この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。
| 原論文が使ったデータ | 論文本文からは特定できなかった |
|---|---|
| この教材が使うデータ |
|
| 原論文(PDF) | テレワークの拡大と通勤通学時間の減少がもたらす影響と課題 特別賞/武田 佳暖子・黒田 小晴(お茶の水女子大学附属高等学校) |
▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2021_H5_4_shorei.py(260 行)そのものです。
このページの通勤通学時間と睡眠・読書・音楽鑑賞・生活時刻の相関(図2〜図4)は、以下の手順で自分で再現できます。コードの編集は不要です。(健康4指標・自動車保有台数別・偏相関・テレワーク実施率などは本リポジトリ収録データだけでは再現できないため、原論文の報告値を可視化します=図1・図5。)
data/raw/ フォルダに入れます。html/figures/ に自動保存されます。
「通勤ストレス」という言葉があるように、長時間通勤や満員電車の負担は以前から問題視されてきた。そこへ感染症の流行でテレワークが一気に広がり、多くの人の通勤通学時間が減少した。テレワークには良い面が多いが、著者は逆に「通勤通学時間が減ることによる悪影響はないのか」という視点から出発する。
テレワークを推奨するなら、通勤通学時間の減少が私たちに及ぼす悪影響も考える必要があるのではないか。 本研究は、都道府県ごとに集計した公開統計を使い、通勤通学時間が健康・睡眠・読書/音楽鑑賞などの余暇とどう関係するかを相関分析で探り、通勤通学時間が減ったときに何が起こりうるかを考察する。
高校生の部 SSDSE-D(社会生活基本調査) 厚労省 各種調査・自動車保有台数ほか 相関分析・グループ別比較 偏相関分析
| 分類 | おもな項目 | 出典(原論文) |
|---|---|---|
| 生活時間・生活時刻 | 通勤通学・睡眠・仕事・学業・休養くつろぎ・テレビ等の平均時間、起床・朝食・出勤・帰宅・夕食・就寝の平均時刻 | 社会生活基本調査(2016)=SSDSE-D |
| 行動者率(趣味・余暇) | 趣味としての読書、CD・スマホ等による音楽鑑賞、映画鑑賞、外国語、スポーツ各種、旅行、ゲームなど | 社会生活基本調査(2016)=SSDSE-D |
| 健康 | 平均歩数、生活習慣病受療者数、健康診断有所見率、医療費 | 国民健康・栄養調査/患者調査/定期健康診断結果報告/医療費の地域差分析 |
| 人口・その他 | 平均年齢、高齢化率、合計特殊出生率、自殺死亡者数、自動車保有台数、悩みやストレスのある者の率、学童保育設置率、食料自給率ほか | 人口問題研究所/総務省/厚労省/日本自動車工業会ほか |
| 指標名 | 計算方法 |
|---|---|
| 人口10万人あたりの生活習慣病受療者数 | 生活習慣病受療者数 ÷ 総人口 ×10万(悪性新生物・心疾患・脳血管疾患・糖尿病) |
| 人口10万人あたりの自殺死亡者数 | 自殺死亡者数 ÷ 総人口 ×10万 |
| 高齢化率 | 65歳以上人口 ×100 ÷ 総人口 |
| 学童保育設置率 | 学童保育数 ÷ 公立小学校数 |
原論文は、まず通勤通学時間とさまざまな指標の相関を求める事前分析を行い、相関の強いものから仮説を立てて検証していく流れをとっている。
まず、通勤通学時間を SSDSE-D から読み込み(実データ)、続いて原論文が表3で報告した相関係数を辞書に写し取る(報告値の転記)。この2つを分けて扱うのが再現の要である。
header=1 で読み込み、男女計(0_総数)の47都道府県だけを残す。列「通勤・通学」=通勤通学時間(総平均時間・分)を数値化する。d を土台に、以降で睡眠・読書・音楽鑑賞・生活時刻との相関を再計算していく。56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 | d = pd.read_csv(DATA_D, encoding='cp932', header=1) d = d[d['男女の別'].astype(str).str.contains('総数')] d = d[d['都道府県'] != '全国'].copy() COMMUTE = '通勤・通学' # 総平均時間(分)=通勤通学時間の代理指標 d[COMMUTE] = pd.to_numeric(d[COMMUTE], errors='coerce') print('SSDSE-D 読み込み: N =', len(d), '都道府県 (調査年: 2021年)') print(f'通勤・通学時間(総平均時間): 全国的な平均 {d[COMMUTE].mean():.1f}分 ' f'({d[COMMUTE].min():.0f}〜{d[COMMUTE].max():.0f}分)') print(f'最長: {d.loc[d[COMMUTE].idxmax(), "都道府県"]} 最短: {d.loc[d[COMMUTE].idxmin(), "都道府県"]}') |
SSDSE-D 読み込み: N = 47 都道府県 (調査年: 2021年) 通勤・通学時間(総平均時間): 全国的な平均 27.7分 (22〜36分) 最長: 埼玉県 最短: 秋田県
74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 | REPORTED_T3 = { '映画館以外での映画鑑賞': 0.90, 'CD・スマホ等による音楽鑑賞': 0.90, '外国語': 0.90, '海外旅行(観光)': 0.89, '写真の撮影・プリント': 0.88, '趣味としての読書': 0.86, '映画館での映画鑑賞': 0.85, '水泳': 0.85, '遊園地・動植物園・水族館の見物': 0.81, 'ポピュラー音楽・民謡曲鑑賞': 0.80, 'テレビ・パソコンゲーム': 0.80, '楽器の演奏': 0.79, '登山・ハイキング': 0.77, 'テニス': 0.75, 'インターネット人口普及率': 0.73, 'カラオケ': 0.71, 'サッカー(フットサル含む)': 0.70, 'サイクリング': 0.70, '育児': 0.66, '平均歩数': 0.64, '特許等出願件数': 0.56, '学童保育設置率': 0.56, '悩みやストレスのある者の率': 0.42, '自殺死亡者数(人口10万人)': -0.46, '合計特殊出生率': -0.49, '休養・くつろぎ': -0.57, 'テレビ・ラジオ・新聞・雑誌': -0.58, '食料自給率(カロリーベース)': -0.58, '生活習慣病受療者数(人口10万人)': -0.69, '平均年齢': -0.69, '睡眠': -0.77, } items = sorted(REPORTED_T3.items(), key=lambda x: x[1]) for k, v in items: bar = '#' * int(round(abs(v) * 20)) |
=== 報告値:表3 通勤通学時間との相関係数一覧(原論文2016年の報告値)=== 睡眠 -0.77 ############### 生活習慣病受療者数(人口10万人) -0.69 ############## 平均年齢 -0.69 ############## テレビ・ラジオ・新聞・雑誌 -0.58 ############ 食料自給率(カロリーベース) -0.58 ############ 休養・くつろぎ -0.57 ########### 合計特殊出生率 -0.49 ########## 自殺死亡者数(人口10万人) -0.46 ######### 悩みやストレスのある者の率 +0.42 ######## 特許等出願件数 +0.56 ########### 学童保育設置率 +0.56 ########### 平均歩数 +0.64 ############# 育児 +0.66 ############# サッカー(フットサル含む) +0.70 ############## サイクリング +0.70 ############## カラオケ +0.71 ############## インターネット人口普及率 +0.73 ############### テニス +0.75 ############### 登山・ハイキング +0.77 ############### 楽器の演奏 +0.79 ################ ポピュラー音楽・民謡曲鑑賞 +0.80 ################ テレビ・パソコンゲーム +0.80 ################ 遊園地・動植物園・水族館の見物 +0.81 ################ 映画館での映画鑑賞 +0.85 ################# 水泳 +0.85 ################# 趣味としての読書 +0.86 ################# 写真の撮影・プリント +0.88 ################## 海外旅行(観光) +0.89 ################## 映画館以外での映画鑑賞 +0.90 ################## CD・スマホ等による音楽鑑賞 +0.90 ################## 外国語 +0.90 ##################
原論文の事前分析(表3)で得られた31指標の相関係数を1枚に並べる。棒の色は相関の向き、点線は|ρ|=0.5の目安。この図は再計算ではなく、原論文の報告値をそのまま可視化したものである(健康・自殺・出生率などSSDSE-D外の指標を含むため)。
原論文の【仮説3】は「睡眠時間は通勤時間の長さに比例して短くなるのでは」。睡眠時間は SSDSE-D に収録されているので、実データで確かめられる。まず再計算で相関を確認し、散布図にする。
118 119 120 121 122 123 124 125 | print('=== 実再現:通勤通学時間と睡眠時間(SSDSE-D 2021で再計算)===') d['睡眠'] = pd.to_numeric(d['睡眠'], errors='coerce') r_sleep, p_sleep = stats.pearsonr(d[COMMUTE], d['睡眠']) print(f' 再計算 r = {r_sleep:+.3f} (p = {p_sleep:.4g}, N={len(d)}) ' f'← 原論文の報告値 ρ = -0.77(相関・偏相関とも)') print(f' 睡眠時間 平均 {d["睡眠"].mean():.0f}分 ' f'({d["睡眠"].min():.0f}〜{d["睡眠"].max():.0f}分)') print(' 向き・強さとも原論文と整合:通勤通学時間が長い県ほど睡眠時間は短い') |
=== 実再現:通勤通学時間と睡眠時間(SSDSE-D 2021で再計算)=== 再計算 r = -0.609 (p = 5.528e-06, N=47) ← 原論文の報告値 ρ = -0.77(相関・偏相関とも) 睡眠時間 平均 477分 (468〜488分) 向き・強さとも原論文と整合:通勤通学時間が長い県ほど睡眠時間は短い
原論文の【仮説2】は「通勤時間が減ると読書や音楽鑑賞の活動量も減るのでは」。電車内での読書やイヤホンでの音楽鑑賞を思い浮かべた仮説だ。どちらも行動者率が SSDSE-D に収録されているので、実データで確かめられる。
153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 | print('=== 実再現:通勤通学時間と読書・音楽鑑賞行動者率(SSDSE-D 2021で再計算)===') d['趣味としての読書(マンガを除く)'] = pd.to_numeric(d['趣味としての読書(マンガを除く)'], errors='coerce') d['CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞'] = pd.to_numeric(d['CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞'], errors='coerce') read = d['趣味としての読書(マンガを除く)'] music = d['CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞'] r_read, p_read = stats.pearsonr(d[COMMUTE], read) r_music, p_music = stats.pearsonr(d[COMMUTE], music) print(f' 読書 再計算 r = {r_read:+.3f} (p={p_read:.4g}) ← 原論文の報告値 ρ = 0.86') print(f' 音楽 再計算 r = {r_music:+.3f} (p={p_music:.4g}) ← 原論文の報告値 ρ = 0.91') print(' いずれも強い正の相関で原論文と整合:通勤通学時間が長い県ほど読書・音楽鑑賞の行動者率が高い') |
=== 実再現:通勤通学時間と読書・音楽鑑賞行動者率(SSDSE-D 2021で再計算)=== 読書 再計算 r = +0.782 (p=8.857e-11) ← 原論文の報告値 ρ = 0.86 音楽 再計算 r = +0.819 (p=1.938e-12) ← 原論文の報告値 ρ = 0.91 いずれも強い正の相関で原論文と整合:通勤通学時間が長い県ほど読書・音楽鑑賞の行動者率が高い
原論文は事前分析で気になった相関から4つの仮説を立てて検証した。以下の相関係数・平均値はすべて原論文の報告値(2016年)である。
| 健康4指標 | 相関係数 ρ | 平均年齢を統制した偏相関 | 高齢化率を統制した偏相関 |
|---|---|---|---|
| 医療費 | −0.58 | −0.35 | −0.26 |
| 平均歩数 | +0.64 | +0.37 | +0.39 |
| 生活習慣病受療者数 | −0.69 | −0.39 | −0.33 |
| 健康診断有所見率 | −0.37 | −0.23 | −0.35 |
通勤通学時間が長い県ほど、医療費は安く・歩数は多く・生活習慣病受療者数は少ない。年齢の影響を偏相関で除いても相関は弱まるが残る。さらに自動車保有台数の少ない15県では相関がずっと強く(医療費 -0.91、生活習慣病 -0.92)、徒歩・自転車・鉄道での通勤が健康に良いと解釈された(→図5)。
| 指標 | 相関係数 ρ | グループ別比較(報告値) |
|---|---|---|
| 読書行動者率 | +0.86 | 通勤長い20県 38.3% > 短い20県 32.7%(全国35.4%) |
| 音楽鑑賞行動者率 | +0.91 | 通勤長い20県 49.2% > 短い20県 42.0%(全国45.3%) |
どちらも強い正の相関。ただし男女別に見ると、通勤時間の長短より「性別」の影響の方が強い(読書は女性が高い:長い県の男性34.0% < 短い県の女性36.7%)。読書行動者率が高い県の女性は、仕事時間が短く自由時間を確保できている傾向もあった。
| 指標 | 相関係数 ρ | 仕事時間を統制した偏相関 |
|---|---|---|
| 睡眠時間 | −0.77 | −0.77 |
| 帰宅時刻 | +0.86 | +0.86 |
| 就寝時刻 | +0.72 | +0.72 |
| 出勤時刻 | +0.01 | +0.03 |
睡眠時間は強い負の相関(-0.77)で、仕事時間を除いても変わらない。通勤時間が長いほど帰宅・就寝が遅くなる一方、起床・出勤時刻はあまり変わらない。睡眠を確保するために帰宅後〜就寝の時間を削っている構図(→図4)。つまり通勤通学時間が減れば朝夜の自由時間は増える。
| 余暇の過ごし方 | 20代 | 60〜70代 | 全体 |
|---|---|---|---|
| 自宅で趣味活動(読書など) | 19.9% | 41.2% | 28.9% |
| TV・DVD・CD などの視聴・鑑賞 | 43.3% | 24.8% | 33.1% |
| 余暇の過ごし方の分散 | 312.0 | 196.9 | — |
通勤通学時間が長い20代(平均52分)ほど、余暇に読書をする割合はむしろ低く(19.9%)、過ごし方の分散も大きい(312.0)=多様。通勤時間が減って生まれた自由時間が、必ずしも読書や音楽鑑賞に充てられるとは限らないと結論づけている。
仮説3の後半——「通勤が長いと帰宅・就寝が遅くなるが、起床・出勤は変わらない」——を、生活時刻の相関で確かめる。時刻は SSDSE-D に収録されているので実再現できる。
187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 | print('=== 実再現:通勤通学時間と朝夜の生活時刻の相関(SSDSE-D 2021・表15の再現)===') def to_min(s): """ "HH:MM" を0時起点の分に変換 """ h, m = str(s).split(':') return int(h) * 60 + int(m) # (表示名, 原論文の報告値ρ, SSDSE-Dの列名) TIMES = [('起床', 0.41, '起床'), ('朝食開始', 0.30, '朝食開始'), ('出勤', 0.01, '出勤'), ('帰宅', 0.86, '仕事からの帰宅時間'), ('夕食開始', 0.75, '夕食開始'), ('就寝', 0.72, '就寝')] names, recomputed, reported = [], [], [] for name, rep, col in TIMES: tmin = d[col].apply(to_min) r, _p = stats.pearsonr(d[COMMUTE], tmin) names.append(name); recomputed.append(r); reported.append(rep) print(f' {name:6s} 再計算 r={r:+.3f} ← 原論文の報告値 ρ={rep:+.2f}') |
=== 実再現:通勤通学時間と朝夜の生活時刻の相関(SSDSE-D 2021・表15の再現)=== 起床 再計算 r=+0.642 ← 原論文の報告値 ρ=+0.41 朝食開始 再計算 r=+0.506 ← 原論文の報告値 ρ=+0.30 出勤 再計算 r=+0.375 ← 原論文の報告値 ρ=+0.01 帰宅 再計算 r=+0.795 ← 原論文の報告値 ρ=+0.86 夕食開始 再計算 r=+0.781 ← 原論文の報告値 ρ=+0.75 就寝 再計算 r=+0.784 ← 原論文の報告値 ρ=+0.72 帰宅・夕食・就寝で強い正の相関(原論文と同傾向)。就寝より帰宅の相関が強く、 帰宅後〜就寝の時間を削って睡眠を確保している構図が再現される。
仮説1の掘り下げ。通勤通学時間と健康の相関が「歩く通勤」によるものなら、自動車保有台数の少ない県(=徒歩・自転車・鉄道が多い)ほど相関が強いはず。原論文はこれを表6で確かめた。健康指標・自動車保有台数はSSDSE-D外なので、報告値を可視化する。
230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 | print('=== 報告値:健康4指標との相関・自動車保有台数別(原論文2016年の報告値)===') HEALTH = ['医療費', '平均歩数', '生活習慣病\n受療者数', '健康診断\n有所見率'] ALL_JP = [-0.58, 0.64, -0.69, -0.37] # 表4:全体 MANY = [-0.59, 0.49, -0.15, -0.29] # 表6:自動車保有台数の多い15県 FEW = [-0.91, 0.79, -0.92, -0.48] # 表6:自動車保有台数の少ない15県 for i, h in enumerate(HEALTH): hn = h.replace(chr(10), '') print(f' {hn:10s} 全体 {ALL_JP[i]:+.2f} / 多い県 {MANY[i]:+.2f} / 少ない県 {FEW[i]:+.2f}') print(' 自動車保有台数の少ない県ほど相関が強い=徒歩・自転車・鉄道での通勤通学が健康に') print(' 良い影響を与えている、という原論文の解釈につながる。') |
=== 報告値:健康4指標との相関・自動車保有台数別(原論文2016年の報告値)=== 医療費 全体 -0.58 / 多い県 -0.59 / 少ない県 -0.91 平均歩数 全体 +0.64 / 多い県 +0.49 / 少ない県 +0.79 生活習慣病受療者数 全体 -0.69 / 多い県 -0.15 / 少ない県 -0.92 健康診断有所見率 全体 -0.37 / 多い県 -0.29 / 少ない県 -0.48 自動車保有台数の少ない県ほど相関が強い=徒歩・自転車・鉄道での通勤通学が健康に 良い影響を与えている、という原論文の解釈につながる。
通勤通学時間と身体の健康には正の相関があった。そのため通勤通学時間が減ると、身体の健康に悪影響が生じ、読書や音楽鑑賞の行動量も減る可能性がある。これらは特に自動車以外での通勤通学で顕著だった。また読書・音楽鑑賞の活動量は、通勤通学時間以上に男女の性差が大きく影響することもわかった。
一方、通勤通学時間が減れば睡眠時間は長くなり、就寝前・起床後により自由時間を確保できると考えられる。ただし、この新たな自由時間で通勤時間ぶんの読書や音楽鑑賞をするとは考えにくく、時間の使い方は多様だと予想された(特に若い世代)。
テレワークは多くの良い影響をもたらすが、その反面、健康や読書量などに悪影響を及ぼしうる。著者は、この悪影響を軽減するため、習慣的な軽い運動や、意識的な読書・音楽鑑賞を生活に取り入れる必要があると提言している。
通勤通学時間は、身体の健康・読書・音楽鑑賞と正の相関、睡眠時間とは負の相関を示した。したがってテレワークで通勤通学時間が減ると、睡眠が増えるというメリットがある一方、身体活動や読書・音楽鑑賞の機会が減るというデメリットも生じうる。特に自動車以外で通勤していた層でその影響が大きい。だからこそ、意識的に運動や趣味活動を生活に取り入れることが大切だ、というのが著者の結論である。
このページの睡眠・読書・音楽鑑賞・生活時刻の相関(図2〜図4)は、以下から再現できます。
🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-D-2023.csv
※ 健康4指標・自動車保有台数別・偏相関・テレワーク実施率などの相関は、原論文の報告値(2016年)を可視化したものです(図1・図5)。収録 SSDSE-D は2021年調査のため、図2〜図4の再計算値は報告値と完全には一致しません。
この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。
クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。
この研究で使われている手法を、手を動かす順に説明する。
この研究の「相関は見つけたが個人の因果は不明」という結論は、次の研究の出発点になる。
再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。
read を「外国語」や「映画館以外での映画鑑賞」の列に差し替えて、通勤通学時間との相関がどうなるか確かめよう(表3では ρ=0.90)。d.nlargest(20, COMMUTE) と d.nsmallest(20, COMMUTE) で長い20県・短い20県を出し、読書行動者率の平均を比べよう(報告値:38.3% vs 32.7%)。総数 を 男 や 女 に変えて、通勤通学時間と読書の相関が男女で違うか確かめよう(報告値:男0.86・女0.76)。TIMES に「移動(通勤・通学を除く)」などを加えて、朝側・夜側で相関の強さがどう分かれるかを観察しよう。pingouin.partial_corr などで「通勤通学時間×睡眠時間(仕事時間を統制)」を計算し、単純相関からどれだけ変わるか(報告値では-0.77で不変)確かめよう。「働き方や生活時間の変化が、健康・余暇にどう波及するかを公開統計で捉える」発想は、現場でも広く使われている。
この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。
この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。
このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。
Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。
下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、
「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。
表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です
(動かしているのは再現スクリプト code/2021_H5_4_shorei.py そのもの)。
コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。