この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。
| 原論文が使ったデータ | SSDSE・保育利用状況サービス(東京都福祉保健局)・e-Stat(政府統計の総合窓口)・行政順認定こども園施設一覧(東京都福祉保健局) 分析単位:市区町村 中核手法:相関分析・無相関検定 |
|---|---|
| この教材が使うデータ |
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| 原論文(PDF) | 待機児童問題の原因究明と解決策の提示 審査員奨励賞/岩城 早良、田中 里花(お茶の水女子大学附属高等学校) |
▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_2_shorei.py(334 行)そのものです。
このページで実再現できるのは図1(全国の待機児童数の推移)と、都道府県粒度の参考クロスチェックです。コードの編集は不要です。(区市町村粒度の相関=表6〜表12は、東京都福祉保健局・e-Statが出典でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を可視化します。)
data/raw/ フォルダに入れます。html/figures/ に自動保存されます。区市町村粒度の相関(表6〜表12)はスクリプト内に原論文の報告値を転記して可視化します。
著者たちは東京都に住む高校生である。「千葉県流山市の待機児童数が初めて0になった」というニュースから、待機児童は減少傾向で「0が当たり前」だと思っていたが、それぞれ自分の住む地域を調べるとどちらも東京都の待機児童数ワースト5に入っていた。身近に「当たり前でない状況」があることに驚き、この問題を解決する策を考えようと動き出した。
しかし調べても「認可保育園が少ない」「保育士が足りない」といったありきたりな原因しか出てこない。そこで東京都に絞り、待機児童問題を引き起こす“新たな原因”を探ると同時に、それを払拭する解決策を考えることを目的とした。要因を「家族」と「自治体」に分け、区と市町村で相関を比べる、というのが全体の発想である。
高校生の部 SSDSE-B+東京都福祉保健局・e-Stat 相関分析 無相関検定(5%) 区/市町村の比較
本研究は複数の出典を組み合わせている。目的量の待機児童数は東京都福祉保健局「保育利用状況サービス」(2012〜2022)、母子・父子世帯数は e-Stat(2015)、公営保育所等数・在所児数・距離別世帯数は e-Stat(2017〜2019)、認定こども園数は東京都福祉保健局(2022)から取り、総人口・世帯数・核家族世帯数・婚姻件数・離婚件数は SSDSE(2020)を用いている。いずれも東京都の区市町村粒度である。
| 役割 | データ | 出典(年度) | 本ページでの扱い |
|---|---|---|---|
| 目的量 | 待機児童数 | 保育利用状況サービス/東京都福祉保健局(2012〜2022) | 報告値の可視化 |
| 家族 | 核家族世帯数・婚姻件数・離婚件数・総人口 | SSDSE(2020)※区市町村粒度 | 報告値の可視化 |
| 家族 | 母子・父子世帯数(子どもの人数別) | e-Stat(2015) | 報告値の可視化 |
| 自治体 | 公営保育所等数・在所児数 | e-Stat(2017) | 報告値の可視化 |
| 自治体 | 最寄りの保育所までの距離別 普通世帯数 | e-Stat(2018) | 報告値の可視化 |
| 自治体 | 公営保育所等数・保育所等数(基本表) | e-Stat(2019) | 報告値の可視化 |
| 自治体 | 認定こども園数 | 行政順認定こども園施設一覧/東京都福祉保健局(2022) | 報告値の可視化 |
| 全国推移 | 保育所等利用待機児童数 J250502 | SSDSE-B(都道府県・2012〜2023) | 実再現 |
J250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計すれば実データから再計算できる。図1はこの実再現である。参考として、都道府県粒度で待機児童数と保育所の規模・混雑度の相関も計算する(ただし粒度が原論文と異なる近似)。要因を「家族」(核家族世帯数割合・婚姻率・離婚率・母子世帯数・父子世帯数)と「自治体」(公営保育所割合・1保育所あたりの児童数・認定こども園数・最寄りの保育所まで500m未満/以上の世帯割合)に分けた。「一緒に暮らす大人が少ないほど保育園の需要が高まる」などの仮説から、各項目の相関の正負を事前に予想している。
東京都を23区と市町村に分け、過去10年の待機児童数の平均と各要因の相関係数を有効数字7桁で算出する。地域による差が可視化される。
有意水準5%の無相関検定で「相関が偶然でない」と言えるものを選ぶ。原論文では有意な相関係数を太字で示している。
母子・父子世帯数を子ども1人/2人/3人以上に分けて相関を再計算する。「子どもが多いほど需要が高まる」という予測が正しいかを検証する。
研究の出発点である「待機児童は減少傾向」を、SSDSE-Bの都道府県データから全国合計として実再現する。区市町村の相関そのものはSSDSE-Bでは再現できないため報告値を用いる。
研究の出発点は「待機児童は全国的に減っている」という実感だった。これをSSDSE-Bで実再現する。ここは都道府県データの合計で計算できる中心的な実再現部分である。
skiprows=[1] で読み込み、J250502 保育所等利用待機児童数・J2503 保育所等数・J2505 定員・J2506 在所児数 を数値化する。先頭列 SSDSE-B-2026 が年度(2012〜2023)を表す。104 105 106 107 108 | # ── SSDSE-B 読み込み(cp932 / 先頭列 SSDSE-B-2026 が年度 / ラベル行 skiprows=[1])── df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=0, skiprows=[1]) df['SSDSE-B-2026'] = pd.to_numeric(df['SSDSE-B-2026'], errors='coerce') for c in ['J250502', 'J2503', 'J2505', 'J2506', 'A1101']: df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce') |
J250502 を年ごとに全47都道府県で合計し、全国の待機児童数の推移を求める。原論文 図1「全国の待機児童数の推移」を都道府県データから再計算する。116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 | # 都道府県別 SSDSE-B から再計算する(=実再現)。 print('=== [1] 全国の待機児童数の推移(原論文 図1)【実再現】===') print('J250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計(SSDSE-B, 2012〜2023年)。') ts = df.groupby('SSDSE-B-2026')['J250502'].sum().sort_index() print(f" {'年':>6}{'全国待機児童数':>14}") for yr, v in ts.items(): print(f' {int(yr):>6}{int(v):>14,}') peak = int(ts.max()); peak_yr = int(ts.idxmax()) last = int(ts.iloc[-1]); last_yr = int(ts.index[-1]) print(f'→ 全国合計は {peak_yr}年の {peak:,}人 をピークに一貫して減少し、' f'{last_yr}年は {last:,}人。') print(' 原論文が図1で示した「待機児童数は大きく減少傾向」という出発点を実データで再現できる。') print(' (ただし全国が減っても、著者の住む東京都のように待機児童が残る地域があるのが問題の核心。)') |
=== [1] 全国の待機児童数の推移(原論文 図1)【実再現】===
J250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計(SSDSE-B, 2012〜2023年)。
年 全国待機児童数
2012 24,825
2013 22,741
2014 21,371
2015 23,167
2016 23,553
2017 26,081
2018 19,895
2019 16,772
2020 12,439
2021 5,634
2022 2,944
2023 2,680
→ 全国合計は 2017年の 26,081人 をピークに一貫して減少し、2023年は 2,680人。
原論文が図1で示した「待機児童数は大きく減少傾向」という出発点を実データで再現できる。
(ただし全国が減っても、著者の住む東京都のように待機児童が残る地域があるのが問題の核心。)
原論文の中心的な発見「市町村では1保育所あたりの児童数が強く相関」を、SSDSE-Bで確かめられないか試す。ただしSSDSE-Bは都道府県粒度なので、これはあくまで粒度の違う近似である。
139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 | YR = 2020 # 原論文が SSDSE を用いた年度に合わせる d = df[df['SSDSE-B-2026'] == YR].copy() d['perfac'] = d['J2506'] / d['J2503'] # 1施設あたり在所児数(=混雑度) print(f'対象: 47都道府県・{YR}年。待機児童数(J250502) と各指標の相関係数。') for name, col in [('保育所等数(J2503)', 'J2503'), ('保育所等定員数(J2505)', 'J2505'), ('保育所等在所児数(J2506)', 'J2506'), ('1施設あたり在所児数(在所児数/施設数)', 'perfac')]: r = d['J250502'].corr(d[col]) print(f' r(待機児童数, {name:<28}) = {r:+.4f} … {corr_label(r)}') print('→ 都道府県粒度では待機児童数は「保育所の“規模”(施設数・定員・在所児数)」と') print(' 強く相関する(=都市化・人口規模の効果)。一方「1施設あたり在所児数」との相関は弱い。') print(' 原論文が東京都“区市町村”粒度で見つけた「1保育所あたりの児童数 r=0.7271368(市町村)」は、') print(' 都道府県粒度では現れない。相関は“粒度”に依存する好例で、著者が区市町村に絞った意義を示す。') |
=== [2] 都道府県粒度での近似クロスチェック(参考)【実再現(近似)・粒度が異なる】=== 対象: 47都道府県・2020年。待機児童数(J250502) と各指標の相関係数。 r(待機児童数, 保育所等数(J2503) ) = +0.7395 … 強い正の相関 r(待機児童数, 保育所等定員数(J2505) ) = +0.7087 … 強い正の相関 r(待機児童数, 保育所等在所児数(J2506) ) = +0.7357 … 強い正の相関 r(待機児童数, 1施設あたり在所児数(在所児数/施設数) ) = +0.1140 … 相関なし → 都道府県粒度では待機児童数は「保育所の“規模”(施設数・定員・在所児数)」と 強く相関する(=都市化・人口規模の効果)。一方「1施設あたり在所児数」との相関は弱い。 原論文が東京都“区市町村”粒度で見つけた「1保育所あたりの児童数 r=0.7271368(市町村)」は、 都道府県粒度では現れない。相関は“粒度”に依存する好例で、著者が区市町村に絞った意義を示す。
ここからが原論文の中心である。東京都を区と市町村に分け、待機児童数と各要因の相関係数(有効数字7桁)を見る。これらは区市町村粒度でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。
=== [3] 表6〜表9 相関係数(区/市町村 × 家族/自治体)【報告値の転記・再計算ではない】===
■ 表6(区)・表7(市町村)「家族」項目の相関係数
項目 区(表) 市町村(表)
核家族世帯数割合 0.0587961 0.3293690
婚姻率 0.0385269 -0.3397377
離婚率 -0.1164532 -0.0801067
母子世帯数 0.6664723 0.5551879
父子世帯数 0.6194437 0.5566314
→ 母子世帯数・父子世帯数はどちらの地域でも正の相関(区0.67/0.62、市町村0.56/0.56)。
核家族世帯数割合と婚姻率は区のみで弱い相関、離婚率はほぼ相関なし(原論文の記述どおり)。
■ 表8(区)・表9(市町村)「自治体」項目の相関係数
項目 区(表) 市町村(表)
公営保育所割合 -0.2665771 -0.2376576
1保育所あたりの児童数 -0.0412032 0.7271368
認定こども園数 0.0956226 0.2319590
最寄りの保育所まで500m未満の世帯割合 -0.0292247 0.4588864
最寄りの保育所まで500m以上の世帯割合 0.0292909 -0.4555374
→ 市町村では「1保育所あたりの児童数」が強い正の相関(0.7271368)、最寄り500m未満割合も正(0.46)、
500m以上割合は負(-0.46)。区ではこれらの相関がほぼ現れない。公営保育所割合は両地域で弱い負の相関。
母子・父子世帯数全体で正の相関が出たので、著者は「子どもの人数が多いほど需要が高まり、相関も強まるはず」と予測し、子ども1人/2人/3人以上に分けて相関を再計算した。これも区市町村粒度でSSDSE-Bに無いため報告値を可視化する。
=== [4] 表11(区)・表12(市町村) 人数別 母子・父子世帯数の相関係数【報告値の転記】===
項目 区(表11) 市町村(表12)
母子世帯数(子ども1人) 0.6040554 0.6913992
母子世帯数(子ども2人) 0.4824787 0.6453069
母子世帯数(子ども3人以上) 0.4432151 0.6045541
父子世帯数(子ども1人) 0.5727140 0.6203490
父子世帯数(子ども2人) 0.5280543 0.6261608
父子世帯数(子ども3人以上) 0.4547153 0.4972758
→ どの場合も正の相関で無相関検定でも有意(原論文)。ただし予測に反し、子どもの人数が
多いほど相関は弱まる。著者は「子どもが少ない世帯ほど世帯数自体が少なく、相関係数が
正しく出なかった可能性」「人数が多いほど経済的支援が手厚い可能性」を考察している。
相関と無相関検定の結果を合わせると、著者は待機児童問題の要因を大きく2つに整理している。
=== [5] 結果の解釈と提言(原論文の主張)===
要因① 一人親世帯への経済的支援不足:母子・父子世帯数が両地域で正の相関(表6/表7)。
→ 提言: 一人親世帯への経済的支援の拡充、保育園への優先的な受け入れ。
要因② 都市部から離れた地域の保育園の設置場所:市町村で1保育所あたりの児童数が
強い正の相関(0.7271368, 表9)。土地に余裕のある市町村ほど大規模園に児童が集中。
→ 提言: 設置箇所を分散し、1施設あたりの児童数を減らして待機児童を0に近づける。
(いずれも原論文の主張。本ページでは新たな数値の捏造は行わず、報告値を転記している。)母子世帯数・父子世帯数が区・市町村の両方で待機児童数と正の相関を示した。著者は、働きながら子どもの世話をする一人親世帯が、金銭的な理由で預かり保育をやむを得ず断念しているのではないかと考察し、経済的支援の拡充と、保育園への優先的な受け入れを提言する。
市町村では区と違い「1保育所あたりの児童数」が強い正の相関を示し、しかも仮説とは逆向きだった。土地に余裕のある市町村は多くの児童を受け入れる大規模な保育園を作るため、その周辺に子育て世帯が移り住み、結果的に児童が集中して待機児童を生む――という構図を著者は描く。設置箇所を分散し、1施設あたりの児童数を徐々に減らすことを解決策として示した。
本研究は、全国的に減っている待機児童がなぜ東京都に残るのかという問いに、区/市町村に分けた相関分析と無相関検定で挑んだ。母子・父子世帯数は両地域で正の相関(区0.67/0.62・報告値)、市町村では1保育所あたりの児童数が強い正の相関(0.7271368・報告値)を示した。ここから著者は要因を一人親世帯への経済的支援不足と都市部から離れた地域の保育園への児童集中に整理し、支援の拡充と保育園の設置分散を提言した。全国の待機児童数の減少傾向はSSDSE-Bで実再現し、区市町村粒度の相関は報告値として切り分けた。高校生が身近な違和感から「隠れた要因」を探し当てた探究の姿勢が見どころである。
このページの実再現の図(図1)と参考クロスチェックは、以下から再現できます。
🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv
※ 図1(全国の待機児童数の推移)はSSDSE-Bの保育所等利用待機児童数(J250502)を都道府県で合計した実再現です。図2・図3(家族・自治体の相関)と図4(人数別の相関)は、出典が東京都福祉保健局・e-Statで区市町村粒度のためSSDSE-B外であり、原論文の報告値を可視化したものです(新たな数値の捏造はしていません)。
この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。
クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。
この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。
この研究の「一人親世帯・保育園への児童集中が待機児童と結びつく」という結論は、次の研究の出発点になる。
再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。
df[df['SSDSE-B-2026']==2023] のように1年だけ取り出し、その年の全国合計を確かめてみよう。2023年が過去最少であることが分かる。「要因を分類し、地域を分けて相関と検定で結びつきを探す」発想は、行政や企業で広く使われている。
この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。
この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。
このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。
Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。
下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、
「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。
表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です
(動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_2_shorei.py そのもの)。
コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。