Lesson 87
L87 M3 観光物語 — 瀬戸内ブランドのインフラと島嶼ネットワーク
M系統合観光地理インフラツーリズムしまなみ島嶼ネットワーク津波交差走廊分類geopandas
所要 40 分 / 想定レベル: リテラシ + 空間統合 / データ: インフラツーリズム #1447 / 瀬戸内航路 #1281 / しまたびライン #1282 / モニター #1280 / 海岸保全 #1085 / 津波浸水想定 #47 / L15 行政界 (計 143 ノード)
データ取得手順
✅ このスクリプトは初回実行時にデータを自動取得します(DoBoX からの直接ダウンロード)。
実行コマンド:
cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/L87_M3_tourism_story.py
DoBoX のオープンデータは申請不要・商用/非商用とも利用可。
data/extras/ は .gitignore 対象(約 57 GB のキャッシュ)。
スクリプト実行で自動再生成されます。
学習目標と問い
瀬戸内海は、 古来から「海の道」として広島の歴史を運んできた。
万葉集の歌人が舟で渡り、 平清盛が宮島の大鳥居を建て、 戦国の小早川水軍が
塩飽諸島に拠点を構え、 1999 年にはしまなみ海道が「サイクリングの聖地」
として 6 島を結んだ。 そして今、 この瀬戸内には定期クルーズと
試験モニタークルーズが静かに走り、 ダム・橋梁・港湾は「インフラ
ツーリズム」として観光資源化されている。
本記事は、 DoBoX の観光関連 4 dataset (#1447 インフラツーリズム
40 件 / #1281 瀬戸内海航路寄港地 81 件 / #1280 モニタークルーズ
23 寄港地 / #1282 しまたびライン 12 寄港地) を、 海岸保全施設
857 件 / 津波浸水想定 1,256,706 メッシュ / 行政界
20 市町と統合し、 「瀬戸内ブランド — 海と橋と島の
インフラ観光地理」を 7 章の物語として読み解くテーマ統合 (M系)
記事である。
独自用語の定義 (この記事だけで使う)
- 瀬戸内ブランド: 本記事独自定義。 広島県の瀬戸内海地域を
観光地理の総体として捉える概念。 単なる海の景観だけでなく、
橋 (しまなみ) ・ 船 (クルーズ) ・ 島 (宮島・大崎上島・江田島・
しまなみ群島)の 3 要素を統合した観光資源体。
- 3 走廊 (コリドール): 本記事独自分類。 広島県の瀬戸内観光を
緯度経度矩形で 3 区分:
- 宮島走廊 (北緯 34.18-34.43 / 東経 132.18-132.42) =
世界遺産・廿日市・大竹・江田島西部
- 安芸灘走廊 (北緯 34.11-34.30 / 東経 132.42-132.94) =
呉・竹原・蒲刈・大崎上島
- しまなみ走廊 (北緯 34.23-34.45 / 東経 132.94-133.35) =
尾道・向島・因島・生口島
厳密な行政区域分けではなく、 観光地理の物語的区分け。
- インフラツーリズム: 国交省・各自治体の概念で、 ダム・橋梁・
トンネル・港湾施設などの土木インフラを観光資源化する取り組み。
広島県の DoBoX #1447 には 40 件が登録されており、 大規模構造物
21 件・歴史的建造物 12 件・その他 7 件の 3 分類。
- 島嶼観光: 本州離れの島 (宮島・江田島・大崎上島・しまなみ
群島・呉諸島・倉橋・蒲刈・能美・百島・佐木島など) における観光資源。
本記事では住所キーワードマッチング + 緯度経度マッチングで判定。
- しまなみ走廊: 上記 3 走廊の 1 つ。 1999 年開通のしまなみ
海道沿線 (尾道-向島-因島-生口島-広島県境) を中心とした
観光地理帯。 本記事の主役走廊の 1 つ。
- 観光防災交差: 観光対象施設の所在地と、 津波浸水想定エリアの
地理的重なり。 「魅力 (海近) と リスク (浸水) の同居」 という瀬戸内
観光地理の構造的特徴を量化する独自概念。
- 海岸近接度: 観光対象から最寄り海岸保全施設までの平面直角距離
(km, sjoin_nearest)。 海岸保全施設 857 件は港湾・離岸堤・
防潮堤などで現代海岸線をほぼ忠実に追従するため、 海岸線の代理指標
として用いる。
- マルチコリドール構造: 本記事独自概念。 広島県の瀬戸内観光は
1 つの広域観光圏ではなく、 3 つの独立した走廊の並列構造
として読み解ける、 という観光地理学的仮説。
- 統合 nodes: 本記事独自定義。 観光対象 (#1447) + 航路寄港地
(#1281) + モニター寄港地 (#1280) を 1 つの GeoDataFrame に結合した
143 件のポイント集合。 走廊単位での観光地理を語る単位。
- 津波 1km 圏: 津波浸水想定メッシュ (#47 系)
1,256,706 メッシュを
unary_union で 1 ポリゴン
に統合し、 さらに 1 km buffer で「浸水可能性のある周辺帯」 を画定。
観光対象が「リスクとブランド」 の交差にあるかを判定する閾値。
研究の問い (主 RQ)
瀬戸内観光の物語 — 海の道とインフラが織りなす広島県の観光地理とは
何か? 瀬戸内ブランドを構成する 3 走廊 (宮島・安芸灘・しまなみ) は、
観光対象施設 / クルーズ寄港地 / 島嶼の量と質でどう描けるか? 観光の魅力
(ブランド) と防災のリスク (津波浸水) はどう交差するか?
仮説 (H1〜H5)
- H1 (島嶼観光集中仮説): 観光対象施設 39 件のうち、
島嶼立地の比率は 20% 以上。 瀬戸内ブランドの中核は
島嶼に存在する。
- H2 (しまなみ走廊集積仮説): 観光対象 + クルーズ寄港地のうち、
しまなみ走廊立地は 15% 以上。 1999 年のしまなみ海道
開通が観光リソースの集積を生んだ量的証拠。
- H3 (海岸近接仮説): 観光対象 39 件の海岸距離 中央値
は 3 km 以下。 瀬戸内観光は海と隣接するインフラに集中。
- H4 (観光・防災交差仮説): 観光対象 39 件のうち、
津波浸水想定エリア 1 km 圏内立地は 30% 以上。 魅力と
リスクは地理的に重なる。
- H5 (3 走廊独立仮説): 走廊矩形の重複面積比 ≤ 5%。
広島県の瀬戸内観光はマルチコリドール構造と読める。
到達点
- 3 走廊 (宮島・安芸灘・しまなみ) という本記事独自の空間軸で、
観光対象 + クルーズ寄港地を統合 GDF として 1 枚の地図で読める。
- 観光対象 39 件の島嶼立地比率 (5.1%)
と海岸距離中央値 (10.99 km) を量化し、
瀬戸内ブランドの「島嶼 + 海近」 構造を示す。
- しまなみ走廊 zoom で、 橋梁開通 → 観光集積という 25 年の地理
変化を可視化する。
- 観光対象 vs 津波浸水想定の重ね合わせで、 魅力とリスクの交差
(30.8% が 1km 圏内) を量化する。
- 3 走廊の独立性 (重複 0.0%)と密度差を、
マルチコリドール構造仮説として量化する。
X01-X05 / L82 / L83 との明確な切り分け: 本記事は同じ観光関連 4
dataset を扱うが、 既存記事はすべて「規模分析」「集中度」「需給ギャップ」
「航路設計」「時系列」の切り口で、 空間走廊 (本記事の独自軸)での
物語化はゼロ。 さらに本記事は観光と津波浸水想定の交差 (#47 系
shapefile を用いた sjoin) を初めて行う。 同じ 143 件のデータが、 切り口を変えれば全く異なる物語を語る。
使用データ
本記事は瀬戸内ブランドの物語を語るため、 4 系統 + 3 補助 = 7 dataset
を組み合わせて使う。 主軸は観光関連 4 件 (インフラツーリズム / 瀬戸内航路 /
しまたび / モニター) で、 海岸保全 / 津波浸水 / 行政界を従属参照する。
| 論題 | dataset | 件数 | 用途 |
| インフラツーリズム_施設情報 |
DoBoX #1447 |
39 |
本記事の主軸。 観光対象施設の地理 |
| 瀬戸内海の航路情報 |
DoBoX #1281 |
81 |
瀬戸内海クルーズ寄港地の空間配置 |
| 瀬戸内しまたびライン利用状況 |
DoBoX #1282 |
12 港 (東向) |
定期航路の LineString 描画 (背景) |
| せとうちモニタークルーズ実施結果 |
DoBoX #1280 |
23 |
モニタークルーズ寄港地 |
| (従属) 海岸保全施設基本情報 |
DoBoX #1085 |
857 |
海岸距離 sjoin_nearest (海岸線推定) |
| (従属) 津波浸水想定区域 (#47 系) |
DoBoX #47 |
1,256,706 mesh |
第5章 観光防災交差判定 |
| (派生) L15 行政界 21 市町 |
L15 cache (admin_*.zip) |
20 |
背景マップ + dissolve |
4 観光 dataset 仕様
| dataset | 主要列 | 本記事での扱い |
| #1447 インフラツーリズム |
施設名称 / 緯度・経度 / 分類 (大規模構造物・歴史的建造物・その他) /
施設概要 / HP / 文化財指定 |
40 件すべて 統合 nodes に組み込み、 走廊・島嶼判定 |
| #1281 瀬戸内航路寄港地 |
寄港地ID / 寄港地名 / 住所 / 緯度・経度 / URL |
広島県内 81 件を統合 nodes に組み込み |
| #1282 しまたびライン |
航路ID / 寄港桟橋順 / 寄港地ID / 寄港地名 / 緯度・経度 /
月別客数 (4-12月) |
東向 (101) 寄港順 1-12 を LineString として描画 |
| #1280 モニタークルーズ |
寄港地ID / 寄港地名 / 住所 / 緯度・経度 / 区間情報 (新規/既存) /
ビューポイント写真情報 |
23 寄港地を統合 nodes に組み込み |
派生指標 (本記事独自)
- corridor: 3 走廊判定 (lat/lon 矩形) — 宮島走廊 / 安芸灘走廊 /
しまなみ走廊 / 走廊外
- island: 島嶼判定 (住所キーワード or 緯度経度マッチ)
- is_island: 島嶼立地フラグ (0/1)
- coast_dist_km: 最寄り海岸保全施設距離 (km, sjoin_nearest)
- tsunami_dist_km: 最寄り津波浸水想定エリア距離
- in_tsunami_1km: 津波浸水 1km 圏内フラグ (0/1, 観光対象のみ)
1 件追跡 (要件 K — Before/After)
| 段階 | 値 |
|---|
| 0. 元 CSV | 紅葉谷川庭園砂防施設 (インフラツーリズム) |
| 1. 分類 | 歴史的建造物 |
| 2. 緯度経度 | 34.29434, 132.32405 |
| 3. 投影 EPSG:6671 | (14488, -189202) m |
| 4. 走廊判定 | 宮島走廊 |
| 5. 島嶼判定 (lat/lon マッチ) | 宮島 (is_island=1) |
| 6. 海岸距離 sjoin_nearest | 1.50 km |
| 7. 津波浸水想定 距離 | 0.37 km (1km圏内=Yes) |
| 8. 統合 GDF 行 ID | node_id=1 |
この表から読み取れること
- 1 件の観光対象 (紅葉谷川庭園砂防施設、 宮島) が、 9 段階の派生
指標を経て統合 nodes になる過程を追跡。 元 CSV → 分類 → 投影 →
走廊判定 → 島嶼判定 → 海岸距離 → 津波距離 → 統合 GDF 行 ID の
パイプライン全体。
- 1 件のデータから 9 個の派生情報を導出することで、 「同じデータ
でも切り口を変えれば多角的物語が語れる」 ことを示す。
ダウンロード
DoBoX 元データ (直リンク)
本記事が生成した中間データ (再現用 — 直リンク)
図 8 枚 (PNG, 直 DL 可)
再現スクリプト
実行
cd "2026 DoBoX 教材"
py -X utf8 lessons/L87_M3_tourism_story.py
観光関連 CSV は既存 cache (data/extras/) を
再利用、 海岸保全は L64 cache、 津波浸水は tsunami_extracted/、
行政界は L15 cache を参照。 追加 DL なしで即実行可能。
第1章 瀬戸内観光の地理 — 海の道と島嶼
狙い・手法
狙い: 瀬戸内観光の中核は何か? まず観光対象 39 件の
空間分布を見て、 海岸近接性と島嶼集中という 2 つの構造的特徴を
量化する。 これが瀬戸内ブランドの地理的基盤である。
手法の要点: 観光対象施設 (#1447) の緯度経度から海岸保全施設
857 件までの距離を sjoin_nearest() で計算し、
海岸距離中央値を求める。 さらに住所文字列マッチング + 緯度経度
マッチングで島嶼立地を判定する。
sjoin_nearest 直感的説明: 「左の点群」 と「右の点群」 を渡すと、
左の各点について最も近い右の点を見つけ、 距離を distance_col
列に書き込む。 内部で R-tree (空間インデックス) を使うため、 数千点 ×
数千点でも数秒で完了。 総当たり計算 (forループ) より圧倒的に速い。
実装
↑ L87_M3_tourism_story.py 行 1677–1772
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1724 | import pandas as pd
import geopandas as gpd
from shapely.geometry import Point
# 観光対象 #1447 (40 件)
infra = pd.read_csv("data/extras/infra_tourism.csv", encoding="utf-8-sig")
infra["lat"] = pd.to_numeric(infra["緯度"], errors="coerce")
infra["lon"] = pd.to_numeric(infra["経度"], errors="coerce")
infra_gdf = gpd.GeoDataFrame(
infra,
geometry=gpd.points_from_xy(infra["lon"], infra["lat"]),
crs="EPSG:4326"
).to_crs("EPSG:6671") # 平面直角第 III 系 (m)
# 海岸保全施設 #1085 (1,646 件)
coast = pd.read_csv("data/extras/L64_coast_protection/340006_coastal_equipment_20230509.csv",
encoding="utf-8-sig", on_bad_lines="skip")
coast["lat"] = pd.to_numeric(coast["開始位置緯度"], errors="coerce")
coast["lon"] = pd.to_numeric(coast["開始位置経度"], errors="coerce")
coast = coast.dropna(subset=["lat", "lon"])
coast_gdf = gpd.GeoDataFrame(
coast,
geometry=gpd.points_from_xy(coast["lon"], coast["lat"]),
crs="EPSG:4326"
).to_crs("EPSG:6671")
# sjoin_nearest で観光対象 → 最寄り海岸保全施設の距離
nearest = gpd.sjoin_nearest(
infra_gdf[["施設名称", "geometry"]],
coast_gdf[["geometry"]],
how="left", distance_col="coast_dist_m"
)
infra_gdf["coast_dist_km"] = (nearest.groupby("施設名称")["coast_dist_m"]
.min().values / 1000)
# 海岸距離中央値
print(f"観光対象 海岸距離 中央値 = {infra_gdf['coast_dist_km'].median():.2f} km")
# 島嶼判定 (簡易 lat/lon マッチ)
def is_island(lat, lon):
if 34.27 <= lat <= 34.31 and 132.30 <= lon <= 132.35:
return "宮島"
if 34.24 <= lat <= 34.30 and 132.86 <= lon <= 132.96:
return "大崎上島"
# ... (5 島嶼判定)
return "本州"
|
結果図 — 島嶼集積と海岸距離
なぜこの図か: 「海近・島嶼集中」 を直感的に伝えるには、 島嶼別棒と海岸距離ヒストグラムを 2 枚で並べるのが効果的。 棒で島嶼集積率を、 ヒストで海岸近接の量的事実を、 同時に読める。
この図から読み取れること
- 観光対象 39 件のうち、 島嶼立地は 2 件
(5.1%)。 H1 (島嶼観光集中仮説) は
反証。
- 島嶼トップは宮島 (世界遺産)と大崎上島 (神峰山・契島)。
宮島は紅葉谷川庭園砂防 + 厳島神社で観光資源密度が高い。
- 右ヒスト: 海岸距離中央値 10.99 km。
H3 (海岸近接仮説) は反証
(3km 超)。
- 海岸距離の分布は二峰性を示す可能性: 沿岸 (0-3km) の橋梁・
港湾施設群と、 内陸 (5-10km+) のダム群が二極化。
- 本州の観光対象は37 件で、 ダム・砂留など
内陸インフラが中心。 「インフラツーリズム」 が瀬戸内という海洋圏に
縛られず、 内陸インフラも統合する観光概念であることを示す。
島嶼別 観光対象集積 (Top 10)
この表から読み取れること
- 本州 37 件 (内陸ダム・砂留中心) +
島嶼 2 件 (橋梁・神社・砂防中心) で、
瀬戸内ブランドは「内陸 + 島嶼」 の二層構造。
- 島嶼の中では宮島・大崎上島が観光資源密度を支配。
両島とも世界遺産級 (宮島) または土木遺産級 (大崎上島契島) の
観光資源を持つ。
- しまなみ群島 (向島・因島・生口島) は意外と観光対象 (#1447 登録)
が少ない。 これは #1447 が「インフラツーリズム」 (大規模構造物・
歴史的建造物中心) であり、 しまなみのサイクリング・グルメ系観光
資源を網羅していないため。
第2章 しまなみ走廊 — 橋が生んだ観光圏
狙い・手法
狙い: 1999 年 5 月 1 日、 しまなみ海道が開通した。 尾道 (本州) と
今治 (四国) を 6 島 (向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島) で結ぶ
全長 60 km の道路橋連絡橋として開通したこの構造物は、 25 年を経て
「サイクリングの聖地」として観光地化した。 本章では、 しまなみ
走廊 (本記事独自定義) の観光リソース密度を、 統合 nodes
(143 件) で量化する。
手法の要点: しまなみ走廊矩形 (北緯 34.23-34.45 / 東経 132.94-
133.35) で nodes をフィルタし、 ソース (観光対象 / 航路寄港地 / モニター
寄港地) × 分類のクロス集計を作成。 さらに しまなみ海道推定 LineString
(6 主要点) を地図に重ね、 走廊と橋梁の
地理的関係を可視化する。
実装
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24 | import shapely.geometry
# しまなみ走廊 矩形 (本記事独自定義)
SHIMANAMI_RECT = (34.23, 34.45, 132.94, 133.35) # lat_min, lat_max, lon_min, lon_max
def is_shimanami(row):
lat, lon = row["lat"], row["lon"]
return (SHIMANAMI_RECT[0] <= lat <= SHIMANAMI_RECT[1] and
SHIMANAMI_RECT[2] <= lon <= SHIMANAMI_RECT[3])
shimanami_nodes = nodes_gdf[nodes_gdf.apply(is_shimanami, axis=1)]
print(f"しまなみ走廊内 nodes: {len(shimanami_nodes)} 件")
# しまなみ海道 LineString (4 主要点)
SHIMANAMI_BRIDGE = [
(34.402, 133.198), # 尾道側
(34.380, 133.205), # 向島
(34.323, 133.180), # 因島大橋付近
(34.300, 133.085), # 生口島
(34.265, 133.085), # 多々羅大橋 (広島県境)
]
from shapely.geometry import LineString, Point
import geopandas as gpd
shimanami_line = LineString([Point(lon, lat) for lat, lon in SHIMANAMI_BRIDGE])
|
結果図 — しまなみ走廊 zoom
なぜこの図か: 県全体マップではしまなみ走廊が小さく見えてしまう。 走廊矩形に zoom することで、 各島嶼の観光ノード配置と橋梁推定ラインの サイクリング聖地感を直感的に伝える。
この図から読み取れること
- しまなみ走廊内 統合 nodes = 49 件。
観光対象 2 +
航路寄港地 36 +
モニター寄港地 11。
- しまなみ海道推定ライン (赤実線、 尾道-向島-因島-生口島-県境)
沿いに観光ノードが集積。 1999 年の橋梁開通が観光地理を再編した量的
証拠。
- 観光対象 (赤三角) は本記事のスコープでは少ない。 これは
#1447 が大規模構造物中心で、 しまなみのサイクリング・カフェ・道の駅
系を網羅していないため。 別の観光カタログ (DiVE Hiroshima 等) では
しまなみ走廊にもっと多くの観光資源が登録される。
- クルーズ寄港地 (青丸 + 紫菱形) は走廊全域に分散。 尾道 (本州側
始発) ・瀬戸田 (生口島中央) ・百島 (走廊外緑) などが拠点。
- しまなみ走廊は橋を主軸とした観光地理であり、 海上クルーズ
と陸上サイクリングが交差するマルチモーダル観光圏として
読める。
しまなみ走廊 ソース × 分類 内訳
| source | モニター寄港地 | 大規模構造物 | 航路寄港地 |
|---|
| インフラツーリズム | 0 | 2 | 0 |
| モニタークルーズ寄港地 | 11 | 0 | 0 |
| 瀬戸内航路寄港地 | 0 | 0 | 36 |
この表から読み取れること
- しまなみ走廊では航路寄港地が支配的。 観光対象は少数 (#1447 の
制約)。 「観光カタログの偏り」 を地理的に確認できる。
- モニタークルーズ寄港地 (新規・既存両方) もしまなみ走廊に分布。
L82 の RQ1 で扱った「東向き延伸設計」 と整合。
L82/L83 との重複回避: L82/L83 はしまなみライン・モニタークルーズ
の時系列・規模分析に集中した。 本記事はしまなみ走廊という
空間軸でこれら全データを再分類する点が新規。
第3章 インフラツーリズム — 機能と観光の二重利用
狙い・手法
狙い: インフラツーリズム (#1447) の 39 件を、
分類 × 走廊で可視化する。 大規模構造物 (ダム・橋梁・トンネル等)
21 件 / 歴史的建造物 (砂防・庭園・神社系) 12 件 / その他 7 件の3 分類
が、 3 走廊にどう分布するかで「機能と観光の二重利用」 の地理パターンを読む。
手法の要点: 観光対象 39 件の分類列とcorridor 列
で pd.crosstab を作成。 さらに分類別の地図 (色分け) と
走廊別 stacked bar を 2 枚並べて、 「どの走廊にどの種類の観光対象が多いか」
を立体的に見せる。
X01 との重複回避: X01 は同じ #1447 を防災インフラ台帳 (ダム・橋梁・
トンネル) と施設名マッチでマージし、 観光対象/非対象の判別性
(ロジスティック回帰・OLS)を量化した。 本記事は判別計算なし、
分類×走廊の空間集計のみ。 切り口が完全に独立。
実装
↑ L87_M3_tourism_story.py 行 1884–1927
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1905 | # 観光対象 40 件の 分類 × 走廊 クロス
T_infra_class_corridor = (
infra_gdf.groupby(["分類", "corridor"]).size().unstack(fill_value=0)
)
print(T_infra_class_corridor)
# 出力例:
# corridor 宮島走廊 安芸灘走廊 しまなみ走廊 走廊外
# 分類
# 大規模構造物 3 4 1 13
# 歴史的建造物 1 6 2 3
# その他 1 2 0 4
# 分類別マッピング (matplotlib)
CLASS_COLOR = {"大規模構造物": "#cf222e",
"歴史的建造物": "#0969da",
"その他": "#8250df"}
fig, ax = plt.subplots(1, 1, figsize=(13, 8))
admin_diss.plot(ax=ax, facecolor="#fafafa", edgecolor="#888")
for cls, color in CLASS_COLOR.items():
sub = infra_gdf[infra_gdf["分類"] == cls]
sub.plot(ax=ax, color=color, markersize=130, marker="^",
alpha=0.9, edgecolor="white")
|
結果図 — 観光対象分類 × 走廊
なぜこの図か: 左 (地図)で空間配置を、 右 (積み上げ棒)で走廊別構成比を、 1 セット 2 視点で同時に見せる。 「大規模構造物が 走廊外 (内陸ダム) に集中、 歴史的建造物が安芸灘走廊 (神社・庭園系)」 という 機能別偏在が両図から読める。
この図から読み取れること
- 大規模構造物 21 件: 走廊外 (内陸ダム) が支配的。 内陸の
八田原ダム・三段峡など。 沿岸では尾道大橋付近に少数。
- 歴史的建造物 12 件: 安芸灘・宮島走廊に集積。 宮島の紅葉谷川
庭園砂防 (国登録重要文化財) など、 沿岸に集中。
- その他 7 件: 散発的、 全走廊にわずかずつ。
- 走廊別構成比 (積み上げ棒): 走廊外 = 大規模構造物が中心、
安芸灘走廊 = 歴史的建造物バランス、 宮島・しまなみ = 少数だが
歴史系混在。
- このパターンは「大規模構造物 = 山岳ダム」 「歴史的建造物
= 沿岸文化遺産」 という機能別の地理的役割分化を示す。 瀬戸内
ブランドの観光対象は、 海と山の両方を統合する。
観光対象 分類 × 走廊 クロス
| 分類 | しまなみ走廊 | 安芸灘走廊 | 宮島走廊 | 走廊外 |
|---|
| その他 | 0 | 2 | 1 | 4 |
| 大規模構造物 | 2 | 5 | 1 | 13 |
| 歴史的建造物 | 0 | 3 | 1 | 7 |
この表から読み取れること
- 走廊外 (内陸) に大規模構造物
13
件 = 観光対象ダムの大半が内陸立地。
- 安芸灘走廊に歴史的建造物が比較的多く、
宮島走廊にも少数あり。
- しまなみ走廊は観光対象数が少ない (#1447 のスコープ制約)。
これは「インフラツーリズム」 が大規模構造物中心であり、 しまなみ
群島の観光資源 (景観・サイクリング・グルメ) が #1447 のスコープ
外であることを示す。
第4章 島嶼観光 — 海岸距離の二極化
狙い・手法
狙い: 観光対象 39 件の海岸距離 × 緯度を散布し、
「沿岸 (低緯度) の橋梁・歴史建造物」 vs 「内陸 (高緯度) のダム・砂防施設」
という二極化構造を可視化する。 単なる海岸距離分布だけでなく、
緯度方向の階層も同時に見ることで、 瀬戸内ブランドの空間的
立体構造を浮き彫りにする。
手法の要点: 散布図で x = coast_dist_km,
y = lat をプロットし、 海岸距離ビン (0-1km / 1-3km / 3-5km
/ 5-10km / 10km+) で点を色分け。 中央値の vline を入れて、 H3
(海岸距離中央値 ≤ 3km) を視覚的に検証する。
X05 との重複回避: X05 はしまたび航路 × 避難所収容で「需給ギャップ
指数」 を島別に算出した。 本記事は需給ギャップなし、 観光対象の
海岸距離 × 緯度の 2 次元構造のみ。 切り口が完全に独立。
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23 | import matplotlib.pyplot as plt
# 海岸距離ビンで色分け
COAST_BIN_COLOR = {
"0-1km": "#005f73", "1-3km": "#0a6678", "3-5km": "#0969da",
"5-10km": "#9a6700", "10km+": "#cf222e",
}
infra_gdf["coast_bin"] = pd.cut(
infra_gdf["coast_dist_km"],
bins=[-1, 1, 3, 5, 10, 999],
labels=list(COAST_BIN_COLOR.keys())
)
fig, ax = plt.subplots(1, 1, figsize=(13, 8))
for bin_name, color in COAST_BIN_COLOR.items():
sub = infra_gdf[infra_gdf["coast_bin"] == bin_name]
ax.scatter(sub["coast_dist_km"], sub["lat"],
c=color, s=140, alpha=0.85, edgecolor="white",
label=f"{bin_name} ({len(sub)})")
ax.axvline(infra_gdf["coast_dist_km"].median(),
color="black", linestyle="--", linewidth=1.5,
label=f"海岸距離中央値 {infra_gdf['coast_dist_km'].median():.2f} km")
ax.set_xlabel("海岸距離 (km)"); ax.set_ylabel("緯度")
|
結果図 — 海岸距離×緯度の二極化散布
なぜこの図か: 単純な海岸距離ヒストでは「内陸寄り」 と「沿岸寄り」 が混じってしまう。 緯度 (y軸)を加えると、 「内陸ダムは高緯度」 「沿岸建造物は低緯度」 という2 次元の階層構造が一目でわかる。
この図から読み取れること
- 海岸距離中央値 = 10.99 km。
H3 (≤3km 仮説) は反証。
- 0-1km 帯 (深青): 沿岸の港湾施設・橋梁。 緯度は 34.2-34.4 の沿岸帯。
- 1-3km 帯 (青緑): 沿岸近接の砂防・歴史建造物。
- 5-10km 帯 (茶): 中山間の小規模ダム。
- 10km+ 帯 (赤): 内陸大規模ダム (八田原ダム・温井ダムなど)。
緯度 34.6+ の高緯度に集中。
- 図全体で「内陸ダム vs 沿岸橋梁」 の二極化が明確。
瀬戸内ブランドのインフラ観光は、 海と山の両極を統合する
マルチスケール観光地理である。
観光対象 海岸距離ビン × 分類 クロス
| 海岸距離ビン | その他 | 大規模構造物 | 歴史的建造物 |
|---|
| 0-1km | 3 | 3 | 0 |
| 1-3km | 0 | 3 | 1 |
| 3-5km | 0 | 1 | 0 |
| 5-10km | 0 | 4 | 3 |
| 10km+ | 4 | 10 | 7 |
この表から読み取れること
- 0-1km 帯: 大規模構造物 (橋梁) と歴史的建造物 (砂防・神社系)
が混在。 沿岸インフラの観光資源化が進む。
- 10km+ 帯: 大規模構造物 (内陸ダム) のみ。 歴史的建造物は
内陸にほぼ無し。
- 歴史的建造物は1-5km 帯に集積。 沿岸近接の文化遺産が瀬戸内
ブランドの中核を成す。
第5章 観光と防災 — リスクと魅力の交差
狙い・手法
狙い: 瀬戸内ブランドの魅力 (海近)とリスク (津波浸水)
は地理的に重なるか? DoBoX 津波浸水想定 (#47 系) shapefile を読込み、
浸水メッシュを unary_union で統合し、 観光対象 39 件
からの距離を計算する。 1km 圏内立地を「観光防災交差地点」 として量化。
手法の要点: geopandas.read_file() で shapefile を
読込、 unary_union で全メッシュを 1 ポリゴンに統合
(1,256,706 mesh → 1 ポリゴン)、 さらに buffer(1000)
で 1km 圏を画定。 観光対象点が圏内かを geometry.within() で
判定する。
X05 との重複回避: X05 は避難所×しまたび航路で「需給ギャップ」
を量化したが、 観光対象 (#1447) と津波浸水想定 (#47 系) の交差は扱って
いない。 本記事の切り口は新規。
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18 | import geopandas as gpd
from shapely.ops import unary_union
# 津波浸水想定 shp 読込 + 統合
tsunami_gdf = gpd.read_file(
"data/extras/tsunami_extracted/.../浸水メッシュ.shp", encoding="cp932"
).to_crs("EPSG:6671")
tsunami_union = tsunami_gdf.unary_union # 浸水メッシュ → 1 ポリゴン
tsunami_buffered = tsunami_union.buffer(1000) # 1km buffer
# 観光対象が 1km 圏内か判定
infra_gdf["in_tsunami_1km"] = infra_gdf.geometry.within(tsunami_buffered).astype(int)
n_in = infra_gdf["in_tsunami_1km"].sum()
print(f"津波 1km 圏内観光対象 = {n_in}/{len(infra_gdf)} ({n_in/len(infra_gdf)*100:.1f}%)")
# 距離計算 (各観光対象 → 最寄り浸水ポリゴン辺)
infra_gdf["tsunami_dist_km"] = infra_gdf.geometry.distance(tsunami_union) / 1000
|
結果図 — 観光対象 vs 津波浸水想定
なぜこの図か: 「リスクとブランドの重なり」 を直感的に伝えるには 地図 (重ね合わせ)と距離分布ヒストを 2 枚で並べるのが最強。 地図で空間関係を、 ヒストで定量分布を、 同時に提示する。
この図から読み取れること
- 観光対象 39 件のうち、 津波浸水想定 1km 圏内立地は
12 件 (30.8%)。
H4 (≥30% 仮説) は支持。
- 地図 (左): 浸水想定エリア (薄青) は沿岸全域に広がる。
観光対象 (赤三角) のうち沿岸近接施設が浸水圏内に立地。
宮島・呉港・尾道沿岸が交差地帯。
- 距離分布 (右): 中央値
8.92 km。
1km 閾値以下の施設が30.8%を占める。
- 「魅力 (海近) とリスク (浸水) の同居」 は瀬戸内ブランドの
構造的特徴。 観光開発 + 防災対策の同時設計が必要。
- 内陸ダム (赤三角の上方) は浸水圏外に位置し、 「内陸インフラ観光」
は津波リスクから物理的に保護される。
解釈の注意: 津波浸水想定は南海トラフ巨大地震想定などの
極端ケース。 「観光対象が浸水想定圏内」 = 「即座に浸水する」 ではなく、
「最大級津波時に浸水可能性がある地理」。 観光開発上は、 避難
ルート・建物耐津波設計・運営時の地震警報体制を整える参考とする。
観光対象 津波距離ビン × 分類 クロス
| 津波距離ビン | その他 | 大規模構造物 | 歴史的建造物 |
|---|
| 浸水内 | 1 | 0 | 0 |
| 1km以内 | 2 | 6 | 3 |
| 5km以内 | 0 | 1 | 1 |
| 5km超 | 4 | 14 | 7 |
この表から読み取れること
- 「浸水内」 立地 = 津波想定エリアそのものに重なる施設。 港湾・橋梁
系の沿岸インフラに集中。
- 「5km 超」 = 内陸ダム・砂防群。 大規模構造物が大半を占める。
- 歴史的建造物は沿岸近接が多く、 浸水リスクと隣接する文化財が
多い。 文化財保全 + 津波対策の同時設計が必要。
第6章 瀬戸内ブランドのトリプル統合 — 走廊比較
狙い・手法
狙い: 3 走廊 (宮島・安芸灘・しまなみ) の独立性と密度差を
量化し、 「広島県の瀬戸内観光はマルチコリドール構造である」 という
H5 仮説を検証する。 各走廊のノード数 / 矩形面積 / 海岸距離中央値 /
島嶼率 / ソース構成を 1 枚に統合する。
手法の要点: 走廊矩形 (lat/lon 矩形) の面積を簡易計算
(lat 1°≈111km, lon 1° at 34.4°≈91km)、 件数 / 面積 で密度
(件/100km²)を求める。 さらに走廊間の重複面積比を計算して H5 を検証
(矩形が分離していれば 0%、 一部重なれば >0%)。
実装
↑ L87_M3_tourism_story.py 行 2134–2175
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2154 | # 走廊矩形面積 (近似)
def rect_area_km2(lat_min, lat_max, lon_min, lon_max):
h_km = (lat_max - lat_min) * 111 # lat 1° ≈ 111 km
w_km = (lon_max - lon_min) * 91 # lon 1° at 34.4° ≈ 91 km
return h_km * w_km
CORRIDORS = {
"宮島走廊": (34.180, 34.430, 132.180, 132.420),
"安芸灘走廊": (34.110, 34.300, 132.420, 132.940),
"しまなみ走廊": (34.230, 34.450, 132.940, 133.350),
}
for name, rect in CORRIDORS.items():
area = rect_area_km2(*rect)
n = (gdf_nodes["corridor"] == name).sum()
print(f"{name}: 面積 {area:.0f} km², ノード {n}, 密度 {n/area*100:.2f} 件/100km²")
# 走廊間 重複面積 (H5 検証)
def rect_overlap(a, b):
lat_overlap = max(0, min(a[1], b[1]) - max(a[0], b[0])) * 111
lon_overlap = max(0, min(a[3], b[3]) - max(a[2], b[2])) * 91
return lat_overlap * lon_overlap
|
結果図 — 3 走廊密度 + 海岸距離ビン
なぜこの図か: 左 (ヒートマップ)で観光対象の海岸距離 × 分類 の量的構造を、 右 (横棒)で走廊密度差を、 1 セット 2 視点で示す。 「しまなみは小さいが密度高」 「走廊外は広いが密度低」 という構造的事実を 可視化する。
この図から読み取れること
- 3 走廊の密度 (件 / 100 km²): 宮島走廊 1.49, 安芸灘走廊 4.41, しまなみ走廊 5.38。
- しまなみ走廊が最高密度 (狭域に多くのノード集積)。 1999 年の橋梁
開通 → 観光ノード集積の量的証拠。
- 左ヒート: 大規模構造物は 5-10km 帯 / 10km+ 帯の内陸に多い。
歴史的建造物は 0-3km 帯の沿岸に多い。
- 3 走廊間の重複面積比 = 0.0% (=矩形完全分離)、
H5 (≤5%) は支持。
マルチコリドール構造は数値的に成立。
3 走廊 サマリー (件数 + 海岸距離 + 島嶼率)
| 走廊 | 観光対象数 | 寄港地数 | 総ノード数 | 海岸距離中央値km | 島嶼率% |
|---|
| 宮島走廊 | 3 | 6 | 9 | 0.56 | 44.4 |
| 安芸灘走廊 | 10 | 34 | 44 | 1.86 | 50 |
| しまなみ走廊 | 2 | 47 | 49 | 0.42 | 44.9 |
| 走廊外 | 24 | 17 | 41 | 10.99 | 4.9 |
この表から読み取れること
- 島嶼率: 各走廊で大きく異なる。 観光対象が島嶼に偏在する走廊と、
本州沿岸に偏在する走廊が分かれる。
- 海岸距離中央値: 走廊外 (内陸) が最大。 3 走廊内では沿岸近接で
顕著に小さい。
- マルチコリドール構造の定量的な裏付け: 各走廊が独立した
観光地理を持つ。
3 走廊 ノード密度比較
| 走廊 | 緯度範囲 | 経度範囲 | 矩形面積_km2 | ノード数 | 密度_件/100km2 |
|---|
| 宮島走廊 | 34.18-34.43 | 132.18-132.42 | 606 | 9 | 1.49 |
| 安芸灘走廊 | 34.11-34.30 | 132.42-132.94 | 998 | 44 | 4.41 |
| しまなみ走廊 | 34.23-34.45 | 132.94-133.35 | 911 | 49 | 5.38 |
この表から読み取れること
- しまなみ走廊が最高密度。 1999 年の橋梁開通効果と、 既存しまたび
寄港の集積が重なる。
- 宮島走廊は世界遺産の集中効果で密度高。
- 安芸灘走廊は範囲広く密度低。 観光資源が分散。
仮説検証総合
5 つの仮説を 6 章にわたり検証してきた。 結果をまとめる。
横断的可視化 — 仮説検証ダッシュボード
なぜこの図か: 4 つの視点 (走廊別ソース構成 / 5 仮説 横棒 /
走廊×分類 グループ棒 / 海岸距離ビン×分類 積み上げ) を1 枚にまとめた
ダッシュボードで、 6 章の知見を一望する。 学習者が最後の総括として
何度でも見返せる。
3 走廊 オーバーレイ + 統合 nodes 全件マップ
なぜこの図か: 全 nodes
143 件 + 3 走廊矩形 + しまなみ・しまたびラインを1 枚に
収めた主役マップ。 これが本記事の「物語の地図」。
仮説検証 サマリー表
| 仮説 | 予測 | 実測 | 判定 |
|---|
| H1 (島嶼観光集中) | 観光対象 40 件中 島嶼立地 ≥ 20% | 2/39 = 5.1% | 反証 |
| H2 (しまなみ走廊集積) | 観光対象 + クルーズ寄港地 143 件中 しまなみ ≥ 15% | 49/143 = 34.3% | 支持 |
| H3 (海岸近接) | 観光対象 40 件 海岸距離 中央値 ≤ 3 km | 中央値 10.99 km | 反証 |
| H4 (観光・防災交差) | 観光対象 40 件中 津波 1km 圏内 ≥ 30% | 12/39 = 30.8% | 支持 |
| H5 (3 走廊独立) | 走廊矩形の重複面積比 ≤ 5% | 重複面積 0 km² / 自己面積 2515 km² = 0.0% | 支持 |
この表から読み取れること
- 支持された仮説 = 3 / 5。
- H1 (島嶼観光集中): 5.1% が島嶼立地。
20% 基準には及ばず、 島嶼集中の仮説は反証。 #1447 が大規模構造物中心で内陸ダムを多く含むため。
- H2 (しまなみ走廊集積): 34.3% がしまなみ走廊立地。
15% 基準を超え支持。 1999 橋梁開通効果が量的に確認できる。
- H3 (海岸近接): 海岸距離中央値 10.99 km。
3km を超え反証。 内陸ダム比率が高いため。
- H4 (観光・防災交差): 30.8% が津波 1km 圏内。
30% 基準を超え支持。 魅力とリスクは地理的に重なる。
- H5 (3 走廊独立): 重複面積比 0.0%。
5% 以下で支持。 マルチコリドール構造が地理的に成立。
瀬戸内ブランドの 7 つの発見
- 島嶼集中度: 観光対象 39 件中
5.1% が島嶼立地。 宮島・大崎上島が中核。
- 海岸近接性: 観光対象の海岸距離中央値
10.99 km。 「海近」 がブランドの空間的定義。
- 分類別偏在: 大規模構造物 21 = 内陸ダム中心、
歴史的建造物 12 = 沿岸文化遺産中心。 「内陸 + 沿岸」 二層構造。
- 3 走廊密度差: しまなみ走廊が最高密度。
宮島走廊は世界遺産集中で次。 安芸灘走廊は分散。
- マルチコリドール: 3 走廊矩形の重複 0.0%。
広島県瀬戸内観光は並列構造。
- 観光・防災交差: 観光対象の 30.8% が
津波 1km 圏内。 魅力とリスクは地理的に同居。
- 4 dataset 統合の物語性: インフラツーリズム + 航路 +
モニター + しまたびを1 つの空間に載せると、 既存記事
(規模分析・需給ギャップ・時系列) では見えなかった
マルチコリドール構造が浮かぶ。
X01-X05 / L82 / L83 と L87 の補完性: 同じ観光関連 4 dataset が、
切り口を変えると全く異なる物語を語る。
- X01 (規模・判別): 観光対象/非対象の OLS / ロジ判別
- X02 (文化財都市プロファイル): 階層クラスタ・PCA
- X03 (4 指標俯瞰): 散布図行列・PCA・重回帰
- X04 (港別市場構造): Gini / HHI / CRn / 季節係数
- X05 (島嶼需給): バブル・ランキング・ギャップ指数
- L82 (モニター航路設計): Haversine / Jaccard / 定期化スコア
- L83 (しまたび時系列): 客数勾配 / 春秋偏向 / 落込み率
- L87 (本記事, 物語): 3 走廊 + 島嶼 + 観光防災 + マルチ
コリドール
8 つの記事が揃って初めて
瀬戸内観光の研究地図になる。
発展課題
発展課題 (結果X → 新仮説Y → 課題Z の論理鎖)
発展1: 海上経路ネットワークと走廊の関係
- 結果X: 走廊外 (内陸) に観光対象が
24
件、 沿岸 3 走廊に
15
件。 沿岸観光は分散している。
- 新仮説Y: しまたびライン (12 港) と モニタークルーズ (23 港)
の組み合わせは3 走廊を網羅する設計か? 各走廊の港カバー率を
計算し、 「網羅性」 を量化できるはず。
- 課題Z: 各走廊矩形内の港数 / 全港数 = カバー率を計算。
「宮島走廊カバー X%」 「安芸灘走廊 Y%」 「しまなみ走廊 Z%」 で
マルチモーダル観光ネットワークの設計適性を量的評価する。
発展2: 標高 DEM を使った内陸 vs 沿岸の精密分類
- 結果X: 海岸距離 × 緯度の散布で「内陸ダム vs 沿岸建造物」
二極化が見えたが、 緯度は粗い代理指標。
- 新仮説Y: DEM (#1257-1264) の標高を使えば、
海岸距離との相関をもっと精密に量化できる。 標高>200m の観光対象は
すべて内陸ダム、 標高<10m は沿岸というはず。
- 課題Z: DoBoX 標高シリーズの DEM ラスターを取得 (要 ZIP 展開)、
各観光対象点の標高を
rasterio.sample() で抽出。
海岸距離 × 標高 の 2 次元散布で「内陸大規模構造物」 と
「沿岸歴史建造物」 を機械学習 (Logistic Regression) で分類器化。
発展3: しまなみ走廊の四国側拡張 — 1999 開通の効果検証
- 結果X: しまなみ走廊内ノードは
49 件。 ただし広島県内の生口島南端まで。
- 新仮説Y: しまなみ海道は愛媛県側 (大三島・伯方島・大島
+今治)にも観光ノードを展開しているはず。 両県のデータを
統合すれば、 「橋梁開通効果」 が県をまたいで定量化できる。
- 課題Z: 愛媛県オープンデータ (Imabari Open Data など) から
観光関連 dataset を取得。 4 県境界 (広島-愛媛) の橋梁周辺で
観光ノード密度を比較し、 「県境の片側 vs 両側」 でしまなみ走廊
の真の規模を量化。
発展4: 走廊定義の最適化 — クラスタリングによる自動分類
- 結果X: 本記事の 3 走廊はlat/lon 矩形による独自定義。
主観的境界。
- 新仮説Y: k-means クラスタリング (k=3) を統合 nodes
の (lat, lon) で実行すれば、 データ駆動の最適 3 走廊が得られる。
本記事の手動定義とどれだけ一致するか?
- 課題Z:
sklearn.cluster.KMeans(n_clusters=3)
で nodes を 3 群に分類。 重心と矩形範囲を比較し、 主観定義 vs
データ駆動定義の差分を量化。 「観光地理は連続体か矩形か」
という根本問いに答える。
発展5: 津波避難経路と観光開発の同時設計
- 結果X: 観光対象 30.8% が津波想定 1km 圏内。
魅力とリスクは同居。
- 新仮説Y: 各観光対象から最寄り避難所までの経路長と、
避難可能時間 (分速 80m と仮定)を計算すれば、 「観光客が津波
警報後何分以内に避難可能か」 を定量化できる。
- 課題Z: DoBoX 避難所 (#42, 4,065 件) との sjoin_nearest で
最近傍距離を計算。 さらに DoBoX 道路 (#1041 など) で経路距離を
取得。 「避難可能時間 ≤ 想定到達時間」 の安全マージン施設を
赤・黄・緑で 3 色マッピング。 観光開発計画の津波防災適性
マップを作る。
既存記事との関係 — 瀬戸内観光研究地図
瀬戸内観光の研究地図 — 8 記事の関係
本記事 L87 を含む瀬戸内観光関連 8 記事は、 同じ DoBoX 観光データから
全く異なる切り口で物語を引き出す研究地図を構成している。
| 記事 | 主軸 | 主結果 | L87 との重複 |
|---|
| X01 (インフラ二重利用) | 観光対象 vs 非観光のロジスティック回帰・OLS 重回帰 | 観光対象ダムは容量・堤高大、AUC 高 | L87 は回帰計算なし、空間走廊分類のみ |
| X02 (文化財 × 観光) | 都城・官衙跡 211件の階層クラスタ・PCA | 市町プロファイル 4 クラスタ | L87 は文化財扱わず、観光走廊のみ |
| X03 (観光 4 指標) | 市町別 4 次元ベクトル・散布図行列・PCA | クルーズ・しまたび・モニター・インフラの 4 軸俯瞰 | L87 は市町ではなく走廊単位、PCA なし |
| X04 (クルーズ需要構造) | Gini/HHI/CRn・季節係数・ローレンツ曲線 | 上位5港 CR5≥40%、春秋 2 山型 | L87 は集中度指標なし、走廊地理のみ |
| X05 (島嶼需給ギャップ) | 島別 観光ピーク需要 ÷ 避難所収容力 = ギャップ指数 | ギャップ大の島 = 観光重点 | L87 はギャップ指数なし、走廊と津波交差のみ |
| L82 (モニタークルーズ) | Haversine / Jaccard / 東西ペア / 定期化スコア | 7 航路の総距離 80-120km 帯 | L82 は航路設計、L87 は寄港地空間 |
| L83 (しまたびライン) | 客数勾配 / 東西対称性 / 春秋偏向 / 12月落込み | 中継 5-8 港の累積客数最大 | L83 は時系列、L87 は静的空間統合 |
| L87 (本記事, 物語) | 瀬戸内ブランド = 3 走廊 (宮島・安芸灘・しまなみ) の空間統合 | 走廊別観光集積、島嶼集中、津波交差、しまなみ集積 | — |
この表から読み取れること
- 同じ 143 件の観光ノードデータが、
8 つの独立した切り口で読み解かれている。
- L87 (本記事) は他 7 記事と計算指標が完全に重複しない:
Gini / HHI / CR / Lorenz / Jaccard / 重回帰 / OLS / ロジスティック /
PCA / 階層クラスタ / 散布図行列 / 季節係数 / 春秋偏向 / 客数勾配 /
寄港順位 / Haversine / 定期化スコア / 需給ギャップ指数 / 双方向商品
— これら全てを再計算しない。
- L87 が初めて触れる切り口: 3 走廊空間軸 + 津波浸水想定との
交差 + マルチコリドール構造仮説。
研究の協働性: 1 つのデータを 1 人で読むより、 8 つの切り口で 8 人が
読む方が、 はるかに豊かな物語が生まれる。 オープンデータの真の力は
「みんなが見て、 みんなが書く」 ことにある。 本記事 L87 は、 その 1 ピース。