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審査員奨励賞 ★ 2022年度 | 高校生の部

地方自治のDX化推進

⏱️ 推定読了時間: 約20分
2022年度(令和4年度)統計データ分析コンペティション 佐伯 晃希(香川県立高松商業高等学校) SSDSE-E(情報通信業の事業所・従業者)+ IMD・世界の統計・KH Coder 記述統計(割合)・テキストマイニング・ランキング比較
🔬 テキストマイニング🔬 散布図🔬 記述統計🏷 IT・デジタル
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータ世界の統計2022・SSDSE-E-2022v2・かがわデジタル化推進戦略・広島県行政デジタル化推進アクションプラン・広島デジフラ構想 2022
分析単位:都道府県
中核手法:テキストマイニング・共起ネットワーク
この教材が使うデータ
原論文(PDF)地方自治のDX化推進
審査員奨励賞/佐伯 晃希(香川県立高松商業高等学校)
✅ この教材でできること
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
⚠️ この教材ではできないこと(原論文との違い)
  • 原論文は都道府県を単位に分析しているが、この教材は都道府県庁所在市が単位

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_4_shorei.py(309 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究のテーマと目的
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:割合 → 比較県の選定 → テキストマイニング
  4. 図1:都道府県別 情報通信業従業者割合(実再現)
  5. 図2:事業所割合 × 従業者割合の散布図(実再現・発展)
  6. 図3:報告値と再計算値のラベル分離(報告値の可視化)
  7. 図4:香川 vs 広島 頻出語ランキング(報告値の再表現)
  8. 共起ネットワークと結果の解釈(報告値)
  9. まとめと今後の課題
  10. データ・コードのDL
  11. ⚠️ よくある誤解
  12. 📖 用語集
  13. 📐 手法ガイド
  14. 🚀 発展の可能性
  15. 🎯 自分でやってみよう
  16. 🤔 Q&A
  17. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページで実再現できるのは図1(都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング)と図2(事業所割合×従業者割合の散布図)です。コードの編集は不要です。(世界デジタル競争力・国レベルの割合・原論文が示した東京都9.43%はSSDSEに無いため、図3で報告値として可視化。頻出語=図4は出現数が原論文非掲載のため順位のみ再表現します。)

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データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-E-2026.csv ← SSDSE-E(都道府県別・地域経済データ/事業所・従業者数)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_H5_4_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-E-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_H5_4_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。図3・図4の報告値はスクリプト内に原論文の報告値を転記して可視化します。
研究のテーマと目的

著者は香川県の高校生である。人工知能やビッグデータなどデジタル技術は地域の課題解決や利便性向上につながり、コロナ禍でも行政・企業のデジタル化が求められた。しかし IMD(国際経営開発研究所)の世界デジタル競争力ランキング2021 で、日本は世界28位と、ランキングに含まれた東アジア諸国の中で最も低い。前年より低下傾向でもあり、日本のデジタル化は相対的に遅れていると著者は問題視した。

著者は「日本のデジタル化の遅れは全国規模でのデジタル人材不足が原因で、地方自治体の取り組みが必要」と考え、地域創生の観点で、地元の香川県と、中国四国で情報通信業の従業者割合が最も高い広島県を比較することにした。両県のデジタル化推進戦略の文書そのものを KH Coder でテキストマイニングし、戦略の相違点や傾向の違いを探る、というのが全体の発想である。

研究の問い デジタル化で遅れる日本の地方自治体は、どんな戦略でDXを進めようとしているのか。同じ地方でも、香川県と広島県ではデジタル化戦略の重点がどう違うのか。戦略文書のテキストマイニングであぶり出せるのではないか。
分析のキモ:戦略文書そのものを「データ」にする 数値統計だけでなく、自治体が公開しているデジタル化推進戦略の文章KH Coder にかけ、頻出語と共起ネットワークで「その県が何に力を入れているか」を可視化する。数字に表れない“方針の違い”を捉えようとした点が高校生らしい着眼である。

高校生の部 SSDSE-E+IMD・世界の統計・KH Coder 記述統計(割合) テキストマイニング 香川 vs 広島の比較

使用データと再現可能性の整理

本研究は複数の出典を組み合わせている。世界デジタル競争力ランキングは IMD(2021)、国ごとの情報通信業就業者割合は総務省統計局「世界の統計2022 第12章 労働・賃金」、都道府県別の情報通信業従業者数は SSDSE-E-2022v2(2016年)、テキストマイニングの対象文書はかがわデジタル化推進戦略・広島県行政デジタル化推進アクションプラン・広島デジフラ構想2022である。

主なデータと出典(原論文 表1)

役割データ出典(年度)本ページでの扱い
導入世界デジタル競争力ランキング(日本28位)IMD(2021)報告値の可視化
導入国ごとの情報通信業就業者割合(日本 約3.59%)世界の統計2022/総務省統計局報告値の可視化
比較県の選定従業者数(民営)・従業者数(民営)(情報通信業)SSDSE-E-2022v2(2016)実再現(配布中のSSDSE-E-2026で再計算)
本分析かがわデジタル化推進戦略香川県(2022)報告値のランキング再表現
本分析広島県行政デジタル化推進アクションプラン/広島デジフラ構想2022広島県(2022)報告値のランキング再表現
再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 実再現できる部分:原論文 図3「都道府県別 情報通信業就業者割合」は、SSDSE-E従業者数(民営)(情報通信業)従業者数(民営) で割れば実データから再計算できる。図1・図2はこの実再現である。原論文は SSDSE-E-2022v2(2016年)を使ったが、本ページは配布中の SSDSE-E-2026(2021年経済センサス)で再計算し、年次の違いを図注に明記する。
  • 報告値の可視化(再計算ではない):導入部の世界デジタル競争力ランキング(日本28位)と国レベルの情報通信業割合(日本3.59%)は IMD・世界の統計が出典で SSDSE には無い。原論文が示した東京都9.43%(2016年)も含め、図3は原論文の報告値を転記して可視化する(本ページの再計算値とラベルで分離)。
  • ランキング再表現(数値の捏造なし):KH Coder の頻出語(図6・図7)は、原論文に順位(並び順)だけが示され出現数の数値は掲載が無い。よって出現数は捏造せず、図4では順位(並び順)だけを再表現する。共起ネットワーク(図8・図9)は再現できないため本文の記述で説明する。

分析の流れ:割合 → 比較県の選定 → テキストマイニング

分析の流れ
遅れの確認
世界28位・
国レベル3.59%
割合を作る
都道府県別
情報通信業割合
比較県の選定
香川県 vs
広島県
テキスト
マイニング

頻出語・
共起ネットワーク
解釈
戦略の傾向の
違いと提言

① 日本のデジタル化の遅れを数値で確認(報告値+実再現)

世界デジタル競争力ランキングで日本が28位(報告値)であること、国ごとの情報通信業就業者割合で日本が約3.59%(報告値・国レベル)であることを示す。さらに都道府県別の割合を SSDSE-E から計算し、東京都が突出して地方が低い構図を確かめる(実再現)。

② 比較する2県を選ぶ(香川 vs 広島)

地元の香川県と、中国四国地方で情報通信業の従業者割合が最も高い広島県を選ぶ。ランキングで両県の位置づけを確認する。

③ 戦略文書をテキストマイニング(報告値)

両県のデジタル化推進戦略の文書を KH Coder にかけ、頻出語で重点分野を、共起ネットワークで語と語の結びつきを可視化する。

④ 傾向の違いを解釈し提言する

頻出語・共起ネットワークの違いから、両県のデジタル化戦略の重点の差を読み取り、自治体同士が施策を模倣・比較し合う意義を論じる。

テキストマイニングは「何を強調したか」であって「効果」ではない 頻出語や共起ネットワークが示すのは、その文書がどんな語をよく使ったかであり、施策が実際に成果を上げたかどうかではない。文章の分量や書き方の癖にも左右されるため、「デジタルという語が多い=デジタル化が進んでいる」とは限らない点に注意。
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図1:都道府県別 情報通信業従業者割合(実再現)

研究の出発点は「地方のデジタル人材が足りない」という問題意識だった。これをSSDSE-Eで実再現する。ここはSSDSEの割合計算で再現できる中心的な実再現部分である。

やってみようSSDSE-E を読み込み、情報通信業の従業者割合・事業所割合を作る【実再現の準備】
  • ① このコードの目的:SSDSE-E-2026 を cp932 で読み込む。1行目がコード・2行目が年度・3行目が日本語名なので、header=0, skiprows=[1,2] でコードを列名にする。C220839 従業者数(民営)(情報通信業)C2208 従業者数(民営) で割り、情報通信業の従業者割合を作る(事業所割合も同様)。
  • ② 前後のつながり:この読み込みと割合づくりが、図1(ランキング)と図2(散布図)の土台になる。原論文 図3 と同じ「情報通信業就業者割合」を、配布中のデータから再計算する。
📝 コード
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# ── SSDSE-E 読み込み(cp932 / 1行目=コード, 2行目=年度, 3行目=日本語名)──
# header=0 でコードを列名にし、年度・日本語名の2行は skiprows=[1, 2] で除く。
df = pd.read_csv(DATA_E, encoding='cp932', header=0, skiprows=[1, 2])
for c in ['C2208', 'C220839', 'C2108', 'C210839']:
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')

# 情報通信業の「従業者割合」「事業所割合」を再計算(原論文 図3 と同じ定義)
df['ict_emp']   = df['C220839'] / df['C2208'] * 100   # 従業者数(民営)に占める情報通信業
df['ict_estab'] = df['C210839'] / df['C2108'] * 100   # 事業所数(民営)に占める情報通信業

jp   = df[df['Prefecture'] == '全国'].iloc[0]          # 全国行(基準)
pref = df[df['Prefecture'] != '全国'].copy()           # 47都道府県のみ
rank = pref.sort_values('ict_emp', ascending=False).reset_index(drop=True)
  • ④ 実行結果の読み取り:エラーなく読み込めれば準備完了。全国行を基準(jp)、47都道府県を pref、割合の降順を rank に分けておく。原論文は2016年版を使ったが、ここでは2021年版(SSDSE-E-2026)で再計算する点を押さえておく。
やってみよう情報通信業従業者割合で都道府県をランキングする【実再現・図1】
  • ① このコードの目的:各都道府県の情報通信業従業者割合を降順に並べ、上位と全国平均、香川県・広島県の順位を書き出す。原論文 図3「都道府県ごとの情報通信業就業者割合」を都道府県データから再計算する。
  • ② 前後のつながり:著者はこのランキングで「東京都が突出し地方は低い」を示し、地方自治体の取り組みが必要という問題意識につなげた。まずその出発点を実データで確かめる。
📝 コード
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print('=== [1] 都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング(原論文 図3)【実再現・SSDSE-E-2026】===')
print('従業者数(民営)(情報通信業 C220839)÷ 従業者数(民営 C2208)× 100(%)。')
print(f"  全国(基準): {jp['ict_emp']:.3f}%")
print(f"  {'順位':>4}{'都道府県':>10}{'情報通信業従業者割合':>16}")
for i, r in rank.head(12).iterrows():
    mark = ' ★比較対象' if r['Prefecture'] in HL else ''
    print(f"  {i+1:>4}{r['Prefecture']:>10}{r['ict_emp']:>14.3f}%{mark}")
for p in ['広島県', '香川県']:
    ri = int(rank.index[rank['Prefecture'] == p][0]) + 1
    print(f"  → {p}: {float(rank.loc[ri-1, 'ict_emp']):.3f}%(全47都道府県中 第{ri}位)")
print('→ 東京都が突出して高く(再計算11.3%/原論文の報告値9.43%)、広島県は香川県より上位。')
print('   原論文の主張「東京都が非常に高く、地方は低い」という構図が新しいデータでも確認できる。')
print('   (原論文は「大阪府以下はすべて日本平均を下回る」と報告したが、2021年データでは大阪府は')
print('     全国平均をわずかに上回る。データ年次の違いによる差であり、報告値と再計算値は分離して扱う。)')
▼ 実行結果
=== [1] 都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング(原論文 図3)【実再現・SSDSE-E-2026】===
従業者数(民営)(情報通信業 C220839)÷ 従業者数(民営 C2208)× 100(%)。
  全国(基準): 3.429%
    順位      都道府県      情報通信業従業者割合
     1       東京都        11.321% ★比較対象
     2       大阪府         4.028%
     3      神奈川県         3.575%
     4       福岡県         2.733%
     5       沖縄県         2.420%
     6       愛知県         2.345%
     7       宮城県         2.076%
     8       北海道         2.047%
     9       石川県         2.005%
    10       広島県         1.788% ★比較対象
    11       京都府         1.692%
    12       茨城県         1.574%
  → 広島県: 1.788%(全47都道府県中 第10位)
  → 香川県: 1.481%(全47都道府県中 第15位)
→ 東京都が突出して高く(再計算11.3%/原論文の報告値9.43%)、広島県は香川県より上位。
   原論文の主張「東京都が非常に高く、地方は低い」という構図が新しいデータでも確認できる。
   (原論文は「大阪府以下はすべて日本平均を下回る」と報告したが、2021年データでは大阪府は
     全国平均をわずかに上回る。データ年次の違いによる差であり、報告値と再計算値は分離して扱う。)
  • ④ 実行結果の読み取り:東京都が 11.32%(再計算)で突出し、全国平均3.43%を大きく上回る。広島県は1.79%で第10位、香川県は1.48%で第15位と、広島県のほうが情報通信業がやや厚い。原論文の報告値(東京9.43%・2016年)とは数値が違うが、「東京突出・地方低調」という構図は新しいデータでも再現できた。なお原論文の「大阪府以下は日本平均を下回る」は2016年時点の記述で、2021年データでは大阪府が全国平均をわずかに上回る(年次の違い)。
都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング(SSDSE-E-2026・実再現)
図1:都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング(上位15都道府県)。実再現(原論文 図3 に対応)。従業者数(民営)(情報通信業)÷ 従業者数(民営)。東京都が11.3%で突出し、広島県(第10位)は香川県(第15位)より上位。年次注:原論文は SSDSE-E-2022v2(2016年)、本図は SSDSE-E-2026(2021年)のため、原論文の報告値(東京9.43%)とは一致しない。
📊 この図の読み方
東京都が突出
1都だけ2桁%で、2位以下を大きく引き離す。情報通信業が東京に一極集中していることが分かる。
香川 vs 広島
広島県(青枠外の橙)が香川県(青)より上位。原論文が「中国四国で最も高い広島県」を比較対象に選んだ理由と整合する。
位置づけ
実再現。SSDSE-Eの割合計算で、原論文 図3 と同じ「東京突出・地方低調」の構図を示す(数値は年次差で異なる)。
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図2:事業所割合 × 従業者割合の散布図(実再現・発展)

同じ SSDSE-E-2026 を使い、情報通信業の集積を事業所と従業者の両面から確かめる。原論文の図には無いが、同じデータから作れる実再現の発展である。

やってみよう情報通信業の 事業所割合 × 従業者割合 の相関を見る【実再現・発展・図2】
  • ① このコードの目的:47都道府県で「事業所数に占める情報通信業の割合」と「従業者数に占める情報通信業の割合」の相関を計算し、散布図にする。情報通信業の集積を別の角度から確かめる。
  • ② 前後のつながり:図1では従業者割合だけを見た。ここでは事業所の割合も加え、「事業所が多い県ほど従業者も多いのか」を確かめて、情報通信業の地域集積の姿を補強する。
📝 コード
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print('\n=== [2] 情報通信業 事業所割合 × 従業者割合 の相関(47都道府県)【実再現・発展】===')
r_es = pref['ict_estab'].corr(pref['ict_emp'])
print(f'ピアソンの相関係数 r(事業所割合, 従業者割合)= {r_es:.4f}(本ページの再計算値)')
print(f"  {'都道府県':>10}{'事業所割合':>12}{'従業者割合':>12}")
for p in ['東京都', '広島県', '香川県']:
    row = pref[pref['Prefecture'] == p].iloc[0]
    print(f"  {p:>10}{row['ict_estab']:>10.3f}%{row['ict_emp']:>10.3f}%")
print('→ 事業所割合が高い県ほど従業者割合も高い強い正の相関。東京都が右上に突出し、')
print('   広島県は香川県より事業所・従業者ともに情報通信業の集積がやや厚い(再計算値)。')
▼ 実行結果
=== [2] 情報通信業 事業所割合 × 従業者割合 の相関(47都道府県)【実再現・発展】===
ピアソンの相関係数 r(事業所割合, 従業者割合)= 0.9907(本ページの再計算値)
        都道府県       事業所割合       従業者割合
         東京都     4.537%    11.321%
         広島県     1.035%     1.788%
         香川県     0.901%     1.481%
→ 事業所割合が高い県ほど従業者割合も高い強い正の相関。東京都が右上に突出し、
   広島県は香川県より事業所・従業者ともに情報通信業の集積がやや厚い(再計算値)。
  • ④ 実行結果の読み取り:事業所割合と従業者割合の相関r = 0.99と極めて強い正の相関で、東京都が右上に大きく突出する。広島県は香川県より事業所・従業者ともにやや厚い(いずれも本ページの再計算値)。情報通信業は「事業所が集まる所に人も集まる」集積産業であることが読み取れる。
情報通信業の事業所割合と従業者割合の散布図(47都道府県・実再現)
図2:情報通信業の 事業所割合 × 従業者割合(47都道府県)。実再現・発展(SSDSE-E-2026)。強い正の相関 r=0.99。東京都が右上に突出。香川県・広島県をハイライト。数値はすべて本ページの再計算値。
📊 この図の読み方
右上ほど集積
事業所も従業者も情報通信業の割合が高い=集積が厚い。東京都が突出。
直線的な並び
点がほぼ一直線に並ぶ(r=0.99)。事業所割合と従業者割合はほぼ連動する。
位置づけ
実再現・発展。原論文の図には無いが、同じSSDSE-Eから計算できる補足分析。
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図3:報告値と再計算値のラベル分離(報告値の可視化)

導入部の数値(世界28位・国レベル3.59%・原論文が示した東京9.43%)は、IMD・世界の統計・SSDSE-E-2022v2 が出典で、本ページの再計算とは出典・粒度・年次が異なる。ここでは原論文の報告値を転記して可視化し、本ページの再計算値とラベルで分離する。

やってみよう原論文の報告値(IMD・世界の統計・原論文の東京9.43%)を転記する
  • ① このブロックの目的:世界デジタル競争力ランキング(日本28位)、国レベルの情報通信業割合(日本3.59%)、原論文が SSDSE-E-2022v2(2016年)で示した東京都9.43% を、符号・桁そのままに書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:日本の遅れ(世界28位・国レベル3.59%)から都道府県の差(東京9.43%)へと論を運ぶ導入部。図1の再計算値と混ざらないよう、報告値としてまとめて確認する。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 原論文の報告値の転記【報告値の可視化・再計算ではない】===
■ 図1 世界デジタル競争力ランキング(IMD 2021・原論文の報告値)
   日本は世界28位。ランキングに含まれた東アジア諸国の中で最も低い順位。
■ 図2 国ごとの情報通信業就業者割合(世界の統計2022・国レベル・原論文の報告値)
   日本は約3.59%。データが存在した国の中では中位(=国レベルの値で都道府県とは別粒度)。
■ 図3 都道府県別 情報通信業就業者割合(SSDSE-E-2022v2・2016年・原論文の報告値)
   東京都は約9.43%(原論文の報告値)。
   ── 参考:本ページの再計算値(SSDSE-E-2026・2021年)──
   東京都 = 11.321%(再計算)/全国 = 3.429%(再計算)
   報告値(2016年・9.43%)と再計算値(2021年・約11.3%)はデータ年次が異なるため一致しない。
   どちらも「東京都が突出」という主張を支持する。数値はラベルで区別して扱う。
  • ④ 実行結果の読み取り:世界28位(IMD 2021)・国レベル日本3.59%(世界の統計)はいずれも原論文の報告値で、都道府県別のSSDSE-Eとは別粒度。② 原論文が示した東京都9.43%(2016年)に対し、本ページの再計算は11.32%(2021年)。年次が違うため値は一致しないが、どちらも「東京都が突出」という原論文の主張を支持する。報告値(橙)と再計算値(青)は図でも色で分けている。
報告値と再計算値のラベル分離(情報通信業従業者割合)
図3:報告値と再計算値のラベル分離(情報通信業従業者割合)。報告値の可視化(再計算ではない)を含む。橙=原論文の報告値(東京9.43%・2016年・SSDSE-E-2022v2)、青=本ページの再計算値(2021年・SSDSE-E-2026)。年次が違うため値は一致しない。新たな数値の捏造はしていない。
“報告値”と“再計算値”を混ぜない 同じ「東京都の情報通信業割合」でも、原論文(2016年)は9.43%、本ページ(2021年)は11.32%。どちらも正しいが、依拠するデータの年次が違う。数値を引用するときは「いつの・どの出典の値か」を必ずラベルで区別することが、誠実な分析の基本である。
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図4:香川 vs 広島 頻出語ランキング(報告値の再表現)

ここが原論文の中心である。両県のデジタル化推進戦略の文書を KH Coder にかけた頻出語を比べる。出現数は原論文に掲載が無いため、順位(並び順)だけを再表現する(数値は捏造しない)。

やってみよう香川県・広島県の KH Coder 頻出語ランキングを転記する【報告値のランキング再表現・図4】
  • ① このコードの目的:原論文 図6(香川県)・図7(広島県)の頻出語を、原論文どおりの順位(並び順)でリスト化する。出現数は原論文に掲載が無いため数値は入れず順位だけを扱う(捏造しない)。
  • ② 前後のつながり:テキストマイニングの核心部分。両県が戦略文書で「何を強調しているか」を頻出語の順位で比べ、後の解釈につなげる。
📝 コード
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print('\n=== [4] KH Coder 頻出語 上位ランキング(原論文 図6・図7)【報告値のランキング再表現】===')
KAGAWA_WORDS = ['デジタル', '社会', 'データ', 'デジタル技術', '課題', '人口', '地域',
                '行政', '情報', '経済', '県民', '産業', '本県', '技術']
HIROSHIMA_WORDS = ['データ', 'デジタル', 'デジタル技術', '県民', '社会', '行政', '取組',
                   '業務', '分野', 'インフラ', '官民', '経済', '県庁', '地域']
print('※ 出現数の数値は原論文に掲載が無いため、順位(並び順)のみを転記する(捏造しない)。')
print(f"  {'順位':>4}{'香川県(図6)':>16}{'広島県(図7)':>16}")
for i, (kg, hr) in enumerate(zip(KAGAWA_WORDS, HIROSHIMA_WORDS), start=1):
    print(f"  {i:>4}{kg:>14}{hr:>16}")
print('→ 両県とも「デジタル」「データ」「デジタル技術」が上位で共通。')
print('   香川県は「課題」「人口」「地域」が上位=人口・地域の課題解決を志向(原論文の解釈)。')
print('   広島県は「県民」「行政」「インフラ」が上位=県民サービス・インフラ整備を志向(原論文の解釈)。')
▼ 実行結果
=== [4] KH Coder 頻出語 上位ランキング(原論文 図6・図7)【報告値のランキング再表現】===
※ 出現数の数値は原論文に掲載が無いため、順位(並び順)のみを転記する(捏造しない)。
    順位         香川県(図6)         広島県(図7)
     1          デジタル             データ
     2            社会            デジタル
     3           データ          デジタル技術
     4        デジタル技術              県民
     5            課題              社会
     6            人口              行政
     7            地域              取組
     8            行政              業務
     9            情報              分野
    10            経済            インフラ
    11            県民              官民
    12            産業              経済
    13            本県              県庁
    14            技術              地域
→ 両県とも「デジタル」「データ」「デジタル技術」が上位で共通。
   香川県は「課題」「人口」「地域」が上位=人口・地域の課題解決を志向(原論文の解釈)。
   広島県は「県民」「行政」「インフラ」が上位=県民サービス・インフラ整備を志向(原論文の解釈)。
  • ④ 実行結果の読み取り:両県とも上位に「デジタル」「データ」「デジタル技術」が並び、デジタル化という共通の土台がある。違いはそれ以外の上位語香川県は「課題」「人口」「地域」=人口・地域の課題を強調、広島県は「県民」「行政」「取組」「インフラ」=県民サービス・インフラを強調。ランキングの並びだけでも、両県の重点分野の違いが見えてくる。
香川県vs広島県 頻出語ランキング(KH Coder・報告値の再表現)
図4:香川県 vs 広島県 KH Coder 頻出語 上位ランキング(原論文 図6・図7)。報告値のランキング再表現(再計算ではない)。青字=両県に共通する語。出現数は原論文に非掲載のため順位(並び順)のみを示す(新たな数値の捏造なし)。
📊 この図の読み方
共通する土台
「デジタル」「データ」「デジタル技術」は両県で上位。デジタル化推進という共通目的を反映。
香川の特徴
「課題」「人口」「地域」が上位=人口減少など地域の課題解決を志向。
広島の特徴
「県民」「行政」「取組」「インフラ」が上位=県民サービス・インフラ整備を志向。
位置づけ
報告値の再表現。順位のみで、棒の長さ(出現数)は原論文に無いため作っていない。

共起ネットワークと結果の解釈(報告値)

頻出語に加え、著者は共起ネットワーク(図8・図9)で語と語の結びつきを分析した。共起ネットワーク図は本ページで再現できないため、原論文の記述を転記して説明する。

やってみよう原論文の共起ネットワーク(図8・図9)と結論を要約する
  • ① このブロックの目的:両県の共起ネットワークで「デジタル技術」に結びつく語、および結果の解釈(両県の傾向の違い)を、原論文の記述どおりにまとめる。原論文の主張の転記。
  • ② 前後のつながり:テキストマイニングの結果を政策的な考察につなげる部分。頻出語(図4)の違いが、語のまとまり(共起)でも裏づけられる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [5] 結果の解釈と結論(原論文の主張)===
・共起ネットワーク(図8・図9・報告値):香川県は「デジタル技術」に「活用」「必要」「データ」
  「推進」が結びつき、「人材不足・育成」「人口減少」「災害」「オンライン行政手続き」など
  課題解決の語が現れる。広島県は「デジタル技術」に「活用」「データ」が結びつき、「DX推進」
  「県民のサービス向上」「インフラ」など生活基盤の語が現れる。
・広島県はインフラデータ公開サイト「Dobox」、香川県はデジタル人材育成施設
  「Setouchi-i-Base」を運営(原論文)。
・結論:香川県は人口減少など社会問題の解決を、広島県は県民の利便性向上・インフラ整備を
  目標とする傾向。同じ課題を持つ地方自治体同士が施策を模倣・比較し合うことが、日本全体の
  DX化推進につながる(原論文の主張。本ページでは新たな数値の捏造は行わない)。
  • ④ 実行結果の読み取り:香川県:「デジタル技術」に「活用」「必要」「データ」「推進」が結びつき、「人材不足・育成」「人口減少」「災害」「オンライン行政手続き」など課題解決の語が現れる。② 広島県:「デジタル技術」に「活用」「データ」が結びつき、「DX推進」「県民のサービス向上」「インフラ」など生活基盤の語が現れる。広島県はインフラデータ公開サイト「Dobox」、香川県はデジタル人材育成施設「Setouchi-i-Base」を運営。③ 結論:香川県は人口減少など社会問題の解決を、広島県は県民の利便性・インフラ整備を目標とする傾向。同じ課題を持つ自治体同士が施策を模倣・比較し合うことが日本全体のDX化推進につながる、と著者は提言する。

香川県:人口減少など社会問題の解決を志向(原論文 5章)

頻出語で「課題」「人口」「地域」が上位に立ち、共起ネットワークでも「人材不足・育成」「人口減少」「災害」など課題解決の語が「デジタル技術」に結びついた。香川県は人口減少による地域の活力維持・人材不足という社会問題の解決をデジタル化の目標に据える傾向がある。デジタル人材育成施設「Setouchi-i-Base」の運営もこれと整合する。

広島県:県民サービス・インフラ整備を志向(原論文 5章)

頻出語で「県民」「行政」「インフラ」が上位に立ち、共起ネットワークでも「DX推進」「県民のサービス向上」「インフラ」が現れた。広島県は県民の利便性向上やインフラ整備などDX推進を見据えた目標を持つ傾向がある。建設分野の人材不足を背景に、インフラデータを専門公開するサイト「Dobox」を運営している点が特徴的である。

この考察の限界 テキストマイニングが示すのは戦略文書での語の強調のされ方であって、施策の実際の効果ではない。文書の分量や書き方の癖にも左右される。見かけの関係に注意し、「よく使われる語=重視している」という解釈もあくまで仮説として扱う必要がある。

まとめと今後の課題

本研究は、デジタル化で遅れる日本の地方自治体はどんな戦略でDXを進めるのかという問いに、情報通信業の割合分析と戦略文書のテキストマイニングで挑んだ。都道府県別の情報通信業従業者割合は東京都が突出し地方が低いことを示し(実再現:東京11.3%・広島第10位・香川第15位)、両県の戦略文書の頻出語・共起ネットワークから、香川県は人口減少など社会問題の解決を、広島県は県民サービス・インフラ整備を志向する傾向を読み取った(報告値)。著者は、同じ課題を持つ自治体同士が施策を模倣・比較し合うことが日本全体のDX化につながると提言した。割合ランキングはSSDSEで実再現し、報告値や出現数非掲載の頻出語は切り分けて可視化した。数値統計だけでなく行政文書そのものをデータにした着眼が見どころである。

この研究の限界 ①テキストマイニングは戦略文書での語の強調を示すもので、施策の効果を測るものではない。②比較は香川・広島の2県のみで、一般化には他県への拡張が要る。③頻出語の出現数は原論文に非掲載で、本ページは順位のみ再表現している。④都道府県別割合の実再現は年次が原論文(2016年)と異なる(本ページ2021年)ため、東京9.43%などの報告値とは数値が一致しない。
この研究から学べること 「割合」を作って地域差をランキングで読む基本、行政文書をテキストマイニングで“見える化”する発想、そして実再現できる部分と報告値を切り分ける誠実さ。審査会も高校生による身近な地域比較とテキストマイニングの活用を評価し、審査員奨励賞に選んだ。

データ・コードのダウンロード

このページの実再現の図(図1・図2)は、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-E-2026.csv

※ 図1(都道府県別 情報通信業従業者割合ランキング)と図2(事業所割合×従業者割合の散布図)はSSDSE-E-2026からの実再現です。図3(世界28位・国レベル3.59%・原論文の東京9.43%)は出典がIMD・世界の統計・SSDSE-E-2022v2でSSDSE-E-2026外のため報告値を可視化し、本ページの再計算値とラベルで分離しています。図4(頻出語ランキング)は出現数が原論文非掲載のため順位のみ再表現しています(新たな数値の捏造はしていません)。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「戦略文書で“デジタル”という語が多い県ほどデジタル化が進んでいる」
頻出語が示すのは文書で強調された語であって、施策の実際の進み具合や効果ではない。文書の分量や書き方の癖でも頻度は変わる。テキストマイニングの結果は「方針の傾向」を読む手がかりであり、成果の証明ではない。
誤解2:「このページの図1は原論文の図3と同じ数値のはず」
図1は実再現だが、原論文は SSDSE-E-2022v2(2016年)、本ページは SSDSE-E-2026(2021年)とデータの年次が違う。だから東京都は原論文9.43%・本ページ11.32%と一致しない。同じ計算でもデータの年次が違えば値は変わる
誤解3:「頻出語の棒グラフの長さ(出現数)も再現したのだろう」
原論文は頻出語の順位(並び順)だけを示し、出現数の数値は掲載していない。本ページは数値を捏造せず、図4を順位のみのランキング再表現にしている。手元にない数値を勝手に作らないことが誠実な再現の基本。
誤解4:「日本3.59%と東京9.43%は同じ土俵の数字」
3.59%は国レベル(世界の統計・国同士の比較)、9.43%は都道府県レベル(SSDSE-E)で、出典も粒度も違う。粒度の異なる数値を並べて大小を比べても意味がない。図3では出典・年次を明示してラベルで分けている。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

テキストマイニング(KH Coder・形態素解析)
文章を単語に区切り、頻出語や語の結びつきを数え上げて傾向を探る手法。本研究は KH Coder で両県の戦略文書を分析した。
共起ネットワーク
一緒に現れやすい語どうしを線で結んだ図。語と語の結びつき方を可視化する。本研究では「デジタル技術」に結びつく語の違いを比べた。
ランキング
指標の大小で対象を並べる方法。本研究は都道府県を情報通信業従業者割合で並べ、地域差を読み取った。
相関(相関係数)
2つの量が一緒に動く強さを−1〜+1で表す。図2では事業所割合と従業者割合の相関(r=0.99)を計算した。
散布図
2つの量を点で表し関係を見る図。図2で事業所割合と従業者割合の関係を可視化した。
SSDSE
教育用標準データセット。本ページの実再現はSSDSE-E(地域経済データ)の事業所数・従業者数を用いる。原論文は SSDSE-E-2022v2 を使用。
見かけの関係
共通要因などで生じる、実質的でない関係。テキストマイニングでも「語が多い=重視」とは限らない点で注意が必要。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。

全体像
割合で地域差を数値化し → ランキングで比較する県を選び → テキストマイニング(頻出語・共起ネットワーク)で戦略文書の重点を可視化する。数値統計と文章の両方をデータとして扱うのが見どころ。
🧮 記述統計(割合の算出)
何をする
「情報通信業の従業者数 ÷ 全従業者数 × 100」で各都道府県の割合を作る。規模の違う都道府県を公平に比べられる。
読み方
割合が高いほどその産業が相対的に厚い。実数(人数)ではなく割合にすることで、人口の多い県が自動的に上位になる偏りを避けられる。
注意
分母(全従業者数)の取り方で割合は変わる。年次の違うデータを比べると値がずれる(本研究の2016年 vs 本ページの2021年)。
📝 テキストマイニング(KH Coder)
何をする
文章を形態素解析で単語に区切り、頻出語を数える。行政文書のように長い文章から「よく使われる語=重点分野」を抽出する。
なぜ有効
人が読んで印象で判断するより、語の頻度という客観的な指標で複数文書を公平に比較できる。
注意
頻度は文書量や表記ゆれ、書き方の癖に左右される。「語が多い=重視・効果あり」とは限らない。分析対象の文書選びで結果が変わる。
🕸 共起ネットワーク
何をする
同じ文の中などで一緒に現れやすい語を線で結び、語のまとまりを図にする。「デジタル技術」にどんな語が結びつくかを見る。
なぜ有効
単語の頻度だけでは分からない語と語の関係(文脈)を可視化できる。両県で「デジタル技術」に結びつく語の違いが傾向差を示した。
注意
線の引き方(共起の閾値)で図の見え方が変わる。ネットワークの形はあくまで文書内の共起であり、因果や効果を示すものではない。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「戦略文書のテキストマイニングで自治体の重点が見える」という結論は、次の研究の出発点になる。

発展1:比較する自治体を増やす(著者の提言の延長)
結果X
香川県と広島県で戦略文書の重点(課題解決 vs インフラ)が違った(報告値)。
新仮説Y
全国の都道府県に広げれば、「人口減少型」「インフラ型」など戦略の類型が見えるのではないか。
課題Z
各県のデジタル化戦略文書を集め、同じ手順で頻出語・共起ネットワークを取り、クラスタリングで類型化する。文書の粒度をそろえるのが鍵。
発展2:文書の“語”と実際の“成果指標”を突き合わせる
結果X
頻出語は戦略の重点を示すが、施策の効果は分からない。
新仮説Y
「デジタル」を強調する県ほど、後年の情報通信業割合や行政手続きのオンライン化率が伸びるのではないか。
課題Z
戦略文書の語の傾向と、SSDSE-E等の情報通信業指標の推移を年次で突き合わせ、相関を検証する(因果には踏み込みすぎない)。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
自分の県の順位を調べる
図1のランキングを全47都道府県表示に変え(rank.head(12)rankに)、自分の住む県の情報通信業従業者割合と順位を確かめてみよう。
★★☆☆☆ 難易度2
下位の県も見る
rank.tail(5) で情報通信業の割合が最も低い5県を表示してみよう。地方でどこが特に低いかが分かる。
★★★☆☆ 難易度3
別の産業で割合を作る
情報通信業(C220839)の代わりに製造業(C220837)や医療・福祉(C220850)で割合を作り、ランキングがどう変わるか比べてみよう。産業ごとの地域偏在が見える。
★★★★☆ 難易度4
事業所と従業者の“ずれ”を探す
図2の散布図で回帰直線からのずれ(残差)が大きい県を探し、「事業所は多いのに従業者が少ない(=小規模事業所が多い)」県を見つけてみよう。
★★★★★ 難易度5
自分でテキストマイニングしてみる
自分の県のデジタル化戦略のPDFを入手し、KH Coder や Python(janome/MeCab)で頻出語を出してみよう。香川・広島とどんな語が違うかを、この論文の視点で考察してみよう。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「割合で地域差を測り、文章をテキストマイニングで見える化する」発想は、行政や企業で広く使われている。

🏛️
自治体の政策文書分析
総合計画やDX戦略などの文書をテキストマイニングし、他自治体との重点の違いや経年変化を把握して施策立案に活かす。
🗣️
アンケート自由記述の分析
顧客や住民アンケートの自由記述を頻出語・共起ネットワークで整理し、多数の声から主要な論点を抽出する。
📈
産業集積の地域分析
産業別の従業者割合で地域の強み・弱みを把握し、企業誘致や人材育成の政策ターゲットを決める。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. なぜ香川県と広島県を比べたの?
A. 著者の地元が香川県で、中国四国地方で情報通信業の従業者割合が最も高いのが広島県だったからです。「デジタル化で先行する県」と「これから進める県」を比べる狙いがあります。図1のランキングでも広島県(第10位)は香川県(第15位)より上位でした。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 図1・図2はSSDSE-E-2026からの実再現ですが、原論文は2016年版データのため東京都の値などは一致しません(原論文9.43%/本ページ11.32%)。図3は原論文の報告値(世界28位・3.59%・9.43%)の転記で、再計算値と色で分けています。図4の頻出語は出現数が原論文非掲載のため順位のみ再表現しています。新たな数値の捏造はしていません。
Q. テキストマイニングで「語が多い」=「進んでいる」と言えますか?
A. 言えません。頻出語は文書での強調のされ方を示すもので、施策の実際の効果や進み具合ではありません。文書の分量や書き方の癖にも左右されます。あくまで「方針の傾向」を読む手がかりとして扱う必要があります。
Q. 日本3.59%と東京9.43%はどちらが正しいの?
A. どちらも正しいですが、粒度が違います。3.59%は国レベル(世界の統計・国同士の比較)、9.43%は都道府県レベル(SSDSE-E)の値です。出典も年次も違うので、並べて大小を比べることはできません。図3では出典・年次を明示して区別しています。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_4_shorei.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。