この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。
| 原論文が使ったデータ | 訪日外客統計・訪日外国人消費額・観光庁予算・為替相場(東京インターバンク相場)・SSDSE-B 分析単位:国 中核手法:相関分析 |
|---|---|
| この教材が使うデータ |
|
| 原論文(PDF) | 持続可能な観光 審査員奨励賞/玉岡 咲季(香川県立高松商業高等学校) |
▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2022_H5_9_shorei.py(262 行)そのものです。
このページで実再現できるのは図1(外国人延べ宿泊者数の推移)と図2(宿泊施設数×交流人口の散布図)です。コードの編集は不要です。(原論文の中心である訪日外客統計・為替相場・訪日外国人消費額・未来予測は SSDSE-B に列が無いため、図3・図4は原論文の報告値を転記して可視化します。)
data/raw/ フォルダに入れます。html/figures/ に自動保存されます。訪日外客統計・為替相場・消費額・予測値は SSDSE-B 収録外のため原論文の報告値を転記して可視化し、外国人延べ宿泊者数・旅館営業施設数は SSDSE-B から実再現します。
著者は香川県立高松商業高等学校の高校生である。訪日外国人数は東日本大震災による減少を乗り越え、2019年に3,188万人、訪日外国人旅行消費額は4兆8,135億円と、いずれも過去最高を記録した。ところが2020年以降、新型コロナウイルスの流行による入国制限で訪日外国人数と旅行消費額は急激に減少した(原論文 図1)。日本経済は非常に厳しい状況に置かれた。
著者はこの問題を調べるうちに、「過去の災害からの再興の特徴を分析し、過去と今を比較すれば未来予測ができ、交流人口の回復につなげられないか」と考えた。そこで統計データを活用し、過去の訪日外国人数の増減からどのような施策が求められているのかを分析することを研究の目的に据えた。なお本稿では「交流人口」を「訪日外国人」として定義している。
高校生の部 JNTO・観光庁・日本銀行+SSDSE-B 相関分析 過去危機との比較 未来予測
本研究は複数の出典を組み合わせている。中心である訪日外国人数は日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計、訪日外国人消費額は観光庁、為替相場は日本銀行、旅館営業施設数は SSDSE-B-2022 から取っている。粒度は月次・年次の全国値がほとんどで、訪日外客統計・為替相場・消費額そのものは SSDSE に収録されていない。
| 役割 | データ | 出典(年度) | 本ページでの扱い |
|---|---|---|---|
| 交流人口 | 訪日外客統計(訪日外国人数・月別/年別) | 日本政府観光局 JNTO(2010〜2022) | 報告値の可視化 |
| 消費 | 訪日外国人消費額(費目別) | 観光庁(2010〜2021) | 報告値の可視化 |
| 要因① | 為替相場(東京インターバンク相場・ドル円) | 日本銀行(2010〜2022) | 報告値の可視化 |
| 政策 | 観光庁予算(訪日旅行促進事業ほか) | 観光庁(2011・2012) | 報告値の可視化 |
| 要因② | 旅館営業施設数(ホテルを含む) | SSDSE-B(C3801) | 実再現 |
| 交流人口の代理 | 外国人延べ宿泊者数・延べ宿泊者数 | SSDSE-B(G7102・G7101) | 実再現 |
「円安ほど訪日客が増える」「宿泊施設が多いほど交流人口が増える」という2つの仮説を、相関係数と散布図で検証する(図2・図3)。
東日本大震災(2011年)とコロナ禍(2020年)を並べ、費目別消費額割合と月別訪日外国人数を時系列で比較する(図4・図7)。
2011年から2012年にかけての回復過程と観光庁予算を調べ、訪日旅行促進事業(メディア戦略・ビザ緩和・プロモーション)が回復に効いたことを確認する。
エクセルの予測シートで訪日外国人数と為替相場の将来値を外挿し、回復の見通しを立てる(図12)。
まず原論文の出発点である「交流人口(訪日外国人)の急減と回復」を、SSDSE-B の外国人延べ宿泊者数で実再現する。訪日外客統計そのものは SSDSE に無いため、交流人口の代理指標を用いる。
skiprows=[1] で読み込み、年度列を SSDSE-B-2026 とする。G7102 外国人延べ宿泊者数・G7101 延べ宿泊者数を47都道府県で合計して全国値の年推移を作る。原論文図1の「訪日外国人数の急減」を、SSDSEに収録された交流人口の代理指標で実再現する。66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 | df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', skiprows=[1]) df = df.rename(columns={'SSDSE-B-2026': '年度'}) # 使う列(すべてSSDSE-Bに実在) # C3801 旅館営業施設数(ホテルを含む) # G7101 延べ宿泊者数 / G7102 外国人延べ宿泊者数 for c in ['C3801', 'G7101', 'G7102']: df[c] = pd.to_numeric(df[c], errors='coerce') years = sorted(df['年度'].unique()) # ── 全国値(47都道府県の合計)を年度ごとに集計 ───────────────── nat = df.groupby('年度').agg( 旅館営業施設数=('C3801', 'sum'), 延べ宿泊者数=('G7101', 'sum'), 外国人延べ宿泊者数=('G7102', 'sum'), ).reset_index() # ================================================================ # [1] 実再現:外国人延べ宿泊者数(交流人口の代理)の全国推移 # ================================================================ print("=== [1] 外国人延べ宿泊者数 の全国推移(実再現・SSDSE-B G7102) ===") print("訪日外国人数(JNTO)はSSDSEに無いため、代理指標として外国人延べ宿泊者数を用いる") print(f"{'年度':>6}{'外国人延べ宿泊者数(万人泊)':>22}{'延べ宿泊者数(万人泊)':>20}") base19 = nat.loc[nat['年度'] == 2019, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] for _, r in nat.iterrows(): print(f"{int(r['年度']):>6}{r['外国人延べ宿泊者数']/1e4:>22,.0f}{r['延べ宿泊者数']/1e4:>20,.0f}") drop20 = nat.loc[nat['年度'] == 2020, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1 drop21 = nat.loc[nat['年度'] == 2021, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1 rec23 = nat.loc[nat['年度'] == 2023, '外国人延べ宿泊者数'].values[0] / base19 - 1 print(f"2019年ピーク比:2020年 {drop20*100:+.1f}%、2021年 {drop21*100:+.1f}%、2023年 {rec23*100:+.1f}%") print("→ 原論文図1(訪日外国人数の急減)をSSDSE実データで裏づけ。2021年に底、2023年でほぼ回復。") |
=== [1] 外国人延べ宿泊者数 の全国推移(実再現・SSDSE-B G7102) ===
訪日外国人数(JNTO)はSSDSEに無いため、代理指標として外国人延べ宿泊者数を用いる
年度 外国人延べ宿泊者数(万人泊) 延べ宿泊者数(万人泊)
2012 2,382 35,995
2013 3,124 38,221
2014 4,207 39,615
2015 6,051 41,903
2016 6,407 41,664
2017 7,293 43,202
2018 8,357 45,250
2019 10,131 50,098
2020 1,589 26,663
2021 344 25,888
2022 1,361 37,717
2023 9,503 49,990
2019年ピーク比:2020年 -84.3%、2021年 -96.6%、2023年 -6.2%
→ 原論文図1(訪日外国人数の急減)をSSDSE実データで裏づけ。2021年に底、2023年でほぼ回復。
原論文4.2の仮説「宿泊施設数が多いほど交流人口が増える」を、SSDSE-B の実データで確かめる。訪日外国人数は SSDSE に無いので、交流人口を外国人延べ宿泊者数に置き換え、都道府県横断で相関を実計算する。
2019年について、C3801 旅館営業施設数とG7102 外国人延べ宿泊者数の都道府県横断の相関係数を scipy.stats.pearsonr で実計算する。原論文4.2の仮説「宿泊施設数が多いほど交流人口が増える」を、SSDSE実データで確かめる。105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 | CROSS_YEAR = 2019 # コロナ前のピーク年で検証 sub = df[df['年度'] == CROSS_YEAR].dropna(subset=['C3801', 'G7102']).copy() r_cross, p_cross = stats.pearsonr(sub['C3801'], sub['G7102']) print(f"対象年:{CROSS_YEAR}年(コロナ前)/N={len(sub)}都道府県") print(f"相関係数 r = {r_cross:.4f}(p = {p_cross:.3g}) ※SSDSE実データでの再計算値") print("参考:原論文の報告値は 全国時系列 訪日外国人数×旅館営業施設数 で r=0.965067162") top = sub.sort_values('G7102', ascending=False).head(5) print("外国人延べ宿泊者数 上位5都道府県(施設数/外国人延べ宿泊者数[万人泊]):") for _, r in top.iterrows(): print(f" {r['Prefecture']:<5} 施設数 {int(r['C3801']):>6,}軒 / {r['G7102']/1e4:>8,.0f}") print("→ 施設数が多い地域ほど外国人宿泊が多い正の相関を実データで確認(原論文の仮説と整合)。") |
=== [2] 旅館営業施設数 × 外国人延べ宿泊者数(実再現・都道府県横断) === 対象年:2019年(コロナ前)/N=47都道府県 相関係数 r = 0.5963(p = 9.72e-06) ※SSDSE実データでの再計算値 参考:原論文の報告値は 全国時系列 訪日外国人数×旅館営業施設数 で r=0.965067162 外国人延べ宿泊者数 上位5都道府県(施設数/外国人延べ宿泊者数[万人泊]): 東京都 施設数 3,308軒 / 2,796 大阪府 施設数 1,477軒 / 1,587 京都府 施設数 995軒 / 895 北海道 施設数 2,863軒 / 798 沖縄県 施設数 2,156軒 / 542 → 施設数が多い地域ほど外国人宿泊が多い正の相関を実データで確認(原論文の仮説と整合)。
次に、過去の危機(2011年)とコロナ禍(2020年)の消費構造を比べる。費目別消費額は観光庁の調査で SSDSE に無いため、原論文 図4 の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。
=== [3] 費目別 訪日外国人消費額の割合(原論文の報告値・図4) === 費目 2011年(%) 2020年1-3月(%) 宿泊費 35 31 飲食費 21 24 交通費 11 10 娯楽・サービス費 3 6 買物代 30 29 その他 1 0 → 両年とも最多は宿泊費、次いで買物代。買物代の内訳は菓子類の購入率が最も高い(原論文)。
最後に、原論文の柱となる報告値をまとめて可視化する。為替相場・訪日外国人数・エクセル予測はいずれも SSDSE に無いため、原論文 図2・図3・図12 の報告値を転記して可視化する(再計算ではない)。
=== [4] 原論文の主要な報告値(転記・再計算ではない) === 【相関分析】 図2 訪日外国人数 × 為替相場 r = 0.74922097 (R²=0.5613) 正の相関 図3 訪日外国人数 × 旅館営業施設数 r = 0.965067162(R²=0.9314) 正の相関 【過去危機との比較(月別訪日外国人数・図7)】 2011年:最多 71万人(1月) / 最少 29万人(4月) 2020年:最多 266万人(1月) / 最少 1,663人(5月) 2011年の年計は622万人で2010年比 -27.8%(当時の統計史上最悪)→約1年で震災前水準に回復 【未来予測(エクセル予測シート・図12)】 訪日外国人数 予測:2020年 3,536万人 → 2022年 4,181万人 (2016年策定『明日の日本を支える観光ビジョン』の2020年4,000万人目標に対応)
相関分析で為替相場(円安)と宿泊施設数が交流人口に効くことを確かめ、過去危機との比較で回復の道筋を探った。著者はこれらを踏まえ、コロナ後の交流人口回復に向けた提言を導く。
為替相場(円安)と宿泊施設数には正の相関があった(報告値 r=0.749・r=0.965)。消費額の内訳をみると最も割合が高いのは宿泊費、次いで買物代(菓子類・化粧品)である。円安になると使えるお金が増えるためインバウンド消費の伸びが期待でき、宿泊と土産物が回復の柱になる。宿泊施設の需要量は年々減少気味だが、訪日外国人からは「日本の文化を味わえる」と好評である。
2011年の訪日外国人数は622万人で2010年比 −27.8%と当時の統計史上最悪を記録したが、約1年で震災前水準に回復した。回復に最も効いたのは2003年に始まった訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)である。中国では沖縄個人観光数次ビザの解禁・個人観光ビザの発給要件緩和、台湾では北海道ツアーやチャーター便、タイではSNS(Facebook・Twitter)での情報発信や定期便増便など、ビザ緩和とメディア戦略が交流人口を押し上げた。放送とネット系メディアを併用した情報発信が有効だった。
現在、政府は感染拡大防止のため入国制限を緩和する方向で検討している。海外ではコロナ前の生活を取り戻しつつあるが、日本は厳しい制限下にあり外国人観光客の入国が低調である。著者は、震災後の回復事例を踏まえ規制緩和やビザ取得手続きの簡素化を提案する。さらに、大都市圏に集中していた外国人観光客を地方へ分散させる契機として、SNSで地方の観光情報を発信し、「持続可能な観光」のコンセプトに沿った各地の観光コンテンツを海外向けに強化すべきだと説く。
本研究は、コロナ禍で急減した交流人口(訪日外国人)は何によって増減し、どう回復するのかという問いに、相関分析・過去危機との比較・未来予測で挑んだ。為替相場(円安)と宿泊施設数が交流人口に効き(報告値 r=0.749・r=0.965)、消費の柱は宿泊費と買物代(菓子類)だった。東日本大震災からの回復では訪日旅行促進事業(ビザ緩和・メディア戦略)が約1年での回復を牽引した。提言は規制緩和とSNSによる地方分散で「持続可能な観光」を進めることである。本ページでは、交流人口の代理である外国人延べ宿泊者数と旅館営業施設数を SSDSE-B で実再現し(図1・図2)、訪日外客統計・為替・消費額・予測にまつわる報告値は転記して切り分けた。高校生が過去の危機の経験を未来予測に接続した探究が見どころである。
このページの実再現の図(図1・図2)は、以下から再現できます。
🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv
※ 図1(外国人延べ宿泊者数の推移)・図2(施設数×交流人口の散布図)はSSDSE-Bの G7102・G7101・C3801 から算出した実再現です。図3(費目別消費額割合)・図4(相関係数・未来予測)は、訪日外客統計・為替相場・消費額・予測が出典でSSDSE-B外のため、原論文の報告値を符号・桁そのまま可視化したものです(新たな数値の捏造はしていません)。
この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。
クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。
この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。
この研究の「円安と宿泊施設が交流人口を押し上げ、過去の回復策が今も有効」という結論は、次の研究の出発点になる。
再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。
CROSS_YEAR = 2019 でコロナ前を選んでいる。ここを2023年に変えて、相関がどう変わるかを見てみよう(コロナ後は r が上がる)。「相関で要因を確かめ、過去の危機と比較して未来を読む」発想は、観光・行政・経営で広く使われている。
この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。
この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。
このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。
Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。
下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、
「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。
表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です
(動かしているのは再現スクリプト code/2022_H5_9_shorei.py そのもの)。
コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。