登録ガイドライン、 UMIN-CTR は医療試験で標準; (5) 中国: 国家自然科学基金で再現性向上のための事前登録の動き; (6) インド: ICMR (医学研究評議会) で臨床試験の事前登録; (7) オーストラリア: ANZCTR (Australian New Zealand Clinical Trials Registry); (8) ブラジル: ReBEC (Brazilian Registry of Clinical Trials)。 国際的に事前登録が学術研究の標準となりつつある。
主要な事前登録プラットフォームの比較: (1) OSF (Open Science Framework): 包括的な研究管理プラットフォーム、 詳細テンプレート、 無料、 タイムスタンプ保証、 OSF Preregistration が標準; (2) AsPredicted: 短文型 (9 質問)、 簡潔さ重視、 Pennsylvania 大学運営、 心理学・行動経済学で広く使用; (3) ClinicalTrials.gov: 米国 NIH 運営、 医療試験で義務、 50 万件以上の試験を登録; (4) UMIN-CTR: 日本の医療試験レジストリ、 大学病院医療情報ネットワーク; (5) ANZCTR: 豪・NZ の臨床試験レジストリ; (6) AEA RCT Registry: 米国経済学会の RCT 専門レジストリ; (7) EGAP: 政治学のフィールド実験レジストリ; (8) SREE Registry: 教育研究のレジストリ。 SSDSE 研究では OSF (詳細) または AsPredicted (簡潔) を選択するのが一般的。
事前登録の実務的な落とし穴と対策: (1) 曖昧な記述: 「適切な統計検定」「主要解析」のような曖昧な記述。 対策: 具体的な統計検定名・モデル・補正方法を明記。 (2) サンプルサイズの根拠なし: 「47 都道府県」だけでは不十分。 対策: 検出力分析の入力値・出力値を明示。 (3) 仮説の方向性が不明: 片側 vs 両側、 効果の予測方向が不明。 対策: 「H1: r > 0.3」のように方向を明示。 (4) 除外基準の事後変更: データを見てから除外基準を変える。 対策: 事前に除外基準を明示し、 逸脱時は deviation report。 (5) 副次解析の隠蔽: 計画した副次解析の結果を選別。 対策: 全計画解析を結果セクションで報告。 (6) 結果次第の解釈変更: 仮説と異なる結果が出た時の解釈を後付け。 対策: 各結果パターンでの解釈方針を事前指定。 (7) 事後事前登録: データを見てから登録。 対策: OSF のタイムスタンプで自動検証、 倫理的禁忌。
事前登録は単なる「手続きの追加」ではなく、 研究文化全体に深い影響を与えてきた。 2010 年代以前は「研究は結果次第」「予想外の発見が論文の価値」という文化が主流だったが、 2020 年代には「研究は方法論の透明性次第」「予測通りでも null result でも学術的に価値ある」という文化への移行が進んでいる。 この文化変革を支える要素には、 研究助成機関の方針 (NIH の事前登録推奨、 NSF の Data Management Plan)、 学術誌のポリシー (Registered Report の採用、 TOP Guidelines の遵守)、 大学・研究機関の評価制度 (DORA 宣言、 研究品質指標の多様化)、 専門学会の主導 (心理学界・経済学界・神経科学界での事前登録ガイドライン)、 若手研究者のリーダーシップ (BITSS、 SIPS、 ReproducibiliTea などのコミュニティ)、 メディアの関心 (Nature、 Science、 Atlantic などでの特集記事)、 政策的支援 (UK の Reproducibility Network、 EU の Plan S) などがある。 これらの変革は段階的かつ非線形的に進んでおり、 分野によって普及度が異なる。 心理学・神経科学では事前登録がほぼ標準となっている一方、 人文学・芸術研究では概念自体の適用が議論中である。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた研究は、 元データが公開済みで Secondary Data Analysis のテンプレートが適用しやすく、 統計データ解析コンペのような取り組みが日本の研究文化変革に寄与している。 学生・若手研究者がコンペを通じて事前登録の実践を学ぶことで、 次世代の研究者層に事前登録文化が浸透する。 大学院教育、 学部教育、 さらには高校・中学校のデータサイエンス教育まで含めた、 統計リテラシーと事前登録教育の統合的カリキュラム設計が、 長期的な研究品質向上の鍵となる。 教育現場では、 OSF テンプレートの実演、 G*Power による検出力分析の演習、 事前登録の査読シミュレーション、 逸脱対応のロールプレイ、 multiverse analysis による感度評価などの実践的なトレーニングが効果的とされている。 これらの教育実践により、 事前登録は「特別な努力」ではなく「研究の標準的な実施手順」となる。
SSDSE-B-2026 を用いた事前登録研究の総合的実装フロー: ステップ 1: 「研究テーマの選定」では、 確証的研究 vs 探索的研究を明確化、 主要仮説 1-3 個を選定。 ステップ 2: 「先行研究レビュー」では、 効果量の事前推定、 サンプルサイズ計算の根拠を確立。 ステップ 3: 「OSF プロジェクト作成」では、 タイトル・概要・co-investigators・ライセンスを設定。 ステップ 4: 「テンプレート選択」では、 SSDSE のような公開データには Secondary Data Analysis テンプレート、 仮説検証なら OSF Standard テンプレート、 簡潔さ重視なら AsPredicted を選択。 ステップ 5: 「計画書執筆」では、 仮説 (方向性明示)、 主要解析 (統計検定・α・補正)、 副次解析、 除外基準、 検出力分析の入力値・出力値、 結果次第の解釈方針、 想定逸脱と対応を記載。 ステップ 6: 「内部査読」では、 共著者・指導教員・統計コンサルタントによる事前査読、 修正。 ステップ 7: 「事前登録の凍結」では、 OSF で Pre-registration を作成、 タイムスタンプで凍結 (Embargo オプションも検討)。 ステップ 8: 「データ取得」では、 e-Stat から SSDSE-B-2026 をダウンロード、 タイムスタンプとファイル MD5 ハッシュを記録、 raw データを read-only で保存。 ステップ 9: 「解析実施」では、 事前登録通りに R/Python スクリプトを実行、 結果を再現可能な形で保存。 ステップ 10: 「結果報告」では、 計画した全解析の結果、 効果量、 信頼区間、 p 値を表形式で報告。 ステップ 11: 「論文執筆」では、 方法論セクションに事前登録 URL を明示、 計画通りの実施と逸脱があれば透明に記載。 ステップ 12: 「公開」では、 GitHub でコード公開、 Zenodo で DOI 付き永続保存、 OSF にメタデータと結果を統合。 このフローを定着させることで、 SSDSE 研究は国際的に通用する事前登録基準を達成する。 公的統計データを用いた研究で事前登録のベストプラクティスを示すことは、 日本の学術コミュニティ全体の研究品質向上に寄与する。 また、 学生・若手研究者のキャリア形成にとっても、 事前登録の実践経験は国際的な研究機関への就職、 助成申請、 査読対応において重要なスキルとなる。
事前登録を体系的に習得することは、 現代研究者の方法論的成熟の重要な段階である。 学部レベルでは「OSF へのテンプレート記入」程度だが、 大学院レベルでは、 事前登録の哲学的背景 (確証 vs 探索)、 OSF Standard / AsPredicted / Registered Report の使い分け、 計画からの逸脱への対応、 multiverse analysis との統合、 ベイジアン事前登録 (BFDA)、 因果推論での事前登録 (DAG、 do-calculus)、 機械学習での事前登録 (ML Reproducibility Checklists) など、 多岐にわたる学習内容を習得する必要がある。 こうした方法論的成熟は、 単なる「手続きの実行」を超えて、 「研究設計全体の透明性確保能力」を意味する。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた研究で事前登録を実践することで、 学生・研究者は実データに対する研究設計の感覚を磨き、 国際的に通用する方法論的多角性を獲得できる。 公的データを活用した教育プログラムは、 公的統計データの社会的価値を最大化する重要な取り組みでもあり、 統計データ解析コンペのような取り組みは、 統計教育・データサイエンス教育の中核として、 学術と社会の橋渡し役を果たしている。 学生・若手研究者がこうした実践経験を通じて研究文化に貢献することは、 日本の学術コミュニティの長期的競争力向上に直結し、 公的統計データを用いた研究の品質と国際的評価を高めていく。
事前登録 (preregistration) は、 研究開始前に仮説・解析計画を公開プラットフォーム (OSF、 AsPredicted、 ClinicalTrials.gov など) に登録し、 タイムスタンプで凍結する研究実践である。 本稿で示してきた内容を統合すると、 (1) 事前登録の本質は「データを見る前に解析計画を固定すること」で、 p ハッキング・HARKing を防止する強力なツール、 (2) OSF Standard、 AsPredicted、 Secondary Data Analysis、 Replication Study などのテンプレートがある、 (3) Registered Report (査読型事前登録) は出版バイアスを構造的に解決する画期的仕組み、 (4) 仮説・主要解析・副次解析・除外基準・検出力分析・補正方法を具体的に記載する、 (5) 計画からの逸脱があれば deviation report で透明に報告、 (6) 探索的解析は「仮説生成」として明示区分、 (7) 1997 年 FDA Modernization Act から始まり、 2012 年 OSF 設立、 2013 年 Registered Report 提唱、 2024 年に多数のジャーナル・助成機関で採用、 (8) SSDSE-B-2026 のような公開データには Secondary Data Analysis テンプレートが適切、 (9) 経済学・心理学・医学・神経科学・機械学習など分野別ベストプラクティスがある、 (10) Living Preregistration、 AI-Assisted、 Causal Preregistration などの最新動向、 などのポイントが理解できる。 これらを実践的に SSDSE データに適用することで、 学生・研究者は事前登録の概念を実データに対する具体的な研究実践へと結びつけることができる。 公的統計データ研究での事前登録の標準化は、 日本の学術コミュニティの研究文化向上、 政策研究の信頼性向上、 国際的な研究品質基準への適合、 という多面的な貢献をもたらす。
事前登録の実践は、 統計データ解析コンペのような実践的な学習プログラムで効果的に習得できる。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いたコンペでは、 学生が「データを見る前に解析計画を凍結する」事前登録の本質を体験的に学ぶことができる。 具体的な学習プロセスとして、 (1) 研究テーマの選定 (確証的 vs 探索的の区分)、 (2) 先行研究レビューと効果量の事前推定、 (3) OSF または AsPredicted での事前登録テンプレートの作成、 (4) 検出力分析の入力値・出力値の明示、 (5) 主要解析・副次解析・除外基準の事前指定、 (6) データ取得と解析の実施、 (7) 結果報告と論文執筆、 (8) GitHub/OSF/Zenodo での永続公開、 という一連のワークフローを体験することで、 事前登録が単なる「手続きの追加」ではなく「研究設計の中核」であることを理解できる。 教員側のサポートとして、 (a) OSF Standard Preregistration Template の各項目を解説、 (b) AsPredicted の 9 質問形式の特徴を説明、 (c) 検出力分析と事前登録の連動を実例で示す、 (d) 計画からの逸脱への対応方法を演習する、 (e) Registered Report の Stage 1/Stage 2 査読プロセスをロールプレイする、 などの取り組みが効果的。 こうした教育実践により、 次世代の研究者層に事前登録の正しい理解と実践能力が浸透し、 日本の学術コミュニティの研究文化が国際的標準に近づく。 公的統計データを活用した教育プログラムは、 公的データの社会的価値を最大化する重要な取り組みでもあり、 SSDSE のような取り組みは、 統計教育・データサイエンス教育の中核として、 学術と社会の橋渡し役を果たしている。 学生・若手研究者がコンペを通じて事前登録の実践経験を積むことは、 国際的な研究機関への就職、 助成申請、 査読対応において重要なスキルとなる。 また、 事前登録された研究は再現性が高く、 引用されやすく、 政策的に活用されやすいため、 研究者のキャリア形成にも長期的なメリットをもたらす。 学術コミュニティ全体で事前登録を標準化することは、 「再現性のある研究」を社会に提供する責任を果たすこと、 と位置づけられ、 公的助成 (内閣府、 文部科学省、 JSPS) で資金提供される研究の品質保証は、 納税者に対する説明責任の一環でもある。
事前登録の運用には様々なチャレンジがあり、 それぞれに対する解決策が議論されている。 第 1 のチャレンジは「曖昧な記述問題」で、 「適切な統計検定」「主要解析」のような曖昧な記述では、 後から「計画通り」を主張できない。 解決策: OSF Standard Preregistration Template の 9 項目を具体的に記載、 統計検定名・α 水準・モデル・補正方法を明示する。 第 2 のチャレンジは「計画からの逸脱」で、 データ収集中や解析中に予期しない事象 (パンデミック、 計測ミス、 サンプル不足) で計画通りに進まない場合がある。 解決策: OSF の事前登録に deviation report を追記、 「事前登録通りの解析」と「修正解析」の両方を結果セクションで報告する。 第 3 のチャレンジは「探索的解析の扱い」で、 事前登録した解析だけでは見落とした重要な関係を発見できない。 解決策: 結果セクションを「Confirmatory Analyses」(事前登録)、 「Exploratory Analyses」(事後発見) に明示分割、 探索的発見は「仮説生成」として位置付ける。 第 4 のチャレンジは「サンプル不足」で、 SSDSE のような固定 n=47 のデータでは検出力が不足することがある。 解決策: 効果量の SESOI を保守的に設定、 multiverse analysis で結果のロバストネスを評価、 別データセット (前年度) で再検証。 第 5 のチャレンジは「事後事前登録の誘惑」で、 データを既に見た後に「事前登録した」と主張する誘惑がある。 解決策: OSF のタイムスタンプで自動検証、 倫理的にも禁忌として教育、 SSDSE のような公開データの場合は「データ公開前 vs 公開後」を明示。 第 6 のチャレンジは「査読者の評価負荷」で、 事前登録と論文を比較する査読者の負担が増える。 解決策: 査読時間の確保、 標準化されたチェックリスト (TOP Guidelines、 PRISMA、 STROBE) の活用、 Registered Report での Stage 1/Stage 2 分離。 第 7 のチャレンジは「分野文化の差」で、 探索的な人文学・芸術研究では事前登録が馴染まない。 解決策: 分野固有のテンプレートを開発、 「事前登録の柔軟な適用」を許容する制度設計、 「探索的研究」と「確証的研究」を明示区分する文化を醸成。 第 8 のチャレンジは「競争的研究分野での先行公開リスク」で、 事前登録は仮説と解析計画を公開するため、 競合研究者に先回りされる懸念がある。 解決策: OSF の Embargo オプション (1-2 年の非公開期間)、 部分的な公開、 共同研究での競争緩和。 これらのチャレンジと解決策を理解することで、 事前登録は「理想的な手続き」から「現実的に運用可能な研究実践」へと位置づけが変化する。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた研究で、 これらの運用上のチャレンジを意識した事前登録を実施することは、 学生・研究者の実践的なスキル習得と、 公的統計データ研究の品質向上の両面に寄与する。 統計データ解析コンペのような取り組みは、 こうした実践的な事前登録経験を積む重要な場として、 日本の学術コミュニティの長期的な研究品質向上に貢献する。
事前登録のベストプラクティスは分野によって異なる。 医療試験では、 ICH E9 (R1) ガイドライン (2019) に基づく Estimands framework が標準で、 主要評価項目・副次評価項目・サブグループ解析・感度分析を ClinicalTrials.gov または UMIN-CTR に登録する。 適応的デザイン (adaptive design) では、 中間解析の規則とサンプルサイズ再計算の条件を事前に明示する。 心理学では、 OSF Standard Preregistration テンプレートが標準で、 仮説・主要解析・副次解析・除外基準・検出力分析を詳細に記載する。 Registered Report (Cortex、 Royal Society Open Science、 BMC Medicine など) の活用も推奨される。 経済学では、 AEA RCT Registry が開発経済学・労働経済学のフィールド実験の標準で、 介入の詳細・アウトカム指標・解析計画を登録する。 EGAP (Evidence in Governance and Politics) は政治学のフィールド実験で広く使われる。 教育研究では、 IES (Institute of Education Sciences) と SREE (Society for Research on Educational Effectiveness) が事前登録の標準を確立しており、 教育介入・学力評価・教師研修の研究で活用される。 機械学習では、 NeurIPS の ML Preregistration、 Papers with Code、 ML Reproducibility Challenge が事前登録的取り組みとして広まっている。 仮説検証型 ML 研究 (アーキテクチャ A vs B の優位性検証) で特に有効。 神経科学では、 Registered Report が Cortex、 European Journal of Neuroscience、 Royal Society Open Science などで採用されている。 fMRI 研究での voxel-wise 解析、 multiverse analysis、 cluster-level inference の事前登録が標準化されつつある。 公衆衛生・疫学では、 観察研究・コホート研究・症例対照研究の各々で異なる事前登録テンプレートが提案されており、 STROBE ガイドライン (Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology) と組み合わせて使われる。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた政策研究では、 Secondary Data Analysis テンプレートが適しており、 仮説・主要解析・サンプル制約・補正方法を明示することで、 公的統計データ研究の品質と国際的評価が向上する。 これらの分野別ベストプラクティスを横断的に理解することで、 学生・研究者は自分の研究分野に最適な事前登録方法を選択できる。 統計データ解析コンペのような取り組みでは、 SSDSE データを用いた事前登録の演習を通じて、 学生がこれらのベストプラクティスを実践的に学ぶ機会を提供する。
事前登録は、 研究実践の単なる手続き的改善ではなく、 学術コミュニティ全体に深い長期的影響を与える構造的変革である。 第 1 に、 出版バイアスの構造的解決に寄与する。 事前登録された研究は、 結果に関わらず出版される可能性が高まることで、 「華やかな結果」のみが公開される選択的出版の問題が緩和される。 特に Registered Report の制度は、 Stage 1 で査読・採択された研究が結果に関わらず Stage 2 で出版されるため、 出版バイアスを根本から解決する強力な仕組みとなっている。 第 2 に、 p ハッキング・HARKing の防止に寄与する。 仮説と解析計画が事前に凍結されることで、 「データを見てから仮説を作る」「結果次第で解析を変える」といった不誠実な実践が物理的に困難となる。 第 3 に、 メタアナリシスの品質向上に寄与する。 事前登録された研究を統合するメタアナリシスは、 個別研究の品質保証があるため、 結論の信頼性が高い。 第 4 に、 政策決定の信頼性向上に寄与する。 EBPM の文脈で事前登録された政策評価研究は、 単なる p 値の羅列より遥かに高い社会的信頼を獲得する。 SSDSE-B-2026 のような公的統計データを用いた政策研究で事前登録を標準化することは、 日本の政策決定プロセスの質を向上させる重要な要素となる。 第 5 に、 国際協調研究の品質基準として機能する。 Many Labs、 Psychological Science Accelerator などの国際大規模プロジェクトでは、 事前登録が共通言語として機能し、 異なる国・グループの研究結果を比較可能にする。 第 6 に、 研究者のキャリア形成と評価制度を変革する。 「論文数」より「研究の透明性と再現性」が評価される時代に向けて、 事前登録の経験は重要な指標となる。 DORA 宣言の採択により、 研究機関の評価制度が多面的になる流れと整合的である。 第 7 に、 学術出版エコシステムの健全性に寄与する。 Registered Report の普及で、 査読者がデータと結論ではなく方法論を評価する文化が定着し、 査読プロセスの建設性が向上する。 第 8 に、 統計教育における事前登録の位置づけが変化する。 2010 年代までは「上級トピック」だった事前登録は、 2020 年代には学部統計学・データサイエンスの標準カリキュラムに含まれることが増え、 統計リテラシーの基礎となっている。 これらの長期的影響を考慮すると、 事前登録は単なる「手続きの追加」ではなく、 「学術コミュニティの構造的変革のための核心ツール」として位置づけられる。 今後 10 年で予想される未来展望として、 (1) Living Preregistrations による研究の動的更新、 (2) AI-Assisted Preregistration での自動補助、 (3) Federated Preregistration による国際協調、 (4) Blockchain-based Timestamping による改竄防止、 (5) Differential Privacy 統合、 (6) Causal Preregistration による因果推論の事前登録、 (7) ML Reproducibility Checklists の進化、 (8) Big Data Preregistration の標準化、 などが進展することが期待される。 SSDSE 研究もこれらの最新動向を反映した事前登録ワークフローを採用することで、 国際的に通用する研究品質を達成し、 日本の学術コミュニティの長期的競争力向上に寄与することができる。 公的統計データを用いた研究で事前登録のベストプラクティスを示し、 学生・若手研究者に教育することは、 次世代の研究者層に事前登録文化を浸透させる重要な取り組みとなる。
事前登録 を中心に、 関連概念のネットワークを整理:
事前登録は仮説・解析計画を実験前に公開する手続きで、 再現性危機・p ハッキング・出版バイアスへの対策として広まった。
SSDSE-B-2026 を用いた演習では、 「事前登録」 を中核に据えて上記の上流・並列・下流の手法を実データで連結する経験を積むと、 単独の手法暗記より実務的応用力が身につく。
「事前登録」を実際に使うとき、 何をどう選ぶかを順に判断する。 上から順に答えていくと、 使うべき手法と評価の仕方が決まる。
事前登録は「あとから物語を作らない」ための仕組み。 結果が予想と違ったときこそ、 先に書いた計画が結論を守ってくれる。