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審査員奨励賞[高校生の部] ★

待機児童問題の原因究明と解決策の提示

⏱️ 推定読了時間: 約20分
2022年度(令和4年度)統計データ分析コンペティション | 岩城 早良・田中 里花(お茶の水女子大学附属高等学校) | SSDSE-B(待機児童数・保育所等数)+ 東京都福祉保健局・e-Stat | 相関分析・無相関検定(有意水準5%)・区/市町村の比較
🔬 無相関検定🔬 相関分析🏷 子育て・保育
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータSSDSE・保育利用状況サービス(東京都福祉保健局)・e-Stat(政府統計の総合窓口)・行政順認定こども園施設一覧(東京都福祉保健局)
分析単位:市区町村
中核手法:相関分析・無相関検定
この教材が使うデータ
原論文(PDF)待機児童問題の原因究明と解決策の提示
審査員奨励賞/岩城 早良、田中 里花(お茶の水女子大学附属高等学校)
✅ この教材でできること
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
⚠️ この教材ではできないこと(原論文との違い)
  • 原論文は市区町村を単位に分析しているが、この教材は都道府県が単位

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_2_shorei.py(334 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究のテーマと目的
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:分類 → 相関 → 無相関検定 → 人数別
  4. 図1:全国の待機児童数の推移(実再現)
  5. 都道府県粒度での近似クロスチェック(実再現・参考)
  6. 項目別の相関係数:家族・自治体(報告値)
  7. 人数別 母子・父子世帯数の相関(報告値)
  8. 結果の解釈と提言
  9. まとめと今後の課題
  10. データ・コードのDL
  11. ⚠️ よくある誤解
  12. 📖 用語集
  13. 📐 手法ガイド
  14. 🚀 発展の可能性
  15. 🎯 自分でやってみよう
  16. 🤔 Q&A
  17. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページで実再現できるのは図1(全国の待機児童数の推移)と、都道府県粒度の参考クロスチェックです。コードの編集は不要です。(区市町村粒度の相関=表6〜表12は、東京都福祉保健局・e-Statが出典でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を可視化します。)

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データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県別・基礎データ、社会・人口統計体系)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_H5_2_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_H5_2_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。区市町村粒度の相関(表6〜表12)はスクリプト内に原論文の報告値を転記して可視化します。
研究のテーマと目的

著者たちは東京都に住む高校生である。「千葉県流山市の待機児童数が初めて0になった」というニュースから、待機児童は減少傾向で「0が当たり前」だと思っていたが、それぞれ自分の住む地域を調べるとどちらも東京都の待機児童数ワースト5に入っていた。身近に「当たり前でない状況」があることに驚き、この問題を解決する策を考えようと動き出した。

しかし調べても「認可保育園が少ない」「保育士が足りない」といったありきたりな原因しか出てこない。そこで東京都に絞り、待機児童問題を引き起こす“新たな原因”を探ると同時に、それを払拭する解決策を考えることを目的とした。要因を「家族」と「自治体」に分け、区と市町村で相関を比べる、というのが全体の発想である。

0.7271368
市町村:1保育所あたりの児童数と待機児童数の相関(原論文の報告値・表9)
0.6664723
区:母子世帯数と待機児童数の相関(原論文の報告値・表6)
2012〜2022
待機児童数の平均をとった過去10年間(東京都福祉保健局)
5%
無相関検定の有意水準(有意なものを太字で選別)
研究の問い 全国的には減っている待機児童が、なぜ東京都には残るのか。ありきたりでない「隠れた要因」を、区と市町村に分けた相関分析であぶり出せるのではないか。
分析のキモ:東京都を「区」と「市町村」に分ける 同じ東京都でも、23区と市町村では土地の広さも保育園の配置も大きく違う。ひとまとめにすると平均に埋もれてしまう差を、区と市町村で別々に相関をとることで浮かび上がらせた。実際、後で見るように「1保育所あたりの児童数」は市町村でだけ強い相関を示す。

高校生の部 SSDSE-B+東京都福祉保健局・e-Stat 相関分析 無相関検定(5%) 区/市町村の比較

使用データと再現可能性の整理

本研究は複数の出典を組み合わせている。目的量の待機児童数は東京都福祉保健局「保育利用状況サービス」(2012〜2022)、母子・父子世帯数は e-Stat(2015)、公営保育所等数・在所児数・距離別世帯数は e-Stat(2017〜2019)、認定こども園数は東京都福祉保健局(2022)から取り、総人口・世帯数・核家族世帯数・婚姻件数・離婚件数は SSDSE(2020)を用いている。いずれも東京都の区市町村粒度である。

主なデータと出典(原論文 表1)

役割データ出典(年度)本ページでの扱い
目的量待機児童数保育利用状況サービス/東京都福祉保健局(2012〜2022)報告値の可視化
家族核家族世帯数・婚姻件数・離婚件数・総人口SSDSE(2020)※区市町村粒度報告値の可視化
家族母子・父子世帯数(子どもの人数別)e-Stat(2015)報告値の可視化
自治体公営保育所等数・在所児数e-Stat(2017)報告値の可視化
自治体最寄りの保育所までの距離別 普通世帯数e-Stat(2018)報告値の可視化
自治体公営保育所等数・保育所等数(基本表)e-Stat(2019)報告値の可視化
自治体認定こども園数行政順認定こども園施設一覧/東京都福祉保健局(2022)報告値の可視化
全国推移保育所等利用待機児童数 J250502SSDSE-B(都道府県・2012〜2023)実再現
再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 実再現できる部分:原論文 図1「全国の待機児童数の推移」は、SSDSE-BJ250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計すれば実データから再計算できる。図1はこの実再現である。参考として、都道府県粒度で待機児童数と保育所の規模・混雑度の相関も計算する(ただし粒度が原論文と異なる近似)。
  • 報告値の可視化(再計算ではない):原論文の中心である区市町村粒度の相関係数(表6〜表12)は、待機児童数・母子父子世帯数・距離別世帯数などが東京都福祉保健局・e-Stat由来でSSDSE-B(都道府県)には無い。よって図2・図3・図4は原論文の報告値を転記して可視化する(符号・桁そのまま、有効数字7桁)。
  • 新しい数値の捏造はしない:報告値と再計算値はラベルで分離する。GDP・県内総生産・高齢化率など SSDSE-B に無い列は一切使わない。相関は“粒度”に依存するため、都道府県粒度の近似は原論文の区市町村の値の代わりにはならない点を図注に明記する。

分析の流れ:分類 → 相関 → 無相関検定 → 人数別

分析の流れ
分類
家族/自治体
×区/市町村
相関
各要因と
待機児童数
無相関検定
有意水準5%で
有意を選別
人数別
母子・父子を
子ども数で分割
解釈
要因の特定と
提言

① 要因の分類と仮説

要因を「家族」(核家族世帯数割合・婚姻率・離婚率・母子世帯数・父子世帯数)と「自治体」(公営保育所割合・1保育所あたりの児童数・認定こども園数・最寄りの保育所まで500m未満/以上の世帯割合)に分けた。「一緒に暮らす大人が少ないほど保育園の需要が高まる」などの仮説から、各項目の相関の正負を事前に予想している。

② 区と市町村で相関をとる(報告値)

東京都を23区と市町村に分け、過去10年の待機児童数の平均と各要因の相関係数を有効数字7桁で算出する。地域による差が可視化される。

③ 無相関検定で有意なものを選別(報告値)

有意水準5%無相関検定で「相関が偶然でない」と言えるものを選ぶ。原論文では有意な相関係数を太字で示している。

④ 母子・父子世帯数を人数別に分ける(報告値)

母子・父子世帯数を子ども1人/2人/3人以上に分けて相関を再計算する。「子どもが多いほど需要が高まる」という予測が正しいかを検証する。

⑤ 全国推移の実再現(SSDSE-B)

研究の出発点である「待機児童は減少傾向」を、SSDSE-Bの都道府県データから全国合計として実再現する。区市町村の相関そのものはSSDSE-Bでは再現できないため報告値を用いる。

相関は「関係の強さ」であって因果ではない 本研究は相関を中心に用いる。相関が強くてもどちらが原因かは分からない因果)。たとえば「母子世帯が多いから待機児童が多い」のか、別の共通要因(都市化など)が両方を押し上げているのか(見かけの相関)は、相関だけでは決められない。
1
図1:全国の待機児童数の推移(実再現)

研究の出発点は「待機児童は全国的に減っている」という実感だった。これをSSDSE-Bで実再現する。ここは都道府県データの合計で計算できる中心的な実再現部分である。

やってみようSSDSE-B を読み込み、待機児童数・保育所の列を数値化する【実再現の準備】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B-2026 を cp932・ラベル行 skiprows=[1] で読み込み、J250502 保育所等利用待機児童数J2503 保育所等数J2505 定員J2506 在所児数 を数値化する。先頭列 SSDSE-B-2026 が年度(2012〜2023)を表す。
  • ② 前後のつながり:この読み込みが実再現(図1・クロスチェック)の土台になる。区市町村粒度の相関は SSDSE-B に無いが、全国の待機児童数の推移だけは都道府県データの合計で再現できる。
📝 コード
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# ── SSDSE-B 読み込み(cp932 / 先頭列 SSDSE-B-2026 が年度 / ラベル行 skiprows=[1])──
df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=0, skiprows=[1])
df['SSDSE-B-2026'] = pd.to_numeric(df['SSDSE-B-2026'], errors='coerce')
for c in ['J250502', 'J2503', 'J2505', 'J2506', 'A1101']:
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')
  • ④ 実行結果の読み取り:エラーなく読み込めれば準備完了。SSDSE-B は都道府県粒度なので、原論文の東京都区市町村の相関はここからは計算できない、という粒度の違いを押さえておく。
やってみよう待機児童数を全都道府県で合計し、全国の推移を再現する【実再現・図1】
  • ① このコードの目的:J250502 を年ごとに全47都道府県で合計し、全国の待機児童数の推移を求める。原論文 図1「全国の待機児童数の推移」を都道府県データから再計算する。
  • ② 前後のつながり:著者はこの「減少傾向」を出発点に「それでも東京都には残る」という問題意識を持った。まずその出発点を実データで確かめる。
📝 コード
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# 都道府県別 SSDSE-B から再計算する(=実再現)。
print('=== [1] 全国の待機児童数の推移(原論文 図1)【実再現】===')
print('J250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計(SSDSE-B, 2012〜2023年)。')
ts = df.groupby('SSDSE-B-2026')['J250502'].sum().sort_index()
print(f"  {'年':>6}{'全国待機児童数':>14}")
for yr, v in ts.items():
    print(f'  {int(yr):>6}{int(v):>14,}')
peak = int(ts.max()); peak_yr = int(ts.idxmax())
last = int(ts.iloc[-1]); last_yr = int(ts.index[-1])
print(f'→ 全国合計は {peak_yr}年の {peak:,}人 をピークに一貫して減少し、'
      f'{last_yr}年は {last:,}人。')
print('   原論文が図1で示した「待機児童数は大きく減少傾向」という出発点を実データで再現できる。')
print('   (ただし全国が減っても、著者の住む東京都のように待機児童が残る地域があるのが問題の核心。)')
▼ 実行結果
=== [1] 全国の待機児童数の推移(原論文 図1)【実再現】===
J250502 保育所等利用待機児童数 を全都道府県で合計(SSDSE-B, 2012〜2023年)。
       年       全国待機児童数
    2012        24,825
    2013        22,741
    2014        21,371
    2015        23,167
    2016        23,553
    2017        26,081
    2018        19,895
    2019        16,772
    2020        12,439
    2021         5,634
    2022         2,944
    2023         2,680
→ 全国合計は 2017年の 26,081人 をピークに一貫して減少し、2023年は 2,680人。
   原論文が図1で示した「待機児童数は大きく減少傾向」という出発点を実データで再現できる。
   (ただし全国が減っても、著者の住む東京都のように待機児童が残る地域があるのが問題の核心。)
  • ④ 実行結果の読み取り:ピークの2017年 26,081人 から一貫して減り、2023年は 2,680人 まで縮小。原論文が図1で示した「大きく減少傾向」を実データで再現できた。全国が減る中でも東京都のように待機児童が残る地域があることが、本研究の問題意識につながる。
全国の待機児童数の推移(SSDSE-B J250502 の合計・実再現)
図1:全国の待機児童数の推移(都道府県別 SSDSE-B の合計)。実再現(原論文 図1 に対応)。J250502 保育所等利用待機児童数を全都道府県で合計。2017年の約2.6万人をピークに減少し、2023年は約2,680人。粒度注:SSDSE-Bは都道府県粒度のため全国合計は再現できるが、原論文の東京都区市町村の相関はここからは計算できない。
📊 この図の読み方
右肩下がり
2017年以降ほぼ一貫して減少。認可保育所の整備が進んだことが背景にある。
それでも0ではない
全国合計が減っても待機児童は残る。著者の住む東京都はワースト5で、「近くに当たり前でない状況がある」という問題意識の出発点。
位置づけ
実再現。SSDSE-Bの都道府県データから計算しており、原論文 図1 と同じ「減少傾向」を示す。
2
都道府県粒度での近似クロスチェック(実再現・参考)

原論文の中心的な発見「市町村では1保育所あたりの児童数が強く相関」を、SSDSE-Bで確かめられないか試す。ただしSSDSE-Bは都道府県粒度なので、これはあくまで粒度の違う近似である。

やってみよう都道府県粒度で 待機児童数 と 保育所の規模・混雑度 の相関を見る【実再現・近似・参考】
  • ① このコードの目的:2020年の47都道府県で、待機児童数と 保育所等数・定員・在所児数、および「1施設あたり在所児数(=混雑度)」との相関を計算する。原論文の「1保育所あたりの児童数」の発見を、粒度を変えて参考までに確かめる。
  • ② 前後のつながり:原論文は東京都の区市町村粒度で「1保育所あたりの児童数」が強く相関すると報告した。SSDSE-Bは都道府県粒度しか無いので、同じ発見が粒度を変えても現れるかを見る。
📝 コード
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YR = 2020  # 原論文が SSDSE を用いた年度に合わせる
d = df[df['SSDSE-B-2026'] == YR].copy()
d['perfac'] = d['J2506'] / d['J2503']          # 1施設あたり在所児数(=混雑度)
print(f'対象: 47都道府県・{YR}年。待機児童数(J250502) と各指標の相関係数。')
for name, col in [('保育所等数(J2503)', 'J2503'),
                  ('保育所等定員数(J2505)', 'J2505'),
                  ('保育所等在所児数(J2506)', 'J2506'),
                  ('1施設あたり在所児数(在所児数/施設数)', 'perfac')]:
    r = d['J250502'].corr(d[col])
    print(f'  r(待機児童数, {name:<28}) = {r:+.4f}{corr_label(r)}')
print('→ 都道府県粒度では待機児童数は「保育所の“規模”(施設数・定員・在所児数)」と')
print('   強く相関する(=都市化・人口規模の効果)。一方「1施設あたり在所児数」との相関は弱い。')
print('   原論文が東京都“区市町村”粒度で見つけた「1保育所あたりの児童数 r=0.7271368(市町村)」は、')
print('   都道府県粒度では現れない。相関は“粒度”に依存する好例で、著者が区市町村に絞った意義を示す。')
▼ 実行結果
=== [2] 都道府県粒度での近似クロスチェック(参考)【実再現(近似)・粒度が異なる】===
対象: 47都道府県・2020年。待機児童数(J250502) と各指標の相関係数。
  r(待機児童数, 保育所等数(J2503)                ) = +0.7395  … 強い正の相関
  r(待機児童数, 保育所等定員数(J2505)              ) = +0.7087  … 強い正の相関
  r(待機児童数, 保育所等在所児数(J2506)             ) = +0.7357  … 強い正の相関
  r(待機児童数, 1施設あたり在所児数(在所児数/施設数)        ) = +0.1140  … 相関なし
→ 都道府県粒度では待機児童数は「保育所の“規模”(施設数・定員・在所児数)」と
   強く相関する(=都市化・人口規模の効果)。一方「1施設あたり在所児数」との相関は弱い。
   原論文が東京都“区市町村”粒度で見つけた「1保育所あたりの児童数 r=0.7271368(市町村)」は、
   都道府県粒度では現れない。相関は“粒度”に依存する好例で、著者が区市町村に絞った意義を示す。
  • ④ 実行結果の読み取り:都道府県粒度では待機児童数は保育所の“規模”(施設数0.74・定員0.71・在所児数0.74)と強く相関する一方、「1施設あたり在所児数」との相関は0.11と弱い。つまり原論文が区市町村で見つけた「1保育所あたりの児童数 r=0.727」は都道府県粒度では現れない相関は“粒度”に依存する好例で、著者が東京都の区市町村に絞ったことに意味があったと分かる。
“粒度”が変わると相関は変わる 都道府県でまとめると「大きい県ほど待機児童も保育所も多い」という規模の効果が支配的になり、施設あたりの混雑という細かい関係は消える。原論文が東京都の区市町村に絞ったのは、この規模効果を避けて“混雑”を捉えるためだったと解釈できる。だからこそ表6〜表12の相関は、この都道府県粒度のクロスチェックでは代替できず、報告値として転記する。
3
項目別の相関係数:家族・自治体(原論文の報告値)

ここからが原論文の中心である。東京都を区と市町村に分け、待機児童数と各要因の相関係数(有効数字7桁)を見る。これらは区市町村粒度でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。

やってみよう原論文 表6〜表9(区/市町村 × 家族/自治体)の相関係数を転記する
  • ① このブロックの目的:「家族」項目(表6区・表7市町村)と「自治体」項目(表8区・表9市町村)の相関係数を、符号・桁そのままに書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:要因を分類したあと、どの要因が待機児童数と結びつくかを相関で確かめる中心部分。区と市町村で出方がどう違うかに注目する。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 表6〜表9 相関係数(区/市町村 × 家族/自治体)【報告値の転記・再計算ではない】===
■ 表6(区)・表7(市町村)「家族」項目の相関係数
  項目                                      区(表)      市町村(表)
  核家族世帯数割合                           0.0587961   0.3293690
  婚姻率                                0.0385269  -0.3397377
  離婚率                               -0.1164532  -0.0801067
  母子世帯数                              0.6664723   0.5551879
  父子世帯数                              0.6194437   0.5566314
  → 母子世帯数・父子世帯数はどちらの地域でも正の相関(区0.67/0.62、市町村0.56/0.56)。
     核家族世帯数割合と婚姻率は区のみで弱い相関、離婚率はほぼ相関なし(原論文の記述どおり)。
■ 表8(区)・表9(市町村)「自治体」項目の相関係数
  項目                                      区(表)      市町村(表)
  公営保育所割合                           -0.2665771  -0.2376576
  1保育所あたりの児童数                       -0.0412032   0.7271368
  認定こども園数                            0.0956226   0.2319590
  最寄りの保育所まで500m未満の世帯割合              -0.0292247   0.4588864
  最寄りの保育所まで500m以上の世帯割合               0.0292909  -0.4555374
  → 市町村では「1保育所あたりの児童数」が強い正の相関(0.7271368)、最寄り500m未満割合も正(0.46)、
     500m以上割合は負(-0.46)。区ではこれらの相関がほぼ現れない。公営保育所割合は両地域で弱い負の相関。
  • ④ 実行結果の読み取り:家族(表6・表7):母子世帯数・父子世帯数は両地域で正の相関(区0.6664723/0.6194437、市町村0.5551879/0.5566314)。核家族世帯数割合と婚姻率は区のみで弱く、離婚率はほぼ相関なし。② 自治体(表8・表9):市町村では「1保育所あたりの児童数」が強い正の相関0.7271368、最寄り500m未満割合も正(0.4588864)、500m以上割合は負(-0.4555374)。区ではこれらの相関がほぼ現れない。公営保育所割合は両地域で弱い負の相関。すべて原論文の報告値である。

図2:「家族」項目と待機児童数の相関(報告値)

家族項目と待機児童数の相関(区vs市町村・報告値の可視化)
図2:「家族」項目と待機児童数の相関(東京都・区 vs 市町村)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 表6・表7)。母子・父子世帯数が両地域で正の相関。棒の色は原論文 表10 の相関の強さの凡例に対応(濃青=強い正、赤系=負)。数値は原論文の報告値。

図3:「自治体」項目と待機児童数の相関(報告値)

自治体項目と待機児童数の相関(区vs市町村・報告値の可視化)
図3:「自治体」項目と待機児童数の相関(東京都・区 vs 市町村)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 表8・表9)。市町村(斜線)で「1保育所あたりの児童数」が0.7271368の強い正の相関。区(無地)ではほぼ相関なし。数値は原論文の報告値。
📊 図2・図3の読み方
0の縦線
右に伸びれば正の相関(その要因が多いほど待機児童も多い)、左なら負。
区 vs 市町村
無地が区、斜線が市町村。1保育所あたりの児童数・距離割合は市町村でだけ強く出るのが最大の発見。
色の意味
原論文 表10 の7段階の凡例(強い正〜強い負)を色で表現。濃い青ほど強い正の相関。
4
人数別 母子・父子世帯数の相関(原論文の報告値)

母子・父子世帯数全体で正の相関が出たので、著者は「子どもの人数が多いほど需要が高まり、相関も強まるはず」と予測し、子ども1人/2人/3人以上に分けて相関を再計算した。これも区市町村粒度でSSDSE-Bに無いため報告値を可視化する。

やってみよう原論文 表11(区)・表12(市町村)の人数別相関係数を転記する
  • ① このブロックの目的:母子・父子世帯数を子ども1人/2人/3人以上に分けたときの、待機児童数との相関係数を書き出す。再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:「子どもが多いほど相関が強い」という著者の予測が当たるかを検証する部分。結果は予測と逆になる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [4] 表11(区)・表12(市町村) 人数別 母子・父子世帯数の相関係数【報告値の転記】===
  項目                              区(表11)      市町村(表12)
  母子世帯数(子ども1人)                 0.6040554     0.6913992
  母子世帯数(子ども2人)                 0.4824787     0.6453069
  母子世帯数(子ども3人以上)               0.4432151     0.6045541
  父子世帯数(子ども1人)                 0.5727140     0.6203490
  父子世帯数(子ども2人)                 0.5280543     0.6261608
  父子世帯数(子ども3人以上)               0.4547153     0.4972758
  → どの場合も正の相関で無相関検定でも有意(原論文)。ただし予測に反し、子どもの人数が
     多いほど相関は弱まる。著者は「子どもが少ない世帯ほど世帯数自体が少なく、相関係数が
     正しく出なかった可能性」「人数が多いほど経済的支援が手厚い可能性」を考察している。
  • ④ 実行結果の読み取り:どの場合も正の相関で、無相関検定でも有意(原論文)。しかし予測に反し、子どもの人数が多いほど相関はむしろ弱まる(例:市町村の母子世帯は子ども1人0.6913992→3人以上0.6045541)。著者はその理由を「子どもが少ない世帯ほど世帯数自体が少なく、相関係数が正しく出なかった可能性」「人数が多い家庭ほど経済的支援が手厚い可能性」と正直に考察している。
人数別 母子父子世帯数と待機児童数の相関(区vs市町村・報告値の可視化)
図4:人数別 母子・父子世帯数と待機児童数の相関(区 vs 市町村)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 表11・表12)。子どもの人数が増えるほど相関が下がる(右肩下がり)。実線=区、破線=市町村。数値は原論文の報告値。
📊 この図の読み方
右肩下がり
子どもが1人→2人→3人以上と増えるほど相関係数が下がる。著者の「多いほど強い」という予測とは逆。
区 vs 市町村
市町村(破線)の方がおおむね高い水準。地域で結びつきの強さが違う。
限界の自覚
著者は「子ども3人以上の世帯は数が少なく相関が正しく出なかった可能性」を自ら挙げている。データの偏りに注意する姿勢が学べる。

結果の解釈と提言

相関と無相関検定の結果を合わせると、著者は待機児童問題の要因を大きく2つに整理している。

やってみよう原論文「5. 結果の解釈」の主張を要約する
  • ① このブロックの目的:有意な相関が得られた要因から、待機児童問題の2つの原因と、それぞれの解決策を導く。原論文の主張の転記。
  • ② 前後のつながり:相関分析の結果を政策提言につなげる部分。数値の裏づけ(表6〜表9)と提言の対応を確認する。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [5] 結果の解釈と提言(原論文の主張)===
要因① 一人親世帯への経済的支援不足:母子・父子世帯数が両地域で正の相関(表6/表7)。
      → 提言: 一人親世帯への経済的支援の拡充、保育園への優先的な受け入れ。
要因② 都市部から離れた地域の保育園の設置場所:市町村で1保育所あたりの児童数が
      強い正の相関(0.7271368, 表9)。土地に余裕のある市町村ほど大規模園に児童が集中。
      → 提言: 設置箇所を分散し、1施設あたりの児童数を減らして待機児童を0に近づける。
(いずれも原論文の主張。本ページでは新たな数値の捏造は行わず、報告値を転記している。)
  • ④ 実行結果の読み取り:一人親世帯への経済的支援不足:母子・父子世帯数が両地域で正の相関。働きながら子育てする一人親が、金銭的理由で預かり保育を断念している可能性。→ 経済的支援の拡充と優先的な受け入れを提言。② 都市部から離れた地域の保育園の設置場所:市町村で1保育所あたりの児童数が強い正の相関。土地に余裕のある市町村は大規模な保育園を作るため、その周辺に子育て世帯が集まり児童が集中する。→ 設置箇所を分散し1施設あたりの児童数を減らすことを提言。いずれも原論文の主張である。

要因①:一人親世帯への経済的支援不足(原論文 5章)

母子世帯数・父子世帯数が区・市町村の両方で待機児童数と正の相関を示した。著者は、働きながら子どもの世話をする一人親世帯が、金銭的な理由で預かり保育をやむを得ず断念しているのではないかと考察し、経済的支援の拡充と、保育園への優先的な受け入れを提言する。

要因②:都市部から離れた地域の保育園の設置場所(原論文 5章)

市町村では区と違い「1保育所あたりの児童数」が強い正の相関を示し、しかも仮説とは逆向きだった。土地に余裕のある市町村は多くの児童を受け入れる大規模な保育園を作るため、その周辺に子育て世帯が移り住み、結果的に児童が集中して待機児童を生む――という構図を著者は描く。設置箇所を分散し、1施設あたりの児童数を徐々に減らすことを解決策として示した。

この考察の限界 相関は因果を示さない。「母子世帯が多いから待機児童が多い」のか、都市化などの共通要因が両方を押し上げているのか(見かけの相関)は、この分析だけでは決められない。著者自身も人数別分析で「世帯数が少なく相関が正しく出なかった可能性」を認めている。相関の向きと前提に注意が必要。

まとめと今後の課題

本研究は、全国的に減っている待機児童がなぜ東京都に残るのかという問いに、区/市町村に分けた相関分析と無相関検定で挑んだ。母子・父子世帯数は両地域で正の相関(区0.67/0.62・報告値)、市町村では1保育所あたりの児童数が強い正の相関(0.7271368・報告値)を示した。ここから著者は要因を一人親世帯への経済的支援不足都市部から離れた地域の保育園への児童集中に整理し、支援の拡充と保育園の設置分散を提言した。全国の待機児童数の減少傾向はSSDSE-Bで実再現し、区市町村粒度の相関は報告値として切り分けた。高校生が身近な違和感から「隠れた要因」を探し当てた探究の姿勢が見どころである。

この研究の限界 ①中心の相関は東京都区市町村粒度で、本ページのSSDSE-Bでは実再現できず報告値の可視化にとどまる(全国推移のみ実再現)。②相関中心のため因果の向きは不明。③人数別分析は、子ども3人以上の世帯数が少なく相関が不安定になりうると著者自身が認めている。④著者が「今後」に挙げた全国への拡張や、待機児童数が減った自治体の取り組みの検証は未実施。
この研究から学べること ありきたりな原因で止まらず地域を分けて隠れた要因を探す発想、相関係数を出したら無相関検定で偶然でないか確かめる作法、そして実再現できる部分と報告値を切り分ける誠実さ。審査会も高校生による身近な問題設定と手法の丁寧さを評価し、審査員奨励賞に選んだ。

データ・コードのダウンロード

このページの実再現の図(図1)と参考クロスチェックは、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv

※ 図1(全国の待機児童数の推移)はSSDSE-Bの保育所等利用待機児童数(J250502)を都道府県で合計した実再現です。図2・図3(家族・自治体の相関)と図4(人数別の相関)は、出典が東京都福祉保健局・e-Statで区市町村粒度のためSSDSE-B外であり、原論文の報告値を可視化したものです(新たな数値の捏造はしていません)。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「母子世帯数と待機児童数に相関があるなら、母子世帯が待機児童の原因だ」
相関は関係の強さであって因果ではない。都市化などの共通要因が「母子世帯数」と「待機児童数」の両方を押し上げている可能性(見かけの相関)もある。著者の提言も相関に基づく仮説であり、効果の検証は別に必要。
誤解2:「1保育所あたりの児童数の相関は、区でも市町村でも同じはず」
実際には市町村でだけ強い正の相関(0.727)が出て、区ではほぼ相関なし(-0.041)。同じ東京都でも粒度・地域で相関はまるで違う。だから著者は区と市町村を分けた。「全体をひとまとめ」にすると、この差は平均に埋もれてしまう。
誤解3:「子どもが多い世帯ほど待機児童との相関が強いに違いない」
著者の当初の予測はこれだったが、結果は逆で子どもが多いほど相関が弱まった。原因の一つは、子ども3人以上の世帯は数自体が少なく相関が不安定になること。直感的な予測が外れることも、データ分析ではよくある。
誤解4:「このページの図はすべて原論文と同じ数値を計算し直したもの」
図1(全国の待機児童数の推移)だけがSSDSE-Bからの実再現。図2・図3・図4は東京都区市町村粒度でSSDSE-B外のため報告値の可視化(再計算ではない)。図注に区別を明記している。都道府県粒度のクロスチェックは原論文の相関の代わりにはならない。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

相関(相関係数)
2つの量が一緒に動く強さを−1〜+1で表す。本研究は待機児童数と母子世帯数(0.67)、1保育所あたりの児童数(0.727)などの相関を軸に分析した。
無相関検定(仮説検定)
「本当は相関が0(無相関)」という帰無仮説を立て、観測された相関が偶然では説明しにくいかを調べる検定。本研究は有意水準5%で有意な相関を選別した。
有意水準
「偶然でない」と判断する基準の確率。本研究は5%。相関係数が有意なものを太字で表示している。
見かけの相関
共通の要因(ここでは都市化・人口規模など)を通じて生じる、実質的でない相関。都道府県粒度のクロスチェックで「規模の効果」が支配的になったのがその例。
因果関係
一方が原因で他方が結果という関係。相関があっても因果は言えない。母子世帯数と待機児童数の因果の向きも本研究では特定されていない。
SSDSE
教育用標準データセット。本ページの実再現はSSDSE-B(都道府県別)の保育所等利用待機児童数(J250502)を用いる。原論文の区市町村粒度のデータはSSDSE-Bに無い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。

全体像
要因を「家族/自治体」×「区/市町村」に分類し → 相関係数で待機児童数との結びつきを測り → 無相関検定で偶然でないものを選び → 人数別に細分化して確かめる。相関と検定をセットで使い、粒度を分けて隠れた差を見つけるのが見どころ。
🔗 相関分析
何をする
2つの量が一緒に動く強さを相関係数(−1〜+1)で測る。待機児童数×母子世帯数、待機児童数×1保育所あたり児童数などを区・市町村で比較する。
読み方
原論文 表10 の凡例では、絶対値0.7以上で「強い相関」、0.4以上で「相関あり」、0.2未満で「相関なし」と段階分けしている。符号は関係の向き。
注意
相関は因果ではない。共通要因による見かけの相関にも注意。粒度(都道府県か区市町村か)で値が大きく変わる点も要チェック。
🧪 無相関検定
何をする
「母集団では相関が0」という帰無仮説のもとで、手元の相関係数がどれくらい珍しいかを計算する。珍しければ「無相関とは言えない=有意」と判断する。
なぜ有効
相関係数はサンプルが少ないと偶然大きく出ることがある。検定を通すことで「偶然ではなさそう」な相関だけを残せる。
注意
有意=関係が強い、ではない。有意水準(本研究は5%)やサンプル数に結果が左右される。人数別分析のように世帯数が少ないと検定も不安定になる。
🗺 粒度(区/市町村)を分けて比べる
何をする
同じ東京都を23区と市町村に分け、それぞれで相関をとる。地域による相関の差を可視化する。
なぜ有効
全体をまとめると平均に埋もれる差が、分けると見える。実際「1保育所あたりの児童数」は市町村でだけ強く相関した。
注意
分けるとサンプル数が減り、相関・検定が不安定になりやすい。粒度を変えると相関の値そのものが変わる(都道府県粒度では別の結果)ことに注意。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「一人親世帯・保育園への児童集中が待機児童と結びつく」という結論は、次の研究の出発点になる。

発展1:全国に拡張する(著者の今後の展望)
結果X
東京都の区市町村で、母子父子世帯数・1保育所あたり児童数が待機児童数と相関(報告値)。
新仮説Y
同じ関係が全国の市区町村でも成り立つなら、より一般的な待機児童対策の指針になる。
課題Z
全国の市区町村粒度のデータ(e-Stat)を集め、都道府県ではなく市区町村単位で相関を検証する。粒度をそろえるのが鍵。
発展2:因果に踏み込み、施策の効果を測る
結果X
1保育所あたりの児童数と待機児童数に強い相関(市町村0.727・報告値)。だが因果の向きは不明。
新仮説Y
保育園を分散新設した自治体では、その後に待機児童が減ったのではないか。
課題Z
待機児童数が実際に0になった自治体(例:流山市)の取り組みを調べ、施策前後の変化を比較する因果的な分析につなげる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
別の年で全国の待機児童数を出す
図1のコードは全年を合計している。df[df['SSDSE-B-2026']==2023] のように1年だけ取り出し、その年の全国合計を確かめてみよう。2023年が過去最少であることが分かる。
★★☆☆☆ 難易度2
都道府県ランキングを作る
2020年の待機児童数(J250502)を都道府県で降順に並べ、上位5県を表示してみよう。東京都が上位に来るか確認できる(原論文の問題意識とつながる)。
★★★☆☆ 難易度3
出生数との相関を見る
待機児童数(J250502)と出生数(A4101)の都道府県相関を計算してみよう。「子どもが多い地域ほど待機児童も多い」かを、都道府県粒度で確かめられる(粒度は原論文と異なる点に注意)。
★★★★☆ 難易度4
定員充足率を作って相関を見る
「在所児数/定員」(J2506/J2505)を定員充足率として作り、待機児童数との相関を年ごとに比べてみよう。混雑度の指標づくりの練習になる。
★★★★★ 難易度5
粒度で相関がどう変わるか論じる
都道府県粒度のクロスチェック(本ページ)で「1施設あたり在所児数」の相関が弱いのに、原論文の市町村粒度では強い(0.727)のはなぜか。規模の効果という言葉を使って自分の言葉で説明してみよう。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「要因を分類し、地域を分けて相関と検定で結びつきを探す」発想は、行政や企業で広く使われている。

🏙️
自治体の子育て支援計画
待機児童数と世帯構成・保育所配置の関係を地域別に見て、どの地区にどんな支援・保育園が必要かを判断する。
🏥
公共サービスの需要予測
医療・介護・学童など「供給が需要に追いつかない」問題で、要因を分類し地域別に相関を見て配置を最適化する。
🛒
店舗の立地・混雑分析
1店舗あたりの来客数と周辺人口・世帯構成の相関から、出店計画や分散配置を検討する(本研究の保育園と同じ発想)。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. なぜ東京都を「区」と「市町村」に分けたの?
A. 同じ東京都でも23区と市町村では土地の広さや保育園の配置が大きく違うからです。ひとまとめにすると差が平均に埋もれます。実際「1保育所あたりの児童数」は市町村でだけ強い相関(0.727)を示し、区ではほぼ相関がありませんでした。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 図1(全国の待機児童数の推移)はSSDSE-Bからの実再現です。図2・図3・図4は東京都の区市町村粒度でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を符号・桁そのままに転記して可視化しています(有効数字7桁)。新たな数値の捏造はしていません。
Q. 都道府県粒度のクロスチェックで相関が弱かったのはなぜ?
A. 都道府県でまとめると「大きい県ほど待機児童も保育所も多い」という規模の効果(見かけの相関)が支配的になり、施設あたりの混雑という細かい関係が消えるためです。だからこそ著者は東京都の区市町村に絞りました。
Q. 相関があれば「原因」と言っていいの?
A. 言えません。相関は関係の強さで、因果の向きは示しません。母子世帯数と待機児童数が相関しても、都市化などの共通要因が両方を押し上げている可能性もあります。著者の提言も相関に基づく仮説で、効果の検証は今後の課題です。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_2_shorei.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。