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審査員奨励賞[高校生の部] ★

ドクターヘリの効率の良い配置を考える

⏱️ 推定読了時間: 約20分
2022年度(令和4年度)統計データ分析コンペティション | 明珍若那・山口陽由佳・山田優芽・山本紗綾・渡邉晴香(兵庫県立姫路西高等学校) | HEM-Net/厚生労働省 ほか(報告値)/再現はSSDSE-B-2026(降水量・人口・一般病院数) | 相関分析(散布図・相関係数)・カバー範囲(70km圏)分析・候補地の絞り込み
🔬 カバー範囲分析🔬 ランキング分析🔬 相関分析🏷 交通🏷 医療・健康
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータSSDSE・SSDSE-B-2022・総務省統計局・厚生労働省・Graph Ochart・とどラン・国土交通省・住民基本台帳人口・世帯数・北海道開発局・国土地理院・国土気象庁・地価公示・地価調査マップ
分析単位:都道府県
中核手法:相関分析
この教材が使うデータ
原論文(PDF)ドクターヘリの効率の良い配置を考える
審査員奨励賞/明珍 若那、山口 陽由佳、山田 優芽、山本 紗綾、渡邉 晴香(兵庫県立姫路西高等学校)
✅ この教材でできること
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
突合監査の結果、主要データと中核手法はいずれも原論文と一致しています。

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_16_shorei.py(245 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究のテーマと目的
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:相関の確認 → 70km圏のカバー範囲 → 候補地の絞り込み
  4. 再現コード:降水量ランキング(実再現・原論文の条件④)
  5. 再現コード:人口と一般病院数の分布(実再現)
  6. 図1:ドクターヘリと救急車の効果比較(報告値)
  7. カバー範囲の比較と70km圏(報告値)
  8. 主要な発見と候補地の提案(原論文の報告値)
  9. 結果の解釈と考察
  10. まとめと今後の課題
  11. データ・コードのDL
  12. ⚠️ よくある誤解
  13. 📖 用語集
  14. 📐 手法ガイド
  15. 🚀 発展の可能性
  16. 🎯 自分でやってみよう
  17. 🤔 Q&A
  18. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの降水量ランキング(図3)と人口10万人あたり一般病院数(図4)は、以下の手順で自分で再現できます。コードの編集は不要です。(社会復帰率・カバー範囲km・拠点病院の位置・候補地はHEM-Net/厚生労働省等が出典でSSDSE-Bに無いため、図1・図2は原論文の報告値を可視化します。)

1
データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県別・基礎データ、社会・人口統計体系)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
2
ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_H5_16_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_H5_16_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究のテーマと目的

著者たちは、兵庫県豊岡市の豊岡病院で活躍するドクターヘリをメディアで見て関心を持ち、「患者や傷病者が日本のどこで救助を要請しても駆けつけられるドクターヘリの配置」を考えたいと思ったという。本研究の目的は、ドクターヘリの現在の配置の特徴を分析し、その結果と気象・地理的要因を踏まえて新たな基地病院の候補地を提案することである。

まず「救急車が拡充された現在、あえてドクターヘリを増やす必要があるか」を先行研究で確かめている。認定NPO法人 救急ヘリ病院ネットワーク「HEM-Net」によれば、救急車搬送と比べてドクターヘリ搬送では死亡者が約27%(約3割)減少し、社会復帰できる割合が約45%増加したと推定される(図1)。さらに1台がカバーできる距離は、厚生労働省の研究でドクターヘリが50〜70km、独自算出の救急車が平地で約7km。山間部など車の入りにくい場所も含め、救命車両を拡充するなら救急車よりドクターヘリが適していると位置づけた。

−27%
ドクターヘリ搬送での死亡者の減少(約3割・報告値/HEM-Net)
+45%
社会復帰できる割合の増加(報告値/HEM-Net)
50〜70km
ドクターヘリ1台のカバー範囲(報告値/厚労省)
遠軽町・中札内村
提案した北海道の新拠点病院候補地(報告値)
「効率の良い配置」の定義 本研究は「効率の良い配置」を「日本国内のどこでもドクターヘリで患者を搬送できる配置」(※離島は除く)と定義した。この定義のもとで、まだ届いていない地域を見つけ、そこに拠点病院を増やすという方針で分析を進める。
分析のキモ:相関の確認 → カバー範囲 → 候補地の絞り込み まず6つの条件とヘリ台数の相関を確かめ(=単一条件では決まらないと分かる)、次に都道府県境を無視した70km圏のカバー範囲で未到達地域を探し、最後にその地域内を複数条件で絞り込んで具体的な候補地を出す、という三段構えが見どころ。

高校生の部 HEM-Net・厚生労働省ほか 相関分析(散布図・相関係数) カバー範囲(70km圏)分析 候補地の絞り込み

使用データと再現可能性の整理

本研究は年度・出典の異なる多数のデータを組み合わせている。原論文の表1によれば、人口密度・降水量は SSDSE / SSDSE-B、歳入は総務省統計局、生活習慣病死亡者数(悪性新生物・心疾患・脳血管疾患)は厚生労働省ほか、標高はとどラン、面積は国土交通省、北海道の人口・国道・標高・降水量・地価は各官公庁・自治体資料が出典である。ドクターヘリの台数・基地病院数は HEM-Net の資料に基づく。

表1 主なデータと出典(原論文 表1 より)

役割データ出典(年度)
条件①人口密度SSDSE(2019)*SSDSE
条件②歳入総務省統計局(2017)
条件③生活習慣病死亡者数(悪性新生物・心疾患・脳血管疾患)厚生労働省 / Graph Ochart(2019)
条件④降水量SSDSE-B‑2022(2019)*SSDSE
条件⑤標高とどラン(2019)
条件⑥面積国土交通省(2019)
目的変数ドクターヘリ台数・基地病院数HEM-Net
候補地選定北海道の人口・国道・標高・降水量・地価北海道 / 国土地理院 / 気象庁 ほか(2022)

*は原論文が SSDSE(教育用標準データセット)から取得したと明記した変数。ドクターヘリ台数・基地病院の位置は HEM-Net 由来で SSDSE には無い。

再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 報告値の可視化(再計算ではない):社会復帰率の比較(死亡−27%・社会復帰+45%)、カバー範囲(ドクターヘリ50〜70km・救急車約7km)、拠点病院の位置と70km圏、候補地(遠軽町・中札内村)は、いずれもHEM-Net・厚生労働省・各自治体資料が出典でSSDSEに無い。よって図1(効果比較)・図2(カバー範囲)と候補地は原論文の報告値を転記して可視化する。
  • 実再現できる部分:原論文が条件に使った変数のうち、降水量(年間, B4109)はSSDSE-Bに収録がある。さらに総人口(A1101)・一般病院数(I510120)で、北海道の「人口・医療資源は多いのに広さゆえ届きにくい」文脈をSSDSE-Bで確かめる(図3・図4)。
  • 新しい数値の捏造はしない:ドクターヘリ台数・カバー範囲km・基地位置はSSDSE-Bに無いため実再現には使わない。面積・標高・歳入・GDP・県内総生産などSSDSE-Bに無い列は一切使わない(人口密度は面積が要るためSSDSE-B-2026だけでは再計算せず、報告値の議論にとどめる)。報告値と再計算値はラベルで分離する。

分析の流れ:相関の確認 → 70km圏のカバー範囲 → 候補地の絞り込み

分析の流れ
相関の確認
6条件とヘリ台数
(散布図・相関係数)
カバー範囲
拠点病院から
半径70kmの円
未到達地域
北海道が
顕著に浮上
候補地の絞り込み
国道・標高・降水量
・地価で選定

① 6つの条件とヘリ台数の相関(散布図・相関係数)

著者は、各都道府県の 人口密度・歳入・生活習慣病死亡者数・降水量・標高・面積 の6条件とドクターヘリ台数の相関を、散布図と相関係数で確かめた。「やや弱い相関〜強い相関」を「はっきりした相関」とみなす基準を先に置き、外れ値は四分位範囲(IQR)の1.5倍を超える値と定義している。

② 70km圏でのカバー範囲分析(実再現の周辺)

都道府県境を無視し、全国の拠点病院から半径70kmの円を描いて日本全体のカバー範囲を可視化した。ここは基地病院の位置(SSDSE外)が必要なため、位置図そのものは報告値。関連する気象・医療資源はSSDSE-Bで実再現できる。

③ 北海道内での候補地の絞り込み

未到達が顕著だった北海道について、①国道 ②標高 ③降水量 ④地価の4条件で拠点病院の候補地を絞り込み、具体的な地名を提案した。

「相関が無い」も立派な発見 6条件のどれもヘリ台数とはっきりした相関を示さなかった。これは「失敗」ではなく、「配置は単一条件では決まらない(複数要因の複合)」という結論そのもの。見かけの相関に飛びつかず、相関の有無を丁寧に確かめた点が評価できる。
1
再現コード:降水量ランキング(実再現・原論文の条件④)

原論文の6条件のうち、SSDSE-Bに収録があるのは降水量。まずここを実データで並べ、後半で北海道が候補地に選ばれる理由(雨が少なく飛べる日が多い)を先取りして確かめる。

やってみようSSDSE-B を読み込み、原論文の条件④=降水量を都道府県別に並べる【実再現】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B-2026 を cp932・ラベル行 skiprows=[1] で読み込み、先頭列 SSDSE-B-2026(年度)が2023の47都道府県を抽出。年間降水量(B4109)を降順に並べ、北海道の順位と値を確認する。
  • ② 前後のつながり:原論文の条件④は「降水量が多いほどヘリの出動できる日が減る」。降水量は原論文がSSDSE-Bを出典とした変数なので、ここは実再現できる。北海道が候補地に選ばれた理由(③降水量が少ない=飛べる日が多い)を、実データで裏づける。
📝 コード
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df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', skiprows=[1])
for c in ['A1101', 'B4109', 'I510120']:      # 総人口・年間降水量・一般病院数
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')

# 2023年(SSDSE-B-2026 収録の最新年)の47都道府県を抽出
d = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2023].copy()
d['地域'] = d['Prefecture'].map(REGION_MAP)

print(f"データ読み込み完了:{len(d)}都道府県(2023年, SSDSE-B-2026)")
print("使用列: A1101=総人口, B4109=年間降水量(mm), I510120=一般病院数")

# ── 降水量ランキング(原論文の条件(4)/北海道の条件③) ──
prec = d[['Prefecture', 'B4109']].dropna().sort_values('B4109', ascending=False)
prec = prec.reset_index(drop=True)
hok_rank = int(prec.index[prec['Prefecture'] == '北海道'][0]) + 1   # 降順順位
hok_prec = prec.loc[prec['Prefecture'] == '北海道', 'B4109'].values[0]

print("\n=== [1] 実再現:年間降水量ランキング(SSDSE-B, 2023) ===")
print("[降水量が多い上位5県]")
for _, r in prec.head(5).iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['B4109']:>7.1f} mm")
print("[降水量が少ない下位5県]")
for _, r in prec.tail(5).iloc[::-1].iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['B4109']:>7.1f} mm")
print(f"→ 北海道は {hok_prec:.1f} mm で全国 {len(prec)}県中 第{hok_rank}位"
      f"(=少ない方から{len(prec)-hok_rank+1}番目)と少雨。")
print("  原論文の条件③『降水量が少ない=ヘリが飛べる日が多い』に合致する。")
▼ 実行結果
=== [1] 実再現:年間降水量ランキング(SSDSE-B, 2023) ===
[降水量が多い上位5県]
  宮崎県    3002.5 mm
  高知県    2783.0 mm
  鹿児島県   2510.0 mm
  福井県    2498.0 mm
  富山県    2388.5 mm
[降水量が少ない下位5県]
  長野県     830.0 mm
  山梨県     946.5 mm
  北海道     966.0 mm
  福島県     990.5 mm
  埼玉県    1028.5 mm
→ 北海道は 966.0 mm で全国 47県中 第45位(=少ない方から3番目)と少雨。
  原論文の条件③『降水量が少ない=ヘリが飛べる日が多い』に合致する。
  • ④ 実行結果の読み取り:全国で最も雨が多いのは宮崎県(3002.5mm)、少ないのは長野県(830.0mm)。北海道は966.0mmで47県中45位(少ない方から3番目)と、全国でも屈指の少雨だった。ドクターヘリは視界不良の日に飛べないため、降水量の少なさは運用上の追い風になる。北海道を候補地に選んだ原論文の条件③(降水量)が、SSDSE-Bの実データでも支持される。
都道府県別 年間降水量ランキング(実再現)
図3:都道府県別 年間降水量ランキング。実再現(SSDSE-B 2023, N=47)。北海道(赤)は966mmで全国屈指の少雨(少ない方から3番目)。緑破線は全国中央値。原論文が北海道の条件③に降水量を挙げた根拠を実データで確かめられる。
📊 この図の読み方
雨が多い(上)
宮崎・高知・鹿児島など太平洋・日本海側の多雨地域。ヘリの出動制約が相対的に大きい。
雨が少ない(下)
長野・山梨・北海道。北海道は飛べる日が多く、ドクターヘリ運用に向く条件が一つ揃う。
位置づけ
実再現。原論文がSSDSE-Bを出典とした条件④なので同じ考え方で再計算できる。
2
再現コード:人口と一般病院数の分布(実再現)

未カバー地域が「医療資源不足」なのか「広さゆえの届きにくさ」なのかを切り分けるため、SSDSE-Bの人口と一般病院数を見る。

やってみよう総人口(A1101)と一般病院数(I510120)から、北海道の医療資源の分布を確かめる【実再現】
  • ① このコードの目的:人口10万人あたりの一般病院数を計算し、北海道の人口順位・病院数順位・人口あたり病院数を全国中央値と比べる。ドクターヘリ台数はSSDSEに無いので使わず、SSDSEにある医療資源の分布だけを見る。
  • ② 前後のつながり:降水量(図3)で「北海道は飛べる日が多い」と分かった。ここでは「では医療資源が足りないから未カバーなのか」を確かめる。実は北海道は人口・病院とも多い――にもかかわらず未カバーが顕著、という原論文の観察の背景(広さゆえの点在)へつなぐ。
📝 コード
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d['病院_10万人'] = d['I510120'] / (d['A1101'] / 100000)     # 人口10万あたり一般病院数
pop = d.sort_values('A1101', ascending=False).reset_index(drop=True)
pop_rank = int(pop.index[pop['Prefecture'] == '北海道'][0]) + 1
hos = d.sort_values('I510120', ascending=False).reset_index(drop=True)
hos_rank = int(hos.index[hos['Prefecture'] == '北海道'][0]) + 1
hok = d[d['Prefecture'] == '北海道'].iloc[0]
med_national = d['病院_10万人'].median()

print("\n=== [2] 実再現:人口と一般病院数の分布(SSDSE-B, 2023) ===")
print(f"  北海道 総人口     : {int(hok['A1101']):>10,d} 人(全国第{pop_rank}位)")
print(f"  北海道 一般病院数 : {int(hok['I510120']):>10,d} 施設(全国第{hos_rank}位)")
print(f"  北海道 人口10万人あたり一般病院数 : {hok['病院_10万人']:.2f} 施設")
print(f"  全国中央値                        : {med_national:.2f} 施設")
print("→ 北海道は人口・病院数とも全国有数で、人口あたり病院数も中央値を上回る。")
print("  それでも原論文は『70km 圏でカバーできない地域が北海道で顕著』と報告した。")
print("  =広大な面積に医療資源が“点在”するため、数の多さが到達性を保証しない。")
print("  (面積は SSDSE-B-2026 に無いため、地理的分散は報告値の議論として扱う。)")
▼ 実行結果
=== [2] 実再現:人口と一般病院数の分布(SSDSE-B, 2023) ===
  北海道 総人口     :  5,092,000 人(全国第9位)
  北海道 一般病院数 :        464 施設(全国第2位)
  北海道 人口10万人あたり一般病院数 : 9.11 施設
  全国中央値                        : 5.99 施設
→ 北海道は人口・病院数とも全国有数で、人口あたり病院数も中央値を上回る。
  それでも原論文は『70km 圏でカバーできない地域が北海道で顕著』と報告した。
  =広大な面積に医療資源が“点在”するため、数の多さが到達性を保証しない。
  (面積は SSDSE-B-2026 に無いため、地理的分散は報告値の議論として扱う。)
  • ④ 実行結果の読み取り:北海道は総人口509万人で全国9位、一般病院数464施設で全国2位、人口10万人あたりでも9.11施設と全国中央値5.99を上回る。つまり人口も病院も「足りない」わけではない。それでも原論文が「70km圏で未カバーが北海道で顕著」と報告したのは、広大な面積に医療資源が点在し、数の多さが到達性を保証しないからである。面積はSSDSE-Bに無いため、この地理的分散の部分は報告値の議論として扱う(実データは人口・病院数まで)。
都道府県別 人口10万人あたり一般病院数(実再現)
図4:都道府県別 人口10万人あたり一般病院数。実再現(SSDSE-B 2023, N=47)。北海道(赤)は9.1で全国中央値(緑破線5.99)を上回る。人口・病院数は多いのに、広い面積に点在するため70km圏の到達に穴が残る(面積はSSDSE外)。
📊 この図の読み方
北海道(赤)
人口10万人あたり9.1施設。全国でも上位で、病院の“数”は多い
中央値(緑破線)
5.99施設。北海道はこれを大きく上回る。
位置づけ
実再現。ここまではSSDSE-Bで再計算できる。「広さゆえに届きにくい」(面積)から先は報告値の議論になる。
3
図1:ドクターヘリと救急車の効果比較(報告値の可視化)

「救急車が拡充された現在、あえてドクターヘリを増やす必要はあるのか」を確かめた先行研究の結果である。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(HEM-Netの推定値が出典で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文 図1(HEM-Net)の効果(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:ドクターヘリ搬送が救急車搬送に比べて死亡者を約27%(約3割)減らし、社会復帰できる割合を約45%増やす、という推定値を符号・桁そのままに書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:ここで「ドクターヘリを増やす意義」を確かめてから、次に「では1台がどれだけの範囲をカバーできるか(図2)」へ進み、配置の議論に入っていく。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 報告値:ドクターヘリ vs 救急車 の効果(HEM-Net, 図1) ===
  ・死亡者          : 救急車搬送に比べ 約27%(約3割)減少
  ・社会復帰できる割合: 約45% 増加
  ※ 出典 HEM-Net。SSDSE に無いため報告値として転記(Fig1で可視化)。
  • ④ 実行結果の読み取り:救急車搬送を基準にすると、ドクターヘリ搬送では死亡者が約27%(約3割)減少し、社会復帰できる割合が約45%増加すると推定されている(HEM-Net)。この差が「救命車両を拡充するならドクターヘリ」という本研究の出発点になった。すべて原論文の報告値である。
ドクターヘリと救急車の効果比較(報告値の可視化)
図1:ドクターヘリ搬送 vs 救急車搬送。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 図1 / HEM-Net)。救急車を100としたとき、死亡者は73(−27%)、社会復帰できる割合は145(+45%)。患者総数が異なる点に注意(原論文の注記)。SSDSE-Bには無い。
📊 この図の読み方
死亡者(−27%)
救急車を100とすると73。ドクターヘリ搬送で死亡者は約3割少ない。
社会復帰(+45%)
救急車を100とすると145。社会復帰できる割合は大きく増える。
位置づけ
報告値の可視化。ドクターヘリ拡充の意義を示す先行研究の推定値で、本研究の前提になっている。
4
カバー範囲の比較と70km圏(報告値の可視化)

ドクターヘリ1台がどれだけの範囲をカバーできるかは、配置を考える土台になる。この図は原論文の報告値をそのまま可視化したものである(厚生労働省の研究と著者の独自算出が出典で、SSDSE-Bに無いため再計算できない)。

やってみよう原論文のカバー範囲(報告値)を転記する
  • ① このコードの目的:ドクターヘリのカバー範囲(基地病院からの距離)50〜70km と、救急車の独自算出値 約7km を転記する。本研究はこのうち70kmの円で全国のカバー範囲を分析した。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:図1でドクターヘリを増やす意義を確認した後、ここでは1台の到達距離を押さえる。この70kmが次の「全国カバー範囲図」で拠点病院ごとに円として描かれ、未到達地域(北海道)の発見につながる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [4] 報告値:カバー範囲(1台がカバーできる距離) ===
  ・ドクターヘリ(基地病院からの距離): 50〜70 km(厚労省研究)
  ・救急車(平地・独自算出)          : 約 7 km
  ※ 本研究は拠点病院から半径70km の円で全国のカバー範囲を分析した。
  ※ SSDSE に無いため報告値として転記(Fig2で可視化)。
  • ④ 実行結果の読み取り:ドクターヘリのカバー範囲は基地病院から50〜70km(厚労省研究)で、平地の救急車の独自算出値約7kmの約7〜10倍にあたる。本研究は都道府県境を無視し、拠点病院から半径70kmの円を全国に描いてカバー範囲を分析した。その結果、円が届かない地域として北海道が顕著に浮かび上がった。すべて原論文の報告値である。
カバー範囲の比較 ドクターヘリと救急車(報告値の可視化)
図2:1台がカバーできる距離の比較。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文より)。ドクターヘリ50〜70km(青)は救急車約7km(灰)の約7〜10倍。本研究はこの70kmを半径とする円で全国のカバー範囲を分析した。SSDSE-Bには無い。
「70kmの円」というカバー範囲の考え方 ある拠点からの到達範囲を「半径◯kmの円(バッファ)」で表し、円が重ならない・届かない場所を「未カバー地域」と見なすのは、防災・物流・店舗立地でも使われる基本的な発想。本研究は都道府県ごとではなく日本全体を一枚の地図として円を重ね、行政界をまたぐドクターヘリの特性を活かした点が巧みである。
5
主要な発見と候補地の提案(原論文の報告値)

以下はすべて原論文の報告値である。相関の確認・カバー範囲分析・候補地の絞り込みを通じて、著者は次のように整理した。

やってみよう原論文の結論(相関の有無・未カバー地域・候補地)を転記する
  • ① このコードの目的:6条件とヘリ台数の相関の有無、70km圏で未カバーが顕著だった地域、北海道内の絞り込み条件と提案した候補地を、原論文どおりに書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:相関(実再現の降水量を含む条件)とカバー範囲(報告値)の分析を踏まえ、最終的な結論と提案地に到達する。ここが研究のゴールである。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [5] 報告値:分析の結論と北海道の拠点病院候補地 ===
  ・6条件(人口密度/歳入/生活習慣病死亡者数/降水量/標高/面積)と
    ドクターヘリ台数の間に、単一条件でのはっきりした相関は見られなかった。
  ・都道府県境を無視した70km 圏の分析で、未カバーが顕著だったのは北海道。
  ・北海道の条件(①国道 ②標高 ③降水量 ④地価)で候補地を絞り込み、
    新たな拠点病院候補地として『遠軽町』『中札内村』を提案した。
  • ④ 実行結果の読み取り:6条件のどれもヘリ台数とはっきりした相関を示さず、著者は「配置は複数要因の複合で決まる」「都道府県境に関係なく出動するため都道府県単位では関係が見えにくい」と推測した。70km圏の分析では北海道の未カバーが顕著。そこで北海道内を①国道 ②標高 ③降水量 ④地価の4条件で絞り込み、新たな拠点病院候補地として遠軽町・中札内村を提案した。すべて原論文の報告値である。

各条件とヘリ台数の関係(原論文の報告値)

条件著者の当初の予想結果(報告値)
① 人口密度高いほど台数が少ない(救急車で足りる)はっきりした相関なし
② 歳入多いほど台数が多い(予算がある)はっきりした相関なし
③ 生活習慣病死亡者数多いほど台数が多いはっきりした相関なし
④ 降水量多いほど台数が少ない(飛べる日が減る)はっきりした相関なし *降水量はSSDSE-Bで実再現
⑤ 標高高いほど台数が多い(救急車が難しい)はっきりした相関なし
⑥ 面積広いほど台数が多い(広域をカバー)はっきりした相関なし

*いずれも「はっきりした相関なし」は原論文の報告。相関係数の具体値は原論文本文に数表として記載がないため、ここでは新たな数値を作らず「相関なし」という報告の結論のみを転記している。④降水量の分布だけはSSDSE-Bで実再現した(図3)。

「一つの条件では決まらない」という結論(原論文 4.2) 著者は、①どの単一条件もヘリ台数とはっきり相関しないこと、②ドクターヘリは都道府県境に関係なく出動するため都道府県単位では関係が見えにくいこと――の2点から、配置は様々な条件が交じり合って決まると推測した。この気づきが「都道府県ではなく日本全体で見る(70km圏)」という次の一手につながっている。すべて報告値に基づく著者の考察。

結果の解釈と考察(原論文「5」)

著者は、ドクターヘリ単体で救助する場合だけでなく、ドクターヘリと救急車が連携して傷病者や患者を助ける場合があることに触れ、それぞれの特徴や役割を踏まえた上で新たな配置を考えていきたい、と結んでいる(すべて報告値に基づく著者の考察)。

なぜ北海道だったのか(実再現との対応)

本ページの実再現は、北海道が候補地に選ばれた背景の一部を裏づける。降水量は966mmで全国屈指の少雨(図3)=ヘリが飛べる日が多い。人口・一般病院数はそれぞれ全国9位・2位(図4)=需要も医療資源もある。にもかかわらず70km圏で未カバーが残るのは、広大な面積に医療資源が点在するためで、この面積の効果はSSDSE-Bに列が無いため報告値の議論として扱う。

この考察の限界 ①ヘリ台数と各条件の相関は、相関係数の具体値が原論文本文に数表として無いため「相関なし」という結論だけを扱った。②カバー範囲の70km・基地病院の位置・候補地はSSDSE外の報告値で、本ページでは再計算していない。③人口密度・面積・標高・地価はSSDSE-B-2026に列が無く、無理にこじつけていない。相関・カバー範囲はいずれも前提つきで読む必要がある。

まとめと今後の課題

本研究は、「日本のどこでもドクターヘリで患者を搬送できる配置」を効率の良い配置と定義し、6条件とヘリ台数の相関の確認 → 70km圏のカバー範囲分析 → 北海道内での候補地の絞り込みという流れで新たな基地病院を提案した。単一条件とヘリ台数にはっきりした相関は見られず(配置は複数要因の複合)、70km圏で未カバーが顕著だった北海道について、国道・標高・降水量・地価の4条件から遠軽町・中札内村を候補地として提案した(すべて報告値)。降水量・人口・一般病院数はSSDSE-Bで実再現し、北海道が候補地に選ばれた背景を実データで確かめた。地理と統計を結びつけた高校生らしい探究である。

この研究の限界 ①相関の判定は相関係数の具体値が本文に数表として無く、結論(相関なし)のみを扱った。②カバー範囲・基地位置・候補地はHEM-Net等の報告値で、本ページでは再計算していない。③離島を除く定義や、救急車との連携は今後の検討課題。④提案地(遠軽町・中札内村)は著者の絞り込みで、実際の適地判断には現地条件のさらなる検証が要る。
この研究から学べること 社会課題を「空間的なカバー範囲」という地理の目で捉える発想、相関が無いという結果も丁寧に受け止める姿勢、そして中心的な数値が標準データセットに無いときに報告値の可視化と実再現を切り分ける誠実さ。審査会も高校生による社会課題への接続と分析の段階の踏み方を評価し、審査員奨励賞に選んだ。

データ・コードのダウンロード

このページの降水量ランキング(図3)と人口10万人あたり一般病院数(図4)は、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv

※ 図1(効果比較)・図2(カバー範囲)と候補地(遠軽町・中札内村)は、出典がHEM-Net/厚生労働省/各自治体資料でSSDSE-B外のため、原論文の報告値を可視化したものです。図3・図4はSSDSE-Bの降水量(B4109)・総人口(A1101)・一般病院数(I510120)からの実再現(2023年・47都道府県)です。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「相関が無かったのだから分析は失敗だ」
むしろ「単一条件では決まらない=複数要因の複合」という結論そのものが発見。相関の有無を丁寧に確かめたからこそ、「都道府県ではなく日本全体で見る」という次の一手が出てきた。相関が無いことも情報である。
誤解2:「北海道が未カバーなのは病院が足りないからだ」
SSDSE-Bで確かめたとおり、北海道は人口も一般病院数も全国有数(実再現)。不足しているわけではない。広大な面積に医療資源が点在し、70km圏でも届かない場所が残るのが理由。「数」と「到達性」は別物である。
誤解3:「70kmの円は正確なカバー範囲だ」
50〜70kmは目安(報告値)で、天候・地形・夜間運用などで実際の到達は変わる。円はあくまでおおまかなカバー範囲を掴むための道具。厳密な到達圏は別途シミュレーションが要る。
誤解4:「このページの図はすべて原論文と同じ数値」
図1(効果比較)・図2(カバー範囲)は原論文の報告値の可視化(再計算ではない)。図3(降水量)・図4(病院数)だけが実再現で、SSDSE-Bから計算した。図注に区別を明記している。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

相関・相関係数
2つの量が一緒に増減する傾向の強さ。本研究は6条件とヘリ台数の相関を確かめ、いずれもはっきりした相関は無いと判断した。
散布図
2変数を点で描き、関係の形(右上がり・ばらつき等)を目で確かめる図。本研究は各条件×ヘリ台数を散布図で見た。
ランキング
都道府県などを値の大小で並べる可視化。本ページは降水量・人口あたり病院数のランキングで北海道の位置を確かめた。
外れ値 / 四分位範囲(IQR)
原論文は Q1−1.5×IQR より小さい、または Q3+1.5×IQR より大きい値を外れ値とみなした。
見かけの相関
本当は関係が無いのに相関があるように見える現象。相関を扱うときは常に注意が必要。
SSDSE
教育用標準データセット。本ページの実再現はSSDSE-Bの降水量・総人口・一般病院数を用いる。ドクターヘリ台数や基地位置はSSDSEに無い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。

全体像
6条件とヘリ台数の相関を確かめ(→単一条件では決まらない)、拠点病院からの70km圏のカバー範囲で未到達地域を探し(→北海道)、その中を複数条件で絞り込んで候補地を出す。相関の有無 → 空間分析 → 立地選定という段階の踏み方が見どころ。
🔗 相関分析(散布図・相関係数)
何をする
2つの量(例:降水量とヘリ台数)を散布図に描き、相関係数で「一緒に増減する強さ」を数値化する。
読み方
係数が0に近ければ関係は弱い。本研究はどの条件も0に近く「はっきりした相関なし」と判断した。
注意
相関は因果ではないし、見かけの相関もある。外れ値に引っぱられやすいので、外れ値の扱い(IQRの1.5倍など)を先に決めておく。
🗺 カバー範囲分析(バッファ/70km圏)
何をする
各拠点から半径◯kmの円(バッファ)を描き、円が届く範囲を「カバー済み」、届かない場所を「未カバー」とみなす。
なぜ有効
行政界をまたいで「まだ届かない場所」を一目で示せる。ドクターヘリのように県境に縛られない対象に向く。
注意
半径は目安で、天候・地形・時間帯で実際の到達は変わる。円は概略把握の道具で、精密な到達圏は別途シミュレーションが要る。
📍 候補地の絞り込み(多条件による立地選定)
何をする
未カバー地域の中で、複数の条件(国道・標高・降水量・地価)を順に当てはめ、適地を絞る。
読み方
「標高が高すぎない・雨が少ない・国道が近い・地価が高すぎない」を満たす場所を残す、という消去法的な選び方。
注意
条件の選び方と優先順位で結論(候補地)が変わる。どの条件をなぜ使ったかを明示することが大切。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「単一条件では決まらない・北海道が未カバー」という結論は、次の研究の出発点になる。

発展1:複数条件を同時に使ってヘリ台数を説明する
結果X
どの単一条件もヘリ台数とはっきり相関しない(報告値)。
新仮説Y
人口・面積・降水量・医療資源などを同時に入れた重回帰なら、台数の一部を説明できるのでは。
課題Z
SSDSEにある変数(人口・降水量・病院数など)で重回帰を組み、多重共線性や説明力(決定係数)を検証する。
発展2:面積・到達時間を入れて「本当の未カバー」を測る
結果X
北海道は人口・病院とも多いのに70km圏で未カバーが残る(広さが効く)。
新仮説Y
面積あたり・到達時間ベースで測れば、単なる病院数より的確に「届きにくさ」を表せるのでは。
課題Z
面積や道路網(SSDSE外)を別途取得し、人口・病院数(SSDSE)と組み合わせて到達圏をシミュレートする。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
別の年で降水量ランキングを描く
抽出年 df['SSDSE-B-2026'] == 2023== 2020 などに変えて、降水量ランキングでの北海道の位置が年によって変わるか確かめよう。
★★☆☆☆ 難易度2
降水日数(B4106)でも並べてみる
降水量(B4109)の代わりに降水日数(B4106)を使ってランキングを描き、「雨の量」と「雨の日数」でヘリの飛べる日の見え方が変わるか比べよう。
★★★☆☆ 難易度3
人口10万人あたり一般診療所数を出す
一般病院数(I510120)を一般診療所数(I5102)に替えて人口あたりの値を計算し、病院と診療所で北海道の位置が変わるか見てみよう。
★★★★☆ 難易度4
降水量と病院数の散布図を描く
横軸に降水量(B4109)、縦軸に人口10万人あたり病院数をとった散布図を作り、相関係数(df.corr())も出して、2つの条件に関係があるか確かめよう。
★★★★★ 難易度5
「未カバーになりやすい県」を自分の指標で探す
人口が多い(需要)のに人口あたり病院数が少ない、といった自分なりの指標をSSDSEの列から作り、北海道以外に注目すべき県がないかランキングで探そう(SSDSEに無い面積・到達時間は使わないのがルール)。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「拠点からのカバー範囲を円で描き、届かない場所を探す」発想は、行政や企業で広く使われている。

🚑
救急・災害医療の拠点配置
救急拠点やドクターヘリ基地の到達圏を地図に重ね、空白地域に拠点を増やす判断に使う。県境をまたぐ広域連携の設計にも。
🏪
店舗・物流拠点の立地選定
配送センターや店舗から◯分・◯kmの商圏を円で描き、カバーできていないエリアに新規出店・拠点新設を検討する。
📡
通信・防災インフラの整備
基地局や避難所の到達範囲をバッファで可視化し、電波・避難の空白地帯を埋める計画に使う。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. 相関が無かったのに、この研究に意味はあるの?
A. あります。6条件のどれもヘリ台数とはっきり相関しなかったことで、「配置は単一条件では決まらない(複数要因の複合)」と分かりました。さらに「都道府県ではなく日本全体で見る」という発想の転換(70km圏の分析)につながっています。相関が無いことも立派な結果です。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 一部だけ実再現です。図1(効果比較)・図2(カバー範囲)と候補地(遠軽町・中札内村)は、出典がHEM-Net/厚生労働省/各自治体資料でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を可視化したものです。図3(降水量)・図4(人口あたり病院数)だけがSSDSE-Bから実際に計算した実再現です。図注に明記しています。
Q. なぜ北海道が候補地に選ばれたの?
A. 70km圏の分析で未カバーが最も目立ったのが北海道だったからです。本ページのSSDSE-B実再現でも、北海道は降水量が全国屈指に少なく(飛べる日が多い)、人口・一般病院数も全国有数――にもかかわらず広い面積に医療資源が点在するため、到達に穴が残ります。著者はその中を国道・標高・降水量・地価で絞り込み、遠軽町・中札内村を提案しました。
Q. なぜ人口密度や面積をSSDSEで再現しないの?
A. SSDSE-B-2026には面積の列が無いため、人口密度(人口÷面積)も面積も再計算できないからです。無理にこじつけず、SSDSEにある降水量・人口・一般病院数だけを実再現し、面積が効く部分(広さゆえの届きにくさ)は原論文の報告値の議論として扱っています。存在しない列で新しい数値を作らないのがルールです。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_16_shorei.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。