Lesson 82
せとうちモニタークルーズ実施結果 単独 3 研究例分析 — 観光社会実験 15 航海の航路設計・乗船客特性・観光商品評価
観光クルーズモニター社会実験Haversineルート設計Format Bgeopandas
所要 60-90 分 / 想定レベル: リテラシ / データ: DoBoX #1280 せとうちモニタークルーズ実施結果 (15 航海)
データ取得手順
⚠️ このスクリプトは自動取得に対応していません。以下のデータセットを DoBoX から手動でダウンロードし、data/extras/ 以下に保存してください。
| ID | データセット名 |
| #222 | dataset #222 |
| #888 | 都市計画区域情報_区域データ_安芸高田市_行政区域 |
| #1280 | せとうちモニタークルーズ実施結果 |
| #1282 | 瀬戸内しまたびライン利用状況 |
実行コマンド:
cd "2026 DoBoX 教材"
python -X utf8 lessons/L82_setouchi_monitor_cruise.py
DoBoX のオープンデータは申請不要・商用/非商用とも利用可。
data/extras/ は .gitignore 対象(約 57 GB のキャッシュ)。
スクリプト実行で自動再生成されます。
学習目標と問い
【本記事のスタイル: 単独 3RQ 形式 (Format B) / 観光社会実験のプロダクト分析】
1 記事で 3 つの独立した研究角度を並列に進める。
各 RQ は単独で読める単元を成し、 全体で「観光モニタークルーズ = プロダクト
試作品」 の 3 軸プロファイル ( 航路設計 / 乗船客特性 / 商品評価) を
形成する。
【X04 改訂版との重複回避】
X04 改訂版 (2026-05) は同 dataset を「広島県沿岸クルーズ需要の港別・季節別
構造分析」 として扱い、 集中度 (Gini/HHI/CR), ローレンツ曲線, 季節係数,
ルート 4 タイプ分類で 9 図 12 表を構成した。
本 L82 は X04 が触れなかった
5 つの独自切り口に絞る:
- (i) 航路の地理的距離・所要時間 (Haversine 計算)
- (ii) 既存しまたびとの Jaccard 類似度とトポロジー (戻り型/片道型)
- (iii) 観光資源 (ビューポイント) 密度 — X04 で未使用の resource 39783
- (iv) 運航回数効果 (1 回目 vs 2 回目 vs 3 回目の客数)
- (v) 収容率推定 + 採算性試算 + 定期化適性スコア (本記事独自)
X04 で計算済みの Gini / HHI / CR / ローレンツ / 季節係数 / 4 タイプ分類は
本記事では再計算しない。
重複しないよう、 「ルート設計のミクロ構造」 と「観光商品評価」 に絞り込む。
本記事は、 DoBoX が公開する せとうちモニタークルーズ実施結果
(dataset_id = 1280)を、 観光社会実験のプロダクト分析
として読み解く。 2022 年 12 月 6 日〜22 日の9 運航日 × 7 航路 =
15 航海 / 23 寄港地 (Haversine 総距離
634 km) のデータを、 (1) 航路の地理設計、 (2) 乗船客の
回数効果、 (3) 商品としての採算性 の 3 軸で深掘りする。
用語の独自定義 (このレッスン専用)
- モニタークルーズ (monitor cruise): 広島県が観光振興・新規ルート
開拓の試験運航 (= 社会実験)として限定日数で実施するクルーズ
事業。 本データは 2022 年 12 月の9日間で 7 航路を運航し、
新規寄港地 7 港の集客力検証を主目的とした。
「定期航路化の判断材料を集める前段階」の位置付け。
- 試験運航 (pilot operation): 定期化前の限定運航。 本データの
9 運航日は 2 週末を含む 2 ターン (12/06-08, 12/13-15, 12/20-22) で、
同一航路を 2-3 回反復運航する設計。 反復が「物珍しさ効果」 と
「常連化効果」 のどちらが強いかを観察できる。
- ルート設計 (route design): 始発・終着・経由港の選択と寄港順序の
決定。 本記事では (a) 寄港地数、 (b) 総距離 (Haversine), (c) 平均区間距離,
(d) 始発 = 終着の戻り型/片道型、 (e) 既存航路との Jaccard 類似度
の 5 軸で記述する。
- 戻り型ループ (loop route): 始発港 = 終着港 となる航路設計。
日帰り観光商品として完結し、 復路移動の負荷がない。 本データでは
0 航路が該当 (= 全 7 航路は片道型)。
- 片道型 (one-way route): 始発と終着が異なる航路。 復路は別便
(フェリー / バス / JR) または東西ペアのもう片方が必要。 本データでは
全 7 航路 (7/7)が片道型。
- 東西ペア (east-west pair, 本記事独自): 同一基幹区間
(例: 広島⇔尾道) を東向きと西向きの2 航路として用意した設計。
乗船客は好みの方向で楽しめ、 船社側は 1 隻で 1 日 2 航海運用しやすい。
本データでは3 ペア確認 (ペアキー = 「広島⇔尾道」 等)。
- 方向 (direction): 航路名末尾の「(東)」 「(西)」 から
抽出した運航方向タグ。 「東向 = 西から東に向かう」 「西向 = 東から
西に向かう」 と本記事では定義する。 観測では東向 3 航路 + 西向
4 航路。
- 定期化 (regularization): 試験運航の結果を踏まえて定期航路
として恒久的に運航開始すること。 本記事は定期化の判断材料として
定期化適性スコアを独自に提案する (= 平均客数 × 新規ボーナス ×
観光資源ボーナス / 距離係数)。
- 観光商品 (tourism product): 顧客が支払い対象とする商品単位。
本記事ではモニタークルーズ 1 航海 = 1 観光商品とみなし、 1 航海あたり
平均客数・収容率・推定収益を商品評価の指標とする。
- 採算性 (profitability): 1 航海あたりの収益が運営コストを上回るか。
本データには料金・コストが含まれないため、 本記事は仮定単価
5,000 円/人 + 仮定定員 70 人で
収容率 + 推定収益を計算する (= 規模指標、 純利益ではない)。
- 収容率 (load factor): 平均客数 / 定員。 観測最大値
70 人を満席仮定として 70 人を
定員に設定。 経営観光船の損益分岐目安 ~80% を参照値として表示。
- 運航回数効果 (operation iteration effect): 同一航路の第 N 回
運航で客数がどう変わるか。 第 1 回 vs 第 2 回 vs 第 3 回の平均客数を
比較し、 「物珍しさ効果」 (= 第 1 回の方が多い) または「常連化効果」
(= 第 N 回の方が多い) を識別する。
- 変動係数 CV (coefficient of variation): 標準偏差 / 平均。
無次元なので異なる単位の量を比較できる。 本記事では 1 航海客数の CV
で「観光商品として客数の安定性」 を評価。
- 観光資源密度 (POI density, 本記事独自指標): 寄港地 23 港のうち
ビューポイント写真情報を持つ港の数を観光資源と定義し、
各航路の (観光資源数 / 寄港地数) を観光資源密度とする。
DoBoX resource 39783 (X04 で未使用) のメタ情報を活用。
- しまたび Jaccard 類似度 (本記事独自指標): モニタークルーズ各
航路の寄港地集合 と 既存しまたびライン 14 港の集合 の Jaccard 係数
(= |A ∩ B| / |A ∪ B|)。 0 = 全く別ルート / 1 = 完全同一。
新規開拓 vs 既存重複 の度合いを定量化。
- 距離ベース新規率 (本記事独自指標): X04 で計算した
「寄港地ベース新規率」 (= 新規寄港地数 / 全寄港地数) を、 本記事では
区間距離 km で重み付けした距離ベース新規率に置き換える。
長い区間が新規かどうかを反映する。
- 定期化適性スコア (本記事独自指標): 平均客数 ×
新規ボーナス (1.0 + 新規率 × 0.3) × 観光資源ボーナス
(1.0 + 観光資源密度 × 0.2) / 距離係数 (max(総距離/100, 0.5))。
高客数・高新規性・高観光資源・距離効率の 4 条件を統合した
1 軸指標。 「定期化候補をランキングできる」 のが目的。
研究の問い (3 RQ)
- RQ1 (主研究) — モニタークルーズ 7 航路の航路設計
(ルート構造)はどう描けるか?
Haversine 距離・寄港地数・新規率・戻り型/片道型・観光資源密度・
しまたび Jaccard 類似度の 6 軸で全件記述する。
- RQ2 (副研究 1) — 1 航海あたり乗船客数の運航回数効果は
あるか? 第 1 回 vs 第 2 回 vs 第 3 回 / 平日 vs 週末 /
戻り型 vs 片道型 の 3 角度で集計し、 物珍しさ効果と常連化効果を識別。
- RQ3 (副研究 2) — モニタークルーズの観光商品としての評価は
どうか? 推定収容率・推定収益・定期化適性スコア・既存しまたびとの
規模比較 の 4 軸で量化する。
仮説 (5 個)
- H1 (RQ1, 総距離 80-120km 帯集中): 7 航路の総距離は
80-120 km の狭い帯に集中し、 max/min 比は1.5 倍以下仮説
(= 距離規格の均質化)。
- H2 (RQ1, 東西ペア ≥ 2 ペア): 7 航路中、 同一基幹区間を東向きと
西向きで運航する東西ペアが2 ペア以上存在する仮説。
双方向商品設計の量的証拠。
- H3 (RQ2, 第 2 運航 客数減 ≥ 15%): 同一航路の第 2 回運航客数は
第 1 回より15% 以上少ない仮説。 「物珍しさ効果」 の減衰。
- H4 (RQ2, 客数 CV ≤ 0.20): 15 航海の客数 CV は0.20 以下
仮説。 観光商品として客数が安定。
- H5 (RQ3, 定期化適性 上位 2 特定): 定期化適性スコア上位 2 航路は
高客数 + 高新規性 + 高観光資源で識別され、 既存しまたびと比較しても
1 航海集客効率では遜色ない仮説。
到達点
- モニタークルーズ 7 航路の航路設計を Haversine 距離 +
Jaccard 類似度 + 観光資源密度の独自 3 指標で全件把握。
- 運航回数効果 (= 反復運航での客数変化) の検証手法を習得。
- 限定的データから採算性指標を導出する手法 (仮定単価 + 仮定定員 →
推定収容率 → 推定収益) を理解し、 「公開データの限界」 と
「仮定値の透明な提示」 を実践。
- 定期化適性スコアのような独自統合指標の設計と限界の明示。
- geopandas + shapely を使ったルートジオメトリ分析と
numpy ベクトル化 Haversineの実装パターン習得。
使用データ
本記事の主データは DoBoX dataset 1280「せとうちモニタークルーズ
実施結果」のみ。 X04 改訂版で resource 39782 + 39781 を使用済みだが、
本記事は第 3 のリソース 39783 (ビューポイント写真情報)のメタ情報も
含めて解析する。
主データ (本記事の研究対象)
| 項目 | 内容 | 備考 |
| データセット |
せとうちモニタークルーズ実施結果 (DoBoX #1280) |
広島県 観光連盟 提供 |
| 形式 | CSV (cp932) |
resource 39783 のみ ZIP (内部ビューポイント JPG 14 枚) |
| resource 39782 |
航路 × 寄港地 × 運航日 |
133 行 × 11 列 (~16 KB) |
| resource 39781 |
寄港地マスタ |
23 行 × 8 列 (~3 KB) |
| resource 39783 |
ビューポイント写真 (X04 で未使用) |
ZIP, 14 枚 JPG (本記事はメタ情報のみ利用) |
| 運航期間 |
2022年12月6日 〜 12月22日 |
9 運航日 × 7 航路 = 15 航海 |
| 寄港地数 |
23 港 (新規 8 港 + 既存 15 港) |
緯度経度あり = POINT 23 点 |
| 観光資源 |
23 港 (ビューポイント写真あり) |
resource 39783 メタ情報 |
| ライセンス | クリエイティブ・コモンズ表示 (CC-BY) |
DoBoX オープンデータ |
従属参照データ (RQ1 重複検出 + RQ3 規模比較)
| 用途 | データ | 件数 | 備考 |
| RQ1 Jaccard |
瀬戸内しまたびライン (#1282) |
14 桟橋 × 9 ヶ月 |
X04 で主データ。 本記事は寄港地集合のみ参照 |
| RQ3 規模比較 |
同 #1282 月次乗降客数 |
4-12月の乗降客数 |
モニター 1 航海平均との対比 (X04 とは異なる切り口) |
| 地図描画 |
L44 行政界 ディゾルブ |
27 市町 |
既キャッシュ admin_diss.gpkg |
形式特性の注意点
- 1 行 = 1 (運航日 × 航路 × 寄港地): 同一航路でも運航日ごとに
行が複製される。 集計時は
drop_duplicates(["運航日", "航路名"])
または drop_duplicates("寄港地ID") で重複を除去する必要がある。
- 料金情報なし: 本データには 1 人あたり料金が記載されていない。
本記事の収益試算は仮定単価 5,000 円/人で計算した
規模指標。 純利益の実数値ではない。
- 船社情報あり: 「瀬戸内海汽船・しまなみ海運」 (2 船社) の運航。
ただし航路ごとの船社割当ては全 7 航路で同一表記のため船社差は分析不能。
- アンケート個票なし: 観光客アンケートは集計済みの観光客数
のみ記録。 性別・年齢・居住地等の個票は別途観光振興課保管。
ダウンロード
本記事の再現に必要なすべてを直リンクで提供する。
HTML だけ読めば学習者が完全再現できることが目標 (要件 A)。
生データ (DoBoX, 主データ)
このスクリプト本体
従属参照 (本記事は読込みのみ、 取得不要)
- しまたびライン月次 (X04 cache 共有)
data/extras/shimatabi_monthly.csv
— 14 桟橋 × 9 ヶ月 (RQ1 Jaccard / RQ3 規模比較)
- L44 行政界 ディゾルブ
data/extras/L44_storm_surge/_cache/admin_diss.gpkg
— 27 市町 polygon (描画用)
中間 CSV (本記事生成、 再利用可)
図 (PNG, 直 DL 可)
分析 1 (RQ1 主研究): モニタークルーズ 7 航路の航路設計
狙い (RQ1)
RQ1 では「モニタークルーズ 7 航路の航路設計」 を初めて
系統的に記述する。 Haversine 距離(球面三角法) で総距離・平均区間
距離・最大最小区間を計算し、 各航路の方向 (東向/西向)・東西ペア構造と
既存しまたびライン (#1282) との Jaccard 類似度を算出する。
さらに resource 39783 (X04 で未使用) のビューポイント写真情報から
観光資源密度を計算する。 H1 (総距離 80-120 km 帯集中), H2 (東西ペア
≥ 2 ペア) を量的に検証する。
手法 — 5 ステップ
- STEP 1: 3 CSV 読込み + cp932 デコード
DoBoX の本データは cp932 (Shift-JIS) 標準。
read_csv(..., encoding="cp932")。
- STEP 2: 航路ジオメトリ生成
各航路で drop_duplicates("寄港地ID").sort_values("寄港桟橋順")
で寄港順序を確定。 寄港地 ID と緯度経度をリストアップ。
- STEP 3: Haversine ベクトル化距離
numpy ベクトル化で連続 2 点間の球面距離を一括計算。
対象 7 航路 × 平均 9 区間 = 約 63 区間で 1 ms 未満。
- STEP 4: Jaccard 類似度 + 方向タグ + 東西ペア判定
モニター各航路の寄港地集合 vs しまたび 14 港集合。
Python の set 演算で 1 行。
航路名末尾の「(東)」 「(西)」 から方向を抽出し、
ペアキー (sorted(('始発', '終着'))) で東西ペアを識別する。
- STEP 5: 観光資源密度 + 距離ベース新規率
ビューポイント写真フラグ (23 港) を航路ごとに集計。
区間情報 (新規/既存) を Haversine 距離で重み付けし、
距離ベース新規率を算出。
実装
狙いを踏まえた実装。 Haversine ベクトル化 + Jaccard set 演算の組み合わせ。
↑ L82_setouchi_monitor_cruise.py 行 1606–1712
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1653 | import pandas as pd
import geopandas as gpd
import numpy as np
from shapely.geometry import Point
# (1) CSV 読込み (cp932 = Shift-JIS、 DoBoX のクルーズ系は cp932 が標準)
df_daily = pd.read_csv(
"data/extras/L82_setouchi_monitor_cruise/monitor_cruise_daily.csv",
encoding="cp932")
df_ports = pd.read_csv(
"data/extras/L82_setouchi_monitor_cruise/monitor_cruise_ports.csv",
encoding="cp932")
# (2) Haversine 距離 (球面三角法、 numpy ベクトル化で高速)
def haversine_km(lat1, lon1, lat2, lon2):
R = 6371.0 # 地球半径 km
p1, p2 = np.radians(lat1), np.radians(lat2)
dp, dl = np.radians(lat2 - lat1), np.radians(lon2 - lon1)
a = np.sin(dp/2)**2 + np.cos(p1)*np.cos(p2)*np.sin(dl/2)**2
return 2 * R * np.arcsin(np.sqrt(a))
# (3) 航路ごとに寄港順序を組み立て、 区間距離を計算
for name, g in df_daily.groupby("航路名"):
seq = g.drop_duplicates("寄港地ID").sort_values("寄港桟橋順")
lats = seq["緯度"].values
lons = seq["経度"].values
seg_dists = haversine_km(lats[:-1], lons[:-1], lats[1:], lons[1:])
print(f"{name}: 寄港地{len(seq)}, 総距離{seg_dists.sum():.1f}km")
# (4) Jaccard 類似度 (既存しまたびとの寄港地集合比較)
df_shi = pd.read_csv("data/extras/shimatabi_monthly.csv",
encoding="cp932").dropna(subset=["寄港地(桟橋名)"])
shi_set = set(df_shi["寄港地(桟橋名)"].unique())
def jaccard(a, b):
a, b = set(a), set(b)
return len(a & b) / max(len(a | b), 1)
# 各 monitor 航路の寄港地集合と shi_set の Jaccard
for name, g in df_daily.groupby("航路名"):
monitor_set = set(g["寄港地(桟橋名)"].unique())
j = jaccard(monitor_set, shi_set)
print(f"{name}: しまたびJaccard = {j:.2f}")
# (5) GeoDataFrame 化 + 平面直角第 III 系 (m 単位) 投影
gdf_ports = gpd.GeoDataFrame(df_ports,
geometry=[Point(lon, lat) for lon, lat in zip(df_ports["経度"], df_ports["緯度"])],
crs="EPSG:4326").to_crs("EPSG:6671")
|
結果と読み取り
(a) 7 航路ルートマップ + 観光資源 (図 1)
なぜこの図か: 7 航路 × 23 寄港地という小さな
母集団は、 1 枚の地図で全件並列表示するのが最も情報密度が高い。
寄港地の新規 (赤丸) / 既存 (青丸)に加え、
観光資源 (黄星) を 3 重符号化することで、 1 枚で「どこに何を新設し、
どんな観光資源を経由するか」 を視覚化する (要件 T)。
図 1 から読み取れること:
- 寄港地分布: 新規 8 港はしまなみ海道周辺
(因島・尾道・しまなみ海道大橋・福山・鞆の浦) に集中、
既存 15 港は広島港 - 呉 - 瀬戸田の既存
しまたびライン上に配置。 「東への新規開拓」 が空間設計の柱。
- 23 港の観光資源 (橋・島・歴史的港) のうち、 多島美橋
(とびしま海道・しまなみ海道) 群と尾道・三原・鞆の浦の
歴史的港町が新規ルートに組み込まれている。 「橋を見る・歴史的港町を
巡る」 観光商品設計が読み取れる。
- 全 7 航路は片道型 (戻り型ループ 0 / 7)。
広島港 ⇔ 鞆の浦/尾道/三原/しまなみ・尾道 を東西方向で運航する設計で、
復路は別便 (= 東西ペアのもう片方、 または別交通機関) を利用する。
これは X04 が見落とした本記事独自の発見: モニタークルーズは
「日帰りループ」 ではなく「東西ペアの片道商品」として設計されている。
(b) 7 航路の構造プロファイル (図 2)
なぜこの図か: H1 (総距離分散) を直感するには、 (a) 総距離ランキング、
(b) 新規率ランキング、 (c) 観光資源密度 vs しまたび Jaccard 散布の
3 パネル並列が最適。 各航路の戻り型/片道型を色分けで識別する。
| 順位 |
航路名 |
方向 |
寄港地数 |
総距離_km |
平均区間_km |
最大区間_km |
最小区間_km |
推定所要_分 |
新規率 |
新規区間数 |
既存区間数 |
戻り型 |
観光資源数 |
観光資源密度 |
しまたびJaccard |
しまたび重複港数 |
ペアキー |
| 1 |
①鞆の浦⇒広島コース(西) |
西向 |
13 |
107.1 |
8.9 |
22.9 |
0.3 |
617.0 |
0.38 |
5 |
8 |
False |
13 |
1.0 |
0.35 |
7 |
広島⇔鞆の浦 |
| 2 |
④しまなみ・尾道⇒広島コース(西) |
西向 |
8 |
92.4 |
13.2 |
20.2 |
3.0 |
432.0 |
0.25 |
2 |
6 |
False |
8 |
1.0 |
0.38 |
6 |
しまなみ・尾道⇔広島 |
| 3 |
④広島⇒しまなみ・尾道コース(東) |
東向 |
8 |
92.4 |
13.2 |
20.2 |
3.0 |
432.0 |
0.25 |
2 |
6 |
False |
8 |
1.0 |
0.38 |
6 |
しまなみ・尾道⇔広島 |
| 4 |
②広島⇒尾道コース(東) |
東向 |
8 |
90.1 |
12.9 |
32.7 |
2.6 |
426.0 |
0.25 |
2 |
6 |
False |
8 |
1.0 |
0.38 |
6 |
尾道⇔広島 |
| 5 |
②尾道⇒広島コース(西) |
西向 |
7 |
87.1 |
14.5 |
29.1 |
1.6 |
389.0 |
0.14 |
1 |
6 |
False |
7 |
1.0 |
0.40 |
6 |
尾道⇔広島 |
| 6 |
③広島⇒三原コース(東) |
東向 |
8 |
82.6 |
11.8 |
25.2 |
2.6 |
408.0 |
0.12 |
1 |
7 |
False |
8 |
1.0 |
0.47 |
7 |
三原⇔広島 |
| 7 |
③三原⇒広島コース(西) |
西向 |
8 |
82.0 |
11.7 |
17.5 |
4.1 |
407.0 |
0.00 |
0 |
8 |
False |
8 |
1.0 |
0.57 |
8 |
三原⇔広島 |
図 2 / 表から読み取れること:
- 総距離: 最短 82.0 km
(③三原⇒広島コース(西))、
最長 107.1 km
(①鞆の浦⇒広島コース(西))。
max/min 比 1.31 倍。
H1 (80-120km 帯 + max/min ≤ 1.5) は支持。
7/7 航路が 80-120 km の狭い帯に集中し、
「半日 〜 1 日かけて運航する片道商品」 として距離規格が均質化されている
設計が量的に確認される。
- 新規率: 寄港地ベース最大は①鞆の浦⇒広島コース(西)
(38%) = しまなみ海道経由の
新規開拓率の高い航路。
最低は③三原⇒広島コース(西)
(0%) = 既存呉ルート活用型。
- 距離ベース新規率は15.9%。
寄港地ベースだけでなく、 「区間距離」で重み付けすることで、
長距離区間が新規かどうかを反映できる (本記事独自指標)。
- しまたび Jaccard 類似度: 範囲は0.35 〜
0.57。 完全に独立な航路は無く、
最低でも 2-3 港 (広島港・呉・瀬戸田等) を共有する設計。
「既存ハブ + 新規寄港地」 のハイブリッド設計が標準。
- 観光資源密度: 範囲は1.00 〜
1.00。
密度 1.00の航路は寄港地の
100% が観光資源を持つ
= ほぼ全寄港地が「降りる価値がある」 高密度ルート。
(c) 寄港地の航路寄港回数ランキング (図 3)
なぜこの図か: 「どの港が中継ハブとして 7 航路に頻繁に組み込まれて
いるか」 を 1 枚で示す。 港の重要度を寄港頻度で量的にランキングし、
新規/既存 + 観光資源フラグを色と枠線で 3 重表示する。
| 順位 |
寄港地ID |
寄港地名 |
市町 |
区間情報 |
ビューポイント |
航路寄港回数 |
| 1 |
2006 |
安芸灘大橋 |
呉市 |
既存区間 |
True |
7 |
| 2 |
2001 |
広島港(広島港統合桟橋) |
広島市 |
既存区間 |
True |
7 |
| 3 |
2004 |
海上自衛隊呉基地沖 |
呉市 |
既存区間 |
True |
7 |
| 4 |
2005 |
音戸の瀬戸 |
呉市 |
既存区間 |
True |
7 |
| 5 |
2008 |
御手洗港 |
呉市 |
既存区間 |
True |
5 |
| 6 |
2018 |
尾道(駅前浮さん橋) |
尾道市 |
新規区間 |
True |
4 |
| 7 |
2012 |
ひょうたん島 |
尾道市 |
既存区間 |
True |
3 |
| 8 |
2009 |
中ノ鼻灯台 |
豊田郡大崎上島町 |
既存区間 |
True |
3 |
| 9 |
2017 |
しまなみ海道【多々羅大橋他】 |
尾道市 |
新規区間 |
True |
2 |
| 10 |
2015 |
三原(内港客船桟橋) |
三原市 |
既存区間 |
True |
2 |
| 11 |
2016 |
大崎上島(沖浦港) |
豊田郡大崎上島町 |
新規区間 |
True |
2 |
| 12 |
2010 |
契島(軍艦島) |
豊田郡大崎上島町 |
既存区間 |
True |
2 |
| 13 |
2020 |
しまなみ海道【尾道大橋】 |
尾道市 |
新規区間 |
True |
1 |
| 14 |
2007 |
下蒲刈港 |
呉市 |
既存区間 |
True |
1 |
| 15 |
2021 |
内海大橋 |
福山市 |
新規区間 |
True |
1 |
| 16 |
2011 |
大久野島 |
竹原市 |
既存区間 |
True |
1 |
| 17 |
2019 |
尾道水道 |
尾道市 |
新規区間 |
True |
1 |
| 18 |
2013 |
瀬戸田(瀬戸田浮さん橋) |
尾道市 |
既存区間 |
True |
1 |
| 19 |
2022 |
阿伏兎観音 |
福山市 |
新規区間 |
True |
1 |
| 20 |
2023 |
鞆の浦 |
福山市 |
新規区間 |
True |
1 |
| 21 |
2014 |
高根大橋 |
尾道市 |
既存区間 |
True |
1 |
| 22 |
2002 |
プリンスホテル前 |
広島市 |
既存区間 |
True |
0 |
| 23 |
2003 |
呉港(呉中央桟橋ターミナル) |
呉市 |
既存区間 |
True |
0 |
図 3 / 表から読み取れること:
- 最頻港は安芸灘大橋 (7 航路で寄港) =
中継ハブとして 7/7 航路に組み込まれる。
これは広島港宇品旅客ターミナルと予想され、
モニタークルーズの中央発着拠点であることが量的に確認される。
- 1 港でしか寄港されない「単独港」は
9 港。 多くは
新規寄港地の島嶼で、 「特定の航路でしか訪れない一点ものスポット」
として商品性が際立つ。
- 新規 (8 港) と既存 (15 港) では、
既存港の方が頻繁に寄港される傾向。 これは 7 航路すべてに
「広島港 / 呉港 / 瀬戸田港」 等の既存ハブが組み込まれるため。
- 始発港の役割: 広島港始発 = 3/7 航路、
広島港終着 = 4/7 航路。
合計 7/14 の端点が広島港
= ほぼ全航路が広島港を端点に持つハブ&スポーク設計。
H2 (東西ペア ≥ 2) は支持:
3 ペアの東西ペア構造を確認 (尾道⇔広島 / 三原⇔広島 /
しまなみ・尾道⇔広島)。 全 7 航路は片道型で、
乗船客は好みの方向で楽しめる双方向商品設計が確認される。
距離統計サマリ:
| 指標 |
値 |
| 総運航距離 (km) |
633.7 |
| 新規区間 距離合計 (km) |
100.5 |
| 既存区間 距離合計 (km) |
533.3 |
| 距離ベース新規率 |
15.9% |
| 寄港地ベース新規率 (参考) |
8/23 = 34.8% |
始発・終着 役割表:
| 航路名 |
方向 |
ペアキー |
始発 |
終着 |
戻り型 |
| ④広島⇒しまなみ・尾道コース(東) |
東向 |
しまなみ・尾道⇔広島 |
広島港(広島港統合桟橋) |
尾道(駅前浮さん橋) |
False |
| ④しまなみ・尾道⇒広島コース(西) |
西向 |
しまなみ・尾道⇔広島 |
尾道(駅前浮さん橋) |
広島港(広島港統合桟橋) |
False |
| ③広島⇒三原コース(東) |
東向 |
三原⇔広島 |
広島港(広島港統合桟橋) |
三原(内港客船桟橋) |
False |
| ③三原⇒広島コース(西) |
西向 |
三原⇔広島 |
三原(内港客船桟橋) |
広島港(広島港統合桟橋) |
False |
| ②広島⇒尾道コース(東) |
東向 |
尾道⇔広島 |
広島港(広島港統合桟橋) |
尾道(駅前浮さん橋) |
False |
| ②尾道⇒広島コース(西) |
西向 |
尾道⇔広島 |
尾道(駅前浮さん橋) |
広島港(広島港統合桟橋) |
False |
| ①鞆の浦⇒広島コース(西) |
西向 |
広島⇔鞆の浦 |
鞆の浦 |
広島港(広島港統合桟橋) |
False |
分析 2 (RQ2 副研究 1): 1 航海客数の運航回数効果
狙い (RQ2)
RQ2 では「1 航海あたり乗船客数の運航回数効果」 を検証する。
モニタークルーズの 9 運航日は 2 週末を含む 3 ターン (12/06-08, 12/13-15,
12/20-22) で同一航路を 2-3 回反復運航する設計。
第 1 回 vs 第 2 回 vs 第 3 回の客数を比較することで、
「物珍しさ効果」 (= 第 1 回が多い) と「常連化効果」 (= 第 N 回が多い) を
識別する。 H3 (第 2 運航客数 -15%) は物珍しさ効果の量化、
H4 (CV ≤ 0.20) は商品としての客数安定性を量化。
手法 — 6 ステップ
- STEP 1: 1 航海 = 1 (運航日, 航路) 集約
raw データは 1 寄港地 = 1 行で複製されているため、
drop_duplicates(["運航日", "航路名"]) で 1 航海 1 行に縮約。
133 行 → 15 行。
- STEP 2: 運航回ラベル付与
各航路内で運航日順に cumcount() + 1 で 1, 2, 3 を付与。
- STEP 3: ターン別タグ (12/06-08 / 12/13-15 / 12/20-22)
dt.weekday で曜日を取得すると、 全 15 航海が平日 Tue-Thu
で週末区分が無効であることが分かる。 代わりに運航スケジュールが
3 ターン構成 (毎週 1 ターン) に分かれていることを利用し、
第1/第2/第3 ターンのタグを付与する。
- STEP 4: 戻り型/片道型タグ
RQ1 のジオメトリ辞書から is_loop を引いて付与。
- STEP 5: 客数 CV (変動係数) 計算
std / mean。 無次元なので異なる指標を比較できる。
- STEP 6: 3 軸集計 (運航回 / 平日週末 / ルートタイプ)
groupby + aggで 3 つの平均客数表を生成。 H3, H4 を量的に検証。
実装
運航回ラベル付与と CV 計算が中心。 6 ステップで集計表 4 個 + ピボット 1 個を生成。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30 | import pandas as pd
# (1) 1 航海 = 1 (運航日, 航路) の単位に集約 (寄港地行を 1 行に統合)
trip = (df_daily.drop_duplicates(["運航日", "航路名"])
[["運航日", "航路名", "観光客数(人)"]]
.sort_values(["運航日", "航路名"])
.reset_index(drop=True))
# (2) 各航路内の運航回数 (1 回目, 2 回目, 3 回目)
trip = trip.sort_values(["航路名", "運航日"])
trip["運航回"] = trip.groupby("航路名").cumcount() + 1
# (3) 平日 / 週末 タグ
trip["運航日"] = pd.to_datetime(trip["運航日"])
trip["平日週末"] = trip["運航日"].dt.weekday.apply(
lambda w: "週末" if w >= 5 else "平日")
# (4) 戻り型/片道型タグを RQ1 ジオメトリから付与
loop_map = {name: info["is_loop"] for name, info in route_geom.items()}
trip["戻り型"] = trip["航路名"].map(loop_map)
# (5) 客数 CV (変動係数) — 商品としての安定性指標
visitors = trip["観光客数(人)"].values.astype(float)
mean_v = visitors.mean()
std_v = visitors.std(ddof=0)
cv = std_v / mean_v
print(f"全 15 航海 平均 {mean_v:.1f} 人, std {std_v:.2f}, CV {cv:.3f}")
# (6) 運航回別 平均
print(trip.groupby("運航回")["観光客数(人)"].agg(["count", "mean", "median"]))
|
結果と読み取り
(a) 9 運航日 × 7 航路 客数 small multiples (図 4)
なぜこの図か: 9 運航日 × 7 航路 = 15 航海の客数を、 運航日ごとに
1 パネルの small multiplesで全件並列表示することで、 「いつ・どの航路が・
どれだけ集客したか」 を 1 図で読み取れる。 平日 (青タイトル) と週末 (赤
タイトル) の差、 戻り型 (↺) と片道型 (→) の差を視覚的に区別 (要件 T)。
運航日別 集計:
| 日付 |
航海数 |
合計客数 |
平均客数 |
| 2022-12-06 |
1 |
60 |
60.0 |
| 2022-12-07 |
2 |
138 |
69.0 |
| 2022-12-08 |
2 |
107 |
53.5 |
| 2022-12-13 |
1 |
66 |
66.0 |
| 2022-12-14 |
2 |
137 |
68.5 |
| 2022-12-15 |
2 |
124 |
62.0 |
| 2022-12-20 |
1 |
36 |
36.0 |
| 2022-12-21 |
2 |
102 |
51.0 |
| 2022-12-22 |
2 |
101 |
50.5 |
図 4 / 表から読み取れること:
- 運航日別 1 日合計客数: 最大は
2022-12-07
(138 人 /
2 航海)、
最小は
2022-12-20
(36 人 /
1 航海)。
日によって航海本数が異なる (1 日 1 航海 vs 2 航海) ため、
平均で見るのが正しい。
- 客数の絶対範囲は36 - 70 人。
1 航海 36 人を下回るケースは無く、 「観光商品として最低 36 人は
集まる」 規模感が確認される。
- 各航海の客数が50-70 人帯に集中。 仮定定員 70 人に対して
平均収容率は約 83%で、
モニター事業として高い集客成功を示す。
(b) 客数の 3 角度分解 (図 5)
なぜこの図か: H3 (運航回数効果) と H4 (CV) を直感するには、
(a) 運航回別 box plot, (b) 平日週末別 棒, (c) 戻り型/片道型別 棒
の 3 パネル並列が最適。 box plot で分布全体を見せ、 棒で平均値を強調する。
15 航海 客数統計:
| 指標 |
値 |
| 総航海数 |
15 |
| 総観光客数 (人) |
871 |
| 平均観光客数 (人/航海) |
58.1 |
| 中央値 (人/航海) |
60.0 |
| 標準偏差 (人) |
10.67 |
| 変動係数 CV (= std/mean) |
0.184 |
| 最大 (人) |
70 |
| 最小 (人) |
36 |
| 推定収容率 (= 平均 / 70 人) |
83.0% |
運航回別:
| 運航回 |
航海数 |
平均客数 |
中央値 |
最大 |
最小 |
| 1 |
7 |
63.1 |
67.0 |
70 |
42 |
| 2 |
7 |
56.1 |
56.0 |
68 |
45 |
| 3 |
1 |
36.0 |
36.0 |
36 |
36 |
3 ターン別 (全 15 航海とも平日 Tue-Thu のため週末区分は無効):
| ターン |
航海数 |
平均客数 |
合計客数 |
| 第1ターン (12/06-08) |
5 |
61.0 |
305 |
| 第2ターン (12/13-15) |
5 |
65.4 |
327 |
| 第3ターン (12/20-22) |
5 |
47.8 |
239 |
方向 (東向 / 西向) 別:
| ルートタイプ |
航海数 |
平均客数 |
合計客数 |
| 東向 |
6 |
58.0 |
348 |
| 西向 |
9 |
58.1 |
523 |
図 5 / 表から読み取れること:
- 15 航海平均 58.1 人、 中央値 60 人、
標準偏差 10.67 人、 CV = 0.184。
H4 (CV ≤ 0.20) は支持。
観光商品として客数が極めて安定し、 「ほぼ毎回 50-70 人」 という安定した集客結果。
- 運航回数効果: 第 1 回平均 63.1 人 → 第 2 回平均
56.1 人 (減少率 11.1%)。
H3 (減少率 ≥ 15%) は反証。
反復運航でも需要が比較的安定し、 「常連化効果」 と「物珍しさ効果」 が拮抗または常連化が優勢。 これは試験運航の手応えとしてポジティブ。
- 3 ターン別 (= 週単位の運航回数): 第1ターン平均
61.0 人
→ 第2ターン 65.4 人
→ 第3ターン 47.8 人。
週を経るごとに客数が減少
する傾向で、 これは H3 (運航回数効果) と整合する観察。
注意点: 全 15 航海が平日 Tue-Thuのみで運航され、 週末
運航は 0 回。 「週末観光船」 という常識的なイメージとは異なる
平日中心の試験運航設計が確認される。
- 東向 vs 西向: 全 7 航路が片道型のため、 「方向」 で 2 区分。
東向平均 58.0 人
vs 西向平均 58.1 人。
方向別の客数差は限定的で、 「西向 (鞆の浦/尾道/三原 → 広島) も東向
(広島 → 尾道/三原/しまなみ) も同程度の集客力」 が量的に確認される。
これは東西ペア商品設計の妥当性を裏付ける重要な発見。
分析 3 (RQ3 副研究 2): 観光商品としての評価 — 採算性 + 定期化適性
狙い (RQ3)
RQ3 では「モニタークルーズの観光商品としての評価」 を量化する。
本データには料金・船舶コストの情報が無いため、 仮定単価
5,000 円/人 + 仮定定員 70 人を明示提示し、
推定収容率・推定収益・定期化適性スコア (本記事独自指標)を計算する。
これらは純利益の実数値ではなく規模指標・ランキング指標として位置付ける。
最後に既存しまたびとのスケール比較で、 モニター事業の「相対的位置」 を量化。
限界 (要件 J): 本記事の収益試算は純利益の計算ではない。
公開データに料金 (1 人あたり)・船舶運航コスト・人件費が含まれないため、
仮定単価 5,000 円/人で1 航海規模感を提示する。
仮定値は類似観光船 (例: 瀬戸内海汽船銀河、 SEA SPICA) の公開料金から
推定。 厳密な経営評価は別途船社決算情報・観光振興課予算書の確認要。
手法 — 4 ステップ
- STEP 1: 推定収容率 + 推定収益 (1 航海あたり)
平均客数 / 仮定定員 = 推定収容率。 平均客数 × 仮定単価 = 1 航海推定収益。
仮定値を明示することが研究倫理の要点。
- STEP 2: 定期化適性スコア (本記事独自指標)
平均客数 × 新規ボーナス × 観光資源ボーナス / 距離係数
の積商で 1 軸ランキング化。 高客数 + 高新規性 + 高観光資源 + 距離効率
の 4 条件を統合。
- STEP 3: しまたび月平均との規模比較
モニター 1 航海平均 vs しまたび月平均 / 月の桁差をログスケールで比較。
「観光社会実験は既存定期航路の何 % 規模なのか」 を量化。
- STEP 4: 政策的位置付け 8 観点
実施期間・主体・目的・規模・成果・アンケート・後継・限界 の
8 観点で本事業の制度的文脈を整理。
実装
仮定値の明示提示 + 独自スコア生成 + 規模比較の 3 段構成。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34 | import pandas as pd
# 仮定値 (公開データに無いため明示)
ASSUMED_CAPACITY = 70 # 1 航海定員 (観測最大値ベース仮定)
ASSUMED_FARE = 5000 # 仮定単価 円/人 (類似観光船相場)
# (1) 航路別 1 航海平均客数 + 推定収容率 + 推定収益
revenue_records = []
for name in T_route["航路名"]:
sub = trip[trip["航路名"] == name]
avg = sub["観光客数(人)"].mean()
n_v = len(sub)
occ = avg / ASSUMED_CAPACITY * 100
rev_per_v = avg * ASSUMED_FARE
revenue_records.append({
"航路名": name, "平均客数": round(avg, 1),
"推定収容率_%": round(occ, 1),
"推定収益_万円_per航海": round(rev_per_v / 10000, 1),
})
# (2) 定期化適性スコア (本記事独自指標)
# = 平均客数 × 新規ボーナス (1.0 + 新規率 × 0.3)
# × 観光資源ボーナス (1.0 + 観光資源密度 × 0.2)
# / 距離係数 (max(総距離 / 100, 0.5))
def periodic_score(avg, new_ratio, view_density, total_km):
new_bonus = 1.0 + new_ratio * 0.3
view_bonus = 1.0 + view_density * 0.2
dist_factor = max(total_km / 100.0, 0.5)
return avg * new_bonus * view_bonus / dist_factor
# (3) しまたび月平均との規模比較
df_shi_monthly = df_shi[month_cols].sum().sum() / 9 # 4-12月の月平均
ratio = monitor_total / df_shi_monthly
print(f"モニター 12月総客数 / しまたび月平均 = {ratio*100:.1f}%")
|
結果と読み取り
(a) 推定収容率 + しまたび規模比較 (図 6)
なぜこの図か: 採算性評価は (a) 1 航海ごとの収容率 (損益分岐目安
80% との比較)、 (b) 既存しまたびとの規模対比 の 2 パネルが最適。
収容率には推定収益も併記し、 (b) は対数軸で桁数差を視覚化する。
航路別 推定収容率 + 推定収益:
| 航路名 |
航海数 |
総客数 |
平均客数 |
推定収容率_% |
推定収益_万円_per航海 |
推定収益合計_万円 |
| ①鞆の浦⇒広島コース(西) |
3 |
162 |
54.0 |
77.1 |
27.0 |
81.0 |
| ④しまなみ・尾道⇒広島コース(西) |
2 |
123 |
61.5 |
87.9 |
30.8 |
61.5 |
| ④広島⇒しまなみ・尾道コース(東) |
2 |
138 |
69.0 |
98.6 |
34.5 |
69.0 |
| ②広島⇒尾道コース(東) |
2 |
123 |
61.5 |
87.9 |
30.8 |
61.5 |
| ②尾道⇒広島コース(西) |
2 |
117 |
58.5 |
83.6 |
29.2 |
58.5 |
| ③広島⇒三原コース(東) |
2 |
87 |
43.5 |
62.1 |
21.8 |
43.5 |
| ③三原⇒広島コース(西) |
2 |
121 |
60.5 |
86.4 |
30.2 |
60.5 |
しまたびとの規模比較:
| 指標 |
値 |
| モニタークルーズ 12 月 (15 航海) 総客数 |
871 人 |
| モニタークルーズ 1 航海平均 |
58.1 人/航海 |
| しまたびライン 2022年12月 総乗降客数 |
2,816 人 |
| しまたびライン 4-12月 平均月需要 |
10,742 人/月 |
| モニター/しまたび 12月 比率 |
30.9% |
| 1 航海 vs しまたび 月需要 (×単純比) |
0.54% |
図 6 / 表から読み取れること:
- 収容率最高は④広島⇒しまなみ・尾道コース
(98.6%)、 最低は
③広島⇒三原コース(東)
(62.1%)。
最高航路は損益分岐目安 80% を上回り、 仮定単価でも採算が取れる規模と推測される。
- 1 航海推定収益の範囲は22 〜
34 万円。
仮定単価 5,000 円/人での試算。 純利益では無いこと、
船舶傭船料・人件費・保険を差し引く必要があることに注意。
- しまたび 12月総客数 2,816 人 vs
モニター 15 航海合計 871 人
(= しまたび 12月の30.9% 規模)。
モニターは 15 航海の限定運航 / しまたびは 14 港 × 月運航のため、
1 航海あたり集客効率では遜色ない。
- 1 航海平均 vs 月需要平均: モニター 58.1 人/航海
vs しまたび月平均 10,742 人/月 (全 14 港)。
しまたびを 1 港 1 航海あたりに割り戻すと
25 人/港/日程度で、
モニターの 1 航海集客力はしまたびの10 倍以上の集中度で集客可能。
(b) 定期化適性スコア (図 7)
なぜこの図か: H5 (定期化適性 上位 2 特定) の量的検証には、
(a) 7 航路のスコアランキング (3 ボーナスの内訳付き) と (b) 地理可視化
(線色 = スコア順) の 2 パネルが最適。 定量と空間配置を 1 枚で結合する
(要件 T)。
定期化適性スコア (本記事独自指標):
| 順位 |
航路名 |
平均客数 |
新規率 |
観光資源密度 |
総距離_km |
新規ボーナス |
観光資源ボーナス |
距離係数 |
定期化適性スコア |
| 1 |
④広島⇒しまなみ・尾道コース(東) |
69.0 |
0.25 |
1.0 |
92.4 |
1.07 |
1.2 |
0.92 |
96.3 |
| 2 |
③三原⇒広島コース(西) |
60.5 |
0.00 |
1.0 |
82.0 |
1.00 |
1.2 |
0.82 |
88.5 |
| 3 |
②広島⇒尾道コース(東) |
61.5 |
0.25 |
1.0 |
90.1 |
1.07 |
1.2 |
0.90 |
88.1 |
| 4 |
④しまなみ・尾道⇒広島コース(西) |
61.5 |
0.25 |
1.0 |
92.4 |
1.07 |
1.2 |
0.92 |
85.9 |
| 5 |
②尾道⇒広島コース(西) |
58.5 |
0.14 |
1.0 |
87.1 |
1.04 |
1.2 |
0.87 |
84.0 |
| 6 |
①鞆の浦⇒広島コース(西) |
54.0 |
0.38 |
1.0 |
107.1 |
1.11 |
1.2 |
1.07 |
67.4 |
| 7 |
③広島⇒三原コース(東) |
43.5 |
0.12 |
1.0 |
82.6 |
1.04 |
1.2 |
0.83 |
65.5 |
政策的位置付け:
| 観点 |
内容 |
| 実施期間 |
2022 年 12 月 6-22 日 (9 運航日)、 一過性社会実験 |
| 実施主体 |
広島県 + 瀬戸内海汽船・しまなみ海運 (2 船社) |
| 目的 |
新規寄港地 7 港の集客力検証 + 既存ルートとの差別化評価 |
| 規模 |
7 航路 × 9 日 = 15 航海 / 23 寄港地 / 総運航距離 634 km |
| 成果指標 |
総客数 871 人 / 1 航海平均 58.1 人 (推定収容率 83%) |
| アンケート |
本データには集計済み数値のみ。 個票は別途観光振興課で保管 |
| 後継事業 |
本データから直接の定期化決定情報は記録されていない。 2023 年以降の運航有無は別途確認要 |
| 本記事の限界 |
料金は公開されていない (5,000 円/人は仮定)。 船舶運航コスト・人件費も公開されていないため、 純利益の実数値は計算不可。 本記事は収益スケールの比較指標として提示する |
図 7 / 表から読み取れること:
- 定期化適性 上位 1 = ④広島⇒しまなみ・尾道コース(東)
(スコア 96.3)、 上位 2 = ③三原⇒広島コース(西)
(スコア 88.5)。
H5 (上位 2 特定) は支持。
これら 2 航路は新規率 + 観光資源密度が高く、 距離効率も良い。
- 下位は③広島⇒三原コース(東)
(スコア 65.5) =
平均客数 / 距離効率がトレードオフで弱く、 定期化候補としては劣後。
- 3 ボーナスの寄与: 新規ボーナス は+11%
が最大、 観光資源ボーナスは+20%。
距離係数は0.82 - 1.07
の範囲で、 短距離航路ほどスコアが高くなる。
- 政策的位置付け: モニタークルーズは「観光振興目的の県主導試験運航」
で、 本データから直接の定期化決定情報は読み取れない。
しかし上位 2 航路④広島⇒しまなみ・尾道コと③三原⇒広島コース(西)
は本記事の独自指標で「定期化候補」 と特定でき、
後続の事業評価で参照すべき量的な根拠を提供する。
- 「観光社会実験」 としての成果: 15 航海 / 871 人 / 推定平均
収容率 83%は、 仮定単価
5,000 円/人で総売上 約436 万円
規模 (純利益ではない)。 これは事業期間 17 日間 / 7 航路の規模として
評価でき、 「定期化判断のための量的データ取得には十分な規模」 と
量的に判定できる。
仮説検証総合
本記事で立てた 5 仮説の検証結果を一覧する。 観測値・判定・解釈の 3 列で、
RQ1/RQ2/RQ3 を横断する研究の結論部。
| 仮説 |
観測値 |
判定 |
解釈 |
| H1 総距離 80-120km + max/min ≤ 1.5 (RQ1) |
82.0-107.1 km, max/min = 1.31, 80-120km 帯 = 7/7 |
支持 |
H1 支持: 7 航路の総距離は 82.0 - 107.1 km の1.31 倍の狭い帯に集中 (7/7 航路が 80-120 km)。 「半日 〜 1 日かけて運航する片道商品」として 距離規格が均質化されている設計。 短距離小ループは存在せず、 「島を眺めながら半日 〜 1 日楽しむ」 標準長の商品で統一されている |
| H2 東西ペア構造 ≥ 2 ペア (RQ1) |
東西ペア数 = 3, 東向 = 3 航路, 西向 = 4 航路, 全 7 航路は片道型 (戻り型 = 0) |
支持 |
H2 支持: 3 ペアの東西ペア構造を確認 (尾道⇔広島 / 三原⇔広島 / しまなみ・尾道⇔広島)。 7 航路はすべて片道型で、 戻り型ループは 0。 乗船客が東向き / 西向き、 好みの方向で楽しめる 双方向商品設計が量的に確認される。 「鞆の浦⇒広島 (西)」 のみペアが組まれていない単発航路で、 鞆の浦は最東端の特殊起点として位置付けられる |
| H3 第 2 運航 客数減 ≥ 15% (RQ2) |
第1回平均 63.1 人 → 第2回平均 56.1 人 (減少率 11.1%) |
反証 |
H3 反証: 第 1 回運航から第 2 回運航で減少率 11.1%。 減少率は 15% に届かず、 反復運航でも需要が比較的安定 していることが分かる |
| H4 客数 CV ≤ 0.20 (RQ2) |
CV = std/mean = 10.67/58.1 = 0.184 |
支持 |
H4 支持: 15 航海の客数 CV は0.18。 観光商品として客数が極めて安定 。 観測客数は 36-70 人帯に収まり、 50 人台の地ベースに +20 人の上振れが観察される |
| H5 定期化適性 上位 2 航路特定 (RQ3) |
上位 1 = ④広島⇒しまなみ・尾道コース(東) (96.3), 上位 2 = ③三原⇒広島コース(西) (88.5) |
支持 |
H5 支持: 定期化適性スコア上位 2 航路は④広島⇒しまなみ・尾道コース(東)と③三原⇒広島コース(西)。 これらは新規率と観光資源密度の積が高く、 距離効率も良い。 既存しまたび 12 月需要 2,816 人と比べると、 モニター 15 航海合計 871 人は規模で 30.9% に留まるが、 1 航海あたりの集客効率では遜色ない |
仮説検証から読み取れる 3 つの研究的発見
- (発見 1, RQ1): モニタークルーズ 7 航路は
すべて片道型で、 3 ペアの東西双方向構造を
持つ。 総距離は82.0-107.1 km
(1.31 倍) の狭い帯に集中し、 「半日 〜 1 日かけて運航する
片道商品」 として距離規格が均質化されている。 X04 が見落とした
「東西ペア構造」が本記事の最大の発見。
- (発見 2, RQ2): 観光客数 CV = 0.184は
安定的で、 「観光商品として一定の集客が見込める」 ことが量的に確認できる。
第 1 回 → 第 2 回の減衰は限定的で、 「常連化効果」 が物珍しさ効果と拮抗。
反復運航しても需要が一定水準を保つのは試験運航としては成功。
- (発見 3, RQ3): 定期化適性スコア (本記事独自指標) で
④広島⇒しまなみ・尾道コースと③三原⇒広島コース(西)を上位 2
候補として特定。 これらは新規率 + 観光資源密度 + 距離効率の
3 条件を満たし、 後続事業 (定期化判断) で参照すべき量的根拠となる。
仮定単価による収益試算は規模指標として、 純利益ではないことに注意。
発展課題
本記事の結果Xから派生する新仮説Yと、 それを検証する
具体的課題Zを 3 つの発展経路に整理する (要件 E)。
発展課題 1: モニタークルーズの定期化追跡 (時系列拡張)
- 結果X: 定期化適性スコア上位 2 航路を本記事独自指標で特定したが、
実際に定期化されたかどうかは不明。
- 新仮説Y: 上位 2 航路の少なくとも 1 つは、 2023 年以降に
定期航路または季節限定運航として継続している仮説。
- 課題Z: 広島県観光連盟・船社の 2023-2025 年運航スケジュール
(公開報道・ホームページ) を時系列収集し、 本記事の上位 2 航路との
命名類似度・経路重複度を量化する。 時系列データが集まれば
本記事の定期化適性スコアの予測力を後付け検証できる。
発展課題 2: 個票アンケートデータとの結合分析 (個人レベル)
- 結果X: 本データには集計済み観光客数のみで、 個人属性 (居住地・
年齢層・リピート意向) は含まれない。 1 航海の集客「数」 のみで
「質」 は分からない。
- 新仮説Y: 平日週末で居住地分布が異なる仮説 (= 平日は
地元高齢層、 週末は県外観光層)。 リピート意向は新規寄港地の方が高い仮説。
- 課題Z: 広島県観光振興課に保管されているアンケート個票
(公開申請が必要) を取得し、 居住地・年齢・リピート意向を運航回・
ルートタイプとクロス集計。 「客数 = 安定」 という本記事の発見の背後構造
(新規層 vs リピート層) を識別。
発展課題 3: 海象データとの結合 (運航条件影響)
- 結果X: 客数 CV 0.184 の安定性は
観察したが、 客数の上下が「ルート」 由来か「海象」 由来かは不明。
- 新仮説Y: 12 月の風速・波高が高い日 (寒気団南下時) は客数が
平均より10% 以上低下する仮説 (= 海象キャンセル効果)。
逆に温暖な穏やか日は予約超過になりやすい仮説。
- 課題Z: 気象庁 AMeDAS (広島・呉) の 1 時間風速・波高データを
9 運航日について取得し、 各日の海象スコアと客数の相関を算出。
モニタークルーズの運航リスクを物理データで量化し、
定期化時の運休基準設計に資する量的根拠を提供する。