論文一覧に戻る 🕸 論文ネットワーク 🗺 用語ネットワーク 統計データ分析コンペ 教育用再現集
総務大臣賞(高校生の部)

本当に日本の医療は危機的状況にあるのか?
医師数・病院数・高齢化・人口減少・地方財政から医療の地域偏在を読む

⏱️ 推定読了時間: 約22分
大段 利々子(広島大学附属高等学校 1年) | SSDSE(社会・人口統計体系)+厚労省・OECD 等(本ページの実再現はSSDSE-B 都道府県データ) | 相関分析(CORREL/ピアソン)・散布図・回帰直線・ランキング可視化
相関分析 散布図 回帰直線 医療の地域偏在 SSDSE-B
🔬 回帰直線🔬 散布図🔬 相関分析🏷 医療・健康🏷 財政・行政🏷 人口・少子化
🔬 手法タグ / 🏷 応用タグ(クリックで同タグの論文をネットワーク検索)
🔬 再現カルテ — 原論文と同じデータ・同じ手法で再現

この教材は原論文と同じデータを読み込み、同じ手順で計算し直しています。画面に出る数値と図は、あなたのブラウザがその場で計算した結果です。

原論文が使ったデータSSDSE-A・SSDSE-B・医師の需給に関する基礎資料
分析単位:市区町村
中核手法:相関分析
この教材が使うデータ
原論文(PDF)本当に日本の医療は危機的状況にあるのか?
総務大臣賞/大段 利々子(広島大学附属高等学校)
✅ この教材でできること
  • 原論文の中核手法(相関分析)を実データで実行できる
  • 分析に使うデータは同梱済みで、ブラウザ上でそのまま読み込める
  • 数値・図を最後まで再計算できる(相関分析)
⚠️ この教材ではできないこと(原論文との違い)
  • 原論文は市区町村を単位に分析しているが、この教材は都道府県が単位
🚀 原論文と同じ粒度で挑戦したい人へ

原論文と同じ粒度のデータは、この教材にも同梱しています。これを読み込めば、原論文と同じ細かさで分析をやり直せます(下の「🐍 ブラウザで動かす」でコードを書き換えて試せます)。ただし原論文が使った項目がすべて収録されているとは限りません。足りない項目は、上の「できないこと」に書いた出典から取ってくる必要があります。

▶ ここに書いてある分析は、ページ下部の「🐍 ブラウザで動かす」でそのまま実行できます(インストール不要)。動かしているのは code/2018_H1_daijin.py(234 行)そのものです。

📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究の目的と問題意識
  2. 使用データと再現可能性の整理
  3. 分析の流れ:指標づくり → ランキング → 相関
  4. 図1:都道府県別 高齢者率ランキング(実再現)
  5. 図2:都道府県別 人口10万人あたり病院数(実再現)
  6. 図3:高齢者率 × 人口増減率(実再現)
  7. 図4:原論文の報告相関係数まとめ(報告値)
  8. 結果の解釈と考察
  9. まとめ
  10. データ・コードのDL
  11. ⚠️ よくある誤解
  12. 📖 用語集
  13. 📐 手法ガイド
  14. 🚀 発展の可能性
  15. 🎯 自分でやってみよう
  16. 🤔 Q&A
  17. 🐍 ブラウザで動かす

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページで実再現できるのは図1〜図3(高齢者率・人口10万人あたり病院数・人口増減率、すべて都道府県単位)です。コードの編集は不要です。(原論文の中心である人口1万人あたり医師数実質公債費比率、および市区町村単位のデータは現行SSDSE-Bに列が無い/収録単位が異なるため、図4は原論文の報告値を転記して可視化します。)

1
データをダウンロードする 独立行政法人統計センターの SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ、社会・人口統計体系)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
2
ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2018_H1_daijin.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2018_H1_daijin.py
図は html/figures/ に自動保存されます。医師数・実質公債費比率はSSDSE収録外のため図4は原論文の報告値を転記して可視化し、高齢者率・病院数・人口増減率のみ SSDSE-B から実再現します。
研究の目的と問題意識

「社会の超高齢化、医療の需要と供給のバランスの崩れや地域偏在、さらには医療経済的な視点からも日本の医療は危機的状況に陥りつつある」——原論文はこう言われている現状を紹介したうえで、政令指定都市(広島市)に住む著者自身は医療危機を実感したことがないという素朴な違和感から出発する。そこで「本当に日本の医療は危機的状況にあるのか?」を、全国の市区町村データから医療・経済のデータを抜き出して検証した。

著者の視点は「集計単位を変えると見え方が変わるのでは」という点にある。厚労省「医師の需給に関する基礎資料」では、日本の人口1万人あたり医師数は24人でOECD平均29人を下回るが、イギリス28・アメリカ26・韓国23と比べれば極端な医師不足ではない。むしろ問題は高齢化・人口減少・地方財政と絡んだ地域偏在にあるはず——この仮説を、都道府県単位と広島県内の市区町村単位の両方で検証していく。

24人
日本の人口1万人あたり医師数(報告値・OECD 2016)
29人
OECD加盟国の平均(報告値)
r=−0.928
広島県市町村 人口増減率×高齢者率(報告値・図7)
市区町村
偏在がより深刻に見える集計単位
研究の問い 日本の医療は本当に「危機的」なのか。医師数・病院数の地域偏在は、高齢化・人口減少・地方財政とどう関係しているのか。そして、その偏在は都道府県単位市区町村単位のどちらで見ると顕在化するのか。
分析のキモ:割り算で「危機」を測り直す 著者は医師数・病院数の絶対数ではなく、人口で割った密度(人口1万人あたり医師数・人口10万人あたり病院数)で地域を比べる。さらに都道府県平均で見えなくなる格差を、広島県内の市区町村に降りて確かめる。集計単位という統計の落とし穴を突いたのが受賞の見どころである。

高校生の部・総務大臣賞 SSDSE(社会・人口統計体系) 相関分析 散布図・回帰直線 医療の地域偏在

使用データと再現可能性の整理

原論文は SSDSE「都道府県・市区町村のすがた(社会・人口統計体系)」の市区町村データ(約100項目)から、都道府県別・市区町村別に人口・医師数・病院数・地方経済関連の変数を抜き出して解析している。医師数の水準比較にはOECD・厚労省資料、地方財政には実質公債費比率・財政力指数(コトバンク/retu27.com)も参照している。

主なデータと出典(原論文 2〜3章)

役割変数出典本ページでの扱い
中心指標人口1万人あたり医師数SSDSE市区町村データ(医師数)/厚労省・OECD報告値(現行SSDSE-Bに医師数列なし)
実再現高齢者率(65歳以上人口/総人口)SSDSE-B(A1303・A1101)実再現
実再現人口10万人あたり一般病院数SSDSE-B(I510120・A1101)実再現
実再現人口増減率(出生+転入−死亡−転出)/総人口×100SSDSE-B(A4101・A5101・A4200・A5102)実再現
報告値実質公債費比率/財政力指数地方財政状況調査/コトバンク・retu27.com報告値(SSDSEに列なし)
再現可能性の整理(このページの図の作り方)
  • 報告値の可視化(再計算ではない):原論文の主役である人口1万人あたり医師数は、2018年当時のSSDSE市区町村データには収録されていたが、現行のSSDSE-B-2026(都道府県データ)には医師数の列が無い実質公債費比率・財政力指数もSSDSEには無い。さらに原論文の広島県内・中国四国の分析は市区町村単位で、都道府県データでは再現できない。したがって、医師数関連の回帰式(図1〜図4相当)・箱ひげ図(図6)・実質公債費比率の相関(図5)は実再現できず、原論文の報告値を転記して可視化する(図4)。符号・桁はそのまま写し、新しい数値は作らない
  • 実再現できる部分:原論文が使った指標のうち、高齢者率・人口10万人あたり一般病院数・人口増減率は SSDSE-B(都道府県データ)で計算できる。そこで都道府県単位で実データを計算し、高齢者率ランキング(図1)・病院数ランキング(図2)・高齢者率×人口増減率の相関(図3)を作る。ただし年次は2023年で、原論文(2018年・平成28〜29年頃)とは異なる点、および単位は市区町村ではなく都道府県である点を各図注に明記する。
  • 新しい数値の捏造はしない:報告値(図4)と実データの再計算値(図1〜図3)はラベルで完全に分離する。GDP・県内総生産はSSDSEに列が無いため使わない。医師数もSSDSE-Bに無いので、実データからの医師数指標は一切作らない。

分析の流れ:指標づくり → ランキング → 相関

分析の流れ
指標を作る
人口で割って
密度・比率に
ランキング
棒グラフで
地域差を見る
散布図
2指標の
関係を見る
相関係数
基準表(表1)で
強弱を判断
報告値と対比
医師数の報告値と
読み合わせる

① 絶対数を「割り算」で密度・比率に直す

医師数・病院数・高齢者数などの絶対数は人口の多い地域ほど大きくなる。そこで人口で割った密度(人口1万人あたり医師数・人口10万人あたり病院数)や比率(高齢者率=65歳以上人口/総人口、人口増減率)に直してから地域を比べる。これが分析全体の前処理にあたる。

② ランキング(棒グラフ)で地域差の全体像をつかむ

47都道府県を指標順に並べた棒グラフで、どこが高くどこが低いかを一望する。原論文は同じことを医師数で行い(図1・図2)、都道府県より広島県内の市区町村の方が格差が大きいと指摘した。本ページでは医師数がSSDSEに無いため、代わりに高齢者率と病院数で実データのランキングを作る。

③ 散布図と相関係数で2指標の関係を測る

2つの指標の関係は散布図に描き、相関係数(原論文はExcelのCORREL関数、本ページはピアソン相関)で強さと向きを数値化する。原論文は相関係数を表1の基準(0<|r|≦0.2 ほとんど相関なし … 0.7<|r|≦1.0 高い相関)に当てはめて判断している。

相関は因果ではない 散布図に傾きが見えても、それは「一緒に動く」だけでどちらが原因かは分からない。原論文も繰り返し「原因と結果は分からない」と述べている。相関係数は関係の強さの手がかりとして読み、因果の断定は避けるのが正しい使い方である。
1
図1:都道府県別 高齢者率ランキング(実再現)

原論文3-2は「高齢化が進む地域ほど医師不足になりがちか」を問う。その出発点である高齢者率(65歳以上人口/総人口)を、SSDSE-Bの実データで都道府県別に並べ直す。原論文は2018年当時、都道府県で最も低いのが沖縄(0.19)・最も高いのが秋田(0.34)と報告している。

やってみよう高齢者率(65歳以上人口/総人口)を都道府県別に計算しランキングする【実再現・図1】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B の A1303(65歳以上人口)A1101(総人口)で割って高齢者率を求め、高い順に並べて上位・下位を書き出す。原論文が医師不足の説明要因として置いた「高齢化」を、実データで定量化する部分。
  • ② 前後のつながり:原論文3-2の「高齢化が進む地域では医師不足になりがちか」という問いの入り口。ここで高齢者率の地域差をつかみ、図3でこれを人口減少と結びつける。医師数はSSDSEに無いので、医師数との関係そのものは図4の報告値で確認する。
📝 コード
87
88
89
90
91
92
93
94
95
s = df.sort_values('高齢者率', ascending=False).reset_index(drop=True)
avg = df['高齢者率'].mean()
print(f"全国平均 高齢者率 = {avg:.3f}{avg*100:.1f}%)")
print("最も高い5県:")
for _, r in s.head(5).iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['高齢者率']:.3f}")
print("最も低い5都県:")
for _, r in s.tail(5).iloc[::-1].iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['高齢者率']:.3f}")
▼ 実行結果
=== [1] 高齢者率ランキング(実再現・図1)===
全国平均 高齢者率 = 0.316(31.6%)
最も高い5県:
  秋田県   0.391
  高知県   0.363
  徳島県   0.354
  山口県   0.354
  青森県   0.352
最も低い5都県:
  東京都   0.228
  沖縄県   0.238
  愛知県   0.257
  神奈川県  0.259
  滋賀県   0.270
  • ④ 実行結果の読み取り:2023年の全国平均高齢者率は約0.316(31.6%)。最も高いのは秋田(0.391)、次いで高知・徳島・山口・青森と地方の県が並ぶ。最も低いのは東京(0.228)で、沖縄・愛知・神奈川と大都市圏が続く。原論文の2018年報告(沖縄が最低・秋田が最高)と比べると、秋田が最高という点は一致し、沖縄も依然として低位(下位2番目)だが、2023年では東京が最低に入れ替わっている。年次が異なるための変化であり、図注に明記した。
都道府県別 高齢者率ランキング(実再現)
図1:都道府県別 高齢者率ランキング。実再現(SSDSE-B・2023年・A1303/A1101)。破線は全国平均。色は地方区分。原論文は2018年・市区町村データを用いており、本図は2023年・都道府県データのため水準・順位に年次差がある(原論文の都道府県値:沖縄0.19〜秋田0.34、本図:東京0.228〜秋田0.391)。
📊 この図の読み方
全国平均の破線
破線より右(上位)が平均以上に高齢化した県。地方に偏る。
上位=地方
秋田・高知・徳島など。人口減少が進む県と顔ぶれが重なる(図3で確認)。
下位=大都市圏
東京・愛知・神奈川など。若年層の流入で高齢者率が低く抑えられている。
2
図2:都道府県別 人口10万人あたり病院数(実再現)

原論文3-4は「地方経済状況と病院数に関連があるか」を、市区町村の人口10万人あたり病院数で調べた。病院数はSSDSE-Bにも一般病院数として実在するので、ここでは都道府県単位で実再現し、病院密度の地域差を確かめる。

やってみよう人口10万人あたり一般病院数を都道府県別に計算しランキングする【実再現・図2】
  • ① このコードの目的:SSDSE-B の I510120(一般病院数)A1101(総人口)で割って10万倍し、人口10万人あたり病院数を求めて並べる。原論文が地方財政との関係を調べた指標を、まず素の分布として可視化する。
  • ② 前後のつながり:図1の高齢化に続き、医療の「供給」側である病院密度の地域差を見る部分。原論文3-4では、この病院数と実質公債費比率(地方財政)の関係を市区町村で調べた——その相関の報告値は図4で読み合わせる。
📝 コード
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
h = df.sort_values('病院数_10万対', ascending=False).reset_index(drop=True)
havg = df['病院数_10万対'].mean()
print(f"全国平均 病院数(人口10万対) = {havg:.2f} 施設")
print("最も多い5県:")
for _, r in h.head(5).iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['病院数_10万対']:.2f}")
print("最も少ない5都県:")
for _, r in h.tail(5).iloc[::-1].iterrows():
    print(f"  {r['Prefecture']:<5} {r['病院数_10万対']:.2f}")
print(f"最多/最少 比 = {h['病院数_10万対'].iloc[0] / h['病院数_10万対'].iloc[-1]:.1f} 倍")
▼ 実行結果
=== [2] 人口10万人あたり一般病院数ランキング(実再現・図2)===
全国平均 病院数(人口10万対) = 6.90 施設
最も多い5県:
  高知県   16.07
  徳島県   12.95
  鹿児島県  12.33
  大分県   11.50
  宮崎県   10.75
最も少ない5都県:
  神奈川県  3.13
  滋賀県   3.62
  愛知県   3.72
  静岡県   3.91
  埼玉県   4.04
最多/最少 比 = 5.1 倍
  • ④ 実行結果の読み取り:2023年の全国平均は人口10万人あたり約6.9施設。最も多いのは高知(16.1)、次いで徳島・鹿児島・大分・宮崎と四国・九州の地方県が上位。最も少ないのは神奈川(3.1)で、滋賀・愛知・静岡・埼玉と大都市圏が続く。最多と最少で約5.1倍の開きがあり、病院密度は高齢者率と同様に地方で高く都市で低い。ただし病院が多い=医療が充実、とは限らず、原論文は「病院が多い地域ほど地方財政が赤字化しやすい」という別の側面を指摘している(図4)。
都道府県別 人口10万人あたり一般病院数(実再現)
図2:都道府県別 人口10万人あたり一般病院数。実再現(SSDSE-B・2023年・I510120/A1101×10万)。破線は全国平均。原論文は市区町村単位で病院数と実質公債費比率の関係を調べたが、本図は都道府県単位の病院密度そのものを示す(実質公債費比率はSSDSEに無く実再現しない)。
📊 この図の読み方
上位=地方
高知・徳島・鹿児島など。人口が少ない県ほど人口あたり病院数は大きくなりやすい。
下位=大都市圏
神奈川・愛知・埼玉など。人口が大きいため人口あたりでは小さく出る。
約5.1倍の格差
病院密度の地域差は医師数以上に大きい。多い=良い、と単純化せず、財政負担の面(図4)とあわせて読む。
3
図3:高齢者率 × 人口増減率(実再現)

原論文の核心のひとつは、図7の「広島県の市町村では、人口増減率と高齢者率に r=−0.928 の高い負の相関がある」という発見だ。市区町村データは無いが、高齢者率も人口増減率もSSDSE-Bで計算できるので、都道府県単位で同じ関係を実データで確かめる。

やってみよう人口増減率を計算し、高齢者率との相関・回帰を実データで求める【実再現・図3】
  • ① このコードの目的:人口増減率=(出生数A4101+転入A5101−死亡A4200−転出A5102)/総人口A1101×100 を原論文3-3の定義どおり計算し、高齢者率とのピアソン相関と回帰直線を求める。原論文が図7で示した「人口減少と高齢化はほぼ一体」という関係を、実データで再現する部分。
  • ② 前後のつながり:図1(高齢化)と、原論文3-3の人口減少の話をつなぐ中心の分析。ここで両者が強く連動することを示せれば、「高齢化・人口減少が進む地域=医師が少ない地域」という原論文の主張(医師数は図4の報告値)の土台が確認できる。
📝 コード
150
151
152
153
154
155
156
157
158
159
160
x = df['人口増減率'].values           # (出生+転入−死亡−転出)/総人口×100
y = df['高齢者率'].values
r, p = stats.pearsonr(x, y)
slope, intercept, _, _, _ = stats.linregress(x, y)
print(f"ピアソン相関 r = {r:+.4f}    p = {p:.2e}")
print(f"回帰式  高齢者率 = {slope:.4f}×人口増減率 + {intercept:.4f}")
print(f"(原論文 図7 の報告値:広島県市町村での r = -0.928)")
mx = df.loc[df['人口増減率'].idxmax()]
mn = df.loc[df['人口増減率'].idxmin()]
print(f"人口増減率 最大 = {mx['Prefecture']} {mx['人口増減率']:+.3f}%  高齢者率 {mx['高齢者率']:.3f}")
print(f"人口増減率 最小 = {mn['Prefecture']} {mn['人口増減率']:+.3f}%  高齢者率 {mn['高齢者率']:.3f}")
▼ 実行結果
=== [3] 高齢者率×人口増減率の相関(実再現・図3)===
ピアソン相関 r = -0.9486    p = 4.04e-24
回帰式  高齢者率 = -0.0739×人口増減率 + 0.2416
(原論文 図7 の報告値:広島県市町村での r = -0.928)
人口増減率 最大 = 東京都 +0.054%  高齢者率 0.228
人口増減率 最小 = 秋田県 -1.869%  高齢者率 0.391
  • ④ 実行結果の読み取り:都道府県単位でもピアソン相関 r=−0.949(p≈4×10⁻²⁴)と非常に強い負の相関が出た。人口増減率が最も高い(=唯一の増加)のは東京(+0.05%)で高齢者率も最低、最も低いのは秋田(−1.87%)で高齢者率も最高。原論文が広島県市町村で報告したr=−0.928符号・強さともにほぼ一致し、集計単位を都道府県に変えても「人口が減る地域ほど高齢化している」という関係は頑健だと分かる。ただし相関は因果ではなく、両者は「地方からの若年人口流出」という共通要因の裏表とみるのが自然である。
高齢者率×人口増減率 散布図(実再現)
図3:高齢者率 × 人口増減率(47都道府県)。実再現(SSDSE-B・2023年)。ピアソン相関 r=−0.949。原論文図7(広島県市町村・r=−0.928)と符号・強さがほぼ一致。本図は都道府県単位・2023年で、原論文の市区町村単位・2018年とは集計単位・年次が異なる。回帰直線は可視化補助。
📊 この図の読み方
右下がりの直線
人口増減率が高い(減りにくい)県ほど高齢者率が低い。r=−0.949と非常に強い。
両端の東京と秋田
東京は増加かつ最も若く、秋田は最も減りかつ最も高齢。地方↔都市の対比が鮮明。
報告値との一致
原論文の広島県市町村 r=−0.928 と近い。集計単位を変えても関係が壊れないのがポイント。
4
図4:原論文の報告相関係数まとめ(報告値)

原論文4章は、医師数や病院数についてExcel の CORREL 関数で相関係数を求め、表1の基準で強弱を判断している。これらは医師数・実質公債費比率・市区町村データを使うため現行SSDSE-Bでは実再現できない。そこで原論文が報告した相関係数を符号どおり転記して一覧する(再計算ではない)。

やってみよう原論文4章が報告した相関係数(医師数・実質公債費比率関連)を符号どおり転記する
  • ① このブロックの目的:原論文が CORREL 関数で求めた相関係数——高齢者率×医師数、人口増減率×医師数、人口増減率×高齢者率(図7)、実質公債費比率×病院数(6県)——を符号・桁そのままに書き出す。医師数・実質公債費比率・市区町村データはSSDSEに無いため実再現ではなく報告値の転記。
  • ② 前後のつながり:図1〜図3で実再現した「高齢化・人口減少・病院密度」の地域差を、原論文の医師数・地方財政の報告値と読み合わせる橋渡し。特に人口増減率×高齢者率の報告値 r=−0.928 は、図3で実再現した r=−0.949 と直接比較できる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [4] 原論文の報告値(医師数・実質公債費比率関連)===
原論文が報告した相関係数(すべて報告値・再計算ではない):
  r = +0.196   高齢者率×医師数 [全国都道府県]
  r = -0.323   高齢者率×医師数 [広島県 市町村]
  r = +0.005   人口増減率×医師数 [全国都道府県]
  r = +0.322   人口増減率×医師数 [広島県 市町村]
  r = -0.928   人口増減率×高齢者率 [広島県 市町村・図7]
  r = +0.296   実質公債費比率×病院数 [鳥取県 市町村]
  r = -0.464   実質公債費比率×病院数 [島根県 市町村]
  r = +0.400   実質公債費比率×病院数 [岡山県 市町村]
  r = +0.304   実質公債費比率×病院数 [広島県 市町村]
  r = +0.291   実質公債費比率×病院数 [山口県 市町村]
  r = +0.279   実質公債費比率×病院数 [福井県 市町村]
  • ④ 実行結果の読み取り:高齢者率×医師数は全国都道府県で r=+0.196(表1では「ほとんど相関なし」)、広島県市町村で r=−0.323(「低い負の相関」)。都道府県では見えない負の関係が市区町村で現れる——原論文の集計単位の主張そのものである。② 人口増減率×医師数も全国 r=+0.005(無相関)に対し広島県市町村 r=+0.322(低い正の相関)で、同じく市区町村で関係が顕在化。③ 人口増減率×高齢者率 r=−0.928(図7)は、本ページ図3の実再現 r=−0.949 とほぼ一致。④ 実質公債費比率×病院数は6県中5県で正(鳥取0.296・岡山0.400・広島0.304・山口0.291・福井0.279)、島根のみ負(−0.464)。「病院が多い地域ほど地方財政が赤字寄り」という原論文の予測と概ね整合するが、島根は例外。すべて原論文の報告値で、本ページでの再計算値ではない。
原論文が報告した相関係数のまとめ(報告値の可視化)
図4:原論文が報告した相関係数のまとめ。報告値の可視化(再計算ではない)(原論文4章・CORREL関数の報告値)。青=正・赤=負。医師数・実質公債費比率・市区町村データはSSDSE-Bに無いため実再現できない。人口増減率×高齢者率(図7)の報告値 −0.928 は、本ページ図3の実再現 −0.949 とほぼ一致する。
📊 この図の読み方
[全国] と [広島県 市町村] の対比
医師数との相関は全国(都道府県)ではほぼ0だが、広島県市町村では0.3前後に。集計単位を細かくすると偏在が見えるという中心主張。
実質公債費比率×病院数
6県中5県で正。病院が多い=財政が苦しい、という傾向。島根だけ負で、原論文は例外として原発など地域事情の可能性に触れている。
位置づけ
すべて報告値。医師数がSSDSEに無いため本ページでは計算していない。図3の実再現値と符号・強さを見比べるのが正しい使い方。

結果の解釈と考察

原論文5章の考察を、報告値と本ページの実再現をあわせて読み解く。

① 医師偏在は「東西差」と「集計単位」で見え方が変わる(原論文5章)

原論文は、医師の偏在が社会問題化しているが、西日本より東日本で都道府県間格差が大きく東京に集中して見える一方、西日本では都道府県単位の比較では格差が小さいと述べる。しかし広島県内の市区町村単位に降りると格差は大きく(人口3万人以下の熊野町・神石高原町などは人口1万人あたり医師数が10人以下)、医療過疎は都道府県平均では捉えられないと指摘する。図4の報告値(全国 r=0.196 → 広島県市町村 r=−0.323)はこの主張を数字で裏づけている。

② 高齢化・人口減少と医師不足(原論文5章)

高齢化と人口減少が進む僻地では医師不足が起きやすい。本ページ図3で実再現したとおり、高齢者率と人口増減率は r=−0.949 とほぼ一体で動く(原論文の広島県市町村 r=−0.928 とほぼ一致)。原論文は、この高齢化・人口減少と医師不足の因果を解析することが改善策につながると述べ、高齢者が地域経済に貢献できる仕組み(高齢者でも働ける環境づくりなど)が医療問題の改善にもつながるのではと考察している。

より正確な分析のために(補足) 原論文が高校1年生の作品であることを踏まえた審査講評は、散布図の傾きだけで相関の強弱を語っている箇所があり、相関の有意性を統計的推論で判断できるとより的確になると助言している。実際、図4の医師数関連の相関(r=0.196・0.005 など)はほとんど相関なしの水準で、これらから「関係がある」と読むのは慎重であるべきだ。また相関はあくまで因果ではなく、高齢化・人口減少・医師不足はいずれも「地方からの若年人口流出」という共通要因の表れである可能性が高い。原論文自身も繰り返し「原因と結果は分からない」と留保している点は誠実である。

③ 病院数と地方財政、そして制度の影響(原論文5章)

自治体病院には補助金・繰入金など公的資金が投入されるため、赤字でも存続しやすい。原論文は、多くの県で人口10万人あたり病院数が多い地域ほど実質公債費比率が高い=地方財政が赤字化している(図4の5県で正の相関)ことを示し、病院事業が地方経済を圧迫する可能性を指摘した。島根県だけが逆(−0.464)だった点には、原発など地域固有の事情の可能性に触れている。さらに、医師偏在の背景として2004年度に導入された新臨床研修制度(研修先を自由に選べる仕組み)で若い医師が都市部へ流れた影響にも言及している。

まとめ

本研究は、「本当に日本の医療は危機的状況にあるのか?」という問いに、全国の市区町村データから医療・経済の指標を抜き出して答えようとした。結果、人口あたり医師数の都道府県間格差は東日本で大きく西日本では小さいが、広島県内の市区町村に降りると格差は大きい——つまり医療過疎は都道府県平均では見えず、市区町村単位で顕在化する。高齢化・人口減少が進む地域ほど医師が少なく(本ページ図3で高齢者率×人口増減率 r=−0.949 を実再現)、多くの県で病院が多いほど地方財政が赤字化していた。著者は、高齢化・人口減少と医療過疎の因果を解析することが改善策につながり、高齢者が健康に地域経済へ貢献できる仕組みが医療問題の改善にもつながるのではと結んでいる。

この研究の限界 ①原論文の中心である医師数・実質公債費比率・市区町村データは現行SSDSE-Bに無く、本ページでは高齢者率・病院数・人口増減率のみ都道府県単位で実再現(2023年)、医師数・財政関連は報告値の可視化にとどまる。②医師数関連の報告相関(r=0.196・0.005 など)は「ほとんど相関なし」の水準で、傾きから関係を読むのは慎重を要する。③相関は因果ではなく、高齢化・人口減少・医師不足は共通要因(若年人口流出)の表れの可能性。④年次比較をしておらず、偏在が改善に向かうか悪化するかは判断できない。
この研究から学べること 「日本の医療は危機」という言説を、人口で割った密度指標と相関で自分の手で検証する姿勢。そして、都道府県平均では見えない格差が市区町村で現れるという集計単位の重要性。全国と広島県内を対比してばらつきの違いを論じた構成が評価され、高校生の部の総務大臣賞に選ばれた。

データ・コードのダウンロード

このページの実再現の図(図1〜図3)は、以下から再現できます。

🐍 再現コード(.py) 📊 SSDSE-B-2026.csv

※ 図1〜図3(高齢者率・人口10万人あたり病院数・人口増減率×高齢者率)はSSDSE-B(都道府県データ・2023年)から算出した実再現です。図4(医師数・実質公債費比率の相関係数)は、これらの変数が現行SSDSE-Bに列が無い/収録単位が市区町村で異なるため、原論文4章の報告値を符号・桁そのまま可視化したものです(新たな数値の捏造はしていません)。原論文は市区町村データ・2018年当時のSSDSEを用いています。

⚠️ よくある誤解と注意点

この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。

誤解1:「都道府県で見て格差が小さい=医療偏在は無い」
この研究の最大の教訓は逆で、都道府県平均が偏在を覆い隠すことがある。広島県内の市区町村に降りると格差は大きく、医師数との相関も全国 r=0.196(ほとんど無し)から広島県市町村 r=−0.323(低い負)へと現れる。集計単位を疑うのが正しい。
誤解2:「このページの図はすべて原論文と同じ数値を計算し直したもの」
図1〜図3(高齢者率・病院数・人口増減率)だけがSSDSE-Bからの実再現(しかも都道府県単位・2023年)。図4(医師数・実質公債費比率の相関)は、これらがSSDSEに無いため報告値の可視化(再計算ではない)。図注で区別を明記している。
誤解3:「病院が多い県ほど医療が充実している」
人口10万人あたり病院数は地方で大きく都市で小さいが、原論文は「病院が多い地域ほど実質公債費比率が高く地方財政が赤字化しやすい」と指摘する。病院密度の高さは、医療の充実と財政負担の両面を持つ。多い=良い、と短絡しない。
誤解4:「散布図に傾きがあれば相関がある」
審査講評も助言するとおり、傾きの有無と相関の強さ・有意性は別物。図4の r=0.196 や r=0.005 は表1の基準で「ほとんど相関なし」。回帰直線が引けること関係が意味を持つことを混同しないよう、相関係数と基準表で判断する。

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。

相関(相関係数)
2つの量が一緒に動く強さと向きを−1〜+1で表す指標。原論文はExcelのCORREL関数で求め、表1の基準(|r|≦0.2 ほとんど無し 〜 0.7<|r| 高い相関)で判断した。本ページ図3では高齢者率×人口増減率 r=−0.949 を実データで計算した。
高齢者率(高齢化率)
65歳以上人口を総人口で割った割合。地域の高齢化の度合いを示す。本ページ図1で都道府県別に実再現した(2023年・全国平均約0.316)。
散布図
2変数の組を点で描いて関係を目で見る図。傾きや広がりから相関の見当をつける。ただし傾きが見えても因果や有意性が保証されるわけではない。
因果(相関と因果)
相関は「一緒に動く」だけで、どちらが原因かは示さない。原論文も繰り返し「原因と結果は分からない」と留保している。
交絡(共通要因)
2変数の背後にある共通の原因。高齢化・人口減少・医師不足は「地方からの若年人口流出」という共通要因の表れの可能性がある。
p値・有意性
観測された関係が偶然でどれくらい起こりうるかの目安。図3の相関は p≈4×10⁻²⁴ と極めて小さく、偶然とは考えにくい。
実質公債費比率
自治体の収入に対する借金返済(公債費)の割合。高いほど財政が硬直的で赤字寄り。原論文は病院数との関係を市区町村で調べた(本ページ図4の報告値)。SSDSEには列が無い。
人口増減率
(出生数+転入−死亡−転出)/総人口×100(%)。地域の人口が増えているか減っているかを示す。本ページ図3でSSDSE-Bから実再現した。
SSDSE
統計センターが提供する教育用標準データセット。本研究は市区町村データ(社会・人口統計体系)を用いた。本ページの実再現は都道府県データのSSDSE-Bを使う。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

この研究の中心である「密度指標づくり・相関係数・集計単位」を、注意点まで順に説明する。

全体像
医師数・病院数・高齢者数などの絶対数を人口で割って密度・比率に直し → ランキングで地域差を見て → 散布図相関係数で2指標の関係を測り → 表1の基準で強弱を判断する。さらに都道府県と市区町村で集計単位を変えて見え方の違いを吟味するのが見どころ。
➗ 密度・比率への変換
何をする
絶対数(医師数・病院数)を人口で割り、人口1万人あたり/10万人あたりに直す。高齢者率や人口増減率のような比率も作る。
なぜ必要
人口の多い地域ほど絶対数は大きくなる。人口で割ってはじめて地域を公平に比較できる。
注意
人口の小さな町村では分母が小さく、指標が大きく振れやすい(少数の増減で率が跳ねる)。外れ値に注意する。
🔗 相関係数と基準表(表1)
何をする
2指標が一緒に動く強さを−1〜+1で測る。原論文はExcelのCORREL、本ページはピアソン相関を使う。
読み方
原論文の表1では 0<|r|≦0.2=ほとんど相関なし、0.2<|r|≦0.4=低い相関、…、0.7<|r|≦1.0=高い相関。図4の r=0.196 は「ほとんど無し」に当たる。
注意
相関は因果ではない。また基準表は目安で、本来は有意性(p値)やサンプル数もあわせて判断する。
🗺️ 集計単位(都道府県 vs 市区町村)
何をする
同じ指標を都道府県平均と市区町村の両方で見て、格差の現れ方を比べる。
本研究での効果
都道府県では医師数との相関がほぼ0でも、広島県市町村では−0.323と現れた。平均は格差を覆い隠すことがある。
注意
細かい単位ほどサンプルが小さく振れやすい。単位を変えると相関の符号すら変わりうるので、どの単位の話かを常に意識する(本ページの実再現は都道府県単位)。
📈 散布図と回帰直線
何をする
2指標を点で描き、傾向を直線で要約する。傾きの向きで正負の関係の当たりをつける。
読み方
点が直線に密なら関係が強く、散らばれば弱い。R²(決定係数)は直線がどれだけ説明できるかの目安。
注意
直線が引けること=関係が意味を持つこと、ではない。R²が小さい(例:原論文図3左のR²=0.038)ときは、傾きから多くを語らない。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究の「偏在は市区町村で顕在化する」という発見は、次の研究の出発点になる。

発展1:市区町村データで医師偏在を実再現する
結果X
都道府県では医師数との相関がほぼ0でも、広島県市町村では現れた(報告値)。本ページはSSDSE-Bに医師数が無く再現できなかった。
新仮説Y
市区町村別の医師数(医療施設調査など)を取得すれば、全国の市区町村で偏在を直接測れるのではないか。
課題Z
SSDSE市区町村版や厚労省「医師・歯科医師・薬剤師統計」を結合し、人口あたり医師数と高齢者率・人口増減率の相関を市区町村単位で計算する。
発展2:年次変化で「改善か悪化か」を見る
結果X
本ページ図1〜図3は2023年の断面のみ。偏在が改善に向かうか悪化するかは分からない。
新仮説Y
SSDSE-Bは2012〜2023年の複数年があるので、高齢者率・病院数・人口増減率の関係が時間とともにどう動くか追えるのではないか。
課題Z
SSDSE-B-2026の年度列を使って各年で同じ指標を計算し、相関の推移や地域差の拡大・縮小を時系列で比較する。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。

★☆☆☆☆ 難易度1
別の年で高齢者率ランキングを出す
スクリプトの YEAR = 202320122015 に変えて、高齢者率ランキングがどう変わるか見てみよう。秋田が最高のままか、東京が最低のままかを確かめる。
★★☆☆☆ 難易度2
病院数の代わりに診療所数で比べる
図2の I510120(一般病院数)I5102(一般診療所数)に変えて、人口あたり診療所数の地域差が病院数と同じ傾向か比べてみよう。
★★★☆☆ 難易度3
高齢者率×病院数の相関を測る
図3にならって、高齢者率病院数_10万対stats.pearsonrを計算してみよう。高齢化が進む県ほど病院が多いのか、相関係数を表1の基準で判断する。
★★★★☆ 難易度4
中国・四国9県だけを取り出して比べる
原論文4-1は中国四国の医師数のばらつきを箱ひげ図にした。region_mapが'中国・四国'の県だけ抽出し、高齢者率や病院数の分布(describe()や箱ひげ図)を作って、県間のばらつきを見てみよう。
★★★★★ 難易度5
なぜ医師数は再現できないのか説明する
原論文の中心である人口1万人あたり医師数が、なぜ現行SSDSE-Bで実再現できないのかを、SSDSE-Bの列に医師数が無いこと原論文が市区町村単位を使っていることの2点から自分の言葉で説明してみよう。

💼 この手法は実社会でこう使われている

「絶対数を人口で割った密度で地域を比べ、相関で関係を探る」発想は、行政や医療の現場で広く使われている。

🏥
医療計画・医師偏在指標
国は人口・受療率・年齢構成で調整した「医師偏在指標」を都道府県・二次医療圏ごとに算出し、医師の重点配置区域を決めている。本研究と同じ密度+集計単位の発想。
🏙️
自治体の財政健全化判断
実質公債費比率は総務省が全自治体を監視する指標で、一定を超えると財政健全化団体に指定される。病院事業など公営企業の負担を測るのに使われる。
📊
地域データの探索的分析
人口あたり指標のランキングと相関で「どの地域が・何と関係して」外れているかを洗い出し、政策の重点や次の詳しい分析の当たりをつける。EBPMの初手。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。

Q. 結局、日本の医療は危機的なの?
A. 原論文の答えは「単純に危機とは言えない」。人口あたり医師数はOECD平均をやや下回る程度(24人 vs 29人)で極端な不足ではなく、問題は水準より地域偏在。しかもその偏在は都道府県平均では見えにくく、市区町村に降りて初めて顕在化する、という集計単位の話に落とし込んでいます。
Q. なぜ本ページは医師数の図を再現していないの?
A. 原論文の主役である人口1万人あたり医師数は現行のSSDSE-B-2026(都道府県データ)に列が無いからです。実質公債費比率もSSDSEに無く、原論文の広島県・中国四国の分析は市区町村単位です。そこで医師数・財政の相関は報告値の可視化(図4)にとどめ、高齢者率・病院数・人口増減率だけを都道府県単位で実再現しました(図1〜図3)。
Q. 図3の r=−0.949 は原論文の数字と違うけど大丈夫?
A. 原論文の r=−0.928 は広島県の市町村・2018年、本ページの r=−0.949 は全国の都道府県・2023年です。集計単位も年も違いますが、符号も強さもほぼ一致し、「人口が減る地域ほど高齢化している」という関係が単位を変えても頑健だと分かります。数字を差し替えたのではなく、実データから計算した別物として並べています。
Q. 病院が多い県は良い県では?
A. 一概には言えません。人口あたり病院数は地方で大きい一方、原論文は「病院が多いほど実質公債費比率が高く地方財政が赤字化しやすい」(図4の5県で正の相関)と指摘します。病院密度は医療の充実と財政負担の両面を持つ、というのがこの研究の重要な視点です。

✅ 理解度チェック(4問)

この論文を理解できたか、クリックで確認しましょう。間違えても解説が出ます。

🐍 ブラウザで動かす — インストール不要でこの論文の分析を再現する

このページの分析は、この画面の中でそのまま実行できます。 Python をインストールする必要も、CSV をダウンロードする必要もありません。 下のセルの 「▶ ブラウザで実行」 を上から順に押すか、 「▶ 最初から全部実行」 で一気に流してください。 表示されるのは、本文の図表とまったく同じ計算の結果です (動かしているのは再現スクリプト code/2018_H1_daijin.py そのもの)。

コードは書き換えられます。「✏️ 書き換える」で数字や変数を変えて ▶ を押すと、 結果がどう変わるかをその場で確かめられます(元に戻すボタンつき)。 ページを開いた時点で裏で実行環境の準備が始まっているので、待ち時間はほとんどありません。 初回だけ実行環境の取得にインターネット接続が必要です。