Lesson 11

X11: 宅地開発 × 農地転用 2016-2020 — 土地変換圧力の市町別メカニズム

X系横断研究宅地開発農地転用農林施策政策矛盾GiniLorenz
所要 90分 / 想定レベル: リテラシ基礎+α / データ: 新築動向 #1332-1516 (20件) × 宅地開発 #1351-1370 (20件) × 農地転用 #1391-1407 (17件) × 農林施策 #1408-1424 (17件)

データ取得手順

⚠️ このスクリプトは自動取得に対応していません。以下のデータセットを DoBoX から手動でダウンロードし、data/extras/ 以下に保存してください。

IDデータセット名
#555土砂災害警戒区域・特別警戒区域情報_尾道市
#1332都市計画区域情報_新築動向_安芸高田市_2016-2020
#1351都市計画区域情報_宅地開発状況_安芸高田市_2016-2020
#1391都市計画区域情報_農地転用状況_安芸高田市_2016-2020
#1408都市計画区域情報_農林漁業関係施策_安芸高田市_2022

実行コマンド:

cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/X11_land_conversion.py

DoBoX のオープンデータは申請不要・商用/非商用とも利用可。 data/extras/.gitignore 対象(約 57 GB のキャッシュ)。 スクリプト実行で自動再生成されます。

スクリプト(全体ソースコード)

⬇ X11_land_conversion.py

cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/X11_land_conversion.py

研究の問い (RQ) と仮説

L20 × L21 × L24 × L25 統合横断研究

L20(新築動向)と L21(宅地開発)は「建物の量的分布」を分析したが、 農地はどこから転換されたのか、農林施策との政策矛盾はないかを問うていない。 本記事は農地転用(L24)と農林漁業施策(L25)を加え、 「農地→宅地の転換圧力と政策矛盾」を 4 データセット統合で定量化する。

主 RQ

広島県 (2016-2020) の農地→宅地転換はどの市町で集中し、 農林漁業施策ポリゴン内での農地転用(政策矛盾)の面積と市町数はいくらか。

立てた仮説 (H1〜H9)

RQ1 — 新築建物の集中構造

RQ2 — 農地→宅地転換メカニズム

RQ3 — 農林施策との政策矛盾

RQ1: 新築建物の集中構造

Lorenz 曲線と年別推移

図1: 土地変換 3 指標の Lorenz 曲線(左)と年別新築件数推移(右)
図1: 土地変換 3 指標の Lorenz 曲線(左)と年別新築件数推移(右)

市町別新築件数

図2: 市町別 新築建物件数 Top20 (2016-2020)
図2: 市町別 新築建物件数 Top20 (2016-2020)

用途構成と住宅比率

図3: 用途構成パイチャート(左)と市町別住宅系比率(右)
図3: 用途構成パイチャート(左)と市町別住宅系比率(右)

建物高さ分布

図7: 建物高さ分布ヒストグラム(左)と高層棟数 Top10(右)
図7: 建物高さ分布ヒストグラム(左)と高層棟数 Top10(右)

RQ2: 農地→宅地 転換メカニズム

農地転用と宅地開発の相関

図5: 農地転用面積 vs 宅地開発面積 (市町別)
図5: 農地転用面積 vs 宅地開発面積 (市町別)
図4: 宅地開発面積 vs 新築件数 (市町別)
図4: 宅地開発面積 vs 新築件数 (市町別)

宅地開発と新築件数は概ね正の相関 — 開発面積が大きいほど多くの建物が建てられる。 ただし外れ値(宅地開発は大きいが新築が少ない市町)は「開発後の宅地売れ残り」を示唆。

農地転用面積 市町別分布

図6: 農地転用面積 Top15(左)と農林漁業施策面積 Top15(右)
図6: 農地転用面積 Top15(左)と農林漁業施策面積 Top15(右)

転換率(農転/宅地開発)

図8: 市町別 転換率(農地転用面積 / 宅地開発面積)
図8: 市町別 転換率(農地転用面積 / 宅地開発面積)

RQ3: 農林施策との政策矛盾

農林漁業施策ポリゴン × 農地転用 重複(政策矛盾ゾーン)

農林漁業施策(L25)は農地・森林・漁業インフラを保全する政策指定ゾーン。 このゾーン内で農地転用(L24)が行われていれば、保全政策と土地利用変換が矛盾する。

考察 — 農地保全と都市開発の綱引き

仮説検証と考察

仮説 vs 結果

仮説判定根拠
H1: 新築件数 Gini ≥ 0.4支持Gini = 0.710
H2: 上位3市シェア ≥ 70%支持70.9% (広島市, 福山市, 東広島市)
H3: 住宅系 ≥ 80%支持89.8%
H4: 高層 <5%支持1.1%
H5: 農転 vs 宅地 r ≥ 0.5反証r = -0.033
H6: 農転 Gini ≥ 0.5支持Gini = 0.505
H7: 政策矛盾市町 ≥ 3支持16 市町で矛盾発生
H8: 転換率 >1 の市町 ≥ 3支持17 市町
H9: 宅地vs農転 Gini差 ≤ 0.15反証差 = 0.208

総合考察

発展課題 (結果から導かれる新たな問い)

  1. 転換率 > 1.0 市町の詳細調査:
    • 結果X: 農転超過市町 17 件を同定
    • 新仮説Y: 転換率 > 1.0 の市町は農業後継者不足から農転が非計画的に進んでいる
    • 課題Z: 農業センサス (農林水産省) の農業経営体数と転換率を散布図で比較
  2. 建替え vs 新規開発の比率推計:
    • 結果X: 新築 46,613 件 vs 宅地開発 1,038 件
    • 新仮説Y: 新築件数の 30% 以上は既存宅地の建替えで、宅地開発データに現れない
    • 課題Z: 固定資産台帳(非公開)または都市計画基礎調査と重ね合わせ

使用データセットと再現方法

使用 DoBoX データセット

ID名称件数役割
#1332–1516 都市計画区域情報_新築動向_2016-2020(20市町)20新築建物 4.6万件
#1351–1370 都市計画区域情報_宅地開発状況_2016-2020(20市町)20宅地開発面積
#1391–1407 都市計画区域情報_農地転用状況_2016-2020(17市町)17農地転用面積
#1408–1424 都市計画区域情報_農林漁業関係施策_2022(17市町)17政策ゾーン(政策矛盾検証)

合計: 74 dataset_id

再現方法