Lesson 13

X13: 雪崩 × 土砂 × 浸水継続時間 — 中山間複合リスクの孤立時間推計

X系横断研究GIS複合ハザード中山間雪崩土砂災害浸水継続時間孤立リスク
所要 60分 / 想定レベル: リテラシ基礎+α / データ: 浸水継続時間 #37+#315-331 (19件) × 土砂災害 #48+#544-573 (31件) × 雪崩 #50+#574-603 (31件)

データ取得手順

⚠️ このスクリプトは自動取得に対応していません。以下のデータセットを DoBoX から手動でダウンロードし、data/extras/ 以下に保存してください。

IDデータセット名
#37河川浸水継続時間_想定最大規模_太田川水系
#48土砂災害警戒区域・特別警戒区域情報_広島県
#50雪崩危険箇所情報_広島県
#315河川浸水継続時間_想定最大規模_江の川水系
#333dataset #333
#544土砂災害警戒区域・特別警戒区域情報_広島市中区
#555土砂災害警戒区域・特別警戒区域情報_尾道市
#574雪崩危険箇所情報_広島市中区
#666dataset #666
#999dataset #999

実行コマンド:

cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/X13_mountain_compound_risk.py

DoBoX のオープンデータは申請不要・商用/非商用とも利用可。 data/extras/.gitignore 対象(約 57 GB のキャッシュ)。 スクリプト実行で自動再生成されます。

スクリプト(全体ソースコード)

⬇ X13_mountain_compound_risk.py

cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/X13_mountain_compound_risk.py

研究の問い (RQ) と仮説

L09 × L10/L11 の発展研究

L09「浸水継続時間」では「深さではなく長さで測る孤立リスク」を扱い、 L10/L11「土砂・雪崩」では中山間の複合ハザードを扱った。 本記事はこの2系列を統合し、 「浸水継続時間 12 時間以上 × 土砂災害 × 雪崩危険」の三重リスクゾーンを中山間視点で定量化する。

主 RQ

広島県中山間部(庄原市・三次市・安芸太田町)で 「土砂災害警戒 × 雪崩危険 × 浸水継続 12 時間以上」が同時に該当する 三重リスクエリアはどこにあり、どの市町に集中しているか。

立てた仮説 (H1〜H9)

RQ1 — 浸水継続時間 × 土砂

RQ2 — 雪崩 × 土砂 中山間集中

RQ3 — 三重リスクグリッド

RQ1: 浸水継続時間 × 土砂 重複分析

浸水継続時間 ランク別面積と水系分布

図1: 浸水継続時間ランク別面積(左)と水系別12h以上面積 Top10(右)
図1: 浸水継続時間ランク別面積(左)と水系別12h以上面積 Top10(右)

土砂種別 × 浸水継続時間 重複

図2: 土砂災害警戒区域(種別別)と浸水継続時間 重複ポリゴン数
図2: 土砂災害警戒区域(種別別)と浸水継続時間 重複ポリゴン数
図8: 水系 × 継続時間ランク ポリゴン数ヒートマップ(上位10水系)
図8: 水系 × 継続時間ランク ポリゴン数ヒートマップ(上位10水系)

水系行 × 時間列 のクロス表。江の川・太田川は全ランクに分布 (大河川の多様性)。 小水系ほど特定ランクに集中 (地形の均一性)。

RQ2: 雪崩 × 土砂 中山間集中分析

雪崩危険箇所の市町分布

図3: 市町別 雪崩危険箇所数 Top15(中山間3市町強調)
図3: 市町別 雪崩危険箇所数 Top15(中山間3市町強調)

雪崩 種別 × 土砂 重複率

図4: 雪崩危険種別(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ)× 土砂災害警戒区域 重複率
図4: 雪崩危険種別(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ)× 土砂災害警戒区域 重複率
図7: 浸水継続時間 面積比(左)と 雪崩危険種別比率(右)
図7: 浸水継続時間 面積比(左)と 雪崩危険種別比率(右)

雪崩の 83.1% が種別 Ⅱ(一般)。 Ⅰ(急峻)は 15.5% で少数だが高い危険度。

RQ3: 三重リスクグリッド分析

三重リスクマップ (2km × 2km グリッド)

図5: 広島県 三重リスクマップ(浸水継続12h+ × 土砂 × 雪崩) — 2km格子
図5: 広島県 三重リスクマップ(浸水継続12h+ × 土砂 × 雪崩) — 2km格子

三重リスク 市町別集計

図6: 市町別 三重リスクグリッドセル数 Top10
図6: 市町別 三重リスクグリッドセル数 Top10

考察 — 孤立継続時間の推計フレームワーク

仮説検証と考察

仮説 vs 結果

仮説判定根拠
H1: 12h以上が全体の30%以上支持12h以上 27483 ha = 全体の 54.2%
H2: 江の川水系の12h以上面積が最大反証12h以上 No.1 水系: 芦田川水系
H3: 土砂×12h浸水の重複率 ≥ 5%反証1,120件 / 43,220 = 2.6%
H4: 中山間3市町の雪崩集中率 ≥ 50%支持82.8% (1797件)
H5: 雪崩×土砂 重複率 ≥ 20%支持80.0%
H6: 雪崩 No.1 市町は庄原市支持庄原市: 1282件
H7: 三重リスクセル < 全体の5%支持52/4416 = 1.18%
H8: 三重リスクの上位は中山間市町支持No.1: 三次市
H9: 二重 ≥ 三重×3(段階的希少性)支持二重816 vs 三重52×3=156

総合考察

発展課題 (結果から導かれる新たな問い)

  1. 集落ポイントとの交差:
    • 結果X: 三重リスクセル 52 個を同定
    • 新仮説Y: 三重リスクセル内に居住する集落数は単一リスクセル内より少ない(人口が自然選択的に回避)
    • 課題Z: e-Stat 国勢調査の小地域集計(500m メッシュ)と三重リスクグリッドを sjoin し、 リスク重複度別に人口密度を比較する
  2. 緊急輸送道路(L72)との交差:
    • 結果X: 三重リスクの中山間集中を確認
    • 新仮説Y: 三重リスクゾーン内の道路延長のうち、緊急輸送道路(L72)でカバーされる割合 < 30%
    • 課題Z: L72 緊急輸送道路 Shapefile と三重リスクセルの sjoin で 「緊急輸送道路なし三重リスク集落」を抽出、消防署・ヘリポートまでの距離を計算する
  3. 排水機場(L35)の排水能力との接続:
    • 結果X: 12h 以上浸水の水系別分布を把握
    • 新仮説Y: 排水機場(L35 の 15 機場)の設置エリアは 12h 以上浸水域と重なり、 機場の稼働が浸水継続時間を短縮する設計になっている
    • 課題Z: L35 の排水機場 GPS と 12h 以上浸水ポリゴン(KEIZOKU_SHP)を 500m sjoin し、 「排水機場カバー率」と浸水継続ランクの関係を定量化する

使用データセットと再現方法

使用 DoBoX データセット

ID名称形式役割
#37 + #315–331 河川浸水継続時間_想定最大規模(各水系 19 件)SHP全河川統合版で一括カバー
#48 + #544–573 土砂災害警戒区域・特別警戒区域(県全域 31 件)SHP3 種(土石流・がけ崩れ・地すべり)
#50 + #574–603 雪崩危険箇所(県全域 31 件)SHP種別 Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ

論理カバー合計: 81 dataset_id(個別水系ファイルを全河川統合版で代替)

再現方法