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審査員奨励賞[高校生の部] ★

持続可能な観光

⏱️ 推定読了時間: 約18分
2022年度(令和4年度)統計データ分析コンペティション | 玉岡 咲季(香川県立高松商業高等学校) | 訪日外客統計(JNTO)・訪日外国人消費額(観光庁)・為替相場(日本銀行)・旅館営業施設数(SSDSE-B)(+本ページ実再現はSSDSE-B観光統計) | 相関分析・散布図・過去危機との比較・未来予測
🔬 時系列分析🔬 未来予測🔬 相関分析🏷 観光🏷 外国人・国際
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータ訪日外客統計・訪日外国人消費額・観光庁予算・為替相場(東京インターバンク相場)・SSDSE-B
分析単位:国
中核手法:相関分析
この教材が使うデータ
原論文(PDF)持続可能な観光
審査員奨励賞/玉岡 咲季(香川県立高松商業高等学校)
✅ この教材でできること
  • 原論文の中核手法(相関分析)を実データで実行できる
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
  • 数値・図を最後まで再計算できる(相関分析)
⚠️ この教材ではできないこと(原論文との違い)
  • 原論文は国を単位に分析しているが、この教材は都道府県が単位

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_9_shorei.py(262 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究のテーマと目的
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:相関 → 過去危機比較 → 未来予測
  4. 図1:外国人延べ宿泊者数の推移(実再現)
  5. 図2:宿泊施設数×交流人口の散布図(実再現)
  6. 図3:費目別消費額の割合(報告値)
  7. 図4:相関係数と未来予測(報告値)
  8. 結果の解釈と提言
  9. まとめと今後の課題
  10. データ・コードのDL
  11. ⚠️ よくある誤解
  12. 📖 用語集
  13. 📐 手法ガイド
  14. 🚀 発展の可能性
  15. 🎯 自分でやってみよう
  16. 🤔 Q&A
  17. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページで実再現できるのは図1(外国人延べ宿泊者数の推移)と図2(宿泊施設数×交流人口の散布図)です。コードの編集は不要です。(原論文の中心である訪日外客統計・為替相場・訪日外国人消費額・未来予測は SSDSE-B に列が無いため、図3・図4は原論文の報告値を転記して可視化します。)

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データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県別・基礎データ、社会・人口統計体系)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_H5_9_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_H5_9_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。訪日外客統計・為替相場・消費額・予測値は SSDSE-B 収録外のため原論文の報告値を転記して可視化し、外国人延べ宿泊者数・旅館営業施設数は SSDSE-B から実再現します。
研究のテーマと目的

著者は香川県立高松商業高等学校の高校生である。訪日外国人数は東日本大震災による減少を乗り越え、2019年に3,188万人、訪日外国人旅行消費額は4兆8,135億円と、いずれも過去最高を記録した。ところが2020年以降、新型コロナウイルスの流行による入国制限で訪日外国人数と旅行消費額は急激に減少した(原論文 図1)。日本経済は非常に厳しい状況に置かれた。

著者はこの問題を調べるうちに、「過去の災害からの再興の特徴を分析し、過去と今を比較すれば未来予測ができ、交流人口の回復につなげられないか」と考えた。そこで統計データを活用し、過去の訪日外国人数の増減からどのような施策が求められているのかを分析することを研究の目的に据えた。なお本稿では「交流人口」を「訪日外国人」として定義している。

3,188万人
2019年の訪日外国人数(過去最高・原論文の報告値)
4兆8,135億円
2019年の訪日外国人旅行消費額(過去最高・報告値)
r=0.749
訪日外国人数×為替相場の相関(原論文の報告値・図2)
r=0.965
訪日外国人数×旅館営業施設数の相関(原論文の報告値・図3)
研究の問い コロナ禍で急減した交流人口(訪日外国人)は何によって増減するのか。円安や宿泊施設数はどれだけ効くのか。そして、東日本大震災からの回復の経験から、コロナ後の回復にはどんな施策が必要か。
分析のキモ:相関で要因を確かめ、過去の危機と比較して未来を読む 著者はまず為替相場・宿泊施設数と訪日外国人数の相関を調べ、次に東日本大震災(2011年)とコロナ禍(2020年)の観光状況を時系列で比較し、最後にエクセルの予測シートで交流人口の回復を予測した。相関 → 過去危機比較 → 未来予測という3段構えが見どころ。

高校生の部 JNTO・観光庁・日本銀行+SSDSE-B 相関分析 過去危機との比較 未来予測

使用データと再現可能性の整理

本研究は複数の出典を組み合わせている。中心である訪日外国人数は日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計、訪日外国人消費額は観光庁、為替相場は日本銀行、旅館営業施設数は SSDSE-B-2022 から取っている。粒度は月次・年次の全国値がほとんどで、訪日外客統計・為替相場・消費額そのものは SSDSE に収録されていない

主なデータと出典(原論文 表1)

役割データ出典(年度)本ページでの扱い
交流人口訪日外客統計(訪日外国人数・月別/年別)日本政府観光局 JNTO(2010〜2022)報告値の可視化
消費訪日外国人消費額(費目別)観光庁(2010〜2021)報告値の可視化
要因①為替相場(東京インターバンク相場・ドル円)日本銀行(2010〜2022)報告値の可視化
政策観光庁予算(訪日旅行促進事業ほか)観光庁(2011・2012)報告値の可視化
要因②旅館営業施設数(ホテルを含む)SSDSE-B(C3801)実再現
交流人口の代理外国人延べ宿泊者数・延べ宿泊者数SSDSE-B(G7102・G7101)実再現
再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 実再現できる部分:原論文の交流人口(訪日外国人数)は SSDSE に無いが、外国人延べ宿泊者数(G7102)が交流人口の代理として SSDSE-B に収録されている。そこで図1で外国人延べ宿泊者数の全国推移を実データで再現し、コロナ禍の急減と回復を確認する。さらに原論文4.2の仮説「宿泊施設数が多いほど交流人口が増える」を、旅館営業施設数(C3801)×外国人延べ宿泊者数(G7102)の都道府県横断相関として実計算する(図2)。
  • 報告値の可視化(再計算ではない):原論文の中心である訪日外客統計・為替相場・訪日外国人消費額・未来予測は SSDSE-B に列が無く、出典もJNTO・日本銀行・観光庁である。よって相関係数 r=0.749・r=0.965(図2・図3)、費目別消費額割合(図4のもと)、未来予測値(2020年3,536万人・2022年4,181万人)は原論文の報告値を符号・桁そのまま転記して可視化する。
  • 新しい数値の捏造はしない:報告値と再計算値はラベルで分離する。GDP・県内総生産・高齢化率などは本研究の分析に用いず、SSDSE-B に無い列は使わない。図2の相関 r(実計算値)は原論文の報告値 r=0.965(全国時系列・別指標)とは別物として区別する。

分析の流れ:相関 → 過去危機比較 → 未来予測

分析の流れ
相関分析
為替 r=0.749
施設数 r=0.965
過去危機比較
費目別消費額
月別推移(2011/2020)
回復の要因
訪日旅行促進事業
ビザ緩和・メディア
未来予測
2022年
4,181万人
提言
規制緩和+
地方分散(SNS)

① 為替相場・宿泊施設数との相関(4.1・4.2)

「円安ほど訪日客が増える」「宿泊施設が多いほど交流人口が増える」という2つの仮説を、相関係数散布図で検証する(図2・図3)。

② 過去の危機との比較(4.3)

東日本大震災(2011年)とコロナ禍(2020年)を並べ、費目別消費額割合と月別訪日外国人数を時系列で比較する(図4・図7)。

③ 震災からの回復の要因(4.4)

2011年から2012年にかけての回復過程と観光庁予算を調べ、訪日旅行促進事業(メディア戦略・ビザ緩和・プロモーション)が回復に効いたことを確認する。

④ 未来予測(4.5)

エクセルの予測シートで訪日外国人数と為替相場の将来値を外挿し、回復の見通しを立てる(図12)。

相関は「関係の強さ」であって因果ではない 本研究は相関を中心に用いる。為替相場と訪日外国人数に正の相関が出ても、円安だけが訪日客を増やすとは限らない(景気・ビザ・感染状況など多くの要因が同時に効く)。相関を過去危機の比較や政策の分析で裏づける姿勢が重要である。
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図1:外国人延べ宿泊者数の推移(実再現)

まず原論文の出発点である「交流人口(訪日外国人)の急減と回復」を、SSDSE-B の外国人延べ宿泊者数で実再現する。訪日外客統計そのものは SSDSE に無いため、交流人口の代理指標を用いる。

やってみよう外国人延べ宿泊者数(交流人口の代理)の全国推移を SSDSE-B から実再現する【実再現・図1】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B-2026 をcp932・ラベル行 skiprows=[1] で読み込み、年度列を SSDSE-B-2026 とする。G7102 外国人延べ宿泊者数G7101 延べ宿泊者数を47都道府県で合計して全国値の年推移を作る。原論文図1の「訪日外国人数の急減」を、SSDSEに収録された交流人口の代理指標で実再現する。
  • ② 前後のつながり:原論文は訪日外客統計(JNTO)で図1を描いたが、これはSSDSEに無い。そこで外国人延べ宿泊者数という代理指標に置き換えて、同じ「コロナ禍の急減と回復」を実データで確かめる。ここが以降の相関・比較・予測すべての出発点になる。
📝 コード
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df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', skiprows=[1])
df = df.rename(columns={'SSDSE-B-2026': '年度'})

# 使う列(すべてSSDSE-Bに実在)
#   C3801 旅館営業施設数(ホテルを含む)
#   G7101 延べ宿泊者数 / G7102 外国人延べ宿泊者数
for c in ['C3801', 'G7101', 'G7102']:
    df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce')

years = sorted(df['年度'].unique())

# ── 全国値(47都道府県の合計)を年度ごとに集計 ─────────────────
nat = df.groupby('年度').agg(
    旅館営業施設数=('C3801', 'sum'),
    延べ宿泊者数=('G7101', 'sum'),
    外国人延べ宿泊者数=('G7102', 'sum'),
).reset_index()

# ================================================================
# [1] 実再現:外国人延べ宿泊者数(交流人口の代理)の全国推移
# ================================================================
print("=== [1] 外国人延べ宿泊者数 の全国推移(実再現・SSDSE-B G7102) ===")
print("訪日外国人数(JNTO)はSSDSEに無いため、代理指標として外国人延べ宿泊者数を用いる")
print(f"{'年度':>6}{'外国人延べ宿泊者数(万人泊)':>22}{'延べ宿泊者数(万人泊)':>20}")
base19 = nat.loc[nat['年度'] == 2019, '外国人延べ宿泊者数'].values[0]
for _, r in nat.iterrows():
    print(f"{int(r['年度']):>6}{r['外国人延べ宿泊者数']/1e4:>22,.0f}{r['延べ宿泊者数']/1e4:>20,.0f}")
drop20 = nat.loc[nat['年度'] == 2020, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1
drop21 = nat.loc[nat['年度'] == 2021, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1
rec23 = nat.loc[nat['年度'] == 2023, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1
print(f"2019年ピーク比:2020年 {drop20*100:+.1f}%、2021年 {drop21*100:+.1f}%、2023年 {rec23*100:+.1f}%")
print("→ 原論文図1(訪日外国人数の急減)をSSDSE実データで裏づけ。2021年に底、2023年でほぼ回復。")
▼ 実行結果
=== [1] 外国人延べ宿泊者数 の全国推移(実再現・SSDSE-B G7102) ===
訪日外国人数(JNTO)はSSDSEに無いため、代理指標として外国人延べ宿泊者数を用いる
    年度        外国人延べ宿泊者数(万人泊)         延べ宿泊者数(万人泊)
  2012                 2,382              35,995
  2013                 3,124              38,221
  2014                 4,207              39,615
  2015                 6,051              41,903
  2016                 6,407              41,664
  2017                 7,293              43,202
  2018                 8,357              45,250
  2019                10,131              50,098
  2020                 1,589              26,663
  2021                   344              25,888
  2022                 1,361              37,717
  2023                 9,503              49,990
2019年ピーク比:2020年 -84.3%、2021年 -96.6%、2023年 -6.2%
→ 原論文図1(訪日外国人数の急減)をSSDSE実データで裏づけ。2021年に底、2023年でほぼ回復。
  • ④ 実行結果の読み取り:外国人延べ宿泊者数は2012年の2,382万人泊から2019年に1億131万人泊へ急拡大し、原論文図1の「2019年ピーク」と整合する。ところがコロナ禍で2020年は前年比 −84.3%、2021年は −96.6%とほぼ蒸発し、2023年は −6.2%までV字回復した。訪日外国人数(JNTO)そのものではないが、原論文が描いた急減と回復の姿を実データで裏づけられる。
外国人延べ宿泊者数と延べ宿泊者数の全国推移(2012〜2023年・SSDSE-B・実再現)
図1:外国人延べ宿泊者数(赤)・延べ宿泊者数(青)の全国推移(2012〜2023年)。実再現(SSDSE-B G7102・G7101、47都道府県合計)。2019年ピーク→コロナ禍で急減(2021年に底)→2023年でほぼ回復。訪日外国人数(JNTO)は SSDSE に無いため、外国人延べ宿泊者数を交流人口の代理指標とした。
📊 この図の読み方
赤い線(外国人)
訪日客の宿泊。2012→2019で約4倍に急伸し、コロナ禍でほぼゼロまで落ちて2023年に急回復。訪日外国人数の動きとほぼ同じ形。
青い線(総数)
日本人を含む全宿泊。コロナ禍でも赤ほどは落ちない=落ち込みの主因は外国人客の消失だと分かる。
灰色の帯
2020〜2021年のコロナ禍。原論文が「急激に減少」と述べた時期に対応する。
2
図2:宿泊施設数×交流人口の散布図(実再現)

原論文4.2の仮説「宿泊施設数が多いほど交流人口が増える」を、SSDSE-B の実データで確かめる。訪日外国人数は SSDSE に無いので、交流人口を外国人延べ宿泊者数に置き換え、都道府県横断で相関を実計算する。

やってみよう旅館営業施設数と外国人延べ宿泊者数の関係を都道府県横断で実計算する【実再現・図2】
  • ① このコードの目的:コロナ前の2019年について、C3801 旅館営業施設数G7102 外国人延べ宿泊者数の都道府県横断の相関係数scipy.stats.pearsonr で実計算する。原論文4.2の仮説「宿泊施設数が多いほど交流人口が増える」を、SSDSE実データで確かめる。
  • ② 前後のつながり:原論文は全国時系列で訪日外国人数×旅館営業施設数の相関 r=0.965 を報告した(図3)。だが訪日外国人数はSSDSEに無いので同じ相関は再現できない。そこで都道府県横断という別の切り口で、施設数と交流人口(外国人宿泊)の関係を実データで検証する。
📝 コード
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CROSS_YEAR = 2019  # コロナ前のピーク年で検証
sub = df[df['年度'] == CROSS_YEAR].dropna(subset=['C3801', 'G7102']).copy()
r_cross, p_cross = stats.pearsonr(sub['C3801'], sub['G7102'])
print(f"対象年:{CROSS_YEAR}年(コロナ前)/N={len(sub)}都道府県")
print(f"相関係数 r = {r_cross:.4f}(p = {p_cross:.3g})  ※SSDSE実データでの再計算値")
print("参考:原論文の報告値は 全国時系列 訪日外国人数×旅館営業施設数 で r=0.965067162")
top = sub.sort_values('G7102', ascending=False).head(5)
print("外国人延べ宿泊者数 上位5都道府県(施設数/外国人延べ宿泊者数[万人泊]):")
for _, r in top.iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} 施設数 {int(r['C3801']):>6,}軒 / {r['G7102']/1e4:>8,.0f}")
print("→ 施設数が多い地域ほど外国人宿泊が多い正の相関を実データで確認(原論文の仮説と整合)。")
▼ 実行結果
=== [2] 旅館営業施設数 × 外国人延べ宿泊者数(実再現・都道府県横断) ===
対象年:2019年(コロナ前)/N=47都道府県
相関係数 r = 0.5963(p = 9.72e-06)  ※SSDSE実データでの再計算値
参考:原論文の報告値は 全国時系列 訪日外国人数×旅館営業施設数 で r=0.965067162
外国人延べ宿泊者数 上位5都道府県(施設数/外国人延べ宿泊者数[万人泊]):
  東京都   施設数  3,308軒 /    2,796
  大阪府   施設数  1,477軒 /    1,587
  京都府   施設数    995軒 /      895
  北海道   施設数  2,863軒 /      798
  沖縄県   施設数  2,156軒 /      542
→ 施設数が多い地域ほど外国人宿泊が多い正の相関を実データで確認(原論文の仮説と整合)。
  • ④ 実行結果の読み取り:2019年の47都道府県で相関係数はr=0.596(p<0.001)と正の相関になり、原論文の仮説「施設数が多い地域ほど交流人口が多い」を実データで裏づけた。上位は東京・大阪・京都・北海道・沖縄で、施設数と外国人宿泊がともに多い。この r=0.596 は SSDSE実データでの再計算値で、原論文の報告値 r=0.965(全国時系列・訪日外国人数)とは別物である点に注意。横断相関が時系列相関より弱いのは、京都・沖縄のように施設数の割に外国人が多い(少ない)県のばらつきがあるため。
旅館営業施設数と外国人延べ宿泊者数の散布図(2019年・47都道府県・SSDSE-B・実再現)
図2:旅館営業施設数(横軸)×外国人延べ宿泊者数(縦軸)、2019年・47都道府県。実再現(SSDSE-B C3801・G7102)。Pearson r = 0.596(実計算値)で正の相関。原論文の報告値 r=0.965 は全国時系列・訪日外国人数×施設数で、本図(都道府県横断・別指標)とは区別する。
📊 この図の読み方
右上がりの傾向
施設数が多い県ほど外国人宿泊が多い。原論文の仮説と同じ向きの正の相関(r=0.596)。
破線(回帰直線)
全体の傾き。東京が大きく右上に外れ、全体を引っ張っている。
ばらつき
京都は施設数の割に外国人が非常に多く、北海道は施設数が多い割にやや少ない。施設数だけでは決まらないことも読み取れる。
3
図3:費目別消費額の割合(報告値)

次に、過去の危機(2011年)とコロナ禍(2020年)の消費構造を比べる。費目別消費額は観光庁の調査で SSDSE に無いため、原論文 図4 の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。

やってみよう原論文 図4 の費目別消費額割合(2011年 vs 2020年1-3月期)を転記する
  • ① このブロックの目的:訪日外国人消費額を宿泊費・飲食費・交通費・娯楽サービス費・買物代・その他に分け、2011年と2020年1-3月期の構成比(%)を符号・桁そのままに書き出す。観光庁の調査値で SSDSE に無いため、再計算ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:過去の危機と現在で「お金の使われ方」が変わったかを見る部分。震災後もコロナ禍でも消費構造が大きくは変わらないことが、回復策を考える手がかりになる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 費目別 訪日外国人消費額の割合(原論文の報告値・図4) ===
費目            2011年(%)  2020年1-3月(%)
宿泊費                 35            31
飲食費                 21            24
交通費                 11            10
娯楽・サービス費             3             6
買物代                 30            29
その他                  1             0
→ 両年とも最多は宿泊費、次いで買物代。買物代の内訳は菓子類の購入率が最も高い(原論文)。
  • ④ 実行結果の読み取り:① 2011年・2020年のどちらも最多は宿泊費(35% / 31%)、次いで買物代(30% / 29%)で、消費構造は危機をまたいでほぼ変わらない。② 買物代の内訳は両年とも菓子類の購入率が最も高い(原論文図5・図6)。観光庁アンケートでも「日本の菓子は美味しい」「お土産に良い」の回答が多い。③ 宿泊と買物が消費の柱なので、宿泊施設と土産物(菓子)が交流人口の回復に直結すると示唆される。数値はすべて原論文の報告値。
費目別にみる訪日外国人消費額の割合 2011年 vs 2020年(報告値の可視化)
図3:費目別にみる訪日外国人消費額の割合(2011年 vs 2020年1-3月期)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 図4・出典=観光庁)。両年とも宿泊費が最多、次いで買物代。数値はすべて原論文の報告値。
📊 この図の読み方
青(2011年)と赤(2020年)
費目ごとに2年を並べた。棒の長さが構成比(%)。宿泊費と買物代が突出している。
ほぼ同じ形
震災後もコロナ禍も消費構造は大きく変わらない。危機の種類が違っても「宿泊+買物」が柱。
娯楽・サービス費の増加
3%→6%とわずかに増加。数少ない変化点だが、全体構造への影響は小さい。
4
図4:相関係数と未来予測(報告値)

最後に、原論文の柱となる報告値をまとめて可視化する。為替相場・訪日外国人数・エクセル予測はいずれも SSDSE に無いため、原論文 図2・図3・図12 の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。

やってみよう原論文の相関係数(図2・図3)と未来予測(図12)を転記する
  • ① このブロックの目的:訪日外国人数×為替相場 r=0.74922097(R²=0.5613)、訪日外国人数×旅館営業施設数 r=0.965067162(R²=0.9314)、そしてエクセル予測シートによる訪日外国人数予測(2020年3,536万人・2022年4,181万人)を、符号・桁そのまま書き出す。JNTO・日本銀行・観光庁予測でSSDSEに無いため、報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:「何が交流人口を動かすか(相関)」と「これからどう回復するか(予測)」という研究の結論部分。図1・図2の実再現と対応させて、原論文の主張を正確に押さえる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [4] 原論文の主要な報告値(転記・再計算ではない) ===
【相関分析】
  図2 訪日外国人数 × 為替相場        r = 0.74922097 (R²=0.5613)  正の相関
  図3 訪日外国人数 × 旅館営業施設数  r = 0.965067162(R²=0.9314)  正の相関
【過去危機との比較(月別訪日外国人数・図7)】
  2011年:最多 71万人(1月) / 最少 29万人(4月)
  2020年:最多 266万人(1月) / 最少 1,663人(5月)
  2011年の年計は622万人で2010年比 -27.8%(当時の統計史上最悪)→約1年で震災前水準に回復
【未来予測(エクセル予測シート・図12)】
  訪日外国人数 予測:2020年 3,536万人 → 2022年 4,181万人
  (2016年策定『明日の日本を支える観光ビジョン』の2020年4,000万人目標に対応)
  • ④ 実行結果の読み取り:① 為替相場との相関 r=0.749 は正で、円安ほど訪日客が増える傾向。ただし R²=0.5613 なので変動の約56%しか説明しない。② 施設数との相関 r=0.965 は非常に強い(R²=0.9314)が、これは年数が少ない全国時系列で、施設数も訪日客もともに右肩上がりだったための強さで、因果とは限らない。③ 未来予測は2022年に4,181万人で「観光ビジョン2020年4,000万人目標」を上回るが、コロナという構造変化を織り込めない外挿のため実際とは大きく外れた。数値はすべて原論文の報告値。
原論文が報告した相関係数と未来予測(報告値の可視化)
図4:(左)原論文が報告した相関係数(為替 r=0.749・施設数 r=0.965)、(右)エクセル予測シートによる訪日外国人数の未来予測(2020年3,536万人・2022年4,181万人)。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文 図2・図3・図12)。数値はすべて原論文の報告値。
📊 この図の読み方
左:相関係数
2本とも正。施設数(0.965)は為替(0.749)より高いが、時系列でともに増えたための見かけの強さでもある。
右:予測値
予測は右肩上がりを延長した外挿。破線(4,000万人目標)を超えるが、コロナで実際は大きく下回った。
予測の限界
過去の傾向をそのまま延ばす外挿は、構造変化(パンデミック)の前では大きく外れる。予測を鵜呑みにしない教訓。

結果の解釈と提言

相関分析で為替相場(円安)と宿泊施設数が交流人口に効くことを確かめ、過去危機との比較で回復の道筋を探った。著者はこれらを踏まえ、コロナ後の交流人口回復に向けた提言を導く。

考察1:円安と宿泊が消費の柱(原論文 5.1)

為替相場(円安)と宿泊施設数には正の相関があった(報告値 r=0.749・r=0.965)。消費額の内訳をみると最も割合が高いのは宿泊費、次いで買物代(菓子類・化粧品)である。円安になると使えるお金が増えるためインバウンド消費の伸びが期待でき、宿泊と土産物が回復の柱になる。宿泊施設の需要量は年々減少気味だが、訪日外国人からは「日本の文化を味わえる」と好評である。

考察2:震災後の回復は訪日旅行促進事業が牽引(原論文 5.1・4.4)

2011年の訪日外国人数は622万人で2010年比 −27.8%と当時の統計史上最悪を記録したが、約1年で震災前水準に回復した。回復に最も効いたのは2003年に始まった訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)である。中国では沖縄個人観光数次ビザの解禁・個人観光ビザの発給要件緩和、台湾では北海道ツアーやチャーター便、タイではSNS(Facebook・Twitter)での情報発信や定期便増便など、ビザ緩和とメディア戦略が交流人口を押し上げた。放送とネット系メディアを併用した情報発信が有効だった。

回復の構図(原論文 4.4)
災害で急減
2011年 −27.8%
ビザ緩和
個人観光ビザ
要件緩和
メディア戦略
SNS・放送
プロモーション
約1年で回復
震災前水準へ

提言:規制緩和とSNSによる地方分散(原論文 5.1)

現在、政府は感染拡大防止のため入国制限を緩和する方向で検討している。海外ではコロナ前の生活を取り戻しつつあるが、日本は厳しい制限下にあり外国人観光客の入国が低調である。著者は、震災後の回復事例を踏まえ規制緩和やビザ取得手続きの簡素化を提案する。さらに、大都市圏に集中していた外国人観光客を地方へ分散させる契機として、SNSで地方の観光情報を発信し、「持続可能な観光」のコンセプトに沿った各地の観光コンテンツを海外向けに強化すべきだと説く。

この考察の限界 相関は因果を示さない。円安と訪日客数に相関があっても、景気やビザ・感染状況など多くの要因が同時に効いている。また未来予測はコロナという構造変化を織り込めず大きく外れた。著者自身も、コロナ禍で調査中止・データ欠損があり予測精度に限界があると述べている。

まとめと今後の課題

本研究は、コロナ禍で急減した交流人口(訪日外国人)は何によって増減し、どう回復するのかという問いに、相関分析過去危機との比較未来予測で挑んだ。為替相場(円安)と宿泊施設数が交流人口に効き(報告値 r=0.749・r=0.965)、消費の柱は宿泊費と買物代(菓子類)だった。東日本大震災からの回復では訪日旅行促進事業(ビザ緩和・メディア戦略)が約1年での回復を牽引した。提言は規制緩和とSNSによる地方分散で「持続可能な観光」を進めることである。本ページでは、交流人口の代理である外国人延べ宿泊者数と旅館営業施設数を SSDSE-B で実再現し(図1・図2)、訪日外客統計・為替・消費額・予測にまつわる報告値は転記して切り分けた。高校生が過去の危機の経験を未来予測に接続した探究が見どころである。

この研究の限界 ①中心データ(訪日外客統計・為替・消費額・予測)は SSDSE に無く、本ページでは報告値の可視化にとどまる(外国人延べ宿泊者数・施設数のみ実再現)。②相関中心のため因果の向きは不明。③未来予測は過去の傾向を延ばす外挿で、コロナという構造変化を織り込めず大きく外れた。④コロナ禍による調査中止でデータの欠損があった、と著者自身が述べている。
この研究から学べること 思いつく仮説(円安・宿泊施設)を相関で確かめ、過去の危機(震災)と今(コロナ)を並べて回復の道筋を読むという探究の進め方、そして実再現できる部分と報告値を切り分ける誠実さ。さらに、外挿予測がパンデミックの前でどう外れるかという予測の限界も学べる。審査会も高校生による理論と実証の接続を評価し、審査員奨励賞に選んだ。

データ・コードのダウンロード

このページの実再現の図(図1・図2)は、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv

※ 図1(外国人延べ宿泊者数の推移)・図2(施設数×交流人口の散布図)はSSDSE-Bの G7102・G7101・C3801 から算出した実再現です。図3(費目別消費額割合)・図4(相関係数・未来予測)は、訪日外客統計・為替相場・消費額・予測が出典でSSDSE-B外のため、原論文の報告値を符号・桁そのまま可視化したものです(新たな数値の捏造はしていません)。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「施設数×訪日客の相関が0.965なら、施設を増やせば訪日客が増える」
相関因果ではない。この r=0.965 は年数の少ない全国時系列で、施設数も訪日客もともに右肩上がりだったための高さでもある(見かけの相関の可能性)。施設を増やせば必ず訪日客が増える、とは言えない。
誤解2:「エクセル予測で2022年4,181万人なら、実際もそうなる」
この予測は過去の傾向を延ばした外挿。コロナのような構造変化は織り込めない。実際の2022年の訪日外国人数は大幅に下回った。予測はあくまで「何も起きなければ」の値で、鵜呑みにできない。
誤解3:「このページの図2の相関(0.596)と原論文の0.965は同じもの」
別物である。原論文の0.965は全国時系列・訪日外国人数×施設数(報告値)。本ページ図2の0.596は都道府県横断・外国人延べ宿泊者数×施設数(SSDSE実データの再計算値)。切り口も指標も違うので、値が違って当然。
誤解4:「このページの図はすべて原論文と同じ数値を計算し直したもの」
図1(外国人延べ宿泊者数)・図2(施設数×交流人口)だけがSSDSE-Bからの実再現。図3(費目別消費額)・図4(相関・予測)は訪日外客統計・為替・消費額が出典でSSDSE-B外のため報告値の可視化(再計算ではない)。図注に区別を明記している。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

相関(相関係数)
2つの量が一緒に動く強さを−1〜+1で表す。本研究は訪日外国人数×為替相場(0.749)、×旅館営業施設数(0.965)などの相関で要因を確かめた(報告値)。
散布図
2変数を点で描いて関係を見る図。本ページ図2は施設数×外国人延べ宿泊者数を都道府県ごとに散布図にした。
時系列
時間に沿って並んだデータ。本研究は訪日外国人数や外国人延べ宿泊者数の年推移、2011年と2020年の月別推移の比較に用いる。
未来予測(外挿)
過去のデータから将来値を推定すること。本研究はエクセル予測シートで訪日外国人数を外挿した(2022年4,181万人・報告値)が、コロナの構造変化で大きく外れた。
因果関係
一方が原因で他方が結果という関係。相関があっても因果は言えない。本研究の相関も因果の向きは特定されていない。
見かけの相関
両方がともに時間とともに増える等の理由で、本当は関係が薄いのに高い相関が出ること。施設数×訪日客の0.965にはこの側面もある。
SSDSE
教育用標準データセット。本ページの実再現はSSDSE-B(都道府県別)の外国人延べ宿泊者数・延べ宿泊者数・旅館営業施設数を用いる。訪日外客統計・為替・消費額はSSDSE-Bに無い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。

全体像
まず相関係数・散布図で要因(為替・施設数)を確かめ → 時系列の比較で過去の危機(震災)と今(コロナ)を並べ → 未来予測(外挿)で回復を見通す。相関で確かめ、過去との比較で裏づけるのが見どころ。
🔗 相関分析散布図
何をする
2つの量が一緒に動く強さを相関係数(−1〜+1)で測り、散布図で目で確かめる。本研究は為替相場・施設数と訪日外国人数の関係を調べた。
読み方
絶対値が0.7以上で「強い」、0.4前後で「中程度」、0.2未満で「ほぼ無し」。符号は向き。R²(決定係数)は相関係数の2乗で、変動の何%を説明するかを表す(0.749²≒0.56)。
注意
相関は因果ではない。とくに両方が時間とともに増える時系列では、無関係でも高い相関(見かけの相関)が出やすい。
📈 時系列の比較分析
何をする
時間に沿ったデータを複数の期間で重ねて、パターンの違い・共通点を読む。本研究は2011年(震災)と2020年(コロナ)の月別訪日外国人数を並べて比較した。
なぜ有効
過去の危機からの回復パターンを、現在の危機に当てはめて見通しを立てられる。「災害の後に急減し、施策で回復する」という共通構造が見える。
注意
危機の性質が違えば回復も違う。震災(局所・短期)とパンデミック(世界規模・長期)を同一視しない。水準(スケール)の違いにも注意。
🔮 未来予測(外挿)
何をする
過去のトレンドを将来に延ばして予測する。本研究はエクセルの予測シート(指数平滑法などの自動予測)で訪日外国人数を外挿した。
読み方
予測は「これまでの傾向が続けば」という条件つきの値。信頼区間(予測の幅)も併せて見るのが望ましい。
注意
コロナのような構造変化は過去データに無いので織り込めない。外挿予測はパンデミックや制度変更の前で大きく外れる。本研究の予測も実際とは大きく乖離した。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「円安と宿泊施設が交流人口を押し上げ、過去の回復策が今も有効」という結論は、次の研究の出発点になる。

発展1:地方分散が本当に進んだかを検証する(著者の提言の検証)
結果X
外国人宿泊は東京・大阪・京都に集中(図2)。著者はSNSによる地方分散を提言した。
新仮説Y
コロナ後(2023年〜)に、外国人延べ宿泊者数の都道府県シェアは地方へ分散したのではないか。
課題Z
SSDSE-BのG7102で2019年と2023年の都道府県シェアを比較し、地方分散の有無を実データで確かめる(本ページのコードを応用可能)。
発展2:為替と訪日客の関係が今も成り立つかを問う
結果X
訪日外国人数×為替相場 r=0.749(報告値)。円安ほど訪日客が増えるとされた。
新仮説Y
2022年以降の急速な円安局面でも、同じ強さの正の相関が続いているのか。
課題Z
外国人延べ宿泊者数(SSDSE)と為替(日銀)を突き合わせ、コロナ後の局面で相関が変化していないかを検証する。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
別の年で施設数×交流人口の散布図を出す
図2のコードは CROSS_YEAR = 2019 でコロナ前を選んでいる。ここを2023年に変えて、相関がどう変わるかを見てみよう(コロナ後は r が上がる)。
★★☆☆☆ 難易度2
外国人宿泊の上位・下位5県を表で出す
2019年の外国人延べ宿泊者数を降順に並べ、上位5県と下位5県を表示してみよう。大都市・観光地に集中していることが確認できる。
★★★☆☆ 難易度3
コロナの落ち込み率を県別に計算する
県ごとに 2020年÷2019年 の外国人延べ宿泊者数の比を計算し、落ち込みが大きかった県・小さかった県を比べてみよう。
★★★★☆ 難易度4
地方分散が進んだかを確かめる
2019年と2023年で、外国人延べ宿泊者数の都道府県シェア(各県÷全国)を比較し、東京・大阪の集中が緩んだかを見てみよう。著者の提言の検証になる。
★★★★★ 難易度5
なぜ為替や訪日客数の相関は再現できないのか説明する
原論文の中心(訪日外国人数×為替 r=0.749 など)が、なぜSSDSE-Bで実再現できないのかを、訪日外客統計・為替という列の有無出典(JNTO・日本銀行 vs SSDSE)の2点から自分の言葉で説明してみよう。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「相関で要因を確かめ、過去の危機と比較して未来を読む」発想は、観光・行政・経営で広く使われている。

🧳
観光需要の予測・DMO
為替・イベント・感染状況などと宿泊者数の関係を分析し、需要を予測して宿泊・交通の受け入れ体制を設計する。本研究と同じ発想。
📉
危機からの復興計画
過去の災害・不況からの回復パターンを時系列で比較し、今回の危機の回復シナリオを描く。震災とコロナの比較はその典型。
🏨
ホテル・小売の売上要因分析
為替・客数・季節と売上の相関を調べ、費目別の消費構造(宿泊・買物)から品ぞろえや価格戦略を組み立てる。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. なぜ訪日外国人数そのものを使わず、外国人延べ宿泊者数で再現するの?
A. 訪日外客統計(JNTO)はSSDSEに収録されていないためです。SSDSE-Bには外国人延べ宿泊者数(G7102)があり、訪日外国人の動きをよく反映する代理指標になります。だから急減と回復のパターンは実データで再現できますが、原論文の相関係数そのもの(訪日客数×為替など)は再現できず報告値として扱います。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 図1(外国人延べ宿泊者数)・図2(施設数×交流人口)はSSDSE-Bからの実再現です。図3(費目別消費額)・図4(相関係数・未来予測)は、訪日外客統計・為替・消費額・予測が出典でSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を符号・桁そのままに転記して可視化しています。新たな数値の捏造はしていません。
Q. 施設数×訪日客の相関0.965はとても高いけど、施設を増やせば訪日客が増える?
A. そうとは限りません。この相関は年数の少ない全国時系列で、施設数も訪日客もともに右肩上がりだったため高く出た面があります(見かけの相関)。本ページの都道府県横断で計算すると r=0.596 と弱まります。相関は因果ではありません。
Q. なぜ未来予測は外れたの?
A. エクセルの予測は過去の傾向を将来に延ばす外挿だからです。コロナのような構造変化は過去データに無いので織り込めません。2022年4,181万人という予測は「何も起きなければ」の値で、実際の入国制限下では大きく下回りました。予測の限界を知る良い教材です。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_9_shorei.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。