この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。
| 原論文が使ったデータ | 文部科学省・香川県教育委員会・SSDSE-B・文部科学統計要覧・「教師不足」の状況-概要・日本教職員組合 中核手法:決定木 |
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| この教材が使うデータ |
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| 原論文(PDF) | 日本の教育現場の課題と教育の質向上 審査員奨励賞/三原 大輝(香川県立高松商業高等学校) |
▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_14_shorei.py(309 行)そのものです。
このページの小学校の推移(図1)は、以下の手順で自分で再現できます。コードの編集は不要です。(決定木の確率・正規雇用者割合・勤務時間・残業代は文部科学省/日本教職員組合/香川県の資料が出典でSSDSE-Bに無いため、図2〜図4は原論文の報告値を可視化します。)
data/raw/ フォルダに入れます。html/figures/ に自動保存されます。
令和4年、文部科学省が初めて行った「教師不足」に関する実態調査で、全国の公立学校の不足教員が2,558人にのぼることが分かった。その内訳は小学校・中学校で約8割を占める。著者は、非正規雇用への依存、産休・育休や精神疾患による休職、そして教員免許を持ちながら教職に就かないペーパーティーチャーの発生などに注目し、「教員不足はなぜ解消されないのか」を主題に据えた。
高校生である著者は、1971年制定の給特法(公立学校教員の残業代を月給の4%の教職調整額で代替する法律)が現代の労働環境に合っていないのではないか、ペーパーティーチャーの発生は教員のイメージだけでなく教育現場自体の問題ではないか、という2つの仮説を立てた。SDGsの「質の高い教育をみんなに」を身近な社会課題として捉え、複数の手法で検証していく姿勢が全体を貫いている。
高校生の部 文部科学省・日本教職員組合・香川県 決定木分析(KNIME) 時系列予測(Excel) 記述統計・可視化
本研究は年度・出典の異なる複数のデータを組み合わせている。教員不足の実態調査・精神疾患による休職者・非正規教員の任用状況・文部科学統計要覧は文部科学省、学校数や教職員数は香川県教育委員会、勤務時間は日本教職員組合の意識調査、給与比較は香川県の資料に基づく。そのうち小学校の学校数・教員数・児童数だけは SSDSE-B が出典と原論文の表1に明記されている。
| 役割 | データ | 出典(年度) |
|---|---|---|
| 教員不足 | 「教師不足」の状況(各校種別 不足人数) | 文部科学省(2021) |
| 休職 | 精神疾患による病気休職者の推移 | 文部科学省(2011〜2020) |
| 小規模校 | 学校数・児童生徒数・教職員数(決定木用) | 香川県教育委員会(2021) |
| 推移 | 小学校の学校数・教員数・児童数 | SSDSE-B(2012〜2019)*SSDSE |
| 雇用形態 | 非正規教員の現状(実数ベース) | 文部科学省(2005〜2012・2021) |
| 勤務時間 | 学校内の勤務時間(1日平均) | 日本教職員組合(2021) |
| 給与 | 給与・定員管理(残業代の比較) | 香川県(2021) |
*は原論文が SSDSE(教育用標準データセット)から取得したと明記した変数。正規雇用者数の割合は「正規雇用者数÷総人口」など著者が加工した指標も用いている。
学級数計と必要教員数を独立変数、教員不足の有無を従属変数として、香川県の小学校を決定木で分類した。KNIME はブロックをつなぐだけで分析でき、コーディング不要なオープンソースソフトである。
小学校の学校数・教員数・児童数の時系列推移を並べ、「学校も児童も減っているのに教員数は増えている」構造を確認する。ここは SSDSE-B で実再現できる部分である。
正規雇用者数の割合を2005〜2012年のデータから2024年まで予測し、2021年の実データと比較した。予測(79%)と実測(87%)が大きくずれた点が論点になる。
1日平均労働時間から超過労働時間=(平均労働時間−労働基準)×労働日数を立式し、給特法4%・10%での残業代を他公務員と比較した。
最初の仮説は「学級数・生徒数が少ない学校の合併・閉校は、教員不足の解消に有効か」。著者は香川県の小学校を対象に、決定木(KNIME)で分析した。この結果は原論文の報告値をそのまま転記したものである(香川県教育委員会のデータとKNIMEによる分析で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。
=== [1] 決定木分析:小規模校の教員不足確率(原論文 4-1・図4 の報告値)=== KNIMEの決定木 / 独立変数=学級数計・必要教員数, 従属変数=教員不足の有無 / 香川県の小学校 SSDSE に無い独自データ(香川県教育委員会)+KNIME のため再計算不可(報告値の転記) → 3学級以下(必要教員数7人以下)の小規模校が教員不足を起こす確率: 37.2% ※ 著者は「小規模校は学校運営に対応できず、合併・閉校は適切」と結論(仮説4-1は適切)。
「正規雇用者の割合は低下し続けるのか」という仮説を、Excel の予測ツール(信頼区間95%)で検証した。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(文部科学省の非正規教員任用状況+総人口の独自加工で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。
=== [2] 正規雇用者数の割合:予測 vs 実データ(原論文 4-3・図7 の報告値)=== Excel の予測ツール(信頼区間95%)による予測。全教員に対する正規雇用者の割合。 文部科学省の非正規教員任用状況+総人口の独自加工で SSDSE に無く再計算不可(報告値の転記) 2021年 予測値 79% (予測) 2021年 実データ 87% (実測) 2024年 予測値 78% (予測) → 2021年は 予測79% に対し 実データ87% と 8 ポイントの誤差。予測は下降を示したが実測は上昇。 誤差の要因(報告値): 非常勤講師の実数と予測値に約60,000人、人口に約2,000,000人の差。 ※ 「正規雇用者の割合は低下し続ける」という仮説4-3は不適切だった、と著者は結論。
「教員の給与は労働時間に見合っているのか」を、給特法の教職調整額に着目して検証した。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(香川県の給与・定員管理資料に基づく独自加工で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。
=== [3] 教員の残業代と給特法(原論文 4-4・表3 の報告値)=== 教員平均給与41万円をもとに算出。香川県の給与・定員管理資料に基づき SSDSE に無く再計算不可。 区分 1か月の残業代(円) 香川県の教員(給特法4%) 16,400 香川県の教員(給特法10%) 41,000 香川県の他公務員(平均) 41,000 → 現行の給特法4%では月16,400円で、他公務員の約41,000円より大幅に低い。 給特法を10%に引き上げると41,000円となり、他公務員と同水準になる(著者の提案)。 ※ 1966年当時の平均残業月8時間を根拠に4%が設定されたが、現状に見合っていないと指摘。
残業代の低さの背後にある「そもそも教員はどれだけ働いているのか」を、日本教職員組合の意識調査から見る。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(日本教職員組合の意識調査が出典で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。
=== [4] 教員の勤務時間と1か月の超過労働時間(原論文 4-4・図9 の報告値)=== 出典: 日本教職員組合「2021年 学校現場の働き方改革に関する意識調査」(SSDSE に無い) 2021年度の1日平均労働時間: 約10時間40分 1日8時間以内: 4.0% / 1日8時間以上: 96.0% 超過労働時間 =(10.667h − 8h)× 21日 ≒ 56 時間/月 → 教員の96.0%が1日8時間以上働き、1か月の平均超過労働は約56時間(報告値)。 ※ 企業の超過労働は違法だが、教員は給特法により合法化されている、と著者は問題視。
以下の数値はすべて原論文の報告値である。決定木・時系列予測・記述統計を通じて、著者は次のように整理した。
| 仮説 | 手法 | 結果(報告値) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 4-1 小規模校の合併・閉校は適切か | 決定木(KNIME) | 3学級以下は37.2%の確率で教員不足 | 適切 |
| 4-2 学校・児童が減れば教員不足は解消するか | 推移の可視化 | 学校数・児童数は減少、教員数は増加(=業務の膨大化が原因) | 否定的 |
| 4-3 正規雇用者割合は低下し続けるか | 時系列予測(Excel) | 予測79%に対し実データ87%(8ポイントの誤差) | 不適切 |
| 4-4 給与は労働時間に見合うか | 記述統計・数式 | 超過労働56時間/月に対し残業代16,400円(他公務員41,000円) | 見合わない |
教員不足は単なる人数不足ではなく、学校業務の膨大化(英語・プログラミング教育の必修化、教科担任制、休職者の増加など)と、給特法による不適切な給与体系が労働環境を悪化させていることが要因である。時系列予測が外れたことからも「非正規に頼れば足りる」という見通しが崩れたことが分かる。
原論文の中心的な数値の多くはSSDSE-Bに無い(報告値として転記した)。唯一SSDSE-Bが出典と明記されているのが「小学校の学校数・教員数・児童数」(仮説4-2)。この部分を実データから組み立ててみる。
skiprows=[1] で読み込み、先頭列 SSDSE-B-2026(年度)ごとに47都道府県の 小学校数(E2101)・教員数(E2401)・児童数(E2501) を合計して全国計の時系列を作り、原論文が用いた2012〜2019年の推移と増減率を確認する。180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 | df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=0, skiprows=[1]) df['SSDSE-B-2026'] = pd.to_numeric(df['SSDSE-B-2026'], errors='coerce') for c in ['E2101', 'E2401', 'E2501']: df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce') # 全国計(年度ごとに47都道府県を合計) nat = df.groupby('SSDSE-B-2026')[['E2101', 'E2401', 'E2501']].sum() nat = nat.rename(columns={'E2101': '小学校数', 'E2401': '小学校教員数', 'E2501': '小学校児童数'}) # 原論文が用いた期間(2012〜2019年)に合わせて表示 paper = nat.loc[2012:2019] print('\n=== [5] 小学校の学校数・教員数・児童数の推移(実再現・SSDSE-B 全国計)===') print('E2101 小学校数 / E2401 小学校教員数 / E2501 小学校児童数 を47都道府県で合計(原論文 仮説4-2)') print(f"{'年度':<6}{'小学校数':>10}{'教員数':>12}{'児童数':>14}") for y, r in paper.iterrows(): print(f"{int(y):<6}{int(r['小学校数']):>10,}{int(r['小学校教員数']):>12,}{int(r['小学校児童数']):>14,}") s0, s1 = paper.iloc[0], paper.iloc[-1] def pct(a, b): return (b - a) / a * 100 print(f"→ 2012→2019で 小学校数 {pct(s0['小学校数'], s1['小学校数']):+.1f}% / " f"児童数 {pct(s0['小学校児童数'], s1['小学校児童数']):+.1f}% / " f"教員数 {pct(s0['小学校教員数'], s1['小学校教員数']):+.1f}%") # 直近5年(2015→2019)の教員数 t5 = paper.loc[2015:2019, '小学校教員数'] print(f' 直近5年(2015→2019)の教員数: {int(t5.iloc[0]):,} → {int(t5.iloc[-1]):,} 人({pct(t5.iloc[0], t5.iloc[-1]):+.1f}%)') print('→ 学校数・児童数は減り続ける一方、教員数は近年むしろ増加。原論文の「学校も児童も') print(' 減っているのに教員不足」という観察(図5・図6)が実データで裏づけられる。') print(' (最新2023年まで延長しても 小学校数18,980校 / 児童数604万人 / 教員数424,297人 と同傾向)') |
=== [5] 小学校の学校数・教員数・児童数の推移(実再現・SSDSE-B 全国計)=== E2101 小学校数 / E2401 小学校教員数 / E2501 小学校児童数 を47都道府県で合計(原論文 仮説4-2) 年度 小学校数 教員数 児童数 2012 21,460 418,707 6,764,619 2013 21,131 417,553 6,676,920 2014 20,852 416,475 6,600,006 2015 20,601 417,152 6,543,104 2016 20,313 416,973 6,483,515 2017 20,095 418,790 6,448,658 2018 19,892 420,659 6,427,867 2019 19,738 421,935 6,368,550 → 2012→2019で 小学校数 -8.0% / 児童数 -5.9% / 教員数 +0.8% 直近5年(2015→2019)の教員数: 417,152 → 421,935 人(+1.1%) → 学校数・児童数は減り続ける一方、教員数は近年むしろ増加。原論文の「学校も児童も 減っているのに教員不足」という観察(図5・図6)が実データで裏づけられる。 (最新2023年まで延長しても 小学校数18,980校 / 児童数604万人 / 教員数424,297人 と同傾向)
原論文が SSDSE-B を出典として示した小学校の推移(図5・図6)を、SSDSE-B-2026 から全国計で再現する。これは実データからの再計算(実再現)である。学校数・児童数(左寄り)と教員数の動きを一枚に重ねた。
著者は決定木・時系列予測・記述統計を総合し、教員不足の本質は「学校業務の膨大化」と「給特法による不適切な給与体系」にあると結論づけた。そのうえで、教員を増やす案と業務を減らす案の両面から具体策を提言した(すべて報告値に基づく著者の考察)。
大学生スクールサポーター制度:愛媛県が導入した、大学1年から授業以外の教員業務を体験できる制度。地方公務員として給与も出るため、大学生の事前経験と教員の負担軽減を両立できる。ペーパーティーチャーの活用:2022年の教員免許更新制廃止で教職に就きやすくなった一方、講習廃止による質の担保が課題として残る。
部活動の民営化:運動部顧問の負担を減らすため、技術指導は外部に委ね、教員は人間性・社会性の指導に集中する(完全民営化はしない)。ICT教育の推進:日本のオンライン授業普及率はコロナ前13%→後51%と伸びたが、海外の70%超には及ばない。情報機器への予算確保と学習環境整備を優先すべきと提言した。
本研究は、教員不足はなぜ解消されないのかという問いに、決定木分析(KNIME)・時系列予測(Excel)・記述統計・数式による算出を組み合わせて挑んだ。3学級以下の小規模校は37.2%の確率で教員不足(報告値)、学校数・児童数は減っても教員数は増加(実再現で裏づけ)、正規雇用者割合の予測は外れ(79%予測に対し実87%)、超過労働56時間に残業代16,400円という不釣り合い(報告値)――から、著者は原因を学校業務の膨大化と給特法に求め、給特法の10%引き上げ・大学生サポーター活用・部活動の民営化・ICT教育の推進を提言した。高校生が身近な社会課題を複数の手法で切り分けた探究の姿勢が見どころである。
このページの小学校の推移(図1)は、以下から再現できます。
🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv
※ 図2(正規雇用者割合)・図3(残業代)・図4(勤務時間)と決定木の結果(37.2%)は、出典が文部科学省/日本教職員組合/香川県の資料でSSDSE-B外のため、原論文の報告値を可視化したものです。図1はSSDSE-Bの小学校数(E2101)・教員数(E2401)・児童数(E2501)からの実再現(全国計・2012〜2019年)です。
この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。
クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。
この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。
この研究の「教員数は増えても不足は続く、原因は業務の膨大化と給特法」という結論は、次の研究の出発点になる。
再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。
paper = nat.loc[2012:2019] を nat.loc[2012:2023] に変えて、2023年まで小学校数・児童数・教員数の推移を描いてみよう。原論文の期間より後も同じ傾向が続くか確かめられる。df[df['Prefecture']=='香川県'] で香川県の小学校の推移を描き、全国の傾向と比べてみよう。原論文が香川県を例にした意味を体感できる。「一つの課題を決定木・時系列予測・記述統計で多面的に分析する」発想は、行政や企業で広く使われている。
この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。
この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。
このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。
Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。
下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、
「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。
表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です
(動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_14_shorei.py そのもの)。
コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。