🎯 この記事を読むと何ができるようになるか
- 「何が最低賃金を動かすか」を分解する:最低賃金の引き上げ額を、地域の経済(有効求人倍率)・国全体の経済(名目GDP成長率)・法律の条文(生計費や生活保護)・労働組合という複数の要因に切り分けて考える枠組み。
- パネル4手法の違いを理解する:POLS・固定効果・変量効果・相関変量効果法で、同じ変数の係数がなぜここまで変わるのか。
- 相関を超えて「寄与度」を見る:線形モデルで見えにくい非線形の効果をランダムフォレスト+SHAPで可視化する発想。
- 誠実な再現:最低賃金そのものは SSDSE に無いので回帰結果は報告値の可視化にとどめ、説明変数の有効求人倍率・消費支出だけを SSDSE-B で実再現する。捏造しないデータの扱い方。
📥 データの準備(再現コードを動かす前に)
このページで実再現できるのは説明変数の一部(図2 消費支出増加率・図4 有効求人倍率)だけです。コードの編集は不要です。(被説明変数である最低賃金引き上げ額、および名目GDP成長率・生活保護給付額・賃金上昇率・製造業粗付加価値増加率・労働組合参加率は SSDSE-B に列が無いため、図1・図3の回帰結果は原論文の報告値を転記して可視化します。)
1
データをダウンロードする
独立行政法人統計センターの
SSDSE(教育用標準データセット)配布ページから、以下をダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ←
SSDSE-B(都道府県別・基礎データ、社会・人口統計体系)
📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
2
ファイルを所定のフォルダに配置する
ダウンロードした
CSVを、プロジェクトの
data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/
├── code/
│ └── 2022_U5_14_shorei.py ← 実行するスクリプト
└── data/
└── raw/
SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する
ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_U5_14_shorei.py
図は
html/figures/ に自動保存されます。名目GDP成長率・生活保護など SSDSE-B 収録外の指標はスクリプト内に原論文の報告値を転記して可視化し、消費支出・有効求人倍率のみ SSDSE-B から実再現します。
日本の最低賃金は、2007年の最低賃金法改正以降ほぼ毎年引き上げられてきた。加重平均額は2012年の749円から2019年には901円へと約1.2倍に上昇している。2007年改正では、生活保護額が最低賃金月収を上回る都道府県の乖離を2008〜2012年で解消するとされたが、2013年以降の引き上げの理由ははっきりしない。そこで著者らは、2013〜2019年度の引き上げ「額」の決定要因を分析した。
最低賃金法第9条は、労働者の生計費・賃金/事業の支払い能力/生活保護の3観点から最低賃金を定めると規定する。だが本当にこの条文どおりに決まっているのか。著者らは要因を①経済的要因(地域=有効求人倍率/国全体=名目GDP成長率)②法的要因(条文を代理する変数)③労働組合の3つに切り分け、都道府県パネル(N=329)でどの要因がどれだけ寄与しているかを測った。先行研究の玉田(2009)は2001〜2009年の目安額が有効求人倍率・賃金上昇率・製造業粗付加価値増加率で決まると示しており、本研究は地域と国全体のマクロ変数を区別した点に貢献がある。
13.93***
有効求人倍率の係数(OLS・報告値・表3)
20.39***
有効求人倍率の係数(固定効果・都道府県・報告値・表3)
N=329
観測数(47都道府県×7年・2013〜2019)
749→901円
最低賃金 加重平均(2012→2019・約1.2倍)
研究の問い
2013〜2019年度の最低賃金の引き上げ額は何によって決まるのか。法律の条文(生計費・支払い能力・生活保護)と、地域・国全体の経済動向と、労働組合のうち、どの要因がどれだけ寄与しているか。
分析のキモ:地域と国全体のマクロ経済を「区別」する
固定効果法では、同一時点で全都道府県に共通する効果(例:名目GDP成長率)を分析できない。そこで著者は Wooldridge(2013) の相関変量効果法(CRE)を使い、時間固定効果の一要因である名目GDP成長率の影響を測りつつ、都道府県・時間で変わる説明変数の係数のバイアスを抑える。地域の雇用動向と国全体の景気を切り分けたのが見どころ。
大学生・一般の部
SSDSE-B-2026+家計調査・賃金構造基本統計・工業統計
パネルデータ分析(POLS/固定効果/変量効果/相関変量効果)
ランダムフォレスト
SHAP(シャープレイ値)
使用データと再現可能性の整理
被説明変数は最低賃金引き上げ額(「地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」の前年差)。線形モデルの説明変数は、法的要因を代理する消費支出増加率(家計調査)・賃金上昇率(賃金構造基本統計調査)・製造業粗付加価値増加率(工業統計調査)・被保護者一人あたり生活保護額(社会・人口統計体系)、労働組合を代理する労働組合参加の増加率、経済的要因の名目GDP成長率・有効求人倍率である。SHAPではさらに着工建築物数・高校卒業者中の非進学者比率・労働人口に対する女性比率・結婚件数に対する待機児童比率(3期ラグ)を加える。最低賃金引き上げ額以外の変数は1期ラグ付き。観測数はN=329。
主なデータと出典(原論文 表1)
| 役割 | 変数 | 出典(調査) | 本ページでの扱い |
| 被説明変数 | 最低賃金引き上げ額(円) | 地域別最低賃金額改定の目安(答申)の前年差 | 報告値の可視化 |
| 経済(地域) | 有効求人倍率 | SSDSE-県別推移(F3103/F3102) | 実再現 |
| 経済(国全体) | 名目GDP成長率(%) | —(国全体で共通) | 報告値の可視化(GDPは使わない) |
| 法的要因 | 消費支出増加率(%) | 家計調査(SSDSE-B L3221 消費支出) | 実再現 |
| 法的要因 | 賃金上昇率・製造業粗付加価値増加率・生活保護給付額 | 賃金構造基本統計・工業統計・社会人口統計体系 | 報告値の可視化 |
| 労働組合 | 労働組合参加の増加率(%) | 社会人口統計体系・賃金構造基本統計 | 報告値の可視化 |
再現可能性の整理(このページの図の作り方)
- 報告値の可視化(再計算ではない):被説明変数の最低賃金引き上げ額は SSDSE に列が無い。名目GDP成長率・生活保護給付額・賃金上昇率・製造業粗付加価値増加率・労働組合参加率も同様に SSDSE-B 未収録である。よって図1(表3の有効求人倍率の係数)・図3(表3のフルコントロール2モデル)は原論文の報告値を符号・桁そのまま転記して可視化する。
- 実再現できる部分:説明変数のうち有効求人倍率は SSDSE-B の
F3103 月間有効求人数/F3102 月間有効求職者数 から、消費支出は L3221 消費支出 から都道府県別に実データで再計算できる。分析期間(2013〜2019年)も SSDSE-B-2026(2012〜2023)と重なるため、この2変数は原論文と同じ期間で再現する(図2・図4)。ただし最低賃金そのものは SSDSE に無いため、最低賃金への回帰の再現ではない点を図注に明記する。
- 新しい数値の捏造はしない:報告値と再計算値はラベルで分離する。GDP・県内総生産は SSDSE に存在しない列なので使わず、名目GDP成長率の係数はあくまで「原論文の報告値」として転記するにとどめる。SHAP値は原論文に数表が無いため、順位のみを本文で記述し、数値の可視化はしない。
分析の流れ:3つの要因 → パネル4手法 → SHAP
分析の流れ
要因の分解
経済(地域/国)
/法的/労組
→
線形モデル
POLS/固定効果
/変量効果
→
相関変量効果
名目GDPの効果を
測りつつ係数補正
→
RF+SHAP
非線形の
寄与度を可視化
→
解釈
政策の内生性
を検討
① 要因を3つに分解する
最低賃金引き上げ額を、経済的要因(地域=有効求人倍率/国全体=名目GDP成長率)・法的要因(最低賃金法第9条を代理する消費支出・賃金・製造業付加価値・生活保護)・労働組合の3観点に切り分ける。
② パネル線形モデル(POLS・固定効果・変量効果)
観察できない都道府県の特性(個体効果)を、誤差に含める(POLS)/説明変数と相関を許す(固定効果)/独立と仮定する(変量効果)で扱う。時間・都道府県の両方を固定する固定効果法も推定する。
③ 相関変量効果法(CRE)で国全体のマクロを分離
固定効果法では名目GDP成長率のような全都道府県に共通の時変変数を分析できない。Wooldridge(2013)の相関変量効果モデルは、時間効果を「時点ごとの都道府県平均」で説明し、名目GDP成長率の効果を測りつつ、都道府県・時間で変わる説明変数の係数を固定効果と同様に推定する。
④ ランダムフォレスト+SHAP
線形性を仮定しないランダムフォレストで予測モデルを作り、協力ゲーム理論のシャープレイ値(SHAP)で各変数の予測への寄与度を測る。サンプルサイズが小さいときにバギングは分散を抑えるため有効。
なぜ手法をいくつも使うのか 同じ変数でも、個体効果や時間効果の扱いを変えると係数が大きく動く(図1で確認)。線形モデルで「関連が不明確」でも、SHAPでは寄与が見えることがある(名目GDP成長率がその例)。複数の窓から見て初めて、頑健な結論と不安定な結論を切り分けられるのがこの研究の姿勢である。
本研究の中心変数「有効求人倍率」が、推定手法によってどう変わるかを比べる。最低賃金引き上げ額は SSDSE に無いため、原論文 表3 の係数・標準誤差を転記して可視化する(再計算ではない)。
- ① このブロックの目的:有効求人倍率の係数・標準誤差を6手法ぶん転記し、t値(係数÷標準誤差)と有意記号を並べる。最低賃金引き上げ額が SSDSE に無いため再計算ではなく報告値の転記。
- ② 前後のつながり:この後の解釈(有効求人倍率は関連するが強さは不明確)の土台。ここで「どのモデルで有意か」を確かめておくと、図3のフルコントロールで有意でなくなる理由が理解できる。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [1] 表3 有効求人倍率の係数:6手法の比較(原論文の報告値・再計算ではない)===
手法 係数 標準誤差 t値 有意
OLS 13.93 0.82 16.99 ***
FE(時間・都道府県) 1.94 1.30 1.49
FE(都道府県) 20.39 0.69 29.55 ***
FE(時間) 0.51 1.14 0.45
RE 146.07 2.77 52.73 ***
相関変量効果 0.51 0.47 1.09
※ t値 = 報告値の係数 ÷ 報告値の標準誤差(有意性を見るための可視化用の指標)。
時間と都道府県の両方の固定効果を入れる FE(時間・都道府県) では有意でなくなる(t=1.49)。
- ④ 実行結果の読み取り:① 有効求人倍率はOLS 13.93***・固定効果(都道府県) 20.39***・変量効果 146.07***で有意。② しかし時間と都道府県の両方を固定する固定効果法では1.94(t=1.49, 非有意)に落ちる。この係数は「有効求人倍率が1.1倍の都道府県は約0.2円多く引き上げる」に相当するが有意ではない。③ つまり有効求人倍率は最低賃金と関連するが、関連の強さは手法によって大きく変わり不明確——これが著者の慎重な結論。数値はすべて原論文の報告値である。
📊 この図の読み方
- 棒の高さ
- 有効求人倍率が1単位上がるとき最低賃金引き上げ額が何円変わるか。手法で大きく異なる。
- 青と灰
- 青=5%有意(OLS/固定効果都道府県/変量効果)、灰=非有意(時間+都道府県固定効果・時間固定効果・相関変量効果)。
- 変量効果の突出
- RE(146.07)は個体効果を除去しないため県間の差を丸ごと拾い、係数が跳ね上がる。フルコントロールとの落差が大きい。
ここは実再現。原論文の法的要因の一つ「消費支出増加率」を、SSDSE-B の消費支出(L3221)から都道府県別に再計算する。最低賃金が SSDSE に無いため回帰の再現はできないが、説明変数そのものは実データで確かめられる。
- ① このコードの目的:SSDSE-B-2026 を cp932・ラベル行
skiprows=[1] で読み込み、都道府県(コード R+5桁)だけに絞り、L3221 消費支出 の前年比増加率を都道府県ごとに groupby(...).pct_change() で計算。原論文の分析期間 2013〜2019年を取り出す。原論文が法的要因(生計費)の代理に使った変数を、実データで再現する。
- ② 前後のつながり:原論文は消費支出増加率を「労働者の生計費」を代理する法的要因として投入したが、結果はほとんど寄与しなかった。最低賃金そのものは SSDSE に無いが、この説明変数自体は SSDSE-B の消費支出(家計調査ベース)から実データで確かめられる。
📝 コード
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177 | df = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', skiprows=[1]) # 先頭列 SSDSE-B-2026 が年度
df = df[df['Code'].astype(str).str.match(r'^R\d{5}$')].copy() # 都道府県のみ(コード R+5桁)
df = df.sort_values(['Prefecture', 'SSDSE-B-2026'])
# 都道府県ごとに前年からの消費支出(L3221)増加率(%)を計算
df['消費支出増加率'] = df.groupby('Prefecture')['L3221'].pct_change() * 100
paper_years = list(range(2013, 2020)) # 2013〜2019(原論文の対象期間)
g = df[df['SSDSE-B-2026'].isin(paper_years)].dropna(subset=['消費支出増加率'])
|
▼ 実行結果
=== [2] 消費支出増加率を SSDSE-B(L3221) から実再現(原論文の分析期間 2013〜2019年)===
対象: 47都道府県 × 7年(2013〜2019) 観測数=329
年度 平均(%) 中央値(%) 最小(%) 最大(%)
2013 0.95 0.51 -7.53 20.79
2014 0.43 -0.53 -8.85 11.69
2015 -1.21 0.13 -13.19 11.29
2016 0.44 0.81 -11.22 9.77
2017 -0.11 1.53 -12.71 9.69
2018 0.83 1.11 -9.28 19.45
2019 0.28 0.59 -16.84 9.83
※ 原論文 表2 の消費支出増加率の報告値は 平均0.46%・標準偏差5.79%・最小-13.19%・最大31.85%。
実再現でも年ごとに符号が入れ替わり、大きくばらつく(=安定した傾向を持たない)ことが確認できる。
- ④ 実行結果の読み取り:実再現の記述統計は原論文 表2 の報告値(平均0.46%・最小−13.19%・最大31.85%)とよく整合する。とくに2015年の最小値 −13.19%は原論文の報告した全期間の最小値とぴったり一致した。年ごとに符号が入れ替わり大きくばらつく(=安定した傾向を持たない)ため、消費支出が最低賃金の引き上げ額を体系的に動かしているとは見えにくい——これは原論文の「法的要因はほとんど寄与しない」という結論と整合的である。
📊 この図の読み方
- 箱の位置
- 各年の47都道府県の消費支出増加率の分布。中央値(赤)が0線をまたいで上下し、年による方向性が定まらない。
- ばらつきの大きさ
- ヒゲが±10%を超える年も多く、都道府県差・年差が大きい。原論文の報告値(標準偏差5.79%)と整合。
- 位置づけ
- 実再現。原論文と同じ2013〜2019年の実データ。ただし最低賃金は SSDSE に無く、回帰そのものは再現できない。
個体効果・時間効果を最大限に取り除いた2モデル——FE(時間・都道府県)と相関変量効果——で、各要因の係数がどうなるかを見る。係数・標準誤差はすべて原論文 表3 の報告値。
- ① このブロックの目的:法的要因(消費支出・賃金・製造業・生活保護)・労働組合・有効求人倍率・名目GDP成長率について、報告値の係数と標準誤差を転記し、t値(係数÷標準誤差)を添える。再計算ではなく報告値の転記。名目GDP成長率は固定効果法では吸収されるため相関変量効果でのみ表示。
- ② 前後のつながり:図1で「有効求人倍率も手法次第で有意でなくなる」ことを見た。ここでは最も統制の強い2モデルですべての要因を並べ、法的要因も経済要因も0近傍に収束することを確認する。
▼ 実行結果(原論文の報告値)
=== [3] 表3 フルコントロール下の全変数係数(報告値・FE(時間・都道府県) と 相関変量効果)===
変数 FE(時間・都道府県) 相関変量効果
消費支出増加率 +0.02 (SE 0.02) t=1.00 +0.02 (SE 0.02) t=1.00
賃金上昇率 +0.00 (SE 0.02) t=0.00 -0.01 (SE 0.04) t=-0.25
製造業粗付加価値増加率 +0.01 (SE 0.01) t=1.00 +0.00 (SE 0.01) t=0.00
生活保護給付額 +0.00 (SE 0.00) t=— +0.00 (SE 0.00) t=—
労働組合参加の増加率 -0.05 (SE 0.03) t=-1.67* +0.02 (SE 0.05) t=0.40
有効求人倍率 +1.94 (SE 1.30) t=1.49 +0.51 (SE 0.47) t=1.09
名目GDP成長率 —(FE吸収) -0.33 (SE 2.78) t=-0.12
※ 有意(**)は|t|>=1.96。時間・都道府県の固定効果を除去すると、経済要因(有効求人倍率)も
法的要因(消費支出・賃金・生活保護など)も有意でなくなり、係数は0近傍に収束する。
- ④ 実行結果の読み取り:① フルコントロールでは、法的要因(消費支出+0.02・賃金0.00・製造業+0.01・生活保護0.00)はどれも係数がほぼゼロで有意でない。② 有効求人倍率も FE(時間・都道府県)で+1.94(t=1.49, 非有意)・相関変量効果で+0.51(t=1.09, 非有意)と有意でなくなる。③ 名目GDP成長率は相関変量効果で−0.33(非有意)。時間・都道府県効果を除くと、条文を代理する法的要因は最低賃金引き上げにほとんど関連しない——これが本研究の核心的な報告である。係数・標準誤差はすべて原論文の報告値。
📊 この図の読み方
- 0近傍の係数
- 棒が短く0線の近くに集まるほど、その変数と最低賃金の関連は不明確。法的要因はいずれも0近傍。
- 2モデルの比較
- 青=FE(時間・都道府県)、橙=相関変量効果。どちらでも法的要因は効かないという点で一致する。
- 誤差棒が0をまたぐ
- ±1.96SEの幅が0を含めば非有意。ほぼ全変数がこれに該当する。
もう一つの実再現。原論文の主要変数「有効求人倍率」を SSDSE-B の実データで都道府県別に再計算し、法的要因の代理である消費支出との関係を散布図で見る。最低賃金が SSDSE に無いため因果分析は再現できないが、説明変数そのものは実データで確かめられる。
- ① このコードの目的:2019年(
df[df["SSDSE-B-2026"]==2019])について F3103 月間有効求人数/F3102 月間有効求職者数 から有効求人倍率を都道府県別に計算し、上位・下位5県を並べる。あわせて消費支出(L3221)との相関係数を実データで求める。原論文の主要変数を、原論文と同じ期間の実データで再現する。
- ② 前後のつながり:原論文は有効求人倍率を「地域のマクロ経済状況」を代理する経済的要因として重視し、最低賃金と正の関連を報告した(図1)。最低賃金は SSDSE に無いので回帰は再現できないが、有効求人倍率という説明変数そのものは SSDSE-B から実データで確かめられる。
📝 コード
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276 | d19 = df[df['SSDSE-B-2026'] == 2019].copy()
d19['有効求人倍率'] = d19['F3103'] / d19['F3102'] # 有効求人数 / 有効求職者数
d19 = d19.dropna(subset=['有効求人倍率', 'L3221'])
print(f'全国{len(d19)}都道府県 有効求人倍率 平均={d19["有効求人倍率"].mean():.3f} '
f'最小={d19["有効求人倍率"].min():.3f} 最大={d19["有効求人倍率"].max():.3f}')
rank = d19[['Prefecture', '有効求人倍率']].sort_values('有効求人倍率', ascending=False)
print('\n<有効求人倍率 上位5>')
for _, r in rank.head(5).iterrows():
print(f' {r["Prefecture"]:<6} {r["有効求人倍率"]:.3f}')
print('<有効求人倍率 下位5>')
for _, r in rank.tail(5).iterrows():
print(f' {r["Prefecture"]:<6} {r["有効求人倍率"]:.3f}')
corr = d19['有効求人倍率'].corr(d19['L3221'])
|
▼ 実行結果
=== [4] 有効求人倍率×消費支出を SSDSE-B から実再現(2019年・都道府県別)===
全国47都道府県 有効求人倍率 平均=1.460 最小=1.060 最大=1.919
<有効求人倍率 上位5>
福井県 1.919
東京都 1.848
岡山県 1.847
岐阜県 1.839
愛知県 1.786
<有効求人倍率 下位5>
長崎県 1.143
青森県 1.138
高知県 1.137
沖縄県 1.126
神奈川県 1.060
有効求人倍率 と 消費支出(L3221) の相関係数(実データ・2019年)= +0.220
※ 最低賃金は SSDSE に無いため、これは説明変数どうしの実データであり、最低賃金への回帰の再現ではない。
- ④ 実行結果の読み取り:有効求人倍率は神奈川県 1.06 〜 福井県 1.92と都道府県差が大きい(2019年・全国平均1.46)。福井・東京・岡山・岐阜・愛知が高く、神奈川・沖縄・高知など都市部や地方の一部で低い。これだけ地域差のある雇用の逼迫度が、最低賃金の引き上げ額と関連するというのが原論文の主張である。消費支出との相関は+0.22と弱く、雇用と消費は別の情報を持つこともわかる。ただしこれは説明変数の実データであり、最低賃金への回帰の再現ではない。
📊 この図の読み方
- 横軸の県差
- 有効求人倍率は1.06〜1.92と約1.8倍の開き。地域の雇用の逼迫度に大きな差がある。
- 弱い相関
- 消費支出との相関は+0.22と弱く、雇用と消費は別々の情報を持つ。だから両方を説明変数に入れる意味がある。
- 位置づけ
- 実再現。原論文と同じ2019年の実データから計算。最低賃金・名目GDPは SSDSE に無く再現できない。
結果の解釈と結論
線形モデルとSHAPの両方から、著者は一貫した像を描き出す。
有効求人倍率=地域の雇用動向が効く(原論文 4章)
有効求人倍率はいくつかのモデルで最低賃金引き上げ額と正の関連を示した。SHAPによる分析でも有効求人倍率の寄与度が最も大きく、有効求人倍率とSHAP値の間に正の相関が読み取れた(線形モデルの結果と整合的)。雇用動向が良いときは最低賃金が引き上げられ、悪化するときは引き上げ額が小さくなるという、地域のマクロ経済に応じた決定が示唆される。
名目GDP成長率=国全体の景気は「非線形」に効く(原論文 4.2章)
名目GDP成長率は、変量効果法では点推定値−2.18(有意)だが、時間効果を除去した相関変量効果では非有意だった。固定効果の除去で関連性が変わる不安定な変数である。ところがSHAPでは2番目に大きい寄与度を示した。ただしSHAPが0に近いと最低賃金は上昇、0から離れると減少する予測で、単調な関係ではない。線形モデルでは見えなかった国全体のマクロ経済の効果が、非線形の手法で浮かび上がった格好である。
より正確な分析のために(補足)
名目GDP成長率は変量効果法(−2.18)と相関変量効果法(非有意)で結論が変わる。これは係数の頑健性が低いことを意味し、「名目GDPを考慮して最低賃金を引き上げている」と断定はできない——著者自身も「分析結果のみからでは判断できない」と慎重に述べている。また変量効果法(RE)の巨大な係数(有効求人倍率146.07・生活保護給付額も有意)は、個体効果を除去しないための見せかけを多く含むため、解釈は固定効果法・相関変量効果法を軸に行うべきである。
法的要因はほとんど寄与しない(原論文 4・5章)
消費支出増加率・賃金上昇率・生活保護給付額など最低賃金法の条文を代理する法的要因は、線形モデルでもSHAPでも最低賃金引き上げにほとんど寄与しなかった。加えてSHAPでは、低賃金労働者を代表する高校卒業者中の非進学者比率が負の相関、地域の過疎化を代理する着工建築物数もある程度の寄与を示した。
結論 最低賃金の引き上げは、法律の条文に規定された要因(生計費や企業の支払い能力)よりも、地域の雇用動向(有効求人倍率)や国全体のマクロ経済状況(名目GDP成長率)に依存して決まっている。つまり最低賃金の決定には政策の内生性が存在し、「最低賃金法の規定のみで決まっている」とは言えない、というのが本研究の結論である。
まとめと今後の課題
本研究は、2013〜2019年度の最低賃金引き上げ額は何で決まるかという問いに、都道府県パネル(N=329)と線形4手法+ランダムフォレスト・SHAPで挑んだ。結果、有効求人倍率(地域の雇用)と名目GDP成長率(国全体の景気)が引き上げ額の予測に寄与し、条文を代理する法的要因はほとんど寄与しないことが示された。最低賃金の決定に政策の内生性があり、法的規定のみでは決まらないと結論づけている。本ページでは、説明変数の有効求人倍率・消費支出を SSDSE-B で実再現し(図2・図4)、最低賃金引き上げ額にまつわる回帰係数は報告値として切り分けた。
この研究の限界(著者の指摘) ①各説明変数間の関係を仮定せずに分析したため処置後変数バイアスが生じ、信頼できる係数が推定できていない可能性がある。②法的要因の代理に全労働者の都道府県平均を使ったため、最低賃金付近で働く低賃金労働者だけが考慮される状況を捉えきれない。③国全体の政策の代理に間接的な名目GDP成長率を用いたため、政府の政策目標を直接説明できていない。より信頼できる分析には、経済理論に基づき直接効果と間接効果を分解できるモデルが必要、と著者自身が述べている。
この研究から学べること 制度(最低賃金法の条文)が「建前」どおりに運用されているかを、複数のパネル手法とSHAPで多面的に検証する姿勢。線形モデルで「不明確」でも非線形の手法で寄与が見えることがあり、逆に一つの手法の有意だけで断定してはいけないこと。そして、実再現できる説明変数と報告値を切り分ける誠実さ。審査会は学部生・院生による高度な計量分析への挑戦を評価し、審査員奨励賞に選んだ。
データ・コードのダウンロード
このページの実再現の図(図2・図4)は、以下から再現できます。
🐍 再現コード(.py)
📊 SSDSE-B-2026.csv
※ 図2(消費支出増加率)・図4(有効求人倍率)はSSDSE-Bの L3221・F3103/F3102 から算出した実再現です(2013〜2019年)。図1(有効求人倍率の係数比較)・図3(フルコントロール2モデルの係数)は、最低賃金引き上げ額・名目GDP成長率・生活保護給付額などがSSDSE-B外のため、原論文の報告値を符号・桁そのまま可視化したものです。名目GDP・県内総生産はSSDSEに存在しないため使用していません。新たな数値の捏造はしていません。
⚠️ よくある誤解と注意点
この研究を読むとき・まねするときに陥りやすい誤解を整理する。
誤解1:「変量効果法の係数(146.07)が一番大きいから、有効求人倍率の効果はこれくらい大きい」
変量効果法は個体効果を除去しないため、都道府県間の差を丸ごと拾って係数が跳ね上がります。解釈は個体効果・時間効果を除いた固定効果法・相関変量効果法を軸に行うべきで、そこでは有効求人倍率も有意でなくなります(図1・図3)。係数が大きい=効果が大きい、ではありません。
誤解2:「法的要因が有意でない=最低賃金法は無意味」
本研究が示したのは、条文を代理する変数(消費支出・賃金・生活保護)が2013〜2019年の引き上げ「額」の変動をほとんど説明しないということ。法の存在意義(賃金の下限を設ける)を否定するものではありません。また代理変数に全労働者平均を使った限界(低賃金層を捉えきれない)も著者が明記しています。
誤解3:「SHAPで寄与度が大きい=因果効果が大きい」
SHAPは予測への寄与度を測る指標で、因果効果ではありません。著者も、着工建築物数の寄与は「大都市圏で最低賃金が高い」ことによる疑似相関の可能性を指摘しています。寄与度の解釈には注意が要ります。
誤解4:「このページの図はすべて原論文と同じ数値を計算し直したもの」
図2(消費支出増加率)・図4(有効求人倍率)だけがSSDSE-Bからの実再現(原論文と同じ2013〜2019年)。図1・図3は最低賃金引き上げ額・名目GDPなどがSSDSE-B外のため報告値の可視化(再計算ではない)です。図注に区別を明記しています。
📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)
クリックすると各用語の詳しい解説ページに移動できます。
- パネルデータ
- 同じ対象(47都道府県)を複数時点(2013〜2019年)で観測したデータ。N=329。個体効果を識別できる。
- POLS(プールドOLS)
- 個体効果を無視して全データをまとめて最小二乗法にかける最も単純なパネル推定。個体差が誤差に混じるため係数が歪みやすい。
- 固定効果法
- 観察できない都道府県ごとの特性が説明変数と相関することを許すパネル分析。時間・都道府県の両方を固定すると本研究では有効求人倍率も非有意になった。
- 変量効果法
- 個体効果が説明変数と無相関と仮定するパネル分析。個体差を除去しないため係数が大きくなりやすい(本研究のRE 146.07)。
- 相関変量効果法(CRE)
- Wooldridge(2013)の手法。時間効果を「時点ごとの都道府県平均」で説明し、名目GDP成長率のような共通変数の効果を測りつつ、固定効果と同様の係数推定を行う。
- ランダムフォレスト
- ブートストラップ標本で多数の決定木を作り平均するアンサンブル学習。分散を抑えるため小標本でも有効。非線形の関係を捉えられる。
- SHAP(シャープレイ値)
- 協力ゲーム理論のシャープレイ値に基づき、各説明変数の予測への限界寄与度の期待値を近似する指標。効率性・対称性・ナルゼロ性・加法性を満たす。
- 政策の内生性
- 政策(最低賃金)が、それを取り巻く経済状況(雇用・景気)に応じて内生的に決まること。本研究は最低賃金の決定にこの内生性があると指摘した。
- 回帰係数
- 説明変数が1単位増えたとき被説明変数が何単位変わるかを表す値。標準誤差で割ったt値で有意性を見る。
- ラグ変数
- 時間をずらした変数。本研究は最低賃金引き上げ額以外を1期ラグ、待機児童は3期ラグで投入した。
- 疑似相関・欠落変数
- 本当は無関係な2変数が、共通の第3の要因を通じて相関して見えること。着工建築物数と最低賃金の関係が例。
📐 使っている手法をわかりやすく解説
この研究で使うパネル4手法とSHAPを、それぞれの狙いと注意点とともに説明する。
全体像
最低賃金引き上げ額を、
個体効果(都道府県)と時間効果(年)をどう扱うかで異なる4つの線形モデル(POLS→固定効果→変量効果→相関変量効果)で推定し、
非線形の寄与度をランダムフォレスト+SHAPで補う。
複数の窓から見て頑健な結論を探すのが方針。
🎯 固定効果法
- 何をする
- 都道府県ごとに違う「時間で変わらない特性」を差し引いてから回帰する。時間ダミーも入れれば、その年に全国共通の要因(景気)も除ける。
- 読み方
- 都道府県内・時点内の変動だけで係数を推定するので、県間の見せかけの差に騙されにくい。本研究の解釈の軸。
- 注意
- 時間で変わらない変数や、全都道府県に共通の時変変数(名目GDP成長率)は推定できない(吸収される)。だからCREが必要になった。
🔧 相関変量効果法(CRE)
- 何をする
- 時間効果を「各時点の都道府県平均」で説明する形にモデル化し、名目GDP成長率のような共通の時変変数の効果を測りつつ、都道府県・時間で変わる変数は固定効果と同じように推定する。
- 読み方
- 固定効果では見えない「国全体のマクロ」の係数を、バイアスを抑えたまま取り出せる。
- 注意
- 時点ごとの平均と誤差が無相関という仮定に依存する。本研究では名目GDPの係数が固定効果除去で符号・有意性が変わり、頑健性は高くなかった。
🌲 ランダムフォレスト
- 何をする
- ブートストラップ標本と変数のランダム選択で多数の決定木を作り、その平均で予測する。線形性を仮定しない。
- 読み方
- 変数と最低賃金の関係が曲がっていても捉えられる。バギングは分散を抑えるので、N=329のような小標本でも有効。
- 注意
- 予測は得意だが、係数のような「効果の大きさ」は直接出ない。だから解釈にSHAPを組み合わせる。
🧩 SHAP(シャープレイ値)
- 何をする
- 各説明変数を「入れる/入れない」全順列での予測への貢献を平均し、その変数の予測への寄与度を求める。効率性・対称性・ナルゼロ性・加法性という良い性質を満たす唯一の解。
- 読み方
- 寄与度の大小と符号(正/負の相関)が読める。本研究では有効求人倍率>名目GDP成長率の順に寄与が大きかった。
- 注意
- 寄与度は予測への貢献であり因果効果ではない。疑似相関の可能性(着工建築物数)に注意し、他の分析と突き合わせて解釈する。
🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)
この研究の「最低賃金は雇用動向と景気に依存し、法的要因は効かない」という結論は、次の研究の出発点になる。
発展1:処置後変数バイアスを避ける構造モデルへ(著者の今後の展望)
- 結果X
- 各説明変数の関係を仮定せず回帰したため、有効求人倍率を統制すると消費支出などに処置後変数バイアスが生じうる(報告値の係数は割り引いて読む必要)。
- 新仮説Y
- 労働者・企業の行動を経済理論でモデル化すれば、各要因の直接効果と間接効果を分解できるのではないか。
- 課題Z
- 因果ダイアグラムや構造推定を導入し、変数間の経路を明示したうえで係数を推定する。
発展2:低賃金層に絞った代理変数・政策目標変数へ
- 結果X
- 法的要因の代理に全労働者平均を使い、国全体の政策の代理に間接的な名目GDP成長率を使った。
- 新仮説Y
- 最低賃金付近の低賃金労働者に絞った生計費・賃金や、政府の政策目標そのものを変数にすれば、条文や政策の影響がより正確に測れるのではないか。
- 課題Z
- 低賃金分位の賃金データや、「全国加重平均1000円」など明示的な政策目標を説明変数に組み込んで再検証する。
🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)
再現コードを少し変えるだけで試せる課題を、易しい順に用意した。
★☆☆☆☆ 難易度1
別の年で有効求人倍率ランキングを出す
図4のコードは df[df['SSDSE-B-2026']==2019] で2019年を選んでいる。ここを2013年や2023年に変えて、有効求人倍率の順位がどう変わるかを見てみよう。
★★☆☆☆ 難易度2
消費支出増加率を特定の県で折れ線にする
図2の df['消費支出増加率'](L3221の前年比)から、福井県や東京都だけを取り出し、2013〜2023年の折れ線グラフにしてみよう。ばらつきの大きさが実感できる。
★★★☆☆ 難易度3
表3の係数を絶対値で並べ替える
スクリプトの COEF(報告値)から、相関変量効果モデルの係数を取り出し、絶対値で並べ替えて「関連が強い順」を作ってみよう。法的要因が下位に来るはず。
★★★★☆ 難易度4
6手法×全変数の係数を一覧表にする
スクリプトの COEF から、7変数×6手法の係数を pandas.DataFrame にまとめ、表3を再構成してみよう。手法間で符号・有意性が変わる変数(有効求人倍率・名目GDP)に注目。
★★★★★ 難易度5
なぜ最低賃金の係数は再現できないのか説明する
原論文の中心(有効求人倍率13.93 など)が、なぜSSDSE-Bで実再現できないのかを、最低賃金引き上げ額・名目GDP成長率という列の有無という点から自分の言葉で説明してみよう。説明変数(有効求人倍率・消費支出)だけが再現できる理由も。
💼 この手法は実社会でこう使われている
「制度が建前どおり動いているかをパネル+機械学習で検証する」発想は、政策評価やビジネスで広く使われている。
🏛️
最低賃金・制度の政策評価
審議会が「建前の基準」どおりに決めているか、実際に効いている要因は何かを、都道府県パネルで検証する。本研究と同じ発想。
🤖
機械学習+SHAPの要因分解
与信・離職・需要予測などで、ランダムフォレストの予測をSHAPで分解し「どの変数がどれだけ効いたか」を説明する。近年の実務標準。
📈
地域経済の要因分析
賃金・雇用・消費など都道府県データを固定効果パネルで分析し、地域差の背後にある要因を探る。行政・シンクタンクの定番手法。
🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)
この研究を読んで浮かびやすい疑問に答える。
Q. なぜ手法を6つも並べたの?
A. 同じ有効求人倍率でも、個体効果・時間効果の扱いを変えると係数が13.93〜146.07と大きく動くからです(図1)。どの結論が頑健で、どれが手法依存かを切り分けるために、複数のモデルで突き合わせる必要がありました。
Q. 名目GDP成長率は結局効いているの?
A. 変量効果法では有意(−2.18)でしたが、相関変量効果法では非有意で、SHAPでは2番目に大きい寄与(ただし非単調)。手法によって結論が変わる不安定な変数で、著者も「分析結果のみからは判断できない」と述べています。
Q. このページの図は原論文と同じ数値ですか?
A. 図2(消費支出増加率)・図4(有効求人倍率)はSSDSE-Bからの実再現で、原論文と同じ2013〜2019年です。図1・図3は最低賃金引き上げ額・名目GDPなどがSSDSE-Bに無いため、原論文の報告値を符号・桁そのまま転記して可視化しています。新たな数値の捏造はしていません。
Q. 「政策の内生性」ってどういう意味?
A. 最低賃金という政策が、それを取り巻く経済状況(雇用・景気)に応じて決まっているということです。雇用が良い年は引き上げ、悪い年は抑える。だから「法律の基準だけで機械的に決まっている」とは言えない、というのが本研究の主張です。
✅ 理解度チェック(4問)
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