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2023年度 統計データ分析コンペティション | 優秀賞 [高校生の部]

大腸がん罹患要因の探究と
罹患しにくい生活の提案

⏱️ 推定読了時間: 約33分
2023年度受賞論文 高校生の部 SSDSE-B 47都道府県
🔬 偏相関🔬 相関分析🔬 重回帰🏷 医療・健康🏷 食・家計消費🏷 メンタルヘルス
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じ種類のデータで再現(細部は簡略化)

この教材は原論文と同じ種類のデータで計算し直しています。ただし工程の一部は、学習しやすさのために簡略化しています(下の「できないこと」を参照)。

原論文が使ったデータSSDSE-B・SSDSE-C・SSDSE-E・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)「都道府県別がん罹患データ」・厚生労働省「国民健康・栄養調査」・国立がん研究センターがん登録・統計「国民生活基礎調査による都道府県別喫煙率データ」・総務省「人口推計」・厚生労働省「国民生活基礎調査」・総務省「統計でみる都道府県のすがた」・厚生労働省「毎日勤労統計調査」
分析単位:都道府県
中核手法:相関分析
この教材が使うデータ
原論文(PDF)大腸がん罹患要因の探究と罹患しにくい生活の提案
優秀賞/鈴木 実由(慶應義塾湘南藤沢高等部)
✅ この教材でできること
  • 原論文の中核手法(相関分析)を実データで実行できる
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
  • 数値・図を最後まで再計算できる(相関分析)
⚠️ この教材ではできないこと(原論文との違い)
  • 手順の一部が原論文と違う:論文の核心=飲酒を統制した偏相関で擬似相関を除去。教材=単純相関+外れ値のみ
📄 原論文との違いを、もっと詳しく
📄 原論文:SSDSE-B/C/E-2023 + 国立がん研究センター「がん統計」(大腸がん罹患者数)+ 国民健康・栄養調査で、年代別・男女別に相関分析 → 偏相関分析(飲酒等を統制して擬似相関を検出) → 重回帰分析。
📘 本教材:大腸がん罹患者数は SSDSE に無いため、保健医療費割合(SSDSE-B-2026)を代理の目的変数として相関分析・外れ値分析・偏相関分析(擬似相関の見破りを実演)を再現。原論文の偏相関の結果は報告値として本文に併記。
⚠️ 注意:本教材の数値は代理変数によるもので、原論文の大腸がん分析の数値とは異なる。分析の「流れ」(相関 → 擬似相関を疑う → 偏相関 → 重回帰の必要性)を学ぶための再現である。
🚀 原論文と同じ粒度で挑戦したい人へ

原論文と同じ粒度のデータは、この教材にも同梱しています。これを読み込めば、原論文と同じ細かさで分析をやり直せます(下の「🐍 ブラウザで動かす」でコードを書き換えて試せます)。ただし原論文が使った項目がすべて収録されているとは限りません。足りない項目は、上の「できないこと」に書いた出典から取ってくる必要があります。

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2023_H2_yushu.py(360 行)そのものです。

🏅 論文審査会コメント(審査員はここを評価した)
「要因の選定や各変数の吟味も自然・丁寧であり、仮説の検討も多角的に行われており、新たな知見のヒントも多く得られている。はずれ値にも有用な情報が含まれている可能性もあるので、機械的に除外するよりは何らかの考察に繋げると良い。」
出典:統計センター「統計データ分析コンペティション」受賞論文PDF掲載の審査講評。プロの審査員が何を評価し、何を注文したかは論文の読み方の最良の手本になる。
📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究概要と背景
  2. データと変数設計
  3. 相関分析の結果
  4. 高齢化率と保健医療費割合(外れ値分析)
  5. 食料費割合と保健医療費割合
  6. 偏相関分析 — 擬似相関を見破る
  7. 消費支出と保健医療費割合
  8. まとめと生活提案
  9. 📥 データの準備
  10. 💼 実社会での応用
  11. ⚠️ よくある誤解
  12. 📖 用語集
  13. 📐 手法ガイド
  14. 🚀 発展の可能性
  15. 🎯 自分でやってみよう
  16. 🤔 Q&A
  17. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。

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データをダウンロードする 統計センターの SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2023_H2_yushu.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2023_H2_yushu.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究概要と背景

大腸がんは日本人の罹患数が多いがんの一つであり、食生活・肥満・飲酒・運動不足など生活習慣との関連が多くの疫学研究で指摘されている。本研究は、公的統計データ(SSDSE-B)を用いて、大腸がんリスクと関連する生活習慣・経済環境・高齢化の影響を都道府県レベルで探索的に分析し、「罹患しにくい生活」への提案を行った。

まず「どんな生活習慣・社会経済要因が大腸がんの罹患と関連するのか」という問いを、統計的にとらえることが有効だと考えられる。 その理由は感覚や経験則だけでは、複雑な社会要因の中で「何が本当に効いているか」を見極めにくいからである。 本研究では公開データと統計手法を組み合わせ、この問いに定量的な答えを出し、「罹患しにくい生活」の提案につなげることを目指す。

分析上の注意:プロキシ変数の使用 SSDSE-Bには都道府県別の大腸がん罹患率が収録されていないため、保健医療費割合(保健医療費 ÷ 消費支出 × 100)を疾病負担の代理変数(プロキシ)として使用する。これは家計における医療費への支出比率を示す指標であり、罹患率そのものではない点に注意が必要である。
分析の流れ
SSDSE-B
2022年度
47都道府県
保健医療費
割合を算出
(プロキシ)
Pearson
相関分析
(11変数)
散布図・
外れ値
分析

SSDSE-B 相関分析 散布図 外れ値分析 探索的データ解析

データと変数設計

使用データ

SSDSE(教育用標準データセット)-B の2022年度データ(47都道府県)を使用。消費支出の内訳科目と人口関連変数から各指標を算出した。

目的変数(プロキシ):
保健医療費割合 (%) = 保健医療費(二人以上の世帯) ÷ 消費支出(二人以上の世帯) × 100

説明変数(大腸がんリスク関連の代理指標)

カテゴリ変数名算出方法大腸がんリスクとの想定関連
高齢化 高齢化率 (%) 65歳以上人口 ÷ 総人口 × 100 高齢者は罹患リスクが高い
食生活 食料費割合 (%) 食料費 ÷ 消費支出 × 100 食費の比率(食生活の量的代理)
余暇・飲酒代理 教養娯楽費割合 (%) 教養娯楽費 ÷ 消費支出 × 100 娯楽支出(飲酒・外食活動の代理)
光熱・生活環境 光熱・水道費割合 (%) 光熱・水道費 ÷ 消費支出 × 100 寒冷地・農村環境の代理
被服・生活水準 被服費割合 (%) 被服・履物費 ÷ 消費支出 × 100 都市型生活水準の代理
経済水準 消費支出(対数) log(消費支出) 所得・経済的豊かさの代理
医療アクセス 一般診療所密度(万対) 一般診療所数 ÷ 総人口 × 10000 医療アクセスが良い → 発見・受診率上昇
口腔衛生 歯科診療所密度(万対) 歯科診療所数 ÷ 総人口 × 10000 口腔衛生・健康意識の代理
出生率 合計特殊出生率 SSDSE-B 直接値 ライフスタイル・若年人口構成の代理
外れ値の事前確認(実データより) 保健医療費割合の全国平均4.96%SD=0.52%)。京都府が最高(6.13%)、青森県が最低(3.77%)。京都府は平均から約2.3 SD離れており、外れ値として散布図で詳しく検討する。
やってみようデータ読み込み(実データのみ・合成データなし) — ライブラリの読み込み
📝 コード
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import os
import warnings
import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib.use('Agg')
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy import stats

warnings.filterwarnings('ignore')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。
💡 Python TIPS f"...{x}..."f-string。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
やってみようデータ読み込み — パス設定とCSVの読み込み
📝 コード
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# ── パス設定 ──────────────────────────────────────────────────────────
DATA_DIR = 'data/raw'
FIG_DIR  = 'html/figures'
os.makedirs(FIG_DIR, exist_ok=True)

plt.rcParams.update({
    'font.family': 'Hiragino Sans',
    'axes.unicode_minus': False,
    'figure.dpi': 150,
    'axes.spines.top': False,
    'axes.spines.right': False,
})

df_raw = pd.read_csv(
    os.path.join(DATA_DIR, 'SSDSE-B-2026.csv'),
    encoding='cp932', header=1
)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
  • pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
やってみようデータ読み込み — 2022年度・47都道府県の抽出
📝 コード
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# 2022年度・都道府県コードのみ抽出(47都道府県)
df = df_raw[
    (df_raw['年度'] == 2022) &
    df_raw['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)
].copy().reset_index(drop=True)

assert len(df) == 47, f"Expected 47 rows, got {len(df)}"
print(f"=== データ読み込み完了 ===")
print(f"  年度: 2022, 都道府県数: {len(df)}")
▼ 実行結果
=== データ読み込み完了 ===
  年度: 2022, 都道府県数: 47
💡 解説
  • df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
  • assert len(df) == 47 — 期待どおり47行になっているかをチェックし、print で確認メッセージを出します。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみようデータ読み込み — 数値変換
📝 コード
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# ── 数値変換 ─────────────────────────────────────────────────────────
num_cols = [
    '総人口', '65歳以上人口', '合計特殊出生率',
    '消費支出(二人以上の世帯)', '食料費(二人以上の世帯)',
    '保健医療費(二人以上の世帯)', '教養娯楽費(二人以上の世帯)',
    '光熱・水道費(二人以上の世帯)', '被服及び履物費(二人以上の世帯)',
    '交通・通信費(二人以上の世帯)', '教育費(二人以上の世帯)',
    '歯科診療所数', '一般診療所数',
]
for c in num_cols:
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。列が数値型に変換されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • pd.to_numeric(df[c], errors='coerce') — 文字列などの数値に変換できない値をNaN欠損値)にして、分析に使う列をすべて数値型に揃えます。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
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相関分析の結果

11の説明変数それぞれについて、保健医療費割合との Pearson 相関係数と p 値を算出し、絶対値の大きい順に図示した。

相関係数棒グラフ
図1:各指標と保健医療費割合の Pearson 相関係数(絶対値降順)。赤バー:p<0.05 有意、灰バー:非有意。
📌 この相関係数棒グラフの読み方
このグラフは
11の説明変数それぞれと保健医療費割合との Pearson相関係数 r を、絶対値の大きい順に横棒で並べたグラフ。
読み方
右(プラス方向)に伸びるバーは正の相関、左(マイナス方向)は負の相関赤いバーは p<0.05 で有意、灰色のバーは非有意。
なぜそう解釈できるか
N=47 では |r|≥0.29 程度で p<0.05 となる。最も長い光熱・水道費割合(r=−0.60)が最強の関連。ただし相関因果関係を意味しない。

相関分析の結果一覧

変数相関係数 rp 値有意性解釈
光熱・水道費割合 −0.602 <0.001 ** 光熱費割合が高い地域(寒冷・農村)は保健医療費割合が低い
被服費割合 +0.423 0.003 ** 被服費が高い(都市型・高生活水準)地域で保健医療費割合が高い
交通・通信費割合 −0.401 0.005 ** 交通費割合が高い地域(地方・農村)で保健医療費割合が低い
高齢化率 −0.379 0.009 ** 高齢化が進んだ地域で保健医療費割合が低い(逆説的相関
消費支出(対数) +0.311 0.034 * 消費水準が高い(富裕)地域ほど保健医療費割合が高い
歯科診療所密度 +0.266 0.070 傾向 (有意傾向)歯科診療所が多い地域はやや保健医療費割合が高い
教養娯楽費割合 +0.184 0.215 ns 有意な関連なし
一般診療所密度 +0.180 0.225 ns 有意な関連なし
教育費割合 +0.174 0.242 ns 有意な関連なし
食料費割合 −0.103 0.492 ns 有意な関連なし(食費単独では判断困難)
合計特殊出生率 +0.047 0.753 ns 関連なし
相関分析の主要な発見 有意な相関が見られたのは5変数(光熱・水道費割合、被服費割合、交通・通信費割合、高齢化率、消費支出)。光熱・水道費割合(r=−0.60)が最強の負の相関を示し、地域の生活環境(気候・都市度)が保健医療費割合に大きく影響することがわかる。高齢化率との相関が予想に反して負であることは、集計データの特性(生態学的誤謬)や交絡変数の存在を示唆する。

DS LEARNING POINT 1

Pearson 相関係数の読み方と有意性

N=47(都道府県)の場合、|r|≥0.29 程度で p<0.05 となる。「有意」であっても相関関係であって因果関係ではない。交絡変数(第三の変数)の影響も常に考慮する必要がある。

from scipy import stats # Pearson相関係数p値の計算 r, p = stats.pearsonr(x_vals, y_vals) print(f"r = {r:.4f}, p = {p:.4f}") # N=47での目安 # |r| >= 0.29 で p < 0.05 # |r| >= 0.38 で p < 0.01 # Cohen(1988)の効果量基準: # 小(Small): |r| = 0.1 # 中(Medium): |r| = 0.3 # 大(Large): |r| = 0.5
やってみよう図1を描く:相関係数棒グラフ(絶対値降順)
📝 コード
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sorted_items = sorted(corr_results.items(), key=lambda x: abs(x[1]['r']), reverse=True)
names_sorted = [x[0] for x in sorted_items]
r_sorted     = [x[1]['r'] for x in sorted_items]
p_sorted     = [x[1]['p'] for x in sorted_items]
colors_bar   = ['#C62828' if p < 0.05 else '#90A4AE' for p in p_sorted]

fig, ax = plt.subplots(figsize=(9, 6))
bars = ax.barh(range(len(names_sorted)), r_sorted,
               color=colors_bar, alpha=0.85, height=0.65)
ax.set_yticks(range(len(names_sorted)))
ax.set_yticklabels(names_sorted, fontsize=10)
ax.axvline(0, color='black', lw=1.0)
ax.set_xlabel('Pearson 相関係数 r', fontsize=11)
ax.set_title('各指標と保健医療費割合の相関係数\n(赤:p<0.05有意、灰:非有意)',
             fontsize=13, fontweight='bold')
ax.set_xlim(-1, 1)

for i, (bar, r, p) in enumerate(zip(bars, r_sorted, p_sorted)):
    xpos = bar.get_width() + (0.02 if r >= 0 else -0.02)
    ha   = 'left' if r >= 0 else 'right'
    label = f'r={r:.2f}{"*" if p < 0.05 else ""}'
    ax.text(xpos, i, label, va='center', fontsize=8.5, ha=ha)

import matplotlib.patches as mpatches
sig_patch = mpatches.Patch(color='#C62828', alpha=0.85, label='有意 (p<0.05)')
ns_patch  = mpatches.Patch(color='#90A4AE', alpha=0.85, label='非有意')
ax.legend(handles=[sig_patch, ns_patch], fontsize=9, loc='lower right')

plt.tight_layout()
fig1_path = os.path.join(FIG_DIR, '2023_H2_fig1_corr.png')
plt.savefig(fig1_path, bbox_inches='tight')
plt.close()
print(f"\nFigure 1 saved: {fig1_path}")
▼ 実行結果
Figure 1 saved: html/figures/2023_H2_fig1_corr.png
💡 解説
  • ax.barh(...) — 横向きの棒グラフcolors_bar で p<0.05 のバーだけ赤にしています。
  • ax.axvline(0, ...) — r=0 の位置に基準線を引き、正負の向きを見やすくします。
  • matplotlib.patchesPatch — 凡例(有意=赤/非有意=灰)を手動で作る定番テクニック。
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
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高齢化率と保健医療費割合(外れ値分析)

高齢化が進むほど大腸がん罹患リスクが上昇すると予想されるが、都道府県データでは逆方向の相関(r=−0.379)が観察された。この「逆説的な相関」の背景に外れ値の影響がないか、2本の回帰線で確認する。

高齢化率 vs 保健医療費割合
図2:高齢化率と保健医療費割合の散布図。赤星(京都府)が外れ値。実線:全47都道府県の回帰直線、破線:京都府除外の回帰直線
📌 この散布図回帰直線2本)の読み方
このグラフは
横軸に高齢化率、縦軸に保健医療費割合を取り、47都道府県を青い点で描いた散布図。赤い星が外れ値の京都府。
読み方
点の並びが右下がりなので負の相関(r=−0.379)。青の実線は全47都道府県の回帰直線、オレンジの破線は京都府を除いた46都道府県の回帰直線
なぜそう解釈できるか
2本の回帰直線がほぼ重なっている(r=−0.379 → −0.375)ことから、負の相関外れ値1点によって作られたものではないと確認できる。
モデル相関係数 rp 値有意性備考
全47都道府県 −0.379 0.009 **
京都府除外(46都道府県) −0.375 0.010 ** 外れ値の影響は軽微
外れ値(京都府、保健医療費割合6.13%)の解釈 京都府は保健医療費割合が全国最高(6.13%)で、平均から約2.3 SD 離れた外れ値である。観光業が盛んで医療施設も充実し、生活スタイルや医療消費の特性が全国平均と異なる可能性がある。ただし、外れ値を除外しても相関係数の変化は小さく(−0.379 → −0.375)、結論への影響は軽微である。
高齢化率が高いほど保健医療費割合が低い」という逆説について 都道府県レベルの集計データでは個人レベルの因果関係と異なる「生態学的相関」が現れることがある(生態学的誤謬)。高齢化が進んだ農村部では消費支出全体のうち光熱費・交通費などの費目が大きくなり、相対的に保健医療費割合が下がる可能性がある。また、生活費の絶対額が少ない農村高齢者は受診を抑制する傾向も考えられる。

このように相関の符号が常識と逆向きになるのは、交絡変数(第三の変数)による疑似相関を疑うサインである。本データでは光熱・水道費割合が最強の負の相関(r=−0.60)を示しており、「高齢化が進んだ地域」と「光熱費割合が高い寒冷・農村地域」が重なることで、高齢化率が見かけ上の負の相関(r=−0.38)を示している可能性が高い。交絡を統制するには、重回帰分析や偏相関で光熱費割合を固定した上で高齢化率係数を見る必要がある(符号が反転すれば交絡多重共線性のサイン。→「発展の可能性②」参照)。

DS LEARNING POINT 2

外れ値の影響確認:2本の回帰線

外れ値1点が相関係数を大きく動かすことがある。「全データ」と「外れ値除外」の2本の回帰線を重ねて描くことで、外れ値の影響を視覚的に確認できる。2本の線が大きくずれていれば外れ値の影響が大きい。

from scipy import stats import numpy as np # 全データ回帰 slope_all, intercept_all, r_all, p_all, _ = stats.linregress(x_all, y_all) # 外れ値(京都府)除外 mask = (pref != '京都府') slope_no, intercept_no, r_no, p_no, _ = stats.linregress(x_all[mask], y_all[mask]) # 2本の回帰線を描画 x_line = np.linspace(x_all.min(), x_all.max(), 200) ax.plot(x_line, slope_all * x_line + intercept_all, label=f'全データ r={r_all:.3f}') ax.plot(x_line, slope_no * x_line + intercept_no, ls='--', label=f'外れ値除外 r={r_no:.3f}') # 変化が小さければ → 外れ値の影響は軽微 # 変化が大きければ → 外れ値相関を作り出している
やってみよう図2を描く:高齢化率 vs 保健医療費割合 — 外れ値マスクの準備
📝 コード
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x2 = aging_rate
y2 = health_share
mask_valid = ~(np.isnan(x2) | np.isnan(y2))
x2v, y2v = x2[mask_valid], y2[mask_valid]
pref_v = pref[mask_valid]

# 外れ値マスク(保健医療費割合が最高の都道府県)
is_outlier = (pref_v == outlier_pref)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • 高齢化率と保健医療費割合の散布図を描くため、欠損値を除外して有効なデータのみを抽出しています。あわせて、後の工程で特定の都道府県を外れ値として区別して扱うための判定フラグを作成しています。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう図2を描く — 全データ回帰外れ値除外回帰
📝 コード
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# 全データ回帰
slope_all, intercept_all, r_all, p_all, _ = stats.linregress(x2v, y2v)
# 外れ値除外回帰
xno = x2v[~is_outlier]
yno = y2v[~is_outlier]
slope_no, intercept_no, r_no, p_no, _ = stats.linregress(xno, yno)

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 6))
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう図2を描く — 散布図の点と外れ値のハイライト
📝 コード
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# 通常の点
ax.scatter(x2v[~is_outlier], y2v[~is_outlier],
           color='#1565C0', alpha=0.7, s=55, zorder=3, label='都道府県')

# 外れ値の点
ax.scatter(x2v[is_outlier], y2v[is_outlier],
           color='#C62828', s=120, zorder=5, marker='*',
           label=f'外れ値:{outlier_pref}')
for xi, yi, pi in zip(x2v[is_outlier], y2v[is_outlier], pref_v[is_outlier]):
    ax.annotate(pi, (xi, yi), textcoords='offset points', xytext=(6, 4),
                fontsize=9, color='#C62828', fontweight='bold')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • 散布図において、通常のデータ点と外れ値として判定された点を色や形で描き分けて視覚化しています。外れ値には目立つ星印を付け、さらに都道府県名をラベルとして添えることで、どのデータが特異な値を持っているかを一目で判別できるようにしています。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
やってみよう図2を描く — 回帰線2本の描画と保存
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# 回帰線(全データ)
x_line = np.linspace(x2v.min(), x2v.max(), 200)
ax.plot(x_line, slope_all * x_line + intercept_all,
        color='#1565C0', lw=2, ls='-',
        label=f'全都道府県 (r={r_all:+.3f}, p={p_all:.3f})')
# 回帰線(外れ値除外)
ax.plot(x_line, slope_no * x_line + intercept_no,
        color='#E65100', lw=2, ls='--',
        label=f'外れ値除外 (r={r_no:+.3f}, p={p_no:.3f})')

ax.set_xlabel('高齢化率 (%)', fontsize=12)
ax.set_ylabel('保健医療費割合 (%)', fontsize=12)
ax.set_title('高齢化率と保健医療費割合の関係\n(外れ値の影響を確認)',
             fontsize=13, fontweight='bold')
ax.legend(fontsize=9)

plt.tight_layout()
fig2_path = os.path.join(FIG_DIR, '2023_H2_fig2_aging.png')
plt.savefig(fig2_path, bbox_inches='tight')
plt.close()
print(f"Figure 2 saved: {fig2_path}")

print(f"  全データ:    r={r_all:+.4f}  p={p_all:.4f}")
print(f"  外れ値除外:  r={r_no:+.4f}  p={p_no:.4f}")
▼ 実行結果
Figure 2 saved: html/figures/2023_H2_fig2_aging.png
  全データ:    r=-0.3792  p=0.0086
  外れ値除外:  r=-0.3751  p=0.0102
💡 解説
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr)累積和np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。
3
食料費割合と保健医療費割合

大腸がんの主要リスク因子として食生活が挙げられる。食料費割合(食費の消費支出に占める割合)を食生活の代理指標として分析した。

食料費割合 vs 保健医療費割合
図3:食料費割合と保健医療費割合の散布図。赤点は外れ値都道府県(京都府・青森県)。緑線:回帰直線(r=−0.103, p=0.492)。
📌 この散布図相関なしの例)の読み方
このグラフは
横軸に食料費割合、縦軸に保健医療費割合を取り、47都道府県を緑の点で描いた散布図。赤点は保健医療費割合が最高の京都府と最低の青森県。
読み方
点にはっきりした右上がり・右下がりの傾向がなく、緑の回帰直線もほぼ水平(r=−0.103, p=0.492)。
なぜそう解釈できるか
N=47 では |r|≥0.29 程度が有意の目安で、r=−0.10 はそれを大きく下回る。「関係がない証明」ではなく「このデータでは明確な関連を検出できなかった」と読むのが正しい。
結果:食料費割合との相関(r=−0.103, p=0.492) 食料費割合は保健医療費割合と有意な相関を示さなかった。食費の総額の割合ではなく、食の内容(赤身肉・加工食品・食物繊維の割合など)が大腸がんリスクに影響すると考えられるが、都道府県単位の家計調査ではその内訳を把握できない。
考察:データの限界と改善策 大腸がん研究で重要な「食物繊維摂取量」「赤身肉消費量」「飲酒量」「運動量」などはSSDSE-Bには含まれない。より精度の高い分析には、国民健康・栄養調査(厚生労働省)のデータとの組み合わせ、または医療費レセプトデータの活用が有効である。

DS LEARNING POINT 3

「有意な相関なし」の正しい解釈

p>0.05(統計的に有意でない)は「関係がない」ではなく、「このデータ・このサンプルサイズでは関係が検出できなかった」を意味する。N=47では |r|≥0.29 程度が検出の目安であり、それより小さい効果量は見逃される可能性がある。

r, p = stats.pearsonr(food_share, health_share) # 結果: r = -0.1027, p = 0.4921 # 解釈のポイント: # - N=47 では |r| < 0.29 は検出力不足で有意にならない # - r=-0.10 は「小さな効果量(Cohen小=0.1)」に相当 # - 「関係がない証明」には等価性検定(equivalence test)が必要 # - 結論: 「食料費割合との明確な相関は検出されなかった。 # より細かい食事内容データが必要。」
やってみよう図3を描く:食料費割合 vs 保健医療費割合 — 散布図と単回帰
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x3 = food_share
y3 = health_share
mask3 = ~(np.isnan(x3) | np.isnan(y3))
x3v, y3v, pref3 = x3[mask3], y3[mask3], pref[mask3]

slope3, intercept3, r3, p3, _ = stats.linregress(x3v, y3v)

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 6))
ax.scatter(x3v, y3v, color='#2E7D32', alpha=0.75, s=55, zorder=3)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう図3を描く — 注目都道府県の強調・回帰直線・保存
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# 注目点(最高保健医療費)
for xi, yi, pi in zip(x3v, y3v, pref3):
    if pi in [outlier_pref, pref[idx_min]]:
        ax.annotate(pi, (xi, yi), textcoords='offset points', xytext=(6, 3),
                    fontsize=8.5, color='#C62828', fontweight='bold')
        ax.scatter([xi], [yi], color='#C62828', s=80, zorder=5)

x_line3 = np.linspace(x3v.min(), x3v.max(), 200)
ax.plot(x_line3, slope3 * x_line3 + intercept3,
        color='#2E7D32', lw=2,
        label=f'回帰直線 (r={r3:+.3f}, p={p3:.3f})')

ax.set_xlabel('食料費割合 (%)', fontsize=12)
ax.set_ylabel('保健医療費割合 (%)', fontsize=12)
ax.set_title('食料費割合と保健医療費割合の関係\n(食生活と疾病負担の代理変数)',
             fontsize=13, fontweight='bold')
ax.legend(fontsize=10)

plt.tight_layout()
fig3_path = os.path.join(FIG_DIR, '2023_H2_fig3_food.png')
plt.savefig(fig3_path, bbox_inches='tight')
plt.close()
print(f"Figure 3 saved: {fig3_path}")
print(f"  食料費割合 vs 保健医療費割合: r={r3:+.4f}  p={p3:.4f}")
▼ 実行結果
Figure 3 saved: html/figures/2023_H2_fig3_food.png
  食料費割合 vs 保健医療費割合: r=-0.1027  p=0.4921
💡 解説
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
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偏相関分析 — 擬似相関を見破る(原論文の核心)

原論文でもっとも重要な工程がこの偏相関分析です。原論文は男性の分析で「日照時間が長い県ほど大腸がん罹患者数が少ない」という負の相関を見つけましたが、著者はこれを鵜呑みにしませんでした。調べると「日照時間」と「飲酒」の間に負の相関(r = −0.414)があったのです。

原論文の疑い(報告値) 日照時間 → 大腸がん罹患 の相関は、実は「日照時間が短い県は飲酒が多く、飲酒が多いから罹患が多い」という擬似相関ではないか? → 「飲酒」の影響を取り除いて偏相関を計算すると、日照時間と罹患者数の偏相関係数は 50代で −0.132、60代で −0.294 に縮小。50代の相関はほぼ擬似相関と判明した一方、60代にはなお弱い相関が残った(=日照時間の直接効果が全く無いとは言えない)。

偏相関係数の式

変数 z の影響を取り除いた x と y の偏相関係数は、3つのふつうの相関係数から計算できます。

rxy·z = ( rxy − rxz · ryz ) / √( (1 − rxz²)(1 − ryz²) )

本教材のデータで同じ論理を再現する

大腸がん罹患者数(がん統計)は SSDSE に収録されていないため、本教材の変数セット(SSDSE-B-2026 実データ)で同じ「擬似相関の見破り」を実演します。目をつけるのは「教養娯楽費割合 × 保健医療費割合」の正の相関(r = +0.184)です。これは本物でしょうか?

実は両変数とも高齢化率と負の相関を持ちます(教養娯楽費: r = −0.400、保健医療費: r = −0.379)。高齢化率が低い都市部の県ほど娯楽支出も医療支出の割合も高く見える——つまり高齢化率が共通の背後要因(交絡)になっている疑いがあります。

手計算:値を式に入れる

rxy·z = ( 0.184 − (−0.400) × (−0.379) ) / √( (1 − 0.400²)(1 − 0.379²) ) = ( 0.184 − 0.152 ) / √( 0.840 × 0.856 ) = 0.032 / 0.848 = +0.038

相関 +0.184 は高齢化率を統制すると +0.038 とほぼゼロになりました。原論文の 50 代日照時間と同じく、擬似相関だったわけです。

やってみよう偏相関で擬似相関を見破る(スタンドアロン・スクリプト)
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import numpy as np
import pandas as pd

df_raw = pd.read_csv('data/raw/SSDSE-B-2026.csv', encoding='cp932', header=1)
df = df_raw[(df_raw['年度'] == 2022)
            & df_raw['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)].reset_index(drop=True)

# 割合の指標をつくる(すべて実データ)
health = df['保健医療費(二人以上の世帯)'] / df['消費支出(二人以上の世帯)'] * 100
hobby = df['教養娯楽費(二人以上の世帯)'] / df['消費支出(二人以上の世帯)'] * 100
util = df['光熱・水道費(二人以上の世帯)'] / df['消費支出(二人以上の世帯)'] * 100
aging = df['65歳以上人口'] / df['総人口'] * 100


def partial_r(x, y, z):
    """z の影響を取り除いた x と y の偏相関係数"""
    r_xy = np.corrcoef(x, y)[0, 1]
    r_xz = np.corrcoef(x, z)[0, 1]
    r_yz = np.corrcoef(y, z)[0, 1]
    return (r_xy - r_xz * r_yz) / np.sqrt((1 - r_xz**2) * (1 - r_yz**2))


# ケース1: 教養娯楽費 × 保健医療費(高齢化率を統制)
print('--- ケース1: 教養娯楽費割合 × 保健医療費割合 ---')
print(f'ふつうの相関 r          = {np.corrcoef(hobby, health)[0, 1]:+.3f}')
print(f'r(教養娯楽費, 高齢化率) = {np.corrcoef(hobby, aging)[0, 1]:+.3f}')
print(f'r(保健医療費, 高齢化率) = {np.corrcoef(health, aging)[0, 1]:+.3f}')
print(f'高齢化率を統制した偏相関 = {partial_r(hobby, health, aging):+.3f}')

# ケース2: 光熱・水道費 × 保健医療費(同じく高齢化率を統制)
print('--- ケース2: 光熱・水道費割合 × 保健医療費割合 ---')
print(f'ふつうの相関 r          = {np.corrcoef(util, health)[0, 1]:+.3f}')
print(f'高齢化率を統制した偏相関 = {partial_r(util, health, aging):+.3f}')
▼ 実行結果
--- ケース1: 教養娯楽費割合 × 保健医療費割合 --- ふつうの相関 r = +0.184 r(教養娯楽費, 高齢化率) = -0.400 r(保健医療費, 高齢化率) = -0.379 高齢化率を統制した偏相関 = +0.038 --- ケース2: 光熱・水道費割合 × 保健医療費割合 --- ふつうの相関 r = -0.602 高齢化率を統制した偏相関 = -0.515
💡 解説
  • ケース1:教養娯楽費×保健医療費の相関 +0.184 は、高齢化率を統制すると +0.038 に消滅 → 擬似相関。原論文の「日照時間×罹患(50代)」に対応します。
  • ケース2:光熱・水道費×保健医療費の相関 −0.602 は、統制しても −0.515 と強いまま残る → 高齢化率では説明できない頑健な関係。原論文の「60代ではなお相関が残った」に対応します。
  • 偏相関は「第3の変数を疑う」ための道具です。原論文はこの工程を挟むことで、相関表の数字を機械的に因果と読む誤りを避けています。
💡 Python TIPS 偏相関は専用ライブラリが無くても、この式のとおり np.corrcoef 3 回で計算できます。

原論文の偏相関結果(報告値)との対応

分析ふつうの相関統制変数偏相関判定
【原論文・男性】日照時間 × 大腸がん罹患(50代)負の相関飲酒−0.132ほぼ擬似相関
【原論文・男性】日照時間 × 大腸がん罹患(60代)負の相関飲酒−0.294弱い相関が残る
【原論文・女性】塩分摂取 × 罹患(30代)正の相関野菜摂取+0.090擬似相関
【原論文・女性】野菜摂取 × 罹患(70代)正の相関塩分摂取−0.158擬似相関
【本教材】教養娯楽費 × 保健医療費+0.184高齢化率+0.038擬似相関
【本教材】光熱・水道費 × 保健医療費−0.602高齢化率−0.515頑健な相関
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消費支出と保健医療費割合(都道府県ラベル付き)

消費支出は経済的豊かさの代理指標であり、医療へのアクセス意欲や生活水準を反映する。全47都道府県のラベルを付した散布図で地域差を視覚化した。

消費支出 vs 保健医療費割合
図4:消費支出(千円/月・二人以上世帯)と保健医療費割合の散布図(都道府県ラベル付き)。赤字が外れ値(京都府)。紫線:回帰直線(横軸実額で r=+0.306, p=0.037。相関表の r=+0.311, p=0.034 は対数変換値)。
📌 このラベル付き散布図の読み方
このグラフは
横軸に消費支出(千円/月)、縦軸に保健医療費割合を取り、47都道府県すべてに県名ラベルを付けた散布図。赤字が外れ値の京都府。
読み方
点の並びに緩やかな右上がりの傾向があり、紫の回帰直線が正の相関を示す(横軸が実額のこの図では r=+0.306, p=0.037)。
なぜそう解釈できるか
県名ラベルにより、回帰直線から大きく外れた地域(京都府など)を一目で特定できる。相関表の r=+0.311 は消費支出を対数変換した値で、実額での r=+0.306 とほぼ一致する。
結果:消費支出との有意な正の相関(r=+0.311, p=0.034) 消費支出が高い都道府県ほど保健医療費割合も高い傾向があり、有意な正の相関が確認された。相関表の r=+0.311, p=0.034 は消費支出を対数変換した値、図4(横軸が実額)の再現値は r=+0.306, p=0.037 で、どちらの尺度でも結論は同じである。経済的に豊かな地域では医療への支出が増える、あるいは医療へのアクセスがよく受診率が高いことが考えられる。
都道府県ラベル付き散布図の利点 全都道府県のラベル散布図に付すことで、どの地域が回帰直線から外れているかを一目で確認できる。「統計量だけでなく、データの背景にある地域の特性を考察する」という探索的データ解析(EDA)の本質的な姿勢を示す。

DS LEARNING POINT 4

探索的データ解析(EDA)とラベル付き散布図

散布図に個々のデータポイントのラベルを付けることで、回帰直線から大きく外れた観察値(残差が大きい点)をすぐに特定できる。これは EDAExploratory Data Analysis)の基本技法。

fig, ax = plt.subplots(figsize=(11, 7)) ax.scatter(x4v, y4v, color='#6A1B9A', alpha=0.7, s=50) # 全都道府県のラベルを付ける for xi, yi, pi in zip(x4v, y4v, pref4): # 都道府県名を短縮(「県」「都」「道」「府」を除去) short = pi.replace('都','').replace('道','').replace('府','').replace('県','') color = '#C62828' if pi == outlier_pref else '#333333' ax.text(xi, yi + 0.04, short, fontsize=6.5, ha='center', color=color) # 回帰直線を重ねて表示 x_line = np.linspace(x4v.min(), x4v.max(), 200) ax.plot(x_line, slope4 * x_line + intercept4, label=f'回帰直線 r={r4:.3f}, p={p4:.3f}')
やってみよう変数エンジニアリング(割合・密度・対数指標の算出)
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pop     = df['総人口'].values.clip(1)
spend   = df['消費支出(二人以上の世帯)'].values.astype(float).clip(1)

# 目的変数:保健医療費割合(%)= 保健医療費 / 消費支出 × 100
health_share = df['保健医療費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100

# 説明変数群
aging_rate   = df['65歳以上人口'].values / pop * 100          # 高齢化率(%)
food_share   = df['食料費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100     # 食料費割合(%)
leisure_share= df['教養娯楽費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100  # 教養娯楽費割合(%)
heat_share   = df['光熱・水道費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100  # 光熱・水道費割合(%)
cloth_share  = df['被服及び履物費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100 # 被服費割合(%)
transp_share = df['交通・通信費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100  # 交通・通信費割合(%)
edu_share    = df['教育費(二人以上の世帯)'].values / spend * 100       # 教育費割合(%)
tfr          = df['合計特殊出生率'].values.astype(float)      # 合計特殊出生率
dental_density = df['歯科診療所数'].values / pop * 10000      # 歯科診療所密度(人口1万対)
clinic_density = df['一般診療所数'].values / pop * 10000      # 一般診療所密度(人口1万対)
log_spend    = np.log(spend)                                   # 消費支出(対数)

pref = df['都道府県'].values
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • 分析に用いるため、元のデータから割合や密度などの新しい指標を算出しています。具体的には、消費支出に対する各費目の割合や人口あたりの診療所数、またスケールを調整するための消費支出の対数値を計算し、分析に適した変数を作成しています。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
やってみようPearson相関分析(全説明変数 vs 保健医療費割合)
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predictors = {
    '高齢化率 (%)':           aging_rate,
    '食料費割合 (%)':         food_share,
    '教養娯楽費割合 (%)':     leisure_share,
    '光熱・水道費割合 (%)':   heat_share,
    '被服費割合 (%)':         cloth_share,
    '交通・通信費割合 (%)':   transp_share,
    '教育費割合 (%)':         edu_share,
    '合計特殊出生率':         tfr,
    '歯科診療所密度(万対)': dental_density,
    '一般診療所密度(万対)': clinic_density,
    '消費支出(対数)':       log_spend,
}

print("\n=== Pearson 相関係数(vs 保健医療費割合) ===")
corr_results = {}
for name, vals in predictors.items():
    mask = ~(np.isnan(vals) | np.isnan(health_share))
    if mask.sum() < 5:
        continue
    r, p = stats.pearsonr(vals[mask], health_share[mask])
    corr_results[name] = {'r': r, 'p': p}
    sig = '**' if p < 0.01 else ('*' if p < 0.05 else 'ns')
    print(f"  {name:25s}  r={r:+.4f}  p={p:.4f}  {sig}")
▼ 実行結果
=== Pearson 相関係数(vs 保健医療費割合) ===
  高齢化率 (%)                   r=-0.3792  p=0.0086  **
  食料費割合 (%)                  r=-0.1027  p=0.4921  ns
  教養娯楽費割合 (%)                r=+0.1842  p=0.2152  ns
  光熱・水道費割合 (%)               r=-0.6019  p=0.0000  **
  被服費割合 (%)                  r=+0.4227  p=0.0031  **
  交通・通信費割合 (%)               r=-0.4006  p=0.0053  **
  教育費割合 (%)                  r=+0.1741  p=0.2420  ns
  合計特殊出生率                    r=+0.0471  p=0.7534  ns
  歯科診療所密度(万対)                r=+0.2664  p=0.0703  ns
  一般診療所密度(万対)                r=+0.1804  p=0.2250  ns
  消費支出(対数)                   r=+0.3105  p=0.0337  *
💡 解説
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう外れ値の特定(保健医療費割合の最高・最低)
📝 コード
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idx_max = np.argmax(health_share)
idx_min = np.argmin(health_share)
outlier_idx = idx_max   # 最高値を外れ値として扱う
outlier_pref = pref[outlier_idx]

print(f"\n=== 保健医療費割合の外れ値 ===")
print(f"  最高: {pref[idx_max]} ({health_share[idx_max]:.2f}%)")
print(f"  最低: {pref[idx_min]} ({health_share[idx_min]:.2f}%)")
print(f"  全体平均: {health_share.mean():.2f}%  SD: {health_share.std():.2f}%")
▼ 実行結果
=== 保健医療費割合の外れ値 ===
  最高: 京都府 (6.13%)
  最低: 青森県 (3.77%)
  全体平均: 4.96%  SD: 0.52%
💡 解説
  • 保健医療費割合のデータから、最大値と最小値を持つ都道府県を特定して外れ値の候補を確認しています。出力結果からは、極端に高い割合や低い割合を示す地域がどこであるか、またそれらが全体の平均や標準偏差からどの程度離れているかを把握できます。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう図4を描く:消費支出 vs 保健医療費割合 — 散布図と単回帰
📝 コード
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x4 = spend / 1000   # 千円単位
y4 = health_share
mask4 = ~(np.isnan(x4) | np.isnan(y4))
x4v, y4v, pref4 = x4[mask4], y4[mask4], pref[mask4]

slope4, intercept4, r4, p4, _ = stats.linregress(x4v, y4v)

fig, ax = plt.subplots(figsize=(11, 7))
ax.scatter(x4v, y4v, color='#6A1B9A', alpha=0.7, s=50, zorder=3)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
やってみよう図4を描く — 全都道府県の県名ラベル回帰直線・保存
📝 コード
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# 全都道府県ラベル(小さめ)
for xi, yi, pi in zip(x4v, y4v, pref4):
    short = pi.replace('都', '').replace('道', '').replace('府', '').replace('県', '')
    color = '#C62828' if pi == outlier_pref else '#333333'
    weight = 'bold' if pi == outlier_pref else 'normal'
    ax.text(xi, yi + 0.04, short, fontsize=6.5, ha='center',
            color=color, fontweight=weight)

x_line4 = np.linspace(x4v.min(), x4v.max(), 200)
ax.plot(x_line4, slope4 * x_line4 + intercept4,
        color='#6A1B9A', lw=2,
        label=f'回帰直線 (r={r4:+.3f}, p={p4:.3f})')

ax.set_xlabel('消費支出(千円/月・二人以上世帯)', fontsize=12)
ax.set_ylabel('保健医療費割合 (%)', fontsize=12)
ax.set_title('消費支出と保健医療費割合の関係(都道府県別)\n'
             '(赤字:外れ値都道府県)',
             fontsize=13, fontweight='bold')
ax.legend(fontsize=10)

plt.tight_layout()
fig4_path = os.path.join(FIG_DIR, '2023_H2_fig4_spend.png')
plt.savefig(fig4_path, bbox_inches='tight')
plt.close()
print(f"Figure 4 saved: {fig4_path}")
print(f"  消費支出 vs 保健医療費割合: r={r4:+.4f}  p={p4:.4f}")
▼ 実行結果
Figure 4 saved: html/figures/2023_H2_fig4_spend.png
  消費支出 vs 保健医療費割合: r=+0.3055  p=0.0368
💡 解説
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr)累積和np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。
やってみよう結果サマリーの出力
📝 コード
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print("\n=== 分析サマリー ===")
print(f"  目的変数: 保健医療費割合(保健医療費/消費支出×100)")
print(f"  データ: SSDSE-B-2026.csv 2022年度 47都道府県")
print(f"  外れ値(最高): {pref[idx_max]}  {health_share[idx_max]:.2f}%")
print(f"  外れ値(最低): {pref[idx_min]}  {health_share[idx_min]:.2f}%")
print(f"  平均: {health_share.mean():.2f}%  SD: {health_share.std():.2f}%")
print("\n上位相関変数(絶対値):")
for name, res in sorted_items[:5]:
    sig = '有意' if res['p'] < 0.05 else '非有意'
    print(f"  {name:25s}  r={res['r']:+.4f}  p={res['p']:.4f}  ({sig})")
print("\n分析完了。html/figures/ に図を保存しました。")
▼ 実行結果
=== 分析サマリー ===
  目的変数: 保健医療費割合(保健医療費/消費支出×100)
  データ: SSDSE-B-2026.csv 2022年度 47都道府県
  外れ値(最高): 京都府  6.13%
  外れ値(最低): 青森県  3.77%
  平均: 4.96%  SD: 0.52%

上位相関変数(絶対値):
  光熱・水道費割合 (%)               r=-0.6019  p=0.0000  (有意)
  被服費割合 (%)                  r=+0.4227  p=0.0031  (有意)
  交通・通信費割合 (%)               r=-0.4006  p=0.0053  (有意)
  高齢化率 (%)                   r=-0.3792  p=0.0086  (有意)
  消費支出(対数)                   r=+0.3105  p=0.0337  (有意)

分析完了。html/figures/ に図を保存しました。
💡 解説
  • 分析の全体像を把握するため、保健医療費割合の基本統計量と、相関が高い変数のランキングを出力しています。結果からは、データの平均的な傾向や外れ値の都道府県に加え、どの変数が統計的に有意に影響しているかを確認することができます。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr)累積和np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。

まとめと罹患しにくい生活の提案

分析の主要な発見

SSDSE-B の2022年度47都道府県データを用い、保健医療費割合(疾病負担プロキシ)との相関分析を行った結果:

  1. 光熱・水道費割合(負、r=−0.60, p<0.001):最強の関連。農村・寒冷地型の生活費構造を持つ地域で保健医療費割合が低い傾向。生活環境と医療費負担の関係を示す。
  2. 消費支出・生活水準(正、r=+0.31, p=0.034):経済的に豊かな地域ほど保健医療費割合が高い。より積極的な受診行動が考えられる。
  3. 高齢化率(負、r=−0.38, p=0.009):逆説的な負の相関。生態学的誤謬や交絡変数(光熱費割合との交絡)の可能性を示す。外れ値(京都府)を除外しても関係は変わらない。
  4. 食料費割合(r=−0.10, p=0.492):有意な相関なし。食の「量」でなく「質」のデータが必要。
罹患しにくい生活への提案(データに基づく考察)
  • 食事の内容(食物繊維の摂取、赤身肉・加工食品の制限)を改善する
  • 定期的な健診・大腸がん検診を受け、早期発見に努める(医療へのアクセス向上)
  • 飲酒・喫煙を控え、適度な運動習慣を持つ(消費支出の内訳よりも生活習慣の直接改善が重要)
  • 地域の経済水準や医療アクセスの格差を縮小する政策的取り組みが必要
本研究の限界 本研究はSSDSE-Bの消費支出データを用いたプロキシ分析であり、大腸がん罹患率を直接分析したものではない。より精密な分析には、がん登録データや国民健康・栄養調査との連結が必要である。都道府県単位の集計データでは個人レベルの因果関係を推論するのに限界があることを認識した上で解釈する必要がある。
教育的価値(この分析から学べること)
  • がん疫学:がん罹患率と生活習慣・食生活・環境要因の関係を分析する公衆衛生学の典型問題。
  • 生態学的研究と個人研究:県別データは集団レベル。個人レベルの結論を導く際は『エコロジカル誤謬』に注意。
  • 罹患率の標準化:年齢構成の違いを揃えた『年齢調整罹患率』で比較するのが基本。

データ・コードのダウンロード

分析スクリプト(2023_H2_yushu.py)
データ・資料出典
SSDSE-B 都道府県データ(2022年度)統計センター SSDSE(教育用標準データセット)
消費支出・保健医療費データ総務省統計局 家計調査(SSDSE-B収録)
人口・高齢化率データ総務省統計局 住民基本台帳(SSDSE-B収録)

本教育用コードはSSDSE-B実データのみを使用(合成データ・np.random 不使用)。2022年度47都道府県データより算出。

教育用再現コード | 2023年度 統計データ分析コンペティション 優秀賞 [高校生の部]

⚠️ よくある誤解と注意点

統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違いをまとめます。特に「相関因果の混同」「p値の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。

❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関spurious correlationとは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているだけの現象です。

古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数に引きずられているだけ。

論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい」という意味であって、「実用的に大きな効果がある」という意味ではありません。

例: 巨大なサンプルサイズ(n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。

正しい読み方: p値効果量係数の大きさ、相関係数の値)の両方をセットで判断してください。p値だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数の絶対値は、説明変数単位に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数を直接比較しても意味がありません。

正しい比較方法: (1) 標準化係数(各変数を平均0・分散1に変換した上での係数)を使う、(2) 限界効果(変数を1標準偏差動かしたときのyの変化)で比較する。

また、係数の大きさが「因果関係の強さ」を意味するわけでもありません。あくまで「相関的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値(極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざんに近い行為です。

外れ値が示すもの: 本当に重要な情報であることが多い(本論文の京都府=保健医療費割合が全国最高の6.13%も、除外ではなく「なぜ高いのか」の考察対象とした)。外れ値を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。

正しい対処: (1) 外れ値の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラメトリック手法(Spearman相関Kruskal-Wallis)を使う、(3) 外れ値を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ(n)が大きいと統計的検定の検出力は上がりますが、それは「偶然による誤差を減らす効果」にすぎません。

nが大きくても解消されない問題:
選択バイアス標本が偏っている)
測定誤差(変数の定義が曖昧)
欠損値のパターン(欠損がランダムでない)
交絡変数の見落とし

例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレストニューラルネット・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。

過学習(overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ偶然のパターンまで学習してしまい、新しいデータでは予測精度が落ちます。

シンプルさの価値: 重回帰分析相関分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性とは、説明変数同士の相関が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数符号や大きさが入れ替わる異常事態が起こります。

典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関が r=0.99 になり、係数推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果になりがちです。

診断と対処:
VIF(分散拡大係数)を計算し、VIF > 10 の変数を確認
相関行列で |r| > 0.8 のペアをチェック
・対処法:一方を除外、合成変数(PCA)に変換、Ridge回帰で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、 が高くてもモデルが正しいとは限りません

が高くなる罠:
説明変数を増やせば は自動的に上がる(無関係な変数を追加してもは下がらない)
時系列データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで が 0.9 を超える
サンプルサイズが小さいとが過大評価される

代替指標: 調整済み (変数の数でペナルティ)AICBICモデル選択基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証(cross-validation)テストデータ を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法(バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値ベースの変数選択は再現性に問題があると批判されています。

問題点:
同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる
p値を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking
係数標準誤差が過小評価され、信頼区間が嘘っぽくなる

より良い方法:
事前に変数を理論で絞る(先行研究から候補を選ぶ)
LASSO回帰(自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う
交差検証AIC/BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析線形関係を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します

非線形の例:
U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線)
逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和)
閾値効果: 高齢化率と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)

診断と対処:
残差プロット残差が0周辺に均等に分布しているか確認
変数の対数変換・二乗項追加で非線形性を取り込む
・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習RF・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。

過学習(overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度に適用すると、予測精度はほぼランダム並みに落ちることがあります。

正しい予測力の評価:
・データを訓練用 70%テスト用 30%に分割し、テスト用での予測精度を見る
k分割交差検証(k-fold CV)で予測の安定性を確認
・「説明変数の数 ≪ サンプルサイズ」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。

p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数など)のばらつきの目安。標準誤差が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定F検定など)は「データが正規分布に従う」ことを仮定する。
因果相関
相関がある」と「原因と結果の関係(因果)」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN・空白)。除外するか補完(平均代入・回帰代入など)するかが分析上の重要な判断点。
VIF
Variance Inflation Factor分散拡大係数)。多重共線性の強さを示す指標。VIF > 10 で「強い多重共線性あり」と判断。
係数回帰係数
説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
多重共線性
説明変数同士の相関が強すぎる状態。係数推定が不安定になり、解釈を誤る原因になる。VIF > 10 が警告サイン。
標準化係数
変数の単位の影響を取り除いた係数。複数の変数の影響の大きさを単位に依存せず比較するために使う。
決定係数 R²
回帰モデル目的変数のばらつきの何%を説明できるかを示す指標。0〜1の値で、1に近いほどモデルの説明力が高い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。

◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)

🔍 p値有意確率)とは
何?
「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率」のこと。
なぜ必要?
帰無仮説(「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる?
「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方
p < 0.05(5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値が小さい=効果が大きい」ではない。効果量係数の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定とは(なぜ使うのか)
何?
「データが正規分布に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要?
データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる?
サンプルサイズが小さい・データが歪んでいる・外れ値がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方
「なぜノンパラメトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。

◆ この論文で使われている手法

🔗 相関分析
何?
2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う?
散布図を描き、Pearson(連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値に強い)の相関係数を計算する。
何がわかる?
「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方
r > +0.7 は強い正の相関、r < −0.7 は強い負の相関、|r| < 0.3 はほぼ無相関相関因果関係を示すものではない点に注意。
⚠️ 注意点
(1) 因果関係ではない相関は方向や原因を示さない。(2) 外れ値に弱い—1点で r が劇的に変わることも。(3) Pearson は線形のみ—非線形ならSpearman相関を使う。(4) 第三変数の存在を疑う—本論文の高齢化率の負の相関(r=−0.38)のように、符号が常識と逆なら疑似相関交絡を疑う。
散布図外れ値分析(回帰直線2本の比較)
何?
極端な値(外れ値)が相関係数回帰直線をどれだけ動かしているかを、「全データ」と「外れ値除外」の2本の回帰直線を重ねて描いて確かめる手法。
どう使う?
散布図上で外れ値(本論文では平均から約2.3 SD離れた京都府)をハイライトし、stats.linregress を全データと除外データの両方に当てて比較する。
何がわかる?
2本の線がほぼ重なれば「結論は外れ値に依存しない」(本論文:r=−0.379 → −0.375 でほぼ不変)。大きくずれれば「外れ値1点が相関を作っている」ことになる。
結果の読み方
外れ値は「削除する対象」ではなく「調べる対象」。京都府がなぜ全国最高(6.13%)なのか、背景(観光業・医療環境など)の考察までがセット。
⚠️ 注意点
(1) 機械的に除外しない—除外の理由と基準(本論文は約2.3 SD)を明記する。(2) 除外前後の両方を報告する—片方だけ示すと恣意的な操作(改ざん)になりうる。(3) 外れ値に頑健な代替Spearman相関(順位ベース)で確認する方法もある。

◆ 関連・発展手法(本論文では未使用)

↔️ VAR(ベクトル自己回帰)/ Granger因果検定(本論文では未使用)
何?
複数の時系列変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR)と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果)。
未使用の理由
本論文は2022年度単年の47都道府県の横断(クロスセクション)データを用いており、時間的な前後関係が存在しないため適用できない。複数年度のSSDSE-Bをつないだパネル・時系列データに拡張すれば、発展手法の候補になる。
どう使う?
VARは全変数を互いに説明変数として同時回帰Granger因果F検定でAのラグ変数がBの予測精度を向上させるかを確認する。
何がわかる?
「高齢化と医療費支出はどちらが先に動くか」のようなリード・ラグ関係を特定できる。
結果の読み方
Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果とは限らない)。
⚠️ 注意点
(1) 「予測に役立つ」=真の因果ではないGranger因果はあくまで予測的先行関係。(2) ラグ次数の選択に敏感AIC/BICで選ぶ。(3) 非定常な時系列では見せかけの関係が出やすい—単位根検定・差分化が前提。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。

① データ・時間的拡張
結果 X
本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列)で分析を行った。
新仮説 Y
より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z
(1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A/C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:相関分析 の次のステップ
結果 X
本論文は 相関分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y
重回帰分析による多変数同時検証 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z
(1)重回帰分析による多変数同時検証 を実装し、本論文の係数推定と比較する。(2)交絡変数を統制した偏相関分析 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X
本論文は分析結果から特定の変数が目的変数に影響することを示した。
新仮説 Y
分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z
(1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類する。(2)政策で変えられる変数について、係数の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

学んだだけでは身につきません。実際に手を動かすのが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。

★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数p値 がどう変わったか観察する。多重共線性が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO相関分析 + 主成分分析)で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問いを立てて分析してください。 例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンスの「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプトをコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。

💼 この手法は実社会でこう使われている

本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。

🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。 例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。 ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。 WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。 データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。 専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。 統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。

Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas, NumPy, SciPy, matplotlib(本ページのコードで使用)だけで全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の相関分析・散布図外れ値分析は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験を活用したIVDiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス入門」「統計的因果推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2023_H2_yushu.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。