🎯 この記事を読むと何ができるようになるか
研究の核心: 「医師数偏在の要因と医師数偏在の診療科偏在への影響」の問題意識と分析アプローチ
分析手法: 重回帰分析 で「複数の要因がどの程度結果に影響するか」を同時に推定する方法
分析手法: 相関係数 (Pearson ・Spearman)で2変数の関係の強さと向きを定量化する方法
分析手法: ノンパラメトリック検定 (Kruskal-Wallis )で正規性 を仮定せずグループ差を検定する方法
結果の読み方: 係数 ・p値 ・図表から「何が言えて何が言えないか」を判断する力
応用: 同じデータと手法を使って、別の問いを立てて分析する発想
📥 データの準備(再現コードを動かす前に)
このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。
1
データをダウンロードする
統計センターの
SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ←
SSDSE-B (都道府県データ)
📥 直接DL
SSDSE-E-2026.csv ←
SSDSE-E (都道府県の指標2)
📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
2
ファイルを所定のフォルダに配置する
ダウンロードした
CSV を、プロジェクトの
data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/
├── code/
│ └── 2025_H1_daijin.py ← 実行するスクリプト
└── data/
└── raw/
SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
SSDSE-E-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する
ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2025_H1_daijin.py
図は
html/figures/ に自動保存されます。
1. 研究の背景:医師偏在問題とは
日本では医師が都市部に集中し、地方では慢性的な医師不足が続いています。
厚生労働省が公表する医師偏在指標 によると、都道府県間・二次医療圏間で
医師数の格差は依然として大きく、医療アクセスの不平等につながっています。
問題意識
医師偏在はなぜ生じるのか?どのような地域的・制度的要因が偏在を拡大・縮小させるのか?
そして医師数の偏在は、産婦人科・小児科など特定の診療科の偏在にどう影響するのか?
本研究は都道府県別データを用いてこれらを実証的に検証します。
本論文は医師偏在の要因分析 と診療科偏在への影響 という二段階の問いを設定し、
相関 分析・重回帰分析 ・Kruskal –Wallis検定を組み合わせて分析しています。
主要分析手法
4種
相関・重回帰・KW検定・Dunn検定
多重比較補正
Bonferroni
Dunn検定に適用
2. 分析手法
2-1. 分析の流れ
01
相関 分析
医師偏在指標と各説明変数 のPearson相関係数 を算出し、棒グラフ ・散布図 で可視化
02
重回帰分析
医師偏在指標を目的変数 とした重回帰 。VIF 確認で多重共線性 を排除
03
Kruskal –Wallis検定
医師過疎・充足・過剰の3グループ間で診療科偏在指標の差を検定
04
Dunn検定(Bonferroni)
KW検定 で有意差があった場合の事後検定。多重比較 をBonferroni法で補正
2-2. 重回帰モデル
医師偏在指標 = β₀ + β₁×面積当たり病院・診療所数 + β₂×医師地元定着率
+ β₃×高齢化率 + β₄×財政力指数 + ε
VIF_j = 1 / (1 - R²_j) ※ VIF > 10 の変数は除外
Kruskal –Wallis検定とは
一元配置分散 分析のノンパラ メトリック版。正規性 が仮定できない場合でも、
3グループ以上の中央値 の差を検定できます。標本サイズ が小さい都道府県データに適した手法です。
H統計量が有意(p<0.05)なら、少なくとも1つのグループが異なる分布を持ちます。
DATA SCIENCE POINT
ノンパラメトリック検定の使い所
都道府県数はN=47と小さく、正規分布 の仮定が怪しい場合があります。
Kruskal –Wallis検定は順位に基づく検定のため、外れ値 の影響を受けにくい頑健な手法です。
from scipy.stats import kruskal, mannwhitneyu
import scikit_posthocs as sp
# Kruskal –Wallis検定
h_stat, p_val = kruskal(group1, group2, group3)
# 事後検定(Dunn検定・Bonferroni補正)
dunn_result = sp.posthoc_dunn(
[group1, group2, group3], p_adjust='bonferroni'
)
3. 使用データと変数
データソース 内容
厚生労働省 医師偏在指標 都道府県・二次医療圏別の医師偏在指標(標準化 スコア)
医師・歯科医師・薬剤師統計 診療科別医師数(産婦人科・小児科等)
医療施設調査 病院・診療所数、面積あたり施設密度
医師の出身大学・就業地調査 地元医科大卒業者の地元定着率
住民基本台帳人口移動報告 都道府県別人口・高齢化率
主要変数の定義
変数名 定義 期待される符号
医師偏在指標 厚労省算出の標準化 スコア(高いほど医師が充足) 目的変数
面積当たり施設数 面積(km²)あたり病院・診療所数 +(正)
医師地元定着率 地元医科大出身で同県勤務の医師割合 +(正)
高齢化率 65歳以上人口割合 ±(不明)
財政力指数 地方自治体の財政的豊かさ指標 +(正)
産婦人科偏在指標 産婦人科医師の標準化 偏在スコア 従属変数 (検定)
小児科偏在指標 小児科医師の標準化 偏在スコア 従属変数 (検定)
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print ( "■ データ読み込み・構築(東京都除く46都道府県)" )
print ( "=" * 65 )
PREFS_46 = [
'北海道' , '青森県' , '岩手県' , '宮城県' , '秋田県' , '山形県' , '福島県' ,
'茨城県' , '栃木県' , '群馬県' , '埼玉県' , '千葉県' , '神奈川県' ,
'新潟県' , '富山県' , '石川県' , '福井県' , '山梨県' , '長野県' , '岐阜県' ,
'静岡県' , '愛知県' , '三重県' , '滋賀県' , '京都府' , '大阪府' , '兵庫県' ,
'奈良県' , '和歌山県' , '鳥取県' , '島根県' , '岡山県' , '広島県' , '山口県' ,
'徳島県' , '香川県' , '愛媛県' , '高知県' , '福岡県' , '佐賀県' , '長崎県' ,
'熊本県' , '大分県' , '宮崎県' , '鹿児島県' , '沖縄県'
]
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
分析に使用する都道府県のリストを作成しています。東京都を除いた46都道府県の名前を順番に格納することで、以降の処理で特定の地域のみを抽出したり、ループ処理で回したりするための準備を行っています。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise) 。forループ不要なのが強み。
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30 # ── SSDSE-B-2026 読み込み(2022年度)──────────────────────────
df_b_raw = pd . read_csv (
os . path . join ( DATA_DIR , 'SSDSE-B-2026.csv' ),
encoding = 'cp932' , header = 1
)
df_b_raw [ '年度' ] = pd . to_numeric ( df_b_raw [ '年度' ], errors = 'coerce' )
df_b = df_b_raw [
( df_b_raw [ '年度' ] == 2022 ) &
df_b_raw [ '地域コード' ] . str . match ( r '^R\d {5} $' , na = False )
] . copy ()
df_b = df_b [ df_b [ '都道府県' ] . isin ( PREFS_46 )] . set_index ( '都道府県' )
for col in [ '総人口' , '65歳以上人口' , '15~64歳人口' , '死亡数' ,
'月間有効求人数(一般)' , '月間有効求職者数(一般)' ,
'消費支出(二人以上の世帯)' , '大学数' , '一般病院数' , '一般診療所数' ,
'年平均気温' ]:
df_b [ col ] = pd . to_numeric ( df_b [ col ], errors = 'coerce' )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え 」、.apply() は「関数を当てる 」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()。
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44 # ── SSDSE-E-2026 読み込み(横断面データ)──────────────────────
df_e_raw = pd . read_csv (
os . path . join ( DATA_DIR , 'SSDSE-E-2026.csv' ),
encoding = 'cp932' , header = 1
)
df_e = df_e_raw . iloc [ 1 :] . copy ()
df_e . columns = df_e_raw . iloc [ 0 ] . values
df_e = df_e [ df_e [ '都道府県' ] != '全国' ] . reset_index ( drop = True )
df_e = df_e [ df_e [ '都道府県' ] . isin ( PREFS_46 )] . set_index ( '都道府県' )
for col in [ '医師数' , '総人口' , '65歳以上人口' , '一般病院数' , '一般診療所数' ,
'歯科診療所数' , '1人当たり県民所得(平成27年基準)' ,
'総面積(北方地域及び竹島を除く)' , '消費支出(二人以上の世帯)' ]:
df_e [ col ] = pd . to_numeric ( df_e [ col ], errors = 'coerce' )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト] はリスト内包表記 。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
📝 コード
📋 コピー # ── 主要指標の計算 ────────────────────────────────────────────
df = pd . DataFrame ({ 'pref' : PREFS_46 })
df = df . set_index ( 'pref' )
# 医師数_10万対(人口10万人あたり医師数) — SSDSE-E 医師数 / SSDSE-E 総人口
df [ '医師数_10万対' ] = (
df_e [ '医師数' ] / df_e [ '総人口' ] * 100000
)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
都道府県別の医師数と総人口のデータを用いて、人口10万人あたりの医師数を算出しています。地域ごとの人口規模に左右されず、医療提供体制の充実度を比較するための指標を作成することが目的です。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる (タプルアンパック)。
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62 # 高齢化率 = 65歳以上人口 / 総人口 × 100
df [ '高齢化率' ] = df_b [ '65歳以上人口' ] / df_b [ '総人口' ] * 100
# 粗死亡率 = 死亡数 / 総人口 × 1000(人口千対)
df [ '粗死亡率' ] = df_b [ '死亡数' ] / df_b [ '総人口' ] * 1000
# 有効求人倍率(代理) = 月間有効求人数 / 月間有効求職者数
df [ '有効求人倍率' ] = (
df_b [ '月間有効求人数(一般)' ] / df_b [ '月間有効求職者数(一般)' ]
)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
各都道府県の人口や死亡数、求人数などの基本データを用いて、分析に必要な「高齢化率」「粗死亡率」「有効求人倍率」という3つの指標を計算し、新しい列としてデータフレームに追加しています。これにより、人口規模に左右されない比率での比較が可能になります。
💡 Python TIPS x if cond else y は三項演算子 。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
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75 # 1人当たり県民所得(SSDSE-E)
df [ '1人当たり県民所得' ] = df_e [ '1人当たり県民所得(平成27年基準)' ]
# 年平均気温(SSDSE-B)
df [ '年平均気温' ] = df_b [ '年平均気温' ]
# 面積当たり病院診療所数(SSDSE-E: 面積はha単位 → 100km² 換算)
# 総面積(ha) / 100 = km² × 0.01 → 万km² = 総面積(ha) / 1,000,000
# 病院診療所数 per 100km² = (一般病院数 + 一般診療所数) / (総面積ha / 10000)
df [ '面積100km2当たり病院診療所数' ] = (
( df_e [ '一般病院数' ] + df_e [ '一般診療所数' ]) /
( df_e [ '総面積(北方地域及び竹島を除く)' ] / 10000 )
)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
分析に使用するデータフレームに、1人当たり県民所得と年平均気温のデータを追加しています。あわせて、病院数と診療所数の合計を面積で割ることで、100km²あたりの医療機関数という新しい指標を算出して格納しています。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡している と覚えるとミスを減らせます。
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89 # 大学数(SSDSE-B 2022)
df [ '大学数' ] = df_b [ '大学数' ]
# 消費支出(SSDSE-E)
df [ '消費支出' ] = df_e [ '消費支出(二人以上の世帯)' ]
df = df . dropna ( subset = [ '医師数_10万対' , '高齢化率' ])
df = df . reset_index ()
N = len ( df )
print ( f "分析対象: { N } 都道府県" )
print ( " \n 記述統計(主要変数):" )
print ( df [[ '医師数_10万対' , '高齢化率' , '粗死亡率' , '年平均気温' ,
'面積100km2当たり病院診療所数' ]] . describe () . round ( 3 ))
▼ 実行結果
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■ データ読み込み・構築(東京都除く46都道府県)
=================================================================
分析対象: 46都道府県
記述統計(主要変数):
医師数_10万対 高齢化率 粗死亡率 年平均気温 面積100km2当たり病院診療所数
count 46.000 46.000 46.000 46.000 46.000
mean 284.480 31.536 13.933 16.059 46.817
std 43.377 3.045 1.851 2.314 82.968
min 186.320 23.433 10.255 10.200 4.931
25% 249.901 29.936 12.696 15.175 14.717
50% 285.004 31.776 13.978 16.550 22.878
75% 309.956 33.812 15.306 17.375 34.775
max 361.752 38.602 18.555 23.700 490.201
💡 解説
.describe() — 件数・平均・標準偏差・四分位・最大/最小を一括計算。データの素性チェックに必須。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
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112 print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "■ Step3. Shapiro-Wilk 検定(正規性) + Levene 検定(等分散性)" )
print ( "=" * 65 )
# 医師数_10万対の3群分類 → 粗死亡率を比較
q33 = df [ '医師数_10万対' ] . quantile ( 1 / 3 )
q67 = df [ '医師数_10万対' ] . quantile ( 2 / 3 )
df [ '医師数群' ] = pd . cut ( df [ '医師数_10万対' ],
bins = [ - np . inf , q33 , q67 , np . inf ],
labels = [ '低医師群(医師少)' , '中医師群' , '高医師群(医師多)' ])
groups = { g : df [ df [ '医師数群' ] == g ][ '粗死亡率' ] . dropna () . values
for g in [ '低医師群(医師少)' , '中医師群' , '高医師群(医師多)' ]}
print ( " \n Shapiro-Wilk 検定(各群の粗死亡率の正規性):" )
for gname , gvals in groups . items ():
sw_stat , sw_p = stats . shapiro ( gvals )
normal = '正規分布に従う' if sw_p > 0.05 else '正規分布に従わない'
print ( f " { gname } : W= { sw_stat : .4f } , p= { sw_p : .4f } → { normal } " )
lev_stat , lev_p = stats . levene ( * groups . values ())
print ( f " \n Levene 検定(等分散性): F= { lev_stat : .4f } , p= { lev_p : .4f } " )
print ( f " → { '等分散が仮定できる' if lev_p > 0.05 else '等分散は仮定できない → Kruskal-Wallis 検定を使用' } " )
▼ 実行結果
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■ Step3. Shapiro-Wilk 検定(正規性) + Levene 検定(等分散性)
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Shapiro-Wilk 検定(各群の粗死亡率の正規性):
低医師群(医師少): W=0.9206, p=0.1723 → 正規分布に従う
中医師群: W=0.9646, p=0.7718 → 正規分布に従う
高医師群(医師多): W=0.9723, p=0.8908 → 正規分布に従う
Levene 検定(等分散性): F=0.9354, p=0.4003
→ 等分散が仮定できる
💡 解説
医師数を基準に分けた3つのグループについて、粗死亡率が正規分布に従っているか(Shapiro-Wilk検定)と、グループ間で分散が等しいか(Levene検定)を確認しています。出力結果のp値を見て、正規性と等分散性の仮定が満たされているかを判断し、その後の検定手法を選択するための材料にします。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる (タプルアンパック)。
4. 相関分析:偏在の要因探索
まずどの要因が医師偏在と関係しているか を俯瞰することが有効だと考えられる。
その理由は偏在の規定要因が複数存在し、回帰モデル を組む前に有力な候補を絞り込む必要がある からである。
ここでは説明変数 間の関係性にも着目し、Pearson相関係数 の一覧比較(棒グラフ )と散布図 という見せ方を用いる。
強い相関 が見える変数があれば、後段の重回帰 でその効果を定量化できると期待される。
図1. 医師数_10万対と各要因変数のPearson相関係数 (左:棒グラフ )と、医師数_10万対×粗死亡率の散布図 (右、色:高齢化率 )
📌 この相関 棒グラフ と散布図 の読み方
このグラフは 左は医師数_10万対と各変数の相関係数 (−1〜+1)を棒の長さと向きで示した図(緑=正、赤=負)。右は医師数_10万対(横軸)と粗死亡率(縦軸)の散布図 で、点の色は高齢化率 (緑=低、赤=高)。
読み方 左では棒が右(+)に長いほど「医師が多い県ほど高い」変数(* は p<0.05、** は p<0.01 で有意)。年平均気温(r=0.352, *)と高齢化率 (r=0.331, *)が正、1人当たり県民所得(r=−0.378, **)と消費支出(r=−0.354, *)が負で有意。右では点がゆるやかに右上がりに並び、弱い正の相関 (r=0.279, p=0.060)を示すが、5%水準では有意でない。
なぜそう解釈できるか 相関係数 は2変数の線形な連動の強さを表す。右図で「医師が多い県ほど粗死亡率も高い」ように見えるのは、色(高齢化率 )を見ると分かるとおり、高齢化の進んだ県ほど死亡率も医師需要も高いという交絡 の影響が大きい。だからこそ図2の重回帰 で他変数を統制し、VIF も確認する。
図1左の相関係数 から、医師数_10万対と相関 する変数を視覚的に把握できます。
再現データ(SSDSE -B/E)では年平均気温(r=0.352, *) と高齢化率 (r=0.331, *) が正の相関 、
1人当たり県民所得(r=−0.378, **) と消費支出(r=−0.354, *) が負の相関 を示し、
面積当たり病院診療所数(r=−0.102)・大学数(r=−0.188)・有効求人倍率(r=0.089)は有意ではありませんでした。
温暖で高齢化が進み、所得水準が低めの西日本の県ほど人口当たり医師数が多いという「西高東低」のパターンが読み取れます。
また図1右の散布図 では、医師数_10万対と粗死亡率の間に r=0.279(p=0.060)の弱い正の関連 が見られますが、
これは高齢化率 との交絡 (高齢県ほど死亡率も医師数も高い)を反映したもので、5%水準では有意ではありません。
相関 分析の留意点
相関係数 はあくまで2変数間の線形関係を示すもの。
因果関係 の解釈には慎重を要します。また変数間の交絡 (confounding)を考慮するには
重回帰分析 が必要です。
📖 このページの数値の読み分け(初学者向け)
このページには2種類の数値が登場します。(1) 論文の報告値 は、厚労省の医師偏在指標・診療科別医師数などの元データに基づいて論文が報告した結果の要約です。
(2) 図1〜図4と「やってみよう」のコード出力 は、SSDSE -B/E だけで動くように変数を「医師数_10万対」「粗死亡率」で代用した再現版で、
同一スクリプトから生成されるため互いに一致します(例:図1右の r=0.279、図2の R²=0.428、図3の H=2.71)。
ただし論文の報告値とは、使う変数や指標の定義が異なるため一致しません。数値が違っても「間違い」ではなく、何を測っているかが違う のだと意識して読み分けてください。
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143 print ( "図1: 相関分析を作成中..." )
fig1 , axes1 = plt . subplots ( 1 , 2 , figsize = ( 14 , 6 ))
fig1 . suptitle ( '医師数_10万対の相関分析' , fontsize = 13 , fontweight = 'bold' )
# (a) 相関係数棒グラフ
ax1a = axes1 [ 0 ]
corr_vars_plot = [ CORR_LABELS . get ( v , v ) for v in CORR_VARS ]
corr_vals_plot = [ corr_results [ v ][ 0 ] for v in CORR_VARS ]
corr_pvals_plot = [ corr_results [ v ][ 1 ] for v in CORR_VARS ]
bar_colors_corr = [ '#E53935' if r < 0 else '#43A047' for r in corr_vals_plot ]
sorted_idx_corr = np . argsort ( corr_vals_plot )
ax1a . barh ( np . arange ( len ( CORR_VARS )),
[ corr_vals_plot [ i ] for i in sorted_idx_corr ],
color = [ bar_colors_corr [ i ] for i in sorted_idx_corr ],
alpha = 0.8 , edgecolor = 'white' )
ax1a . set_yticks ( np . arange ( len ( CORR_VARS )))
ax1a . set_yticklabels ([ corr_vars_plot [ i ] for i in sorted_idx_corr ], fontsize = 9 )
ax1a . axvline ( 0 , color = 'black' , linewidth = 1.0 )
ax1a . set_xlabel ( 'Pearson 相関係数(医師数_10万対との相関)' , fontsize = 10 )
ax1a . set_title ( '医師数_10万対との相関係数 \n (赤=負の相関、緑=正の相関)' , fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax1a . grid ( axis = 'x' , alpha = 0.3 )
for i , ( idx , r , p ) in enumerate ( zip ( sorted_idx_corr ,
[ corr_vals_plot [ j ] for j in sorted_idx_corr ],
[ corr_pvals_plot [ j ] for j in sorted_idx_corr ])):
sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else ''
if sig :
offset = 0.02 if r > 0 else - 0.02
ha = 'left' if r > 0 else 'right'
ax1a . text ( r + offset , i , sig , va = 'center' , ha = ha , fontsize = 9 , fontweight = 'bold' )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
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154 # (b) 医師数_10万対 vs 粗死亡率 散布図
ax1b = axes1 [ 1 ]
sc = ax1b . scatter ( df [ '医師数_10万対' ], df [ '粗死亡率' ],
c = df [ '高齢化率' ], cmap = 'RdYlGn_r' ,
s = 80 , alpha = 0.85 , edgecolors = 'white' , linewidth = 0.5 , zorder = 3 )
x_s = df [ '医師数_10万対' ] . dropna () . values
y_s = df [ '粗死亡率' ] . loc [ df [ '医師数_10万対' ] . notna ()] . values
slope , intercept , r_val , p_val , _ = stats . linregress ( x_s , y_s )
x_line = np . linspace ( x_s . min (), x_s . max (), 100 )
ax1b . plot ( x_line , intercept + slope * x_line , '-' , color = '#333' , linewidth = 2.0 ,
label = f '回帰直線 r= { r_val : .3f } (p= { p_val : .3f } )' )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr) は累積和 、np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。
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177 # 注目都道府県
highlight_prefs = [ '京都府' , '秋田県' , '沖縄県' ]
for pref in highlight_prefs :
row = df [ df [ 'pref' ] == pref ]
if len ( row ) > 0 :
ax1b . annotate ( pref . replace ( '府' , '' ) . replace ( '県' , '' ),
( row [ '医師数_10万対' ] . values [ 0 ], row [ '粗死亡率' ] . values [ 0 ]),
fontsize = 8.5 , fontweight = 'bold' , color = '#333' ,
xytext = ( 6 , 4 ), textcoords = 'offset points' ,
arrowprops = dict ( arrowstyle = '->' , color = '#555' , lw = 0.8 ))
plt . colorbar ( sc , ax = ax1b , label = '高齢化率(%)' )
ax1b . set_xlabel ( '医師数_10万対(人口10万対)' , fontsize = 11 )
ax1b . set_ylabel ( '粗死亡率(人口千対)' , fontsize = 11 )
ax1b . set_title ( '医師数_10万対 vs 粗死亡率 \n 色:高齢化率(緑=低、赤=高)' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax1b . legend ( fontsize = 9 )
ax1b . grid ( True , alpha = 0.3 )
plt . tight_layout ()
fig1 . savefig ( os . path . join ( FIG_DIR , '2025_H1_fig1_corr.png' ), bbox_inches = 'tight' , dpi = 150 )
plt . close ( fig1 )
print ( " → 2025_H1_fig1_corr.png 保存完了" )
▼ 実行結果
図1: 相関分析を作成中...
→ 2025_H1_fig1_corr.png 保存完了
💡 解説
医師数と粗死亡率の相関を可視化した散布図に、特定の都道府県の名前をラベルとして追加し、高齢化率を色で表現しています。作成された図では、各地点の分布に加えて注目した都道府県がどこに位置しているかを確認でき、色の変化から高齢化率との関係性を読み取ることができます。
💡 Python TIPS f-stringの書式 {値:.2f}(小数2桁)、{値:,}(3桁区切り)、{値:>10}(右寄せ10桁)など、覚えると出力が一気に整います。
5. 重回帰分析:医師偏在指標の規定要因
前節の相関 分析(図1)で年平均気温・高齢化率 と正の相関 、県民所得・消費支出と負の相関 が見えた結果 を踏まえると、
これらが医師の地域分布の有力な規定要因の候補である と考えられる。
ただし相関 だけでは他変数の交絡 を排除できず検証が必要であるため、
その手法としてVIF 確認付きの重回帰分析 に着目した。
他変数を統制しても気温・高齢化率 の係数 が有意に正のまま残るかを確認する。
図2. 重回帰分析 の係数 プロット(標準化係数 ・95%信頼区間 )とVIF 確認
📌 この係数 プロット(フォレストプロット)の読み方
このグラフは 左は重回帰 の標準化係数 を横棒で、95%信頼区間 をヒゲで示した図。右は各説明変数 のVIF (多重共線性 の指標)の棒グラフ 。
読み方 左では棒が0より右なら正、左なら負の影響。ヒゲ(95%CI)が0をまたがない変数が統計的に有意(* 付き)。右ではVIF が5(赤破線)を超えたら警戒、10を超えたら深刻な多重共線性 のサイン。
なぜそう解釈できるか 標準化係数 は単位をそろえた影響度なので、変数間で大きさを直接比較できる。VIF の大きい変数は係数 の符号や大きさが不安定になりやすく、非有意な係数 の解釈は特に慎重を要する。
推定結果のまとめ(論文の報告値)
説明変数 標準化係数 有意性 解釈
面積当たり施設数 +(正) p<0.05 設備の密度が高いほど医師が集まる
医師地元定着率 +(正) p<0.05 地元定着が医師偏在を緩和する
高齢化率 ± 非有意 p>0.10 単純な高齢化率 との関係は弱い
財政力指数 + 弱い p<0.10 財政力は正の方向だが効果は限定的
VIF 確認の結果
論文では VIF > 10 の変数を除外する方針がとられ、最終モデルでは深刻な多重共線性 はないと報告されています。
図2右の再現でも全変数のVIF は最大2.57(大学数) で、
高齢化率 2.27・面積当たり病院診療所数2.15・年平均気温1.52・有効求人倍率1.40・県民所得1.35と、
いずれも警戒線の5を大きく下回りました(図タイトルどおり「VIF<5: 問題なし」)。
この再現モデルでは多重共線性 の心配なく係数 を解釈できます。
主な知見
論文では 、設備的要因(面積当たり病院・診療所数)と医師の地元定着率が医師偏在指標に有意な正の影響を与え、
都市部ほど施設が密集し、地方の医科大学卒業者が地元に残ることが偏在の縮小に寄与すると報告されています。
SSDSEによる再現(図2)では 、高齢化率 と年平均気温が医師数_10万対に有意な正の影響(いずれも***)を示しました。
論文の報告値と再現図(図2)の読み分け
上の表は論文が報告した結果 の要約です。一方、図2はSSDSE -B/E で入手できる変数に置き換えた再現 で、
R²=0.428(調整済みR²=0.340、F=5.82, p=0.0002)。高齢化率 (係数+27.2, p=0.0008, ***)と年平均気温(係数+25.3, p<0.0001, ***)が正で有意 となり、
有効求人倍率(+1.0, p=0.87)・1人当たり県民所得(−6.2, p=0.35)・面積当たり病院診療所数(−1.6, p=0.77)・大学数(+10.3, p=0.21)は有意になりませんでした。
論文の核心変数である医師偏在指標・大学卒業地元定着率・財政力指数はSSDSE には含まれない ため再現モデルには入っておらず、
「どの変数が有意か」を論文と直接比較することはできません。
変数を代用すると結論も変わりうる——これはデータ分析の再現で必ず意識すべきポイントです。
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215 print ( "図2: 重回帰係数プロットを作成中..." )
fig2 , axes2 = plt . subplots ( 1 , 2 , figsize = ( 14 , 6 ))
fig2 . suptitle ( '重回帰分析結果:医師数_10万対の規定要因(東京都除く46都道府県)' ,
fontsize = 13 , fontweight = 'bold' )
# (a) 回帰係数(森林プロット)
ax2a = axes2 [ 0 ]
coefs_reg = [ reg_res . params . get ( zv , 0 ) for zv in Z_REG ]
ses_reg = [ reg_res . bse . get ( zv , 0 ) for zv in Z_REG ]
pvals_reg = [ reg_res . pvalues . get ( zv , 1 ) for zv in Z_REG ]
labels_reg = [ CORR_LABELS . get ( v . replace ( '_z' , '' ), v ) for v in Z_REG ]
bar_colors2 = [ '#E53935' if c < 0 and p < 0.05
else '#43A047' if c > 0 and p < 0.05
else '#9E9E9E'
for c , p in zip ( coefs_reg , pvals_reg )]
ax2a . barh ( np . arange ( len ( Z_REG )), coefs_reg ,
xerr = [ 1.96 * s for s in ses_reg ],
color = bar_colors2 , alpha = 0.8 , edgecolor = 'white' ,
capsize = 4 , error_kw = { 'elinewidth' : 1.5 , 'ecolor' : '#555' })
ax2a . axvline ( 0 , color = 'black' , linewidth = 1.0 )
ax2a . set_yticks ( np . arange ( len ( Z_REG )))
ax2a . set_yticklabels ( labels_reg , fontsize = 9 )
ax2a . set_xlabel ( '標準化回帰係数(±95%CI)' , fontsize = 10 )
ax2a . set_title ( f '重回帰係数(HC1ロバスト標準誤差) \n R²= { reg_res . rsquared : .3f } ' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax2a . grid ( axis = 'x' , alpha = 0.3 )
ax2a . invert_yaxis ()
for i , ( c , s , p ) in enumerate ( zip ( coefs_reg , ses_reg , pvals_reg )):
sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else ''
if sig :
ax2a . text ( c + np . sign ( c ) * 1.96 * s + np . sign ( c ) * 0.01 , i ,
sig , va = 'center' , ha = 'left' if c > 0 else 'right' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr) は累積和 、np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。
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239 # (b) VIF 棒グラフ
ax2b = axes2 [ 1 ]
vif_labels = [ CORR_LABELS . get ( v . replace ( '_z' , '' ), v ) for v in Z_REG ]
vif_values_plot = [ vif_vals [ v ] for v in Z_REG ]
bar_colors_vif = [ '#E53935' if v > 5 else '#FF8F00' if v > 3 else '#43A047'
for v in vif_values_plot ]
ax2b . barh ( np . arange ( len ( Z_REG )), vif_values_plot ,
color = bar_colors_vif , alpha = 0.8 , edgecolor = 'white' )
ax2b . axvline ( 5 , color = '#E53935' , linestyle = '--' , linewidth = 1.5 , label = 'VIF=5(警戒線)' )
ax2b . axvline ( 3 , color = '#FF8F00' , linestyle = '--' , linewidth = 1.0 , label = 'VIF=3(注意線)' )
ax2b . set_yticks ( np . arange ( len ( Z_REG )))
ax2b . set_yticklabels ( vif_labels , fontsize = 9 )
ax2b . set_xlabel ( 'VIF(分散拡大係数)' , fontsize = 10 )
ax2b . set_title ( '多重共線性確認(VIF) \n VIF<5: 問題なし' , fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax2b . legend ( fontsize = 9 )
ax2b . grid ( axis = 'x' , alpha = 0.3 )
ax2b . invert_yaxis ()
for i , v in enumerate ( vif_values_plot ):
ax2b . text ( v + 0.05 , i , f ' { v : .2f } ' , va = 'center' , fontsize = 8.5 )
plt . tight_layout ()
fig2 . savefig ( os . path . join ( FIG_DIR , '2025_H1_fig2_regression.png' ), bbox_inches = 'tight' , dpi = 150 )
plt . close ( fig2 )
print ( " → 2025_H1_fig2_regression.png 保存完了" )
▼ 実行結果
図2: 重回帰係数プロットを作成中...
→ 2025_H1_fig2_regression.png 保存完了
💡 解説
ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS f-stringの書式 {値:.2f}(小数2桁)、{値:,}(3桁区切り)、{値:>10}(右寄せ10桁)など、覚えると出力が一気に整います。
6. Kruskal–Wallis検定:診療科偏在の比較
前節の医師「全体」の偏在要因が特定できた結果 を踏まえると、
診療科ごとに偏在の深刻さが異なる構造 が背景にあると考えられる。
これを検証する必要があるが、その手法として3群比較に頑健なKruskal –Wallis検定 に着目した。
論文は診療科偏在指標を検定対象としたが、SSDSE による再現(図3)では粗死亡率 を代用し、
「医師数の水準によって死亡率の分布に差があるか」を正規性 を仮定しないノンパラ メトリック手法で確かめる。
図3. 医師数3群別の粗死亡率の箱ひげ図 とKW検定 ・前提確認の結果(H=2.71, p=0.2585:非有意)
📌 この箱ひげ図 の読み方
このグラフは 左は医師数_10万対で分けた3群(低医師群=医師少/中医師群/高医師群=医師多)ごとに、粗死亡率の分布を箱ひげ図 と点で示した図。右は前提確認(Shapiro-Wilk・Levene)とKW検定 のサマリー表。
読み方 箱の中の白線が中央値 、箱が四分位範囲。中央値 は低医師群13.31、中医師群13.97、高医師群14.69と医師が多い群ほどやや高いが、KW検定 は H=2.71, p=0.2585 で有意差なし 。有意な群ペアが無いため、図中に * 印は表示されない。
なぜそう解釈できるか p=0.2585 > 0.05 なので「3群の分布の位置が同じ」という帰無仮説 は棄却できない。右表のとおり各群とも正規性 OK・等分散 OKだったが、教育目的でノンパラ メトリックなKW検定 の手順を通しで確認している。
再現では、都道府県を医師数_10万対の3分位で低医師群(n=16)・中医師群(n=15)・高医師群(n=15) の
3グループに分類 し、粗死亡率についてKruskal –Wallis検定を実施しました
(論文では医師偏在指標による3群で産婦人科・小児科の偏在指標を検定しています)。
検定結果
論文では 、産婦人科偏在指標・小児科偏在指標ともに3グループ間で有意差が確認され(p<0.05)、
Dunn検定(Bonferroni補正)により医師過疎グループで産婦人科・小児科の偏在指標が有意に低いと報告されています。
一方、粗死亡率で代用した再現(図3)では 、H=2.71, p=0.2585 で有意差は確認されず 、
Dunn検定(Bonferroni補正)でも全ペア n.s.(低vs中 p=1.000、低vs高 p=0.415、中vs高 p=0.737)でした。
再現データでは、医師数の水準(3群)によって粗死亡率の分布が異なるとは統計的に言えませんでした。
医師が多い群ほど中央値 がやや高く見えるのは、高齢化率 の交絡 (図1右参照)と整合的ですが、
その差もN=46・各群15〜16県の規模では有意差として検出されていません。
指標の向きに注意:粗死亡率は「年齢構成」を調整していない
図1右・図3で使っている「粗死亡率」は年齢構成をそのまま反映した死亡率 で、高齢化の進んだ県ほど機械的に高くなります。
高齢化が進んだ県は医師需要も大きく医師数_10万対も高い傾向があるため、
「医師が多い県ほど死亡率が高い」ように見えても、医療の質が低いという意味にはなりません。
医療水準を比較したいときは年齢調整死亡率などの調整済み指標 を使う必要がある——指標の定義を確認せずに符号だけで解釈しないことが重要です。
図3と論文の結果が違う理由
図3と下の「やってみよう」コードの出力は同一スクリプトによるもので、いずれも粗死亡率 の3群比較(H=2.71, p=0.2585:非有意)です。
一方、論文が検定したのは診療科偏在指標 で、そちらでは有意差が報告されています。
検定の対象変数が異なるので、結果が食い違っても矛盾ではありません 。
「同じ検定手法でも、何を比較するかで結論は変わる」ことを体感できる好例です。
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256 print ( "図3: Kruskal-Wallis検定結果を作成中..." )
fig3 , axes3 = plt . subplots ( 1 , 2 , figsize = ( 13 , 6 ))
fig3 . suptitle ( 'Kruskal-Wallis 検定 + Dunn 検定(Bonferroni補正) \n 粗死亡率と医師数水準の関係' ,
fontsize = 12 , fontweight = 'bold' )
# (a) ボックスプロット + ストリッププロット
ax3a = axes3 [ 0 ]
group_data = [ groups [ g ] for g in [ '低医師群(医師少)' , '中医師群' , '高医師群(医師多)' ]]
bp = ax3a . boxplot ( group_data , patch_artist = True , notch = False , widths = 0.55 )
bp_colors = [ '#E53935' , '#FF8F00' , '#43A047' ]
for patch , color in zip ( bp [ 'boxes' ], bp_colors ):
patch . set_facecolor ( color )
patch . set_alpha ( 0.7 )
for median in bp [ 'medians' ]:
median . set ( color = 'white' , linewidth = 2.5 )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS f-stringの書式 {値:.2f}(小数2桁)、{値:,}(3桁区切り)、{値:>10}(右寄せ10桁)など、覚えると出力が一気に整います。
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279 # ジッタープロット(決定論的:x位置を均等分散)
for i , ( gdata , color ) in enumerate ( zip ( group_data , bp_colors ), 1 ):
n = len ( gdata )
jitter = np . linspace ( - 0.15 , 0.15 , n )
ax3a . scatter ( i + jitter , gdata , color = color , alpha = 0.6 , s = 35 , zorder = 3 )
# 有意差の記号
y_max = max ( max ( g ) for g in group_data ) * 1.05
for ( gname1 , gname2 , u , p_raw , p_bonf ) in dunn_results :
if p_bonf < 0.05 :
i1 = [ '低医師群(医師少)' , '中医師群' , '高医師群(医師多)' ] . index ( gname1 ) + 1
i2 = [ '低医師群(医師少)' , '中医師群' , '高医師群(医師多)' ] . index ( gname2 ) + 1
ax3a . plot ([ i1 , i2 ], [ y_max , y_max ], 'k-' , linewidth = 1.5 )
sig_text = '***' if p_bonf < 0.001 else '**' if p_bonf < 0.01 else '*'
ax3a . text (( i1 + i2 ) / 2 , y_max * 1.005 , sig_text ,
ha = 'center' , fontsize = 12 , fontweight = 'bold' )
y_max *= 1.08
ax3a . set_xticklabels ([ '低医師群 \n (医師少)' , '中医師群' , '高医師群 \n (医師多)' ], fontsize = 10 )
ax3a . set_ylabel ( '粗死亡率(人口千対)' , fontsize = 11 )
ax3a . set_title ( f '医師数3群の粗死亡率比較 \n KW: H= { kw_stat : .2f } , p= { kw_p : .4f } ' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax3a . grid ( axis = 'y' , alpha = 0.3 )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
医師数による3つのグループ間で粗死亡率に差があるかを可視化するため、データの分布を示すジッタープロットと有意差を示す線を描画しています。図中のアスタリスク(*)などの記号を確認することで、どのグループ間に統計的に有意な差が認められたかを判断できます。
💡 Python TIPS plt.subplots(figsize=(W, H)) で図サイズ指定、fig.savefig(..., bbox_inches='tight') で余白を自動で詰めて保存。
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312 # (b) 前提確認検定サマリー
ax3b = axes3 [ 1 ]
ax3b . axis ( 'off' )
table_data = [[ '前提確認検定' , '検定統計量' , 'p値' , '判定' ]]
for gname , gvals in groups . items ():
sw_stat_ , sw_p_ = stats . shapiro ( gvals )
judge = '正規性OK' if sw_p_ > 0.05 else '非正規性'
short = gname . replace ( '医師群(医師少)' , '(少)' ) . replace ( '医師群(医師多)' , '(多)' ) . replace ( '医師群' , '' )
table_data . append ([ f 'Shapiro-Wilk \n { short } ' , f 'W= { sw_stat_ : .4f } ' , f 'p= { sw_p_ : .3f } ' , judge ])
table_data . append ([ f 'Levene 検定 \n (等分散性)' , f 'F= { lev_stat : .4f } ' , f 'p= { lev_p : .3f } ' ,
'等分散OK' if lev_p > 0.05 else '不等分散' ])
table_data . append ([ f 'Kruskal-Wallis \n (3群比較)' , f 'H= { kw_stat : .4f } ' , f 'p= { kw_p : .4f } ' ,
'有意**' if kw_p < 0.01 else '有意*' if kw_p < 0.05 else '非有意' ])
tbl = ax3b . table ( cellText = table_data [ 1 :], colLabels = table_data [ 0 ],
loc = 'center' , cellLoc = 'center' , bbox = [ 0.02 , 0.0 , 0.98 , 1.0 ])
tbl . auto_set_font_size ( False )
tbl . set_fontsize ( 9.5 )
for ( row , col ), cell in tbl . get_celld () . items ():
if row == 0 :
cell . set_facecolor ( '#1565C0' )
cell . set_text_props ( color = 'white' , fontweight = 'bold' )
elif '有意' in str ( cell . get_text () . get_text ()):
cell . set_facecolor ( '#FFCDD2' )
elif 'OK' in str ( cell . get_text () . get_text ()):
cell . set_facecolor ( '#C8E6C9' )
ax3b . set_title ( '前提確認 + Kruskal-Wallis 検定 サマリー' ,
fontsize = 11 , fontweight = 'bold' , pad = 10 )
plt . tight_layout ()
fig3 . savefig ( os . path . join ( FIG_DIR , '2025_H1_fig3_kruskal.png' ), bbox_inches = 'tight' , dpi = 150 )
plt . close ( fig3 )
print ( " → 2025_H1_fig3_kruskal.png 保存完了" )
▼ 実行結果
図3: Kruskal-Wallis検定結果を作成中...
→ 2025_H1_fig3_kruskal.png 保存完了
💡 解説
各群の正規性と等分散性の確認、およびKruskal-Wallis検定の結果をまとめて表形式で出力しています。p値に基づいた判定結果が色分けして表示されるため、データの分布特性や群間に統計的な有意差があるかどうかをひと目で確認できます。
💡 Python TIPS .dropna() は欠損行を除去、.copy() は独立したコピーを作る。pandasで警告を防ぐ定石。
7. 地域別分析:医師過疎地の診療科別影響
図3では粗死亡率について3群間の有意差は確認されなかった (H=2.71, p=0.2585)。
では、そもそも医師の少なさはどの地域に集中しているのか。
本節では都道府県別の医師数_10万対を一覧し、あわせて施設密度(面積100km²当たり病院診療所数)との関係(r=−0.102, p=0.499)から
「人口当たりの医師数」と「地理的な施設の密度」が別物であることを確認する。
図4. 都道府県別の医師数_10万対(左:棒グラフ )と施設密度×医師数_10万対の散布図 (右、色:1人当たり県民所得)
📌 この棒グラフ と散布図 の読み方
このグラフは 左は都道府県別の医師数_10万対を並べた棒グラフ (緑=46都道府県平均284.5以上、赤=平均未満)。右は面積100km²当たり病院診療所数(横軸)と医師数_10万対(縦軸)の散布図 (点の色は1人当たり県民所得)。
読み方 左で赤い棒の県が医師の少ない県。埼玉(186.3)・茨城・千葉・神奈川など首都圏近郊が下位に、徳島(361.8)・京都・高知・鳥取・長崎など西日本の県が上位に並ぶ。右は回帰直線がほぼ水平で、相関 は r=−0.102(p=0.499)とほぼ無相関 。
なぜそう解釈できるか 施設密度は「面積当たり」の指標のため、大阪など人口稠密な都市部で極端に高く、北海道のように広大な道県で低くなる。一方、医師数_10万対は「人口当たり」の指標であり、両者は測っている次元が異なる。施設が地理的に密集していることと、住民1人当たりの医師が足りていることは別問題である。
論文では、地域ブロック別に分析すると、医師過疎が深刻な地域(東北・山陰・四国・九州離島部など)では
産婦人科・小児科の偏在がとりわけ顕著だと報告されています。
再現(図4左)でも、人口当たり医師数の「西高東低」——埼玉・茨城・千葉など首都圏近郊で少なく、徳島・京都・高知など西日本で多い——という地域パターンが確認できます。
産婦人科・小児科が集中しやすい構造的要因
これらの診療科は高度な設備と連携が必要なため、大規模病院への集約が進みやすい傾向があります。
また、分娩件数の減少により地方の産科の採算が悪化し、閉院が相次いでいることも
地域格差を拡大させる要因となっています。
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339 print ( "図4: 医師数分布と地域特性を作成中..." )
fig4 , axes4 = plt . subplots ( 1 , 2 , figsize = ( 14 , 6 ))
fig4 . suptitle ( '医師数_10万対の地域分布(東京都除く46都道府県)' ,
fontsize = 13 , fontweight = 'bold' )
# (a) 都道府県ランキング棒グラフ
ax4a = axes4 [ 0 ]
nat_mean = df [ '医師数_10万対' ] . mean ()
df_sorted = df . sort_values ( '医師数_10万対' )
bar_col4 = [ '#43A047' if v >= nat_mean else '#E53935' for v in df_sorted [ '医師数_10万対' ]]
ax4a . barh ( np . arange ( len ( df_sorted )), df_sorted [ '医師数_10万対' ] - nat_mean ,
color = bar_col4 , alpha = 0.8 , edgecolor = 'white' , left = nat_mean )
ax4a . axvline ( nat_mean , color = 'black' , linewidth = 1.5 ,
label = f '46都道府県平均(= { nat_mean : .1f } )' )
ax4a . set_yticks ( np . arange ( len ( df_sorted )))
ax4a . set_yticklabels (
[ p . replace ( '県' , '' ) . replace ( '府' , '' ) . replace ( '道' , '' ) . replace ( '都' , '' )
for p in df_sorted [ 'pref' ]],
fontsize = 7.5
)
ax4a . set_xlabel ( '医師数_10万対(人/10万人)' , fontsize = 10 )
ax4a . set_title ( '都道府県別 医師数_10万対 \n (緑=平均以上、赤=平均以下)' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax4a . legend ( fontsize = 9 )
ax4a . grid ( axis = 'x' , alpha = 0.3 )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。sort_values('列名', ascending=False) — 指定列で並べ替え(降順)。ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS plt.subplots(figsize=(W, H)) で図サイズ指定、fig.savefig(..., bbox_inches='tight') で余白を自動で詰めて保存。
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360 # (b) 医師数_10万対 vs 面積100km²当たり病院診療所数 散布図
ax4b = axes4 [ 1 ]
sc2 = ax4b . scatter ( df [ '面積100km2当たり病院診療所数' ], df [ '医師数_10万対' ],
c = df [ '1人当たり県民所得' ], cmap = 'plasma' ,
s = 80 , alpha = 0.85 , edgecolors = 'white' , linewidth = 0.5 , zorder = 3 )
plt . colorbar ( sc2 , ax = ax4b , label = '1人当たり県民所得(万円)' )
x4 = df [ '面積100km2当たり病院診療所数' ] . dropna () . values
y4 = df [ '医師数_10万対' ] . loc [ df [ '面積100km2当たり病院診療所数' ] . notna ()] . values
slope4 , intercept4 , r4 , p4 , _ = stats . linregress ( x4 , y4 )
x4_line = np . linspace ( x4 . min (), x4 . max (), 100 )
ax4b . plot ( x4_line , intercept4 + slope4 * x4_line , '--' , color = '#333' , linewidth = 1.8 ,
label = f 'r= { r4 : .3f } (p= { p4 : .3f } )' )
ax4b . axhline ( nat_mean , color = 'gray' , linestyle = ':' , linewidth = 1.0 , alpha = 0.7 )
ax4b . set_xlabel ( '面積100km²当たり病院診療所数' , fontsize = 11 )
ax4b . set_ylabel ( '医師数_10万対' , fontsize = 11 )
ax4b . set_title ( '施設密度 vs 医師数_10万対 \n 色:1人当たり県民所得' ,
fontsize = 10 , fontweight = 'bold' )
ax4b . legend ( fontsize = 9 )
ax4b . grid ( True , alpha = 0.3 )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS .dropna() は欠損行を除去、.copy() は独立したコピーを作る。pandasで警告を防ぐ定石。
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381 # 代表都道府県にラベル
for _ , row4 in df . iterrows ():
if row4 [ 'pref' ] in [ '北海道' , '沖縄県' , '京都府' , '秋田県' , '鹿児島県' , '東京都' ]:
ax4b . annotate ( row4 [ 'pref' ] . replace ( '県' , '' ) . replace ( '道' , '' ) . replace ( '府' , '' ),
( row4 [ '面積100km2当たり病院診療所数' ], row4 [ '医師数_10万対' ]),
fontsize = 8.5 , fontweight = 'bold' , color = '#333' ,
xytext = ( 5 , 4 ), textcoords = 'offset points' )
plt . tight_layout ()
fig4 . savefig ( os . path . join ( FIG_DIR , '2025_H1_fig4_specialty.png' ), bbox_inches = 'tight' , dpi = 150 )
plt . close ( fig4 )
print ( " → 2025_H1_fig4_specialty.png 保存完了" )
print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "全図の生成完了(4枚)" )
print ( "=" * 65 )
print ( f " \n 保存先: { FIG_DIR } " )
print ( " 2025_H1_fig1_corr.png - 相関分析(棒グラフ+散布図)" )
print ( " 2025_H1_fig2_regression.png - 重回帰係数とVIF" )
print ( " 2025_H1_fig3_kruskal.png - Kruskal-Wallis検定と前提確認" )
print ( " 2025_H1_fig4_specialty.png - 地域別医師数分布と施設密度" )
▼ 実行結果
図4: 医師数分布と地域特性を作成中...
→ 2025_H1_fig4_specialty.png 保存完了
=================================================================
全図の生成完了(4枚)
=================================================================
保存先: html/figures
2025_H1_fig1_corr.png - 相関分析(棒グラフ+散布図)
2025_H1_fig2_regression.png - 重回帰係数とVIF
2025_H1_fig3_kruskal.png - Kruskal-Wallis検定と前提確認
2025_H1_fig4_specialty.png - 地域別医師数分布と施設密度
💡 解説
for _, row in df.iterrows() — DataFrameを1行ずつ取り出すループ。1点ずつ描画したいときに使用。
💡 Python TIPS f"...{x}..." はf-string 。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
8. 政策的含意
ここまでの論文の知見「施設密度・地元定着率が偏在に効き、医師過疎地ほど産婦人科・小児科も不足する」 を踏まえると、
単一の施策では偏在解消は困難で、医療提供体制と人材育成の両輪が必要 と考えられる。
実装上は地域枠・地域医療構想・診療科別の手当加算 の組み合わせ効果を検証する必要があり、
本節ではエビデンスに基づく政策パッケージの方向性を整理する。
論文の分析結果は、医師偏在対策として以下の方向性を示しています。
地域医療への設備投資 :面積当たり施設数が偏在指標に正の影響を与えており、
地方での病院・診療所整備が医師誘致の基盤となる
地元大学医学部の定着促進 :地元医科大卒業者の地元定着率向上が
最も効果的な偏在縮小策の一つ(地域枠の活用等)
産婦人科・小児科への重点施策 :医師過疎地では特にこれらの診療科が
不足しており、専門医への手当加算や集約型周産期センターの拡充が求められる
研究の限界と今後の課題
本研究は都道府県レベルの集計 データを用いており、二次医療圏・市区町村レベルの
より細かい分析が今後の課題です。また、医師の個人的な選好(ライフスタイル・給与)など
本研究でカバーできていない要因も偏在に影響している可能性があります。
教育的価値(この分析から学べること)
医師偏在の構造 :地理的偏在(都市集中)と診療科偏在(外科離れ等)の2つの問題が併存する。
代理変数 :『医師の質』は直接測れない。経験年数・専門医比率などで代理する。
政策設計の難しさ :医師は職業選択の自由があるので、強制配分は困難。インセンティブ設計が鍵。
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403 import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib . use ( 'Agg' )
import matplotlib.pyplot as plt
import matplotlib.patches as mpatches
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.stats.outliers_influence import variance_inflation_factor
from scipy import stats
from itertools import combinations
import warnings
warnings . filterwarnings ( 'ignore' )
plt . rcParams [ 'font.family' ] = 'Hiragino Sans'
plt . rcParams [ 'axes.unicode_minus' ] = False
plt . rcParams [ 'figure.dpi' ] = 150
import os
DATA_DIR = 'data/raw'
FIG_DIR = 'html/figures'
os . makedirs ( FIG_DIR , exist_ok = True )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。plt.rcParams['font.family'] — グラフの日本語表示用フォント指定(Macは Hiragino Sans、Windowsなら Yu Gothic 等)。os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
💡 Python TIPS f"...{x}..." はf-string 。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
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431 print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "■ Step1. 相関分析(医師数_10万対 × 各説明変数)" )
print ( "=" * 65 )
CORR_VARS = [ '高齢化率' , '有効求人倍率' , '1人当たり県民所得' ,
'年平均気温' , '面積100km2当たり病院診療所数' , '大学数' , '消費支出' ]
CORR_LABELS = {
'高齢化率' : '高齢化率(%)' ,
'有効求人倍率' : '有効求人倍率(代理)' ,
'1人当たり県民所得' : '1人当たり県民所得(万円)' ,
'年平均気温' : '年平均気温(℃)' ,
'面積100km2当たり病院診療所数' : '面積100km²当たり病院診療所数' ,
'大学数' : '大学数' ,
'消費支出' : '消費支出(二人以上世帯)' ,
}
print ( f " \n { '変数' : <32 } { '相関係数' : >8 } { 'p値' : >10 } { '有意' } " )
print ( " " + "-" * 58 )
corr_results = {}
for var in CORR_VARS :
mask = df [ '医師数_10万対' ] . notna () & df [ var ] . notna ()
x = df . loc [ mask , '医師数_10万対' ] . values
y = df . loc [ mask , var ] . values
r , p = stats . pearsonr ( x , y )
sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else ''
label = CORR_LABELS . get ( var , var )
print ( f " { label : <32 } { r : >8.4f } { p : >10.4f } { sig } " )
corr_results [ var ] = ( r , p )
▼ 実行結果
=================================================================
■ Step1. 相関分析(医師数_10万対 × 各説明変数)
=================================================================
変数 相関係数 p値 有意
----------------------------------------------------------
高齢化率(%) 0.3308 0.0247 *
有効求人倍率(代理) 0.0889 0.5569
1人当たり県民所得(万円) -0.3784 0.0095 **
年平均気温(℃) 0.3516 0.0166 *
面積100km²当たり病院診療所数 -0.1022 0.4993
大学数 -0.1875 0.2121
消費支出(二人以上世帯) -0.3540 0.0158 *
💡 解説
stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え 」、.apply() は「関数を当てる 」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()。
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460 print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "■ Step2. 重回帰分析(医師数_10万対 ~ 社会・経済・気候・設備要因)" )
print ( "=" * 65 )
REG_VARS = [ '高齢化率' , '有効求人倍率' , '1人当たり県民所得' ,
'年平均気温' , '面積100km2当たり病院診療所数' , '大学数' ]
df_reg = df [[ '医師数_10万対' ] + REG_VARS ] . dropna () . copy ()
for v in REG_VARS :
mu , sg = df_reg [ v ] . mean (), df_reg [ v ] . std ()
df_reg [ v + '_z' ] = ( df_reg [ v ] - mu ) / sg if sg > 0 else 0.0
Z_REG = [ v + '_z' for v in REG_VARS ]
X_reg = sm . add_constant ( df_reg [ Z_REG ])
y_reg = df_reg [ '医師数_10万対' ]
reg_res = sm . OLS ( y_reg , X_reg ) . fit ( cov_type = 'HC1' )
print ( f " \n 重回帰分析結果:" )
print ( f " R² = { reg_res . rsquared : .4f } , 調整済みR² = { reg_res . rsquared_adj : .4f } " )
print ( f " F統計量 = { reg_res . fvalue : .3f } , p = { reg_res . f_pvalue : .4f } " )
print ( f " \n { '変数' : <32 } { '係数' : >8 } { 'SE' : >8 } { 'p値' : >10 } { '有意' } " )
print ( " " + "-" * 62 )
for zv in Z_REG :
b = reg_res . params . get ( zv , np . nan )
se = reg_res . bse . get ( zv , np . nan )
p = reg_res . pvalues . get ( zv , 1.0 )
sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else '†' if p < 0.1 else ''
label = CORR_LABELS . get ( zv . replace ( '_z' , '' ), zv )
print ( f " { label : <32 } { b : >8.4f } { se : >8.4f } { p : >10.4f } { sig } " )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。sm.OLS(y, X).fit() — 最小二乗法でモデルを推定。model.params, model.pvalues, model.conf_int() で結果取得。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト] はリスト内包表記 。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
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470 # VIF
print ( f " \n VIF(多重共線性確認):" )
X_vif = df_reg [ Z_REG ] . copy ()
vif_vals = {}
for i , col in enumerate ( Z_REG ):
vif = variance_inflation_factor ( X_vif . values , i )
vif_vals [ col ] = vif
flag = ' ★多重共線性の疑い' if vif > 5 else ''
label = CORR_LABELS . get ( col . replace ( '_z' , '' ), col )
print ( f " { label : <32 } VIF= { vif : .2f }{ flag } " )
▼ 実行結果
=================================================================
■ Step2. 重回帰分析(医師数_10万対 ~ 社会・経済・気候・設備要因)
=================================================================
重回帰分析結果:
R² = 0.4283, 調整済みR² = 0.3404
F統計量 = 5.822, p = 0.0002
変数 係数 SE p値 有意
--------------------------------------------------------------
高齢化率(%) 27.2162 8.1277 0.0008 ***
有効求人倍率(代理) 1.0436 6.4363 0.8712
1人当たり県民所得(万円) -6.1722 6.5582 0.3466
年平均気温(℃) 25.3477 5.7214 0.0000 ***
面積100km²当たり病院診療所数 -1.6436 5.5854 0.7686
大学数 10.3073 8.1782 0.2075
VIF(多重共線性確認):
高齢化率(%) VIF=2.27
有効求人倍率(代理) VIF=1.40
1人当たり県民所得(万円) VIF=1.35
年平均気温(℃) VIF=1.52
面積100km²当たり病院診療所数 VIF=2.15
大学数 VIF=2.57
💡 解説
説明変数同士の強い相関による「多重共線性」が起きていないかを確認するため、VIF(分散拡大係数)を算出しています。出力結果でVIFの値が5を超えている項目には注意マークが表示されるため、どの変数が他の変数と重複した情報を持っているかを判断してください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる (タプルアンパック)。
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480 print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "■ Step4. Kruskal-Wallis検定 + Dunn検定(Bonferroni補正)" )
print ( "=" * 65 )
kw_stat , kw_p = stats . kruskal ( * groups . values ())
print ( f " \n Kruskal-Wallis 検定: H= { kw_stat : .4f } , p= { kw_p : .6f } " )
if kw_p < 0.05 :
print ( " → 有意差あり → Dunn 検定(事後検定)を実施" )
else :
print ( " → 有意差なし" )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
3群以上のデータに差があるかを調べるKruskal-Wallis検定を行い、有意な差が見られた場合にのみ、具体的にどの群間に差があるかを特定するDunn検定(事後検定)へ進む処理をしています。出力されるp値が0.05を下回れば、群間に統計的な有意差があると判断します。
💡 Python TIPS x if cond else y は三項演算子 。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
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500 # Dunn 検定(Bonferroni補正: Mann-Whitney U で代替)
group_names = list ( groups . keys ())
pairs = list ( combinations ( range ( 3 ), 2 ))
n_pairs = len ( pairs )
print ( f " \n Dunn 検定(Bonferroni補正, n_pairs= { n_pairs } ):" )
print ( f " { '比較' : <44 } { 'U統計量' : >10 } { 'p値(補正前)' : >14 } { 'p値(補正後)' : >14 } { '有意' } " )
print ( " " + "-" * 86 )
dunn_results = []
for ( i , j ) in pairs :
g1 , g2 = groups [ group_names [ i ]], groups [ group_names [ j ]]
u_stat , p_raw = stats . mannwhitneyu ( g1 , g2 , alternative = 'two-sided' )
p_bonf = min ( p_raw * n_pairs , 1.0 )
sig = '***' if p_bonf < 0.001 else '**' if p_bonf < 0.01 else '*' if p_bonf < 0.05 else 'n.s.'
comp = f " { group_names [ i ] } vs { group_names [ j ] } "
print ( f " { comp : <44 } { u_stat : >10.1f } { p_raw : >14.4f } { p_bonf : >14.4f } { sig } " )
dunn_results . append (( group_names [ i ], group_names [ j ], u_stat , p_raw , p_bonf ))
print ( f " \n 群別 粗死亡率の記述統計:" )
for gname , gvals in groups . items ():
print ( f " { gname } : n= { len ( gvals ) } , 中央値= { np . median ( gvals ) : .3f } , 平均= { gvals . mean () : .3f } " )
▼ 実行結果
=================================================================
■ Step4. Kruskal-Wallis検定 + Dunn検定(Bonferroni補正)
=================================================================
Kruskal-Wallis 検定: H=2.7057, p=0.258498
→ 有意差なし
Dunn 検定(Bonferroni補正, n_pairs=3):
比較 U統計量 p値(補正前) p値(補正後) 有意
--------------------------------------------------------------------------------------
低医師群(医師少) vs 中医師群 104.0 0.5401 1.0000 n.s.
低医師群(医師少) vs 高医師群(医師多) 82.0 0.1383 0.4148 n.s.
中医師群 vs 高医師群(医師多) 84.0 0.2455 0.7365 n.s.
群別 粗死亡率の記述統計:
低医師群(医師少): n=16, 中央値=13.307, 平均=13.421
中医師群: n=15, 中央値=13.969, 平均=13.927
高医師群(医師多): n=15, 中央値=14.694, 平均=14.486
💡 解説
Kruskal-Wallis検定で有意差が出た後、具体的にどの群間に差があるかを確認するための多重比較を行っています。Mann-Whitney U検定の結果にBonferroni補正を適用してp値を調整しており、出力結果の「有意」欄に印がある組み合わせが統計的に差がある群となります。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡している と覚えるとミスを減らせます。
📝 コード
📋 コピー print ( " \n " + "=" * 65 )
print ( "■ 図の生成(4枚)" )
print ( "=" * 65 )
▼ 実行結果
=================================================================
■ 図の生成(4枚)
=================================================================
💡 解説
データの分布や変数間の関係を視覚的に把握するため、4種類のグラフを作成しています。出力された図を確認し、データの傾向や外れ値の有無、変数同士にどのような相関が見られるかを分析してください。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡している と覚えるとミスを減らせます。
9. コードのダウンロード
以下のPythonスクリプトをダウンロードして、分析を再現できます。
ファイル 内容 ダウンロード
2025_H1_daijin.py
相関 分析・重回帰 ・KW検定 ・Dunn検定・図表生成スクリプト
Python
実行環境
pip install pandas numpy scipy matplotlib seaborn scikit-posthocs statsmodels
# 分析・図表生成
python3 code/2025_H1_daijin.py
⚠️ よくある誤解と注意点
統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違い をまとめます。特に「相関 と因果 の混同」「p値 の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。
❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関 (spurious correlation ) とは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数 )が両方に影響しているだけの現象です。古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関 するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数 に引きずられているだけ。論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関 が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係 があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値 が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい 」という意味であって、「実用的に大きな効果がある 」という意味ではありません。例: 巨大なサンプルサイズ (n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。正しい読み方: p値 と効果量 (係数 の大きさ、相関係数 の値)の両方 をセットで判断してください。p値 だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数 の絶対値は、説明変数 の単位 に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数 を直接比較しても意味がありません。正しい比較方法: (1) 標準化係数 (各変数を平均 0・分散 1に変換した上での係数 )を使う、(2) 限界効果 (変数を1標準偏差 動かしたときのyの変化)で比較する。 また、係数 の大きさが「因果関係 の強さ 」を意味するわけでもありません。あくまで「相関 的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値 (極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざん に近い行為です。外れ値 が示すもの: 本当に重要な情報(東京の超高密度、北海道の超低密度など)であることが多い。外れ値 を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。正しい対処: (1) 外れ値 の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラ メトリック手法(Spearman相関 ・Kruskal-Wallis )を使う、(3) 外れ値 を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ (n)が大きいと統計的検定の検出力 は上がりますが、それは「偶然による誤差 を減らす効果」にすぎません。nが大きくても解消されない問題: ・選択バイアス (標本 が偏っている) ・測定誤差 (変数の定義が曖昧) ・欠損値 のパターン(欠損 がランダムでない) ・交絡変数 の見落とし例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関 」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団 全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレスト ・ニューラルネット ・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。過学習 (overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ の偶然のパターン まで学習してしまい、新しいデータでは予測精度 が落ちます。シンプルさの価値: 重回帰分析 や相関 分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段 です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性 とは、説明変数 同士の相関 が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数 の符号や大きさが入れ替わる 異常事態が起こります。典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関 が r=0.99 になり、係数 推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果 になりがちです。診断と対処: ・VIF(分散拡大係数) を計算し、VIF > 10 の変数を確認 ・相関 行列 で |r| > 0.8 のペアをチェック ・対処法:一方を除外、合成変数(PCA )に変換、Ridge回帰 で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、R² が高くてもモデルが正しいとは限りません 。R² が高くなる罠: ・説明変数 を増やせば R² は自動的に上がる (無関係な変数を追加してもR² は下がらない) ・時系列 データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで R² が 0.9 を超える ・サンプルサイズ が小さいとR² が過大評価される代替指標: 調整済み R² (変数の数でペナルティ) 、AIC ・BIC (モデル選択 基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証 (cross-validation) でテストデータ の R² を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法 (バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値 ベースの変数選択は再現性に問題がある と批判されています。問題点: ・同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる ・p値 を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking ) ・係数 の標準誤差 が過小評価され、信頼区間 が嘘っぽくなるより良い方法: ・事前に変数を理論で絞る (先行研究から候補を選ぶ) ・LASSO回帰 (自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う ・交差検証 で AIC /BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析 は線形関係 を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します 。非線形の例: ・U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線) ・逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和) ・閾値効果: 高齢化率 と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)診断と対処: ・残差 プロット で残差 が0周辺に均等に分布しているか確認 ・変数の対数変換 ・二乗項追加 で非線形性を取り込む ・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習 (RF ・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。過学習 (overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数 を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度 がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度 に適用すると、予測精度 はほぼランダム並みに落ちることがあります。正しい予測力の評価: ・データを訓練用 70% とテスト用 30% に分割し、テスト用での予測精度 を見る ・k分割交差検証 (k-fold CV )で予測の安定性を確認 ・「説明変数 の数 ≪ サンプルサイズ 」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)
📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)
統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。
p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率 。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数 など)のばらつきの目安。標準誤差 が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定 ・F検定 など)は「データが正規分布 に従う」ことを仮定する。
因果 と相関
「相関 がある」と「原因と結果 の関係(因果 )」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関 するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN ・空白)。除外するか補完(平均 代入・回帰 代入など)するかが分析上の重要な判断点。
VIF
Variance Inflation Factor (分散拡大係数 )。多重共線性 の強さを示す指標。VIF > 10 で「強い多重共線性 あり」と判断。
ノンパラ メトリック
データが正規分布 などの特定の分布に従うことを仮定しない手法。順位やランクを使って検定する。外れ値 や歪んだ分布に頑健。
係数 (回帰係数 )
「説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均 でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
多重共線性
説明変数 同士の相関 が強すぎる状態。係数 推定が不安定になり、解釈を誤る原因になる。VIF > 10 が警告サイン。
標準化係数
変数の単位の影響を取り除いた係数 。複数の変数の影響の大きさを単位に依存せず比較するために使う。
決定係数 R²
回帰モデル が目的変数 のばらつきの何%を説明できるかを示す指標。0〜1の値で、1に近いほどモデルの説明力が高い。
📐 使っている手法をわかりやすく解説
統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。
◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)
🔍 p値 (有意確率 )とは
何? 「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率 」のこと。
なぜ必要? 帰無仮説 (「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる? 「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方 p < 0.05 (5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値 が小さい=効果が大きい」ではない。効果量 (係数 の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定 とは(なぜ使うのか)
何? 「データが正規分布 に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定 ・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要? データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値 や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる? サンプルサイズ が小さい・データが歪んでいる・外れ値 がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方 「なぜノンパラ メトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性 検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。
◆ この論文で使われている手法
📈 重回帰分析
何? 複数の説明変数 (原因候補)が1つの目的変数 (結果)にどれだけ影響するかを同時に推定する手法。
どう使う? 目的変数 y を複数の説明変数 x₁, x₂, … で予測する式(y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b)を最小二乗 法でフィットさせる。
何がわかる? 複数の要因が混在するなかで「どれが一番効いているか」を一度に検証できる。交絡変数 を統制できる。
結果の読み方 係数 (a₁, a₂…)のプラスは正の影響、マイナスは負の影響。p < 0.05 で統計的に有意。R² が1に近いほどモデルの説明力が高い。
⚠️ 注意点 (1) 多重共線性 を必ずVIF で確認(VIF >10で警告)。(2) 線形性の仮定 —関係が曲線なら対数変換 や二乗項を追加。(3) 残差 プロット で正規性 ・等分散 性を確認。(4) サンプル数 は最低でも「説明変数 数×10」が目安。(5) 外れ値 1つ で係数 が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔗 相関 分析
何? 2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う? 散布図 を描き、Pearson (連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値 に強い)の相関係数 を計算する。
何がわかる? 「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方 r > +0.7 は強い正の相関 、r < −0.7 は強い負の相関 、|r| < 0.3 はほぼ無相関 。相関 は因果関係 を示すものではない 点に注意。
⚠️ 注意点 (1) 相関 ≠因果 —第三の変数(交絡 )の可能性を常に疑う。(2) 外れ値 に弱い —Pearsonのrは外れ値 1つで大きく動くため、散布図 の確認とSpearman相関 の併用が有効。(3) 非線形関係は捉えられない —U字型などの関係では r≈0 になりうる。(4) 標本 が小さい(本論文はN=46)と弱い相関 の有意判定は不安定 —p値 と効果量 (rの大きさ)をセットで判断する。
🔬 Kruskal-Wallis検定
何? 3グループ以上の間に統計的な差があるかを検定するノンパラ メトリック手法(正規分布 を前提としない)。
どう使う? 全データを合体して順位をつけ、グループ間の順位平均 値の差をH統計量で検定する。
何がわかる? 「医師数の少・中・多の県で死亡率に差があるか」を分布の形に関わらず検定できる。
結果の読み方 p < 0.05 でグループ間に有意差あり。どのグループ間に差があるかは Dunn 検定などで追加確認する。
⚠️ 注意点 (1) 有意でも「どの群間に差があるか」までは分からない —Dunn検定などの事後検定が必須。(2) 多重比較 の補正 (Bonferroni等)を忘れると偽陽性が増える。(3) 群分けの恣意性 —3分位などの切り方を変えると結果が変わりうるため、分け方の根拠を示す。(4) 検定するのは「分布の位置のズレ」 であり、厳密には「平均 値の差」の検定ではない。
🎯 Dunn検定(Bonferroni補正)
何? Kruskal-Wallis検定 で「どこかに差がある」と分かった後、どのグループ間に差があるか をペアごとに特定する事後検定(post-hoc test)。
どう使う? 3群なら「低 vs 中」「低 vs 高」「中 vs 高」の3ペアすべてを順位に基づいて比較し、p値 を比較回数分だけ厳しく補正する(Bonferroni法:p値×3)。
何がわかる? 「低医師群と高医師群の間に有意差がある」といった具体的なペアを特定できる(なお本ページの再現・図3では KW検定が非有意で、Dunn検定も全ペア n.s. だった)。
結果の読み方 補正後 のp値 が0.05未満なら、そのペアに有意差あり。補正前のp値で判断してはいけない。
⚠️ 注意点 (1) KW検定が有意でないのに事後検定だけを解釈しない 。(2) Bonferroni補正は保守的 —比較ペアが多いほど検出力 が下がる。(3) 各群のサンプルサイズ (本論文の再現では各群15〜16県)が小さいと差を検出しにくい。
◆ 関連・発展手法(本論文では未使用)
↔️ VAR(ベクトル自己回帰) / Granger因果検定
何? 複数の時系列 変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR )と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果 )。
どう使う? VAR は全変数を互いに説明変数 として同時回帰 。Granger因果 はF検定 でAのラグ変数 がBの予測精度 を向上させるかを確認する。
何がわかる? 「女性就業率と出生率はどちらが先に動くか」「リード・ラグ 関係」を特定できる。
結果の読み方 Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果 とは限らない)。
⚠️ 注意点 (1) 時系列 データ専用の手法 —本論文のような都道府県の横断面データ には適用できない(本論文で未使用なのはこのため)。(2) 定常性の確認 —各系列が単位根を持たないことが前提。(3) ラグ 次数の選択 (AIC /BIC )で結果が変わる。(4) Granger因果 は「予測に役立つか」の検定 であり、真の因果関係 の証明ではない。
🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)
この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。
① データ・時間的拡張
結果 X 本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列 )で分析を行った。
新仮説 Y より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z (1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A /C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:重回帰分析 の次のステップ
結果 X 本論文は 重回帰分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y パネルデータ 固定効果モデル (FE )による都道府県固有の差の統制 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z (1)パネルデータ 固定効果モデル (FE )による都道府県固有の差の統制 を実装し、本論文の係数 推定と比較する。(2)操作変数法 (IV )による内生性 の解消 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X 本論文は分析結果から特定の変数が目的変数 に影響することを示した。
新仮説 Y 分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z (1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類 する。(2)政策で変えられる変数について、係数 の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。
🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)
学んだだけでは身につきません。実際に手を動かす のが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。
★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数 を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数 を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数 ・p値 ・R² がどう変わったか観察する。多重共線性 が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO 、相関 分析 + 主成分分析 )で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問い を立てて分析してください。
例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンス の「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプト をコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。
💼 この手法は実社会でこう使われている
本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。
🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。
例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。
ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。
WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。
データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。
専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。
統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。
🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)
この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。
Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas , scipy, statsmodels を使えば全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の相関 分析・重回帰分析 ・Kruskal–Wallis検定 (+Dunn検定)は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係 」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果 を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験 を活用したIV ・DiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス 入門」「統計的因果 推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習 』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。
✅ 理解度チェック(4問)
この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。