論文一覧に戻る 🕸 論文ネットワーク 🗺 用語ネットワーク 統計データ分析コンペ 教育用再現集
審査員奨励賞[高校生の部] ★

日本の教育現場の課題と教育の質向上

⏱️ 推定読了時間: 約22分
2022年度(令和4年度)統計データ分析コンペティション | 三原 大輝(香川県立高松商業高等学校) | 文部科学省・日本教職員組合・香川県資料/再現はSSDSE-B-2026(小学校の学校数・教員数・児童数) | 決定木分析(KNIME)・時系列予測(Excel)・記述統計・推移の可視化
🔬 時系列予測🔬 決定木分析🔬 記述統計🏷 教育・学力🏷 労働・雇用
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータ文部科学省・香川県教育委員会・SSDSE-B・文部科学統計要覧・「教師不足」の状況-概要・日本教職員組合
中核手法:決定木
この教材が使うデータ
原論文(PDF)日本の教育現場の課題と教育の質向上
審査員奨励賞/三原 大輝(香川県立高松商業高等学校)
✅ この教材でできること
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
突合監査の結果、主要データと中核手法はいずれも原論文と一致しています。

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_14_shorei.py(309 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究のテーマと目的
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:決定木 → 推移の可視化 → 時系列予測 → 記述統計
  4. 決定木分析:小規模校の教員不足確率(報告値)
  5. 図2:正規雇用者数の割合 予測vs実データ(報告値)
  6. 図3:教員の残業代と給特法(報告値)
  7. 図4:教員の勤務時間と超過労働(報告値)
  8. 主要な発見(原論文の報告値)
  9. 再現コード:小学校の学校数・教員数・児童数(実再現)
  10. 図1:小学校の推移(実再現)
  11. 結果の解釈と考察
  12. まとめと今後の課題
  13. データ・コードのDL
  14. ⚠️ よくある誤解
  15. 📖 用語集
  16. 📐 手法ガイド
  17. 🚀 発展の可能性
  18. 🎯 自分でやってみよう
  19. 🤔 Q&A
  20. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの小学校の推移(図1)は、以下の手順で自分で再現できます。コードの編集は不要です。(決定木の確率・正規雇用者割合・勤務時間・残業代は文部科学省/日本教職員組合/香川県の資料が出典でSSDSE-Bに無いため、図2〜図4は原論文の報告値を可視化します。)

1
データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県別・基礎データ、社会・人口統計体系)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
2
ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_H5_14_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_H5_14_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究のテーマと目的

令和4年、文部科学省が初めて行った「教師不足」に関する実態調査で、全国の公立学校の不足教員が2,558人にのぼることが分かった。その内訳は小学校・中学校で約8割を占める。著者は、非正規雇用への依存、産休・育休や精神疾患による休職、そして教員免許を持ちながら教職に就かないペーパーティーチャーの発生などに注目し、「教員不足はなぜ解消されないのか」を主題に据えた。

高校生である著者は、1971年制定の給特法(公立学校教員の残業代を月給の4%の教職調整額で代替する法律)が現代の労働環境に合っていないのではないか、ペーパーティーチャーの発生は教員のイメージだけでなく教育現場自体の問題ではないか、という2つの仮説を立てた。SDGsの「質の高い教育をみんなに」を身近な社会課題として捉え、複数の手法で検証していく姿勢が全体を貫いている。

2,558人
公立学校の不足教員(令和4年・報告値)
37.2%
3学級以下の小規模校の教員不足確率(決定木・報告値)
約56時間
教員の1か月の平均超過労働(報告値)
16,400円
給特法4%の月残業代(他公務員41,000円・報告値)
研究の問い 「教員不足はなぜ解消されないのか」。少子化で学校数も児童数も減っているのに教員不足が続くのはなぜか。給特法は労働環境を悪化させていないか。決定木・時系列予測・記述統計を組み合わせて検証する。
分析のキモ:一つの問いを複数の道具で切る 小規模校の教員不足は決定木で確率化し、将来の正規雇用者割合は時系列予測で見通し、労働の実態は記述統計で描く。手法をひとつに絞らず、問いに応じて使い分けたのが本研究の見どころ。数式で超過労働時間を自分で立式している点も高校生らしい。

高校生の部 文部科学省・日本教職員組合・香川県 決定木分析(KNIME) 時系列予測(Excel) 記述統計・可視化

使用データと再現可能性の整理

本研究は年度・出典の異なる複数のデータを組み合わせている。教員不足の実態調査・精神疾患による休職者・非正規教員の任用状況・文部科学統計要覧は文部科学省、学校数や教職員数は香川県教育委員会、勤務時間は日本教職員組合の意識調査、給与比較は香川県の資料に基づく。そのうち小学校の学校数・教員数・児童数だけは SSDSE-B が出典と原論文の表1に明記されている。

表1 主なデータと出典(原論文 表1 より)

役割データ出典(年度)
教員不足「教師不足」の状況(各校種別 不足人数)文部科学省(2021)
休職精神疾患による病気休職者の推移文部科学省(2011〜2020)
小規模校学校数・児童生徒数・教職員数(決定木用)香川県教育委員会(2021)
推移小学校の学校数・教員数・児童数SSDSE-B(2012〜2019)*SSDSE
雇用形態非正規教員の現状(実数ベース)文部科学省(2005〜2012・2021)
勤務時間学校内の勤務時間(1日平均)日本教職員組合(2021)
給与給与・定員管理(残業代の比較)香川県(2021)

*は原論文が SSDSE(教育用標準データセット)から取得したと明記した変数。正規雇用者数の割合は「正規雇用者数÷総人口」など著者が加工した指標も用いている。

再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 報告値の可視化(再計算ではない):決定木の教員不足確率(37.2%)は香川県教育委員会のデータ+KNIME、正規雇用者割合は文部科学省の非正規教員任用状況+総人口の独自加工、勤務時間・超過労働・残業代は日本教職員組合の意識調査/香川県の給与資料が出典で、いずれもSSDSEに無い。よって図2(正規雇用者割合)・図3(残業代)・図4(勤務時間)と決定木の結果は原論文の報告値を転記して可視化する。
  • 実再現できる部分:原論文が仮説4-2で用いた小学校の学校数・教員数・児童数は SSDSE-B に収録がある(E2101・E2401・E2501)。これを SSDSE-B-2026 から全国計で組み立て、「学校数・児童数は減っても教員数は増えている」という原論文の観察(図5・図6)を実データで確かめる(図1)。
  • 新しい数値の捏造はしない:教員不足人数・正規雇用者割合・勤務時間・残業代は SSDSE-B に無いため実再現には使わない。報告値と再計算値はラベルで分離する。GDP・県内総生産・高齢化率など SSDSE-B に無い列は一切使わない。

分析の流れ:決定木 → 推移の可視化 → 時系列予測 → 記述統計

分析の流れ
決定木
小規模校の
教員不足確率
推移の可視化
学校数・児童数
・教員数
時系列予測
正規雇用者
割合を予測
記述統計
勤務時間・
残業代の比較

① 決定木分析(KNIME)

学級数計と必要教員数を独立変数、教員不足の有無を従属変数として、香川県の小学校を決定木で分類した。KNIME はブロックをつなぐだけで分析でき、コーディング不要なオープンソースソフトである。

② 推移の可視化(実再現の対象)

小学校の学校数・教員数・児童数の時系列推移を並べ、「学校も児童も減っているのに教員数は増えている」構造を確認する。ここは SSDSE-B で実再現できる部分である。

③ 時系列予測(Excel・信頼区間95%)

正規雇用者数の割合を2005〜2012年のデータから2024年まで予測し、2021年の実データと比較した。予測(79%)と実測(87%)が大きくずれた点が論点になる。

④ 記述統計・数式による算出

1日平均労働時間から超過労働時間=(平均労働時間−労働基準)×労働日数を立式し、給特法4%・10%での残業代を他公務員と比較した。

予測・確率は「前提つき」 決定木の確率も時系列予測も、使ったデータの範囲と前提に依存する。特に時系列予測は「過去の傾向が続く」という前提が崩れると外れる(正規雇用者割合がその実例)。数値を鵜呑みにせず、前提とズレを確認する姿勢が大切。
1
決定木分析:小規模校の教員不足確率(報告値の可視化)

最初の仮説は「学級数・生徒数が少ない学校の合併・閉校は、教員不足の解消に有効か」。著者は香川県の小学校を対象に、決定木(KNIME)で分析した。この結果は原論文の報告値をそのまま転記したものである(香川県教育委員会のデータとKNIMEによる分析で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文 4-1・図4 の決定木の結果(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:決定木が出力した「小規模校の教員不足確率37.2%」をそのまま書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:ここで「小規模校ほど教員不足を起こしやすい」という出発点を掴んでから、次に「では学校数を減らせば教員不足は減るのか(図1の推移)」へ進む。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [1] 決定木分析:小規模校の教員不足確率(原論文 4-1・図4 の報告値)===
KNIMEの決定木 / 独立変数=学級数計・必要教員数, 従属変数=教員不足の有無 / 香川県の小学校
SSDSE に無い独自データ(香川県教育委員会)+KNIME のため再計算不可(報告値の転記)
→ 3学級以下(必要教員数7人以下)の小規模校が教員不足を起こす確率: 37.2%
※ 著者は「小規模校は学校運営に対応できず、合併・閉校は適切」と結論(仮説4-1は適切)。
  • ④ 実行結果の読み取り:3学級以下(必要教員数7人以下)の小規模校は37.2%の確率で教員不足を起こす、と決定木は分類した。著者はこれを根拠に「小規模校は学校運営に対応できず、合併・閉校は適切」と結論した(仮説4-1は適切)。KNIMEと香川県のデータによる結果で、すべて原論文の報告値である。
決定木という道具(原論文 図3・図4) 決定木は「学級数は◯以下か?」といった質問で枝分かれさせ、最後の枝(葉)ごとに「教員不足が起きる確率」を割り当てる手法。人間が読める“if-then”の形になるのが長所だ。ただし確率は学習に使ったデータ(香川県の小学校)に依存し、他地域にそのまま当てはまるとは限らない。
2
図2:正規雇用者数の割合 予測 vs 実データ(報告値の可視化)

「正規雇用者の割合は低下し続けるのか」という仮説を、Excel の予測ツール(信頼区間95%)で検証した。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(文部科学省の非正規教員任用状況+総人口の独自加工で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文 4-3・図7 の予測値と実データ(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:全教員に対する正規雇用者割合の予測値(2021年79%・2024年78%)と実データ(2021年87%)を符号・桁そのままに転記する。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:決定木・推移で「教員は不足しているのに増えている」構造を見た後、ここでは「非正規への依存は進むのか」を予測で確かめる。予測が外れた理由が次の考察につながる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [2] 正規雇用者数の割合:予測 vs 実データ(原論文 4-3・図7 の報告値)===
Excel の予測ツール(信頼区間95%)による予測。全教員に対する正規雇用者の割合。
文部科学省の非正規教員任用状況+総人口の独自加工で SSDSE に無く再計算不可(報告値の転記)
  2021年 予測値       79%  (予測)
  2021年 実データ      87%  (実測)
  2024年 予測値       78%  (予測)
→ 2021年は 予測79% に対し 実データ87% と 8 ポイントの誤差。予測は下降を示したが実測は上昇。
   誤差の要因(報告値): 非常勤講師の実数と予測値に約60,000人、人口に約2,000,000人の差。
※ 「正規雇用者の割合は低下し続ける」という仮説4-3は不適切だった、と著者は結論。
  • ④ 実行結果の読み取り:著者は「正規雇用者割合は低下し続け2024年に80%を下回る」と予測(78%)したが、2021年の実データは87%で予測値79%を8ポイント上回った。予測が外れた要因として、非常勤講師の実数と予測に約60,000人、人口に約2,000,000人の差があったと報告している。よって仮説4-3は不適切だった。すべて原論文の報告値である。
正規雇用者数の割合 予測vs実データ(報告値の可視化)
図2:全教員に対する正規雇用者数の割合。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 図7)。灰=Excelの予測値、赤=実データ。予測は下降を示したが、2021年の実データはむしろ予測を8ポイント上回った。文部科学省の任用状況+総人口の加工値で、SSDSE-Bには無い。
📊 この図の読み方
予測(灰)
2021年79%・2024年78%。過去の減少傾向を延長すると割合は下がり続けるはずだった。
実データ(赤)
2021年は87%。予測より8ポイント高く、予測と逆に上昇していた。
位置づけ
報告値の可視化。時系列予測は「過去の傾向が続く」前提が崩れると外れる典型例。仮説は不適切と判定された。
3
図3:教員の残業代と給特法(報告値の可視化)

「教員の給与は労働時間に見合っているのか」を、給特法の教職調整額に着目して検証した。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(香川県の給与・定員管理資料に基づく独自加工で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文 4-4・表3 の残業代の比較(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:教員平均給与41万円をもとに算出された、給特法4%・10%での月残業代と、香川県の他公務員の平均支給額を転記する。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:正規雇用者割合の分析で「非正規に頼らざるを得ない」構造を見た後、ここでは「そもそも教員の待遇は妥当か」を給与面から確かめる。次の勤務時間(図4)と合わせて労働環境を描く。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 教員の残業代と給特法(原論文 4-4・表3 の報告値)===
教員平均給与41万円をもとに算出。香川県の給与・定員管理資料に基づき SSDSE に無く再計算不可。
区分                            1か月の残業代(円)
香川県の教員(給特法4%)                     16,400
香川県の教員(給特法10%)                    41,000
香川県の他公務員(平均)                      41,000
→ 現行の給特法4%では月16,400円で、他公務員の約41,000円より大幅に低い。
   給特法を10%に引き上げると41,000円となり、他公務員と同水準になる(著者の提案)。
※ 1966年当時の平均残業月8時間を根拠に4%が設定されたが、現状に見合っていないと指摘。
  • ④ 実行結果の読み取り:現行の給特法4%では教員の月残業代は16,400円で、香川県の他公務員の約41,000円の半分以下。給特法を10%に引き上げれば41,000円となり他公務員と同水準になる、と著者は提言した。給特法の4%は1966年当時の月8時間の残業を根拠にしており、現状に見合っていないという指摘である。すべて原論文の報告値である。
教員の残業代と給特法の比較(報告値の可視化)
図3:教員の残業代の比較(1か月あたり)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 表3)。給特法4%(赤)は他公務員(青)の半分以下。給特法10%(緑)にすると同水準になる。香川県の給与資料に基づく加工値で、SSDSE-Bには無い。
📊 この図の読み方
給特法4%(赤)
16,400円。現行制度での教員の月残業代。他公務員の半分以下。
他公務員(青)
41,000円(年492,000円÷12)。同じ超過労働に対する香川県の他公務員の平均支給額。
給特法10%(緑)
41,000円。著者が提案する引き上げ後の水準で、他公務員と並ぶ。
4
図4:教員の勤務時間と超過労働(報告値の可視化)

残業代の低さの背後にある「そもそも教員はどれだけ働いているのか」を、日本教職員組合の意識調査から見る。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(日本教職員組合の意識調査が出典で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文 4-4・図9 の勤務時間と超過労働時間(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:2021年度の教員の勤務時間分布(8時間以内4.0%/8時間以上96.0%)と、著者が立式した1か月の超過労働時間(約56時間)を転記する。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:残業代が他公務員の半分以下(図3)だと分かった上で、その残業代が対応すべき労働量を示す。超過労働56時間と残業代16,400円の対比が、給特法改正提言の柱になる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [4] 教員の勤務時間と1か月の超過労働時間(原論文 4-4・図9 の報告値)===
出典: 日本教職員組合「2021年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」(SSDSE に無い)
  2021年度の1日平均労働時間: 約10時間40分
  1日8時間以内: 4.0%  /  1日8時間以上: 96.0%
  超過労働時間 =(10.667h − 8h)× 21日 ≒ 56 時間/月
→ 教員の96.0%が1日8時間以上働き、1か月の平均超過労働は約56時間(報告値)。
※ 企業の超過労働は違法だが、教員は給特法により合法化されている、と著者は問題視。
  • ④ 実行結果の読み取り:2021年度の教員の1日平均労働時間は約10時間40分で、96.0%が1日8時間以上働いていた。著者は「超過労働時間=(平均労働時間−労働基準)×労働日数」の式に平均21日を代入し、1か月の平均超過労働を約56時間と算出した。企業では違法な超過労働が、教員では給特法により合法化されている点を著者は問題視している。すべて原論文の報告値である。
2021年 教員の勤務時間の分布(報告値の可視化)
図4:2021年 教員の勤務時間の分布(1日平均)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 図9)。96.0%(赤)が1日8時間以上労働。1日平均約10時間40分から1か月の超過労働は約56時間と算出された。日本教職員組合の意識調査に基づく値で、SSDSE-Bには無い。
📊 この図の読み方
8時間以上(赤)
96.0%。ほとんどの教員が労働基準(1日8時間)を超えて働いている。
超過労働
1日平均10時間40分。差の2時間40分に平日21日を掛けると1か月約56時間の超過労働になる。
位置づけ
報告値の可視化。この56時間に対する残業代が図3の16,400円で、著者の給特法改正提言の根拠になる。
5
主要な発見(原論文の報告値)

以下の数値はすべて原論文の報告値である。決定木・時系列予測・記述統計を通じて、著者は次のように整理した。

各仮説の検証結果(原論文の報告値)

仮説手法結果(報告値)判定
4-1 小規模校の合併・閉校は適切か決定木(KNIME)3学級以下は37.2%の確率で教員不足適切
4-2 学校・児童が減れば教員不足は解消するか推移の可視化学校数・児童数は減少、教員数は増加(=業務の膨大化が原因)否定的
4-3 正規雇用者割合は低下し続けるか時系列予測(Excel)予測79%に対し実データ87%(8ポイントの誤差)不適切
4-4 給与は労働時間に見合うか記述統計・数式超過労働56時間/月に対し残業代16,400円(他公務員41,000円)見合わない

著者の総合的な結論(報告値に基づく主張)

教員不足は単なる人数不足ではなく、学校業務の膨大化(英語・プログラミング教育の必修化、教科担任制、休職者の増加など)と、給特法による不適切な給与体系が労働環境を悪化させていることが要因である。時系列予測が外れたことからも「非正規に頼れば足りる」という見通しが崩れたことが分かる。

「膨大化した業務」と「合わない給与」という二本柱(原論文 6章) 著者は、①学校も児童も減っているのに教員数は増え、それでも足りない=業務量そのものが膨らんでいること、②超過労働56時間に対し残業代16,400円という給与と労働の不釣り合い――の2点を教員不足の根本と位置づけた。この2つが「教員を志望する人が減る」悪循環を生む、というのが主張の柱である。すべて報告値に基づく著者の考察。
6
再現コード:小学校の学校数・教員数・児童数(実再現)

原論文の中心的な数値の多くはSSDSE-Bに無い(報告値として転記した)。唯一SSDSE-Bが出典と明記されているのが「小学校の学校数・教員数・児童数」(仮説4-2)。この部分を実データから組み立ててみる。

やってみようSSDSE-B を読み込み、原論文が SSDSE-B を出典とした「小学校の学校数・教員数・児童数」を全国計で構築する【実再現】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B-2026 を cp932・ラベル行 skiprows=[1] で読み込み、先頭列 SSDSE-B-2026(年度)ごとに47都道府県の 小学校数(E2101)・教員数(E2401)・児童数(E2501) を合計して全国計の時系列を作り、原論文が用いた2012〜2019年の推移と増減率を確認する。
  • ② 前後のつながり:原論文の中心的な数値(決定木の確率・正規雇用者割合・勤務時間・残業代)はSSDSE-Bに無い。しかし仮説4-2の「小学校の学校数・教員数・児童数」だけはSSDSE-Bが出典(原論文 表1)。ここで全国計を組み立て、「学校も児童も減っているのに教員数は増えている」という原論文の観察(図5・図6)を実データで確かめる。
📝 コード
180
181
182
183
184
185
186
187
188
189
190
191
192
193
194
195
196
197
198
199
200
201
202
203
204
205
206
207
208
df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=0, skiprows=[1])
df['SSDSE-B-2026'] = pd.to_numeric(df['SSDSE-B-2026'], errors='coerce')
for c in ['E2101', 'E2401', 'E2501']:
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')

# 全国計(年度ごとに47都道府県を合計)
nat = df.groupby('SSDSE-B-2026')[['E2101', 'E2401', 'E2501']].sum()
nat = nat.rename(columns={'E2101': '小学校数', 'E2401': '小学校教員数', 'E2501': '小学校児童数'})

# 原論文が用いた期間(2012〜2019年)に合わせて表示
paper = nat.loc[2012:2019]
print('\n=== [5] 小学校の学校数・教員数・児童数の推移(実再現・SSDSE-B 全国計)===')
print('E2101 小学校数 / E2401 小学校教員数 / E2501 小学校児童数 を47都道府県で合計(原論文 仮説4-2)')
print(f"{'年度':<6}{'小学校数':>10}{'教員数':>12}{'児童数':>14}")
for y, r in paper.iterrows():
    print(f"{int(y):<6}{int(r['小学校数']):>10,}{int(r['小学校教員数']):>12,}{int(r['小学校児童数']):>14,}")

s0, s1 = paper.iloc[0], paper.iloc[-1]
def pct(a, b):
    return (b - a) / a * 100
print(f"→ 2012→2019で 小学校数 {pct(s0['小学校数'], s1['小学校数']):+.1f}% / "
      f"児童数 {pct(s0['小学校児童数'], s1['小学校児童数']):+.1f}% / "
      f"教員数 {pct(s0['小学校教員数'], s1['小学校教員数']):+.1f}%")
# 直近5年(2015→2019)の教員数
t5 = paper.loc[2015:2019, '小学校教員数']
print(f'   直近5年(2015→2019)の教員数: {int(t5.iloc[0]):,}{int(t5.iloc[-1]):,} 人({pct(t5.iloc[0], t5.iloc[-1]):+.1f}%)')
print('→ 学校数・児童数は減り続ける一方、教員数は近年むしろ増加。原論文の「学校も児童も')
print('   減っているのに教員不足」という観察(図5・図6)が実データで裏づけられる。')
print('   (最新2023年まで延長しても 小学校数18,980校 / 児童数604万人 / 教員数424,297人 と同傾向)')
▼ 実行結果
=== [5] 小学校の学校数・教員数・児童数の推移(実再現・SSDSE-B 全国計)===
E2101 小学校数 / E2401 小学校教員数 / E2501 小学校児童数 を47都道府県で合計(原論文 仮説4-2)
年度          小学校数         教員数           児童数
2012      21,460     418,707     6,764,619
2013      21,131     417,553     6,676,920
2014      20,852     416,475     6,600,006
2015      20,601     417,152     6,543,104
2016      20,313     416,973     6,483,515
2017      20,095     418,790     6,448,658
2018      19,892     420,659     6,427,867
2019      19,738     421,935     6,368,550
→ 2012→2019で 小学校数 -8.0% / 児童数 -5.9% / 教員数 +0.8%
   直近5年(2015→2019)の教員数: 417,152 → 421,935 人(+1.1%)
→ 学校数・児童数は減り続ける一方、教員数は近年むしろ増加。原論文の「学校も児童も
   減っているのに教員不足」という観察(図5・図6)が実データで裏づけられる。
   (最新2023年まで延長しても 小学校数18,980校 / 児童数604万人 / 教員数424,297人 と同傾向)
  • ④ 実行結果の読み取り:2012→2019で小学校数は−8.0%、児童数は−5.9%と減り続ける一方、教員数は+0.8%(直近5年 2015→2019では+1.1%)と増加している。少子化で学校も児童も減っているのに教員数はむしろ増えており、それでも教員不足が起きる――という原論文の観察が実データで裏づけられた。原因を「頭数の不足」ではなく「業務の膨大化」に求めた著者の論理と整合する。最新の2023年まで延長しても同じ傾向(小学校数18,980校・児童数604万人・教員数424,297人)で、これはSSDSE-Bからの実再現(全国計)である。
7
図1:小学校の学校数・児童数・教員数の推移(実再現)

原論文が SSDSE-B を出典として示した小学校の推移(図5・図6)を、SSDSE-B-2026 から全国計で再現する。これは実データからの再計算(実再現)である。学校数・児童数(左寄り)と教員数の動きを一枚に重ねた。

小学校の学校数・児童数・教員数の推移(実再現)
図1:小学校の学校数・児童数・教員数の推移(2012〜2019年、SSDSE-B 全国計、N=47都道府県の合計)。実再現(原論文 図5・図6 に対応)。学校数(青)と児童数(緑)は一貫して減少、教員数(赤)は近年むしろ増加。原論文の観察を実データで裏づける。
📊 この図の読み方
減っている(青・緑)
小学校数(21,460→19,738校)と児童数(676万→637万人)。少子化と統廃合で一貫して減少。
増えている(赤)
教員数(418,707→421,935人)。学校も児童も減るなか、教員数はむしろ増加。それでも教員不足が起きている。
位置づけ
実再現(全国計)。原論文がSSDSE-Bを出典とした部分なので、同じ考え方で再計算できる。ここから著者は「原因は頭数不足ではなく業務の膨大化」と論じた。

結果の解釈と考察(原論文「5」「6」)

著者は決定木・時系列予測・記述統計を総合し、教員不足の本質は「学校業務の膨大化」と「給特法による不適切な給与体系」にあると結論づけた。そのうえで、教員を増やす案と業務を減らす案の両面から具体策を提言した(すべて報告値に基づく著者の考察)。

教員数を増やすための案(原論文 5-1)

大学生スクールサポーター制度:愛媛県が導入した、大学1年から授業以外の教員業務を体験できる制度。地方公務員として給与も出るため、大学生の事前経験と教員の負担軽減を両立できる。ペーパーティーチャーの活用:2022年の教員免許更新制廃止で教職に就きやすくなった一方、講習廃止による質の担保が課題として残る。

業務負担を減らすための案(原論文 5-2)

部活動の民営化:運動部顧問の負担を減らすため、技術指導は外部に委ね、教員は人間性・社会性の指導に集中する(完全民営化はしない)。ICT教育の推進:日本のオンライン授業普及率はコロナ前13%→後51%と伸びたが、海外の70%超には及ばない。情報機器への予算確保と学習環境整備を優先すべきと提言した。

この考察の限界 決定木の確率は香川県の小学校という限られたデータに基づく。時系列予測は前提が崩れて外れた(実測87%)。残業代・勤務時間の比較も香川県・日教組調査という特定の出典による。全国・他手法での裏づけがあれば、より頑健な提言になる。相関・予測は前提つきであることに注意。

まとめと今後の課題

本研究は、教員不足はなぜ解消されないのかという問いに、決定木分析(KNIME)・時系列予測(Excel)・記述統計・数式による算出を組み合わせて挑んだ。3学級以下の小規模校は37.2%の確率で教員不足(報告値)、学校数・児童数は減っても教員数は増加(実再現で裏づけ)、正規雇用者割合の予測は外れ(79%予測に対し実87%)、超過労働56時間に残業代16,400円という不釣り合い(報告値)――から、著者は原因を学校業務の膨大化と給特法に求め、給特法の10%引き上げ・大学生サポーター活用・部活動の民営化・ICT教育の推進を提言した。高校生が身近な社会課題を複数の手法で切り分けた探究の姿勢が見どころである。

この研究の限界 ①決定木・予測・残業代の値は香川県/特定調査に基づく報告値で、全国・他手法での裏づけは今後の課題。②時系列予測は前提が崩れると外れる(実測が予測を8ポイント上回った)。③異なる年度・出典のデータを組み合わせている。④提言(給特法10%など)は著者の考察であり効果の検証はこれから。
この研究から学べること 一つの社会問題を複数の統計手法で多面的に切る発想、予測と実測のズレから前提を問い直す姿勢、そして中心的な数値が標準データセットに無いときに報告値の可視化と実再現を切り分ける誠実さ。審査会も高校生による社会課題への接続と手法の使い分けを評価し、審査員奨励賞に選んだ。

データ・コードのダウンロード

このページの小学校の推移(図1)は、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv

※ 図2(正規雇用者割合)・図3(残業代)・図4(勤務時間)と決定木の結果(37.2%)は、出典が文部科学省/日本教職員組合/香川県の資料でSSDSE-B外のため、原論文の報告値を可視化したものです。図1はSSDSE-Bの小学校数(E2101)・教員数(E2401)・児童数(E2501)からの実再現(全国計・2012〜2019年)です。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「決定木が出した37.2%は全国どこでも当てはまる確率だ」
この確率は香川県の小学校データで学習した決定木の出力。学習に使ったデータの範囲に依存し、他の地域や年度でそのまま成り立つとは限らない。決定木の確率は「このデータではこう分類できた」という値である。
誤解2:「時系列予測が外れたのは分析の失敗だ」
むしろ予測と実測のズレ(79%予測→87%実測)から前提の誤りが見えることに価値がある。時系列予測は「過去の傾向が続く」前提で計算するため、非常勤講師の増減や人口の見積り違いで外れる。外れた事実そのものが仮説4-3の反証になった。
誤解3:「教員数が増えているなら教員不足は嘘では?」
SSDSE-Bで確かめたとおり教員数は増えている(実再現)。しかし児童減以上に業務量が増えている(英語・プログラミング必修化、教科担任制、休職増)ため、頭数が増えても不足が起きる。「人数」と「業務量」を分けて考える必要がある。
誤解4:「このページの図はすべて原論文と同じ数値」
図2・図3・図4と決定木の37.2%は原論文の報告値の可視化(再計算ではない)。図1(小学校の推移)だけが実再現で、SSDSE-Bの全国計から計算した。図注に区別を明記している。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

決定木分析
「◯以下か?」という質問で枝分かれさせ、葉ごとに分類や確率を割り当てる手法。人が読めるif-then形になる。本研究では小規模校の教員不足確率をKNIMEで推定した。
時系列予測
過去の推移から将来の値を見通す手法。本研究はExcelの予測ツール(信頼区間95%)で正規雇用者割合を2024年まで予測した。前提が崩れると外れる。
SSDSE
教育用標準データセット。本ページの実再現はSSDSE-B(都道府県別)の小学校数・教員数・児童数を用いる。決定木の確率や残業代など独自データはSSDSEに無い。
信頼区間
予測値がどのくらいの幅で起こりうるかを示す区間。本研究は95%の信頼区間を設定して予測した。
記述統計
平均・割合などでデータの特徴を要約する手法。勤務時間の分布(96.0%が8時間以上)や残業代の比較に用いた。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。

全体像
小規模校の教員不足は決定木で確率化 → 学校の推移は時系列の可視化(実再現)→ 将来の割合は時系列予測 → 労働の実態は記述統計と数式一つの問いを複数の道具で多面的に切るのが見どころ。
🌳 決定木分析
何をする
「学級数は◯以下か?」といった質問で枝分かれさせ、最後の枝(葉)ごとに「教員不足が起きる確率」を割り当てる。
読み方
枝をたどれば「どんな条件のとき確率が高いか」がif-thenの形で読める。本研究では3学級以下で37.2%と分類された。
注意
確率は学習データ(香川県の小学校)に依存する。データが変われば枝も確率も変わる。過学習(学習データに合わせすぎ)にも注意。
📈 時系列予測
何をする
過去の値の並び(2005〜2012年)から傾向を取り出し、将来(2024年まで)の値を外挿する。信頼区間で不確かさの幅も示す。
読み方
予測は「過去の傾向が続けばこうなる」という条件つきの値。実測と大きくずれたら前提を疑う。
注意
前提が崩れると外れる。本研究では非常勤講師の増減や人口の見積り違いで予測79%に対し実測87%と8ポイントずれた。外れたこと自体が発見になる。
📊 記述統計・数式による算出
何をする
割合(8時間以上が96.0%)や平均で実態を要約し、「超過労働=(平均労働時間−労働基準)×労働日数」のように自分で式を立てて量を求める。
なぜ有効
複雑なモデルを使わずに、誰でも検算できる形で実態(56時間・16,400円)を示せる。政策提言の根拠として分かりやすい。
注意
平均や割合は元データの出典と定義に依存する(ここでは日教組調査・香川県資料)。前提(平日21日など)を明示することが大切。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「教員数は増えても不足は続く、原因は業務の膨大化と給特法」という結論は、次の研究の出発点になる。

発展1:業務量を測る指標をつくる
結果X
学校数・児童数は減っても教員数は増加。それでも不足=業務量が増えている(と推定)。
新仮説Y
教員1人あたりの担当業務(英語・プログラミング・教科担任・休職者の穴埋め)を数値化すれば、不足の度合いを説明できるのでは。
課題Z
教員1人あたり児童数・授業時数・校務分掌などをSSDSEや勤務実態調査から組み合わせ、業務負荷指標を設計する。
発展2:全国・複数年で決定木を検証する
結果X
香川県の小学校で「3学級以下は37.2%の確率で教員不足」(報告値)。
新仮説Y
この確率は地域や年度で変わるのでは。全国データなら別の閾値・確率になるかもしれない。
課題Z
複数県・複数年のデータで決定木を学習し直し、確率の安定性と一般化可能性(過学習の有無)を検証する。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
最新年まで推移を延ばす
図1の期間 paper = nat.loc[2012:2019]nat.loc[2012:2023] に変えて、2023年まで小学校数・児童数・教員数の推移を描いてみよう。原論文の期間より後も同じ傾向が続くか確かめられる。
★★☆☆☆ 難易度2
教員1人あたり児童数を計算する
児童数(E2501)÷教員数(E2401)で「教員1人あたり児童数」を年ごとに出し、この10年で改善したか(減ったか)を見てみよう。頭数だけでは見えない負担の変化がつかめる。
★★★☆☆ 難易度3
香川県だけの推移を抜き出す
全国計ではなく df[df['Prefecture']=='香川県'] で香川県の小学校の推移を描き、全国の傾向と比べてみよう。原論文が香川県を例にした意味を体感できる。
★★★★☆ 難易度4
中学校・高校でも同じことを見る
E3101/E3401/E3501(中学校)やE4101/E4401/E4501(高校)で同じ推移図を作り、校種によって「学校数減・教員数増」の傾向が違うか比べよう。
★★★★★ 難易度5
超過労働時間を自分の前提で再計算する
原論文の式「(平均労働時間−8)×労働日数」で、労働日数を20日や22日に変えたり、平均労働時間を10時間・11時間にしたりして、1か月の超過労働時間がどう動くか計算しよう。前提の置き方が結論に効くことが分かる。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「一つの課題を決定木・時系列予測・記述統計で多面的に分析する」発想は、行政や企業で広く使われている。

🏫
教育行政・教員配置
学校規模・児童数から教員不足のリスクを予測し、統廃合や加配の判断材料にする。決定木のような読みやすいモデルが好まれる。
📉
需要予測・人員計画
過去の推移から将来の人員や需要を時系列予測し、採用計画に使う。予測と実測のズレを監視して前提を見直すのが定石。
⚖️
労働環境・働き方改革
勤務時間の分布や超過労働の記述統計で実態を可視化し、制度(残業代・上限規制)の見直し根拠にする。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. 教員数が増えているのに、なぜ「教員不足」なの?
A. SSDSE-Bで確かめたとおり、小学校の教員数は近年むしろ増えています(実再現)。それでも不足が起きるのは、英語・プログラミング教育の必修化や教科担任制、休職者の増加などで1人あたりの業務量が膨らんでいるからだ、と著者は論じます。「人数」と「業務量」を分けて考えるのがポイントです。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 一部だけ実再現です。図2(正規雇用者割合)・図3(残業代)・図4(勤務時間)と決定木の37.2%は、出典が文部科学省/日本教職員組合/香川県の資料でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を可視化したものです。図1(小学校の推移)だけがSSDSE-Bの全国計から実際に計算した実再現です。図注に明記しています。
Q. 時系列予測が外れたのに、この研究に意味はあるの?
A. あります。予測79%に対し実測87%と8ポイントずれたことで、「正規雇用者割合は下がり続ける」という仮説4-3が反証されました。予測が外れた事実から前提(非常勤講師の増減・人口の見積り)の誤りが見えるので、外れること自体が発見になっています。
Q. 給特法を10%に上げれば教員不足は解決する?
A. 言い切れません。10%引き上げは著者の提言で、他公務員と同水準の残業代(41,000円)になるという試算に基づきますが、効果の検証はこれからです。著者も給与だけでなく、大学生サポーター活用や部活動の民営化、ICT教育など業務量そのものを減らす案と組み合わせて提言しています。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_14_shorei.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。