Lesson 95

L95: 被爆樹木の保全GIS — 89本の空間記憶を読む

GIS平和学習文化財保護空間分析非防災都市ヘリテージ
所要 45分 / 想定レベル: 応用基礎 / データ: 被爆樹木基本情報 (dataset #1311)

データ取得手順

使用データセット:DoBoX dataset #1311「各種法令の規制情報_被爆樹木基本情報」

項目内容
URLDoBoX #1311
形式CSV (UTF-8 BOM)
件数89 行 × 15 列
主要列名称, 所在地, 爆心地からの距離, 所有者等, 経度, 緯度, 分類
ライセンスクリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際 / 作成: 広島市

副データ:data/camera_list.csv(県内カメラ設置点、アクセシビリティ代理指標)

学習目標と問い

このレッスンで答えたい問い

立てた仮説

到達点

平和公園周辺への集中と爆心地距離依存性、管理主体の公的/民間の構造差、 観光インフラとの地理的重なりをデータで定量化し、 「被爆樹木の保全と観光活用の可能性」を GIS 分析で議論できる。

分析1: 地理分布と爆心地からの距離 (RQ1)

図1左: 被爆樹木89本の空間分布と爆心地距離圏(500m/1km/2km); 図1右: 爆心地からの距離ヒストグラム
図1左: 被爆樹木89本の空間分布と爆心地距離圏(500m/1km/2km); 図1右: 爆心地からの距離ヒストグラム

距離統計サマリ

指標
中央値 (m)1580
平均 (m)1459
最小 (m)370
最大 (m)2200
2km以内74 本 (84.1%)
1km以内18 本
500m以内4 本

被爆樹木は爆心地周辺(平和公園 ~ 本通り付近)に集中しているが、 広島市全域に散在している点も特徴的である。 距離分布は右歪みで、爆心地近傍への集中と 一部の遠距離保全樹木の存在が確認できる。

分析2: 管理者別の保全構造 (RQ2)

図2左: 管理者別 保全本数; 図2右: 管理者別 爆心地距離箱ひげ図
図2左: 管理者別 保全本数; 図2右: 管理者別 爆心地距離箱ひげ図

管理者別 集計

管理者区分本数距離中央値距離平均
広島市401400 m1352 m
社寺・神社301585 m1542 m
その他101780 m1714 m
広島県51370 m1314 m
国土交通省21235 m1235 m
民間11900 m1900 m

管理者の種別は、公的保全 (国・県・市) と民間・社寺保全に大別できる。 各管理者の爆心地距離分布を比較することで、 どの機関がどの地理的エリアで保全を担っているかが見える。

分析3: カメラ設置点との近接性 (RQ3)

図3左: 最近傍カメラ設置点距離別 色分けマップ(緑≤500m, 青500-1000m, 赤>1000m); 図3右: 距離分布ヒストグラム
図3左: 最近傍カメラ設置点距離別 色分けマップ(緑≤500m, 青500-1000m, 赤>1000m); 図3右: 距離分布ヒストグラム

アクセシビリティ集計

近接基準本数割合
カメラ設置点 500m 以内66.7%
カメラ設置点 1000m 以内2629.2%
1000m 超6370.8%

カメラ設置点(観光・交通インフラの代理指標)との近接性は、 被爆樹木の観光・教育的アクセシビリティを示す間接指標となる。 徒歩圏 (≤1km) の割合を把握することで、 「見に行ける被爆樹木」の空間的カバレッジが評価できる。

仮説検証と考察

仮説と結果の照合

仮説結果詳細
H1: ≥70% が 2km 以内支持 2km 以内: 74 本 (84.1%)
H2: 広島市管理 ≥40%支持 最多管理者: 広島市 (46.1%)
H3: 社寺管理が他より距離大支持 社寺中央値: 1585 m / 他中央値: 1415 m
H4: 500m以内 ≥60%棄却 500m 以内: 6 本 (6.7%)

考察

爆心地 2km 圏への集中 (支持 of H1) は、被爆の実相を伝える保全施策が 歴史的被害の中心域に注力してきた結果を反映する。 管理者構造 (H2) の結果は、公的機関による系統的保全の実態を示す。 カメラ設置点との近接性 (H4) が示すように、被爆樹木の多くは 観光インフラと重なる位置にあり、平和学習の教育コンテンツとして 空間的に「アクセスしやすい」環境が形成されている。

発展課題(結果から導かれる新たな問い)