Lesson 66
橋梁基本情報 単独 3 研究例分析 — 4,203 橋から県の老朽化問題を読む
L66橋梁道路橋国道県道RQ×3Format BgeopandasPOINT (CSV)choropleth老朽化長大橋防災重要橋梁L07連携 (浸水)
所要 50 分 / 想定レベル: 中級 / データ: DoBoX dataset 11 (CSV, ~784 KB)
学習目標と問い
本記事は DoBoX のシリーズ「橋梁基本情報・維持管理情報」 1 件
(dataset_id = 11) を 単独で取り上げ、
広島県が管理する 道路橋 4,203 件 / 22 市町 / 9 事務所 / 296 路線を
3 つの独立した研究角度 (RQ1 / RQ2 / RQ3) で並列に分析する。
本データは CSV 形式 (802,338 byte / 16 列) で、
緯度経度は全件 (100%) 取得可。
L07 (河川浸水 × 4 種インフラ) との位置付け:
L07 は橋梁を浸水ハザードと交差させる視点で 4 種類のインフラ (橋梁・トンネル・ダム・ため池) を
並列に扱った記事。本記事 L66 は橋梁単独の構造分析 (= 種別・規模・年代・防災重要度) に集中する。
両者は同じ bridge_basic.csv を共有するが、
研究の問いは(L07) 「浸水との二重リスク」 vs (L66) 「橋梁台帳の内部構造」と
直交する。本記事では浸水重なりは扱わない。
橋梁データの本質: 県内の道路橋は道路法 (1952) と
インフラ長寿命化基本計画 (2014) の管理対象。
2014 年改正で5 年に 1 回の点検が義務化され、
全橋梁に I (健全) 〜 IV (緊急措置) の健全度区分が付与される。
ただし本データの「判定区分」 列は全件 "?" で公開データでは伏せられている。
そのため本研究では「点検年度から経過年」 + 「架設年度から経過年」 を
健全度の代理指標として扱い、年代と老朽化を分析する。
独自用語の定義
- 橋梁 (本データ #11): 河川・谷・道路を横断するための公共土木施設。
本データは道路橋のみ (鉄道橋は別管理体系)。広島県が管理する
4,203 件を全件対象。
- 道路橋 (本データ「種別」 列, 全件): 自動車・歩行者の通行のための橋。
橋梁番号 (= 道路ナンバー連動の管理 ID) と路線名 (= 道路名) で識別。
- 道路種別 (本データ列, 国道 1,151 / 県道 3,052):
国道は国 (国交省) が指定する広域幹線道路。県道は県が指定する地域幹線道路。
本データは県管理橋を扱うため、国道の中でも県管理区間 (= 一般国道) のみ収録。
- 架設年度 (本データ列, 3,639 件取得可): 橋を建造して開通した年度。
築 50 年超 (= 1974 年以前) の橋を「老朽橋」と定義。
- 点検年度 (本データ列, 全件取得可): 直近の橋梁点検実施年度。
2014 年の道路法改正で 5 年周期点検が義務化されたため、
2014-2023 の範囲に分布。
- 判定区分 (本データ列, 全件 "?"): 健全度区分 I〜IV の判定値。
公開データでは全件マスクされている (社会的混乱回避のため)。
I = 健全, II = 予防保全段階, III = 早期措置段階, IV = 緊急措置段階。
- 老朽橋 (本記事 RQ2 用語, 閾値 = 1974 年以前架設):
築 50 年を超える橋。劣化リスクが顕著に上昇する境界として定義。
本研究で 1,382 件 (32.9%) を同定。
- 長大橋 (本記事 RQ3 用語, 閾値 = 延長 100m 以上):
延長 100m を超える橋。「災害時の代替性が低い基幹橋」の代理指標。
本研究で 135 件 (3.21%) を同定。
- 防災重要橋梁 (本記事 RQ3 用語):
災害発生時に交通機能維持が特に重要となる橋。
公式の「緊急輸送道路」 指定データは公開無いため、本研究では
「国道の長大橋」を代理指標として扱う。
実際の指定では別の選定基準が用いられる。
- 管理事務所 (本データ「管理事務所名」 列, 9 事務所):
建設事務所 (= 県の地方支分部局) と支所 (= 建設事務所の枝局) の階層構造。
本データは事務所単位で橋梁が分担される。
- 更新ピーク (本記事 RQ2 用語):
高度成長期 (1960-70 年代) に集中整備された橋が築 50-60 年に達し、
更新 (= 大規模補修 + 架替え) が集中発生する時期。
国の「インフラ長寿命化基本計画」 (2014) が中心政策テーマとして掲げる課題。
- POINT geometry: 緯度経度 1 組で表される点形式の geometry。
橋は実際には線状の構造物だが、本データは緯度経度 1 点で代表する。
これは橋の中心点を示すと解釈する。
研究の問い (3 RQ)
- RQ1 (主研究): 広島県の道路橋の構造 — 規模・地理分布・路線分布はどう描けるか?
4,203 橋を市町 × 事務所 × 道路種別 × 路線 × 延長 × 幅員 の 6 軸で
多角度に集計し、県の橋梁網の物理的形状を立体化する。
- RQ2 (副研究 1): 県内道路橋の整備年代と老朽化リスクはどう分布しているか?
架設年度の年代別ヒストグラムを集計し、
築 50 年超 (= 1974 年以前) の老朽橋を地理的に同定する。
高度成長期一斉整備による更新ピーク到来を実データで読む。
- RQ3 (副研究 2): 国道 vs 県道の構造差 — 防災重要橋梁 (=幹線道路の長大橋) は
どこに集中するか?
平均延長・幅員・老朽率を比較、長大橋 (135 件) の地理分布を
「災害時代替性が低い基幹橋」 の代理として可視化する。
仮説 H1〜H5
- H1 (県道支配, RQ1): 県管理橋の ≥ 72% が県道。
広域幹線である国道は橋数が少なく規模大、
地域幹線の県道は橋数が多く規模小という道路階層別 件数 vs 規模トレードオフ。
- H2 (短橋集中, RQ1): 全体の ≥ 40% が延長 5 m 未満。
県内地形の中小河川 + 谷筋分断特性を反映。
- H3 (1990 年代ピーク, RQ2): 架設年度ヒストグラムは1990 年代にピーク。
バブル経済期 (1986-91) の道路投資が橋梁整備のピークを生んだ。
- H4 (老朽橋 1,500 件超, RQ2): 築 50 年超の橋が ≥ 1,500 件。
国の「インフラ長寿命化基本計画」 が想定する更新ピーク到来の実態。
- H5 (国道の長大橋偏重, RQ3): 国道平均延長 / 県道平均延長 ≥ 1.5。
国道は広域幹線で大河川を渡るため長大橋が多いという階層差。
到達点
本記事を読み終えた学習者は次の 3 点を体感できる:
- 1 つの中規模 CSV (4,203 件 × 16 列, 全件 POINT) から、
道路種別 / 市町 / 事務所 / 路線 / 延長 / 幅員 / 架設年度 / 点検年度 を
多角度で集計するハンズオン分析を完走する。
- 「年代 + 老朽化 + 道路階層」の 3 軸で県内の橋梁網を読み解き、
高度成長期の集中整備 → 更新ピーク到来という日本のインフラ史を
地域データで定量化する。
- RQ1 (構造) → RQ2 (年代・老朽化) → RQ3 (国道 vs 県道 + 防災重要橋梁) の
3 段階で、「県の橋梁網の物理的形状 + 政策的優先順位」を
定量的に描く研究プロセスを体感する。
使用データ
DoBoX のシリーズ「橋梁基本情報・維持管理情報」 1 件のみを単独で扱う。
リソースは CSV 1 ファイル (~784 KB)。
| 項目 |
値 |
| dataset_id |
11 |
| 公式名 |
橋梁基本情報・維持管理情報 |
| resource_id |
6 |
| ファイル |
bridge_basic.csv (道路_橋梁_2023) |
| 形式 |
CSV (UTF-8 BOM) |
| ファイルサイズ |
802,338 byte (~784 KB) |
| レコード数 |
4,203 行 (= 道路橋件数) |
| 列数 |
19 列 |
| 種別 |
全件 道路橋 (鉄道橋は別データ) |
| 道路種別 |
国道 1,151 + 県道 3,052 |
| 管理事務所 |
9 事務所 (建設事務所 + 支所) |
| 路線数 |
296 異なり値 |
| 市町数 |
22 市町 |
| 緯度経度 |
全件 取得可 (100%) |
| 架設年度 |
3,639 件 (86.6%) 取得可、範囲 1910-2022 |
| 点検年度 |
全件 取得可、範囲 2012-2023 |
| 判定区分 |
全件 "?" (= 公開データでは伏せられる) |
| 延長 (m) |
中央値 7.0m / 最大 540m / 最小 1.2m |
| 幅員 (m) |
中央値 9.4m / 最大 304m |
| 座標系 (元) |
EPSG:4326 (WGS84) → EPSG:6671 で処理 |
| 最終更新 |
2023 (公表年度) |
| ライセンス |
クリエイティブ・コモンズ表示 (CC-BY) |
| 作成主体 |
広島県土木建築局道路整備課 |
| URL |
https://hiroshima-dobox.jp/datasets/11 |
| DL URL |
https://hiroshima-dobox.jp/resource_download/6 |
この表から読み取れること: dataset 11 は 4,203 行 × 19 列の CSV。
道路種別 (国道/県道)・管理事務所・路線・架設年度・点検年度・延長・幅員という
多次元のメタデータを持つ。
緯度経度は全件 (100%) 取得可で、地理処理が容易。
ただし「判定区分」 列は全件マスクされており、
健全度判定値は本データから直接は取れない。
L07 (河川浸水 × 4 種インフラ) との重複回避
| 項目 | L07 (既扱) | L66 (本記事) |
| 研究の問い | 橋 × 浸水ハザードの二重リスク | 橋梁台帳の内部構造 (規模・年代・階層) |
| 主役データ | 橋梁 + トンネル + ダム + ため池 (4 種類並列) | 橋梁単独 |
| 分析手法 | sjoin で浸水ポリゴンと交差判定 | 多軸集計 + 年代分析 + 階層比較 |
| 主結論 | 橋の浸水率最高 (河川を渡るため) | 1990 年代ピーク + 老朽橋 1,382 件 |
| 使用列 | 緯度経度 + 架設年度 (二重リスク用) | 16 列全部 + 派生列 (延長カテゴリ・年代・老朽フラグ・長大フラグ) |
この表から読み取れること: 同じ bridge_basic.csv を共有するが、
研究の問いが直交。L07 は「橋がどれだけ浸水するか」 という外部ハザード視点、
L66 は「橋自体の構造」 という内部メタデータ視点。両記事は補完関係。
データ取得手順
| ステップ |
操作 |
値 / URL |
| ステップ 1 |
DoBoX dataset 11 ページ |
https://hiroshima-dobox.jp/datasets/11 |
| ステップ 2 |
CSV DL (resource 6) |
https://hiroshima-dobox.jp/resource_download/6 |
| ステップ 3 |
保存先 |
data/extras/L66_bridges/bridge_basic.csv (or shared data/extras/bridge_basic.csv) |
| ステップ 4 |
POINT 構築 (緯度経度から) |
全 4,203 橋 → POINT 4,203 件 (100%) |
| ステップ 5 |
EPSG:6671 投影 + 市町 sjoin |
sjoin で 3,716 件を市町分配 |
| ステップ 6 |
RQ1 集計 (構造) |
道路種別 + 市町 + 事務所 + 路線 + 延長 + 幅員 で多角度集計 |
| ステップ 7 |
RQ2 集計 (年代・老朽化) |
年代別ヒストグラム + 老朽橋抽出 (≤1974) → 1,382 件 |
| ステップ 8 |
RQ3 集計 (国道 vs 県道 + 長大橋) |
道路種別比較 + 長大橋 (≥100m) 135 件抽出 |
| ステップ 9 |
8 図 + 13 表 出力 |
本スクリプト全体で ~25 秒 |
この表から読み取れること: DoBoX dataset 11 → resource 6 →
CSV DL → POINT 構築 → 市町 sjoin → RQ1/2/3 集計、の 9 ステップで再現可能。
全工程は本スクリプト 1 本で自動実行 (~25 秒)。
共有 CSV (data/extras/bridge_basic.csv, L07 で取得済み) があれば再 DL 不要。
関連データセットとの対応
- L07 河川浸水 × 4 種インフラ: 同じ
bridge_basic.csv を浸水視点で扱う。
本記事 L66 は単独構造分析の補完篇。
- L08 多段浸水重ね合わせ: 浸水ハザード深度別。橋梁との交差は L07 で扱い済み。
- L40 標高: 橋の標高分析の発展課題で言及。本記事では未利用。
- L50 道路規制: 橋梁通行規制との連動。発展課題で言及。
- 関連シリーズ: トンネル基本情報 (#12, 157 件) / ダム基本情報 (#21, 14 件)
ダウンロード
本レッスンの再現に必要な全データ・中間 CSV・図 PNG・スクリプトを以下から直接 DL できる:
生データ (DoBoX 直リンク + 本日取得分)
本記事の中間 CSV (再現用)
図 PNG (8 枚) と Python スクリプト
個別取得 (PowerShell, このレッスンだけ)
cd "2026 DoBoX 教材"
iwr "https://hiroshima-dobox.jp/resource_download/6" -OutFile "data/extras/L66_bridges/bridge_basic.csv"
py -X utf8 lessons/L66_bridges.py
本スクリプトは data/extras/bridge_basic.csv (L07 共有 CSV) があれば
それを優先使用、無ければ ensure_dataset() ヘルパで自動取得。
全工程は約 25 秒で完走 (1 分以内完走の要件 S を満たす)。
一括取得 (全レッスン共通, 推奨)
cd "2026 DoBoX 教材"
py -X utf8 data\fetch_all.py
py -X utf8 lessons/L66_bridges.py
【RQ1】 橋梁の構造 — 県道 73% / 極短橋 39% / Top 3 で 36%
RQ1 の狙い
4,203 橋の道路橋を道路種別 / 市町 / 事務所 / 路線 / 延長 / 幅員の 6 軸で
多角度に集計し、広島県の橋梁網の物理的形状を立体化する。
特に「橋梁」 という道路と地形のクロスポイントに置かれた施設の規模・分布を
初めて定量化する。
手法 (前置き解説)
- POINT 構築: 緯度経度列から
shapely.geometry.Point を直接生成。
WKT 文字列ではなく数値列のため、pandas.to_numeric でクリーニング後に変換。
EPSG:4326 (経緯度) → EPSG:6671 (平面直角第 III 系) で投影変換。
- geopandas sjoin (空間結合): 各橋 POINT を市町 polygon (admin_diss.gpkg, L44 既キャッシュ) に
predicate="within" で結合。各橋に CITY_CD を付与。
CSV にも住所(市町)列があるため、空間結合と CSV 値の両方を保持して比較。
- 延長カテゴリ化:
pandas.cut で延長を 5 階層 (極短(<5m), 短(5-15m), 中(15-30m), 長(30-100m), 長大(≥100m)) に分割。
これにより「県内の橋の規模分布」を簡潔に可視化。
- 多軸集計: 道路種別 × 市町 × 事務所 × 路線 × 延長カテゴリ × 幅員 で
groupby + value_counts + cut を組み合わせ多角度集計。
入出力の Before/After 例
| 段階 | 1 橋の中身 | 件数 |
| (0) CSV 1 行 | 橋梁番号=70100212, 施設名=山波跨線橋, 道路種別=国道, 路線名=2号, 延長=20.5, 幅員=12.0, 架設年度=1985, 緯度=34.41831, 経度=133.23024, 住所(市町)=尾道市 | 4,203 |
| (1) 緯度経度 → POINT | + geometry = Point (133.23024, 34.41831, EPSG:4326) | 4,203 |
| (2) EPSG:6671 投影 | + geometry = Point (X, Y, m 単位) | 4,203 |
| (3) 市町 sjoin | + CITY_CD = 205 (= 尾道市) | 3,716 |
| (4) 派生フラグ | + 延長カテゴリ=「中(15-30m)」, 年代=1980, is_old=False, is_long=False | 4,203 |
| (5) 集計 (例: 市町別) | 庄原市: 600 橋 (1 位) | (別) |
(0)-(5) を全 4,203 橋に適用 → 6 軸で集計 → 図化。
全工程はメモリ常駐で完結し、別キャッシュは不要。
実装コード (CSV → POINT → sjoin → 多軸集計)
↑ L66_bridges.py 行 1209–1308
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1255 | # 1. CSV 読込 + 数値列クリーニング
import pandas as pd, geopandas as gpd, numpy as np
from shapely.geometry import Point
df = pd.read_csv("data/extras/bridge_basic.csv", encoding="utf-8-sig")
print(df.shape, df["道路種別"].value_counts()) # 4203 行, 国道 1151 / 県道 3052
# 2. 数値列をきれいに
df["架設年度"] = pd.to_numeric(df["架設年度"], errors="coerce")
df.loc[df["架設年度"] <= 1800, "架設年度"] = np.nan # 0 や欠損値を NaN に
df["延長(m)"] = pd.to_numeric(df["延長(m)"], errors="coerce")
df["幅員(m)"] = pd.to_numeric(df["幅員(m)"], errors="coerce")
# 3. POINT 構築 (緯度経度から直接)
df["geometry"] = df.apply(
lambda r: Point(float(r["経度(10進数)"]), float(r["緯度(10進数)"]))
if pd.notna(r["緯度(10進数)"]) and pd.notna(r["経度(10進数)"]) else None,
axis=1,
)
gdf = gpd.GeoDataFrame(df.dropna(subset=["geometry"]),
geometry="geometry", crs="EPSG:4326").to_crs("EPSG:6671")
# 4. 市町 sjoin (admin_diss.gpkg = L44 既キャッシュ流用)
admin = gpd.read_file("data/extras/L44_storm_surge/_cache/admin_diss.gpkg")\
.to_crs("EPSG:6671")
joined = gpd.sjoin(gdf[["geometry"]], admin[["CITY_CD", "geometry"]],
how="left", predicate="within")
joined = joined[~joined.index.duplicated(keep="first")]
gdf["CITY_CD"] = joined["CITY_CD"].fillna(-1).astype(int)
# 5. 6 軸集計
road_count = df["道路種別"].value_counts() # 県道 3052 / 国道 1151
city_count = df["住所(市町)"].value_counts() # 庄原市 600 / 福山市 520 / ...
office_count = df["管理事務所名"].value_counts() # 東部建設事務所 777 / ...
route_count = df["路線名"].value_counts() # 2号 / 184号 / ...
# 延長カテゴリ
LENGTH_BINS = [0, 5, 15, 30, 100, 1000]
LENGTH_LABELS = ["極短(<5m)", "短(5-15m)", "中(15-30m)", "長(30-100m)", "長大(≥100m)"]
df["延長カテゴリ"] = pd.cut(df["延長(m)"], bins=LENGTH_BINS,
labels=LENGTH_LABELS, right=False, include_lowest=True)
print(df["延長カテゴリ"].value_counts())
# 6. H1 検証: 県道シェア
print(f"県道シェア: {df['道路種別'].value_counts()['県道']/len(df)*100:.1f}%")
# H2 検証: 極短橋シェア
print(f"延長 <5m シェア: {(df['延長(m)']<5).sum()/len(df)*100:.1f}%")
|
図 1: なぜこの図か (RQ1)
「広島県のどの地域にどんな道路種別の橋があるか」 を 1 枚で読みたい。
全 4,203 橋を国道 (赤) + 県道 (青) で色分けし全域に描く。これにより
県の橋梁網の物理的形状が一目で読める。
点の大きさを小さく (msize=5) 設定し、密集エリアの構造を読みやすくする。
この図から読み取れること:
- 県全域に広く分布 = 橋梁は山間部から沿岸まで多様な地形に配置されている。
L65 (防潮扉, 沿岸限定) と異なり、橋梁は「内陸の山間部 + 沿岸 + 平野部」に分散。
- 北部山間部 (庄原市・三次市・北広島町) に多数の県道橋が密集 = 中山間地形の
谷筋を渡る短橋の集中。これは延長カテゴリでも極短橋の多さに現れる。
- 赤 (国道) は主要幹線 (国道 2 号, 31 号, 54 号, 184 号 等) 沿いに線状に連続。
これは国道が県を貫通する広域幹線である構造を反映。
- 青 (県道) は地域路線として網状に分布、特に山間部の谷筋に多い。
地形分断地で短橋が連続する。
- 沿岸の島嶼部 (因島・生口島・大三島・倉橋島) にも一定数の橋が分布 = 島内道路網の
短橋 + 海峡を渡る島しょ間連絡橋。
図 2: なぜこの図か (RQ1)
「22 市町と 9 管理事務所のうち、どこに橋梁が集中しているか」 を
左右ペアで比較したい。横棒 (件数 + 値ラベル) で並べる。
これにより市町別偏在 (上位市町集中) と事務所別分担が一目で読める。
この図から読み取れること:
- 市町 Top 1 = 庄原市 (600 橋, 14.3%)。
面積広大な中山間市で、谷筋を渡る短橋が多数。
- 市町 Top 3 = 庄原市 / 福山市 / 東広島市
で全体の 35.9% = H2 仮説 (部分)。
上位市町は中山間 + 大都市 + 学園都市で性格が異なる。
- 事務所 Top 1 = 東部建設事務所 (777 橋, 18.5%)。
これは福山周辺地域を所管する事務所で、平野 + 中小河川の橋梁網を担当。
- 事務所 9 つの分担はおおよそ均等 (= 各事務所 200-800 橋)。これは県の地方行政の
地域分担構造を反映。事務所単位での点検計画が現実的な単位。
- 政策的含意: 市町 Top 5 で 50% を占める。
これらの市町の橋梁更新コストが県の橋梁長寿命化計画の中心予算となる。
図 3: なぜこの図か (RQ1)
「市町別の橋梁件数を地図で読みたい」 ため、choropleth (主題図) を採用。
OrRd colormap (薄黄 → 濃赤) で件数を符号化。空間結合ベース (= sjoin で各橋を市町に分配)
の件数で塗り分けるため、CSV 住所列とわずかにずれる場合がある (境界線上の橋等)。
この図から読み取れること:
- 件数最多市町は 庄原市 (600 橋)、
これは中山間部の谷筋分断地形 + 広い市域を反映。
- 2 位 福山市、3 位 東広島市 も濃赤で強調。
これらはそれぞれ平野・大都市・中山間で性質が異なる。
- 沿岸島嶼部 (江田島市・大崎上島町等) は中程度の濃さ = 島内道路 + 連絡橋。
- 都市中心部 (広島市) は意外と橋数が中程度 = 県管理は限定 (国管理橋多数)。
実際の市内橋梁は政令市が管理する橋を含めると遥かに多い。
- 図 1 の点マップと整合 = 同じ市町に同じ密度パターン。
これは集計の信頼性確認。
図 4: なぜこの図か (RQ1)
「橋の規模分布を 1 枚で読みたい」 ため、延長 (log 軸) と幅員 (linear) の
2 ペインヒストグラム。延長は桁差が大きい (1m 〜 540m) ので log 軸、
幅員は近距離値域 (0 〜 30m が大半) なので linear 軸。
これにより「短橋集中 + 長大橋希少」と「車道幅員の標準化」を同時に読める。
この図から読み取れること:
- 左 (延長): 中央値 7.0m = 県内の橋の半分は 7m 以下。
最頻値域は 3-10m の極短橋。H2 (反証): 延長 <5m が
39.0%。
- 左 (延長): 100m を超える長大橋 (赤線右側) は 135 橋 (3.21%) のみ。
最大延長 540m = 1 つの稀少な大規模橋。
log 軸により規模の桁差 (1m vs 540m = 約 540 倍) が視覚化される。
- 右 (幅員): 中央値 9.4m = ほぼ 2 車線分 (片側 4-5m × 2)。
最頻値域は 4-12m に集中 = 車道幅員の道路構造令ベースの標準化を反映。
- 右 (幅員): 30m を超える幅員は稀 = 多車線 + 歩道 + 中央分離帯付きの大型橋。
高速道路橋などが該当する可能性 (本データは県道のみだが ICランプ橋が含まれる場合あり)。
- 規模の右裾の長さ: 延長は対数で右裾が長い (= 少数の超長大橋)、
幅員は線形で右裾が短い (= 標準化された幅員)。
「橋の長さは地形依存で多様、幅は道路規格依存で標準化」という構造的差を視覚化。
表: RQ1 全体サマリ (3 RQ 統合)
| 指標 |
値 |
| 総件数 (RQ1) |
4,203 橋 |
| 国道橋 |
1,151 (27.4%) |
| 県道橋 |
3,052 (72.6%) |
| 管理事務所数 |
9 |
| 路線数 |
296 |
| 市町数 (CSV値) |
22 |
| Top 1 市町 |
庄原市 (600 橋) |
| Top 3 市町シェア (RQ1) |
35.9% |
| 極短橋 (<5m) シェア (RQ1) |
39.0% (1,638 橋) |
| 長大橋 (≥100m) (RQ1+RQ3) |
135 橋 (3.21%) |
| 延長 中央値 / 最大 (RQ1) |
7.0 m / 540 m |
| 幅員 中央値 / 最大 (RQ1) |
9.4 m / 304 m |
| 最多年代 (RQ2) |
1990s (785 橋) |
この表から読み取れること: 県内道路橋は 4,203 件 / 22 市町 / 9 事務所 / 296 路線 / 国道 + 県道 2 種別 / 5 規模カテゴリ の多次元管理対象。県道が件数支配 (72.6%)、規模は圧倒的に短橋寄り (中央値 7m)。
表: 道路種別 サマリ
| 道路種別 |
件数 |
シェア_% |
平均延長_m |
平均幅員_m |
| 国道 |
1151 |
27.4 |
26.2 |
12.73 |
| 県道 |
3052 |
72.6 |
16.7 |
10.38 |
| 合計 |
4203 |
100.0 |
19.3 |
11.02 |
この表から読み取れること: 県道 72.6% (n=3,052) + 国道 27.4% (n=1,151)。国道は件数で 1/3 以下だが、平均延長 26.2m と県道 16.7m の 1.57 倍。「件数 vs 規模のトレードオフ」 が明確。
表: 延長カテゴリ別 サマリ
| 延長カテゴリ |
件数 |
シェア_% |
| 極短(<5m) |
1638 |
39.0 |
| 短(5-15m) |
1290 |
30.7 |
| 中(15-30m) |
617 |
14.7 |
| 長(30-100m) |
523 |
12.4 |
| 長大(≥100m) |
135 |
3.2 |
この表から読み取れること: 極短橋 (39.0%) + 短橋 (5-15m: 30.7%) = 全体の 70% を占める。中山間 + 平野部の中小河川クロスポイントの集積。長大橋 (≥100m) は希少 (3.21%)。
表: 市町別 ランキング (Top 15)
| 順位 |
市町名 |
件数 |
| 1 |
庄原市 |
600 |
| 2 |
福山市 |
520 |
| 3 |
東広島市 |
389 |
| 4 |
呉市 |
320 |
| 5 |
三原市 |
285 |
| 6 |
三次市 |
276 |
| 7 |
北広島町 |
272 |
| 8 |
廿日市市 |
236 |
| 9 |
安芸太田町 |
220 |
| 10 |
尾道市 |
212 |
| 11 |
安芸高田市 |
198 |
| 12 |
神石高原町 |
158 |
| 13 |
世羅町 |
136 |
| 14 |
江田島市 |
113 |
| 15 |
府中市 |
99 |
この表から読み取れること: 件数最多は 庄原市 (600 橋)、Top 5 で 50% を占める。沿岸 + 中山間 + 平野部 + 学園都市と多様な地形類型が上位に並ぶ。
表: 管理事務所別 ランキング
| 順位 |
管理事務所名 |
件数 |
シェア_% |
| 1 |
東部建設事務所 |
777 |
18.5 |
| 2 |
三原支所 |
634 |
15.1 |
| 3 |
庄原支所 |
600 |
14.3 |
| 4 |
安芸太田支所 |
492 |
11.7 |
| 5 |
東広島支所 |
463 |
11.0 |
| 6 |
西部建設事務所 |
359 |
8.5 |
| 7 |
呉支所 |
320 |
7.6 |
| 8 |
廿日市支所 |
284 |
6.8 |
| 9 |
北部建設事務所 |
274 |
6.5 |
この表から読み取れること: 東部建設事務所 (777 橋, 18.5%) が 単独 1 位。建設事務所と支所の階層構造で 9 事務所が県全域を分担。おおよそ均等 (各 200-800 橋) なのは行政分担の合理性を反映。
表: 路線別 ランキング (Top 12)
| 順位 |
路線名 |
件数 |
| 1 |
186号 |
144 |
| 2 |
375号 |
131 |
| 3 |
432号 |
129 |
| 4 |
183号 |
116 |
| 5 |
487号 |
100 |
| 6 |
486号 |
96 |
| 7 |
433号 |
68 |
| 8 |
三原東城線 |
66 |
| 9 |
府中世羅三和線 |
63 |
| 10 |
新市七曲西城線 |
58 |
| 11 |
184号 |
55 |
| 12 |
瀬野川福富本郷線 |
52 |
この表から読み取れること: 路線別 1 位は 186号 (144 橋)、これは県内を縦貫する基幹路線。全 296 路線のうち上位 12 路線で 26% を占める。残り 284 路線は数橋〜10数橋の中小路線で、地域路としての分散性が高い。
【RQ2】 整備年代と老朽化 — 最多 1990s / 老朽橋 1,382件
RQ2 の狙い
RQ1 で抽出した 4,203 橋について、架設年度 (3,639 件 = 86.6% 取得可) を分析し、
整備年代と老朽化リスクを読み解く。
特に築 50 年超の橋を地理的に同定し、
高度成長期の集中整備が将来の更新ピークをもたらす実態を県内データで実証する。
手法 (前置き解説)
- 年代化: 架設年度を
(year // 10 * 10) で 10 年区切り (1910s 〜 2020s) に集計。
pandas の Int64 型で NaN を保持しながら整数化。
- 老朽橋抽出: 2024 年現在の築 50 年超 = 1974 年以前架設 でフラグ。
閾値 50 年は「コンクリート構造物の供用期間目安」として
国の長寿命化計画でも参考閾値とされる。
- 市町別老朽率: 各市町ごとに「老朽橋数 / 全橋数」 を計算。
件数ではなく率を見ることで、橋総数に依存しない老朽化集中度を抽出。
- 判定区分の代理: 公開データの「判定区分」 列は全件 "?" でマスクされる。
代わりに「築年数」 を健全度の代理指標とする。これは厳密な健全度評価ではないが、
「老朽化リスクが高い橋」 を地理的に同定する目的では十分有効。
- 限界: 架設年度の欠損橋 (564 件 = 13.4%) は本分析対象外。
古い橋ほど記録が無い傾向 (= 老朽橋がさらに含まれる可能性) を考慮する必要あり。
入出力の Before/After 例
| 段階 | 1 橋の中身 | 件数 |
| (0) 橋 1 件 | 橋梁番号=70100212, 架設年度=1985 | 3,639 |
| (1) 年代化 | + 年代 = 1980 | 3,639 |
| (2) 老朽判定 (≤1974) | + is_old = False (1985 > 1974) | 3,639 |
| (3) 市町集計 | (尾道市の老朽橋数 / 尾道市の全橋数) | 市町数 23 |
| (4) 道路種別 × 老朽率 | 国道 32.4% vs 県道 33.1% | 2 |
(0)-(4) を全 3,639 件 (年度既知) に適用。年度不明の 564 件は別カテゴリ扱い。
実装コード (年代化 + 老朽橋抽出 + 市町別集計)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35 | # 1. 年代化 + 老朽橋フラグ (≤ 1974 = 築 50 年超)
import numpy as np, pandas as pd
df["架設年度"] = pd.to_numeric(df["架設年度"], errors="coerce")
df.loc[df["架設年度"] <= 1800, "架設年度"] = np.nan # 0 / 異常値除去
df["年代"] = (df["架設年度"] // 10 * 10).astype("Int64")
AGE_THRESHOLD_YEAR = 1974
df["is_old"] = df["架設年度"] <= AGE_THRESHOLD_YEAR # bool, NaN は False
print(f"老朽橋: {df['is_old'].sum()} / {len(df)} ({df['is_old'].mean()*100:.1f}%)")
# 2. 年代別ヒストグラム
decade_count = df["年代"].value_counts().sort_index()
print(decade_count)
# 1910:4 1920:37 1930:95 1940:47 1950:239 1960:678 1970:560
# 1980:642 1990:785 2000:447 2010:102 2020:3
# 3. 市町別 老朽率
city_total = df.groupby("住所(市町)").size().rename("件数")
city_old = df[df["is_old"]].groupby("住所(市町)").size().rename("老朽橋数")
city_rate = (city_old / city_total * 100).rename("老朽率_%")
print(pd.concat([city_total, city_old, city_rate], axis=1)\
.sort_values("老朽率_%", ascending=False).head(10))
# 4. 道路種別 × 老朽率
old_by_road = df.groupby("道路種別").agg(
件数=("橋梁番号", "size"),
老朽橋数=("is_old", "sum"),
)
old_by_road["老朽率_%"] = old_by_road["老朽橋数"] / old_by_road["件数"] * 100
print(old_by_road)
# 5. 点検年度別件数 (5 年周期点検義務化 2014 改正の効果検証)
inspect_count = df["点検年度"].value_counts().sort_index()
print(inspect_count)
|
図 5: なぜこの図か (RQ2)
「広島県の道路橋がどの年代に集中整備されたか」 を 1 枚で読みたい。
10 年区切りの年代別件数を棒グラフで描き、老朽閾値 (1970 年代以前) を赤色、
1980 年以降を青色で塗り分け。これにより「年代別の整備量 + 老朽橋の量」を同時に読める。
この図から読み取れること:
- 最多年代 = 1990s (785 橋)。
H3 仮説 (強支持): 1990 年代がピークかは観測結果次第。
バブル経済期 (1986-91) を含む 1990 年代の道路投資ブームが橋梁整備のピークを生んだ。
- 1960s-1990s の 4 年代で全体の 73% を占める集中整備期。
高度成長 (1955-73) + バブル経済 (1986-91) + 公共事業拡張期の 30 年が県内橋梁網を形成。
- 1910s-1940s は計 183 橋 = 全体の 5.0%。
戦前・戦中の橋は残存が稀 (戦災 + 自然災害 + 更新で消失)。
ただし古い橋ほど記録が無い傾向もあり、実際にはもう少し多かった可能性。
- 2010s = 102 橋 / 2020s = 3 橋。
新規整備が激減 = 道路網拡張から維持管理時代への転換を反映。
- 赤色帯 (老朽橋) = 1970s 以前の 1,382 橋 (32.9%)。
H4 仮説 (反証): 老朽橋 ≥ 1,500 件。
これらは今後 10-20 年で更新ピークが集中発生する。
図 6: なぜこの図か (RQ2)
「築 50 年超の老朽橋がどこに集中しているか」 を地図で読みたい。
全橋を背景に薄灰 (新しい橋) + 黄 (年度不明) + 赤大 (老朽橋) で重ねる。
これにより「老朽橋の地理的集中エリア」が一目で読める。
点サイズを差別化することで老朽橋を視覚的に強調する。
この図から読み取れること:
- 赤点 (老朽橋, n=1,382) は県全域に散らばるが、
庄原市 (239 件, 老朽率 39.8%) 等に
集中する地域がある。
- 市町別老朽率トップ 5: 庄原市 (39.8%), 福山市 (30.4%), 廿日市市 (53.4%), 東広島市 (27.5%), 呉市 (32.8%)。
これらの市町は橋梁更新コストが今後 10-20 年で集中する。
- 黄点 (年度不明, n=564) は古い橋に多い傾向 = 実質的に老朽橋を含む可能性大。
これらの調査と年度復元が長寿命化計画の前提となる。
- 政策的含意: 老朽橋は「点」 ではなく「面」 で集中するため、
市町単位の更新計画 + 地域分担の明確化が必要。
事務所別では 東部建設事務所 等が
老朽橋管理の前線となる。
- 地理的集中の理由: 高度成長期 (1960-70 年代) に開発された道路網拡張エリアと
老朽橋集中エリアが概ね一致 = 「整備の波」 と「老朽化の波」 が地理的に連動する
時間-空間相関の可視化。
表: 年代別 件数
| 年代 |
件数 |
シェア_% |
| 1910s |
4 |
0.1 |
| 1920s |
37 |
1.0 |
| 1930s |
95 |
2.6 |
| 1940s |
47 |
1.3 |
| 1950s |
239 |
6.6 |
| 1960s |
678 |
18.6 |
| 1970s |
560 |
15.4 |
| 1980s |
642 |
17.6 |
| 1990s |
785 |
21.6 |
| 2000s |
447 |
12.3 |
| 2010s |
102 |
2.8 |
| 2020s |
3 |
0.1 |
この表から読み取れること: 1960s-1990s の 4 年代で全体の 73% を占める集中整備期。最多年代は 1990s (785 橋)。2010s 以降は新規整備が激減 = 維持管理時代への転換。
表: 市町別 老朽橋ランキング (Top 15)
| 順位 |
市町名 |
老朽橋数 |
件数 |
老朽率_% |
| 1 |
庄原市 |
239 |
600 |
39.8 |
| 2 |
福山市 |
158 |
520 |
30.4 |
| 3 |
廿日市市 |
126 |
236 |
53.4 |
| 4 |
東広島市 |
107 |
389 |
27.5 |
| 5 |
呉市 |
105 |
320 |
32.8 |
| 6 |
北広島町 |
95 |
272 |
34.9 |
| 7 |
安芸太田町 |
71 |
220 |
32.3 |
| 8 |
神石高原町 |
69 |
158 |
43.7 |
| 9 |
三原市 |
66 |
285 |
23.2 |
| 10 |
三次市 |
65 |
276 |
23.6 |
| 11 |
安芸高田市 |
63 |
198 |
31.8 |
| 12 |
江田島市 |
55 |
113 |
48.7 |
| 13 |
尾道市 |
42 |
212 |
19.8 |
| 14 |
府中市 |
41 |
99 |
41.4 |
| 15 |
世羅町 |
23 |
136 |
16.9 |
この表から読み取れること: 老朽橋数最多市町は 庄原市 (239 件, 老朽率 39.8%)、老朽率最高は要検討 (件数小さい市町は率が極端化しやすい)。上位市町は今後 10-20 年で更新ピークが集中する。
表: 道路種別 × 老朽率
| 道路種別 |
件数 |
老朽橋数 |
老朽率_% |
| 国道 |
1151 |
373 |
32.4 |
| 県道 |
3052 |
1009 |
33.1 |
この表から読み取れること: 国道老朽率 32.4% vs 県道老朽率 33.1%。県道のほうが老朽率が高い場合 = 県道は地域路で更新が後回しになりがちなため。更新政策の優先順位を考える上で重要な指標。
表: 点検年度別 件数 (2014 年改正 5 年周期義務化の効果)
| 点検年度 |
件数 |
シェア_% |
| 2012 |
2 |
0.0 |
| 2013 |
2 |
0.0 |
| 2014 |
53 |
1.3 |
| 2015 |
52 |
1.2 |
| 2016 |
54 |
1.3 |
| 2017 |
8 |
0.2 |
| 2018 |
653 |
15.5 |
| 2019 |
887 |
21.1 |
| 2020 |
852 |
20.3 |
| 2021 |
920 |
21.9 |
| 2022 |
718 |
17.1 |
| 2023 |
2 |
0.0 |
この表から読み取れること: 2014 年道路法改正の5 年周期点検義務化を反映し、点検年度は 2014-2023 の 10 年に分散。最多 = 2021 (920 橋)。5 年周期で 1 サイクル完了する設計だが、実際には毎年点検されている橋もある = 老朽度や立地リスクで点検頻度が調整されている可能性。
【RQ3】 国道 vs 県道 + 防災重要橋梁 — 国道平均 26m / 長大橋 135件
RQ3 の狙い
国道 1,151 橋 と 県道 3,052 橋を比較し、
道路階層差 (広域幹線 vs 地域路) が橋梁構造にどう現れるかを抽出する。
さらに長大橋 (≥100m, n=135) の地理分布を
「災害時の代替性が低い基幹橋」 = 防災重要橋梁の代理指標として可視化。
公式の「緊急輸送道路」 指定データは公開されないため、本研究では
「国道 + 長大橋」 を防災重要橋梁の代理として扱う。
手法 (前置き解説)
- 道路種別比較: 国道 vs 県道で件数 / 平均延長 / 平均幅員 / 長大橋率 / 老朽率を計算。
平均値の比から階層差を定量化する。
- 長大橋抽出: 延長 ≥ 100m の橋を抽出。
これらは大河川 + 海峡 + 谷を渡る橋で、災害時の代替路が乏しい。
閾値 100m は「中規模河川以上を渡る橋」 の目安として設定。
- 道路種別 × 延長カテゴリ クロス表: 国道と県道で長大橋率がどう異なるかを集計表化。
これにより「国道は長大橋 + 県道は短橋」のパターンを実証。
- 限界: 「緊急輸送道路」 の公式指定 (= 県の地域防災計画で指定) は別データ。
本研究の「国道 + 長大橋」 は代理指標であり、実際の指定とは異なる場合あり。
正確な防災重要橋梁の同定には県防災計画書との照合が必要 (発展課題)。
実装コード (国道 vs 県道 + 長大橋)
↑ L66_bridges.py 行 1597–1654
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1606
1607
1608
1609
1610
1611
1612
1613
1614
1615
1616
1617
1618
1619
1620
1621
1622 | # 1. 道路種別 × 規模 比較
import pandas as pd, numpy as np
LENGTH_BINS = [0, 5, 15, 30, 100, 1000]
LENGTH_LABELS = ["極短(<5m)", "短(5-15m)", "中(15-30m)", "長(30-100m)", "長大(≥100m)"]
mean_kuni_len = df[df["道路種別"]=="国道"]["延長(m)"].mean() # 約 21m
mean_ken_len = df[df["道路種別"]=="県道"]["延長(m)"].mean() # 約 14m
print(f"国道 / 県道 延長比 = {mean_kuni_len/mean_ken_len:.2f}") # 約 1.5 倍
# 2. 長大橋 (≥100m) 抽出
LONG = 100.0
df["is_long"] = df["延長(m)"] >= LONG
long_kuni = df[df["is_long"] & (df["道路種別"]=="国道")]
long_ken = df[df["is_long"] & (df["道路種別"]=="県道")]
print(f"長大橋: 国道 {len(long_kuni)} / 県道 {len(long_ken)} / 計 {df['is_long'].sum()}")
# 3. 道路種別 × 規模 クロス表
df["延長カテゴリ"] = pd.cut(df["延長(m)"], bins=LENGTH_BINS,
labels=LENGTH_LABELS, right=False, include_lowest=True)
cross = df.groupby(["道路種別", "延長カテゴリ"], observed=True).size().unstack(fill_value=0)
print(cross)
# 4. 長大橋 Top 20 (詳細リスト)
long_top = df[df["is_long"]].sort_values("延長(m)", ascending=False).head(20)
print(long_top[["施設名", "路線名", "道路種別", "延長(m)",
"幅員(m)", "架設年度", "住所(市町)"]])
|
図 7: なぜこの図か (RQ3)
「国道と県道の構造差を一目で読みたい」 ため、3 ペイン横並び比較図。
左 = 件数, 中 = 平均延長, 右 = 長大橋率。3 つの指標が連動して
「県道は数が多く規模が小さい」「国道は数が少なく規模が大きい」という
道路階層差を視覚化する。
この図から読み取れること:
- 左: 件数で県道 (3,052) が国道 (1,151) の 2.65 倍。
H1 仮説 (強支持): 県道が 72% 以上を占める。
- 中: 平均延長で国道 (26.2m) が県道 (16.7m) の 1.57 倍。
H5 仮説 (強支持): 国道は県道の 1.5 倍以上。
これは国道が大河川を渡る広域幹線の特性を反映。
- 右: 長大橋率で国道 (5.39%) は県道 (2.39%) の "
2.3 倍。
長大橋は国道に偏在 = 「災害時代替性低」 の橋が国道に集中。
- 3 指標の連動: 件数では県道優勢だが、規模では国道優勢。
「件数 vs 規模のトレードオフ」が階層差として明確に現れる。
- 政策的含意: 長大橋率が高い国道は防災投資の重点。
国道の長大橋 1 橋の機能停止は広域幹線の代替路を断つため、
事前耐震補強 + 代替路整備が重要。
図 8: なぜこの図か (RQ3)
「防災重要橋梁の地理分布を 1 枚で読みたい」 ため、
県道 (灰) + 国道 (赤) + 長大橋 (★ 黄) の 3 層重ね合わせマップ。
これにより「広域幹線の動脈 + 代替性低い橋」の物理的形状が一目で読める。
災害時に守るべき橋の地理的優先順位を視覚化する。
この図から読み取れること:
- 赤点 (国道, n=1,151) は基幹路線沿いに線状連続 = 県を貫通する広域幹線網。
国道 2 号 (山陽道) / 国道 31 号 / 国道 54 号 / 国道 184 号 等の物理的形状を可視化。
- ★ (長大橋, n=135) は地理的に分散するが、
大河川 (太田川・芦田川等) + 海峡 (しまなみ海道等) + 山間部の谷に集中。
これらは災害時の代替路が乏しい「県土の動脈における結節点」。
- 長大橋上位例 (Top 5): 豊島大橋 (540m), "
広島空港大橋 (500m), "
倉田川1号橋 (500m) など。
これらの機能停止は地域経済 + 救援活動に直接影響。
- 長大橋 + 国道の重なり = 62 / 135 = 46% が国道上に位置。
残り 73 橋は県道の長大橋 = 地域路の重要連絡橋。
- 政策的含意: 長大橋 + 国道の組み合わせ (62 橋) が
第一級防災重要橋梁。耐震補強 + 緊急輸送計画 + 代替路整備の最優先対象。
これは公式の「緊急輸送道路」 指定とほぼ重なる可能性が高い (要検証)。
表: 国道 vs 県道 詳細比較
| 道路種別 |
件数 |
シェア_% |
平均延長_m |
平均幅員_m |
長大橋数 |
長大橋率_% |
老朽橋数 |
老朽率_% |
| 国道 |
1151 |
27.4 |
26.2 |
12.73 |
62 |
5.39 |
373 |
32.4 |
| 県道 |
3052 |
72.6 |
16.7 |
10.38 |
73 |
2.39 |
1009 |
33.1 |
この表から読み取れること: 国道は件数で 1/3 以下、規模で 1.5 倍、長大橋率で 2.3 倍。老朽率は国道 32.4% vs 県道 33.1%。「件数の県道、規模の国道」という階層差が全指標で一貫。
表: 道路種別 × 延長カテゴリ クロス表
| 道路種別 |
極短(<5m) |
短(5-15m) |
中(15-30m) |
長(30-100m) |
長大(≥100m) |
| 国道 |
377 |
341 |
166 |
205 |
62 |
| 県道 |
1261 |
949 |
451 |
318 |
73 |
この表から読み取れること: 国道は長大橋 (≥100m) 62 橋 (5.39%)、県道は極短橋 (<5m) 1,261 橋 (41.3%)。延長カテゴリ × 道路種別の組み合わせで、規模分布の道路階層差が明確に現れる。
表: 長大橋 (≥100m) Top 20
| 順位 |
施設名 |
路線名 |
道路種別 |
延長(m) |
幅員(m) |
架設年度 |
住所(市町) |
| 1 |
豊島大橋 |
豊浜蒲刈線 |
県道 |
540.00 |
13.00 |
2008 |
呉市 |
| 2 |
広島空港大橋 |
本郷大和線 |
県道 |
500.00 |
9.80 |
2010 |
三原市 |
| 3 |
倉田川1号橋 |
487号 |
国道 |
499.90 |
2.40 |
1965 |
江田島市 |
| 4 |
芦田川大橋 |
水呑手城線 |
県道 |
491.00 |
25.80 |
2004 |
福山市 |
| 5 |
早瀬大橋中央径間 |
487号 |
国道 |
444.00 |
10.10 |
1973 |
呉市 |
| 6 |
弥栄大橋 |
大竹美和線 |
県道 |
422.00 |
11.20 |
1986 |
大竹市 |
| 7 |
尾道大橋 |
317号 |
国道 |
386.45 |
10.40 |
1968 |
尾道市 |
| 8 |
音戸大橋音戸ループ橋 |
487号 |
国道 |
380.00 |
9.00 |
1961 |
呉市 |
| 9 |
瀧山峡大橋 |
186号 |
国道 |
369.00 |
10.00 |
1997 |
安芸太田町 |
| 10 |
水呑大橋 |
福山鞆線 |
県道 |
358.20 |
20.90 |
1981 |
福山市 |
| 11 |
新入江大橋 |
水呑手城線 |
県道 |
358.00 |
11.25 |
2012 |
福山市 |
| 12 |
入江大橋 |
水呑手城線 |
県道 |
341.50 |
16.70 |
1972 |
福山市 |
| 13 |
加計大橋 |
191号 |
国道 |
338.70 |
11.50 |
1979 |
安芸太田町 |
| 14 |
西明神橋 |
矢野海田線 |
県道 |
335.00 |
14.00 |
1993 |
海田町 |
| 15 |
第二音戸大橋(中央径間) |
487号 |
国道 |
292.00 |
26.20 |
2013 |
呉市 |
| 16 |
坪井大橋 |
487号 |
国道 |
285.00 |
11.20 |
2010 |
呉市 |
| 17 |
三原大橋(鋼I桁) |
185号 |
国道 |
281.90 |
20.60 |
1974 |
三原市 |
| 18 |
不明065-05 |
大崎上島循環線 |
県道 |
280.00 |
3.00 |
1970 |
大崎上島町 |
| 19 |
新西条陸橋(上り) |
375号 |
国道 |
270.00 |
10.50 |
2012 |
東広島市 |
| 20 |
東城第一大橋 |
314号 |
国道 |
255.00 |
10.50 |
1993 |
庄原市 |
この表から読み取れること: 最長橋は 豊島大橋 (540m, 豊浜蒲刈線, 呉市)。Top 20 中の国道率 = 55% = 長大橋は確かに国道偏重。これらは県の防災重要橋梁の代理リスト。
仮説検証総合
本記事の 5 仮説と観測結果の照合:
| 仮説 |
観測値 |
判定 |
解釈 |
| H1 県道シェア ≥ 72% (RQ1) |
観測 = 72.6% (県道 3,052 / 国道 1,151) |
強支持 |
H1 強支持: 県道が 72.6% を占める。国道は広域幹線で橋が少ない (1,151 橋)、県道は地域路で橋が多い (3,052 橋)。「件数 vs 規模のトレードオフ」: 件数で支配する県道が平均延長 16.7m と短く、国道は平均延長 26.2m と長い。これは道路階層の「広域 vs 地域」の物理的差を反映。 |
| H2 延長 <5m が ≥ 40% (RQ1) |
観測 = 39.0% (1,638 / 4,203) |
反証 |
H2 反証: 極短橋 (延長 < 5m) が 39.0%。これは県内地形が多数の中小河川 + 谷筋を含むことを反映。対比すると長大橋 (≥100m) は 135 橋 (3.21%)のみ。中央値 7.0m から見て、「県内の橋は地形分断の小規模クロスポイントに集中」する構造。 |
| H3 1990 年代ピーク (RQ2) |
観測 最多年代 = 1990s (785 橋) |
強支持 |
H3 強支持: 架設年代の最多は 1990s。バブル経済期 (1986-91) を含む 1990 年代の道路投資ブームが橋梁整備のピークを生んだ。 1960s-1990s の 4 年代で全体の 73% を占める集中整備期 = 高度成長 + バブルの社会基盤拡充期と一致。 |
| H4 老朽橋 (≤1974) ≥ 1,500 件 (RQ2) |
観測 = 1,382 件 (全体の 32.9%) |
反証 |
H4 反証: 築 50 年超 (= 1974 年以前架設) の橋が1,382 件 = 全体の 32.9%。国の「インフラ長寿命化基本計画」 (2014) が想定する更新ピークの到来を県内データで実証。市町別老朽率トップは 庄原市 (39.8%)。これらの市町では橋梁更新コストが今後 10-20 年で集中発生する。 |
| H5 国道平均延長 ≥ 県道の 1.5 倍 (RQ3) |
観測 = 国道 26.2m / 県道 16.7m / 比 1.57 |
強支持 |
H5 強支持: 国道の平均延長は県道の 1.57 倍。長大橋率は国道 5.39% vs 県道 2.39%= 国道の方が約 2.3 倍。これは「国道は大河川を渡る広域幹線」「県道は地域の中小河川を渡る分散幹線」という道路階層の物理的差。防災時には国道の長大橋 = 「代替性が低い基幹橋」が機能維持の最重要対象。 |
3 RQ × 3 結論
- RQ1 結論: 広島県の道路橋は4,203 件 / 国道 1,151 + 県道 3,052 / 22 市町 / 9 事務所 / 296 路線の多次元構造。県道 72.6% (H1 強支持) で件数支配、極短橋 39.0% (H2 反証) で規模分布も短橋寄り。上位 3 市町 (庄原市 / 福山市 / 東広島市) で 35.9% を占める偏在型分布。地形類型 (中山間 + 平野 + 沿岸) が橋梁配置を支配。
- RQ2 結論: 架設年代の最多は 1990s (785 橋) (H3 強支持)。築 50 年超 (≤1974) の老朽橋 1,382 件 (32.9%) (H4 反証) を地理的に同定。これらは今後 10-20 年で更新ピークが集中発生する。市町別老朽率トップは 庄原市 (39.8%)。国の「インフラ長寿命化基本計画」 (2014) の想定を県内データで実証。
- RQ3 結論: 国道 vs 県道で件数 vs 規模のトレードオフが一貫。国道平均延長 26.2m / 県道 16.7m = 比 1.57 (H5 強支持)。長大橋 (≥100m) は 135 橋 (国道 62 / 県道 73) = 国道偏重。「国道 + 長大橋 = 第一級防災重要橋梁」の代理指標として 62 橋を同定。これらは耐震補強 + 緊急輸送計画 + 代替路整備の最優先対象。
橋梁データから読める日本のインフラ史
本研究の最重要発見は「3 つの時代の波」。第 1 の波 = 1960-70 年代の高度成長期一斉整備 (1960s 678 + 1970s 560 = 1,238 橋)、第 2 の波 = 1980-90 年代のバブル経済期再投資 (1980s 642 + 1990s 785 = 1,427 橋)、第 3 の波 = 2010 年代の維持管理時代への転換 (2010s 102 橋, 新規激減 + 点検義務化)。本データはこの 3 つの波を県内 4,203 橋で実証する。
第 1 の波の橋が今築 50 年超に達し、第 4 の波 = 更新ピークが始まる。県内 1,382 橋 (32.9%) が更新候補で、これは過去 10 年の新規整備(102 橋) の 14 倍。既存ストックの維持が新規投資を遥かに上回る時代に入った。これは日本全国に共通する課題で、本研究は広島県という 1 県を通じてその縮図を可視化した。
道路階層差と防災重要度
国道 vs 県道の階層差は「件数 vs 規模のトレードオフ」として一貫した構造を示す。国道は件数で 1/3 以下だが、平均延長 1.57 倍 + 長大橋率 2.3 倍。これは「広域幹線は数本で大規模、地域路は多数で小規模」という道路網の階層原則を反映。防災投資の優先順位もこの階層に従う = 国道の長大橋 (62 橋) が第一級防災重要橋梁として優先補強対象になる。
発展課題
結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z (3 RQ × 1 課題以上)
発展課題 1 (RQ1 由来): 政令市 (広島市) 管理橋との統合
- 結果 X: 本データは県管理橋のみで、政令市 (広島市) や中核市 (福山市・呉市) が
管理する市道橋は含まれない。実際の県内総橋梁数は本データの 4,203 橋を遥かに上回る。
広島市内の橋数が少ないのもこのため。
- 新仮説 Y: 政令市 + 中核市の市道橋を加えると、県内総橋梁数は 2-3 万橋 に達する可能性。
また都市部市道橋は幅員大 + 短橋集中の傾向で、県管理橋とは規模分布が異なる。
- 課題 Z: 各市の橋梁台帳 (公開していれば) を取得 → スキーマを揃えて統合 →
管理者別 (国/県/政令市/中核市/市町村) のクロス分析。
「県内全橋梁の管理者階層」として展開。
発展課題 2 (RQ2 由来): 判定区分 ("?") の解明
- 結果 X: 本データの「判定区分」 列は全件 "?" でマスクされ、健全度 I-IV の判定値は取れない。
代わりに「築年数」 を健全度の代理指標として扱った。
- 新仮説 Y: 「判定区分 ≠ ?」 の公開データセットが存在する (例: 国交省 MICHI データベース) か、
開示請求で取得可能。それを使えば「築年数 vs 健全度」の相関を実証可。
恐らく単純な負相関ではなく、点検 + 補修履歴で複雑になる。
- 課題 Z: 国交省 MICHI データベース or 行政情報公開で健全度判定値を取得 →
本データの架設年度 + 路線 + 場所と照合 → 築年数 vs 健全度の相関分析 + 補修履歴別比較。
「橋梁老朽化の本当の指標」として展開。
発展課題 3 (RQ3 由来): 緊急輸送道路公式指定との照合
- 結果 X: 本研究の「国道 + 長大橋」 は防災重要橋梁の代理指標。
公式の「緊急輸送道路」 指定 (= 県地域防災計画) は別データで未照合。
- 新仮説 Y: 公式の「緊急輸送道路」 上の橋は本研究の代理指標と 70-90% 重なるが、
若干のずれがある (= 県道の主要連絡橋も指定対象に含まれる場合)。
- 課題 Z: 県地域防災計画 (公開) から緊急輸送道路リストを抽出 →
路線名 + 区間で本データと照合 → 「緊急輸送道路上の橋」 = 公式防災重要橋梁を同定。
本研究の代理指標とのズレを定量化し、代理指標の精度を検証する。
「公式防災重要橋梁の地理学」として展開。
発展課題 4 (RQ2 + RQ3 連携): 老朽 × 防災重要 = ダブルリスク橋
- 結果 X: 本研究では老朽橋 (1,382 件) と長大橋 (135 件) を別々に同定したが、
両方を満たす「老朽 + 長大橋」のクロスは未抽出。これは最優先対策候補。
- 新仮説 Y: 老朽 ∩ 長大橋 ∩ 国道 = 三重リスク橋。これらは一桁件数の超優先対策候補。
架設年度 ≤ 1974 + 延長 ≥ 100m + 道路種別 = 国道 の積を取れば自動同定可。
- 課題 Z: 本データの派生フラグ (is_old + is_long + 道路種別=国道) で
論理積を取り、三重リスク橋リストを生成 → 県の橋梁長寿命化計画と照合 →
対策状況 (= 補強済か未対策か) を確認。
「ダブル/トリプルリスク橋の優先順位地理学」として展開。
発展課題 5 (RQ2 + L40 連携): 標高 + 橋位置の統合分析
- 結果 X: 本研究では橋の地理位置のみ扱い、標高は未利用。
高所橋 (山間部の谷渡り) と低地橋 (河口部) では老朽化要因が異なる。
- 新仮説 Y: 低地橋 (≤ 5m) は塩害 + 高潮 + 河川氾濫のリスクが高く、
高所橋 (≥ 200m) は凍結融解 + 強風のリスクが高い。標高別に劣化要因が異なる仮説。
- 課題 Z: L40 の5m DEMから各橋 POINT の標高を抽出 →
標高別に架設年度・延長・幅員ヒストグラム → 標高 × 老朽率の関係を検定。
「橋の標高別劣化要因」として展開。
発展課題 6 (RQ3 拡張): L7 浸水分析との統合
- 結果 X: L07 で浸水域内橋を同定したが、本研究の「老朽 + 長大橋」 と未統合。
浸水想定 ∩ 老朽 ∩ 長大橋 = 多重リスク橋として同定可。
- 新仮説 Y: 多重リスク橋 (= 浸水 ∩ 老朽 ∩ 長大) は数十件規模で、
これらは耐震 + 耐水 + 早期更新の3 重対策が必要な超優先対象。
- 課題 Z: L07 の
L07_bridge_judge.csv (浸水フラグ) と
本研究の L66_all_bridges.csv (老朽 + 長大フラグ) を 橋梁番号 で結合 →
多重リスク橋リスト生成 → 地理可視化。「多重リスク橋の地理学」として展開。
発展課題 7 (展望): 全国インフラ長寿命化との比較
- 結果 X: 本研究は広島県 1 県で老朽率 32.9% を観測したが、全国比較は未実施。
他県と比較すれば広島県の老朽化水準が相対的に高いか低いかが分かる。
- 新仮説 Y: 高度成長期に大開発された地域 (広島・名古屋・東京等) は老朽率が高い、
戦後復興が遅れた地域は老朽率が低い (相対的に新しい)、という地域差がある。
- 課題 Z: 国交省「道路統計年報」 から都道府県別老朽橋率を取得 →
広島県との比較 → 広島の老朽化水準が全国順位で何位かを確認。
「全国インフラ老朽化の地理的階層」として展開。