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t-SNE
t-Distributed Stochastic Neighbor Embedding
次元削減

🔖 キーワード索引

t-SNEt-Distributed Stochastic Neighbor Embedding次元削減

本ページは t-SNE(t-Distributed Stochastic Neighbor Embedding)を多角的に解説します。 上のチップは、 検索・関連語の手がかりです。

💡 30秒で分かる結論

🍰 まずはやさしく

複雑なデータを地図にする道具です。

データのまとまりを視覚的に見るために使います。

スマホのアプリを種類別に分けるようなイメージです。

この章ではt-SNEの結論を学びます。

📍 文脈 — どこで使う概念か

🍰 まずはやさしく

たくさんの情報を整理する手法です。

数多くの項目を2次元の図にするために使います。

部活のメンバーを性格や能力で分ける時に便利です。

この章ではt-SNEを使う場面を学びます。

t-SNE(t-distributed Stochastic Neighbor Embedding)は、 高次元データの可視化のデファクトスタンダード。 単細胞 RNA-seq、 単語埋め込み、 画像特徴量など、 「数百〜数千次元のデータを 2 次元で見たい」場面で活躍。 ただし「クラスタ間の距離」を素朴に解釈すると誤るので、 使い方の注意が多い手法でもあります。

🎨 直感で掴む — 具体例で理解する

🍰 まずはやさしく

似たもの同士を近くに集める仕組みです。

データの隠れたグループを見つけるために使います。

似た好みの友達が自然に集まる様子に似ています。

この章ではt-SNEの直感的な仕組みを学びます。

t-SNE の発想:

  1. 高次元空間で「点 $i$ が点 $j$ の近傍である確率」$p_{ij}$ を計算
  2. 低次元空間で同様に $q_{ij}$ を計算
  3. 2 つの確率分布の KL ダイバージェンスを最小化するように低次元の点を配置

結果として:近い点は近く、 遠い点は遠く配置される。 ただし「2 つのクラスタの間の距離」は 意味なし(perplexity 等で歪む)。

用途:単語ベクトル(Word2Vec)の可視化、 細胞種の発見、 画像特徴量のクラスタ確認、 異常検知の探索。 ML パイプラインの 探索ツールとして強力。

🎨 もう一歩深く — t-SNE が解こうとしている問題

t-SNE が登場する以前、 高次元データの可視化は PCA(主成分分析)が標準でした。 しかし PCA は線形な手法で、 「曲がった多様体」(例: スイスロール状の構造)を平面に展開できません。 一方 t-SNE は 確率分布の保存という発想で、 非線形な近傍関係を 2D に押し込みます。

具体的に考えるべき問題:たとえば SSDSE-B-2026 の 47 都道府県データには、 人口・出生率・死亡率・年平均気温・小売店数など 100 以上の指標があります。 これを 2D に落とすとき、 単純な PCA では「人口が大きい東京・大阪・神奈川」が一方に偏り、 細かい地域差は潰れます。 t-SNE は 近い県は近く、 遠い県は遠く配置することに集中するため、 「東北の県が一塊り」「九州が一塊り」のような地理・社会的近接構造を可視化できる場合があります。

ただし t-SNE は 大域構造を保証しません。 「東北クラスタと九州クラスタの距離」は perplexity の値次第で大きく変動します。 これが後述の落とし穴の核心です。

対比表:PCA / t-SNE / UMAP

手法線形性大域構造速度新規データ投影主用途
PCA線形○ 完全保存非常に速い○ 可能分散保存・前処理
t-SNE非線形△ 弱い遅い(O(n²))× 不可可視化のみ
UMAP非線形○ 比較的保持速い○ 可能可視化+特徴抽出
MDS線形/非線形○ 距離行列保存遅い△ 限定的距離行列ベース
Isomap非線形○ 測地距離遅い○ 可能多様体学習

🎨 可視化テクニック — 美しい t-SNE 図を作る

⏱ パフォーマンスベンチマーク(参考)

n(点数)dimsklearn 標準openTSNEUMAP
100500.5 秒0.3 秒2 秒
1,000502 秒1 秒3 秒
10,000502 分15 秒10 秒
100,000502 時間5 分30 秒
1,000,00050非実用1 時間5 分

数値は CPU 1 コアでの目安。 GPU(cuML 等)を使えば 10-100 倍速。 「100 万点の可視化」は 2026 年現在 UMAP / cuML の独擅場です。

📊 SSDSE-B-2026 詳細 — 教材として使いやすい列

SSDSE-B-2026 は 「社会・人口統計体系」の都道府県データ(独立行政法人 統計センター提供)で、 t-SNE の教材として理想的です。 47 都道府県 × 100 以上の指標。

人口統計セクション(A 列)

列コード意味典型値範囲
A1101総人口540,000(鳥取)〜 14,000,000(東京)
A1102日本人人口総人口 × 0.97〜0.99
A130115 歳未満人口総人口 × 11-15%
A130215-64 歳人口総人口 × 56-60%
A130365 歳以上人口総人口 × 25-37%
A4101出生数3,000(鳥取)〜 100,000(東京)
A4103合計特殊出生率0.99(東京)〜 1.60(沖縄)※2023年実測
A4200死亡数8,290(鳥取)〜 137,241(東京)※2023年実測
A5101転入者数5,000〜 400,000
A5102転出者数5,000〜 380,000
A9101労働力人口(千人)20〜 800

📝 より正確な分析: SSDSE-B-2026 の実ヘッダでは A4200 は「死亡数」(2023 年: 8,290〜137,241 人)であり、 合計特殊出生率は A4103(2023 年: 0.99〜1.60)です。 列コードは必ず CSV の 2 行目(日本語ヘッダ)で意味を確認してから使いましょう。

気候・地理セクション(B 列)

列コード意味典型値範囲
B4101年平均気温(℃)9(北海道)〜 23(沖縄)
B4102年最高気温30〜 38
B4103年最低気温−15(北海道)〜 +15(沖縄)
B4106年降水量(mm)800〜 3,000

経済・産業セクション(F・J 列)

列コード意味典型値範囲
F3101事業所数10,000〜 700,000
F3102従業者数100,000〜 9,000,000
J2503小売店数5,000〜 130,000
J2505飲食店数3,000〜 80,000

医療・教育セクション(I・E 列)

列コード意味典型値範囲
I510120一般病院数50〜 700
I5102診療所数500〜 14,000
E1101幼稚園数30〜 1,200
E1301小学校数100〜 1,500
E1501中学校数50〜 800
E2101高等学校数30〜 500

これらの列を組み合わせて t-SNE することで、 「人口だけでなく気候・経済・医療・教育で見た都道府県の類型化」が可能。 教材として様々な切り口の演習が組めます。

📈 PCA / t-SNE / UMAP / PHATE 詳細比較

性質PCAt-SNEUMAPPHATE
線形/非線形線形非線形非線形非線形
近傍保存×
大域構造×
連続的構造×
計算速度◎ 最速× 遅い○ 速い
新規データ投影××
ハイパラ数01(perp)2(neigh, min_dist)2-3
主用途前処理・軸解釈クラスタ可視化可視化+特徴抽出連続軌跡解析
理論的基礎分散最大化KL 最小化ファジー位相拡散
scikit-learn 標準×(外部)×(外部)

使い分けの目安:

🎭 拡張例 — t-SNE と他手法を組み合わせる

パターン 1: PCA + t-SNE(高次元データ)

2000 次元以上のデータ(scRNA-seq、 画像 CNN 特徴量)では、 まず PCA で 50 次元に圧縮、 その後 t-SNE で 2 次元へ。 これによりノイズ除去と計算速度の両立が可能。 「PCA で 50 → t-SNE で 2」が定番ワークフロー。

パターン 2: t-SNE + HDBSCAN(クラスタリング)

t-SNE で 2D 埋め込み → HDBSCAN(密度ベースクラスタリング)で自動的にクラスタ数を決定。 k-means と違い「クラスタ数を事前に指定不要」「形状自由」というメリット。

パターン 3: t-SNE + 線形回帰(軸への意味付け)

t-SNE 軸自体に意味はないが、 各点に 外部変数(例: SSDSE の「高齢化率」)を持たせ、 「軸方向にどの変数が変化するか」を回帰で調べる。 「右に行くほど高齢化が進む」のような 事後的な軸解釈が可能。

パターン 4: t-SNE + Plotly(インタラクティブ)

t-SNE 結果を plotly.express の散布図にすると、 マウスホバーで都道府県名・元の値が表示できます。 ダッシュボードや論文補助資料として有効。

📜 学術的文脈 — t-SNE 論文の位置づけ

2008 年の van der Maaten & Hinton 論文(JMLR)は、 2024 年時点で 引用数 4 万件超。 機械学習・バイオインフォマティクス分野のトップ引用論文の 1 つです。

特に scRNA-seq 分野では、 2014-2019 年の主要論文の 9 割が t-SNE 図を含む状況でした。 2020 年以降は UMAP に置き換わりつつありますが、 t-SNE の概念的影響は揺るがず、 「確率分布の保存」というアイデアは UMAP・PaCMAP・TriMap といった後継手法すべてに継承されています。

Hinton は深層学習・カプセルネットワーク等で著名なトロント大学(後に Google Brain)の研究者で、 2024 年に「物理学のニューラルネットへの貢献」でノーベル物理学賞を受賞。 t-SNE はその主要業績の 1 つです。

🎁 追加のヒント — 実務で役立つ小ネタ

📝 専門用語ミニ辞典 — t-SNE まわりの語彙

Manifold(多様体)
高次元空間に埋め込まれた、 局所的にユークリッド的な低次元構造。 t-SNE が想定するデータの形
Curse of Dimensionality(次元の呪い)
高次元では「中庸距離が大半を占める」現象。 t-SNE の混雑問題の原因
Embedding(埋め込み)
高次元データを低次元空間に対応付けたもの。 t-SNE の出力
KL Divergence
2 つの確率分布の差を測る非対称な指標。 t-SNE のコスト関数
Perplexity
「実効近傍数」を表すハイパラ。 エントロピーの指数
Early Exaggeration
初期段階で確率を α 倍する高速化トリック
Barnes-Hut
N 体問題用の高速アルゴリズム。 t-SNE を O(n log n) に
Crowding Problem(混雑問題)
高次元の中庸距離が低次元中央に潰れる問題。 t 分布で解決
Silhouette Score
クラスタの分離度合いを定量化する指標(-1〜1)
UMAP
Uniform Manifold Approximation and Projection。 t-SNE の後継として 2018 以降標準化
Z-score 標準化
平均 0、 分散 1 にする変換。 t-SNE の必須前処理
Local Structure
「近い点同士の関係」。 t-SNE が保存するもの
Global Structure
「遠い点同士の関係」「クラスタ間距離」。 t-SNE が保存しないもの
openTSNE
t-SNE の派生実装。 新規データ投影が可能
PHATE
拡散ベースの埋め込み。 連続的軌跡に強い

📖 さらに学ぶための読書ガイド

🎓 確認問題セット — 自分の理解を試す

  1. t-SNE は線形手法か非線形手法か。 なぜそう分類されるか説明せよ。
  2. perplexity が「効果的近傍数」を意味する理由を、 エントロピーの式から説明せよ。
  3. t-SNE のクラスタ間距離を信頼してはいけない数学的理由を述べよ。
  4. 低次元側に Student-t 分布を使う理由(混雑問題との関係)を説明せよ。
  5. KL ダイバージェンス $\mathrm{KL}(P\|Q)$ と $\mathrm{KL}(Q\|P)$ の違いと、 t-SNE がどちらを使うか述べよ。
  6. SSDSE-B-2026 を t-SNE する前に、 なぜ標準化が必要か説明せよ。
  7. perplexity=5 と perplexity=50 で結果がどう変わるか定性的に答えよ。
  8. t-SNE と UMAP の最大の違いを 3 つ挙げよ。
  9. t-SNE 後のクラスタリングに k-means と HDBSCAN のどちらが向くか、 理由とともに述べよ。
  10. 論文で t-SNE 図を使うときに明記すべきパラメータを 3 つ挙げよ。

解答は本文中に散りばめられています。 全問正解できれば「t-SNE を実務で使える」レベルに到達した証です。

🎮 触って理解する

下のミニ t-SNE は、 8 次元空間に決定論的に生成した 3 クラスタ(各 16 点・計 48 点)を、 実際の t-SNE と同じ手順で 2D に埋め込みます。 「1 ステップ」または「自動再生」で勾配降下を進めると、 最初はごちゃ混ぜだった点が徐々に 3 つの塊に分離していく様子が見られます。 perplexity学習率を動かして、 見え方がどう変わるかを体感してください。 点をドラッグ(タッチ可)して引き剥がすと、 最適化がまた引き戻す「バネと反発」の力学も観察できます。

クラスタ A クラスタ B クラスタ C
小さいほど「近所」だけを見る(過小だとクラスタが断片化)。 n=48 なので上限は約 n/3=16。
大きすぎると発散して 1 点に潰れたり飛び散る。 小さすぎると収束が遅い。
iteration : 0
KL 損失 :
状態 : 初期配置
perplexity か学習率を変えると自動でリセットして再計算します。

計算の正確さについて: この実装は本物の t-SNE と同じ骨格です。 (1) 高次元でガウス親和性 $p_{j|i}$ を perplexity から二分探索で決める、 (2) 対称化して $p_{ij}$ を得る、 (3) 低次元で自由度 1 の $t$ 分布 $q_{ij}\propto(1+\lVert y_i-y_j\rVert^2)^{-1}$ を使う、 (4) KL ダイバージェンスを勾配降下(モメンタム+ゲイン適応+序盤の early exaggeration)で最小化。 教材用に n=48・8 次元・O(n²) の素朴実装に簡略化しており、 Barnes-Hut 近似や PCA 初期化は省いています。 本質的な挙動(分離・perplexity 依存・確率性)はそのまま再現されます。

🔍 このデモで体感してほしいこと

🚀 発展:UMAP との違い

t-SNE の後継としてよく使われるのが UMAP です。 UMAP は近傍グラフとファジー集合の理論に基づき、 大域構造をより保ちやすく・高速で・新規データを後から投影できるという利点があります。 一方で UMAP にも「クラスタ間距離を鵜呑みにしない」「n_neighbors / min_dist 依存」という t-SNE と共通の注意点があります。 まずはこのデモで t-SNE の力学を掴み、 次に UMAP と比較すると理解が深まります。

関連ページ: PCA(線形次元削減・前処理)UMAP(後継手法)クラスタリング標準化(前処理の必須ステップ)

📐 定義・数式

🍰 まずはやさしく

確率(起こりやすさ)を使った計算方法です。

点と点の距離を正しく配置するために使います。

買い物リストの似ている商品を分ける計算のようなものです。

この章ではt-SNEの数式と定義を学びます。

【高次元の確率(ガウス)】
$$p_{j|i} = \frac{\exp(-\|\mathbf{x}_i - \mathbf{x}_j\|^2 / 2\sigma_i^2)}{\sum_{k \ne i} \exp(-\|\mathbf{x}_i - \mathbf{x}_k\|^2 / 2\sigma_i^2)}$$
$\sigma_i$ は perplexity から決定
【低次元の確率(t 分布)】
$$q_{ij} = \frac{(1 + \|\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j\|^2)^{-1}}{\sum_{k \ne l} (1 + \|\mathbf{y}_k - \mathbf{y}_l\|^2)^{-1}}$$
分母が重い t 分布で「混雑問題」を緩和

📐 もう一歩深い数学 — 混雑問題と t 分布の役割

混雑問題(Crowding Problem)とは、 高次元空間の「中庸な距離」を低次元に押し込もうとすると、 「全てが中央に集まってつぶれてしまう」現象です。 たとえば 100 次元のガウス球面上では、 ほとんどの点ペアが「平均距離付近」に集中します(次元の呪い)。 これを 2 次元に投影すると、 中央が混雑して構造が見えなくなります。

解決策(t 分布の採用): van der Maaten & Hinton (2008) は、 低次元側に 自由度 1 の Student-t 分布を使うことを提案しました。 ガウス分布よりも裾が重いため、 高次元で「中庸距離」だったペアを、 低次元で「遠く」配置するインセンティブが生まれます。

【ガウス vs t 分布】
$$\text{Gauss: } \exp(-d^2 / 2),\quad \text{t (df=1): } (1 + d^2)^{-1}$$
d=3 でガウスは exp(−4.5)=0.011、 t 分布は 1/10=0.1 → 10 倍の確率質量を遠点に与える

この「裾の重さ」が、 t-SNE のクラスタを はっきり分離して見せる魔法の正体です。 同じ仕組みを「自由度 ν を可変にする」よう拡張したのが t-SNE variants(α-t-SNE 等)。

対称化の必要性

条件付き確率 $p_{j|i}$ は 非対称(i から見た j ≠ j から見た i)。 そのままだと最適化が不安定になるため、 対称化します:

【対称化】
$$p_{ij} = \frac{p_{j|i} + p_{i|j}}{2n}$$
これで $p_{ij} = p_{ji}$ かつ $\sum p_{ij} = 1$ という確率分布の性質を満たす

早期誇張(Early Exaggeration)

最適化初期の数百ステップで、 $p_{ij}$ を α 倍(典型 12 倍)して使うテクニックがあります。 これにより「クラスタを最初に強く引き寄せ、 その後ゆっくり緩める」効果があり、 大域構造のロバスト性が高まります。 scikit-learn の early_exaggeration パラメータで制御可能。

Barnes-Hut 近似

素朴実装は O(n²) ですが、 重力多体問題で使われる Barnes-Hut アルゴリズムを応用すると O(n log n) に削減できます。 これにより数万点でも数分で計算可能。 scikit-learn のデフォルト(method='barnes_hut')。

⚙️ ハイパーパラメータ全リスト — sklearn TSNE

パラメータ既定役割調整指針
n_components2出力次元数2D 可視化は 2、 3D は 3、 4 以上は非推奨
perplexity30近傍数の効果的指定5-50、 n < 100 なら n/3 以下
early_exaggeration12.0初期クラスタ強調倍率大データなら 30-50 に上げる
learning_rate'auto'勾配ステップサイズ'auto' は max(N/12, 50)。 旧版互換なら 200
max_iter(旧 n_iter1000最大イテレーション数収束しないときは 3000-5000
n_iter_without_progress300進捗なしで停止する閾値大データなら 500-1000
min_grad_norm1e-7勾配の収束判定通常は触らない
metric'euclidean'高次元側の距離尺度'cosine' / 'manhattan' / カスタム
init'pca'初期配置'pca' 推奨('random' は再現性低)
random_stateNone乱数シード論文では必ず固定(例: 0, 42)
method'barnes_hut'計算アルゴリズムn > 5000 で 'barnes_hut'、 小なら 'exact'
angle0.5BH 法の近似角度0.2-0.8、 大きいと速いが粗い

論文・実務での実用ルール:「perplexity と random_state だけは必ず明示し、 他は既定値」が安全。 細かい調整は学術論文でのチューニングが必要なときのみ。

🆚 t-SNE vs UMAP — どう選ぶか詳細比較

項目t-SNEUMAP勝者
速度(n=10,000)数分数十秒UMAP
速度(n=100,000)困難(時間オーダー)数分UMAP
大域構造保存△ 弱い○ 比較的良いUMAP
局所構造保存◎ 最強○ 良いt-SNE
新規データ投影× 不可transform() ありUMAP
確率モデルの直感○ 明快(KL)△ ファジーシンプリシャル複体(難解)t-SNE
学術的歴史◎ 引用多数(2008-)○ 増加中(2018-)t-SNE
ハイパラ感度perplexity 1 つで揺れるn_neighbors, min_dist で 2 軸互角
scikit-learn 統合◎ 標準umap-learn 別パッケージt-SNE
GPU 加速cuML 等で対応cuML 等で対応互角
「論文での説得力」○ 定番○ 増加中互角

結論: 2026 年現在は「速度」「大域構造」「新規データ投影」の 3 点で UMAP 優位。 ただし t-SNE は 定番として論文比較・既存資産・教育目的で残ります。 新規プロジェクトでは UMAP をデフォルトに、 比較用に t-SNE も併記が現実解。

🔬 記号・要素の読み解き

$p_{ij}$(高次元)
元データでの近傍確率
$q_{ij}$(低次元)
埋め込み先での近傍確率
perplexity
「効果的な近傍数」を指定。 5〜50 が標準。 結果が大きく変わる
t 分布
低次元側に重い裾の分布を使うことで、 遠点を程よく押し離す
KL 発散
2 つの確率分布の差。 これを最小化
iteration
通常 1000 ステップ程度で収束

🔬 数式を言葉で読み解く — t-SNE の 3 ステップ

ステップ 1: 高次元側の近傍確率を作る。 各点 $\mathbf{x}_i$ に対して、 「ガウスカーネル」で他の点との近さを 確率に変換します:

【高次元 — 条件付き確率】
$$p_{j|i} = \frac{\exp(-\|\mathbf{x}_i - \mathbf{x}_j\|^2 / 2\sigma_i^2)}{\sum_{k \ne i} \exp(-\|\mathbf{x}_i - \mathbf{x}_k\|^2 / 2\sigma_i^2)}$$
$\sigma_i$ は各点ごとの「近傍幅」。 密な領域では小さく、 疎な領域では大きくなる

この $\sigma_i$ は perplexity という入力値から決まります。 perplexity は概ね「各点が何個の近傍を持つと考えるか」の指定(5〜50 が標準)。

ステップ 2: 対称化。 $p_{ij} = \frac{p_{j|i} + p_{i|j}}{2n}$ で対称な確率にします。 これで「i から見た j の近さ」と「j から見た i の近さ」が均等になります。

ステップ 3: 低次元側の確率(t 分布)。 出力空間 $\mathbb{R}^2$ の点 $\mathbf{y}_i$ に対し、 自由度 1 の Student-t 分布を用いて:

【低次元 — t 分布カーネル】
$$q_{ij} = \frac{(1 + \|\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j\|^2)^{-1}}{\sum_{k \ne l} (1 + \|\mathbf{y}_k - \mathbf{y}_l\|^2)^{-1}}$$
「裾が重い」分布なので、 高次元での遠点を低次元でさらに遠く押しやる効果がある(混雑問題の解決)

最適化: $p$ と $q$ の差を Kullback-Leibler ダイバージェンスで測り、 これを最小化するように $\mathbf{y}_i$ を勾配降下で動かします:

【コスト関数 — KL ダイバージェンス】
$$C = \mathrm{KL}(P \| Q) = \sum_i \sum_j p_{ij} \log \frac{p_{ij}}{q_{ij}}$$
$p_{ij}$ が大きいのに $q_{ij}$ が小さいと大きなコスト → 高次元で近かった点を低次元でも近く配置するインセンティブ

KL は非対称なので、 「高次元で近い→低次元でも近く」は重く罰せられますが、 「高次元で遠い→低次元で近い」は軽い罰しか付きません。 これが「t-SNE は局所構造を優先」する数学的根拠です。

勾配の直感

KL を $\mathbf{y}_i$ について微分すると、 各点に「引っ張り合う力」と「押し離す力」の合力が働きます:

【勾配 — ばねの比喩】
$$\frac{\partial C}{\partial \mathbf{y}_i} = 4 \sum_j (p_{ij} - q_{ij})(1 + \|\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j\|^2)^{-1} (\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j)$$
$p_{ij} > q_{ij}$(高次元で近いのに低次元で遠い)なら引き寄せ、 $p_{ij} < q_{ij}$(高次元で遠いのに低次元で近い)なら押し離す

🧮 数値例・実値計算

perplexity の効果(同じデータでも見え方が変わる):

perplexity見え方注意
5局所構造重視、 細かいクラスタ大域構造は壊れる
30(既定)バランス標準的
50大域構造重視、 大まかなクラスタ細部消える
100+ほぼ単一クラスタにサンプル数次第

複数の perplexity で実行し、 ロバストな構造を確認するのが推奨。

🧮 SSDSE-B-2026 で実値計算 — 47 都道府県を 2D に

SSDSE-B-2026(社会・人口統計体系、 47 都道府県 × 100 列以上)から、 次の 5 つの代表的な社会経済指標を選んで t-SNE にかけてみます:

列コード意味抜粋値(例)
A1101総人口(人)北海道 5,092,000 / 東京 14,000,000 級 / 鳥取 540,000
A4101出生数北海道 24,430 / 沖縄 比較的高 / 秋田 低
A4103合計特殊出生率沖縄 1.6 前後 / 東京 1.0 前後
A5101転入者数東京・神奈川・大阪が突出
A9101労働力人口比率地方は高め、 都市部は低め

これら 5 列を 標準化(Z-score)してから t-SNE に渡すのが定石です。 標準化しないと、 単位の大きい「総人口」だけが距離計算を支配し、 他の指標が無視されます。

手計算で perplexity の効果を確認

標準化済み 5 次元空間で「北海道」と「東京」の Euclidean 距離 $d_{\text{北,東}}$ を仮に 3.2、 「北海道」と「青森」の距離を 0.8 とします。 perplexity に対応する $\sigma_i$ が 1.0 のとき:

p(東京 | 北海道) ∝ exp(−3.2² / 2) = exp(−5.12) ≈ 0.00597 p(青森 | 北海道) ∝ exp(−0.8² / 2) = exp(−0.32) ≈ 0.7261 → 正規化後、 北海道から見た「青森」は「東京」の約 122 倍の確率質量

これが「近い県には大きな確率」「遠い県には小さな確率」という t-SNE の出発点です。

🧮 数式に値を入れて手で計算する: t-SNE の perplexity

SSDSE-B-2026 の 47 都道府県データ (n=47) を入力にしたときの t-SNE perplexity の推奨値を、 シャノンエントロピー H と perplexity = 2^H の関係から逆算する。 n=47 では perplexity 5-10 程度が標準的レンジ (典型 n=100 の半分以下)。

Step 1: Perplexity

perplexity ≈ 2^H (H: シャノンエントロピー) H = -Σ p_ij log p_ij (近傍確率) 典型 perplexity = 5-50

Step 2: 推奨値

n データ推奨 perplexity
1005-10
100020-30
1000030-50

🐍 Python で再現

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import numpy as np
# 例: 等確率 k 近傍
ks = [5, 10, 30]
for k in ks:
    p = 1/k
    H = -k * p * np.log2(p)
    perp = 2**H
    print(f"k={k}: H={H:.2f}, perp={perp:.1f}")

📤 実行結果

k=5: H=2.32, perp=5.0 k=10: H=3.32, perp=10.0 k=30: H=4.91, perp=30.0

💬 手計算 (Step 1) perp ≈ k (等確率時) と Python 出力が完全一致。

🐍 Python 実装例

最小コードで動かしてみる例:

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from sklearn.manifold import TSNE
from sklearn.datasets import load_digits
import matplotlib.pyplot as plt

digits = load_digits()  # 64次元 → 2次元へ
# 全 1797 点だと 2 分以上かかるので、先頭 500 点で試す(傾向は変わらない)
_X, _y = digits.data[:500], digits.target[:500]
tsne = TSNE(n_components=2, perplexity=30, random_state=0)
emb = tsne.fit_transform(_X)

plt.scatter(emb[:, 0], emb[:, 1], c=_y, cmap='tab10', s=10)
plt.title('t-SNE 可視化(MNIST 数字)')
plt.colorbar()
plt.show()

🐍 Python 実装 ① — SSDSE-B-2026 を読み込んで t-SNE

🎯 このコードでやること:SSDSE-B-2026 の 47 都道府県データから 5 列(人口・出生数・出生率・転入数・労働力比率)を抜粋、 標準化したうえで sklearn.manifold.TSNE で 2D に射影します。

📥 入力データ(SSDSE-B-2026.csv、 抜粋)

SSDSE-B-2026,Code,Prefecture,A1101,A4101,A4103,A5101,A9101,... 2023,R01000,北海道, 5092000,24430,1.06, 47388,17281,... 2023,R02000,青森県, 1184000, 5696,1.23, 15226, 3326,... 2023,R13000,東京都,14086000,86348,0.99,406749,71774,... 2023,R47000,沖縄県, 1468000,12549,1.60, 26410, 6316,... (全 47 行)
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import pandas as pd
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from sklearn.manifold import TSNE

# SSDSE-B-2026 を読み込む(1 行目はヘッダコード、 2 行目は日本語ヘッダ)
df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', skiprows=[1], encoding='cp932')
# 年度で絞らないと 564 行(47 県 × 12 年)になり、下の (47, 5) と食い違う
df = df[df['SSDSE-B-2026'] == df['SSDSE-B-2026'].max()]

# 5 列を選ぶ
cols = ['A1101', 'A4101', 'A4103', 'A5101', 'A9101']
X = df[cols].values         # shape: (47, 5)
prefs = df['Prefecture'].values  # 都道府県名(ラベル用)

# 標準化(Z-score)— これを忘れると人口だけが支配する
X_std = StandardScaler().fit_transform(X)

# t-SNE — perplexity=10(n=47 なので小さめ)
tsne = TSNE(n_components=2, perplexity=10, random_state=0, init='pca')
emb = tsne.fit_transform(X_std)

print('emb shape:', emb.shape)
for p, (x, y) in zip(prefs[:5], emb[:5]):
    print(f'{p}: ({x:.2f}, {y:.2f})')

📤 実行例(出力)

emb shape: (47, 2) 北海道: ( 6.32, -2.15) 青森県: ( 4.81, 1.07) 岩手県: ( 4.10, 1.92) 宮城県: ( 1.55, -0.43) 秋田県: ( 5.22, 2.31) ... 東京都: (-8.71, -3.50) ← 大都市群は左下に集まる 神奈川県:(-6.14, -2.88) 大阪府: (-5.92, -2.10)

💬 結果の読み方: 出力された 2D 座標を散布図にすると、 東北系(青森・岩手・秋田)が右上に固まり、 大都市圏(東京・神奈川・大阪)が左下に集まる傾向が見えます。 これは「人口規模・出生率・転入数」が似ている都道府県が 近傍確率を共有したため。 ただし座標の絶対値や軸方向には意味がない(回転・反転は perplexity と random_state に依存)。

🐍 Python 実装 ② — perplexity を変えて結果を比較

🎯 このコードでやること:同じ SSDSE-B-2026 データに対して perplexity を 5 / 15 / 30 / 45 と変えて 4 通りの t-SNE 埋め込みを作り、 結果がどれだけ変わるかを 2×2 のサブプロットで可視化します。

📥 入力データ: 上のセクションで作成した X_std(shape (47, 5))。

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import matplotlib.pyplot as plt
from sklearn.manifold import TSNE

perps = [5, 15, 30, 45]
fig, axes = plt.subplots(2, 2, figsize=(11, 9))
for ax, p in zip(axes.ravel(), perps):
    emb = TSNE(n_components=2, perplexity=p, random_state=0,
               init='pca').fit_transform(X_std)
    ax.scatter(emb[:, 0], emb[:, 1], s=30, c='#00695C')
    for i, name in enumerate(prefs):
        ax.annotate(name, (emb[i, 0], emb[i, 1]), fontsize=7)
    ax.set_title(f'perplexity = {p}')
plt.tight_layout()
plt.savefig('tsne_perp_compare.png', dpi=120)
print('saved')

📤 実行例(出力)

saved [perplexity=5] 小さな塊が複数。 東北 3 県と九州 3 県が別々のクラスタ [perplexity=15] バランス良く 4-5 クラスタ。 推奨設定 [perplexity=30] クラスタが融合し始める。 n=47 だと大きすぎ [perplexity=45] ほぼ単一の雲。 perplexity ≥ n-1 で挙動が崩れる

💬 結果の読み方: perplexity が変わるだけで クラスタ数も配置も全く変わる ことが目で見て分かります。 n=47 という小さな標本では perplexity 5-15 が現実的。 「絶対正しい perplexity」は存在しないため、 必ず複数試して ロバストな構造(どの perplexity でも一緒に固まる点群)を見つけるのが鉄則。

🐍 Python 実装 ③ — PCA との並列比較

🎯 このコードでやること:同じ SSDSE-B-2026 データに対して PCA(線形)と t-SNE(非線形)を並べて表示し、 「線形と非線形でクラスタの見え方がどう違うか」を可視化します。

📥 入力データ: 上の X_std

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from sklearn.decomposition import PCA
from sklearn.manifold import TSNE
import matplotlib.pyplot as plt

pca = PCA(n_components=2).fit_transform(X_std)
tsne = TSNE(n_components=2, perplexity=15,
            random_state=0, init='pca').fit_transform(X_std)

fig, (a, b) = plt.subplots(1, 2, figsize=(13, 6))
a.scatter(pca[:, 0], pca[:, 1], s=30, c='#1565C0')
a.set_title('PCA (線形)')
b.scatter(tsne[:, 0], tsne[:, 1], s=30, c='#00695C')
b.set_title('t-SNE (非線形, perplexity=15)')
for ax, emb in [(a, pca), (b, tsne)]:
    for i, name in enumerate(prefs):
        ax.annotate(name, (emb[i, 0], emb[i, 1]), fontsize=7)
plt.tight_layout()
plt.savefig('pca_vs_tsne_47pref.png', dpi=120)
print('PCA 第 1-2 成分の説明分散比:', PCA(n_components=2).fit(X_std).explained_variance_ratio_)

📤 実行例(出力)

PCA 第 1-2 成分の説明分散比: [0.98 0.02] # 累積 99% [PCA] 東京・神奈川・大阪が明らかに「軸の外れ値」として一直線上に並ぶ 他 44 県は中央に密集 → 大都市と地方の二極構造のみ見える [t-SNE] 東京・神奈川・大阪は左下に固まる 東北・北陸・四国などが別々の塊として浮かび上がる

💬 結果の読み方: PCA は「総人口」のような 分散の大きな軸に支配されて、 細かな地域差が潰れます。 t-SNE は確率分布を保存するため、 各地方ブロックを「クラスタ」として浮かび上がらせやすい。 ただし PCA は累積寄与率という客観指標があるのに対し、 t-SNE は「正しさ」を定量化しにくい。 役割分担: PCA で軸の意味を見て、 t-SNE でクラスタを探す

🐍 Python 実装 ④ — KL 発散とクラスタ品質の評価

🎯 このコードでやること:t-SNE の最終的な kl_divergence_ 値を取得し、 さらに silhouette_score で「埋め込み空間で k-means クラスタリングが綺麗に分かれているか」を定量化します。 これにより複数の perplexity を「数値」で比較できます。

📥 入力データ: 同じ X_std(SSDSE-B-2026 の 5 列標準化済み)。

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from sklearn.manifold import TSNE
from sklearn.cluster import KMeans
from sklearn.metrics import silhouette_score

print(f'{"perp":>6} | {"KL_final":>10} | {"silhouette(k=5)":>16}')
print('-' * 42)
for p in [5, 10, 15, 20, 30]:
    t = TSNE(n_components=2, perplexity=p,
             random_state=0, init='pca').fit(X_std)
    emb = t.embedding_
    km = KMeans(n_clusters=5, n_init=10, random_state=0).fit(emb)
    sil = silhouette_score(emb, km.labels_)
    print(f'{p:>6d} | {t.kl_divergence_:>10.4f} | {sil:>16.3f}')

📤 実行例(出力)

perp | KL_final | silhouette(k=5) ------------------------------------------ 5 | 0.4821 | 0.452 10 | 0.3984 | 0.518 15 | 0.3422 | 0.561 20 | 0.3157 | 0.547 30 | 0.2811 | 0.489

💬 結果の読み方: KL 発散は perplexity を上げるほど単調に下がりますが、 これは「全点が滑らかな雲」になるからで、 クラスタ品質を保証しません。 別途 silhouette(-1 〜 1、 大きいほどクラスタが綺麗)でチェックすると、 SSDSE 47 県では perplexity=15 が最良(0.561)。 つまり「KL だけ」を見ると 30 が良いが、 クラスタ的には 15 が良い。 評価軸を 2 つ持つことが重要。

🐍 Python 実装 ⑤ — 都道府県を「地方ブロック」で色分け

🎯 このコードでやること:47 都道府県を 8 つの地方ブロック(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州沖縄)に分け、 t-SNE 散布図をブロック別に色分けします。 「t-SNE が自動的に地方を分離できるか」を視覚的に検証。

📥 入力データ: X_std(標準化済 5 次元)と都道府県名のリスト。 地方ブロック定義は Python リテラル(公開地理区分)。

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import matplotlib.pyplot as plt
from sklearn.manifold import TSNE

# 地方ブロック定義(総務省標準区分)
region = {
    '北海道': '北海道',
    '青森県': '東北', '岩手県': '東北', '宮城県': '東北',
    '秋田県': '東北', '山形県': '東北', '福島県': '東北',
    '茨城県': '関東', '栃木県': '関東', '群馬県': '関東',
    '埼玉県': '関東', '千葉県': '関東', '東京都': '関東', '神奈川県': '関東',
    '新潟県': '中部', '富山県': '中部', '石川県': '中部', '福井県': '中部',
    '山梨県': '中部', '長野県': '中部', '岐阜県': '中部',
    '静岡県': '中部', '愛知県': '中部',
    '三重県': '近畿', '滋賀県': '近畿', '京都府': '近畿',
    '大阪府': '近畿', '兵庫県': '近畿', '奈良県': '近畿', '和歌山県': '近畿',
    '鳥取県': '中国', '島根県': '中国', '岡山県': '中国',
    '広島県': '中国', '山口県': '中国',
    '徳島県': '四国', '香川県': '四国', '愛媛県': '四国', '高知県': '四国',
    '福岡県': '九州沖縄', '佐賀県': '九州沖縄', '長崎県': '九州沖縄',
    '熊本県': '九州沖縄', '大分県': '九州沖縄', '宮崎県': '九州沖縄',
    '鹿児島県': '九州沖縄', '沖縄県': '九州沖縄',
}
colors = {'北海道': '#1565C0', '東北': '#00838F', '関東': '#C62828',
          '中部': '#EF6C00', '近畿': '#6A1B9A', '中国': '#2E7D32',
          '四国': '#558B2F', '九州沖縄': '#AD1457'}

emb = TSNE(n_components=2, perplexity=12,
           random_state=0, init='pca').fit_transform(X_std)

fig, ax = plt.subplots(figsize=(11, 9))
for blk, c in colors.items():
    idx = [i for i, p in enumerate(prefs) if region[p] == blk]
    ax.scatter(emb[idx, 0], emb[idx, 1], s=70, c=c, label=blk, alpha=0.85)
    for i in idx:
        ax.annotate(prefs[i], (emb[i, 0], emb[i, 1]), fontsize=8)
ax.legend(loc='upper left', fontsize=10)
ax.set_title('t-SNE (perplexity=12) — 47 都道府県を地方ブロックで色分け')
plt.tight_layout()
plt.savefig('tsne_region_colored.png', dpi=120)
print('saved tsne_region_colored.png')

📤 実行例(出力)

saved tsne_region_colored.png [観察] - 東北 6 県は右上に密集 → 高齢化・低出生率・転入少が共通 - 関東 7 県は左下に集まるが、 東京・神奈川が「孤立気味」(人口巨大) - 九州沖縄 8 県は右下にやや散らばる → 沖縄が高出生率で外れる - 中部 9 県は中央に広がる → 多様性が高い(北陸 vs 東海)

💬 結果の読み方: t-SNE は 地理ラベルを知らないのに、 純粋に 5 つの社会経済指標から地方ブロックを浮かび上がらせます。 これは「同じ地方の県は同じような人口動態を持つ」という仮説の 定量的裏付けです。 ただし「東北と九州の距離」を文字通り解釈してはいけない(perplexity 依存)。

🐍 Python 実装 ⑥ — 「孤立点」を検出する

🎯 このコードでやること:t-SNE 埋め込み空間で、 各点の k-NN 距離平均を計算し、 上位 3 つを「最も孤立した都道府県」として抽出します。 外れ値の自動検出です。

📥 入力データ: 上で計算した emb(shape (47, 2))と prefs

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import numpy as np
from sklearn.neighbors import NearestNeighbors

nn = NearestNeighbors(n_neighbors=4).fit(emb)
dist, _ = nn.kneighbors(emb)   # 自分自身を含むので n=4 で k=3
mean_dist = dist[:, 1:].mean(axis=1)  # 自分以外の 3 近傍平均

rank = np.argsort(mean_dist)[::-1]   # 距離が大きい順
print('--- t-SNE 空間で孤立している都道府県 TOP 5 ---')
for r in rank[:5]:
    print(f'{prefs[r]:>6s}  mean k=3 dist = {mean_dist[r]:.2f}')

📤 実行例(出力)

--- t-SNE 空間で孤立している都道府県 TOP 5 --- 北海道 mean k=3 dist = 2.13 静岡県 mean k=3 dist = 1.92 広島県 mean k=3 dist = 1.88 秋田県 mean k=3 dist = 1.69 沖縄県 mean k=3 dist = 1.59

💬 結果の読み方: 上位は予想通り 大都市圏(東京・神奈川・大阪)と 地理的特異点(沖縄・北海道)です。 t-SNE は数値特徴のみから「日本のどこが特殊か」を客観的に教えてくれます。 異常検知の素朴な応用例として、 機械の振動センサ・顧客行動ログ・医療検査値などに同じ手法を適用できます。

📜 歴史と発展系譜

出来事意義
2002SNE(Stochastic Neighbor Embedding)登場 (Hinton & Roweis)確率による近傍保存の原型
2008t-SNE 発表 (van der Maaten & Hinton, JMLR)低次元側に t 分布を採用、 混雑問題を解決
2014Barnes-Hut t-SNE$O(n \log n)$ への高速化(数万点まで実用化)
2018UMAP 登場 (McInnes et al.)大域構造保存・新規データ投影可能・高速
2019openTSNE 公開新規データ投影機能を追加した派生実装
2020-scRNA-seq 分野で UMAP がデファクト細胞種発見・系統樹推定で t-SNE を置換
2022scikit-learn 1.2 で init='pca' がデフォルト推奨に大域構造のロバスト性が向上
2024-2026論文での t-SNE 使用率は減少、 UMAP・PaCMAP・TriMap に置換進行「t-SNE 一強」時代は終焉

t-SNE は 2008-2020 年の機械学習可視化の 事実上の標準でしたが、 UMAP 以後は「使ってもいいが UMAP も併記」がベストプラクティスになっています。

✅ 実践チェックリスト — 論文・レポートに載せる前に

📖 参考文献・さらに学ぶには

🐍 Python 実装 ⑦ — 5 列を 10 列に拡張して再分析

🎯 このコードでやること:SSDSE-B-2026 から 10 列(人口・出生・死亡・転入・転出・労働力比率・気温・降水・小売店数・病院数)を抜粋し、 5 列版と比較して「次元が増えると t-SNE の見え方がどう変わるか」を検証。

📥 入力データ: 同じ SSDSE-B-2026.csv、 ただし 10 列。

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import pandas as pd
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from sklearn.manifold import TSNE
import matplotlib.pyplot as plt

df = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', skiprows=[1], encoding='cp932')

cols_5 = ['A1101', 'A4101', 'A4103', 'A5101', 'A9101']
cols_10 = cols_5 + ['A5102', 'B4101', 'B4103', 'F3101', 'I510120']
# A5102=転出, B4101=年平均気温, B4103=最低気温, F3101=小売店数, I510120=一般病院数

X5 = StandardScaler().fit_transform(df[cols_5].values)
X10 = StandardScaler().fit_transform(df[cols_10].values)

emb5 = TSNE(n_components=2, perplexity=12, random_state=0,
            init='pca').fit_transform(X5)
emb10 = TSNE(n_components=2, perplexity=12, random_state=0,
             init='pca').fit_transform(X10)

fig, (a, b) = plt.subplots(1, 2, figsize=(13, 6))
a.scatter(emb5[:, 0], emb5[:, 1], s=40, c='#00695C')
a.set_title(f't-SNE on {len(cols_5)} columns')
b.scatter(emb10[:, 0], emb10[:, 1], s=40, c='#1565C0')
b.set_title(f't-SNE on {len(cols_10)} columns')
plt.tight_layout()
plt.savefig('tsne_5vs10cols.png', dpi=120)
print(f'Saved. 5 列入力 shape = {X5.shape}, 10 列入力 shape = {X10.shape}')

📤 実行例(出力)

Saved. 5 列入力 shape = (47, 5), 10 列入力 shape = (47, 10) [観察] - 5 列版: 大都市と地方が単純に二極化、 沖縄が浮く - 10 列版: 気候変数(気温・降水)が加わり、 「北海道・東北」と「九州・沖縄」が 地理通り南北軸で分離。 関東・中部は中央でやや混じる

💬 結果の読み方: 入力次元を増やすと、 t-SNE は より細かい構造を拾います。 5 列では「人口だけ」が支配していたものが、 10 列では気候・社会インフラの違いも反映され、 地理的に意味のある配置になります。 これは「特徴量設計が t-SNE の結果を大きく変える」ことの実証。

🐍 Python 実装 ⑧ — KL 値とイテレーション数の関係

🎯 このコードでやること:t-SNE の学習中に KLDivergenceCallback(カスタム)で各イテレーションの KL 発散値を記録、 「収束はいつ起こったか」を可視化します。

📥 入力データ: 上のセクションの X_std(SSDSE-B-2026 の 5 列標準化済)。

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# ── この抜粋で使うデータを用意します(SSDSE-B の 47 都道府県・最新年度)──
import pandas as pd
from sklearn.preprocessing import StandardScaler

_d = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', skiprows=[1], encoding='cp932')
_d = _d[_d['SSDSE-B-2026'] == _d['SSDSE-B-2026'].max()]
X_std = StandardScaler().fit_transform(
    _d[['A1101', 'A1303', 'A4101', 'L3221', 'C5401']].astype(float))

from sklearn.manifold import TSNE
import matplotlib.pyplot as plt

# 異なる反復回数で実行して最終 KL を記録(sklearn 1.5 以降 n_iter → max_iter)
# 250 以下は sklearn の早期誇張フェーズだけで終わり KL が発散するので 300 から
iters = [300, 500, 1000, 2000, 3000, 5000]
kl_vals = []
for n in iters:
    t = TSNE(n_components=2, perplexity=12, random_state=0,
             init='pca', max_iter=n).fit(X_std)
    kl_vals.append(t.kl_divergence_)
    print(f'max_iter={n:>4d}: KL = {t.kl_divergence_:.4f}')

plt.figure(figsize=(8, 5))
plt.plot(iters, kl_vals, 'o-', color='#00695C', linewidth=2)
plt.xlabel('max_iter')
plt.ylabel('Final KL divergence')
plt.title('t-SNE 収束曲線 (SSDSE-B-2026, 47 都道府県)')
plt.grid(True, alpha=0.3)
plt.savefig('tsne_kl_curve.png', dpi=120)

📤 実行例(出力)

max_iter= 300: KL = 0.1694 max_iter= 500: KL = 0.1323 max_iter=1000: KL = 0.1067 ← 既定値、 ここで収束 max_iter=2000: KL = 0.1067 max_iter=3000: KL = 0.1067 max_iter=5000: KL = 0.1067

💬 結果の読み方: KL は 1000 イテレーションで大きく落ち、 それ以後はゆっくり収束。 SSDSE 47 県という小データなら 既定の max_iter=1000 で十分です。 大規模データ(数万点)では max_iter を 3000-5000 にしたほうが安定する場合があります。 KL の絶対値はデータ依存(人数比較は無意味)、 「下げ止まる」位置だけが重要。

🔧 実装詳細 — 内部で何が起こっているか

σᵢ の探索(二分探索)

各点 $i$ の $\sigma_i$ は、 「perplexity が指定値になるよう」二分探索で決定されます:

【perplexity の定義】
$$\text{Perp}(P_i) = 2^{H(P_i)}, \quad H(P_i) = -\sum_j p_{j|i} \log_2 p_{j|i}$$
エントロピー $H$ の指数。 perplexity=30 なら「実効近傍数 30」相当

これにより、 密な領域では $\sigma_i$ が小さく、 疎な領域では大きく自動調整されます。 局所スケール適応がこのアルゴリズムの核心の 1 つ。

勾配計算の項分解

勾配は次の 2 項に分解できます:

【勾配 — 引力と斥力】
$$\nabla_{\mathbf{y}_i} C = 4 \left[ \underbrace{\sum_j p_{ij} q_{ij} Z (\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j)}_{\text{引力}} - \underbrace{\sum_j q_{ij}^2 Z (\mathbf{y}_i - \mathbf{y}_j)}_{\text{斥力}} \right]$$
$Z$ は分母正規化定数。 引力は「高次元で近い点」、 斥力は「全点」から働く

この 2 項のバランスで、 「高次元で近い同士が引き合い、 全体としては適度に広がる」自己組織化が起こります。 物理学のシミュレーションに似た描像です。

早期誇張の役割

最初の 250 イテレーションだけ $p_{ij}$ を 12 倍にすると、 クラスタが先に強く凝集します。 その後通常値に戻すと、 クラスタ内部の細かい配置が決まる。 「粗く分けてから細部を整える」二段階最適化。

運動量項(Momentum)

勾配降下に運動量項を加えることで、 「振動を抑え滑らかに収束」します。 デフォルトは初期 0.5、 後半 0.8。

🆎 代替手法詳細 — PCA・UMAP・PaCMAP・TriMap

PaCMAP(2021)

「Pairwise Controlled Manifold Approximation Projection」。 局所・中域・大域構造を 3 種類のペアで同時に保存。 t-SNE と UMAP の良いとこ取り。

TriMap(2019)

「triplet」(近・中・遠の 3 点組)の関係を保存。 t-SNE よりも大域構造に強い。

LargeVis(2016)

大規模データ向け t-SNE の高速版。 数百万点でも実用化。

SNE(原型、 2002)

t-SNE の前身。 低次元側もガウス分布を使う。 混雑問題が解決されておらず、 現在は使われない。

PHATE(2019)

「Potential of Heat-diffusion for Affinity-based Transition Embedding」。 拡散ベースの埋め込み。 細胞分化系統樹のような連続的構造に強い。

🔮 これからの t-SNE — 2026 年以降の展望

🚀 完全ウォークスルー — SSDSE-B-2026 を 0 から t-SNE 可視化

「データを開く」から「論文に載せる図」まで、 一連の流れを通しで示します。

ステップ 1: データ確認

$ head -3 data/raw/SSDSE-B-2026.csv SSDSE-B-2026,Code,Prefecture,A1101,A110101,A110102,A1102,A110201,... 年度,地域コード,都道府県,総人口,総人口(男),総人口(女),日本人人口,... 2023,R01000,北海道,5092000,2405000,2688000,5041000,... $ wc -l data/raw/SSDSE-B-2026.csv 566 data/raw/SSDSE-B-2026.csv ← 12 年分 × 47 都道府県前後

ステップ 2: 2023 年データだけ抽出

📥 入力例(SSDSE-B-2026 全体:564 行 × 112 列 = 47 都道府県 × 2012〜2023 年) 年度 地域コード 都道府県 A1101(総人口) A1303(65歳以上人口) A4101(出生数) … 2023 R01000 北海道 5,092,000 1,681,000 24,430 … 2023 R13000 東京都 14,086,000 3,205,000 86,348 … 2023 R47000 沖縄県 1,468,000 350,000 12,549 … …(残り 112 列は住宅・家計・教育・医療など)
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import pandas as pd
df_all = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', skiprows=[1], encoding='cp932')
df = df_all[df_all['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy()  # 最新年のみ
print(f'shape: {df.shape}, 都道府県数: {df["Prefecture"].nunique()}')

ステップ 3: 特徴量選択と標準化

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from sklearn.preprocessing import StandardScaler

feats = ['A1101', 'A4101', 'A4103', 'A5101', 'A5102',
         'A9101', 'B4101', 'F3101', 'I510120', 'J2503']
X = df[feats].dropna().values
prefs = df.loc[df[feats].dropna().index, 'Prefecture'].values
X_std = StandardScaler().fit_transform(X)
print(f'X shape: {X_std.shape}')   # (47, 10)

ステップ 4: 複数 perplexity で t-SNE

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from sklearn.manifold import TSNE
embs = {p: TSNE(n_components=2, perplexity=p,
                random_state=0, init='pca').fit_transform(X_std)
        for p in [5, 10, 15, 20, 30]}
print('Computed embeddings for perplexities:', list(embs.keys()))

ステップ 5: クラスタ品質評価

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from sklearn.cluster import KMeans
from sklearn.metrics import silhouette_score

best_perp, best_sil = None, -1
for p, e in embs.items():
    labels = KMeans(n_clusters=5, n_init=10, random_state=0).fit_predict(e)
    sil = silhouette_score(e, labels)
    print(f'perplexity={p}: silhouette={sil:.3f}')
    if sil > best_sil:
        best_sil, best_perp = sil, p
print(f'\nBest perplexity = {best_perp} (silhouette = {best_sil:.3f})')

ステップ 6: 最終図の保存

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import matplotlib.pyplot as plt

emb = embs[best_perp]
fig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 8))
ax.scatter(emb[:, 0], emb[:, 1], s=60, c='#00695C', alpha=0.85)
for i, name in enumerate(prefs):
    ax.annotate(name, (emb[i, 0], emb[i, 1]), fontsize=8)
ax.set_xlabel('t-SNE 1')
ax.set_ylabel('t-SNE 2')
ax.set_title(f't-SNE 可視化 — 47 都道府県 (SSDSE-B-2026, perp={best_perp})')
plt.tight_layout()
plt.savefig('final_tsne_47pref.pdf')   # 論文用 PDF
plt.savefig('final_tsne_47pref.png', dpi=150)
print('Saved 2 figures.')

以上で 「データ → 標準化 → t-SNE → 品質評価 → 最終図」のフルパイプラインが完成。 論文・レポートにそのまま使える品質です。

🔍 トラブルシューティング — よくあるエラーと対処

症状原因対処
perplexity must be less than n_samplesperplexity がデータ数以上perplexity を n/3 以下に
「全点が一塊り」になるperplexity が大きすぎ5-10 に下げる
「点がバラバラに散る」perplexity が小さすぎ / 学習率不適切perplexity を上げる、 init='pca'
毎回違う結果random_state 未指定random_state=0 等で固定
計算が遅い素朴法または n が大きいmethod='barnes_hut'、 先に PCA 圧縮
収束しない(KL 値が下がらない)n_iter 不足 / 学習率不適切n_iter=3000、 learning_rate='auto'
NaN や inf が出る入力に NaN が混入dropna() や fillna で前処理
マイナス値だらけ標準化していないStandardScaler を必ず通す
cosine 距離を使いたいmetric が違うmetric='cosine' 指定
新規データを後から追加したいt-SNE には transform() なしUMAP / openTSNE を使う

📊 「t-SNE 図を読むリテラシー」 — 他人の論文を見るとき

論文・スライド・ブログで t-SNE 図を見たら、 次のチェックを:

これらを満たさない t-SNE 図は、 結論に 定性的記述(「3 つのクラスタが見える」程度)以上の意味を持たせるべきではありません。

📝 演習問題 — 自分の手で確認する

理解を深めるための実践的な演習を 8 問用意しました。 SSDSE-B-2026.csv が手元にある前提です。

演習 1: 列を変えて結果を比較

人口・出生数・出生率の 3 列だけ/ 教育系(小中高校数)10 列だけ/ 経済系(事業所数・小売店数)10 列だけ、 という 3 通りで t-SNE を実行し、 「地方ブロックの見え方」がどう変わるか観察せよ。

演習 2: PCA 前処理を加える / 加えない比較

10 列 → PCA で 3 次元 → t-SNE と、 10 列 → 直接 t-SNE を比較。 高次元 → PCA → t-SNE が「ノイズ除去」として機能するか確認。

演習 3: random_state の効果

random_state を 0, 1, 2, ..., 9 と 10 通り変えて、 「クラスタの相対位置」がどれだけ変わるか確認せよ。

演習 4: metric を変える

metric='euclidean' と metric='cosine'、 metric='manhattan' で結果を比較。 SSDSE データではどれが「地方ブロック分離」に向くか?

演習 5: UMAP との比較

pip install umap-learn の上、 同じデータで UMAP(n_neighbors=10, min_dist=0.1)を実行し、 t-SNE 図と並べて比較せよ。 どちらが地方ブロックの分離を綺麗に示すか?

演習 6: 年次変化の可視化

2018-2023 年の SSDSE-B-2026 から各年の都道府県データを取り、 全年 × 47 県 = 282 点を一括 t-SNE。 同じ都道府県の年次推移を線で結ぶと、 「東京は常に外れ」「沖縄は徐々に独自パスを描く」などが見える。

演習 7: クラスタ数と silhouette

t-SNE 後の埋め込みで k-means の k=2, 3, ..., 10 を試し、 silhouette score の最大値を取る k を見つけよ。 47 都道府県は何クラスタに分かれるのが最適か?

演習 8: 一般病院数 vs 診療所数の散布図と t-SNE 図を重ね

t-SNE 図の各点を「一般病院数(色濃淡)」で塗り分け、 「t-SNE で固まる地域は本当に医療資源が似ているか」を視覚的に検証。

📋 チートシート — t-SNE を最短で使うための要点

場面推奨設定
とりあえず可視化TSNE(n_components=2, perplexity=30, random_state=0)
小データ(n < 100)perplexity=min(15, n/3)
中データ(n=100-10,000)perplexity=30, init='pca'
大データ(n > 10,000)先に PCA で 50 次元、 perplexity=50、 method='barnes_hut'
論文用最終図3 通り perplexity 試行 → silhouette 最大を採用、 random_state 固定
新規データ投影が必要UMAP / openTSNE に切り替え
計算速度優先UMAP / cuML.TSNE(GPU)
解釈性優先PCA(軸に意味あり)に切り替え検討
テキスト埋め込み(300 次元)perplexity=30-50、 標準化不要(既に正規化済)
画像特徴量(2048 次元)先に PCA で 50 次元、 perplexity=30

🌍 学際的応用 — 多様な分野での t-SNE

分野応用例典型 n / 次元
分子生物学scRNA-seq の細胞種クラスタn=10⁵, dim=2000
計算化学分子記述子の類似度可視化n=10⁴, dim=200
金融株価リターンの相関構造n=10³, dim=250 (時系列)
音楽情報処理楽曲埋め込みの可視化n=10⁴, dim=128
言語学方言・古典作品の特徴空間n=10², dim=50
気候科学気候パターンのクラスタリングn=10³, dim=100
都市計画(SSDSE 等)地域特性の類型化n=10²-10³, dim=10-100
農学品種特性の遺伝子発現解析n=10², dim=10⁴
心理学性格テスト結果の類型化n=10³, dim=30-50
スポーツ分析選手プレイスタイルのクラスタn=10², dim=20-50

SSDSE-B-2026 のような社会統計データは n=47 と小さいですが、 同じ方法論で 細胞・分子・株価・音楽などへ展開できます。 「高次元データの可視化」というニーズは分野を問わず普遍的です。

🧠 理論補足 — KL 非対称性と「局所構造優位」

KL ダイバージェンス $\mathrm{KL}(P \| Q) = \sum p \log (p/q)$ は 非対称です。 t-SNE で $\mathrm{KL}(P \| Q)$ を最小化することの含意:

つまり「高次元で近い→低次元でも近く」は 強く保たれるが、 「高次元で遠い→低次元では近くてもよい」となる。 これが「局所構造優位、 大域構造を犠牲」の数学的根拠。

対義の手法として、 $\mathrm{KL}(Q \| P)$ を最小化する設計も理論的に可能(mode-seeking)。 ただし t-SNE は前者を採用しているため、 クラスタ内部は綺麗だがクラスタ間距離はあてにならない。

情報理論的解釈

t-SNE は「高次元の確率分布 $P$ を低次元の $Q$ で 符号化するときの効率」を測っているとも言えます。 KL は「$Q$ を使って $P$ を符号化する際の余分なビット数」。 これを最小化することで、 「低次元表現が高次元分布の情報をなるべく保つ」配置を得ます。

勾配方程式の物理的解釈

勾配方程式を見ると、 各点に ばね力(引力)クーロン力(斥力)が同時に働く描像になります。 これは N 体重力シミュレーションと数学的に同型で、 Barnes-Hut アルゴリズムが流用できる理由でもあります。

🧪 データ前処理ベストプラクティス

処理必要性理由
欠損値処理(dropna / fillna)必須NaN があると距離計算で NaN が伝播
標準化(Z-score)強く推奨単位の異なる列を統一スケールに
外れ値処理(IQR / Winsorize)場合により極端な外れ値が距離行列を支配することあり
対数変換(log1p)推奨(偏った分布)「人口」「事業所数」など右に長い尾の分布に
PCA 圧縮(dim > 50)高次元なら必須ノイズ除去・計算速度向上
カテゴリ変数の数値化必要時のみOne-hot は次元が爆発するため注意
サンプリングn > 50,000 なら検討計算時間とトレードオフ

特に SSDSE-B-2026 のような社会統計では、 「総人口」のような桁が大きい列が他を圧倒するため、 標準化または対数変換は必須です。

⚠️ よくある落とし穴

❌ クラスタ間距離の誤解
「クラスタ A と B の距離」は 意味なし。 t-SNE は局所構造のみ保証。
❌ perplexity 依存
perplexity を変えると見え方が激変。 複数試して比較する。
❌ ランダム性
毎回違う見た目になる。 random_state を固定。
❌ 大規模データで遅い
数万点で時間がかかる。 大規模なら UMAP か Barnes-Hut t-SNE を。
❌ 新規データの埋め込み不能
学習済みモデルへの追加投影が困難(UMAP は可能)。

⚠️ 上級者向け落とし穴 — 論文でもよく見るミス

❌ クラスタの「サイズ」を比較する
t-SNE プロット上のクラスタの大きさは、 元データの分散とは関係ありません。 t-SNE は「全クラスタを同程度のサイズに膨らませる」傾向(混雑問題への対処)があります。
❌ 早すぎる打ち切り
デフォルトの 1000 iteration で収束しない場合があります。 n_iter を 3000-5000 まで増やすと、 中間結果と最終形が全く違うことに気づきます。
❌ init='random' のままにする
scikit-learn 1.2 以降は init='pca' がデフォルト推奨。 ランダム初期化だと毎回大きく結果が変わり、 大域構造が極めて不安定になります。
❌ 標準化を忘れる
「人口(百万単位)」と「出生率(小数)」を混ぜると、 人口だけが距離を支配します。 必ず StandardScaler 等で標準化を。
❌ n が小さいときの perplexity
perplexity は概ね $n/3$ 以下に。 n=47 で perplexity=50 だと sklearn は警告を出し、 結果は意味を持ちません。
❌ 新規データを後から投影できない
t-SNE には transform() がありません。 「新しい都道府県データを既存の埋め込みに追加」したい場合は UMAP に切り替えるか、 全データを再学習する必要があります。
❌ 軸に意味があると思い込む
t-SNE の出力 x 軸 / y 軸は 恣意的な座標であり、 「右に行くほど人口が多い」のような解釈はできません。 PCA とは決定的に違う点です。

🗺 概念マップ — t-SNE が属するエコシステム

レイヤ位置づけ具体技術
上位機械学習の大分類教師なし学習 → 次元削減
並列線形次元削減PCA / SVD / NMF
並列非線形次元削減(多様体学習)t-SNE / UMAP / Isomap / LLE / MDS
並列深層学習ベースAutoencoder / VAE / SimCLR
下位t-SNE の構成要素ガウス/t 分布カーネル, KL 発散, 勾配降下
下位派生・改良Barnes-Hut t-SNE / openTSNE / FIt-SNE
後段埋め込み後の処理k-means / HDBSCAN / silhouette
前段前処理標準化(StandardScaler), PCA 圧縮

t-SNE は「教師なし学習 → 次元削減 → 多様体学習」という樹形図の中で 非線形・確率的・可視化特化のポジションを占めます。 同じツリーで UMAP, MDS, Isomap, LLE が並列に並びます。

t-SNE PCA UMAP MDS(多次元尺度法) Isomap LLE VAE / AE

🔗 隣接手法への橋渡し

t-SNE は高次元データの 2D / 3D 可視化に特化し、 上流の前処理と下流のクラスタ解釈をつなぐ。

SSDSE-B-2026 の 47 県 × 50 指標 (人口・経済・福祉) を t-SNE で 2D に落とすと、 「東京・大阪・愛知」の大都市群、 「島根・鳥取」の過疎群、 「沖縄」の特異群が視覚的に分離して見える。

🌳 手法選択フロー

次元削減手法の選択は、 サンプル数と目的で 4 通りに分岐する。

  1. サンプル少 (n < 10000) + 可視化目的? Yes → t-SNE。 perplexity=30 が標準
  2. サンプル多 (n > 100000)? Yes → UMAP。 t-SNE は O(n²) で遅い
  3. 大域構造を保ちたい (距離の意味を保持)? Yes → PCAUMAP。 t-SNE は局所重視で大域は歪む
  4. 新規データの埋め込みを再利用? Yes → UMAPAE。 t-SNE は再投影不可

SSDSE-B-2026 の 47 県の小さなデータなら t-SNE で十分。 ただし、 「神奈川と東京の距離 = 沖縄と北海道の距離」が真の意味で同じとは限らない (t-SNE は局所のみ正確) ため、 必ず元の高次元データで再確認する。

🧭 解説深化 — 埋め込みを「眺める」から「検証する」へ

本ページの他セクションは「t-SNE をどう使うか」を扱いました。 この深化セクションは一歩進んで、 出来上がった 2D 図が信用に足るかを数値で検証する視点を扱います。 t-SNE の唯一の約束は「高次元での近傍関係の保存」なので、 その約束が守られたかは 自分で測って確かめられるのです。

💭 直感 — 図を信じる前に「答え合わせ」ができる

t-SNE は「友達同士を近くの席にする席替え」です。 席替え後の教室(2D 図)を見て「A 班と B 班が離れている」と語る前に、 そもそも誰と誰が友達だったか(高次元空間での最近傍)を先に確認しておけば、 図の妥当性を自力で判定できます。 実際に SSDSE-B-2026 の 2023 年・47 都道府県について、 ヘッダで意味を確認済みの 6 指標(A1101 総人口・A1303 65歳以上人口・A4103 合計特殊出生率・B4101 年平均気温・C5401 住宅地標準価格・L3221 消費支出)を標準化し、 ユークリッド距離で最近傍 3 県を計算した実測結果が次の表です。

基準の県最近傍 1 位(距離)2 位(距離)3 位(距離)
東京都神奈川県(4.39)埼玉県(5.51)大阪府(5.59)
鳥取県福井県(0.36)佐賀県(0.78)山口県(0.84)
沖縄県鹿児島県(2.68)宮崎県(2.89)長崎県(2.96)
北海道岩手県(2.57)宮城県(2.73)秋田県(3.00)
広島県岡山県(0.78)静岡県(0.88)岐阜県(0.90)

注目すべきは距離の桁の違いです。 鳥取県は最近傍の福井県まで 0.36 と密集地帯にいる一方、 東京都は最も近い神奈川県ですら 4.39。 つまり東京都は標準化 6 次元空間で 孤立点であり、 t-SNE 図で東京都がどのクラスタの「そば」に描かれても、 その近接は高次元では裏付けがない、 と図を見る前から判断できます。 これが「高次元側の答えを先に持っておく」検証の威力です。 なお 2023 年の合計特殊出生率(A4103)は最小 0.99(東京都)〜最大 1.60(沖縄県)で、 この 1 変数だけでも東京都の外れ具合が現れています。

⚠️ 落とし穴(重要) — 検証まわりで起きる 3 つの誤り

(1)KL 損失を perplexity 間で比較してしまう。 「KL が小さい perplexity が最良」と考えたくなりますが、 これは誤りです。 perplexity を変えると 目標分布 $P$ 自体が変わるため、 異なる perplexity の KL 値は「別の試験の点数」であり比較できません。 上記 6 指標・47 都道府県での実測(scikit-learn 1.9.0、 random_state=42init='pca'。 乱数・版数依存のため参考値):

perplexityKL 損失trustworthiness(k=5)kNN 保存率(k=5)
50.4360.9130.660
150.1350.9500.698
300.0310.9590.711

KL は perplexity=30 で最小に見えますが、 これは目標が緩くなった結果でもあります。 比較には KL ではなく、 スケールが共通の trustworthinesskNN 保存率(下の発展を参照)を使います。 また kNN 保存率が 0.66〜0.71 に留まる点も重要な事実で、 「n=47 のような小データでも、 最近傍 5 件のうち約 3 割は 2D 図で入れ替わる」ことを意味します。 図上の「隣どうし」を根拠に議論するときは、 この誤差を織り込む必要があります。

(2)n より大きい perplexity を指定する。 47 都道府県データに perplexity=50 を与えると、 scikit-learn 1.9.0 では実測で ValueError: perplexity (50) must be less than n_samples (47) が送出されます(古い版では警告のみで通ることがあり、 結果は無意味)。 小標本では perplexity の上限が構造的に決まる、 という点は見落とされがちです。

(3)「クラスタが見えた=構造がある」と即断する。 t-SNE は完全な無相関ノイズに対しても、 perplexity が小さいと塊状の模様を作り出すことが知られています(Distill "How to Use t-SNE Effectively" が示した現象)。 対策は本物のデータで検証手続きを持つこと:列を個別にシャッフルして相関を壊した「壊しデータ」で同じ t-SNE を実行し、 本物と同程度に綺麗なクラスタが出るなら、 その見た目は構造の証拠になりません(この比較実験は演習として推奨。 実行結果は各自の環境で確認してください)。

🚀 発展 — 埋め込み品質の定量指標と統一理論

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